特許第6050304号(P6050304)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6050304
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】ガスコンロ
(51)【国際特許分類】
   F24C 15/06 20060101AFI20161212BHJP
   F24C 3/00 20060101ALI20161212BHJP
【FI】
   F24C15/06 B
   F24C3/00 H
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-246499(P2014-246499)
(22)【出願日】2014年12月5日
(65)【公開番号】特開2016-109346(P2016-109346A)
(43)【公開日】2016年6月20日
【審査請求日】2015年12月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】特許業務法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】蒲 厚仁
【審査官】 宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−294250(JP,A)
【文献】 特開平11−108344(JP,A)
【文献】 特開2006−029612(JP,A)
【文献】 実開昭54−122060(JP,U)
【文献】 実公昭50−000527(JP,Y1)
【文献】 特開2012−032097(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 15/06
F24C 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンロ本体内に、ガスコックと、コンロバーナの混合管の流入口に臨む下流端のガスノズルとを有するバルブユニットが設けられたガスコンロであって、
バルブユニットは、前端部にガスコックの操作軸を挿通する軸ガイド枠を有し、この軸ガイド枠に形成したネジ孔にコンロ本体の前面パネルに形成した取付孔を通して固定ネジを螺入することにより、前面パネルの裏面にバルブユニットを固定するものにおいて、
軸ガイド枠に、前方に突出する突起部が形成され、この突起部を前面パネルに形成した位置決め孔に係合させることで、バルブユニットを位置決めし、
バルブユニットにガスを供給するガス供給管を、位置決め固定されるバルブユニットを介してコンロ本体内に宙吊り状態で支持し、コンロ本体にガス供給管を固定しないようにしたことを特徴とするガスコンロ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンロ本体内に、ガスコックを有するバルブユニットが設けられたガスコンロに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のガスコンロとして、バルブユニットの前端部に設けたガスコックの操作軸を挿通する軸ガイド枠にネジ孔を形成し、このネジ孔にコンロ本体の前面パネルに形成した取付孔を通して固定ネジを螺入することにより、前面パネルの裏面にバルブユニットを固定したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、固定ネジが取付孔に螺合すると、締付け不良や前面パネルの変形等の不具合を生ずるため、取付孔は固定ネジよりも若干大径に形成される。その結果、上記従来例のものでは、取付孔に対する固定ネジの遊び分だけバルブユニットの位置がずれる可能性がある。
【0004】
ところで、部品点数削減のため、バルブユニットの下流端にコンロバーナの混合管の流入口に臨むガスノズルを一体的に設けることが望まれる。この場合、上記の如くバルブユニットの位置ずれを生ずると、その下流端のガスノズルの位置もずれて、混合管の流入口に対しガスノズルが芯ずれし、コンロバーナの燃焼性能が悪化してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−294250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の点に鑑み、コストアップを生ずることなくバルブユニットの位置ずれを防止できるようにしたガスコンロを提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、コンロ本体内に、ガスコックと、コンロバーナの混合管の流入口に臨む下流端のガスノズルとを有するバルブユニットが設けられたガスコンロであって、バルブユニットは、前端部にガスコックの操作軸を挿通する軸ガイド枠を有し、この軸ガイド枠に形成したネジ孔にコンロ本体の前面パネルに形成した取付孔を通して固定ネジを螺入することにより、前面パネルの裏面にバルブユニットを固定するものにおいて、軸ガイド枠に、前方に突出する突起部が形成され、この突起部を前面パネルに形成した位置決め孔に係合させることで、バルブユニットを位置決めし、バルブユニットにガスを供給するガス供給管を、位置決め固定されるバルブユニットを介してコンロ本体内に宙吊り状態で支持し、コンロ本体にガス供給管を固定しないようにしたことを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、取付孔に対する固定ネジの遊びがあっても、突起部を位置決め孔に係合することでバルブユニットを位置決めして、バルブユニットの位置ずれを防止できる。その結果、混合管の流入口に対するガスノズルの芯ずれを防止して、コンロバーナの燃焼性能を向上できる。また、バルブユニットは、軸ガイド枠に形成した突起部で位置決めされるため、位置決めのための専用部品は不要であり、コストアップも生じない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態のガスコンロを示す斜視図。
