(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6050275
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】腕時計の構造、腕時計用電子式クラウン及びディスプレイを有する腕時計
(51)【国際特許分類】
G04G 21/00 20100101AFI20161212BHJP
【FI】
G04G21/00 304D
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-79082(P2014-79082)
(22)【出願日】2014年4月8日
(65)【公開番号】特開2014-219389(P2014-219389A)
(43)【公開日】2014年11月20日
【審査請求日】2014年4月8日
(31)【優先権主張番号】102116081
(32)【優先日】2013年5月6日
(33)【優先権主張国】TW
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】310003669
【氏名又は名称】巨擘科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】楊之光
(72)【発明者】
【氏名】古永延
(72)【発明者】
【氏名】張振義
(72)【発明者】
【氏名】薛淦浩
【審査官】
藤田 憲二
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−121566(JP,A)
【文献】
特開昭53−012661(JP,A)
【文献】
実開昭58−082695(JP,U)
【文献】
特開昭56−140279(JP,A)
【文献】
実開昭63−107002(JP,U)
【文献】
特開昭57−175980(JP,A)
【文献】
特開昭54−135573(JP,A)
【文献】
特開2004−079410(JP,A)
【文献】
特表2001−524206(JP,A)
【文献】
特開2008−122377(JP,A)
【文献】
特開2010−139252(JP,A)
【文献】
特表2012−516996(JP,A)
【文献】
特表2013−511160(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04G 17/00,21/00,99/00
G04C 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイアルと、ダイアルに応じて配置されたインジケータと、インジケータが適正な動作をするようにこれを駆動するためにインジケータに連結される電気駆動部とを備える腕時計の構造において、この腕時計の構造は、
集積回路素子が内部に封止され、前記電気駆動部の位置がデザインに応じて変更可能な多数の2次元接続点を有する電子コアと、
前記2次元接続点の機能または用途を指定し、前記2次元接続点と内部回路との間の連結経路を構成するのに用いられるプログラマブルロジックユニットを備え、
回転部とセンサーを有する電子式クラウンとを備え、
前記電子コアは、ロジック部を備え、
前記センサーは、回転部分と固定された検出部分を有し、前記検出部分は、インジケータの状態を変更するために前記回転部分の回転による電子信号を検出し、
前記電子式クラウンの前記検出部分は、前記多数の2次元接続点のうちの一つの接続点を介して電子コアに電子信号を送出し、前記電気駆動部は、前記多数の2次元接続点のうちの一組の接続点に電気的に接続されることを特徴とする腕時計の構造。
【請求項2】
通信部を備える請求項1に記載の腕時計の構造。
【請求項3】
前記ロジック部は、プログラマブルロジックモジュール、ブルーテゥースモジュール、GPSモジュール、WIFIモジュール、GSMモジュール、タッチ制御モジュール、LED制御モジュール、オーディオ/ビデオモジュール、ディスプレイモジュール、MEMS磁力計、FMモジュール、USBホストコントローラまたは汎用I/Oのいずれか1種または2種を以上備える請求項1に記載の腕時計の構造。
【請求項4】
前記電子式クラウンの回転部分は、物理的特性を有する少なくとも二つの下位部を有して、これらの少なくとも二つの下位部は、前記物理的特性に対する異なる物理量を有することを特徴とする請求項1に記載の腕時計の構造。
【請求項5】
前記少なくとも二つの下位部は、対称状に配列されることを特徴とする請求項4に記載の腕時計の構造。
【請求項6】
前記少なくとも二つの下位部は、非対称状に配列されることを特徴とする請求項4に記載の腕時計の構造。
【請求項7】
前記電子式クラウンの検出部分は、前記少なくとも二つの下位部の異なる物理量を検出して異なるレベルの電子信号を送出することを特徴とする請求項4に記載の腕時計の構造。
【請求項8】
前記少なくとも二つの下位部が有する物理量には、誘電定数が含まれることを特徴とする請求項4に記載の腕時計の構造。
【請求項9】
前記少なくとも二つの下位部が有する物理量には、透磁率が含まれることを特徴とする請求項4に記載の腕時計の構造。
【請求項10】
前記電子式クラウンの検出部分は、静電容量、インダクタンス、抵抗、電場、磁場のうちの少なくとも一つの変化を検出して電子信号を送出することを特徴とする請求項1に記載の腕時計の構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機械式時計に係り、さらに詳しくは、電力によって駆動される腕時計の構造、腕時計用電子コア、電子式クラウン、ディスプレイを有する腕時計及び腕時計製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
