(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ナノウェブを含むフィルター媒体であって、前記ナノウェブが60%を超える芳香族炭素分率を有する芳香族ポリマーを含む繊維を含み、かつ前記ウェブが85%以上の空隙率、10μm以下の平均流孔径を有し、前記芳香族ポリマーがポリエーテルスルホンであり、前記ウェブが1.5〜2.5の均一性指数を有し、前記均一性指数が、泡立ち点直径と最小細孔径との間の差の、泡立ち点直径と平均流孔径との間の差に対する比として定義される、フィルター媒体。
ナノウェブを含むフィルター媒体であって、前記ナノウェブが60%を超える芳香族炭素分率を有する1種または複数種の芳香族ポリマーから実質的になる繊維を含み、かつ前記ウェブが85%以上の空隙率および10μm以下の平均流孔径を有し、前記芳香族ポリマーがポリエーテルスルホンを含み、前記ウェブが1.5〜2.5の均一性指数を有し、前記均一性指数が、泡立ち点直径と最小細孔径との間の差の、泡立ち点直径と平均流孔径との間の差に対する比として定義される、フィルター媒体。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本出願人等は、本開示中のすべての引用された参考文献の全内容を具体的に援用する。さらに、量、濃度、または他の値もしくはパラメータが、範囲、好ましい範囲、または上側の好ましい値と下側の好ましい値の一覧表のいずれかとして与えられる場合、それは、これら範囲が別々に開示されているかどうかに関係なく、任意の上側の範囲限界または好ましい値と任意の下側の範囲限界または好ましい値との任意の対から形成されるすべての範囲を具体的に開示しているものと理解されたい。数値の範囲が本明細書中に列挙されている場合、別段の注記がない限り、その範囲はその端点と、その範囲内のすべての整数および端数とを含むことを意図している。範囲を定める場合に列挙される特定の値に本発明の範囲を限定することを意図していない。
【0009】
本発明は、少なくとも1層のナノファイバー層を含む、液体からファウリング物質または汚染物質を除去するための濾過媒体、その濾過媒体の形成方法、および液体から粒子を除去する方法に関する。ナノファイバー層は、不織ウェブすなわちナノウェブの形態であり、用語「不織」は、ここでは複数本のランダム配向した繊維を含むウェブを意味する。「ランダム配向した」とは、裸眼にとって、例えば織物構造または結晶構造の状態で存在するようなウェブの方向に対して規則的または繰返し構造でないように見えることを意味する。繊維は、互いに接着してもよく、または接着せずにウェブに強度および完全性を与えるように絡み合ってもよい。繊維は、短繊維でも連続繊維でもよく、また異種繊維の組合せとして、またはそれぞれが異種材料からなる類似繊維の組合せとして単一の材料または多種類の材料を含んでもよい。
【0010】
本発明に適用される用語「ナノウェブ」は、主にナノファイバーから構成された不織ウェブを指す。多くは、ウェブ中の50%を超える繊維がナノファイバーであることを意味し、本明細書中で使用される用語「ナノファイバー」は、数平均径が1000nm未満、さらには800nm未満、さらには約50nm〜500nm、さらには約100〜400nmの繊維を指す。非円形断面のナノファイバーの場合、本明細書中で使用される用語「直径」は、最大断面寸法を指す。本発明のナノウェブはまた、ナノファイバーを70%を超えて、または90%有することができ、またナノファーバーを100%含有することさえできる。
【0011】
用語「フィルター媒体(filter mediumまたはfilter media)」とは、粒状物質の付随的また少なくとも一時的付着物がその材料中または材料上に付いた粒子担持流体が通過する材料または材料の集積物を指す。
【0012】
その媒体の空隙率は、100×(1.0−ソリディティ)と同値であり、媒体構造中の自由体積の割合として表される。ただし媒体構造中の固形物の分率をソリディティで表す。
【0013】
用語「流動率」および「流量」は区別なく使用されて、或る体積の流体が一定の面積の濾過媒体を通過する速度を指す。
【0014】
