特許第6050263号(P6050263)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6050263開封明示クロージャー手段を備えた薬物送達デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6050263
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】開封明示クロージャー手段を備えた薬物送達デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/24 20060101AFI20161212BHJP
【FI】
   A61M5/24
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-558433(P2013-558433)
(86)(22)【出願日】2012年3月15日
(65)【公表番号】特表2014-513592(P2014-513592A)
(43)【公表日】2014年6月5日
(86)【国際出願番号】EP2012054536
(87)【国際公開番号】WO2012123532
(87)【国際公開日】20120920
【審査請求日】2015年3月4日
(31)【優先権主張番号】11158628.5
(32)【優先日】2011年3月17日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】397056695
【氏名又は名称】サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン・ヴェントラント
(72)【発明者】
【氏名】シュテフェン・ラープ
(72)【発明者】
【氏名】ペギー・ラーベ
【審査官】 久島 弘太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−517678(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0103455(US,A1)
【文献】 特表2010−523181(JP,A)
【文献】 特表昭63−501481(JP,A)
【文献】 特表平2−500340(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
−薬剤で少なくとも部分的に充填され、そして中に摺動可能に配設されたピストンによって密封されるカートリッジを受けるためのハウジング(12、14)、
−遠位方向(32)に変位して、カートリッジのピストンと操作可能に係合するピストンロッドを有する駆動機構、
−駆動機構と操作可能に係合して、駆動機構の用量投薬動作を準備し及び/又は開始する作動手段(16)、及び
−作動手段(16)の作動を妨げるように適合され、実質的に円筒状でカップ状の幾何形状を含んでなる保護部材(18;38)であって、ハウジング(12)とねじ係合され、破れやすいシール(40)によってハウジング(12、14)に開放可能に連結される、保護部材(18;38)、
を含んでなる、注射を通して薬剤の用量を投与するための薬物送達デバイスであって:
シール(40)は、ハウジング(12;14)及び保護部材(18;38)にそれぞれ確動的に係合されるか又は摩擦的に係合され、一体的に接合されるか又は強固に結合される、第一のリング部材(42)及び第二のリング部材(44)を含み、ここで第一のリン
グ部材(42)は、所定の破壊点(47、49)によって相互連結された、そして第二のリング部材(44)に個別に連結されている、多数のリングセグメント(43)を含み、そしてここで第一のリング部材(42)保護部材(38)がねじを外す動きを開始することによってハウジング12から取り除かれるとき、軸方向に向けられる力の影響に応じて、所定の破壊点(47、49)に沿ってリングセグメント(43)に分解することを特徴とする、上記薬物送達デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載の薬物送達デバイスであって、第一のリング部材(22;42)がハウジング(12)と確動的に係合され、そして第二のリング部材(18;44)が保護部材(13;38)に一体的に接合されるか又は強固に結合される、上記薬物送達デバイス。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の薬物送達デバイスであって、保護部材(18;38)がハウジング(12)と操作可能に係合される、上記薬物送達デバイス。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の薬物送達デバイスであって、その初期の構成において、保護部材(38)がハウジング(12)の近位端セクションに配置される作動手段(16)を完全に覆う、上記薬物送達デバイス。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の薬物送達デバイスであって、保護部材(18)は、保護部材(18)がハウジング(12)に対して遠位方向(32)に開放構成に変位するとき作動手段(16)を受けるように適合されたその近位端面に、中央通し開口部(29)を含む、上記薬物送達デバイス。
【請求項6】
請求項に記載の薬物送達デバイスであって、保護部材(18)の中央通し開口部(29)の直径が10ミリメータよりも小さい、上記薬物送達デバイス。