機械式時計は、現代人の好みの象徴となった。非常に複雑な機械式設計が現代技術において優れた技術として出現している。電気機械式時計と機械式時計との違いは、電気機械式時計が、時刻情報を示すための時計の針を作動するために電力によって駆動されるモータを使用するところにある。電気機械式時計が機械式時計に比べて丈夫ではないことがあり、バッテリを頻繁に取り替えることを余儀なくされる場合もあるが、電気機械式時計には基本的に機械式時計のように時計の針がある。しかしながら、電気機械式時計は遥かに安価であり、この理由から、多数の需要者があり、市場の主流となっている。従来の電気機械式時計においては、様々な時計のデザインに見合う電子コアを開発する必要があった。現在は、製造及び組立てに際して効果的なソリューションが足りない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、異なる腕時計のデザインに合わせて電子コアを開発しなければならないという従来の問題を解決するための、腕時計の構造、腕時計用電子コア及び電子式クラウン、ディスプレイを有する腕時計、並びに腕時計を製造する方法を提供することである。
【0004】
本発明の他の目的は、製品の開発周期を短縮するための、腕時計の構造、腕時計用電子コア及び電子式クラウン、ディスプレイを有する腕時計、並びに腕時計を製造する方法を提供することである。
【0005】
本発明のさらに他の目的は、腕時計の組立てまたは製造時の自由度を増大させ、様々な腕時計のデザインに対する互換性を向上させるための、腕時計の構造、腕時計用電子コア及び電子式クラウン、ディスプレイを有する腕時計、並びに腕時計を製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の諸目的を達成するために、本発明は、ダイアルと、ダイアルに応じて配置されたインジケータと、インジケータが適正な動作をするようにこれを駆動するためにインジケータに連結される電気駆動部と、集積回路素子が内部に封止され、外部表面上には多数の2次元接続点が分布される電子コアとを備える腕時計の構造を提供する。ここで、前記電気駆動部は、電子コアの2次元接続点のうちの一組の接続点を介して電子コアの集積回路素子に電気的に接続される。
【0007】
他の側面において、本発明は、インジケータと、このインジケータが適正な動作をするようにこれを駆動するためにインジケータに連結される電気駆動部とを有する腕時計用電子コアを提供する。この腕時計用電子コアは、多数の2次元接続点を有する多層配線基板と、この多層配線基板に配置される集積回路素子とを備える。そして、前記電気駆動部は、前記2次元接続点のうちの一組の接続点を介して前記集積回路素子に電気的に接続される。
【0008】
さらに他の側面において、本発明は、腕時計の製造方法を提供するが、この方法は、ダイアルを設計し、このダイアルのデザインと調和されるデザインのインジケータを設計するステップと、外部表面上に分布された2次元接続点を有する電子コアを設けるステップと、前記インジケータの位置に応じて電子コアの外部表面に、インジケータが適正な動作をするようにこれを駆動する少なくとも一つの電気駆動部の位置を設計するステップと、前記電気駆動部のピンを前記電子コアの外部表面上の接続点のうちの少なくとも一つの接続点に連結するステップと、前記電気駆動部を前記電子コアの内部の特定の回路に電気的に接続するように、前記電子コアの内部回路と前記2次元接続点間の連結経路を指定するステップと、前記ダイアル、インジケータ、電気駆動部及び電子コアを時計ケース内に組み込むステップとを含む。
【0009】
さらに他の側面において、本発明は、ダイアル、ダイアルに応じて配置されたインジケータ、インジケータが適正な動作をするようにこれを駆動するためにインジケータに連結される電気駆動部と、電子コア及び電子式クラウンを備える腕時計の構造を提供する。ここで、前記電子コアの内部には集積回路素子が封止され、多数の2次元接続点を有する。そして、電子式クラウンは、回転部とセンサーを有して、前記センサーは、回転部分と固定された検出部分を有する。前記検出部分は、インジケータの状態を変更するために回転部分の回転による電子信号を検出する。前記電子式クラウンの前記検出部分は、2次元接続点のうちの一つの接続点を介して電子コアに電子信号を送出し、前記電気駆動部は、前記2次元接続点のうちの一組の接続点に電気的に接続される。
【0010】
さらに他の側面において、本発明は、腕時計用電子式クラウンを提供するが、このクラウンは、ユーザが把持する回転部と、この回転部と連結されるセンサーとを備える。センサーは、回転部分と固定された検出部分を有する。前記回転部分は、物理的特性を有する少なくとも二つの下位部を有する。前記これらの少なくとも二つの下位部は、前記物理的特性に対する異なる物理量を有する。前記電子式クラウンの検出部分は、前記少なくとも二つの下位部の異なる物理量を検出して異なるレベルの電子信号を送出する。
【0011】
さらに他の側面において、本発明は、ディスプレイを有する腕時計を提供する。この腕時計は、時間関連情報を画面上に表示し、動作メニュー内に並べられた多数の項目を画面上に表示するためのディスプレイと、回転部とセンサーを有する電子式クラウンとを備える。この電子式クラウンのセンサーは、回転部分と固定された検出部分を有して、前記検出部分は、前記回転部分が回転されるときに動作メニュー内に並べられた項目を切り換えるために電子信号を送出する。
