特許第6050346号(P6050346)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6050346
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】卵を搬送するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/53 20060101AFI20161212BHJP
   B65G 47/38 20060101ALI20161212BHJP
   B65G 17/12 20060101ALI20161212BHJP
   B65G 17/36 20060101ALI20161212BHJP
【FI】
   B65G47/53 G
   B65G47/38
   B65G17/12 A
   B65G17/36 A
【請求項の数】12
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-518848(P2014-518848)
(86)(22)【出願日】2012年7月4日
(65)【公表番号】特表2014-520735(P2014-520735A)
(43)【公表日】2014年8月25日
(86)【国際出願番号】NL2012050471
(87)【国際公開番号】WO2013006052
(87)【国際公開日】20130110
【審査請求日】2015年4月6日
(31)【優先権主張番号】11005446.7
(32)【優先日】2011年7月5日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】500513033
【氏名又は名称】モバ グループ ベー.フェー.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】バーレンド・ファン・ラヴェンホルスト
【審査官】 八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−179475(JP,A)
【文献】 特開平10−212025(JP,A)
【文献】 特表2009−528967(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/22−47/54;47/80;
47/84−47/86;47/90−47/96
B65G 17/00−17/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
卵を運搬するための装置であって、前記装置は:
少なくとも卵(E)の収集および特性付けのための第1の無端コンベア(1)であって、前方運搬方向Tにおいて、第1の卵キャリア(11)からなる少なくとも単一の運搬列を備える、第1の無端コンベア(1)と、
前記第1の無端コンベア(1)からの卵の引き渡しのための、かつその上での卵の運搬および選別のための、第2の無端コンベア(2)であって、方向Pおいて、第2の卵キャリア(21)からなる少なくとも単一の運搬列を備え、前記方向Pにおいて前記第1の無端コンベア(1)の下方に配置され、かつそれにより前記第1の無端コンベアと交差する、第2の無端コンベア(2)と、
を備え、
前記第1の無端コンベア(1)の前記第1の卵キャリア(11)は、少なくとも前記引き渡し中に前記方向Pに移動可能であり、
卵は、前記第2の無端コンベア(2)の前記第2の卵キャリア(21)に卵が受容される際に、前記前方運搬方向Tにおける相対速度が約0m/sの状態で、前記第1の無端コンベアから前記第2の無端コンベアへ引き渡されることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記第2の無端コンベアの前記第2の卵キャリア(21)は、少なくとも前記引き渡し中に、前記前方運搬方向Tに移動可能であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記前方運搬方向Tは、前記方向Pに略直交していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第2の卵キャリア(21)は、前記前方運搬方向Tにおけるキャリアガイドレールにわたってキャリアブロック内を移動可能であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
卵キャリアは2つの卵キャリア半体を備えており、各卵キャリア半体は、キャリアブロックに接続されており、かつ、
前記卵キャリア半体は、保持または運搬ポジションと、解放ポジションと、の間で互いに対して動作可能であることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記第2の卵キャリアは、カップまたはトレイであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記カップまたはトレイは、保持または運搬ポジションと、解放ポジションとの間で動作可能であり、前記カップまたはトレイは、前記カップまたはトレイの対応する運搬方向に直交する軸線を中心として枢軸回動可能であることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
卵は、少なくとも1つの単一ロボットアームを用いて、前記第1の無端コンベアから取り出されて、前記第2の無端コンベアへ引き渡されかつ解放されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項9】
求項1〜8のいずれか一項に記載の装置を使用して、卵を運搬するための方法であって、前記方法は:
− 少なくとも卵(E)の収集および特性付けのための第1の無端コンベア(1)を提供するステップであって、前記第1の無端コンベア(1)は、第1の主運搬方向Tにおいて、第1の卵キャリア(11)からなる少なくとも単一の運搬列を備える、ステップと、
