特許第6050257号(P6050257)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6050257
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】画像診断装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/08 20060101AFI20161212BHJP
【FI】
   A61B8/08
【請求項の数】13
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2013-553294(P2013-553294)
(86)(22)【出願日】2013年1月9日
(86)【国際出願番号】JP2013050166
(87)【国際公開番号】WO2013105568
(87)【国際公開日】20130718
【審査請求日】2015年12月21日
(31)【優先権主張番号】特願2012-3991(P2012-3991)
(32)【優先日】2012年1月12日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100145735
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 尚隆
(72)【発明者】
【氏名】福永 峻也
(72)【発明者】
【氏名】森 修
(72)【発明者】
【氏名】山田 博胤
【審査官】 右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−181852(JP,A)
【文献】 特開平10−085210(JP,A)
【文献】 T. TABATA et al,Assessment of LV systolic function in atrial fibrillation using an index of preceding cardiac cycles,Am J Physiol Heart Circ Physiol,2001年 8月,vol.281, no.2,pp.H573-580
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者の部位を撮像して画像データを生成する撮像部と、前記生成された画像データを表示する表示部と、被検者の部位の周期的運動である生体信号データを取得する生体信号取得部と、前記生成された画像データと前記取得された生体信号データとを同期して記憶する記憶部と、前記生体信号データを解析して特定信号波形を検出する生体信号解析部と、前記検出された前記特定信号波形間からなる複数の連続する期間同士の時間差又は時間比を基に、各期間同士における前記周期的運動の安定性を示す評価値を算出し、算出された評価値に基づき前記複数の連続する期間から検出期間を前記生体信号解析部に抽出させ、前記記憶部に記憶された画像データのうち、抽出された前記検出期間に生成された画像データを前記記憶部より読み出し、前記読み出された画像データを前記表示部に表示させる制御部を備え、
前記制御部は、前記時間比を用いた場合には、「1」に最も近い評価値、前記時間差を用いた場合には、その時間差の絶対値が最小の評価値に基づいて前記検出期間を前記生体信号解析部に抽出させる、ことを特徴とする画像診断装置。
【請求項2】
被検者の部位を撮像して画像データを生成する撮像部と、前記生成された画像データを表示する表示部と、被検者の部位の周期的運動である生体信号データを取得する生体信号取得部と、前記生成された画像データと前記取得された生体信号データとを同期して記憶する記憶部と、前記生体信号データを解析して特定信号波形を検出する生体信号解析部と、前記検出された前記特定信号波形間からなる複数の連続する期間同士の時間差又は時間比を基に、各期間同士における前記周期的運動の安定性を示す評価値を算出し、算出された評価値に基づき前記複数の連続する期間から検出期間を前記生体信号解析部に抽出させ、前記記憶部に記憶された画像データのうち、抽出された前記検出期間に生成された画像データを前記記憶部より読み出し、前記読み出された画像データを前記表示部に表示させる制御部を備え、
前記制御部は、前記周期的運動が安定しているときに出現する望ましい第一評価値に対する、各期間の評価値の乖離を示す第二評価値を算出し、前記各期間の第二評価値が小さい順にソート処理を行い、ソート処理の結果上位に位置したものから順に前記検出期間を抽出する、又は前記各期間の第二評価値が大きい順にソート処理を行い、ソート処理の結果下位に位置したものから順に前記検出期間を前記生体信号解析部に抽出させる、ことを特徴とする画像診断装置。
【請求項3】
被検者の部位を撮像して画像データを生成する撮像部と、前記生成された画像データを表示する表示部と、被検者の部位の周期的運動である生体信号データを取得する生体信号取得部と、前記生成された画像データと前記取得された生体信号データとを同期して記憶する記憶部と、前記生体信号データを解析して特定信号波形を検出する生体信号解析部と、前記検出された前記特定信号波形間からなる複数の連続する期間同士の時間差又は時間比を基に、各期間同士における前記周期的運動の安定性を示す評価値を算出し、算出された評価値に基づき前記複数の連続する期間から検出期間を前記生体信号解析部に抽出させ、前記記憶部に記憶された画像データのうち、抽出された前記検出期間に生成された画像データを前記記憶部より読み出し、前記読み出された画像データを前記表示部に表示させる制御部を備え、
前記制御部は、前記評価値として、評価値の算出対象となる期間に連続する二つの時間比又は時間差の一方を算出し、前記時間比の場合はその評価値が1に近いものから順に検出期間として前記生体信号解析部に抽出させ、前記時間差の場合はその時間差の絶対値が0に近いものから順に検出期間として前記生体信号解析部に抽出させる、ことを特徴とする画像診断装置。
【請求項4】
前記検出期間として抽出する数を指定する第一指定部を更に備え、前記制御部は、前記時間比を用いた場合には、「1」に最も近い評価値から順に前記指定された数の検出期間を前記生体信号解析部に抽出させ、
前記時間差を用いた場合には、その時間差の絶対値が最小の評価値から順に前記指定された数の検出期間を前記生体信号解析部に抽出させる、ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の画像診断装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記生体信号データを示す生体信号図における前記検出期間を他の期間と識別して前記表示部に表示させる、ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の画像診断装置。
【請求項6】
強調表示をする評価値の範囲を指定する第二指定部を更に備え、