【0012】
本発明において、電気駆動部のピンが電子コア上の2次元接続点のうちの任意の一組の接続点に一致する限り、電気駆動部とこれに対応する集積回路素子の回路間の電気的な接続が行われる。このため、本発明において提供される電子コアを用いて、時計製造者は腕時計の様々な類型を開発することができる。また、本発明は、外観が機械式時計とほとんど同じ機械式模倣型時計の開発に役立つ。さらに、本発明において、腕時計の組立の自由度が増大され、且つ、様々なデザイン間の互換性が向上される。他の側面において、腕時計の製造者は、汎用電子コアを採用することにより、様々な腕時計デザインをすることが便利になる。さらにまた、本発明は、異なる腕時計デザインに見合うように電子コアを開発しなければならないという従来の問題を解決する。さらにまた、汎用電子コアに周辺電子構成要素を連結することができて、多くの新規機能を有する腕時計を開発することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明により実現された腕時計を示す構成図である。
【
図2】本発明に係る電子コアの外部表面上の2次元接続点の一例を示す概略図である。
【
図3】本発明に係る電子コアの外部表面上の2次元接続点の他の例を示す概略図である。
【
図4】本発明に係る電子コアの外部表面上の2次元接続点の他の例を示す概略図である。
【
図5】本発明の他の実施形態により実現された腕時計を示す構成図である。
【
図6】本発明のマルチプレキサを示す概略図である。
【
図8】本発明の腕時計における拡張回路を示す概略図である。
【
図9】本発明の電子コアの外部表面上の接続点の分布を示す概略図である。
【
図10】本発明に係る腕時計の製造方法のフローチャートである。
【
図11A】本発明の第1の特定の位置における電子式クラウンを示す概略図である。
【
図11B】本発明の第2の特定の位置における電子式クラウンを示す概略図である。
【
図12A】本発明の電子式クラウンにおいて、第1の部分と第2の部分が対称状に配列された場合に検出された電子信号の波形図である。
【
図12B】本発明の電子式クラウンにおいて、第1の部分と第2の部分が非対称状に配列された場合に検出された電子信号の波形図である。
【
図13A】ディスプレイ装置を有する腕時計を示す概略図である。
【
図13B】ディスプレイ装置を有する他の腕時計を示す概略図である。
【0014】
図1は、本発明により実現された腕時計10の構成図である。同図を参照すると、本発明の腕時計10は、時計ケース11と、ダイアル12と、インジケータ13と、電気駆動部14と、電子コア15と、クラウン16とを備える。時計ケース11は、腕時計10の内部に配置された電子装置と機械構造物を保護するために用いられる。時計ケース11には、透明材質111(ガラスなど)製の時計表面112がある。ユーザは、透明な時計表面112を介して、インジケータ13が指示する位置情報を認識することができる。電気駆動部14は、インジケータ13に直接的にまたは間接的に連結されてインジケータ13を駆動することにより、ダイアル12上においてインジケータ13が円形にまたは線形に動くようにするか、または、他の動作を行うようにする。電気駆動部14は、圧電アクチュエータ及び超音波マイクロモータなどの電気モータによって実現可能である。電気駆動部14はまた、インジケータ13がいくつかの特定の情報を示すようにインジケータ13を駆動可能な電子部品によって実現可能である。インジケータ13は、ダイアル12と協力して相対的な時刻情報を指示する。例えば、ダイアル12には時間目盛が表示されており、インジケータ13には時刻情報(例えば、時、分)を示すための物理的な時針と分針が含まれる。
【0015】
以下の説明において、本発明は、ダイアル12及びインジケータ13の特定のデザインに制限されないということが分かる。すなわち、本発明は、腕時計の製造者がダイアル12及びインジケータ13を自由に設計し、それから、適用可能な電気駆動部14を選択することができる。例えば、腕時計の製造者は、複合機能を有する時計を開発することができる。例えば、腕時計が日付情報(例えば、年月日)を表示することができ、または、月の状態を表示することができ、または、クロノグラフ機能を有することができる。時計製造者は、インジケータを円形にまたは線形に作動可能な電気モータだけではなく、インジケータをセクター内において前後に移動させたり、フライバック機能をさせたりする適切なアクチュエーティングモータを用いることができる。
【0016】
本発明の腕時計10の電子コア15は、その内部に封止された集積回路素子を有する(後述する
図7参照)。電子コア15の構成は、電気駆動部14に電子信号を提供して、電気駆動部14がこの受信された電子信号に基づいてインジケータ13(例えば、時計針)を作動してこのインジケータ13に当該動作を行わせてもよい。本発明において、電子コア15は、その外部表面上に分布された多数の2次元接続点150を有する。一実施形態において、2次元接続点150は均一に分布され、所定の位置に配設されている。電気駆動部14は、2次元接続点150のうちの一組の接続点を介して電子コア15の集積回路素子に電気的に接続される。これらの2次元接続点を用いることにより、本発明は、腕時計の組立時の便宜性と互換性を大幅に向上させることができる。
【0017】
