特許第6050300号(P6050300)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エレクトロニクス アンド テレコミュニケーションズ リサーチ インスチチュートの特許一覧

特許6050300無線通信システムにおけるパワーセービング方法
<>
  • 特許6050300-無線通信システムにおけるパワーセービング方法 図000003
  • 特許6050300-無線通信システムにおけるパワーセービング方法 図000004
  • 特許6050300-無線通信システムにおけるパワーセービング方法 図000005
  • 特許6050300-無線通信システムにおけるパワーセービング方法 図000006
  • 特許6050300-無線通信システムにおけるパワーセービング方法 図000007
  • 特許6050300-無線通信システムにおけるパワーセービング方法 図000008
  • 特許6050300-無線通信システムにおけるパワーセービング方法 図000009
  • 特許6050300-無線通信システムにおけるパワーセービング方法 図000010
  • 特許6050300-無線通信システムにおけるパワーセービング方法 図000011
  • 特許6050300-無線通信システムにおけるパワーセービング方法 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6050300
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】無線通信システムにおけるパワーセービング方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 74/04 20090101AFI20161212BHJP
   H04W 72/04 20090101ALI20161212BHJP
   H04W 52/02 20090101ALI20161212BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20161212BHJP
【FI】
   H04W74/04
   H04W72/04 111
   H04W52/02
   H04W84/12
【請求項の数】4
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-239249(P2014-239249)
(22)【出願日】2014年11月26日
(62)【分割の表示】特願2012-536684(P2012-536684)の分割
【原出願日】2010年10月28日
(65)【公開番号】特開2015-80230(P2015-80230A)
(43)【公開日】2015年4月23日
【審査請求日】2014年12月24日
(31)【優先権主張番号】10-2009-0103008
(32)【優先日】2009年10月28日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】596099882
【氏名又は名称】エレクトロニクス アンド テレコミュニケーションズ リサーチ インスチチュート
【氏名又は名称原語表記】ELECTRONICS AND TELECOMMUNICATIONS RESEARCH INSTITUTE
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100096921
【弁理士】
【氏名又は名称】吉元 弘
(72)【発明者】
【氏名】リー、イル‐グ
(72)【発明者】
【氏名】リー、ソク‐キュ
(72)【発明者】
【氏名】チュン、ヒュン‐キュ
(72)【発明者】
【氏名】キム、テ‐シク
【審査官】 田部井 和彦
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−532040(JP,A)
【文献】 特開2009−171506(JP,A)
【文献】 特開2006−157733(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/120979(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0147322(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
H04L 12/28
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線ローカルエリアネットワークにて、チャネルにアクセスする方法であって、
送信先ステーションにより、複数の送信要求(RTS)フレームがボンディングされた1つのフレームを送信元ステーションから第1のバンド幅で受信するステップと、
前記複数のRTSフレームに応答して、前記送信先ステーションにより、複数の送信クリア(CTS)フレームを前記送信元ステーションへ第2のバンド幅で送信するステップと、を備え、
前記第1のバンドは、複数の第1の20MHzバンドを含み、前記複数のRTSフレームのそれぞれは、前記複数の第1の20MHzバンドのそれぞれと対応し、
前記第2のバンドは、複数の20MHzの第2のバンドを含み、前記CTSフレームは、前記複数の20MHzの第2のバンドのそれぞれと対応し、
前記複数のRTSフレームのそれぞれは、第1の伝送モード情報が存在するか否かを表すダイナミックチャネルバンド幅割り当てビットを含み、
前記ダイナミックチャネルバンド幅割り当てビットが、前記伝送モード情報が存在することを表す場合、前記複数のRTSフレームのそれぞれは、前記複数の第1の20MHzバンドのバンド幅の全体を示す前記第1の伝送モード情報を含
前記複数のCTSフレームのそれぞれは、前記複数の第2の20MHzバンドのバンド幅の全体を示す第2の伝送モード情報を含む、方法。
【請求項2】
各RTSフレームにおける前記第1の伝送モード情報は、40MHz,80MHzおよび160MHzのうちの1つを示す、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
無線ローカルエリアネットワークにて、チャネルにアクセスする装置であって、
伝送回路と、
前記伝送回路に結合され、
複数の送信要求(RTS)フレームがボンディングされた一つのフレームを送信元ステーションから第1のバンドで受信するとともに、
前記複数のRTSフレームに応答して、複数の送信クリア(CTS)フレームを前記送信元へ第2のバンドで送信する
ように構成された制御部と、を備え、
前記第1のバンドは、複数の第1の20MHzバンドを含み、前記複数のRTSフレームのそれぞれは、前記複数の第1の20MHzバンドのそれぞれと対応し、
前記第2のバンドは、複数の20MHzの第2のバンドを含み、前記CTSフレームは、前記複数の20MHzの第2のバンドのそれぞれと対応し、
前記複数のRTSフレームのそれぞれは、第1の伝送モード情報が存在するか否かを表すダイナミックチャネルバンド幅割り当てビットを含み、
前記ダイナミックチャネルバンド幅割り当てビットが、前記伝送モード情報が存在することを表す場合、前記複数のRTSフレームのそれぞれは、前記複数の第1の20MHzバンドのバンド幅の全体を示す前記第1の伝送モード情報を含
前記複数のCTSフレームのそれぞれは、前記複数の第2の20MHzバンドのバンド幅の全体を示す第2の伝送モード情報を含む、装置。
【請求項4】