前記制御部は、前記生体信号データを示す生体信号図における前記強調表示をする評価値の範囲に含まれる評価値を示す期間を前記表示部に強調表示させる、ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の画像診断装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記検出期間で取得された画像データに基づく画像を相対的に小さい表示領域内に表示し、最も評価値が良好な検出期間の画像データに基づく画像を前記表示部の相対的に大きい表示領域内に拡大表示する、ことを特徴とする請求項4に記載の画像診断装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記検出期間と、予め定められた第一設定時間及び当該第一設定時間よりも相対的に長い第二設定時間と、を比較し、前記第一設定時間よりも長く前記第二設定時間よりも短い時間の検出期間を前記生体信号解析部に抽出させる、ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の画像診断装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記検出期間の評価値の算出に用いた期間と、予め定められた第一設定時間及び当該第一設定時間よりも相対的に長い第二設定時間と、を比較し、前記第一設定時間よりも長く前記第二設定時間よりも短い時間の期間だけを用いて前記評価値を算出した検出期間を前記生体信号解析部に抽出させる、ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の画像診断装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記生体信号データの全期間と、予め定められた第一設定時間及び当該第一設定時間よりも相対的に長い第二設定時間と、を比較し、前記第一設定時間よりも長く前記第二設定時間よりも短い時間の期間だけを抽出し、当該期間が少なくとも三つ以上連続する期間に基づいて、前記検出期間を前記生体信号解析部に抽出させる、ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の画像診断装置。
【請求項11】
前記生体信号データと前記画像データとを同期して記憶する記憶部を更に備え、
前記制御部は、前記記憶部から読み出した前記生体信号データを基に前記検出期間を前記生体信号解析部に抽出させる、ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の画像診断装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記生体信号取得部からリアルタイムで前記生体信号データを取得して前記検出期間の抽出を前記生体信号解析部に行わせ、前記検出期間の画像を前記表示部に表示させ、前記生体信号解析部に新たな検出期間を抽出させると、前記表示部に当該新たな検出期間に撮像された画像に更新表示を行わせる、ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の画像診断装置。
【請求項13】
前記生体信号取得部は、前記被検者の心電データを取得し、
前記被検者に超音波を送信するとともに反射波を受信して反射エコー信号を生成する超音波探触子と、
前記超音波探触子に対して、超音波を放射させるためのパルス信号を送信するとともに前記反射エコー信号を取得させるための制御を行う超音波送受信部と、
前記反射エコー信号に基づいて超音波画像を生成する超音波画像生成部と、を備え、
前記制御部は、前記超音波送受信部と前記超音波画像生成部を制御し、
前記被検者の部位に前記超音波探触子を当接して、前記被検者の部位の前記検出期間の超音波画像を撮像し、
前記検出期間に撮像された前記超音波画像を前記表示部に表示する、ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の画像診断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像診断装置に係り、特に、被検者の心臓などの周期的運動を行う部位の画像表示技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
医師は、心電波形、脈拍、血圧、心音等の周期的に変化する生体信号と同期して画像診断装置より得られる周期的運動を行う部位の画像を複数サイクル分観察することで、前記周期的運動を行う部位が正常か、罹患状態かを診察する。特に、医師は周期的運動を行う部位が心臓であれば、心臓の運動が正常か、罹患状態か(心機能)を診察する。
【0003】
心機能の計測は、超音波診断装置を用いた例が特許文献1、非特許文献1に開示されている。特許文献1等では、まず、3サイクル連続の心拍に同期して収集された超音波画像データのうち、最も過去の心拍とその次のサイクルの心拍との間の時間を第一心拍時間、前記次のサイクルの心拍とさらに次のサイクル(直近)の心拍との間の時間を第二心拍時間として計測する。次に、第一心拍時間と第二心拍時間との時間差を算出する。次に、算出した時間差が設定された閾値範囲内のときの心拍に同期して収集された超音波画像データをイメージメモリに格納する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平01-181852号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Tomotsugu Tabata,et al.,Assessment of LV systolic functionin atrial fibrillation using an index of preceding cardiac cycles,Am J Physiol Heart Circ Physiol 281:H573-H580,2001
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1等では、前記時間差が閾値範囲を超える場合、超音波画像データがイメージメモリに記憶されない構成となっている。そこで、特許文献1等の超音波診断装置を用いて超音波画像データの収集を常時行うには、検者は手動で、検査の都度、被検者毎に異なる第一心拍時間と第二心拍時間の時間差を観察して、その時間差が閾値範囲内となるように調整をする必要がある。すなわち、特許文献1等の従来技術では、上述したような検者が被検者毎に異なる閾値範囲の手動調整をしなければ、全ての被検者に対して適正に超音波画像データを表示ができないという未解決の問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、検者の閾値範囲の手動調整をしなくとも全ての被検者に対して適正に超音波画像データを表示が行える画像診断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明は、被検者の周期的運動を行う部位(例えば心臓)であって、前記部位を撮像して画像データを生成し、被検者の心拍などの周期的に変化する生体信号データを取得し、取得された生体信号データの特定信号波形を検出し、生成された画像データを前記生体信号データに同期して記憶し、検出された前記特定信号波形間からなる複数の連続する期間同士の時間差又は時間比を基に、各期間同士における前記周期的運動の安定性を示す評価値を算出し、算出された評価値に基づき前記複数の連続する期間から抽出し、前記記憶された画像データから抽出された適合期間に生成された画像データを読み出し、読み出された画像データを表示する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、検者の閾値範囲の手動調整をしなくとも全ての被検者に対して適正に超音波画像データを表示が行える画像診断装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】各実施形態に係る超音波診断装置の構成を示すブロック図