「平均流孔径」は、ASTM Designation E 1294−89「Standard Test Method for Pore Size Characteristics of Membrane Filters Using Automated Liquid Porosimeter」に従って測定される。異なるサイズ(直径8、20、または30mm)の個々の試料を、低表面張力流体(16dyne/cmの表面張力を有する1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロペン、または「Galwick」)で湿らし、ホールダーに入れた。空気の差圧を加え、流体を試料から除去する。濡れ流量が乾き流量(湿潤溶媒なしの流量)の二分の一に等しくなる差圧を使用し、支給されたソフトウェアを用いて平均流孔径を計算する。
【0015】
最小細孔径は、ASTM Designation E 1294−89「Standard Test Method for Pore Size Characteristics of Membrane Filters Using Automated Liquid Porosimeter」に従って測定され、これは、毛管流多孔度計(型番CFP−34RTF8A−3−6−L4、Porous Materials,Inc.(PMI),Ithaca,N.Y.)を用いて、ASTM Designation F 316に基づく自動泡立ち点法を使用することによって0.05μm〜300μmの細孔径を有する膜の細孔径特性を近似的に測定する。異なるサイズ(直径8、20、または30mm)の個々の試料を、低表面張力流体(16dyne/cmの表面張力を有する1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロペン、または「Galwick」)で湿らす。各試料をホールダーに入れた。空気の差圧を加え、流体を試料から除去した。最小細孔径は、圧縮圧力を試料シートに加えた後に一番後に開く細孔であり、製造供給元から支給されたソフトウェアを用いて計算される。
【0016】
「泡立ち点」は、試料中の最大細孔径の尺度であり、ASTM Designation F 316「Standard Test Methods for Pore Size Characteristics of Membrane Filters by Bubble Point and Mean Flow Pore Test」に従って測定される。個々の試料(直径8、20、または30mm)を上記と同様に低表面張力流体で湿らした。試料をホールダーに入れた後、差圧(空気)を加え、流体を試料から除去する。泡立ち点は、試料シートに圧縮空気圧を加えた後に最初に開く細孔であり、製造供給元から支給されたソフトウェアを用いて計算される。
【0017】
本発明の濾過媒体は、一般に約0.1μm〜10.0μmの平均流孔径を有する。この濾過媒体は、一般に約0.8μm〜20.0μmの泡立ち点を有する。細孔径の均一性指数(UI)は、泡立ち点直径と最小細孔径の差の泡立ち点と平均流孔径の差に対する比として定義される。この比が2の値に近いほど、その細孔径分布はガウス分布になる。均一性指数が2より非常に大きい場合、その不織布構造は、直径が平均流孔径よりずっと大きい細孔によって支配される。均一性指数(UI)が2よりずっと小さい場合、その多くの構造が、平均流孔径より小さい細孔径を有する細孔によって支配される。この分布の末端にはまだかなりの数の大きな細孔が存在するはずである。
【0018】
本発明の媒体の均一性指数は、1.5〜2.5の範囲、好ましくは1.5〜2.2の範囲にある。
【0019】
1.5よりも小さいUIを有する濾過媒体は、それがその平均流孔径よりもずっと大きな細孔径を持つことを示す。例えば、1.1のUIと、2μmの平均流孔径と、0.2の最小細孔径とを有する濾過媒体は、21μmの泡立ち点を有することになる。この濾過媒体は2μmにランク付けされるが、この濾過媒体は或る確率で21μmにランク付けされたフィルター媒体としてのみ機能することになる。2.0μmのUIと、2μmの平均流孔径と、0.2μmの最小細孔径とを有する濾過媒体の場合、その泡立ち点直径は3.9μmになることになる。3.8μmの泡立ち点を有する媒体の濾過性能は、20μmの泡立ち点のものよりも高い。
【0020】
濾過媒体はさらに、少なくとも約85体積%、さらには約85体積%〜約95体積%、さらには約88体積%〜約95体積%の空隙率を有する。この濾過媒体は、その媒体を通り抜ける水の流量が10psi(69kPa)の差圧において約0.055L/分/cm
2を超える。この濾過媒体は、約10m〜約600m、さらには約30m〜約130mの厚さを有する。この濾過媒体は、約2g/m
2〜約100g/m
2、さらには約15g/m
2〜約90g/m
2の坪量を有する。
【0021】
この濾過媒体は、ただナノファイバーだけからなることもでき、またナノファイバー層と構造支持用の多孔質基材(スクリムとも呼ばれる)との組合せであることもできる。