各RTSフレームにおける前記第1の伝送モード情報は、40MHz、80MHzおよび160MHzのうちの1つを示す、請求項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高速無線通信システムのリソース活用率を高め、且つ電力消費を減らすための方法及び制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムが発展し、移動中に利用可能な高容量マルチメディアコンテンツに対する需要が増加するに応じて、無線通信システムは、送信速度を向上させる努力を傾けてきた。高速移動中にインターネットを用いるためのワイブロ(Wibro)及び低速移動中に高画質映像の実時間鑑賞が可能な無線LAN(Wireless LAN)が代表的な例である。例えば、無線LANは、IEEE802.11a/g標準では単一アンテナで2.4GHz或いは5GHz帯域で20MHz帯域幅を用いて54Mbps物理階層送信速度が可能になった。また、IEEE802.11n標準では最大4個のアンテナと40MHz帯域幅までサポート可能であり、600Mbps物理階層(Physical Layer)送信速度(Data Rate)をサポートしている。
【0003】
現在、より高い送信速度を保障するための次世代無線LAN(Next Generation Wireless LAN)として802.11n標準の次のバージョンに対する標準化が論議されている。通常、IEEE802.11n標準をHT(High Throughput)モードと呼び、IEEE802.11a/b/g標準をレガシ(Legacy)モードと呼ぶ。反面、IEEE802.11ac/adで新たに議論中である標準は、VHT(Very High Throughput)モードと呼ばれる。
【0004】
高速のデータを信頼性が高いように処理するために、最新無線通信システムは、過去の技術に比べて複雑になっている。送信速度向上技術として複数個のチャネルを束ねて送信するチャネルボンディング技術が適用され、より高い高次元変調方式とチャネルコーディング方式が導入され、多重アンテナを使用して送信速度を高める技術からひいては多重ユーザに同時に送信する技術が研究開発されている。このような複雑な送受信技術のため無線通信システムのサイズが大きくなって回路が複雑になっている。それだけでなく、高速のデータ送信のために、従来より広い帯域幅を使用してデータを送信することによって、デジタル−アナログ変換器(Digital−to−Analog Converter)とアナログ−デジタル変換器(Analog−to−Digital Converter)、モデムプロセッサの要求動作周波数(Required Operating Frequency)が増加された。このような技術的な背景に制限された周波数リソースを効率的に使用し、ノイズを減らすための受信機最適化技術として動的チャネル帯域幅活用技術及び高速データ送信が可能な無線通信システム設計のための低電力設計(Low Power Design)が重要な関心事になった。
【0005】
また、無線LANは、制限された周波数帯域で動作するようになり、160MHz帯域幅(20MHz帯域8個ボンディング)は相対的に相当広い帯域であり、このため干渉及び多様な標準をサポートする端末間の共存(Coexistence)問題が発生する。このような多重送信モードフレームを信頼性が高いように検出するために、データフレーム前の先行情報を制御フレームを介して端末に知らせることによって受信端を最適化させる技術が要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明では物理階層とMAC階層で同時に低電力設計する技術と低電力技術の効率性を向上させるための送信方法及びその制御装置を提供する。
【0007】
また、次世代無線LANで使用するチャネル帯域幅によってアナログ−デジタル変換装置又はデジタル−アナログ変換装置とモデムプロセッサのサンプリング速度及びモデムプロセッサのサンプリング速度を制御して電力消費効率を向上させるための方法及びその制御装置を提供する。
【0008】
また、本発明ではノイズを節減して受信端の構成を受信するフレームの種類によって最適化させるための先行情報を制御フレームに含んで送信する方法及び装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施例に係る方法は、互いに異なる二つ以上の帯域幅送信モードを有する無線通信システムにおけるフレーム送信方法であって、要求フレーム送信時、チャネル状態情報又は送信するデータフレームモード情報を含んで送信する過程;及び、受信ノードから、チャネル状態情報又は前記受信可能なデータフレームモード情報を含む前記要求フレームに対する応答フレーム受信時、前記応答フレーム受信時に含まれたチャネル状態情報或いは受信可能なデータフレームモード情報に基づいて前記データフレームを生成して送信する過程;を含む。
【0010】
本発明の他の実施例に係る方法は、互いに異なる二つ以上の帯域幅送信モードを有する無線通信システムにおけるパワーセービング方法であって、制御フレーム受信時、前記帯域幅モードのうち最も低いサンプリング速度を有するモードに制御フレームを受信するように設定して前記制御フレームを受信する過程;及び、前記制御フレーム受信後、データパケットを送/受信のために最も高いサンプリング速度を有するモードに前記データパケットを送/受信するように設定して前記データパケットを送/受信する過程;を含む。
【0011】
本発明の他の実施例に係る方法は、キャリアセンシングを介してデータの送/受信を実行する無線通信システムにおけるパワーセービング方法であって、前記キャリアセンシングが必要ないドーズモード(Doze Mode)で前記ドーズモード解除のためのタイマにのみ電源を投入し、物理階層とMAC階層全体に電源を遮断する過程;前記キャリアセンシングが必要な場合、前記キャリアセンシングに必要な物理(PHY)階層とMAC階層にのみ電源を投入する過程;及び、前記キャリアセンシング後、データ送/受信が必要な場合、データ送/受信に必要な経路にのみ電源を投入する過程;を含む。
【0012】
本発明の他の実施例に係る方法は、互いに異なる二つ以上の送信モードを有し、キャリアセンシングを介してデータの送/受信を実行する無線通信システムにおけるパワーセービング方法であって、前記キャリアセンシングが必要ないドーズモード(Doze Mode)で前記ドーズモード解除のためのタイマにのみ電源を投入し、物理階層とMAC階層全体に電源を遮断する過程;前記キャリアセンシング必要時、前記互いに異なるモードのうち最も低いサンプリング速度を有するモードにキャリアセンシングするように設定して前記キャリアセンシングを実行する過程;及び、前記キャリアセンシング後、データパケットの送/受信のために最も高い送信率を有するモードに前記データパケットを送/受信するように設定して前記データパケットを送/受信する過程;を含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明の構成によると、高速無線通信システムの動作モードとフレームフォーマットによって端末のサンプリング速度と電源供給ブロックを選択的に変換することによって電力消費効率を向上させることができる。また、本発明を使用することによって従来のMAC階層を制御することによって低電力モードの短所を補完することができ、より広い帯域幅を使用すると同時に複雑になる次世代無線LANの電力消費効率を向上させることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1a】3個の受信経路を有する無線通信端末のブロックダイアグラムである。
図1b】3個の受信経路を有する無線通信端末のブロックダイアグラムである。
図2】本発明による低電力モード変換遷移によるフローチャートである。
図3】本発明による四つの受信モードの動作原理の理解のためのタイミング図である。
図4】クロス階層低電力モード2の状態遷移図である。
図5】本発明による電力を調整ステップの理解のためのタイミングダイアグラムである。
図6】本発明の実施例に係る多重チャネル低電力モード時の遷移過程によるフローチャートである。