図2図1のII−II線で切断した要部の拡大断面図。
図3】実施形態のガスコンロの要部の分解状態の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1に示す本発明の実施形態のガスコンロは、コンロ本体1の上面を覆う天板2上に露出する左右一対のコンロバーナ3,3と、コンロ本体1内のグリル4とを備えている。コンロ本体1の前面に設けられる前面パネル11には、コンロバーナ3,3用とグリル4に設けられるコンロバーナであるグリルバーナ用の計3個の操作摘み5と、電池収納ケース6とが設けられている。
【0011】
コンロ本体1内には、2個のコンロバーナ3,3とグリルバーナへのガス供給を制御する計3個のバルブユニットが設けられている。これらバルブユニットの構造は同様であり、図2に示す右側のコンロバーナ3用のバルブユニット7についてその構造を説明する。
【0012】
バルブユニット7は、前後方向に長手のバルブケーシング71と、バルブケーシング71の前部上面に取付けた流路ブロック72とを備えている。バルブケーシング71には、上流側たる後部に電磁安全弁73が組み込まれ、前部にガスコック74が組み込まれておいる。また、バルブケーシング71には、電磁安全弁73の収納空間に連通する後部下面のガス流入口71aと、ガスコック74の収納空間に連通する後部上面のガス流出口71bとが形成されている。そして、2個のコンロバーナ3,3とグリルバーナに共通のガス供給管8の所定位置に形成した分岐出口81にガス流入口71aを接続した状態で、バルブケーシング71をガス供給管8に固定金具82を用いて固定している。
【0013】
ガスコック74は、バルブケーシング71のガスコック収納空間に回動自在に収納した筒状のコック体74aを備えている。そして、コック体74aの周壁部に開設した図示しないガス流通孔とガス流出口71bとの重合開度がコック体74aの回転に伴い変化して、コンロバーナ3への供給ガス量が調節されるようにしている。また、コック体74aを回転操作する操作軸74bを設けて、操作軸74bをバルブケーシング71の前端部に取付けた軸ガイド枠75と前面パネル11に形成した軸挿通孔75a,11aを通して前方に突出させ、操作軸74bの前端部に操作摘み5を連結している。
【0014】
操作軸74bは、前後方向にも移動自在であり、操作軸74bを後方に押し込むことで、電磁安全弁73が押圧ロッド73aを介して押圧開弁されるようにしている。電磁安全弁73は、コンロバーナ3に付設した火炎検知センサ32で火炎が検知されている間は開弁状態に保持され、失火したときに閉弁する。
【0015】
流路ブロック72は、上部を後方に屈曲させたエルボ形状に形成されており、内部に、ガス流出口71bに連通する流路72aが形成され、その下流端たる上部の屈曲部後端には、コンロバーナ3の混合管31の流入口31aに臨むガスノズル76が一体的に形成されている。また、流路ブロック72には、流路72aを開通遮断する電磁弁77が組み込まれると共に、電磁弁77に並列のオリフィス72bが形成されている。そして、コンロバーナ3に付設した鍋底温度センサ33の検出温度が所定の設定温度以上に上昇したとき、電磁弁77を閉弁し、オリフィス72bのみを介して少量のガスがコンロバーナ3に供給されるようにしている。
【0016】
図3も参照して、軸ガイド枠75には、上下一対のネジ孔75b,75bが形成され、前面パネル11にも、ネジ孔75b,75bに対応する位置に取付孔11b,11bが形成されている。そして、各取付孔11bを通して各ネジ孔75bに固定ネジ78を螺入することにより、前面パネル11の裏面にバルブユニット7を固定している。
【0017】
ここで、固定ネジ78が取付孔11bに螺合すると、締付け不良や前面パネル11の変形等の不具合を生ずるため、取付孔11bは固定ネジ78よりも若干大径に形成する必要がある。そのため、このままでは、取付孔11bに対する固定ネジ78の遊び分だけバルブユニット7の位置がずれ、このずれによりバルブユニット7の下流端のガスノズル76の位置もずれて、混合管31の流入口31aに対しガスノズル76が芯ずれし、コンロバーナ3の燃焼性能が悪化する恐れがある。
【0018】
そこで、本実施形態では、軸ガイド枠75に、前方に突出する突起部75cを形成すると共に、前面パネル11の突起部75cに対応する位置に位置決め孔11cを形成している。そして、突起部75cを位置決め孔11cに係合させることで、バルブユニット7を位置決めできるようにしている。
【0019】
これによれば、取付孔11bに対する固定ネジ78の遊びがあっても、突起部75cを位置決め孔11cに係合することでバルブユニット7を位置決めして、バルブユニット7の位置ずれを防止できる。その結果、混合管31の流入口31aに対するガスノズル76の芯ずれを防止して、コンロバーナ3の燃焼性能を向上できる。また、バルブユニット7は、軸ガイド枠75に形成した突起部75cで位置決めされるため、位置決めのための専用部品は不要であり、コストアップも生じない。
【0020】
尚、本実施形態の突起部75cは、軸ガイド枠75の側縁に曲成した舌片状の折り曲げ片で構成されているが、軸ガイド枠75の側縁以外の部分に切起し等で突起部を形成することも可能である。
【0021】
ところで、ガス供給管8が何れかの部分でコンロ本体1に固定されていると、ガス供給管8に対するバルブユニット7の取付位置の誤差で突起部75cを位置決め孔11cに係合できなくなることがある。そこで、本実施形態では、上記の如く位置決め固定されるバルブユニット7を介してガス供給管8をコンロ本体1内に宙吊り状態で支持し、コンロ本体1にガス供給管8を固定しないようにした。
【符号の説明】
【0022】
1…コンロ本体、11…前面パネル、11b…取付孔、11c…位置決め孔、3…コンロバーナ、31…混合管、31a…流入口、7…バルブユニット、74…ガスコック、74b…操作軸、75…軸ガイド枠、75b…ネジ孔、75c…突起部、76…ガスノズル、78…固定ネジ。
図1
図2
図3