図2】第一実施形態の処理の流れを示すフローチャート
図3】R-R期間の評価値算出処理を示す説明図
図4】第一実施形態に係る心電データの解析処理を示す説明図であって、(a)はシネメモリの先頭にあるデータの処理を示し、(b)は、(a)に続いて実行される処理を示し、(c)は、シネメモリの最後にあるデータの処理を示す。
図5】第一実施形態に係る表示画面の一例を示す模式図
図6】ソート処理を示す説明図
図7】第二実施形態に係る画面表示例を示す模式図
図8】第二実施形態に係る画面表示例を示す模式図
図9】第二実施形態に係る画面表示例を示す模式図
図10】検出期間を抽出してから頻脈、徐脈の検出期間を取り除く処理の流れを示すフローチャート
図11】検出期間を抽出してから頻脈、徐脈の検出期間を取り除く処理を示す説明図であって、(a)は心電データを示し、(b)は検出期間群を示し、(c)は、第一の検出期間選定方法による表示を示し、(d)は、第二の検出期間選定方法による表示を示し、(e)は、第三の検出期間選定方法による表示を示す。
図12】心電データから頻脈、徐脈に該当するR-R期間を取り除いてから検出期間を検出する処理の流れを示すフローチャート
図13】第四実施形態の処理の流れを示すフローチャート
図14】第四実施形態の心電データの表示例を示す模式図であって、(a)は解析開始時の直後の心電データを示し、(b)は、(a)の後にさらに良い評価値になるR1が入力された例を示し、(c)は、最良値1.20と同じ評価値になるR1が入力された例を示し、(d)は、最良値より悪い評価値になるR1が入力された例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。同一機能を有する構成及び同一の処理内容の手順には同一符号を付し、その説明の繰り返しを省略する。本書で説明する各実施形態では、画像診断装置として超音波診断装置を用い、被検者の心機能を画像診断する場合を例に説明するが、画像診断装置は、超音波診断装置に限らず、MRI装置やX線CT装置でもよい。つまり、画像診断装置は、図1に示すように、撮像部20、記憶部6、入力部7、表示部8、生体信号取得部9、生体信号解析部10、制御部11を有していればよい。
【0012】
撮像部20は、超音波診断装置では超音波探触子3、超音波送受信部4、超音波画像生成部5から形成される。各構成要素の詳細な機能の説明は後述する。その他。MRI装置では静磁場発生器、傾斜磁場発生器、送信パルス発生器、受信コイルが撮像部20に相当する。また、X線CT装置ではX線管とX線検出器を回転円盤に取り付けたX線スキャナが撮像部20に相当する。また、心臓の周期的運動(拍動)に由来する生体信号として、心電図を用いるが、脈拍、血圧、心音等でもよい。
【0013】
まず、図1に基づいて、各実施形態に係る超音波診断装置の構成について説明する。図1は、本書で説明する各実施形態に係る超音波診断装置の構成を示すブロック図である。
【0014】
図1に示すように、超音波診断装置1は、超音波探触子3と、超音波送受信部4と、超音波画像生成部5と、記憶部6と、入力部7と、表示部8と、生体信号取得部9と、生体信号解析部10と、制御部11と、システムバス12と、を備え、これら超音波探触子3、超音波送受信部4、超音波画像生成部5、記憶部6、入力部7、表示部8、生体信号取得部9、生体信号解析部10、及び制御部11は、システムバス12により互いに接続されている。
【0015】
超音波探触子3は、圧電体で代表される振動子素子をアレイ状に配列して構成され、被検者2に当接させて超音波の送信をするとともに、被検者内で反射した反射波を受信して反射エコー信号を生成する。超音波探触子3には、リニア型、コンベックス型、セクタ型等の走査方法をもつものを適用することができる。
【0016】
超音波送受信部4は、制御部11から送受信する超音波信号のパワーやタイミングの情報を受け取り、超音波探触子3に対して、超音波を放射させるためのパルス信号を送信するとともに所定の反射エコー信号を取得させるための制御を行う。そして、超音波探触子3により受信された反射エコー信号を超音波画像生成部5に出力する。
【0017】
超音波画像生成部5は、超音波送受信部4から入力される反射エコー信号を整相回路や増幅回路に通し、更に制御部11から与えられる撮像設定に従って信号処理する。そして、整形された反射エコー信号に基づいて、例えば、被検者2の生体組織の断層画像、ドプラ計測に基づく血流画像及び血流速度画像、組織ドプラ画像等の超音波画像データを生成する。
【0018】
記憶部6には、超音波画像生成部5で生成された超音波画像データ、及び生体信号取得部9で取得された生体信号データが、制御部11により同期処理をされて記憶される。また、記憶部6には、超音波診断装置1を構成する各部の機能を実現するプログラムが格納されている。例えば、生体信号解析部10にて実行される生体信号解析の演算アルゴリズムが記憶されている。
【0019】
入力部7は、超音波診断装置1の各種操作を行う検者が使用するインターフェースであり、例えばキーボード、トラックボール、スイッチ、ダイヤル等の入力機器が備えられている。入力部7は、例えば、表示部8の表示画面に表示された超音波画像上で生体組織の計測設定を行ったり、再生画像の現在時相や期間を移動させたりするために用いられる。
【0020】
表示部8は、生体信号や超音波画像を画面に表示する。
【0021】
生体信号取得部9は、被検者2の生体信号を取得して、生体信号データに変換して記憶部6に格納する。また、リアルタイムで動作させるときには、生体信号解析部10に生体信号データを直接出力する。各実施形態では、心電計は、超音波診断装置1と独立して構成され、生体信号取得部9は、その心電計と電気的に接続され、この心電計から心電データを受信する超音波診断装置1のインターフェースとして構成するが、生体信号取得部9は、超音波診断装置1と電気的に接続された心電計として構成されても良い。
【0022】
生体信号解析部10は、記憶部6から読み出した生体信号データ、又は生体信号取得部9から入力される生体信号データに基づいて、特定信号波形を検出する。各実施形態では、特定信号波形として心電波形に含まれるR波を検出する。そして、生体信号解析部10は、隣合うR波間の心電波形(以下「R-R期間」、又は単に「期間」という)の時間を算出する。
【0023】
次いで、評価対象の期間に、先行して連続する二つの期間比又は時間差を算出して、この時間比又は時間差を用いた評価値を算出する。ここでは、時間比又は時間差を用いた指標値ともいうが、下記では、「評価値」という用語を用いて説明する。そしてこの評価値を用いて、評価対象の期間を検査対象とする期間(以下「検出期間」という)とすべきか否かを判定する。また、R-R期間または検出期間が、頻脈、徐脈のいずれかに該当するか否かの判定も行う。上記検出期間の抽出処理、及び頻脈徐脈判定処理の詳細については後述する。