図7】本発明の他の実施例によってノイズ節減及び多重モードフレームの共存のためのタイミング図を示す。
図8】本発明の他の実施例によってノイズ節減及び多重モードフレームの共存のためのタイミング図を示す。
図9】共存基本サービスセット(OBSS;Overlapped Basic Service Set)状況で本発明の動作を説明するための図面である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施例の詳細な説明は、添付図面を参照して説明する。下記説明で具体的な特定事項が開示されており、これは本発明をより全般的に理解するために提供されたものである。また、本発明の説明において、関連した公知機能或いは構成に対する具体的な説明が本発明の要旨を不明にすると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0016】
本発明は、高速無線通信システムのための電力消費効率向上方法及び制御技術に関する。本発明は、大きく三つの構成要素に分けられ、各々の構成要素は、独立的に動作可能であり、或いは連動されて動作可能である。第1は、三つのクロス階層低電力モードであり、第2は、低電力モードの効率性向上のための送信方法、第3は、多重チャネル低電力モード(Multi Channel Power Save Mode;MC PS Mode)と空間多重化低電力モード(Spatial Multiplexing Power Save Mode;SM PS Mode)を用いた低電力技術である。
【0017】
まず、一般的なCMOS回路の消費電力(Power Consumption;P)に対して説明する。CMOS回路の消費電力(P)は、下記数式1のようにモデリングされる。
【0018】
【数1】
【0019】
数式1で、Pdynamicは動的消費電力量(Dynamic Power Consumption)を意味し、Pstaticは静的消費電力量(Static Power Consumption)を意味し、Cはスイッチングされる総電気容量(Switched Total Capacitance)を意味し、VSigは電圧スイング幅(Voltage Swing)を意味し、VDDは供給電力(Supply Power)を意味し、fは動作周波数(Operating Frequency)を意味し、nはクロック当たり一つのフリップフロップ(Flip−Flop)が遷移される回数を意味する。
【0020】
前記数式1によると、Pdynamicは、スイッチングされる総電気容量、電圧スイング幅、供給電力、動作周波数、クロック当たり一つのフリップフロップが遷移される回数に比例する。また、Pstaticは、接地或いは供給電力の残余電流(Residual Current)と熱雑音(Thermal Noise)及び工程による電流により決定される。即ち、消費電力の決定においてPstaticも重要な要素であるが、Pstaticは半導体工程及び産業ベースの技術により決定される値である反面、Pdynamicはシステム設計によって変わる値である。システム設計者の立場では動的消費電力量を減らすのが低電力システム設計の目標である。
【0021】
現在、議論中であるVHTモードは8個アンテナ或いは16個のアンテナまで利用可能であり、80MHz帯域幅をサポートするようになる可能性が高い。例えば、中継アクセスポイントは16個のアンテナを使用し、端末は4個のアンテナを使用し、多重ユーザ多重アンテナ(Multi−User Multiple Antenna)技術を適用することができ、最大160MHz帯域幅を用いて多重チャネル送信(Multi−Channel Transmission)技術を適用することができるようになる予定である。
【0022】
従って、VHT標準端末は、従来標準端末の2倍〜8倍のアンテナ個数と帯域幅を有するようになる。アンテナ増加による送信経路の増加は、回路及びチップサイズの増加を意味し、これは消費電力の増加を招く。また、使用する帯域幅の増加は、要求動作周波数の増加を意味し、同様に消費電力が増加するようになる。
【0023】
従来の802.11a/b/g/n無線LAN標準で使われた低電力技術は、802.11レガシPSM、802.11e APSD(Automatic Power Save Delivery)、802.11n PSMP(Power Save Multi Poll)、SM(Spatial Multiplexing)低電力モードなどを使用してきた。従来の技術は次のような問題点がある。
【0024】
第1に、アウェイクモード(Awake Mode)端末は、常に受信待機状態でなければならない。第2に、PSM、APSD、PSMP方式は、別途の制御信号と大きいバッファサイズを要求する。第3に、MACレベル低電力技術は、応答遅延時間が所要される。第4に、IEEE802.11n SM低電力モード方式は、多重アンテナシステムの場合には効果的であるが、単一経路回路の消費電力効率が悪い。第5に、VHTモードは、80MHz帯域幅を使用する可能性が大きく、この場合、アナログ−デジタル変換器とデジタル−アナログ変換器のサンプリング速度は160MHz以上が必要であり、これは従来の11a/gと比較した時4倍である。第6に、消費電力は、動作周波数と回路サイズに比例するため、動作周波数とトグリング回数及び動作される回路数を最小化しなければならず、従来技術には限界がある。
【0025】
このような従来の低電力技術は、MAC階層で実行されたが、前述したように、より複雑になったシステムの電力消費効率を向上させて移動可能な端末のバッテリ充電周期を延長するためには、物理階層技術を使用してMAC階層の低電力技術が有する問題点を補完するクロス階層低電力(Cross Layer Power Save)技術が要求される。
【0026】
従って、本発明では、まず、本発明の1番目の構成要素である低電力技術に対して説明する。物理階層とMAC階層の低電力モード技術を同時に使用して電力消費効率を向上させるために、本発明の構成では‘クロス階層低電力モード(Cross Layer Power Save Mode;CL PS Mode)’を低電力モードと表現して説明する。
【0027】
1.クロス階層低電力モード1
【0028】
端末は、アウェイク区間の受信待機状態で、アナログ−デジタル変換器或いはデジタル−アナログ変換器及びモデムプロセッサの動作周波数を最小化して動的消費電力の消費効率を向上させる。レガシモードは20MHz帯域幅を使用し、HTモードは40MHz帯域幅まで可能であり、VHTモードは80MHz帯域幅までサポート可能である。通常、RTS(Request to Send)とCTS(Clear to Send)フレームは、レガシ端末も受信可能になるようにレガシモードに送信するため、RTS/CTS送受信時にはアナログ−デジタル変換器及びデジタル−アナログ変換器を40MHzサンプリング速度に動作周波数を使用し、データフレームがVHTモードの場合、80MHz帯域幅までサポートするために160MHzサンプリング速度を使用し、HTモードの場合、40MHz帯域幅までサポートするために80MHzサンプリング速度を用い、レガシモードの場合、そのまま40MHzサンプリング速度の動作周波数を送信するデータフォーマットによって転換することによって電力消費効率を向上させることができる。
【0029】
この時、同時にアナログ−デジタル変換器とデジタル−アナログ変換器の動作周波数が変わっても、ベースバンド信号(Baseband Signal)がデジタルモデムで正常に処理されるために、RF帯域制限フィルタ幅(Filter Bandwidth)を制御し、補間器(Interpolator)とデシメータ(Decimator)の動作周波数を制御する過程を含む。本発明による方法は、要求フレーム(Request Frame)と応答フレーム(Response Frame)、例えば、RTSとCTS或いはACKフレームなどの制御パケットによりモードが制御される方法及び制御装置を含む。即ち、本発明による第1のクロス階層低電力モードを使用することによって要求/応答パケット送受信前の受信待機状態でアナログ−デジタル変換器とデジタル−アナログ変換器の動作周波数、モデムプロセッサの動作周波数を最適化することによって動的消費電力効率を向上させることができる。