【0022】
本発明で使用されるナノファイバーは、1種または複数種の芳香族ポリマーを含み、別法では1種または複数種の芳香族ポリマーから実質的になり、また別法では1種または複数種の芳香族ポリマーのみからなる。「芳香族ポリマー」とは、それがその骨格中に少なくとも1個の四、五、または六員環構造、好ましくは2個以上の環を含有するポリマーを意味する。さらに一層好ましくは本発明で使用されるナノファイバーは、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリスルホン、ポリイミド、およびこれらの組合せからなる群から選択されるポリマーを含み、別法ではこの選択されたポリマーから実質的になり、また別法ではこの選択されたポリマーのみからなる。一般にはこれらのポリマーは、60%を超える、好ましくは80%を超え100%(完全芳香族)までの芳香族炭素分率を有する芳香族骨格を有する剛性ポリマーである。この芳香族炭素分率が、ポリマー鎖に、したがってそれから形成されるナノファイバーに剛性を与える。これは、少なくともある程度は、本発明の不織ウェブが望ましい範囲の空隙率を有することを可能にする。本明細書中で使用される「から実質的になる」とは、ナノファイバーの大部分をこれらのポリマーのうちの1種類または組合せから完全に作ることができること、あるいはその繊維自体がブレンドポリマーを含むことができ、重量を基準にしてその大部分がこれらのポリマーのうちの1種類または組合せであることを意味する。例えば、本発明で使用されるナノファイバーは、これらのポリマーの1種類または組合せが80重量%を超えるもの、これらのポリマーの1種類または組合せが90重量%を超えるもの、これらのポリマーの1種類または組合せが95重量%を超えるもの、これらのポリマーの1種類または組合せが99重量%を超えるもの、これらのポリマーの1種類または組合せが99.9重量%を超えるもの、あるいはこれらのポリマーの1種類または組合せが100重量%のものから調製することができる。ナノファイバーは、これらのポリマーの1種類または組合せが100%のものからなってもよい。
【0023】
本発明に使用されるポリマーの最も好ましい形態は、完全芳香族のPESである。完全芳香族のPESは、そのエーテルとスルホンの結合の80%超が、ベンゼン環または類似の環形成分、あるいは五員環などの2個の芳香族基に直接に結合しているものと定義される。芳香族PESは、そのエーテルとスルホンの結合の80%超が、ベンゼン環または類似の環形成分、あるいは五員環などの2個の芳香族基に直接に結合しているものと定義される。芳香族骨格または最も好ましい完全芳香族骨格を有するポリマーは、その芳香族ポリマーまたは最も好ましい完全芳香族ポリマー中の環構造が、そのポリマーがとることができる立体配座の数を限定するために物理的特性がより剛直である。これらの限定された配座状態は、芳香族ポリマーの骨格中の環構造の剛性の直接の結果である。剛性は、破断時伸びパーセントが20%未満、最も好ましくは15%未満であることと定義することができる。同様に、完全芳香族ポリイミド(PI)は、そのイミド結合の少なくとも80%が2個の芳香族環に直接に結合しているポリイミドと定義される。芳香族ポリイミドは、そのイミド結合の少なくとも60%が2個の芳香族環に直接に結合しているポリイミドと定義される。PESまたはPIなどの芳香族ポリマーまたはより好ましくは完全芳香族ポリマーのエレクトロブロー法による加工は、これらのポリマーの配座状態が欠如しているため1.5〜2.5の固有のUIを生じさせる。
【0024】
この濾過媒体のナノファイバー層の製造方法は、国際公開2003/080905号パンフレット(米国特許出願第10/822,325号明細書)中に開示されており、本明細書に参照により援用される。エレクトロブロー法は、溶媒に溶かしたポリマーの溶液を、スピニングビームを貫通する混合チャンバーから高電圧を印加した紡糸ノズルへ供給し、同時に、ポリマー溶液がノズルを出るにつれて圧縮ガスを吹込ガス流中のそのポリマー溶液に向けることを含む。ナノファイバーは、真空チャンバーおよびブロワーによって生じた真空下で形成され、接地されたコレクター上にウェブとして捕集される。
【0025】
本発明の一実施形態では濾過媒体は、この方法によりスピニングビームとコレクターの間に位置決めされた可動捕集装置のワンパスによって作られる単一ナノファイバー層を含む。この繊維ウェブは、前述の可動捕集装置の上方で同時に動作する1個または複数個のスピニングビームによっても形成することができることが分かるだろう。