【0024】
制御部11はCPU等の演算・制御装置を備えて構成され、超音波診断装置1の全体を制御する。各実施形態では、生体信号データと超音波計測データとの同期制御を行い、これら生体信号データと超音波計測データを同期させて記憶部6に記憶する制御を行う。また、表示部8、生体信号取得部9、及び生体信号解析部10に係る一連の処理の同期も制御する。
【0025】
システムバス12は、各構成要素間でのデータのやり取りを行うバスである。
【0026】
なお図1では図示をしないものの、超音波送受信部4から出力される反射エコー信号を用いて、血流状態、血流速度、弁輪の速さ、心房の容積、心壁の動き等々の心機能に係る計測データを演算により求める計測演算部を更に備えてもよい。この場合、超音波送受信部4は、超音波画像生成部5及び計測演算部に反射エコー信号を出力する。計測演算部の演算プログラムは、記憶部6に記憶しておいてもよい。
【0027】
<第一実施形態>
第一実施形態は、解析対象とする心電データを予め記憶部6に記憶してから解析処理する、いわゆるオフライン処理の例であり被検者毎の画像診断に最適な検出期間を一つ表示する実施形態である。すなわち、生体信号データと超音波画像データとを同期して記憶部6に記憶し、生体信号解析部10は、記憶部6から読み出した生体信号データを基に前記検出期間を抽出する。
【0028】
以下、図2乃至図5に基づいて第一実施形態について説明する。図2は、第一実施形態の処理の流れを示すフローチャートである。図3は、R-R期間の評価値算出処理を示す説明図である。図4は、第一実施形態に係る心電データの解析処理を示す説明図であって、(a)はシネメモリの先頭にあるデータの処理を示し、(b)は、(a)に続いて実行される処理を示し、(c)は、シネメモリの最後にあるデータの処理を示す。図5は、第一実施形態に係る表示画面の一例を示す模式図である。以下、図2の各ステップ順に沿って説明する。
【0029】
(ステップS101)
検者は、被検者2に心電計(生体信号取得部9)を装着し心電データを計測するとともに、超音波探触子3を被検者2の胸部に当接して所定の撮像条件の超音波を送受信して超音波計測を行う。超音波画像生成部5は、超音波送受信部4が出力した反射エコー信号を基に、超音波画像データやドプラ計測データを含む超音波計測データを生成する。制御部11は、心電データと超音波計測データとを同期させて記憶部6に記憶する(S101)。このとき、表示部8の表示画面には、例えば、心電波形図と超音波画像の動画とが表示される。
【0030】
(ステップS102)
次いで、検者が入力部7からフリーズ操作を行うと、表示部8の表示画面への描出が停止される(S102)。第一実施形態は、オフライン処理で心機能の解析を行うので、記憶部6による心電データと超音波計測データとを同期させて記憶する処理は、本ステップで終了する。そして、ステップS103以降では、記憶部6に記憶された心電データ及び超音波計測データを基に、心機能の解析を行う。
【0031】
(ステップS103)
生体信号解析部10は、記憶部6に記憶された心電データを読み出す(S103)。
【0032】
(ステップS104)
生体信号解析部10は、心電データの解析を開始する(S104)。生体解析部10が検出する特定信号波形として、心電波形のR波を検出対象として設定する。R波の検出は、心電波形のパターンマッチングなどの公知の手法によって行う。
【0033】
続いて生体信号解析部10は、各R-R期間の評価値を算出する。第一実施形態では、各R-R期間の評価値として、評価値の算出対象となる期間に連続する二つの期間比を算出し、その評価値が1に近いものから順に検出期間として抽出する。図3を用いて、評価値の算出処理を具体的に説明する。図3の心電データにおいて、R1-R0(図3における実線で描出した期間)で示されるR-R期間の評価値は、R1-R0に連続して先行する二つの期間、R2-R1とR3-R2との時間比、すなわち(R2-R1期間/R3-R2期間)を用いる。この評価値がほぼ「1」である場合、R2-R1とR3-R2との時間はほぼ同じということになり、R1-R0は、連続して安定した2心拍の直後の心拍となり、心機能計測に適した期間と評価する。
【0034】
そこで、本ステップでは、生体信号解析部10は、図4の(a)のように、シネメモリの先頭から処理を開始する。生体信号解析部10は、シネメモリの心電データから、R6、R5、R4、の順にR波の検出を行い、R6の検出後、R5を検出すると、R6-R5期間を算出する。続いて、R5の検出後、R4を検出すると、R5-R4期間を算出する。そして、R4に隣接するR3を検出すると、(R5-R4期間/R6-R5期間)の演算を行い、この結果をR4-R3期間の評価値として記憶する。この場合、R6-R5期間及びR5-R4期間の評価値は算出されない。
【0035】
次に、図4の(b)のように、R3に隣接するR2が検出されると、(R4-R3期間/R5-R4期間)の演算を行い、この結果をR3-R2期間の評価値として記憶する。この演算を繰り返し、図4の(c)に示すように、シネメモリの最後のR波であるR1を検出し、R2-R1の評価値(R3-R2期間/R4-R3期間)まで算出する。
【0036】
上記R波の検出及び評価値の算出・記憶は、図4の(c)、(b)、(a)のように、シネメモリの最後から先頭の順に行ってもよい。また隣接する2心拍でなく、3心拍、4心拍と増やしてもよい。3以上の心拍を用いた評価値の算出は、各2心拍で算出した評価値を累積する方法を用いてもよい。例えば、隣接する3心拍の時間比を用いて評価値を算出する場合には、下式(1)により、3心拍のうち、隣接する心拍を用いた評価値1、評価値2を算出し、それらの評価値の累積値を、3心拍を用いた評価値として算出してもよい。
【0037】
評価値1=|(先行R-R)/(先々行R-R)−1|
評価値2=|(先々行R-R)/(先々々行R-R)−1|
評価値=評価値1+評価値2 式(1)
上記の場合、0が最適な評価値となる。
【0038】
図4を例に挙げると、
R3-R2期間の評価値=|(R4-R3期間)/(R5-R4期間)-1|+|(R5-R4期間)/(R6-R5期間)-1|
となる。
【0039】
また、他の評価値として、評価値の算出対象となる期間に連続する二つの期間差を算出し、その時間差の絶対値が0に近いものから順に検出期間として抽出してもよい。
例えば、隣接する3心拍の時間差を用いて評価値を算出する場合には、下式(2)により、3心拍のうち、隣接する心拍を用いた評価値1、評価値2を算出し、それらの評価値の累積値を、3心拍を用いた評価値として算出してもよい。
【0040】
評価値1=|(先行R-R)(先々行R-R)|
評価値2=|(先々行R-R)(先々々行R-R)|
評価値=評価値1+評価値2 式(2)
上記の場合も、0が最適な評価値となる。
【0041】
図4を例に挙げると、
R3-R2期間の評価値=|(R4-R3期間)-(R5-R4期間)|+|(R5-R4期間)-(R6-R5期間)|
となる。
【0042】
隣接する2つの期間を比較して、ほぼ同等であれば、脈が整で安定していると評価できる。一方、差が大きければ脈が不整であると評価できる。よって、そのため隣接する全てのR-R期間を解析すれば、シネメモリの中で最も良い評価値が判明する。