【0030】
以下、これに対する方法を具体的に説明する。
【0031】
レガシ/HT/VHT混合モード基本サービスセットでは要求/応答フレームなどの制御信号を送受信する場合、互換性のために通常レガシモードフォーマットで送信する。従って、このような場合、アウェイクモードで受信待機状態にある端末は、アナログ−デジタル変換器のサンプリング速度を40MHzに設定して消費効率を向上させる。
【0032】
この時、RFの中心周波数とアナログ帯域制限フィルタが再構成されることができる。
また、デジタルフィルタの帯域制限フィルタが再構成されることができる。また、同時に受信部のデシメータの動作周波数が再構成される。
【0033】
送信部の場合、RTS/CTSを送信する時、デジタル−アナログ変換器のサンプリング速度を40MHz帯域幅に低めて送信する。また、受信部と同様に、送信部でRF中心周波数とアナログ帯域制限フィルタ、デジタル帯域制限フィルタが再構成されることができる。また、同時に送信部の補間器の動作周波数が再構成される。
【0034】
以後、要求/応答フレームを送受信した端末は、データパケットを送受信するためにサポート可能な最大の動作周波数に転換される。この時、ACKを成功的に受信した端末は、送信機会区間が終わると、再び低電力モードに転換される。また、ACKを送信して再送信が無いことを確認した端末は、再び低電力モードに転換される。以上で説明した本発明のクロス階層低電力モード1は、従来の技術と共に使われることができる。
【0035】
2.クロス階層低電力モード2
【0036】
端末のアウェイク区間(Awake Period)の受信待機状態で、キャリアセンシング(Carrier Sensing)前にはキャリアセンシング関連ブロックにのみ電力が投入され、残りの全てのブロックは電力を遮断する技術である。従来のSMパワーセーブ技術は、多重アンテナ技術を使用する無線通信システムの低電力モード動作のために、RTSとCTSパケットを送受信前には少数の受信経路のみオンし、残りの経路はオフする方法を使用した。この方法は、使用する少数の受信経路を全部オンしておき、受信待機状態でなければならない。反面、本発明によるクロス階層低電力モード2を使用する場合、キャリアセンシング以前にはモデム部初端のキャリアセンシング関連ブロックのみ電力を投入し、残りは電力は遮断後にキャリアセンシング以後に残り部分に電力を投入する方法である。これによって、電力消費効率をより向上させることができる。また、従来のSMパワーセーブ技術は、RTSとCTSを必ず使用することによって適用可能であったが、本発明によるクロス階層低電力モード2は、RTSとCTSを使用しなくても適用可能であるという長所がある。
【0037】
以下、本発明によるクロス階層低電力モード2に対してさらに詳細に説明する。
【0038】
クロス階層低電力モード2は、韓国出願10−2008−0127376号(US出願番号12/561076)の利用発明である。言及された特許のクロス階層低電力モード2では物理階層低電力技術に焦点を合わせたが、本発明ではクロス階層低電力モード技術に改善した。また、クロス階層低電力モード1と連動してその性能改善の効果が優秀であることをクロス階層低電力モード3で説明する。
【0039】
基本的に無線通信システムの受信端は、いつ信号が入力されるか予測不可であるため、アウェイク状態では常に受信待機状態にあるようになり、このため受信端回路の動的消費効率が低下される。本発明は、キャリアセンシング以前にはキャリアセンシングブロックのみ電力を投入し、キャリアセンシング以後には残りのブロックに電力を投入する先行技術を用いると同時にMACレベル低電力モードであるドーズモード(Doze Mode)の場合にはキャリアセンシングブロックも電力を遮断する(オフされている)方法を使用することで、電力消費効率をより向上させる方法を含む。
【0040】
図1a及び図1bは、3個の受信経路を有する無線通信端末のブロックダイアグラムである。
【0041】
図1a及び図1bは、多重アンテナシステムを例示した図面であり、各々のアンテナから受信される信号を処理する同じ部分に対しては参照符号を省略した。また、参照符号が付与されない部分は同じである他の部分の動作と同じ動作を実行するため、同じ説明は省略する。また、図1a及び図1bは、一つの図面で互いに連結される関係を有する。即ち、図1aで出力された信号は図1bに入力され、このような入/出力関係を共に示した。
【0042】
アンテナから受信された無線信号を処理するRFブロック100では低雑音増幅器(LNA)101と電圧制御利得増幅器(VGA)102のみを図示した。アンテナから受信された信号は、低雑音増幅器101でノイズを抑制して増幅し、以後電圧制御利得増幅器102で増幅動作が行われる。RFブロック100では、RF周波数帯域の信号を所望の帯域信号に変換した後、アナログ−デジタル変換器(ADC)111を介してアナログ信号をデジタル信号に変換する。このように変換されたデジタル信号は、直流制御器(DC cancel)112とエネルギ検出器(Energy detect)121と自動利得制御器(AGC)131及びキャリアセンシングベースの飽和検出器(Saturation based carrier sense)132に入力される。まず、直流制御器112は、デジタル信号に含まれた直流成分を除去して出力する。このように、直流成分が除去された信号は、I/Qチャネル信号比較器(I/Q comp.)113に入力される。I/Qチャネル信号比較器113で出力された信号は、バッファ(buffer)115とチャネルミキサ(channel mixer)141に入力される。バッファ115に入力された信号は、特定周期単位に読み取られ、キャリア周波数オフセット(CFO:Carrier Frequency Offset)調節器116に入力される。CFO調節器116はキャリア周波数オフセットを検出し、これを調節する。
【0043】
CFO調節器116から出力された信号は、高速フーリエ変換器117で高速フーリエ変換される。即ち、時間領域の信号が周波数領域の信号に変換される。以後、位相比較器118で位相比較され、MIMO検出器119で各アンテナ別又は各バンド別又は各ストリーム別信号として検出される。このように、MIMO検出器119で検出された信号は、デマッパ(Soft Demap)120で各アンテナ別又は各バンド別又は各ストリーム別信号をデマッピングする。
【0044】
アナログ−デジタル変換器111で出力されたデジタル信号を受信したエネルギ検出器121は、デジタル信号のエネルギを検出し、これをCCA(Clear Channel Assessment)122に出力する。CCA122は、チャネルに信号が存在するか否かを検出し、MAC階層に知らせる。また、アナログ−デジタル変換器111で出力されたデジタル信号を受信するキャリアセンシングベースの飽和検出器132は、キャリア信号を検出することによって飽和可否を決定し、自動利得制御器131に提供するための信号レベル情報を提供する。また、自動利得制御器131は、受信されたデジタル信号をキャリアセンシングベースの飽和検出器132から受信された信号レベル情報に基づいて低雑音増幅器101と電圧制御利得増幅器102の利得値を制御する。
【0045】
