(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0003】
カテーテルは、心臓診断カテーテル法、経皮的冠動脈形成術、及び様々な心内膜調査及び切除処置のような広範囲の医療行為を実施するのに役立っている。しかしながら、しばしば、血管がたどる湾曲通路のために人体の幾つかの血管に選択的にカテーテルを挿入することは困難である。例えば
図1は人の大動脈弓100を描写するのに役立つ概念図である。図示されたように、上行大動脈110は大動脈弁(図示せず)におけるその起点から立ち上がる。右総頸動脈104及び右鎖骨下動脈103は腕頭動脈102から分岐する。左総頸動脈105及び左鎖骨下動脈106は、大動脈が曲がって下行大動脈120へ下る直前において、大動脈から分岐して立ち上がる。点線170は、この状況において望まれるかもしれない一般的なカテーテルの設置を描いている。
【0004】
図1に示されたような正常な大動脈弓は、めったに、カテーテルを用いた治療を必要としない。そうではなく、この治療を行う人の多くは、しばしば、人の大動脈弓の分類された変形状態(201から204)を描く
図2Aから
図2Dに示されたような病的で異常な大動脈変異を見て操作する状態にいるのに気づく。下行大動脈120から大動脈弓を超えて上方へ、次いで右腕頸動脈102へ接近するために戻る進行が、特に、動脈が容易に転移及び移動する血小板の集積で部分的に塞がれるときのような場合に、極めて困難となる可能性があることは、明らかである。
【0005】
その結果として、カテーテル処置は、次のカテーテルが挿通される得る軌道を形成して、ついには意図された介入装置(例えば、ステント、又はステントグラフトなど)の送達を可能にするのに十分な剛性の線材及びガイドを結果としてもたらすために、多数のカテーテル交換、すなわち異なる大きさ及び/又は剛性を有するカテーテルを連続的に交換することをしばしば必要とする。
【0006】
したがって、カテーテルが、案内線材の抜けを生じさせることなく、比較的可撓性の案内線材に沿って追従することを可能にするためにカテーテルには可撓性が望まれる。すなわち、カテーテルの「操作性」が重要である。同時に、同じカテーテルの剛性又は硬直さは、案内カテーテルが位置を見失う(すなわち、移動するようになる)ことを生じさせることなく、比較的堅い装置(ステントのような)が案内カテーテルを通して追従させられることを可能にするのに十分に案内カテーテルが強固であることを可能にすることが望まれる。もし、移動が起こると、案内線材及び案内カテーテルの交換の全手順が、最初から再び実施されなければならない。
【0007】
しばしば、カテーテルの遠位端部が可撓性であって、近位端部が追従を可能にするように剛性であるように、最適なバランスが求められる。しかしながら、カテーテルの堅い部分を所定位置に移動させるために、可撓性部分は、一般的に、「手がかり」を得て位置を保持するために、人体内に深く埋設されることを必要とする。多くの場合において、人体は、深い手がかりを許容しない。従って、カテーテルの形状及び方法にとって、従来技術のこれら及び他の欠点を克服する必要性が存在する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図3に示された長手断面を参照すると、一実施形態によるカテーテル装置(又は単にカテーテル)300は、通常は、内部に区画形成された送出管腔(又は単に管腔)301を有する概ね管状の本体(又は単に本体)304を有している。カテーテル300は、遠位端部308(一般的に、人体的特徴内に最初に挿入されるように形成された端部)と、遠位端部308と反対側の近位端部310とから延びている。カテーテル本体304及び/又は管腔301に連絡可能に連結された制御装置320が、一般的に、以下にさらに詳細に説明されるように、カテーテル300の動作を制御するためにさらに設けられるであろう。
【0013】
作動手段(
図3には示されていない)は、本体304が二つ以上の状態に入ることを引き起こすために設けられ、前記二つ以上の状態は、不連続の状態又は連続的に変化する状態又はそれらの組み合わせであってよい。作動手段は、概ね、様々な機械的、気体的、液体的、電気的、温度的、化学的な構成要素、及び/又は以下に示される様々な実施形態に関して記述されるような他の構成要素を含んでおり、本体304、管腔301、制御装置320、又はその組み合わせに組み込まれてよい。様々な実施形態において、制御装置320は作動手段の一構成要素である。
【0014】