具体的に、ダイアル及びインジケータは様々な類型にデザイン可能であり、電気駆動部の位置がこのようなデザインに応じて変更可能である。デザインを変更するために、既存の腕時計製品は異なる組立て構造に設計しなければならないか、あるいは、それに見合う電子コアを開発しなければならない。しかしながら、本発明においては、電気駆動部のピンが電子コアの2次元接続点のうちのいずれか一組の接続点に一致する限り、電気駆動部とこれに対応する集積回路素子の回路との間の電気的な接続は行われる。このため、本発明において提供される電子コアを用いることにより、時計製造者は様々なデザイン類型の腕時計を開発することができる。特に、本発明の電子コアを採用する限り、様々なダイアル及びインジケータデザインを有する腕時計を開発することができる。また、本発明は、外観が機械式時計とほとんど同じ、機械式模倣型時計を開発することができるというメリットを得ることができる。
【0018】
電気駆動部14は、正常的に作動する当該回路に電気的に接続されなければならない。本発明において、特定の回路に対応する接続点を電子コア15の外部表面上において予め決定することができる。または、これとは異なり、各接続点の帰納を腕時計製造中にまたは組立中に指定することもできる。
【0019】
具体的に、一実施形態においては、集積回路素子の内部回路に対する、電子コア15の外部表面上の2次元接続点のうちの一つの連結経路は、固定不変である。すなわち、電子コア15の外部表面の一部の特定の領域における接続点は一つの電気駆動部14に相当する回路に電気的に接続されるようにこの電気駆動部14に提供され、電子コア15の外部表面の他の特定の領域における接続点は他の電気駆動部14に相当する回路に電気的に接続されるようにこの電気駆動部14に提供される。
【0020】
他の実施形態において、電子コア15の外部表面上の2次元接続点150は、設定可能な接続点である。すなわち、各接続点150から内部回路への連結経路を変更及び設定することができる。実際の応用の場合に、腕時計は、各接続点150の機能または用途を指定し、各接続点150と内部回路との間の連結経路を構成するのに用いられるプログラマブルロジックユニットを備えることができる。この実施形態において、電気駆動部14のピンは、電子コア15上のいずれか一つの接続点に接続され、このため、プログラマブルロジックユニットは、電気駆動部14が接続点150を介してその当該回路に連結されるように各接続点を指定する。このような方式によって、腕時計組立時の自由度が増大され、様々なデザイン間の互換性もまた向上される。
【0021】
前記設定可能な接続点は、プログラマブルロジックコントローラ(PLC:programmable logic controller)、複合プログラマブル論理素子(CPLD:complex programmable logic device)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:field programmable gate array)などによって実現可能である。
【0022】
図2は、本発明に係る電子コア15の外部表面上の2次元接続点150の一例を示す概略図である。
図2に示すように、接続点150の分布は、2次元配列を形成している。各接続点150が垂直方向及び水平方向に整列されている。接続点150は互いに同じ間隔を有する。電気駆動部14のピンが接続点150のうちの一つに正確に一致しないこともある。この場合のために、接続点間の間隔を減らすことにより、より多くの接続点を収容することができる。電子的な接続の信頼性を保証するために2つまたはそれ以上の接続点150に、電気駆動部14のピンの一つを接触させてもよい。
【0023】
他の実施形態においては、電子コア15の外部表面上の2次元接続点150'が同心円配列分布を形成する。
図3に示すように、接続点が点線に沿って整列される。円形に設計された腕時計の場合に、電気モータの位置は環状に設計されもよい。このため、このような円形設計と同心円配列分布との間に、ほとんど完璧な整合が行われ、これにより、電気駆動部14と接続点との間の視準正確性が向上される。
【0024】
さらに他の実施形態においては、電子コア15の外部表面上の2次元接続点150"が六角格子状に配列される。
図4に示すように、接続点が点線に沿って整列される。このような配列によって接続点が互いに近づくように配列され、このため、接続点間の間隔ができる限り狭まり得る。これにより、視準正確性がなお一層向上される。
【0025】
図5は、本発明の他の実施形態により実現された腕時計10'を示す構成図である。この実施形態の腕時計10'と上述した腕時計10との違いは、電気駆動部14と電子コア15の外部表面上の2次元接続点150との間に配置されるインタポーザ17が介装されているということである。インタポーザ17の上部及び下部の表面には導電接続点が分布されている。上部表面にある導電接続点は下部表面にある対応する導電接続点と連通されている。インタポーザ17の導電接続点の分布は、電子コア15の外部表面上の接続点150の分布と実質的に一致する。しかしながら、インタポーザ17が腕時計10'に配置された場合に、インタポーザ17の導電接続点は、電子コア15の接続点から水平方向に短距離だけ離脱する。インタポーザ17を配置することにより、電子コア15の外部表面上の接続点150と電気駆動部14との間に視準誤差が発生することを避けることができる。
【0026】
図6を参照する。一実施形態において、電子コア15は、多数のマルチプレキサ21を備えることができる(但し、