一方、I/Qチャネル信号比較器113で出力された信号を受信したチャネルミキサ141は、受信された信号を混合して出力する。また、低域フィルタ及び平均器(LPF+deci/2)142は、受信された信号を低域通過フィルタリングした後、10進数の値を1/2に分けて平均を計算する。低域フィルタ及び平均器142の出力は、受信電界強度測定器(W−RSSI)123とキャリアセンシングベースの受信電界強度測定器(RSSI based carrier sense)143と自動相関器(Auto correlation)144及び交差相関器(Cross correlation)145に入力される。受信電界強度測定器123は、受信された信号の受信電界強度を測定し、CCA122に提供する。また、キャリアセンシングベースの受信電界強度測定器143は、キャリアが検出されると、検出されたキャリア信号の受信電界強度を測定して出力する。また、自動相関器144と交差相関器145は、各々、相関値を計算して出力する。CFO推定器146は、CFOを推定し、その結果をフレーム同期部147に提供する。また、フレーム同期部は、キャリアセンシングベースの受信電界強度測定器143と交差相関器145とキャリアセンシングベースの飽和検出器132及びCFO推定器146からの信号を受信し、フレーム同期を検出する。また、CFO推定部146は、推定された値を各アンテナ別に備えられるCFO調節器116に提供する。キャリアセンシングベースのXER計算器148は、XERを計算する。
【0046】
また、高速フーリエ変換器117は、高速フーリエ変換された情報をCFO及び位相推定器(CFO&phase est. with pilot)151に提供し、パイロットと共にCFO及び位相を推定する。このように推定された位相情報は、位相比較器118に提供される。それだけでなく、高速フーリエ変換器117は、チャネル推定器(CH Est.)152に情報を提供し、チャネル推定が行われるようにする。このように、チャネル推定器152で行われたチャネル推定情報を用い、MIMO検出器119は各ストリーム別信号を出力するようになる。
【0047】
ソフトデマッパは、各ストリーム別にデマッピングを実行し、デインターリーバは、該当するデマッパの出力をデインターリービングする。このようにデインターリービングされた情報は、逆パーサ(Deparser)で必要な情報を挿入し、デコーダでデコーディングされる。以後、デスクランブラでデスクランブリングされ、MAC階層に送信される。
【0048】
以上で説明した図1a及び図1bの構成で電源部とこれらを制御するための構成は示されていない。これらの制御に関する部分は、後述される説明に基づいて動作する。また、図1aの点線で表示された部分150は、キャリアセンシングと関連した部分であり、アウェイクモードでこの部分のみ電力が投入されており(オンされており)、キャリアセンシングされると、その以後ブロックにも電力が投入される。また、図1a及び図1bで最後のMAC階層を除いた残りの部分は物理階層部に該当する。
【0049】
この時、先行技術との差異点は、次の通りである。
【0050】
1)4ステップのクロス階層低電力モード無線通信システムは、大きく、ドーズモード、アウェイクモードのRTS/CTS受信前状態、アウェイクモードのRTS/CTS受信後データ受信前、データ受信中状態の四つの状態である。本発明は、このような四つの受信状態によって低電力モードを最適化する方法である。即ち、ドーズモードの場合は、MACのタイマ(Timer)を除いた全てのブロックをオフし、アウェイクモードになると、少数経路(一つ或いは二つ以上)のキャリアセンシングブロックのみオンし、RTS/CTS受信後には該当少数経路の残りのブロックをオンし、データ受信時には全ての経路の全てのブロックをオンする方法である。
【0051】
2)本発明は、物理階層の低電力技術とMAC階層の低電力技術を共に使用するクロス階層低電力技術であり、従来の単一階層低電力技術に比べて電力消費効率を向上させることができる。
【0052】
図2は、本発明による低電力モード変換遷移によるフローチャートである。
【0053】
無線LAN機器は、最初200ステップで、アウェイク状態(Awake State)であるかを検査する。もし、アウェイク状態の場合には206ステップに進行し、そうでない場合には202ステップに進行する。202ステップに進行すると、無線LAN機器はタイマが満了されたかを検査する。もし、タイマが満了された場合には206ステップに進行し、そうでない場合には204ステップで全てのブロックの電源をオフした後、200ステップを実行するようになる。
【0054】
もし、200ステップ又は202ステップで206ステップに進行する場合は、一つ又は二つの受信パートキャリアセンシングブロックにのみ電源を投入する。タイマの満了によりウェイクしたり又はアウェイクモードである場合、全部キャリアセンシング以前であるため、前述した2番目の受信状態が、即ち、RTS/CTS受信前状態となる。
【0055】
このように、キャリアセンシングブロックにのみ電源を投入した以後、無線LAN機器は、208ステップに進行し、予め決定された時間内にキャリアセンシングが行われるかを検査する。もし、キャリアセンシングが行われると、無線LAN機器は、210ステップに進行し、そうでない場合には206ステップに進行する。
【0056】
次に、キャリアセンシングが行われた場合、無線LAN機器は、210ステップに進行し、受信経路の残っているブロックに電源を投入する。また、無線LAN機器は、212ステップに進行し、パケットカテゴリを使用することができるかを検査する。パケットの種類情報が利用可能な場合であるかを検査することである。もし、パケットのカテゴリ、即ち、RTS/CTSなどのようなパケットのカテゴリを用いることができる場合には214ステップに進行し、そうでない場合には216ステップに進行する。
【0057】
まず、無線LAN機器は、214ステップに進行すると、受信されたパケットのカテゴリがRTS/CTSパケットであるかを検査する。RTS/CTSカテゴリのパケットである場合、無線LAN機器は、218ステップに進行し、ストリーム数によって受信経路の該当ブロックに電源を投入する。
【0058】
反面、214ステップでRTS/CTSカテゴリのパケットでない場合、又は212ステップの検査結果パケットのカテゴリを用いることができない場合、216ステップに進行し、全ての受信経路のブロックに電源を投入しなければならない。
【0059】
以上で説明した内容を再び整理すると、ドーズモードの場合、タイマが満了される時まで全てのブロックに電源を遮断し(オフし)、タイマが満了されると、キャリアセンシングに必要な経路と該当キャリアセンシングブロックのみ電源を投入する(オンする)。アウェイク状態でキャリアセンシングされると、キャリアセンシングのための該当経路の残りのブロックをオンし、パケット種類情報が利用可能な場合、受信パケットがRTS/CTSの時は、データパケットのキャリアセンシング結果を向上させるためにより多くの経路をオンすることができ、もし、パケット種類情報が利用可能でない場合、或いはデータパケットである場合には全ての経路をオンする。
【0060】
図3は、本発明による四つの受信モードの動作原理の理解のためのタイミング図である。
【0061】
まず、ドーズモード300である場合、受信機は、全てのブロックの電源がオフ301された状態である。また、アウェイクモード310の場合は三つに区分される。第1に、キャリアセンシングのために一つ又は二つの受信経路に該当するキャリアセンシングブロックのみ電源が投入された状態311がある。このような場合、受信されるパケットのカテゴリ又はパケットの受信可否を検出し、一つ又は二つの受信経路に該当するブロックに電源を投入する状態312である。即ち、RTS321フレームが受信される場合、これらを受信するためのブロックにのみ電源を投入するようになる。また、データフレーム323が受信されると、受信経路に該当する全てのブロックに再び電源が投入される状態313となる。以後、データフレームの全てが受信された後、キャリアセンシングのためのブロックのみ電源が投入される状態314に遷移する。この時、応答(ACK)フレーム324のようなフレームを受信することができる状態である。応答フレームを受信し、以後一定時間、即ち、予め設定されたタイマが満了される時まで信号の受信が検出されない場合、再びドーズモード300に進入し、全てのブロックをオフするようになる。