【請求項7】
請求項又はに記載の薬物送達デバイスであって、保護部材(18)の端面が、初期の構成にあるとき、作動手段(16)の近位端面と実質的に同一平面になる、上記薬物送達デバイス。
【請求項8】
請求項1〜の何れか1項に記載の薬物送達デバイスであって、作動手段が、薬剤の用量を投薬するために遠位方向(32)に押し下げられるように適合された作動ボタン又は用量ボタン(16)を含む、上記薬物送達デバイス。
【請求項9】
請求項1〜の何れか1項に記載の薬物送達デバイスであって、その中に配設されたプレフィルドカートリッジを更に含んでなる、上記薬物送達デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注射を通して薬剤の用量を投与するように適合された薬物送達デバイスに関する。特に、本発明は、薬剤の事前に定義された用量を投薬するように適合されたペン型の注射器のような注射デバイスに言及する。
【背景技術】
【0002】
液体薬剤の複数用量を設定しそして投薬するための薬物送達デバイスは、当業界において周知のようなものである。一般的に、そのようなデバイスは、通常のシリンジのものと実質的に類似した目的を有する。
【0003】
薬物送達デバイス、特に、ペン型の注射器は、多くの使用者に特定の要求時事項を満たす必要がある。例えば、糖尿病のような慢性の病気を患っている患者の場合、患者は肉体的に虚弱であり得て、そしてまた目が不自由でもあり得る。従って、適切な薬物送達デバイスは構造上堅牢である必要があり、そして使用するのが容易であるべきである。更に、デバイス及びその部品の操作及び一般的な取り扱いは明瞭で理解できるものであるべきである。更に、用量の設定及び投薬の手順は操作するのに容易でそして明瞭であらねばならない。デバイスが使い捨てタイプのものであるとき、それは製造するのに安価でそして処分するのに容易であるべきである。これらの要求事項を満たすために、デバイスを利用するために要求される部品及び工程の数は最小に保持されるべきである。
【0004】
特に、その中に含有される薬剤の消費後に廃棄される予定の使い捨てデバイスは、その中に処分される多くの、実質的に等しい薬物送達デバイスを有する容器の形態で供される。実際の適用シナリオにおいて、使用者は、例えば、引き続く薬剤投薬手順に対して薬物送達デバイスを準備するプロセスにおいて混乱させられ得る。特に、使用者は、既に保護キャップをデバイスから取り外していることがあり得る。混乱させられたとき、使用者は取り外し可能なキャップをその初期位置に戻し得て、そしてまた薬物送達デバイスを容器内に戻し得る。後ほど、用量の設定及び/又は投薬手順の再開の際に、使用者は自らが初期に使用する予定の特別な薬物送達デバイスをもはや同定し得ない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は、デバイスが前に使用されたか否かを使用者に示すように適合される薬物送達デバイスを供することである。別の目的によると、デバイスは、患者の安全を向上するように、そして保存されるとき、デバイスの内容物を汚染から保護するように意図される。従って、本発明は保存中の薬物送達デバイスの殺菌状態及び寿命を延長することを意図する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による薬物送達デバイスは、注射を通して薬剤の用量を投与するように適合される。好ましくは、薬物送達デバイスは、ペン型注射器として設計され、そして、例えば、皮下針を備えた突き刺しアセンブリと解除可能に連結され得る。デバイスは、投薬される薬剤で少なくとも部分的に満たされたカートリッジを受けるためのハウジングを含む。典型的に、プレフィルドシリンジ、カープル、アンプル又は類似のバレル状容器を含んでなるカートリッジは、その中に摺動可能に配設されるピストンによって密封される。デバイスは遠位方向に変位されようとするピストンロッドを有する駆動機構を更に含む。ピストンロッドは更に、ピストンに遠位に向けられた圧力をかけるために、カートリッジのピストンと操作可能に係合されなければならない。
【発明の効果】
【0007】
従って、ピストンは遠位方向に動き、そうすることによってカートリッジの内容積と流体連通状態にある突き刺しアセンブリを介して、薬剤の事前に定義された量を排出する。
【0008】
ピストンロッドの段階的な動きは駆動機構によって制御される。駆動機構は全て機械的に実行され得るが、また全自動化又は半自動化された用量の設定及び/又は投与のために電子機械的手段を用いても実行され得る。
【0009】
薬物送達デバイスは、駆動機構と操作可能に係合されている少なくとも一つの作動手段を更に含む。作動手段を経由して、使用者は用量を修正しそして適合し得て、そして更に駆動機能の用量投薬動作を開始又は制御さえし得る。
【0010】
更に、薬物送達デバイスは、初期構成にあるとき、作動手段の作動を阻止するように適合される保護部材を含む。保護部材は、次いで、破れやすいシールによってハウジングに解除可能に連結される。
【0011】
薬物送達デバイスの使用のために、最初に、保護部材は、解除構成内に除去されなければならないか又は少なくとも移動されなければならず、そうすることによって作動手段に屈する。しかしながら、保護部材の除去又は移動は、破れやすいシールが割れて開かれるか又は破壊された後でのみ可能である。従って、保護部材とハウジングを破られやすいシールを用いて連結することによって、開封明示クロージャー手段が薬物送達デバイスのために供され得て、デバイスが初めて使用されるのか否かを本質的に示す。