【0043】
(ステップS105)
生体信号解析部10は、ステップS104で算出された全ての評価値の中から最も良い評価値(最良値)を検索し、最良値を持つ期間だけを検出期間として抽出する(S105)。本書で定義する最良値とは、評価値として時間比(R-R比)を用いた場合には、「1」に最も近い評価値を称し、評価値として時間差、例えば図4の(a)において、R4-R3期間の評価値を{(R5-R4期間)-(R6-R5期間)}で求めた場合には、その時間差の絶対値が最小のものを称する。生体信号解析部10は、最良値を抽出する。
【0044】
なお、評価値の計算方法や評価値の四捨五入等の理由から、複数の期間が同じ評価値になることがある。このような場合は最良値を持った期間全てを検出結果として表示してもよいし、シネメモリ内での最新の期間のみを検出期間としてもよい。更に評価値として、時間比と時間差との複数の評価値を用い、これら複数の評価値を組み合わせた場合に、総合的に最良値になった期間1つだけを残すようにしてもよい。
【0045】
(ステップS106)
表示部8は、検出結果を示す画面を表示する(S106)。
【0046】
検出結果を示す画面表示例として、例えば図5では、表示画面201に、心電データ解析対象となった範囲の心電波形204が表示される。心電波形204上で、最良値を持つと検出されたR-R期間205は実線で示し、それ以外の期間は点線で示される。すなわち、表示部8は、生体信号データ(心電データに相当)を示す生体信号図(心電波形204に相当)における検出期間を他の期間と識別して表示する。
【0047】
表示部8は、表示画面201に、詳細情報としてシネメモリ内で最も評価値が良好なもの(以下「最良値」という)である「BEST 1.10」206と、最良値を持つ期間の数である「検出期間数:2」207とを表示する。これにより、表示された最良値の値や検出期間数が好ましくなければ、シネメモリを遡って最良値の値や検出期間数を確認することなく、生体信号の取り直しの判断が行え、手技の効率化に寄与できる。
【0048】
また、表示画面201には、心臓の断層画像である超音波画像202が表示される。この超音波画像202は、心電波形204に表示された時相バー203の時間軸位置における心臓の断層画像である。つまり、時相バー203は、現在再生されている超音波画像202の心電波形上の時相を示している。なお、表示画面201の初期状態では、時相バー203が検出期間205上を位置するようにしてもよい。これにより、最良値を示す検出期間の超音波画像を初期表示することができる。この超音波画像202の表示制御は、表示部8が、時相バー203の時相における超音波画像を記憶部6から読み出して表示することにより実現される。
【0049】
以上、第一実施形態に係る画像診断装置は、被検者2の部位を撮像して画像データを生成する撮像部20と、被検者2の部位の周期的運動である生体信号データを取得する生体信号取得部9と前記生成された画像データと前記取得された生体信号データとを同期して記憶する記憶部6と、前記生体信号データを解析して特定信号波形を検出する生体信号解析部10と、前記検出された前記特定信号波形間からなる複数の連続する期間同士の時間差又は時間比を基に、各期間同士における前記周期的運動の安定性を示す評価値を算出し、算出された評価値に基づき前記複数の連続する期間から抽出し、前記記憶部6に記憶された画像データのうち、抽出された適合期間に生成された画像データを前記記憶部6より読み読み出す制御部11と、前記読み出された画像データを表示する表示部8とを備えるため、検者の閾値範囲の手動調整をしなくとも全ての被検者に対して適正に超音波画像データを表示ができる。



【0050】
また、第一実施形態では、生体信号解析部は、評価値が最良のものを検出期間として抽出する。これにより、検者が一番関心のある最良値及び検出期間をすばやく見つけることが出来る。また、最良値は、各被検者の生体信号を基に算出され、特定の閾値範囲との比較により抽出されるものではないので、各被検者の症状の如何を問わず、その被検者における最良値を算出・表示することができ、最良値が全く表示されないと言った不具合を回避することができる。
【0051】
<第二実施形態>
第二実施形態は、第一実施形態と同様、いわゆるオフライン処理の例であるが、第一実施形態が最良値をもつ期間のみを検出期間として表示した実施形態であるのに対し、第二実施形態は、検出結果として残す検出期間の数を指定する点に特徴がある。第二実施形態のメリットは、例えば、最良値の期間を検出しても、記憶部6に保存されている超音波画像が不整脈の影響で乱れていたりすると心機能の計測に使用できない場合に、他の検出期間の超音波画像を用いて心機能の計測ができる点、及び一般的に不整脈では複数の心拍での計測結果を平均することが推奨されていることから、不整脈の被検者に対する心機能の計測の利便性が向上する点がある。
【0052】
以下、図6乃至図9に基づいて第二実施形態について説明する。図6は、ソート処理を示す説明図である。図7は第二実施形態に係る画面表示例を示す模式図である。図8は第二実施形態に係る画面表示例を示す模式図である。図9は第二実施形態に係る画面表示例を示す模式図である。また、第二実施形態の処理の流れは第一実施形態の処理の流れと同様であるので、図2を流用し、異なる点についてのみ説明する。以下、図2のステップ順に沿って説明する。
【0053】
図2のステップS101からステップS104は、第一実施形態と同様の処理を行う。
ステップS104が終了すると、シネメモリ内に存在する心電データから全期間の評価値が算出・記憶されている。ここで、生体信号解析部10は、次のステップで実行するソート処理のための第二評価値を算出する。生体信号解析部10は、周期的運動が安定しているときに出現する評価値(以下「望ましい評価値」という)に対する各期間の評価値の乖離を示す第二評価値を算出する。例えば、評価値がR-R比の場合には、「望ましい評価値」は「1」であるため、(各評価値-1)の絶対値を第二評価値として求め、各評価値とその評価値に対応する第二評価値とを対応付けて算出・記憶する。なお、上記「望ましい評価値」は、評価値として時間比(R-R比)を用いた場合には「1」であり、評価値として時間差の場合には「0」である。
【0054】
そこでステップS105において、生体信号解析部10は、各期間の第二評価値が小さい順にソート処理を行い、ソート処理の結果、上位に位置したものから順に指定された検出期間数分の検出期間を抽出する(S105)。そして、表示部8が、検出結果の表示を行う(S106)。
【0055】
第二実施形態では、検出期間として抽出する数を指定する第一指定部を備える。第一指定部は、例えば検者が表示部8の画面上で事前にプリセットしたり、検出結果を一旦表示した後に、検者が入力部7を操作して、検出期間数の変更指定をしたりするように構成される。検出期間数の指定操作が行われると、即時表示画面上に反映されるようにしておけば更に利便性が高まる。なお、検出期間数を1に指定すると、第一実施形態における最良値の検出のためのソート処理として有用である。なお、ソート処理は、第二評価値が大きい順にソート処理を行い、ソート処理の結果、下位に位置したものから順に指定された検出期間数分の検出期間を抽出してもよい。