【0026】
本発明の一実施形態では単一ナノファイバー層は、可動捕集装置のワンパスでナノファイバーを単一スピニングビームから堆積させることによって作られ、そのナノファイバー層は、無水ベースで測定される、すなわち残留溶媒を蒸発または除去した後の0.5g/m
2を超える、また別法では2.1g/m
2を超える、または別法では5g/m
2を超えるか、約5g/m
2〜約100g/m
2の、さらには約10g/m
2〜約90g/m
2の、さらには約20g/m
2〜約70g/m
2の坪量を有する。
【0027】
可動捕集装置は、好ましくはスピニングビームとコレクターの間の静電界内に位置決めされる可動捕集ベルトである。捕集された後、単一ナノファイバー層はスピニングビームの下流側の巻取ロールに向かい、その上に巻き取られる。
【0028】
本発明の一実施形態では種々様々な多孔質基材のいずれかを可動捕集ベルト上に配置して、その基材上に紡糸されるナノファイバーウェブを捕集し、その基材と結合させることができ、その得られたナノファイバー層と多孔質基材の複合体を本発明の濾過媒体として使用する。多孔質基材の例には、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、ニードルパンチ不織布、スパンレース不織布、湿式不織布、樹脂接着不織布、織物、編物、有孔フィルム、紙、およびこれらの組合せが挙げられる。
【0029】
捕集されたナノファイバー層は、有利には接合される。接合は、これらには限定されないが、加熱した平滑なニップロール間での熱圧延、超音波接合、および通気接合を含めた既知の方法により達成することができる。接合は、媒体の強度および圧縮抵抗を向上させ、その結果、媒体は、取り扱いに関連する、有用なフィルターの形にすることに関連する、またフィルターに使用することに関連する力に耐えることができ、また使用する接合方法により物理的性質、例えば厚さ、密度、および細孔のサイズと形状を調整する。例えば、熱圧延を使用して媒体の厚さを減少させ、密度およびソリディティを増加させ、細孔のサイズを減少させることができる。これは、言い換えると、所定の適用された差圧において媒体を通り抜ける流量を減少させる。一般に超音波接合は、熱圧延よりも媒体の小さな面積を接合し、したがって厚さ、密度、および細孔径に与える影響がより少ない。通気接合は、一般に厚さ、密度、および細孔径に与える影響が最小限であり、したがってこの接合法は、高流量の維持が最も重要な用途では好ましいことがある。
【0030】
熱圧延を使用する場合、ナノファイバーが溶融し、もはや個々の繊維としてのそれらの構造を保持しなくなるほどに、材料を過度に接合させないように注意しなければならない。極端な場合には、過度な接合は、フィルムが形成されることになるようなナノファイバーの完全な融解を引き起こすことになる。使用されるニップロールの一方または両方を、およそ周囲温度、すなわち約25℃〜約300℃、さらには約50℃〜約200℃の温度に加熱する。ナノファイバー層を、ニップロール間で約0ポンド/インチ〜約1000ポンド/インチ(178kg/cm)、さらには約50ポンド/インチ(8.9kg/cm)〜約550ポンド/インチ(98kg/cm)の圧力で圧縮する。ナノファイバー層は、有利には少なくとも約10フィート/分(3m/分)、さらには少なくとも約30フィート/分(9m/分)のライン速度で圧縮される。圧延条件、例えばロール温度、ニップ圧、およびライン速度を調整して所望のソリディティを得ることができる。一般に、より高い温度、圧力、および/または高温度および/または高圧力下での滞留時間の適用は、ソリディティの増大をもたらす。ある場合には、捕集されたナノファイバー層を、約65℃以下の温度、約100ポンド/インチ(17.8kg/cm)未満のニップ圧、約30フィート/分(9m/分)超のライン速度、または上記条件の組合せで軽く圧延し、結果として約85体積%〜約95体積%の空隙率を有するフィルター媒体を生じさせることが望ましい。
【0031】
試験方法
坪量は、本明細書に参照により援用されるASTM D−3776によって求め、g/m
2単位で記録した。
【0032】
ソリディティは、試料の坪量(g/m
2単位)を、ポリマー密度(g/m
3単位)で除し、そして試料厚さ(マイクロメートル単位)で除すことによって計算した。すなわちソリディティ=坪量/(密度×厚さ)。
【0033】