図6には、一つのマルチプレキサのみを示している)。例えば、マルチプレキサ21は、8対1のマルチプレキサであってもよい。電子コア15において、プログラマブルロジックユニットの入力/出力ポートは、マルチプレキサ21の左側にある一つの連結点に連結され、マルチプレキサ21の右側にある8つの連結点のうちの一つを介して信号が出力または入力される。すなわち、電子コア15の外部表面上の2次元接続点150は、多数のマルチプレキサ21の右側にある連結点から構成されてもよい。腕時計を組み立てるときに、電気駆動部14のピンが一組の接続点(例えば、一組当たりに8つの接続点がある)のうちの任意の一つの点に連結される。次いで、プログラマブルロジックユニット及びマルチプレキサによって前記接続点の使用を指定する。このような方式により、電気駆動部14のピンは電子コア15内部の時間回路に電気的に接続可能である。インジケータ13に関連する位置の設計を支援するために、電気駆動部14のピンは、腕時計の組立中にマルチプレキサ21の右側に3番が番号付けられた連結点に連結される場合を想定する。プログラマブルロジックユニットは、指定または割当の過程中に、電子コア15内の時間回路を電気駆動部14に対応するマルチプレキサ21の左側の連結点に電気的に接続することができる。それから、選択信号をマルチプレキサ21に印加してマルチプレキサ21に、時間回路から出力される時間制御信号を3番の連結点を介して電気駆動部14に伝送せしめることができる。このような方式により、電気駆動部14は、時間制御信号に基づいて動作することができる。このように、プログラマブルロジックユニットは、電子コア15の内部回路とマルチプレキサとの間に連結経路を指定したり割り当てたりすればよい。このため、プログラマブルロジックユニットのレイアウトを簡略化させることができる。
【0027】
上述したように、電子コア15の外部表面上の2次元接続点150は、設定可能な接続点であってもよい。本発明において、接続点150の使用は、3名の当事者、すなわち、1)腕時計の製造者、2)最終ユーザ及び3)時計店の作業者によって指定または割当可能である。この詳細については、後述する。
【0028】
腕時計の製造または組立時に、時計製造者は、電子コア15の内部回路と接続点150との間の連結経路を指定するために、プログラマブルロジックユニットを用いて各接続点150の使用を割当または指定することができる。例えば、腕時計の製造者が電子コア15の外部表面上の接続点150のうちのいずれか一つに電気駆動部14のピンを連結した後に、プログラマブルロジックユニットを用いて、電子コア15内の時間回路が前記一つの接続点150を介して電気駆動部14に電気的に接続されるように前記一つの接続点150を指定することができる。このため、時間回路から出力される制御信号は、前記一つの接続点150を介して電気駆動部14に伝送可能である。
【0029】
また、本発明において、腕時計のユーザは、時計が工場から出荷された後にも各接続点150の使用を再指定したり再割当したりすることができる。具体的に、前記プログラマブルロジックユニットを用いることにより、腕時計のユーザは、他の回路に対応する他の物理的接続点150に電気駆動部14を電気的に接続することができ、または、電気駆動部14に接続される接続点150を前記他の回路に対して再指定したり再割当したりすることができる。例えば、腕時計のユーザが所有する携帯装置(例えば、スマートフォン、タブレットなど)は腕時計と通信することができる(例えば、無線通信を介して)。携帯装置がメッセージ(例えば、インスタントメッセージ)を受信すれば、携帯装置は、無線通信を介して腕時計のプログラマブルロジックユニットに、電気駆動部14が他の回路に電気的に接続されるように接続点150の連結の指定または割当を変更することを知らせる。このような方式により、元々は時刻情報を知らせるために用いられる時計針を完全に異なるように動作させる(例えば、スイング動作させる)ことにより、新規なメッセージの受信をユーザに知らせるのに用いることができる。
【0030】
すなわち、腕時計は、無線通信(例えば、ブルーテゥース、WI−FIなど)を介して外部から指令を受信することができる。電子コア15の内部回路と接続点150との間の連結経路は外部から入力された指令によって調整されて、電気駆動部14が特定の回路(例えば、メッセージが受信されていることを知らせるのに用いられる回路)に電気的に接続されるようにする。電気駆動部14は、特定の回路によって出力された信号を、現在時刻を示すためのインジケータ13の動作とは異なる特定の方式によって(例えば、所定のスイング動作、不規則的なスイング動作及び特定の信号に基づいて行われるスイングなど)インジケータ13が駆動するように制御することができる。
【0031】
連結経路を変更することにより、電気駆動部14は、インジケータ13を他の動作をさせる他の回路に容易に連結され得る。これにより、腕時計により多くの機能が提供され、これにより、多くの独創的な機能が開発され得る。例えば、時計針がリズムに合わせてスイングすることができる。また、腕時計のインジケータ13は、電気モータに連結されないこともある。このような類型のインジケータ13(例えば、薄型スピーカ、発光ダイオード(LED)及び小型ディスプレイなど)は、2次元接続点150を介して内部回路に連結されて、内部回路の出力信号に基づいて動作することができる。周知のように、多くの新たな特徴や機能を有する腕時計が、本発明によって開発可能である。
【0032】