一般的に、本体304は、少なくとも二つの状態に選択可能に置かれることができる。第一状態において、本体304は、比較的低い剛性を有し、及び/又はカテーテル300が、案内線材の配置を実質的に乱すことなく、案内線材などに沿って容易に挿入されることができるように(例えば、近位端部310に与えられる人の軸方向の力を介して)選択された他の機械的性質を有する。一般的な市場で入手可能な案内線材の種類は、この技術分野において公知であり、ここで詳細に論述される必要はない。第二状態において、本体304は、比較的高い剛性を有し、及び/又はカテーテル300が、挿入中に使用された案内線材の除去を含む次に続く作業中において、解剖学的特徴内の所定位置に実質的に留まるように選択された他の機械的性質を有する。別の言い方をすれば、第一状態中において、本体304は、予め定められた「操作性閾値」以下の剛性計量を有し、第二状態中において、本体304は、予め定められた「硬直閾値」以上の剛性計量を有する。これは、定性的に、二つの状態(1902及び1904)と、それらの対応する剛性閾値(すなわち、操作性閾値及び硬直閾値のそれぞれ)を描いている
図19に示されている。
【0015】
ここで使用される用語「剛性計量」は、以下にさらに詳細に記述されるように、様々な方法において定義され得る無次元又は有次元のパラメータを指している。しかしながら、剛性計量の性質に関わらず、操作性閾値及び硬直閾値は、カテーテル300の主な動作モードを確定する。この点において、「剛性計量」が、実際の剛性の計量値を指すように本明細書でしばしば使用されることに留意されたい。
【0017】
図4は、近位端部から遠位端部へのカテーテル300に沿う距離の関数としての剛性計量(S)を表す定性的なグラフ表示を示している。
図4は、剛性計量がその長さに沿って実質的に一様な場合に相当するが、以下で解るように、本発明はそれに限定されない。点線412は操作性閾値を示し、点線410は所与の剛性計量に関する硬直閾値を表している。第一状態の間(挿入中)において、カテーテル300は操作性閾値412以下の剛性計量402を有する。同様に、第二状態中において、カテーテル300は硬直閾値410以上の剛性計量410を有する。
【0018】
一実施形態において、剛性計量は、カテーテル300の曲げ弾性率、すなわち、この技術分野おいて公知であるように、曲げている間の応力と歪との比に対応する。この値は、例えば、
図6に示された三点曲げ試験を使用して、経験的に決定されてよく、三点曲げ試験において、カテーテル300(又はカテーテル300の一部)は、公知の距離離間された一対の支持部602及び604上に設置され、下方向(半径方向)の力608が、支持部602及び604の間に位置させられる第三構造体606を介してカテーテル300へ与えられる。
【0019】
もう一つの実施形態において、剛性計量は、カテーテル300の実際の動作をより忠実にモデル化する経験的な測定値に対応する。例えば、
図7aから
図7cは、ほぼ90度の角度(この角度は試験によって変化してよいが)で設置されたカテーテル300の配置を模擬する「移動」試験を描いている。より詳細には、不動支持部702、704、及び706は、カテーテル300(又はカテーテル300から切断された短い切片)が、支持部706に接触する一方で、支持部702と704との間に入り込むように曲がらなければならないような予め定められた幾何学的関係に位置させられる。さらなる支持部(図示せず)も、カテーテル300の設置を援助するように使用されてよい。
【0020】
試験の最初の間において、プローブ702が、図示(
図7a)されているように、カテーテル300の一端部内に挿入される。プローブ702は、一般的なステントグラフトなどの剛性にほぼ等しいように形成されているかもしれない。プローブ702がカテーテル300の管腔301内へさらに挿入されるにつれて、プローブは、管腔301の内面に接触して、端部308の支持部702に対する移動を引き起こす。最終的には、プローブ702が十分な力で挿入されると、カテーテル300は、図示されたように、支持部702と704との間から全体的に解放されるであろう。このようにカテーテル300を移動するのに必要な力が、そのとき剛性計量となる。この試験は、約37℃(体温)で有利に行われる。さらに、この試験は、所定位置にある例示的な案内線材を有して開始されてよく、それにより、操作性閾値の決定を可能にする。
【0022】
図4がカテーテル300の長さに渡り一様な剛性計量を描いているが、本発明は、それに限定されない。
図5は、近位端部から遠位端部へのカテーテル300に沿う距離の関数として、剛性計量(S)を表す定性的なグラフ表示を示しており、しかしながら、この実施形態において、カテーテル300は、各々が第二状態中において対応する剛性計量を有する二つの「区域」又は区域部を有している。すなわち、区域520において、第二状態(504)における剛性計量は、第一状態(502)における剛性計量と実質的に同じである(すなわち、全体的に操作性閾値412より低い)。区域522内において、第二状態(504)における剛性計量は硬直閾値410より高い。
【0023】