【0062】
即ち、図3で説明したように、RTS、CTS、データ、ACKフレームを順次送受信する状況で、該当端末は、ドーズモード或いはアウェイクモードに動作することができ、アウェイク中にキャリアセンシング可否とフレーム種類によって受信内部ブロックに電源或いはクロックの供給可否を決定することができる。
【0063】
図4は、クロス階層低電力モード2の状態遷移図(Finite State Machine)である。
【0064】
図4で、アイドル(IDLE)状態410は、初期状態又は/及び待機状態又は/及び電源オフ状態などのうち一つ或いは全体を総称する状態である。アイドル状態410で電源が提供されると(power on)、実行される開始状態(START)411を経るようになる。以後、キャリアをセンシングするCS状態(Carrier Sensing)412でキャリアが検出されると、可能な付加的なラジオを検出する状態(Enable Additional Radios)413に進入する。以後、カウンタ値により受信信号の利得を制御する自動利得調節状態(AGC)414に遷移する。AGC状態414では受信信号の利得を調節する。このように、受信信号の利得が調節されると、短いプリアンブルを用いてCFOを推定する状態(CFO Est. using Short Preamble)415に遷移する。ここで概略的なCFOの推定が完了されると、システムで提供する信号、即ち、フレームの同期を合わせるための同期状態(Synchronization)416に遷移する。このように、同期が合わせられると、長いプリアンブルを用いてCFO推定状態(CFO Est. using Long Preamble)417に遷移する。即ち、CFOを推定する状態415及び同期状態416でキャリア周波数オフセットを補償し、時間的な同期を合わせるようになる。
【0065】
長いプリアンブルを用いてCFOの推定が良好に完了されると、シグナルフィールドの復号状態(Signal Field Deconding)418に遷移する。これを介してシグナルの復号を実行する。シグナルの復号が有効に完了されると、データを復号するデータ復号状態(Data Decoding)419に遷移する。ここでデータの復号が完了されると、終了状態(END)420に遷移し、再びアイドル状態410に遷移する。
【0066】
キャリアをセンシングするCS状態412でキャリアが検出されない場合、キャリアを検出する状態を維持し続けるようになる。また、自動利得制御を実行するAGC状態414で自動利得の調節に失敗すると、アイドル状態410に遷移する。アイドル状態に遷移する他の場合として次のような場合が存在する。第一に、短いプリアンブルを用いたCFOの推定状態415で概略的なCFOの推定が不可な場合である。第二に、同期状態416で同期を合わせることがない場合である。第三に、長いプリアンブルを用いてCFOを推定する状態417で正確なCFOの推定が不可な場合である。第四に、信号フィールドの復号状態418で信号フィールドの復号に失敗した場合である。
【0067】
本発明は、図2の状態遷移図でCS状態に留まる中には、その以後の全ての状態に該当するサブブロックに電源及びクロック供給を遮断する方式を使用することによって、電力消費を最小化するようにした。また、前記のような状態遷移を用いることによって本発明によるキャリアセンシング方法と非キャリアセンシング方法の両方ともを適用することができるようになる。
【0068】
一方、アイドル状態410は、ドーズ(Doze)モード状態又はスリープモード(Sleep mode)である場合にも維持される。このように、ドーズモードの場合には、キャリアセンシングブロックもオフされており、アイドル状態でMAC階層のタイマ値が満了されてアウェイクモードに変換される場合、前述した開始(START)状態411を経てキャリアセンシング(Carrier Sensing)状態412でキャリアセンシングされる時まで待つようになる。この時、端末の受信端のうちキャリアセンシングブロックのみオンされるようになるため、電力消費効率を向上させることができる。キャリアセンシングされた以後には該当経路の全てのブロックがオンされて信号を処理するようになる。
【0069】
図5は、本発明による電力を調整ステップの理解のためのタイミングダイアグラムである。
【0070】
図5に示したように、本発明による受信機は、アウェイクモード500とドーズモード510が共存するようになる。アウェイクモード500で、物理階層パワーセービングタイミング(PHY PS timing)ではキャリアセンシング区間(CP)とキャリア非センシング区間(Non−CP)に区分される。キャリアセンシング区間(CP)は、キャリアセンシングが行われる時点501で終了され、キャリアがセンシングされた以後、パケット1を受信する中、キャリア非センシング区間(Non−CP)になる。また、ドーズモードである場合、全てのブロックに電源が遮断される状態であり、これをドーズ区間(DP)という。
【0071】
このように、物理階層ではキャリアセンシング区間(CP)に電力消耗を減らすために電源が投入されない物理階層ブロックにクロックを提供しない。これは図5に示されている物理階層パワーセービングクロック(PHY PS clock)と物理階層キャリアセンシング有効(PHY CS valid)情報により確認することができる。
【0072】
一方、MAC階層では、パワーセービングクロック(MAC PS clock)をキャリアセンシングのために必要なキャリアセンシング区間(CP)でのみ投入するようにする。
また、キャリアセンシングを検出するためにMACキャリアセンシング有効(MAC CS valid)情報から確認することができる。このような区間は、ドーズモードが開始される時点までである。
【0073】
以上、前述したように、MAC階層と物理階層の低電力モードが連動され、MAC階層或いは物理階層単独モードに使われる場合より効率的な電力消費効率を保障することができるようになる。
【0074】
3.クロス階層低電力モード3
【0075】
本発明によるクロス階層低電力モード3は、クロス階層低電力モード1とクロス階層低電力モード2の混合モードである。クロス階層モード1で要求/応答フレーム及びACKフレームなどの制御パケットの助け無しにクロス階層モード2のキャリアセンシング結果によりクロス階層モード1を制御する。このため、クロス階層モード1に比べ、クロス階層モード2によりパケット間の間隔(Interframe Space;IFS)時間(16us)とキャリアセンシング時間(約2us)中に動的消費電力を減らすことで電力消費効率を向上させることができる。クロス階層低電力モード3は、クロス階層低電力モード1でRTS/CTSを使用したことと異なって、RTS/CTS無しにキャリアセンシング結果により低電力モード転換が可能である。
【0076】
前述したクロス階層低電力モード1方式により無線(RF)部で20MHz帯域制限フィルタを通過した信号は、40MHzのサンプリング速度にデジタル変換されてキャリアセンシングされる。
【0077】
また、クロス階層低電力モード2方式によりキャリアセンシングされた後、キャリアセンシング以外のブロックが動作する。
【0078】
前記のような方法によりパケットが受信されると、無線LANシステムの受信機がサポートする最大サンプリング速度を使用して動作する。
【0079】