また、時計店において働く従業人もまた、電子コア15の外部表面上の各接続点150の使用を割当または指定することができ、電子コア15の内部回路と各接続点150との間の連結経路を、プログラマブルロジックユニットを用いて調整または変更することができる。腕時計のユーザは、時計店から新たなダイアル、インジケータ及び/または電気駆動部を購入し、この他のダイアルまたはインジケータを用いて元の腕時計に入っていたものを取り替えることができる。ダイアルまたはインジケータを取り替えることにより、電気駆動部14に対応していた元の接続点を他のものに変更することができる。この場合、時計店の作業者は、このような課題を容易に解決するために、プログラマブルロジックユニットを用いて、連結の指定または割当を変更することができる。したがって、腕時計のユーザは、非常に手軽に元の腕時計のダイアル計器(メーター)またはインジケータを他のデザインに取り替えることができる。これは、市場において顧客を誘致可能な立派な誘引策となる。
【0033】
さらに、本発明の電気駆動部14は、インジケータ13に直間接的に且つ機械的に連結可能である。一実施形態において、電気駆動部14は、インジケータ13に直結される駆動シフト(図面に参照符号を附していない)を有する。このような方式により、電気駆動部14は、インジケータ13を直接的に駆動することができる。他の実施形態において、電気駆動部14は、駆動シフトと、この駆動シフトに機械的に連結される搬送メカニズム(図示せず)と、を有する。駆動シフトは、搬送メカニズムを介してインジケータ13に接続される。このような方式により、電気駆動部14は、搬送メカニズムを介してインジケータ13を駆動する。
【0034】
図7は、
図1の電子コア15を示す構成図である。一実施形態において、電子コア15は、パッケージ基板30と、ロジック部31と、メモリ部32及び電力管理部33を備えていてもよい。電子コア15はまた、受動素子34を備えていてもよい。パッケージ基板30は、薄膜基板であるが、電子コア15の外部表面の上に2次元接続点150を形成するように外部に展開された多数の接合パッドを有する多層配線基板であることが好ましい。多層配線基板30は、ロジック部31と、メモリ部32と、電力管理部33及び受動素子34を電気的に接続する役割を果たす。これらの構成要素31〜34は、半田付けによって多層配線基板30に取り付けられてもよい。
【0035】
ロジック部31は、プロセッサまたはプログラマブルICによって実現することができる。メモリ部32は、不揮発性メモリ(例えば、NADAフラッシュメモリ)と、同期式ダイナミックランダムアクセスメモリ(SDRAM)とを備えていてもよい。受動素子34(例えば、キャパシタ)は、ロジック部31と電源管理部33との間に連結されてもよい。電力管理部33は、実際の需要に応じて電力の供給を担当する。
【0036】
この実施形態において、メモリ部32は、封止材料310によって封止されてもよく、この封止されたメモリ部はロジック部31に積層される。電力管理部33もまた、封止材料330によって予め封止されてもよい。最終的に、主封止材料300を用いて、ロジック部31と、メモリ部32と、電力管理部33及び受動素子34を単一の工程において単一のパッケージに仕上げる。この単一のパッケージは、販売用の電子部品として供給される。
【0037】
以上、あらゆる面において、本発明の電子コア15は、腕時計用の汎用電子コアになり得る。腕時計の製造者は、このような汎用電子コアを採用することにより、様々な時計デザインをすることが便利であり、これにより、製品開発サイクルを短縮することができる。また、本発明は、異なる時計デザインに対応して電子コアを開発しなければならないという従来の問題を解決する。なお、汎用電子コアを用いることにより、腕時計の組立が簡単且つ迅速に行われる。
【0038】
図8は、本発明の腕時計内の拡張回路を示す構成図である。本発明において、複雑な機能を有する時計を開発するために電子コア15を周辺電子の構成要素に連結することができる。例えば、ロジック部31には、プログラマブルロジックモジュール、ブルーテゥースモジュール、GPSモジュール、WIFIモジュール、GSMモジュール、タッチ制御モジュール、LED制御モジュール、オーディオ/ビデオモジュール、ディスプレイモジュール、MEMS磁力計、FMモジュール、USBホストコントローラ、汎用I/O(GPIO)などを連結することができる。さらに他の側面において、電力管理部33には、DC電源と、スイッチと、バッテリまたはその他の所要部品を連結することができる。
【0039】
図9に示すように、電子コア15の外部表面上の接続点には、2次元接続点150(点線にて表示した範囲内に位置する接続点)が含まれるだけではなく、不均一にまたは不規則的に分布された接続点155、例えば、電源接続点、GPIO接続点及び2次元接続点150の使用を割当または指定するのに用いられるプログラマブルロジックモジュールの信号入力/出力接続点が含まれ得る。
【0040】
本発明はまた、腕時計の製造方法を提供する。腕時計の構造に関する前記説明に結び付けて
図10のフローチャートを参照する。先ず、ダイアル12及びインジケータ13を設計するが(ステップS10)、ここで、インジケータ13のデザインは、ダイアル12のデザインと調和される。ダイアル12とインジケータ13のデザインは、本発明においては特に制限されない。すなわち、本発明において、腕時計の製造者は自由にダイアル12及びインジケータ13を設計することができる。次いで、電子コア15を用意する(ステップS12)。上述したように、電子コア15は、内部に基本回路(ロジック部31と、メモリ部32及び電力管理部33など)が封止され、その外部表面の上には2次元接続点150が分布される。次いで、電気駆動部14を配置する(ステップS14)。電子コア15の外部表面上における少なくとも一つの電気駆動部14の位置は、インジケータ13の位置に応じて設計される。上述したように、電気駆動部14は、インジケータ13を駆動してインジケータ13を適切に動作させるために用いられる。このため、電気駆動部14の位置は、インジケータ13の位置と一致する必要がある。