【0056】
図6にソート処理の具体例を示す。ステップS104の解析の結果、図6の表60のようにR-R比を用いた評価値と、各評価値に対応する第二評価値(|評価値-1|)と、が算出されたとする。生体信号解析部10は、第二評価値に対して最良順にソート処理を行う。表61は、ソート結果を示す。指定する検出期間数が、例えば3だった場合、表61の「|評価値-1|」の上位3つを検出結果とする。その結果、検出期間の評価値の範囲は、下限値と上限値とから0.9〜1.1と算出できる。
【0057】
図7に画面表示例の一つを示す。この例では「検出期間数」を3に指定している。図7の表示画面201aは、「検出期間数」欄207と、検出された評価値の範囲である「検出評価値」欄209とが表示される。またステップS104で算出された全R-R期間の評価値の範囲を示す「全期間評価値」欄210も表示される。表示画面201aにおける表示画面201と同様の表示内容については、同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0058】
不整脈ではない被検者の場合、検出期間の評価値の範囲(「検出評価値」209)や全R-R期間の評価値の範囲(「全期間評価値」210)の範囲は1.0近辺に集中する(例えば0.99〜1.01といった結果になる)が、不整脈の重症度が高くなるにつれ、これらの範囲は次第に広がっていく。そのため検出期間の評価値の範囲(「検出評価値」209)や全R-R期間の評価値の範囲(「全期間評価値」210)を表示することによって、被検者の不整脈の重症度がひと目で判断できるというメリットがある。また、検者が、これらの値を参考に、再度心電データを取り直す必要があるか否かを判断することができる。
【0059】
次に、図8に基づいて、第二実施形態の別の画面表示例について説明する。この例では、検者が検出期間の数と強調表示する評価値の範囲とを設定できるものとする。これらの設定は、図8の画面上の「検出期間数」欄207及び強調表示する評価位置の範囲を示す「強調表示範囲」欄211の数値を入力設定することで行える。すなわち、この例では、超音波診断装置は、強調表示をする評価値の範囲を指定する第二指定部を更に備え、表示部8は、生体信号データ(上記心電データに相当)を示す生体信号図(心電波形204に相当)における強調表示をする評価値の範囲に含まれる評価値を示す期間を強調表示する。
【0060】
図8では、「検出期間数」欄207において、検出期間数を「3」と設定すると、評価値のうち上位3つが表示される。また、「強調表示範囲」欄211において、「1±0.1」と入力すると、評価値が0.9〜1.1に含まれるものが強調表示されるように設定できる。そのため、心電波形204において、3つの検出期間205a、205b、及び212が他の期間とは区別して表示されるが、3つの検出期間のうち、強調表示をする評価値範囲に属する検出期間205a(評価値1.1)、205b(評価値1.0)は、特に強調表示され(心電波形204では実線で描出)、検出期間212(評価値0.8)は強調表示されない(心電波形204では相対的に大きな破線で描出)。強調表示は、心電波形204の色や太さを変えたり、該当期間にオブジェクトを重ねたりすることにより行ってもよい。
【0061】
更に、図8の表示画面201bでは、検出された評価値の範囲である「検出評価値範囲」欄209及び全R-R期間の評価値の範囲である「全期間評価値」欄210も表示する。
【0062】
図8の画面表示例によれば、被検者における最良値から複数の検出期間を表示できるというメリットを残した上で、更に検者が差別化して表示したい評価値の範囲を指定することができる。
【0063】
この強調表示により、検者はまず自分が指定した評価値範囲内の検出結果205a、205bで心機能の計測を行い、検出されたが指定範囲外の期間212は参考する程度に留める、といった利用が出来るようになりより使い勝手が向上する。図8の例では、検者が強調表示の範囲を1±x(xは任意の数値)の形で表したが、上限値と下限値を設定できるようにしてもよい。
【0064】
次に、図9に基づいて、第二実施形態の別の画面表示例について説明する。この例では、検出期間数を設定し、検出期間の超音波画像を相対的に小さな画面で並べて表示するとともに、最良値の検出期間の超音波画像を拡大表示する。
【0065】
図9は、「検出期間数」欄207において、検出期間数が「3」と設定されている。生体信号解析部10は、心電データのうち、評価値が上位3つの検出期間を抽出する。表示部8は、その検出期間に対応する超音波画像を記憶部6から読み出し、図8の表示画面201cの下部に並べて表示する。超音波画像212a、212b、212cは、小画面を用いて表示された各検出期間の超音波画像である。また、表示部8は、その検出期間のうち、最良値の検出期間の超音波画像212aを拡大した拡大超音波画像202も表示する。最良値の検出期間の超音波画像212a、202は、他の超音波画像212b、212cと差別化して表示してもよい(図9では、太い枠を用いて描出する)。
【0066】
検者が入力部6を用いて、小画面の超音波画像212b、212cを拡大超音波画像202の表示領域にドラッグアンドドロップすると、ドロップされた小画面内の超音波画像が拡大超音波画像202に更新表示される。
【0067】
以上、第二実施形態に係る画像診断装置は、第一実施形態の効果に加え、第二実施形態の特有の効果を有する。
【0068】
つまり、図9の例では、表示部8は、検出期間で取得された画像データに基づく画像(超音波画像)を相対的に小さい表示領域内に表示し(超音波画像212a、212b、212cに相当)、最も評価値が良好な検出期間の画像データに基づく画像(拡大超音波画像202に相当)を相対的に大きい表示領域内に拡大表示するので、被検者における最良値から複数の検出期間を表示できるというメリットを残した上で、更にその検出期間の超音波画像を確認できる。よって、超音波画像を用いた心機能の計測作業に移行しやすくなる。
【0069】
なお、図9の例に、図8の強調表示をする評価値範囲の指定を組み合わせてもよい。この場合、最良値の強調表示に代えて、強調表示をする評価値範囲内の超音波画像を強調表示してもよい。
【0070】
<第三実施形態>
第三実施形態は、一般的に心機能計測に利用されない頻脈や徐脈を除いて検出期間を抽出する実施形態である。第三実施形態は、第一実施形態及び第二実施形態と併用して利用してもよい。
【0071】
処理に先立ち、生体信号解析部10に頻脈と判断するR-R期間(1心拍の期間時間(秒)に相当する。)と、徐脈と判断するR-R期間と、をプリセットする。
【0072】
この値は検者が設定できるようにしてもよい。またこの頻脈及び徐脈は、上記R-R期間の他、心拍数で指定してもよい。
【0073】
頻脈、徐脈の判定手段として心拍数を用いる場合には、1心拍あたりの時間に変換して使用する。例えば、1分間の心拍数が100以上の場合を頻脈と定義すると、1心拍あたりの時間:60(秒)/100(回)=0.6(秒)の計算により、心拍数をR-R時間(1期間)に変換し、R-R時間が0.6(秒)以下の期間は頻脈と判定する。また、1分間の心拍数が40以下の場合を徐脈と定義すると、1心拍あたりの時間:60(秒)/40(回)=1.5(秒)の計算により、心拍数をR-R時間に変換し、R-R時間が1.5(秒)以上の期間は徐脈と判定する。