繊維径は下記のように求めた。倍率5,000倍で10枚の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を撮影した。拡大は各ナノファイバー層試料について行われた。各SEM画像からはっきり識別できる11個の直径を測定し記録した。欠陥部(すなわち、ナノファイバーの塊、ポリマーの滴り、ナノファイバーの交差部)は含めなかった。各試料について平均繊維径を計算した。
【0034】
厚さは、本明細書に参照により援用されるASTM D1777−64によって求め、マイクロメートル単位で記録した。
【0035】
最小細孔径は、上記と同様にASTM Designation E 1294−89「Standard Test Method for Pore Size Characteristics of Membrane Filters Using Automated Liquid Porosimeter」に従って測定した。異なるサイズ(直径8、20、または30mm)の個々の試料を、低表面張力流体(16dyne/cmの表面張力を有する1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロペン、または「Galwick」)で湿らした。各試料をホールダーに入れた。空気の差圧を加え、流体を試料から除去した。最小細孔径は、圧縮圧力を試料シートに加えた後に一番後に開く細孔であり、製造供給元から支給されたソフトウェアを用いて計算される。
【0036】
平均流孔径は、ASTM Designation E 1294−89「Standard Test Method for Pore Size Characteristics of Membrane Filters Using Automated Liquid Porosimeter」に従って測定した。異なるサイズ(直径8、20、または30mm)の個々の試料を、上記と同様に低表面張力流体で湿らし、ホールダーに入れた。空気の差圧を加え、流体を試料から除去した。濡れ流量が乾き流量(湿潤溶媒なしの流量)の二分の一に等しくなる差圧を使用し、支給されたソフトウェアを用いて平均流孔径を計算する。
【0037】
泡立ち点は、ASTM Designation F 316「Standard Test Methods for Pore Size Characteristics of Membrane Filters by Bubble Point and Mean Flow Pore Test」に従って測定した。個々の試料(直径8、20、または30mm)を上記と同様に低表面張力流体で湿らした。試料をホールダーに入れた後、差圧(空気)を加え、流体を試料から除去した。泡立ち点は、試料シートに圧縮空気圧を加えた後に最初に開く細孔であり、製造供給元から支給されたソフトウェアを用いて計算される。
【0038】
流量(流動率とも呼ばれる)は、流体が一定の面積の試料を通過する速度であり、脱イオン水を8mmの直径を有するフィルター媒体試料の中を通過させることによって測定した。水圧(水頭圧)または空気圧(水上空気圧力(air pressure over water))を用いて試料に水を強制的に通した。この試験は、磁気フロートを含有する流体で満たしたカラムを使用する。カラムに取り付けたセンサーが磁気フロートの位置を読み取り、コンピュータにディジタル情報を提供する。流量は、PMIによって支給されたデータ解析ソフトウェアを用いて計算される。
【実施例】
【0039】
以下、本発明を下記実施例においてより詳細に記述することにする。本発明のナノファイバーウェブを形成するために、国際公開2003/080905号パンフレット中に開示されている通りのエレクトロブロー紡糸すなわちエレクトロブロー法および装置を使用して、下記実施例中で具体化される本発明のナノファイバー層およびウェブを作り出した。
【0040】
ポリエーテルスルホン(PES)のナノファイバー層を、国際公開03/080905号パンフレットに記載のエレクトロブロー成形により紡糸した。PES(HaEuntech Co,Ltd.Anyang SI,Koreaを通じて入手できる、BASF製品)は、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)(Samchun Pure Chemical Ind.Co Ltd,Gyeonggi−do,Koreaから入手できる)とN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(HaEuntech Co,Ltd.Anyang SI,Koreaを通じて入手できる、Samsung Fine Chemical Coの製品)の20/80溶媒に溶かした25重量%溶液を用いて紡糸された。ポリマーおよび溶液を溶液混合槽に供給し、貯蔵タンクに移した。次いでその溶液を、定量ポンプを経由してエレクトロブロー紡糸パックに供給した。紡糸パックは、一連の紡糸ノズルおよびガス噴射ノズルを有する。紡糸口金は電気的に絶縁され、高電圧が印加される。