カテーテル300は、任意の数のこのような区域を有してよい。さらに、各区域内の剛性計量は、一定であるか又は連続的に変化してよい。特定の実施形態において、第一区域はカテーテル300の遠位端部に隣接し、第二区域は第一区域に隣接し、ここで、第一区域の剛性計量は、第二状態の間における第二区域の剛性計量より低い。
【0024】
代替の実施形態において、カテーテル300は、第一湾曲軸線に沿う一つの剛性計量値と、第一湾曲軸線に直交する第二湾曲軸線に沿う別の剛性計量値とを有する。
【0026】
カテーテル本体304は、任意の適当な構造を有していてよく、上述された選択可能な剛性計量を実現可能な材料の任意の適当な組み合せを使用して形成されてよい。例えば、一実施形態において、カテーテル本体304は、その外部及び/又はその内部内に形成された螺旋(渦巻き)溝を有する。この溝は、第一状態における剛性計量がカテーテル本体304が完全な筒状であるより低いように、本体304を効果的に弱める。別の実施形態では、カテーテル本体304は、その周方向に形成された複数のリング状溝を有する。特定の実施形態において、複数のリング状溝は、管状本体に沿って不規則に配置される。このような実施形態は、基準剛性計量がカテーテル300の長さに沿って特定の様態で変化することを可能にする。
【0027】
カテーテル本体304は、様々な材料から構成されてよい。カテーテルを構成するのに使用される一般的な材料は、ポリメタクリル酸メチル(PMMA又アクリル)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PETG)、酢酸酪酸セルロース(CAB)を含む非結晶性汎用熱可塑性プラスチックと、ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE又はLLDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)を含む半結晶性汎用プラスチックと、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、変性ポリフェニレンオキシド(Mod PPO)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、変性ポリフェニレンエーテル(Mod PPE)、ポリウレタン(PU)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)を含む非結晶性工業用熱可塑性プラスチックと、ポリアミド(PA又はナイロン)、ポリオキシメチレン(POM又はアセタール)、ポリエチレンテレフタレート(PET,熱可塑性ポリエステル)、ポリブチレンテレフタレート(PBT,熱可塑性ポリエステル)、超高分子ポリエチレン(UHMW−PE)を含む半結晶性工業用熱可塑性プラスチップと、ポリイミド(PI,イミドプラスチック)、ポリアミドイミド(PAI,イミドプラスチック),ポリベンゾイミダゾール(PBI,イミドプラスチック)を含む高機能熱可塑性プラスチックと、ポリスルホン(PSU)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアリルスルホン(PAS)を含む非結晶性高機能熱可塑性プラスチックと、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を含む半結晶性高機能熱可塑性プラスチックと、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、エチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、エチレン、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、パーフルオロアルコキシ(PFA)を含む半結晶性高機能熱可塑性プラスチックフッ素樹脂のような一般的に公知の材料を包含することができる。他の一般的に公知の医療用の材料は、エラストマーの有機シリコンポリマー、ポリエーテルブロックアミド、又は熱可塑性コポリエーテル(PEBAX)、ケブラー、及びステンレス鋼及びニッケルとチタンとの合金(ニチノール)のような金属を含んでいる。
【0028】
カテーテル本体304のために選択された一つ又は複数の材料は、例えば、操作の第一状態から第二状態への移行をもたらすのに使用される作動手段の特質に依存してよい。カテーテル本体304は、例えば、一般的な押出成形方法、又は言及することにより本明細書に組み込まれる米国特許出願第2005/0059957号明細書に記述されたようなフィルム巻き技術を使用して製造されてよい。カテーテルの製造に関するさらなる情報は、例えば、全てが言及することにより本明細書に組み込まれる米国特許第5324284号、米国特許第3485234号、及び米国特許第3585707号明細書に見出されるかもしれない。