【0012】
好ましい実施態様によれば、シールは、その各々が、ハウジングと及び/又は保護部材と確動的に係合される及び/又は摩擦的に係合される第一のリング部材及び第二のリング部材を含む。好ましくは、第一のリング部材は、ハウジング部品と機械的に係合され、一方、第二のリング部材は、保護部材と相互連結される。薬物送達デバイスの保護部材とハウジングの相対的移動の際に、初期に互いに相互連結される第一及び第二のリング部材は、互いから分離するか、又は第一若しくは第二のリング部材の少なくとも一方が分解するかの何れかであり得る。
【0013】
別の実施態様において、第一のリング部材及び/又は第二のリング部材はハウジングに及び/又は保護部材に一体的に接合されるか又は強固に結合される。第一のリング部材がハウジングと確動的に係合され、そして第二のリング部材が保護部材に一体的に接合されるか又は強固に結合される、又はその逆のとき、更なる便益があるものとなり得る。
【0014】
一般的に、第一のリング部材をハウジングと、そして第二のリング部材を保護部材と如何に係合するかについて複数のバリエーションが存在する。特に、一方のリング部材を保護部材に一体的に接合又は連結することによって、そして他方のリングをハウジングに確動的に係合することによって、特に、保護部材及び/又はハウジング部品が射出成形を通して製造されるときに、開封明示クロージャー手段が薬物送達デバイスの大量生産プロセス内に効果的に一体化され得る。次いで、例えば、接着剤を通してデバイスに取り付けられることになる穴が開いているシール手段なしでさえ、開封明示クロージャー手段の実現が供され得る。
【0015】
更に好ましい実施態様において、保護部材はハウジングと操作可能に係合される。従って、保護部材及びハウジングは、保護部材及びハウジング各々のよく定義されたそして制御された相対的移動を供する互いに係合しているセクションを含む。
【0016】
好ましい実施態様において、保護部材は実質的に円筒状の幾何形状を含む。保護部材がハウジングとねじ係合される及び/又は摩擦的に係合されるとき、それは特別な便益があるものである。保護部材及びハウジングのねじによる係合は、ハウジング部品に対する保護部材の容易な除去又は移動を可能にする。
【0017】
加えて、ハウジングに対する保護部材の回転によって、それらの互いの軸方向距離は変わり得て、そのようにして破られやすいシールのよく定義された破壊に導かれる。このように、シールは手動で除去される必要はない。それは単に保護部材を取り除くこと又は移動することによって分解され又は破壊され得る。従って破られやすいシールの存在は薬物送達デバイスの一般的な取り扱いに影響を及ぼさない。
【0018】
更にそして別の好ましい態様によると、その初期の構成において、保護部材はハウジングの近位端セクションに配置される作動手段を殆ど完全に覆う。保護部材がその初期構成にあるとき、作動手段は一般的に使用者によってアクセスされ得ない。作動手段によって最初に開始される又は少なくとも支配されることになる、デバイスの用量設定又は用量投与は、開放構成内への保護部材の移動を必要とする。しかしながら、保護部材のその開放構成内への移動は、シールの明確に定義された破壊を伴う。
【0019】
代替実施態様において、保護部材はその近位端面で中央通し開口部を含む。中央通し開口部は作動手段の寸法に一致する。従って、保護部材がハウジングに対して遠位方向に向かって開放構成に変位するとき、典型的に用量ボタンを含んでなる作動手段は、中央通し開口部にリーチスルーするように適合される。
【0020】
この実施態様を用いれば、保護部材の中央通し開口部の直径が最終使用者の指先よりも小さいとき、それは更なる便益があるものである。このように、作動手段の押し下げは、作動手段が保護部材の端面から突き出ない限り、保護部材によって効果的に阻止される。典型的に、中央通し開口部の直径は10ミリメータより小さく、好ましくは8ミリメータより小さく、そして更にもっと好ましくは5ミリメータより小さい。
【0021】
別の実施態様において、保護部材の端面は、保護部材がその初期の構成にあるとき、作動手段の近位端面と実質的に同一平面である。作動手段及び保護部材の対応する中央通し開口部の比較的小さな直径のせいで、例えば、使用者の指先による作動手段の押し下げは一般的に防がれる。
【0022】
そこにおいて作動手段が保護部材の中央通し開口部を通して突き出る、保護部材が除去されるか又は遠位方向に開放構成に移動するときにのみ、デバイスの適切な使用が可能になる。
【0023】
更に別の実施態様において、第一のリング部材は、所定の破壊点又は破断セクションによって相互連結される多数のリングセグメントを含む。第一のリング部材のリングセグメントの一つの各々は第二のリング部材に個別に連結される。シールが破壊又は割れて開く際に、第一のリング部材は多くのリングセグメントに分解し得て、その各々は第二のリング部材に連結された状態に留まる。
【0024】
このようにして、シールの破壊によって、脱着された又は分離された片は全く生み出されない。従って、追加の浪費又はごみは全く生じない。更に、第一のリング部材のリングセグメントの第二のリング部材との相互連結によって、保護部材とハウジングの相互移動に由来する力の効果が第二のリング部材に伝わり得る。事前に定義された分離力が超えられるや否や、多くのリングセグメントが、所定の破壊点又はセクションに沿って互いから分離し得る。