【0074】
第三実施形態には、(1)検出期間を抽出してから頻脈、徐脈の検出期間を取り除く態様と、(2)心電データから頻脈、徐脈を取り除いてから検出期間を抽出する態様と、の二通りがある。以下、それぞれの態様について順に説明する。
【0075】
(1)検出期間を抽出してから頻脈、徐脈の検出期間を取り除く態様
図10図11を基に、(1)の態様について説明する。図10は、検出期間を抽出してから頻脈、徐脈の検出期間を取り除く処理の流れを示すフローチャートである。図11は、検出期間を抽出してから頻脈、徐脈の検出期間を取り除く処理を示す説明図であって、(a)は心電データを示し、(b)は検出期間群を示し、(c)は、第一の検出期間選定方法による表示を示し、(d)は、第二の検出期間選定方法による表示を示し、(e)は、第三の検出期間選定方法による表示を示す。
【0076】
図10において、ステップS101〜S105は第一実施形態のステップS101〜S105と同じであるので説明を省略する。
【0077】
(ステップS301、S302)
生体信号解析部10は、ステップS105で検出された検出期間から、頻脈及び徐脈に該当する検出期間を選定する。そして、選定された検出期間を取り除くことで、頻脈でもなく、かつ徐脈でもない範囲に含まれる検出期間のみを残す(S301)。そして、表示部8は、残った検出期間のみを表示する(S302)。
【0078】
図11を基に、頻脈・徐脈の判定処理について説明する。図11の(a)の心電データが入力されたとする。各R-R期間の下の数値は、各期間を示す。そして、図11の(b)に示すように、検出期間としてR4-R3及びR2-R1が検出されたとする。(図11の(b)の実線の期間が検出期間である)。図11の(b)の検出期間であるR4-R3及びR2-R1に対し、頻脈、徐脈を考慮して検出期間を選定する方法として以下の3つの方法がある。
【0079】
(1-1)第一の検出期間選定方法:検出期間と、頻脈、徐脈のR-R期間と、を比較する方法
生体信号解析部10は、検出期間と、事前に設定された頻脈、徐脈時のR-R期間とを比較する。そして、検出期間が、頻脈と指定されたR-R時間、上記の例では0.6(秒)以下の場合には頻脈と判定する。また、検出期間が、徐脈と指定されたR-R時間、上記の例では1.5(秒)以上の場合には徐脈と判定する。そして、頻脈または徐脈と判定された検出期間を除外する。図11では、R4-R3が0.4秒であるので頻脈と判定され取り除かれる(第一設定時間0.6以下のため「頻脈」と判定されて取り除かれる)。
【0080】
その結果、ステップS302では、図11の(c)に示すようにR2-R1のみが検出期間として表示される。上記(1-1)の方法によれば、生体信号解析部10は、検出期間と、予め定められた第一設定時間(頻脈時のR-R時間である0.6秒)及び第二設定時間(徐脈時のR-R時間である1.5秒)と、を比較し、第一設定時間よりも長く第二設定時間よりも短い時間の検出期間を抽出するので、検出期間が頻脈、徐脈に該当するという不具合が生じなくなる。
【0081】
(1-2)第二の検出期間選定方法:検出期間の評価値の算出に用いたR-R期間と、頻脈、徐脈のR-R期間と、を比較する方法
生体信号解析部10は、検出期間の評価値の算出に用いたR-R期間が頻脈か徐脈の何れかに該当しないかを判定し、どちらか一つでも頻脈か徐脈に該当すると、その検出期間を取り除く。これにより、頻脈や徐脈が含まれているR-R期間を用いて生体解析をした結果、検出された検出期間を取り除くことができる。図11の(b)では、R2-R1は、R3-R2とR4-R3との比を用いた評価値が良好だったため検出期間として検出されたが、R3-R2及びR4-R3は、共に0.4sであるので、生体信号解析部10は、R3-R2及びR4-R3を頻脈と判定する。そして、R3-R2及びR4-R3から評価値を算出したR2-R1を検出期間から除く。その結果、図10のステップS302の表示処理では、図11の(d)に示すように、R4-R3だけが検出結果として表示される。上記(1-2)の方法によれば、生体信号解析部10は、検出期間の評価値の算出に用いた期間と、予め定められた第一設定時間及び第二設定時間と、を比較し、第一設定時間よりも長く第二設定時間よりも短い時間の期間だけを用いて評価値を算出した検出期間を抽出するので、頻脈、徐脈の影響をうけた検出期間が抽出されると言った不具合が生じなくなる。
【0082】
(1-3)第三の検出期間選定方法:第一、第二の検出期間選定方法を組み合わせる方法
生体構造解析部10は、検出期間、及びその検出期間の評価値算出に用いたR-R期間の何れかに頻脈又は徐脈が含まれないかを判定し、それらの何れかに頻脈又は徐脈が含まれている場合には、その検出期間を除く。
【0083】
例えば、図11の(b)の場合、検出期間として、R2-R1及びR4-R3が検出されているが、R4-R3は0.4秒で頻脈であるため除かれる。また、R2-R1は、その生体信号解析に利用したR3-R2及びR4-R3が頻脈であるため除かれる。その結果、図10のステップS302の表示処理では、図11の(e)に示すように、検出期間はないものとして表示される。
【0084】
(2)心電データから頻脈、徐脈を取り除いてから検出期間を抽出する態様
図12を基に(2)の態様について説明する。図12は、心電データから頻脈、徐脈に該当するR-R期間を取り除いてから検出期間を検出する処理の流れを示すフローチャートである。
【0085】
図12において、ステップS101〜S103は第一実施形態のステップS101〜S103と同じであるので説明を省略する。
【0086】
(ステップS303)
生体信号解析部10は、心電データから特定波形信号であるR波を抽出する。そして、心電データの全R-R期間が、頻脈又は徐脈に該当しないかを判定し、頻脈又は徐脈に該当する期間を除く(S303)。例えば上記の例では、R-R期間が0.6秒以下又は1.5秒以上の期間を除く(次の心電データの解析対象としない)。
【0087】
(ステップS304)
生体信号解析部10は、ステップS303で頻脈及び徐脈に該当する期間を除いた残りの各R-R期間の評価値を算出する(S304)。心電データからは、頻脈、徐脈のR-R期間が取り除かれているため、残っているR-R期間のうち、連続している三つのR-R期間のうち、先行の二つのR-R期間比を用いて、連続する三つのR-R期間のうちの最後のR-R期間の評価値を求める。
【0088】
(ステップS105、S302)
生体信号解析部10は、第一実施形態のS105と同様、評価値を基に検出期間を検出し(S105)、図10のステップS302と同様、その検出結果を表示する(S302)。
【0089】
(2)の態様によれば、生体信号データ(上記心電データに相当)の全期間と、予め定められた第一設定時間及び第二設定時間と、を比較し、第一設定時間よりも長く第二設定時間よりも短い時間の期間だけを抽出し、当該期間が少なくとも三つ以上連続する期間に基づいて検出期間を抽出することにより、心電データの解析前に頻脈及び徐脈の期間が取り除かれる。よって、頻脈及び徐脈を用いた評価値の計算の必要がなくなり、処理の低減に繋がる。
【0090】