【0030】
カテーテル300は、詳細に上記されたように、本体304が二つ以上の状態に入ることを引き起こすための作動手段を有している。作動手段は、様々な物理現象を使用するようにしてよく、例えば、
図1に示されたような制御装置320を有するカテーテル300内に設けられるか、及び/又はカテーテル300に連絡可能に連結される任意の数の構成要素から成る。状態変化は、例えば、機械的活性化、電気的活性化、気体的活性化、化学的活性化、及び熱的活性化の少なくとも一つによって達成されてよい。一般的に、活性化は、カテーテルの配置、すなわち本来位置への配置の次に行われるであろう。ここで、様々な種類の作動手段が、例示的な実施形態と共に以下に論述されるであろう。
【0032】
一実施形態において、作動手段は、本体304及び本体304内の特徴部に連絡可能に連結された制御装置320を有しており、前記本体304内の特徴部は、カテーテル300の少なくとも一部に温度低下又は温度変化をもたらすことによって、本体を第二状態に置くように構成されている。
【0033】
図1と共に
図8aから
図8bを参照すると、一実施形態によるカテーテル300は、冷却剤が本体304を通り移動するように相互連結される(例えば、遠位端部近傍において流体的に連結される)二つの補助管腔又は通路802及び804を有している。通路804及び802は、例えば(ePTFE膜部材のような)膜部材806によって分離されている。
【0034】
(カテーテルが第一状態である間の)カテーテル300の送出後に、液体窒素のような冷却剤805が、通路804へ供給され(例えば、制御装置320内の冷却剤供給装置を介して)、冷却剤は、本体304(又はその一部)の長さに沿って管腔301と平行に移動する。膜部材806において液体から気体へ変化するとき、冷却剤は膜部材806と共に本体304を冷却する。カテーテル本体304及び/又は膜部材806のための材料は、温度が低下するにつれて、その剛性が高まるように選択される。例示的な材料は、例えば、ウレタンなどを含んでいる。通路804は通路802よりかなり小さいので、圧縮気体803は、それが膜部材806を通過して通路802へ流入するとき膨張することが許容される。
冷却剤からの熱移動の結果として、冷却剤(液体窒素の場合)は、気相へ変化して通路802を通り流出する。他の実施形態において、冷却剤は、作動中において液状に留まる。適当な冷却剤は、例えば、冷却された塩類溶液、液体CO
2、及び液体N
2などを含んでいる。他の実証された医療用冷却方法もまた使用されて良い。
【0036】
図1と共に
図16及び17を参照すると、一実施形態において、作動手段は、本体304に連絡可能に連結された制御装置320と、本体に軸方向圧縮力の増大をもたらすことによって本体304を第二状態に置くように構成された本体内の構成要素とを有している。
【0037】
図16に示されたように、一本以上の引張線材1602が、本体304へ圧縮力を選択的に与えるのに使用されてよい。引張線材1602は、カテーテル300の遠位端部308に取り付けられて、一連の本体区域部1605を通過する対応する副管腔1402によって摺動可能に受け入れられる。副管腔1402は、引張線材1602の自由な軸方向運動を可能とするように好適に大きさを定められている。個々のデザインにもよるが、本体区域部1605は、典型的には、小さな隙間1607によって分離されるであろう。
【0038】
引張線材1602は、第一状態中において生体組織を進行中に、ほぼゼロの張力(すなわち、一般的なたるみ状態)にされる。しかしながら、カテーテル300の全て又は一部の剛性を高めることが望まれるときには、引張線材1602は、
図17に描かれているように実質的に同時に引かれる。本体区域部1605の間の隙間及び方向は、張力が与えられるときに起こる短縮を低減する(及び/又は短縮の再現性を高める)ために最適化されるかもしれない。一実施形態において、引張線材1602は、制御装置320へ組み込まれた浮遊ジンバル機構へ取り付けられる。張力が与えられると、圧縮力はカテーテルを拘束する傾向があり、それにより、その部分においてカテーテルの可撓性を低下させる。軸方向長さの減少が、張力の提供と同時に起こるかもしない。すなわち、図示されたように、隙間1607が小さくされるかもしれない。
【0039】
引張線材は、ポリマー又は金属の線材又は帯材のような任意の適当に強く可撓性の材料から形成されてよい。カテーテル300を第二状態に置くために必要な力は、本体304の構造的特徴と共に引張線材1602の長さ、材料、及び断面に依存して変化し得る。
【0040】
任意の数の引張線材1602及び副管腔1402が使用されてよい。
図18aから
図18cは、三つの等距離の副管腔1402(
図18a)、二つの等距離の副管腔1402(