【0041】
次いで、電気駆動部14のピンを電子コア15の接続点150のうちの一つに連結する(ステップS16)。このステップにおいては、表面実装技術を用いて電気駆動部14のピンが電子コア15の外部表面上の接続点150のうちの少なくとも一つに接続されるようにすることができる。
【0042】
次いで、各接続点150の使用を指定または割り当てる(ステップS18)。具体的に、電気駆動部14が電子コア15内の特定の回路に電気的に接続されるように、電子コア15の内部回路と電子コア15の外部表面上の2次元接続点150との間の連結経路を割当または指定する。すなわち、特定の回路が電気駆動部14を駆動または制御できるように、電気駆動部14に連結された接続点を特定の回路に割り当てる。最後に、前記全ての構成要素(例えば、ダイアル12、インジケータ13、電気駆動部14及び電子コア15)を時計ケース11に組み込んで腕時計の組立を完了する(ステップS20)。
【0043】
上述したように、腕時計にはまた、通信部(例えば、無線通信要素)を配置することができる。この通信部を介して外部から指令を受信することにより、電気駆動部14が他の特定の回路に電気的に接続されるように電子コア15の内部回路と各接続点150との間の連結経路を調整することができる。
【0044】
以上において、2次元接続点を採用することにより、本発明は、腕時計の製造または組立時の互換性と便利性を大幅に向上させることができる。腕時計の製造者は、本発明の電子コアを採用する限り、様々な類型の腕時計を開発することができる。また、本発明は、腕時計のユーザに、電子コアの内部回路と電気駆動部との間の連結経路を調整せしめる。このため、本発明によれば、多くの新規な機能を有する腕時計を開発することができる。
【0045】
図11Aは、本発明に係る腕時計のための電子式クラウンを示す概略図である。上述したように、電子コア15の外部表面上の接続点は、均一に分布された接続点150だけではなく、不均一にまたは不規則的に分布された接続点155(
図9参照)も備えていてもよい。本発明の実施形態において、インジケータ13の状態を調整または変更するために、例えば、時針及び/または分針の位置を調整して時刻情報を修正するために、電子式クラウンからの電子信号は電子コア15の外部表面上の接続点150または155(すなわち、2次元接続点150のうちの一つの接続点、または、不規則的に分布された接続点155)を介して電子コア15に出力されてもよく、電気駆動部14は、均一に分布された接続点150のうちの一組の接続点に対応する。好適な実施形態において、電子式クラウンから出力される電子信号は、不規則的に分布された接続点155を介して電子コア15に出力されてもよい。
【0046】
図11Aに示すように、本発明の電子式クラウンは、回転部42と、この回転部42に結合されたセンサー44とを備える。センサー44は、回転部分441及び検出部分442を有する。腕時計のユーザが回転部42を回転することにより、センサー44の回転部分441が回転する(例えば、円運動)。センサー44の検出部分442は固定または係合されている。検出部分442は、時計針の位置を調整するために、回転部分441の回転に応答して電子信号を生成して送出することができる。
【0047】
電力によって駆動される時計において、時計針の位置調整は、主として、従来の技術によってボタンを押したりギアを回したりすることにより行われる。本発明に係る腕時計の電子式クラウンは、現在時刻を調整するときに機械式時計と同様に動作したり動いたりすることができる。このため、機械式時計と同じ外観とユーザ機能を有する腕時計を開発することにより、機械式模倣型時計を達成することができる。
【0048】
一実施形態において、センサー44の検出部分442は、
図11Aに示すように、電子コア15の外部表面の上に不規則的に分布された接続点155のうちの一つに対応する位置に配置されてもよい。他の実施形態において、センサー44の検出部分442は、プリント回路基板(PCB)などの回路基板(図示せず)の上に配置されて配線を介して電子コア15上の接続点155のうちの一つに連結されてもよい。また、センサー44の検出部分442から出力される検出信号は、接続点155ではない接続点150のうちの一つを介して電子コア15に出力されてもよいことを留意すべきである。
【0049】
図11Aに示すように、電子式クラウンの回転部分441は、第1の下位部401と第2の下位部402を有していてもよく、2以上の下位部を有していてもよい。各下位部401、402は、円の円周に沿って配置される。各下位部401、402は物理的特性を有しているが、これらの下位部401、402は、このような物理的特性に対して異なる物理量(例えば、誘電定数、抵抗及び透磁率)を有する。下位部401、402が検出部分442に対して相対的に回転すれば、検出部分442は、円周上における第1の下位部401と第2の下位部402の位置変更による異なるレベルの電子信号を検出する。
【0050】
例えば、
図12Aに示すように、第1の下位部401及び第2の下位部402が対称状に配列されるとき、検出部分442は2種類の異なるレベルの電子信号(