【0025】
更に好ましい実施態様によれば、第一のリング部材は、それが半径方向及び/又は軸方向に向けられる力の影響を受けるようになるとき、所定の破壊点に沿ってリングセグメントに分解する。
【0026】
更に、作動手段が、薬剤の用量を投薬及び/又は設定するために使用者によって遠位方向に押し下げられるように適合された作動ボタン又は用量ボタンを含むことが意図される。
【0027】
用量ボタンは円筒状の袖も含み得る。それはハウジングに対して回転及び/又は軸方向に移動させられる。
【0028】
更に、薬物送達デバイスは好ましくは使い捨て可能なタイプのものであり、そしてハウジング中に、好ましくは、ハウジングのカートリッジホルダセクション中に配列された、プレフィルドカートリッジを(例えば、カープル又はプレフィルドシリンジ)を含む。単一又は幾つかの用量設定及び用量投薬の手順の後で、カートリッジ中に含有された薬剤が使いつくされるとき、薬物送達デバイス全体は廃棄されるよう意図され得るであろう。
【0029】
本明細書で使用する用語「薬剤」は、少なくとも1つの薬学的に活性な化合物を含む医薬製剤を意味し、
ここで、一実施態様において、薬学的に活性な化合物は、最大1500Daまでの分子量を有し、及び/又は、ペプチド、蛋白質、多糖類、ワクチン、DNA、RNA、抗体、酵素、抗体、ホルモン、若しくはオリゴヌクレオチド、又は上記の薬学的に活性な化合物の混合物であり、
ここで、更なる実施態様において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、又は糖尿病性網膜症などの糖尿病関連の合併症、深部静脈又は肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、癌、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症、及び/又は、関節リウマチの治療、及び/又は、予防に有用であり、
ここで、更なる実施態様において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、又は糖尿病性網膜症などの糖尿病に関連する合併症の治療、及び/又は、予防のための、少なくとも1つのペプチドを含み、
ここで、更なる実施態様において、薬学的に活性な化合物は、少なくとも1つのヒトインスリン、又はヒトインスリン類似体若しくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)、又はその類似体若しくは誘導体、又はエキセンジン−3又はエキセンジン−4、若しくはエキセンジン−3又はエキセンジン−4の類似体若しくは誘導体を含む。
【0030】
インスリン類似体は、例えば、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;ヒトインスリンであり、ここで、B28位におけるプロリンは、Asp、Lys、Leu、Val又はAlaで代替され、そして、B28位において、Lysは、Proで代替されてもよく;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン、及びDes(B30)ヒトインスリンである。
【0031】
ヒトインスリン誘導体は、例えば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイル ヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、及びB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0032】
エキセンジン−4は、例えば、エキセンジン−4(1−39)、H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2配列のペプチドを意味する。
【0033】
エキセンジン−4誘導体は、例えば、以下の化合物リスト:
H−(Lys)4−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)5−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);又は
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39);
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
ここで、基−Lys6−NH2は、エキセンジン−4誘導体のC−末端と結合してもよく;
【0034】
又は以下の配列のエキセンジン−4誘導体:
H−(Lys)6−desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
H−desAsp28 Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
desMet(O)14,Asp28,Pro36,Pro37,Pro38 エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5,desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Lys6−desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