図18b)、及び四つの等距離の副管腔(
図18c)を有するカテーテル本体304のための様々な形状の断面図を示している。加えて、等距離の副管腔は、任意の様式で配置されてよく、図示されたように、対称的又は等距離である必要はない。
【0041】
一実施形態において、本体304のコラム剛性は、追従を可能にするために変更され、次いで、剛化中に短縮することなく展開するように高められる。
【0043】
一実施形態において、作動手段は、本体304に連絡可能に連結された制御装置320を有しており、前記制御装置320は、半径方向圧
縮の増大を管状本体の少なくとも一部にもたらすことによって本体304を第二状態に置くように構成されている。例えば、本体304は、圧力応答室を区画形成する二つの流体不透過層と、前記圧力応答室内に設けられた少なくとも一つの介在性構造とを有してよい。制御装置は、圧力応答室内の内圧の変化を引き起こすように形成され、介在性構造は、内圧の変化に対して半径方向圧
縮を示すように構成されている。
【0044】
ここで
図9を参照すると、図示された実施形態において、カテーテル300は、室906からハブ302へ延びる補助管腔902を有している。本実施形態におけるハブ302は、標準的なY型取付部として形成され、そこで負圧(すなわち、ある基準圧力からの低下)が作用され、ルアー接続金具910へシリンジを取り付ける。負圧が作用すると、室906は、潰れて、対応する本体区域部904へ圧力を作用する(
図12及び13に示されたように)。圧力は、好ましくは、カテーテル300の影響部分の剛性計量の変化を引き起こすのに十分な大きさである。
【0045】
図10A及び10Bに示された代替の実施形態において、本体304は、空気不透過室1004の二つ以上の層の間に位置する層構造1002(すなわち、介在性構成要素)を具備している。負圧の使用を容易にするために、室1004は、血流内にある間において不透過性であるように形成された可撓性ポリマー材料を有している。可撓性ポリマーは、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリウレタン、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ナイロン、又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)又は延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)を含むフッ素ポリマー、又はそれらの組み合わせを含んでいる。
【0046】
大気圧において、曲げは、層1002の個々の構成要素が互いに最小摩擦で滑動することを引き起こす。個々の層が個々に滑り及び作用することを許容されると、その結果の剛性計量は非常に小さい。しかしながら、負圧が作用すると、垂直(すなわち、半径方向)の力1008が、可撓性ポリマー材料1004の潰れによって構造1002内にもたらされる。この垂直力は、層を通して移動させられ、層と層との摩擦を増大し、層の互いに対して滑る能力を制限する。その結果として、構造の剛性計量は高められる。代替の実施形態において、圧力は、隣接する圧力室において増加させられ、それにより、圧力室が隣接する層構造を押圧することを引き起こす。
【0047】
本発明の層構造1002は、例えば、帯巻き、編組、サービング(serving)、コイリング(coiling)、及び手積層を含む様々な製法を使用して製造されてよい。適当な材料は、繊維及び糸(ケブラー、ナイロン、ガラスなど)、線材(平たい又は丸いステンレス鋼、ニチノール、合金など)、及び薄い細長いフィルム(ポリエステル、ナイロン、ポリイミド、PTFE及びePTFEを含むフッ素ポリマーなど)の少なくとも一つを含んでいる。この実施形態において、剛性計量の変化は、圧力室の圧力が増加することを(例えば、ルアー接続金具910へ取り付けられたシリンジを緩和することによって)可能にすることにより容易に逆転させられ、それにより、与えられた垂直力を減少させる。
【0048】
図11に描かれた代替の実施形態において、多数の分離空気室1102が、カテーテル300の長さに沿って配置され、独立して切り換えられることができる。これらの室1102は、細長い薄いフィルム1104の層のような異なった層構造から構成されてよい。遠位端空気室は、管腔1109を介して独立に制御される一方で、近位端空気室は、管腔1108を介して制御される。これは、作業者が、種々の剛性変化で区域部を独立して制御することを可能にする。管腔1108及び1109は、室の環状空間、又はハブと連通する開放端部又は障害のない排気を可能にする側壁の貫通穴のいずれかを有するポリイミドのような管の個々の管腔を通しての排気を含む、多様な在来の方法において構成されてよい。
【0050】