この時、要求/応答パケットにより受信するデータパケットの種類を事前に知ることができる場合、最大サンプリング速度でなく、受信パケットのモードによってサンプリング速度を決定することができる。
【0080】
また、前記過程では同時に補間器とデシメータの動作周波数変換とRFのアナログ帯域制限フィルタとデジタル帯域制限フィルタの再構成過程を含む。
【0081】
このような本発明の第3の実施例に係る方法は、ベースバンド信号処理のためのモデム部のサンプリング速度が該当モードに最適化されて動作することができる。
【0082】
ここまでは本発明のクロス階層低電力モードの構成と動作に対して説明した。以下、いままで説明したクロス階層低電力モードの効率性向上のための送信方法を2番目の発明の構成要素として説明する。
【0083】
受信端で受信されるフレームの情報を要求フレーム或いは応答フレームに含ませて送信することによって、受信端は該当帯域幅に合う最適の状態に待機することができる。即ち、要求/応答フレーム、例えば、RTS/CTSなどのフレームの次に送るようになるデータフレームの次の送信モード情報を共に知らせることによって、アナログ/デジタルフィルタ設定或いはRF中心周波数設定或いは動作周波数サンプリング速度などの受信モードを前記受信するフレームの種類に合わせて最適化してスループットを向上させ、消費電力効率を向上させることができる。
【0084】
1)このような場合、要求される性能指標値と送信ストリーム数は、次の通りである。
【0085】
− 送信信号のストリーム数が受信アンテナ数より小さい場合、必ず全ての多重アンテナを使用する必要がないため、要求される性能指標値によって使用するアンテナ数を選択することができる。要求される性能指標には、コンテンツカテゴリ(Contents Category)或いはリンク性能値、例えば、信号対雑音比、チャネル変化などになることができる。
【0086】
2)送信パケットモード及び使用するチャネル帯域幅とフレーム送信方法は、次の通りである。
【0087】
− 受信機は、要求/応答パケット受信後、受信機でサポート可能な最大動作周波数に変換される必要なしに、該当パケットモードのための最適の動作周波数を使用することができる。
【0088】
− また、受信信号のための最適のフィルタを適用することができるため、受信端検出信頼度を向上させることができる。
【0089】
− また、送信機会区間中、データフレームのグリーンフィールドモード動作が可能である。
【0090】
結果的に、スループットと電力消費効率を向上させることができる。
【0091】
まず、送信のための情報を知らせるための方法を説明する。第1のノードと第2のノードとの間の通信が行われると仮定する。また、前記第1ノード或いは第2のノードは、要求フレーム或いは応答フレームの動的チャネル帯域幅割当サポート可能ビット、例えば、1ビット値に基づき、相手ノードが前記チャネル状態情報或いはデータフレームモード情報を含むか否かを判別するようにことができる。
【0092】
前記要求/応答フレームの送信モード情報は、要求/応答フレームに次のような実施例に含まれて送信されることができる。然しながら、以下に記述された実施例に限定されず、要求/応答フレームに残っている予約ビットを活用し、従来の標準と互換性を維持し、前記発明を実現させることができることに留意しなければならない。
【0093】
1)物理階層のサービスフィールド(Service field)
【0094】
2)MACヘッダのデュレイションフィールド(Duration field)
【0095】
3)MACヘッダのフレームコントロールフィールド(Frame control field)
【0096】
例えば、前記サービスフィールド或いはデュレイションフィールドに2ビットを使用し、四つの帯域幅サポートモードを設定することができる。これを例示すると、以下のように区分することができる。
【0097】
00:20MHz
【0098】
01:40MHz
【0099】
10:80MHz
【0100】
11:160MHz
【0101】
前記要求/応答フレームに含まれた前記要求/応答フレームの次にくるフレームの情報は、低電力モード用途でないノイズ節減及び多重モードフレームの共存(20/40/80/160MHz帯域幅或いはレガシ/HT/VHTモード)のために使われることができる。
【0102】
図7及び図8は、本発明の他の実施例によってノイズ節減及び多重モードフレームの共存のためのタイミング図を示す。
【0103】
まず、図7を参照して説明する。図7は、ノード1からノード2に20MHz帯域幅データフレームを送信するために、データフレーム送信前に20MHz帯域幅RTS4個をボンディングしたフレーム711を80MHz帯域全体に送信する。これを介してノード1は、自身のフレームでない周辺の20/40/80MHz帯域幅をサポートする多様なモードのノードのNAV(Network Allocation Vector)値を設定して待機状態にあるようにする。反面、自身のフレームと認識したノード2は、RTS4個をボンディングしたフレーム711に設定された帯域幅値に基づいて受信端の中心周波数及びフィルタを変更し、CTSフレーム712を20MHz帯域に送信する。CTSフレーム712を受信したノード1は、20MHz帯域幅データフレーム713を送信する。
また、データフレーム713の受信に適するように再構成されたノード2は、データフレーム713を受信した後、正しく復元された場合、ACKフレーム714を送信する。
【0104】
図8は、前述した図7の一実施例をチャネル帯域幅別に分けて示す。即ち、RTSフレーム811、812、813、814は、80MHz帯域幅に送信される。RTSフレーム811、812、813、814に設定された帯域幅情報値を活用し、20MHz帯域幅モードであるCTSフレーム821とデータフレーム831及びACKフレーム841を送信或いは受信する時、ノイズを節減することができ、パワー消費を減らすことができる。
【0105】
図9は、共存基本サービスセット(OBSS;Overlapped Basic Service Set)状況で本発明の動作を説明するための図面である。BSS1で、中継アクセスポイント1(AP1)が端末(STA)にデータを送信するためにRTSフレームを送信するにあたって、BSS1は、80MHz帯域までサポート可能な端末が含まれていると知られていると仮定すると、20MHz帯域RTS4個を同時に送信する。この時、BSS2で40MHz帯域の信号を送信している場合、AP1は前記干渉信号の存在可否を知らない。
【0106】
この時、端末(STA)は、前記干渉信号が影響を及ぼす帯域を除いた残りの40MHz帯域を介してCTSを送ることによって、AP1は、CTSを受信した40MHz帯域を介してデータフレームを送信する。ここで、STAの場合、干渉信号と受信すべき信号が区分できなければならず、AP毎に固有なBSSID(BSS Identification)が異なるため、MACヘッダに含まれたBSSIDに基づいて受信したパケットが、STAが含まれたBSSにあるノードからのものであるか、或いは外部BSSのものであるかを判別することができる。前記判断に基づいて干渉信号を区分し、RTSで確認した帯域で干渉信号領域を除いた残りの帯域にCTSを送る。AP1は、CTSを受けた帯域を介してデータを送信することができるようになる。併せて、前記過程を介して占有する帯域幅を最小化することができ、周波数リソースを効率的に活用すると同時に電力消費効率を向上させることができる。
【0107】