H−desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(S1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
又は前述のいずれかのエキセンジン−4誘導体の薬学的に許容可能な塩若しくは溶媒和物;
から選択される。
【0035】
ホルモンは、例えば、ゴナドトロピン(ホリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン (ソマトロピン)、デスモプレッシン、テルリプレッシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどのRote Liste、2008年版、50章に表示されている脳下垂体ホルモン又は視床下部ホルモン又は規制活性ペプチド及びそれらの拮抗剤である。
【0036】
多糖類としては、例えば、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、又は超低分子量ヘパリン、若しくはその誘導体などのグルコアミノグリカン、又はスルホン化された、例えば、上記多糖類のポリスルホン化形体、及び/又は、薬学的に許容可能なその塩がある。ポリスルホン化低分子量ヘパリンの薬学的に許容可能な塩の例としては、エノキサパリンナトリウム塩がある。
【0037】
薬学的に許容可能な塩は、例えば、酸付加塩及び塩基塩がある。酸付加塩としては、例えば、HCl又はHBr塩がある。塩基塩は、例えば、アルカリ又はアルカリ土類金属、例えば、Na+、又は、K+、又は、Ca2+から選択されるカチオン、又は、アンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)を有する塩であり、ここで、R1〜R4は互いに独立に、水素;場合により置換されるC1〜C6アルキル基;場合により置換されるC2〜C6アルケニル基;場合により置換されるC6〜C10アリール基、又は場合により置換されるC6〜C10ヘテロアリール基である。薬学的に許容される塩の更なる例は、“Remington's Pharmaceutical Sciences”17編、Alfonso R.Gennaro(編集),Mark
Publishing社,Easton, Pa., U.S.A.,1985 及び Encyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されている。
【0038】
薬学的に許容可能な溶媒和物としては、例えば、水和物がある。
【0039】
更に、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、種々の修正及び変化が本発明になされ得ることが、当業者には明らかであろう。更に、尚、添付請求項において使用される如何なる参照符号も、本発明の範囲を制限するとして制約されるものではない。
【0040】
更に、本発明はペン型の注射器を通して説明されるものの、それはそのようなデバイスに決して制限されるものではない。本文脈において、薬物送達デバイスは、複数用量のペン型注射器、並びに単一用量の及び/又は自動の注射器として設計され得る。また、固定された及び/又は可変の投与量を可能にする安全シリンジ及び注射器システムは、上述の開封明示クロージャー手段と共に実行できる。
【0041】
以下の好ましい実施態様において、本発明が図面を参照してもっと詳細に述べられるであろう:
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】薬物送達デバイスの外観を模式的に図示する。
図2】第一の実施態様による保護部材を備えた薬物送達デバイスの近位端の断面を示す。
図3】薬物送達デバイスの近位端に取り外し可能に取り付けられた保護部材の別の実施態様を示す。
図4】分離された斜視説明における図3による実施態様において使用される通りの破られやすいシールを画く。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1は、ペン型注射器として設計された薬物送達デバイス10を模式的に図示する。デバイス10は近位ハウジング部品12並びに保護キャップ14を含み、その後者は、直接的に又は薬物送達デバイス10によって投与されるべき薬剤を含んでなるカートリッジを受けるように適合されたカートリッジホルダセクションを通しての何れかで、ハウジング12に解除可能に連結される。典型的には、保護キャップ14はカートリッジホルダセクションを保護し、それは典型的には、ニードルアセンブリと開放可能に連結されることになり、カートリッジの内容積と、該薬剤で処理されるべき生理学的組織の間で流体連通を供する。
【0044】
近位ハウジング部品12は、典型的には、ここで更に図示されない駆動機構を含む。駆動機構は、液体薬剤の事前に定義された量をカートリッジから排出するためにカートリッジのピストンと操作可能に係合される移動可能なピストンロッドを含む。用量設定及び/又は用量投薬は、薬物送達デバイス10の近位端セクション15に位置付けられる作動手段16を通して制御できる。
【0045】