【0041】
ガス噴射ノズルを通して24℃〜80℃の温度で圧縮空気が噴射される。繊維は、紡糸ノズルを出て行き、大気圧、50%〜72%の相対湿度、13℃〜24℃の温度の空気中に入った。繊維を可動多孔ベルト上にレイダウンした。多孔ベルトの真下の真空チャンバーが繊維のレイダウンを促した。以前に述べた手法によって測定される試料の数平均繊維径は約800nmであった。工程条件を変えることによって、PESの様々な試料を作り出した。
【0042】
ポリイミドのナノファイバーは、紡糸したままのポリアミド酸(PAA)ナノファイバーウェブを450℃〜600℃の温度で240秒まで熱処理することによって作り出した。ポリアミドナノファイバーウェブは、DMAc溶液に溶かしたPMDA/ODAの溶液から作り出し、国際公開2003/080905号パンフレットに開示されているようにエレクトロブロー成形した。
【0043】
【表1】
【0044】
比較例についてはメルトフローレート1200g/10分のポリプロピレンを、米国特許第6,114,017号明細書に記載されているモジュラーダイを用いてメルトブロー成形した。これらの試料を作り出すために制御した工程条件は、減衰性空気流量、空気温度、ポリマーの流量および温度、ダイボディ温度、ダイからコレクターまでの距離である。これらのパラメータに加えて、捕集速度およびポリマー処理量を変えることによって比較例の坪量を変化させた。ダイからコレクターまでの距離は0.1mから0.5mの範囲であり、一方、捕集速度は0.2〜3m/分であった。押出におけるダイ温度は、210℃〜280℃の間で変えた。これらの試料の平均繊維径は500nm未満であった。表2は、作り出されたウェブの特性を示す。
【0045】
【表2】
【0046】
メルトブローン繊維は高い空隙率を有するが、本発明のウェブの範囲より下の低い均一性指数を有する。
【0047】
これらデータは、本発明のウェブが、高い空隙率を維持しながら比較例よりも小さい平均流孔径を有することを示す。
次に、本発明の態様を示す。
1. ナノウェブを含むフィルター媒体であって、前記ナノウェブが60%を超える芳香族炭素分率を有する芳香族ポリマーを含む繊維を含み、かつ前記ウェブが85%以上の空隙率および10μm以下の平均流孔径を有する、フィルター媒体。
2. ナノウェブを含むフィルター媒体であって、前記ナノウェブが60%を超える芳香族炭素分率を有する1種または複数種の芳香族ポリマーから実質的になる繊維を含み、かつ前記ウェブが85%以上の空隙率および10μm以下の平均流孔径を有する、フィルター媒体。
3. 前記ナノウェブが1平方メートル当たり0.5gを超える坪量を有する、上記2に記載のフィルター媒体。
4. 前記ナノウェブが1平方メートル当たり2.1gを超える坪量を有する、上記2に記載のフィルター媒体。
5. 前記ナノウェブが1平方メートル当たり5g以上の坪量を有する、上記2に記載のフィルター媒体。
6. 前記芳香族炭素分率が80%を超える、上記2に記載のフィルター媒体。
7. 1.5〜2.5の均一性指数を有する、上記2に記載のフィルター媒体。
8. 前記芳香族ポリマーが、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリイミド、およびこれらの組合せからなる群から選択される、上記2に記載のフィルター媒体。
9. 前記繊維が連続的である、上記2に記載のフィルター媒体。
10. 前記ナノウェブが1.5〜2.2の均一性指数を有する、上記2に記載のフィルター媒体。
11. 前記ナノウェブが85%〜95%の空隙率を有する、上記2に記載のフィルター媒体。
12. 前記ナノウェブが88%〜95%の空隙率を有する、上記1に記載のフィルター媒体。
13. 前記ナノウェブが1平方メートル当たり5g〜100gの坪量を有する、上記11に記載のフィルター媒体。
14. 前記ナノウェブが1平方メートル当たり10g〜100gの坪量を有する、上記11に記載のフィルター媒体。
15. 前記ナノウェブが1平方メートル当たり20g〜100gの坪量を有する、上記11に記載の媒体。
16. 上記1に記載のフィルター媒体を含む液体濾過フィルターアセンブリ。
17. 医薬品を精製するための上記16に記載のフィルターアセンブリの使用。