最後に、本発明は、次世代無線LAN技術として使われる多重チャネル送信方法の低電力モードを含む。次世代無線LAN技術は、従来の20MHz或いは40MHz帯域幅より4倍或いは2倍広い80MHz帯域幅を使用して送信することによって、スループットを2倍〜4倍高めるようになった。然しながら、このため、アナログ−デジタル変換器とデジタル−アナログ変換器のサンプリング速度も増加して消費電力が増加するようになった。それだけでなく、モデムプロセッサ(Modem Processor)も高い動作周波数を使用するようになって動的消費効率が低下される問題が発生するようになった。然しながら、常に、端末装置は、高いサンプリング周波数を使用する必要がなく、使われるモードとパケット種類によって適切なサンプリング速度を使用して消費電力効率を向上させることができる。
【0108】
従来の空間多重化方式のための低電力モードは、RTS/CTSを受信する前には少数の受信経路のみオンし、残りはオフすることによって、電力消費効率を向上させることができたが、本発明の多重チャネル方式のための低電力モードは、RTS/CTSを受信する前にはレガシモードパケット受信が可能な程度のサンプリング速度を使用し、RTS/CTSを受信した後には該当モードパケット或いは使われるモードによってサンプリング速度を制御する方式である。RTS/CTSパケットの次に受信するデータパケットの種類或いは使われるモード情報が載せて送信されることができる場合には該当モードに転換することができ、もし、パケット種類或いは使われるモード情報を載せて伝達することができない場合、該当端末がサポートするモードのための最大サンプリング速度に変換されるようにする制御装置を含む。
【0109】
本発明は、多重チャネル送信方式が連続的或いは不連続的である場合、両方ともをサポート可能である。即ち、多重チャネルが連続的な場合には、単純なサンプリング速度の増減により動作されるが、非連続的の場合には非連続的な経路の使用可否を決定することによって電力消費効率を向上させることができるようになる。
【0110】
図6は、本発明の実施例に係る多重チャネル低電力モード時の遷移過程によるフローチャートである。
【0111】
無線LAN受信機は、最初600ステップで、アウェイク状態(Awake State)であるかを検査する。もし、アウェイク状態の場合には606ステップに進行し、そうでない場合には602ステップに進行する。602ステップに進行すると、無線LAN機器はタイマが満了されたかを検査する。もし、タイマが満了された場合には606ステップに進行し、そうでない場合には604ステップで全てのブロックの電源をオフした後、600ステップを実行するようになる。
【0112】
もし、600ステップ又は602ステップで606ステップに進行する場合は、一つ又は二つの受信パートキャリアセンシングブロックにのみ電源を投入する。この時、投入される無線LAN受信機は、レガシモード(Legacy Mode)サンプリング率(sampling rate)で動作するようにする。タイマの満了によりウェイクしたり又はアウェイクモードである場合、両方ともキャリアセンシング以前であるため、前述した2番目の受信状態が、即ち、RTS/CTS受信前状態となる。
【0113】
このように、キャリアセンシングブロックにのみ電源を投入した以後、無線LAN機器は、608ステップに進行し、予め決定された時間内にキャリアセンシングが行われるかを検査する。もし、キャリアセンシングが行われると、無線LAN機器は、610ステップに進行し、そうでない場合には606ステップに進行する。
【0114】
次に、キャリアセンシングが行われた場合、無線LAN機器は、610ステップに進行し、受信経路の残っているブロックに電源を投入する。この時、サンプリング率は、レガシモードのサンプリング率を用いることができる。これを介してサンプリング率を減らすことによって消耗電力を減らすことができるようになる。また、無線LAN受信機は、612ステップに進行し、パケットカテゴリを使用することができるかを検査する。パケットの種類情報を利用可能な場合であるかを検査することである。もし、パケットのカテゴリ、即ち、RTS/CTSなどのようなパケットのカテゴリを用いることができる場合には614ステップに進行し、そうでない場合には616ステップに進行する。
【0115】
無線LAN受信機は、614ステップに進行すると、受信されたパケットのカテゴリがRTS/CTSパケットであるかを検査する。RTS/CTSカテゴリのパケットである場合、無線LAN受信機は、618ステップに進行し、ストリーム数によって受信経路の該当ブロックに電源を投入する。
【0116】
反面、614ステップでRTS/CTSカテゴリのパケットでない場合、又は612ステップの検査結果パケットのカテゴリを用いることができない場合、616ステップに進行し、全ての受信経路のブロックに電源を投入しなければならない。
【0117】
以後、無線LAN受信機は、620ステップに進行してモード情報を使用可能かを検査する。このようなモード情報は、前述したような方法に送信されるモード情報である。もし、モード情報の使用が可能でない場合、無線LAN受信機は、622ステップに進行し、受信機で最大サポート可能なデータ率で動作するようになる。
【0118】
反面、モード情報を使用することができる場合、無線LAN受信機は、まず、624ステップに進行し、現在モードがレガシモードであるかを検査する。もし、624ステップの検査結果レガシモードである場合、無線LAN受信機は、626ステップに進行し、レガシモードのサンプリング率で動作する。然しながら、624ステップの検査結果レガシモードでない場合、無線LAN受信機は、628ステップに進行し、HTモードであるかを検査する。もし、HTモードである場合、無線LAN受信機は、630ステップに進行し、HTモードに該当するサンプリング率で動作する。
【0119】
然しながら、624ステップ及び628ステップの検査結果、レガシモードでもなく、HTモードでもない場合、VHTモードとなる。従って、無線LAN受信機は、632ステップに進行し、データストリームが連続して(contiguous)受信されるかを検査する。前記検査結果、連続してデータフレームが送信される場合、無線LAN受信機は、634ステップに進行し、VHTモードのサンプリング率で動作する。然しながら、連続して受信されない場合には、無線LAN受信機は、636ステップに進行し、多重チャネルパワーセービング動作を実行するようになる。
【0120】
以上で説明した図6は、前述した四つの受信状態による本発明の低電力モード変換順序である。即ち、ドーズモードの場合にはタイマが満了される時まで全てのブロックをオフし、タイマが満了されると、キャリアセンシングに必要な経路と該当キャリアセンシングブロックのみオンする。この時、RTS/CTSは、レガシモードに送信されるため、レガシモードのための動作周波数に設定される。また、アウェイク状態でキャリアセンシングされると、キャリアセンシングのための該当経路の残りのブロックをオンする。以後、パケット種類情報が利用可能な場合、受信パケットがRTS/CTSの時は、データパケットのキャリアセンシング結果を向上させるためにより多くの経路をオンすることができる。然しながら、もし、パケット種類情報が利用可能でない場合、或いはデータパケットである場合には全ての経路をオンする。この時、該当端末がサポート可能な最大動作周波数に変換し、どの種類のパケットが入力されても処理可能になるようにする。パケット種類情報が利用可能で、RTS/CTSパケットであることを確認した場合、モード情報が利用可能であると、該当モードに合うサンプリング速度に転換される。この時、モード情報が利用不可であると、該当端末がサポート可能な最大サンプリング速度に変換され、どのようなモードのパケットが入力されても処理可能になるようにする。また、モードがVHTモードのパケットの場合には、前述した多重チャネル送信のための低電力モードとして使用しない非連続的なチャネルのための経路には電源とクロックを供給しないこともある。
【産業上利用可能性】
【0121】
無線LANシステムなどで利用可能である。
図1a
図1b
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9