図12Aにおける波線Lの左側にある波形)を検出する。
図12Bに示すように、第1の下位部401及び第2の下位部402が非対称状に配列されるとき、検出部分442は3種類の異なるレベルの電子信号(
図12Aにおける波線Lの左側にある波形)を検出する。電子コア15が検出部分442から出力された電子信号を受信すれば、電子コア15は、インジケータ13の位置を調整するために当該調整信号を出力することができる。
図12Bに示す実施形態において、ユーザが電子式クラウンを時計回り方向にまたは反時計回り方向に回すと、反対波形の電子信号が生成され得る。このような方式により、時計針が時計回り方向に、且つ、反時計回り方向に動作することを容易に制御することができる。
【0051】
他の側面において、ユーザが回転部42を押して引っ張ると、電子式クラウンの回転部分441が回転軸に沿って移動することができ、第1の下位部401は、第2の下位部402とともに、回転軸上の第1の特定の位置(
図11A参照)及び第2の特定の位置(
図11B参照)に留まる。第1の下位部401及び第2の下位部402が第1の特定の位置に留まって回転する場合、検出部分442によって検出される電子信号は、
図12A(または、
図12B)の破線Lの左側に示す波形とほとんど同様である。第1の下位部401及び第2の下位部402が第2の特定の位置に留まって回転する場合、検出部分442によって検出される電子信号は、
図12A(または、
図12B)の破線Lの右側に示す波形とほとんど同様である。すなわち、第1の下位部401及び第2の下位部402が第2の特定の位置に留まるときには、検出部分442は相対的に弱い信号を検出するが、この検出された信号の電圧レベルは相対的に低い。このような方式により、電子コア15は異なる信号波形をもって、異なる針またはインジケータを制御することができる。例えば、第1の特定の位置に回転部分441が留まるようにユーザが回転部42を押す場合に、時針の位置を調整することができる。第2の特定の位置に回転部分441が留まるようにユーザが回転部42を押す場合には、分針の位置を調整することができる。
【0052】
具体的に、一実施形態において、第1の下位部401及び第2の下位部402は異なる誘電定数を有する個体である。検出部分442は、例えば、両電極間の静電容量を検出するための静電容量検出要素を備える。静電容量は、第1の下位部401及び第2の下位部402が位置する異なる位置に応じて変化可能である。静電容量が変化するとき、検出部分401は、電子信号の異なる電圧レベルを検出する。他の実施形態において、回転部分441の第1の下位部401及び第2の下位部402は、別個の磁気強度を有する磁性材料であってもよい。検出部分442は、導電性コイルを有する。第1の下位部401及び第2の下位部402が回転すれば、検出部分442の導電性コイルは磁束の変化によって電流を生成することができる。このため、別個の電圧レベルを有する電子信号が生成される。さらに他の実施形態において、回転部分441の第1の下位部401及び第2の下位部402は、異なる透磁率を有する個体であってもよい。検出部分442は、電流が印加されるコイルを有する。コイルによって生成された磁場によって、第1の下位部401及び第2の下位部402は、異なる大きさの磁場を生成する。このため、磁場の変化を検出することにより、別個の電圧レベルの電子信号が生成され得る。本発明において、電子式クラウンのセンサー44は、静電容量、インダクタンス、抵抗、電場または磁場を検出することにより、電子信号を出力することができる。
【0053】
図13A及び
図13Bを参照する。前記実施形態において説明した電子式クラウンはまた、ディスプレイ51(例えば、液晶表示装置など)を有する腕時計にも適用することができる。時間関連情報がディスプレイ51の画面に表示される。例えば、ディスプレイ51は、画面上に時計針と時間目盛を表示するか、あるいは、デジタル数字で現在時刻を表示する。スマート腕時計は、画面に現在時刻を表示する機能だけではなく、他の機能を有することができ、メニュー52を用いてディスプレイ51の画面にこれらの機能(例えば、項目53)または他の設定を並べることができる。腕時計の電子式クラウン40は、項目53を選択し、選択された項目53を確認するのに用いることができる。
【0054】
ユーザが電子式クラウン40を回すと、電子式クラウン40は電子信号を送出し、この電子信号は、ディスプレイ51を制御してメニュー52に並べられた項目53を選択するのに用いられる。例えば、ユーザが電子式クラウン40を回す度に、メニュー52の項目53が上から下へとその次の位置に移動し、このようにして他の項目53の位置が変わり、選択された項目53はまた拡大される。電子式クラウン40が反対方向に回転すれば、項目53は、
図13Aに示すように、下から上に移動する。他の例において、メニュー52の項目53は、
図13Bに矢印にて表示した方向に沿って移動することができる。また、ユーザが電子式クラウン40を押したり引っ張りすれば、選択された項目53が確認され、この選択された項目53に連携された機能または設定が実行される。
【0055】
以上、本発明の好適な実施形態を開示して詳細に説明したが、当業者はこれに対する種々の修正及び変更を行うことができる。このため、本発明の実施形態は例示に過ぎず、制限的なものではない。本発明は、開示された特定の形態に限定されてはならず、本発明の思想及び範囲を維持するあらゆる修正及び変更は、添付の特許請求の範囲に指定された範囲内に含まれるものと意図された。