図1及び2において示される通り、作動手段は袖状の保護部材18によって囲まれそして閉じ込められる。図2において詳細に図示される通り、保護部材18は、相互に対応するねじセクション34、36を通してハウジング12の遠位部分とねじで係合される。更に、図2において描かれる通りその初期構成において、袖状の保護部材18は、実質的に作動手段15の近位端面と同一平面であり、そして本実施態様において、遠位方向32に押し下げられるように適合される用量ボタン16を含む、その近位端面で半径方向に内側に向けられたフランジ部分28を含む。
【0046】
言い換えれば、保護部材18は中央軸11に対して中央通し開口部29を含む。通し開口部29のサイズは用量ボタン16の半径寸法と一致する。
【0047】
図1において示される、開放構成に向かって遠位方向32に保護部材18を移動するとき、作動手段16は保護部材18から突き出し得る。そのような開放構成において、用量ボタン16は駆動機構の特別な機械的実行により回転され又は押し下げられる準備がなされ得る。
【0048】
図2において更に図示される通り、シール20はハウジング部品12と確動的に係合する少なくとも第一のリング部材22を含む。リング部材22は周囲の凹部又は溝26中に配置される。更に、第一のリング部材22は、第二のリング部材として役立つ、保護部材18の円筒状袖と一体的に形成される。第一及び第二のリング部材22、18は、構造的に弱くされた相互連結部分24を通して一体的に形成される。
【0049】
保護部材18、ひいては第二のリング部材がハウジング12に対して回転されると直ぐに、それは下方に向かう、遠位方向への軸方向の移動を体験し得る。その結果、構造的に弱くされた相互連結部分24は引き裂かれて離され得て、そして保護部材の円筒状部分18は第一のリング部材22を覆い得て、周囲凹部26中に留まる。図2におい説明される通り、保護部材18がその初期構成に戻される場合においてさえ、最終使用者は、そのようにして薬物送達デバイスが既に使用中であることを示す破られたシール20を観察し得る。
【0050】
ハウジング部品12に対する保護部材18の遠位に向けられた変位は、保護部材18の半径方向に内側に伸びているフランジ部分28が、停止面として役立つハウジング部品12の近位端面30と接触するようになるとき、停止される。停止面30と接触するようになるとき、保護エレメント18はまだハウジング部品12とねじで係合され、従ってそこに取り付けられた状態に留まり得る。
【0051】
図3は、保護キャップ38も、互いに対応するねじ54、56を通してハウジング12の近位端セクションとねじで係合される代替実施態様を図示する。ここで、保護部材38はハウジング12の近位端面に対してしかしそれに抗して適合される、半径方向に内側に向かって指している半径方向に内側に指しているショルダー部分48を含む。保護部材38はカップ状の幾何形状を含み、そしてその下に配列される作動手段16を完全に覆っている閉じられたボトム構造50を有する。
【0052】
図2による実施態様とは対照的に、保護部材38は、ねじを外す動きを開始することによってハウジング12から取り除かれるよう意図される。
【0053】
ここで、保護部材38は用量ボタン16へのアクセスを与えるために、近位方向52に変位されるよう意図される。保護部材38は、図4において別々に図示されているシール40の別のタイプを通してハウジング12と機械的に係合される。
【0054】
シール40は第一のリング部材42及び第二のリング部材44を含む。図3による実施態様において、第二のリング部材44は袖状保護部材38の遠位端セクションと一体的に形成されるか又は確動的に係合される。第のリング部材42は、今度は、ハウジング部品12と確動的に係合される。図4において図示される通り、割れて開かれた構成において示された第一のリング部材42’はリングセグメント43を含み、それは、初期構成において互いに向かって面しているそれらの端部セクション47、49と相互連結される。第一のリング部材42’のセグメント43の各々はジョイント45によって第二のリング部材44に個別に連結される。
【0055】
図3及び4におい示される通り、リングセグメント43は幾分三角形であるが開いた形を含む。半径方向に内側に向かってそして近位方向52に面しているそれらの自由端セクションを用いて、第一のリング部材42のリングセグメント43はハウジング12の外周に供される溝又は凹部46と確動的に係合する。特に、凹部は一種のアンダーカット46として設計される。
【0056】
保護袖38がハウジング12に対して近位方向52に変位されるとき、各々近位に向かれた力の効果は、第二のリング部材44に及び第一のリング部材42に移動される。かけられた力が事前に定義された閾値を超えるや否や、第一のリング部材42の三つのリングセグメント43を相互連結している所定の破壊点又は穴が開いて弱くされた構造は、第一のリング部材42を引き裂いて離し(tear apart)始めるであろう。図4において図示される通り、一旦、第一のリング部材42が種々のリングセグメント43へと分解されると、薬物送達デバイスが使用されたという明確な表示が与えられる。
【符号の説明】
【0057】
10 薬物送達デバイス
11 軸
12 ハウジング
14 キャップ
15 作動セクション
16 用量ボタン
18 保護部材
20 シール
22 相互連結部分
26 凹部
28 フランジ部分
29 通し開口部
30 隣接面
32 遠位方向
34 ねじセクション
36 ねじセクション
38 保護部材
40 シール
42 リング部材
43 リングセグメント
44 リング部材
45 ジョイント
46 凹部
48 ショルダー部分
50 ボトム部分
52 近位方向
54 ねじ部分
56 ねじ部分
図1
図2
図3
図4