一実施形態において、作動手段は、少なくとも二つの本体区域部(すなわち、本体304の一部)に回転可能に連結された制御装置を有し、制御装置320は、管状本体が第二状態に入ることを引き起こすために、本体区域部の間に相対回転力を与えるように形成されている。一実施形態において、二つの本体区域部は、外側層、内側層、及びそれらの間に設けられたねじり応答構造を有している。一実施形態において、例えば、ねじり応答構造は、実質的に筒状の編組構造を具備している。
【0052】
一実施形態において、本体304は、少なくとも一つの内側室と、内側室内に備えられた選択的に固体化可能な材料と、少なくとも一つの内側室に流体的に連結された制御装置とを有している。固体化可能な材料は、例えば、紫外線照射、内側室内への触媒導入、温度変化、水の導入(親水性粒子の場合において)、音波エネルギ(音波活性ポリマーの場合において)、又は電流又は電場(電気活性ポリマーの場合において)に応答して実質的に固体化するように構成されている。
【0053】
図14及び15は、第二状態への移行をもたらすために、選択的に固体化可能な材料を組み込む例示的な実施形態を描いている。
図14に示されたように、本体304は、カテーテル300の剛性計量を共に変えることができる媒体1404(例えば、図示されたように個々の室内の)によって少なくとも部分的に満たされている。この実施形態において、媒体1404は、補助管腔1402を通して注入される。媒体1404は、シリコーン樹脂又はポリウレタンのような比較的素早く硬化する物質であってよい。もし、媒体1404が活性化するために触媒を必要とするならば、この触媒は、本体304の壁部内又はカテーテル300自身の材料内に既に存在させてよい。
【0054】
一実施形態において、媒体1404は、
図15に描かれたように、溶液内に懸濁する粒子の懸濁液である。この場合において、本体304の壁部(又はその中に設けられた膜部材)は、(例えば、室及び/又はカテーテル本体の壁部から)保持液体が逃げることを可能にする一方で粒子自身を閉じ込めるように、選択的に透過性であってよい。これらの粒子が室内に集積して「詰まる」と、それらは、その部分の剛性計量の増加を引き起こす。多様で適切な粒子の材料及び大きさを使用することができる。一実施形態において、粒子は、選択された保持液体において中立浮力を有している。親水性粒子は、水和作用中に膨張し、さらなる拘束及び増大したカテーテル剛性を引き起こすことにおいて有利である。
【0056】
一実施形態において、作動手段は、少なくとも一つの金属構造体を有しており、前記金属構造体は、本体304内に与えられた形状記憶特性を有するとともに、作動源(例えば、制御装置320内に設置された電圧源及び/又は電流源)に連絡可能に連結されている。一実施形態において、形状記憶金属構造体は、Ni及びTiの合金(ニチノール)を含んでいる。
【0058】
記述されたのは、湾曲した人体組織内に挿入され、次いで、選択的に剛性を高められて、所定位置に固定されることができる血管内カテーテルのための方法及び装置である。特定の実施形態において、この剛性は可逆的である。この点に関して、前述の詳細な記述は、単なる現存する実例であり、対象の実施形態又はこのような実施形態の利用及び使用を制限することを意図していない。ここで使用されたように、用語「例示的」は、「例、例示、又は実例として役立つ」ことを意味する。例示的に本明細書に記述された実施は、他の実施を超えて好適で有利であるように解釈されることを必要としない。こうして、幾つかの例示的な実施形態は、前述の記載に示されているが、多数の選択的であるが等価な変更が存在し、本明細書に示された例は、いずれにしても、本発明の範囲、適用、又は形状を制限することを意図しないことが理解されるべきである。反対に、様々な変更が、請求の範囲及び法的な等価物から逸脱しないで本明細書に記述された様々な特徴の機能及び配置になされてよい。
【0059】
専門技術及び工業技術は、機能的及び/又は論理ブロックの構成要素に関して、作動、処理タスク、及び様々なコンピュータ要素及び装置によって実施されるかもしれない機能の象徴的表現を参照して、本明細書に記述されるかもしれない。
【0060】
少なくとも一つの例示的な実施形態が前述の詳細な記載に示されている一方で、多数の変更が存在することが理解されるべきである。例示的な実施形態又は本明細書に記述された実施形態が、いずれにしても、請求された対象の範囲、利用、又は形状を制限することを意図しないことも理解されるべきである。むしろ、前述の詳細な記載は、当業者に、記述された一つ又は複数の実施形態を実施するための便利なロードマップを提供するであろう。様々な変更は、本特許出願の出願時に公知の等価物及び予知可能な等価物を含む請求の範囲によって確定される範囲から逸脱することなく構成要素の機能及び配置になされることができることが理解されるべきである。