以上、第三実施形態に係る画像診断装置は、第一実施形態の効果に加え、第三実施形態の特有の効果を有する。
【0091】
なお、第三実施形態では、時間比又は時間差を用いた評価値の算出を例に説明をしたが、他の評価値算出のアルゴリズムを用いて検出期間を抽出する場合にも、本発明を適用することができる。例えば、評価値算出のアルゴリズムとして、連続する心電波形の形状マッチングを用いても良い。この場合に、心電波形の形状マッチングは、時間差や時間比を用いて評価値を演算する方式に比べて処理時間が長くなる傾向があるので、第三実施形態のように、頻脈及び徐脈の期間を取り除いてから検出期間を抽出することにより、演算対象となる期間が減り、処理時間の短縮化(高速化)により効果的である。
【0092】
<第四実施形態>
第四実施形態は、解析対象とする心電データが記憶部6内に逐次記憶されていくと同時に解析処理する実施形態である。つまり、いわゆるリアルタイム処理の例である。より詳しくは、第四実施形態では、生体信号解析部10は、生体信号取得部9からリアルタイムで生体信号データを取得して検出期間の抽出を行い、表示部8は、新たな検出期間に撮像された画像に更新表示を行う。
【0093】
以下、図13図14に基づいて第四実施形態について説明する。図13は、第四実施形態の処理の流れを示すフローチャートである。図14は、第四実施形態の心電データの表示例を示す模式図であって、(a)は解析開始時の直後の心電データを示し、(b)は、(a)の後にさらに良い評価値になるR1が入力された例を示し、(c)は、最良値1.20と同じ評価値になるR1が入力された例を示し、(d)は、最良値より悪い評価値になるR1が入力された例を示す。以下、図13の各ステップ順に沿って説明する。
【0094】
(ステップS401)
検者は、被検者2に心電計を装着し心電データを計測するとともに、超音波探触子3を被検者2の胸部に当接して所定の撮像条件の超音波を送受信して超音波計測を行う。超音波画像生成部5は、超音波送受信部4が受信した反射エコー信号を基に、超音波画像データやドプラ計測データを含む超音波計測データを生成する。記憶部6は、心電データと超音波計測データとを同期させて記憶する(S401)。表示部8の表示画面には、心電波形図と超音波画像の動画とが、表示される(S401)。
【0095】
(ステップS402)
生体信号解析部10は、順次入力される心電データの解析を行う(S402)。すなわち、生体信号解析部10は、記憶部6に記憶された最新の2つのR-R期間を用いた評価値を算出する(S402)。
【0096】
(ステップS403)
生体信号解析部10は、ステップS402で算出した評価値が、最良値を更新する否かを判定する(S403)。「Yes」であればステップS404へ進み、「No」で有ればステップS401へ戻り、心電データの取得を続行する。最初に求められた評価値は最良値となるので、S401からS403の初回のループでは、「Yes」に進む。次のループからは、記憶された最良値と、直前のステップS402で求まった評価値とを比較する。
【0097】
(ステップS404)
表示部8は、第一実施形態と同様、図5のように、最良値206や検出した期間数207といった心電データに関する情報を表示画面201上に表示する(S404)。
【0098】
(ステップS405)
入力部7からのフリーズ指令の有無が判断され、「Yes」であればステップS406へ進み、「No」で有ればステップS401へ戻り、心電データの取得を続行する。
【0099】
(ステップS406)
新しい心電データの記憶部6への記憶が停止され、生体信号解析部10の処理を終了する(S406)。
【0100】
図14に基づいて、第四実施形態の処理中の表示について説明する。図14の(a)は、解析開始時の直後の心電データを示す。解析開始時の最初の2心拍R4-R3とR3-R2との比較から算出した評価値は、その時点での最良値なので、図14の(a)のように、R3-R2、R4-R3の比からなる評価値を、最良値表示欄206に「BEST:1.20」として表示する。また、解析開始からの心電データにおいて、同じ評価値を持つ検出期間の数を「検出期間数」欄207に表示する。図14の(a)は、解析直後なので「1」になる。
【0101】
図14の(b)は、図14の(a)の後に、さらに良い評価値になるR1が入力された例である。次のR2-R1とR3-R2との比較から算出した評価値が、その時点での最良値である1.20より更に良い結果である1.10だった場合、表示している最良値を新しい評価値に更新する。よって、最良値表示欄206には「BEST:1.10」と表示される。「検出期間数」欄207は、最良値1.10の検出期間数である「1」が表示される。
【0102】
図14の(c)は、図14の(a)の後に、最良値1.20と同じ評価値になるR1が入力された例である。次のR2-R1とR3-R2との比較から算出した評価値が、その時点での最良値である1.20と同じ値になった場合、最良値1.20は更新せず、「検出期間数」欄207を、「2」に更新表示する。
【0103】
図14の(d)は、図14の(a)の後に、最良値より悪い評価値になるR1が入力された例である。次のR2-R1とR3-R2との比較から算出した評価値が、その時点での最良値である1.20より悪い場合、最良値も検出期間数も更新しない。
【0104】
以上、第四実施形態に係る画像診断装置は、第一実施形態の効果に加え、第四実施形態の特有の効果を有する。
【0105】
第四実施形態によれば、リアルタイムでシネメモリ(記憶部6)に記憶された最良値を確認することができるので、心電データの記憶を停止するタイミングを決めやすくなる。
【0106】
また、リアルタイム時は心電図の波形は常に画面を横方向に流れていくので、各R-R期間に評価値を添えて表示していると直ぐに画面外に消えてしまう。また評価値を画面の1箇所に固定して表示していても、新しい心拍は1秒足らずに入力されて評価値が更新されることになるので目で追うのは困難である。しかし第四実施形態のように、最良値に関する情報のみを随時更新していくことにより検者が注目する情報が絞られ、使い勝手の向上に繋がる。
【0107】
また事前に評価値の閾値範囲及び、評価値がその閾値範囲を超える回数を設定できる様にしておき、閾値範囲を越える評価値が設定された回数以上検出された時点で、自動にフリーズを行う機構を設ければ、より使い勝手が向上する。
【0108】
上記では、「最良値」と、その「最良値」に該当する期間数と、をリアルタイムに更新する例で説明したが、「検出期間数」分の評価値の範囲をリアルタイムに更新表示してもよい。つまり図13のステップS403において、その時点までに検出された評価値を常に最良順にソートし、最良値から指定の期間数分の評価値の範囲、例えば上位3位までの評価値の範囲を表示する。この場合、図14の最良値206に代わり、評価値の範囲、例えば「0.9〜1.1」を表示する。
【符号の説明】
【0109】
1 超音波診断装置、2 被検者、3 超音波探触子、4 超音波送受信部、5 超音波画像生成部、6 記憶部、7 入力部、8 表示部、9 生体信号取得部、10 生体信号解析部、11 制御部、12 システムバス
図1
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