− 前記第1の無端コンベア(1)からの卵の引き渡しのための、かつその上での卵の運搬および選別のための、第2の無端コンベア(2)を提供するステップであって、前記第2の無端コンベア(2)は、前記第1の無端コンベア(1)の下方に配置されかつそれによって前記第1の無端コンベアと交差しており、第2の主運搬方向Pにおいて、第2の卵キャリア(21)からなる少なくとも単一の運搬列を備える、ステップと、
を含み、
前記第1の無端コンベア(1)の前記第1の卵キャリア(11)は、少なくとも前記引き渡し中に前記第2の主運搬方向Pに移動させられ、
卵は、前記第2の無端コンベア(2)の前記第2の卵キャリア(21)内に卵を受容する際に、前記第1の主運搬方向Tにおける相対速度が約0m/sとなる状態で、前記第1の無端コンベアから前記第2の無端コンベアへ引き渡されることを特徴とする方法。
【請求項10】
前記第2の無端コンベアの前記第2の卵キャリア(21)は、前記第2の卵キャリア(21)への卵の引き渡し中に前記第1の運搬方向Tに移動させられ、特に第1の運搬方向Tおよび前記第2の運搬方向Pの両方に移動させられることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第2の無端コンベアの前記第2の卵キャリア(21)は、卵の引き渡し中に、前記第1の無端コンベアの運搬速度と略等速度で前記第1の運搬方向Tへ移動させられることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
卵の引き渡し中の、卵を運搬する第1の卵キャリア(11)のベクトル速度と、対応する卵を受け取る第2の卵キャリア(21)のベクトル速度とは略同等であることを特徴とする請求項9〜11のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、卵を搬送するための装置に関するものであり、当該装置は:少なくとも卵を集めかつ卵の特性を決定する(characterizing)ための第1の無端コンベアと、第1のコンベアから卵を引き渡されてその上で卵を運搬しかつ卵を選別する(sorting)ための第2の無端コンベアと、を備え、第1のコンベアは、前方運搬方向Tにおいて卵キャリアからなる少なくとも単一の運搬列を備え、第2のコンベアは、方向Pにおいて卵キャリアからなる少なくとも単一の運搬列を備え、方向Pにおいて第1のコンベアの下方に配置され、かつそれにより第1のコンベアと交差しており、こうした装置において、第1のコンベアのキャリアは、少なくとも上記引き渡し中に方向Pに移動可能である。
【背景技術】
【0002】
そうした装置は特許文献1により公知となっている。特許文献1には、選別コンベアが第1のコンベアの略直交方向において該第1のコンベアの下方に配置されるものにおいて、供給コンベアの卵を選別コンベアへ引き渡す方法が開示される。そうした供給および運搬は略水平方向平面上で進められる。これらコンベアは、一般的にポケットと呼ばれる卵キャリア内に卵を保持する。第1のコンベアから第2のコンベアへの卵の引き渡し中に第2のコンベアの運搬方向における速度の差を補償するために、第2のコンベアの運搬方向において卵に対して所定の速度が付与される。こうした補償は、その速度を第2のコンベアの速度とほぼ同じとすることができ、それにより第2のコンベアの運搬方向における相対速度が約0m/sとなる。これにより、第1のコンベアから第2のコンベアへの卵の引き渡し中の全体的な速度差、つまりベクトル速度の差を小さくすることが達成され、そうした速度差を考慮すると、卵が受ける衝撃はより小さくなり、そのためこれら卵の破損のリスクが低減される。
【0003】
上述の速度の補償は単一方向のみに適用されるため、卵は、前進速度で、カップに収容される前にガタガタ揺れるような振動動作にさらされることがある。特に標準値が実質的に約0.5m/s以下であるような比較的高速の場合に、卵は最終的に適切な位置からわずかにずれてしまう。
【0004】
さらに、コンベアのスタート−ストップ動作中に、これら卵がポケット内に正しく収容されることすらないという点において卵が最終的に不適切になり得ることが判明している。その場合、速度差が補償されないだけではなく、実際に卵それぞれの引き渡し動作の開始時期、例えば第1のコンベアのポケットの枢軸回転開放の時期は的確なタイミングで実施されない。またこれは2つのコンベアの非同期動作と呼ばれる。より詳細には、これは、そうした選別装置において、卵が損なわれる機会、つまり卵にひび割れが生じる機会が高いことを意味する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2174896号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
こうした欠点を解消するために、本発明に基づく装置は、第2のコンベアの卵キャリア内に卵を受容する際の運搬方向Tにおける相対速度が約0m/sとなる状態で、第1のコンベアから第2のコンベアへ卵を引き渡すことを特徴とする。
【0007】
この特徴により、こうした様式における破損のリスクがほぼなくなるだけでなく、高速を維持でき、速度をすべての可能な値に設定することができ、それによってさらに高い速度を得ることができ、したがって選別能力を大幅に高めることができるなどの大きな利点が基本的に達成される。
【0008】
より詳細には、この装置は、少なくとも引き渡し時において第2の卵キャリアが方向Tに移動可能であることに特徴づけられる。
【0009】
適切には、同様の移動様式が第2のコンベアに適用される。いずれも、方向Tにおける速度補償に関する利点を提供し、かつシステム全体の一部としてそうしたコンベアの構成様式を単純化する。
【0010】
さらなる詳細によれば、第1のコンベアの卵キャリア(一例においてはさらに第2のコンベアの卵キャリア)は、それぞれ2つのキャリア半体を備えることができ、これらキャリア半体は、それぞれの卵の搬送および引き渡しのために卵運搬ポジションと卵解放ポジションとの間で動作可能である。
【0011】
さらなる詳細によれば、第2のコンベアの卵キャリアは、カップまたはトレイとすることができる。カップまたはトレイは、例えば保持または運搬ポジションと解放ポジションとの間で動作可能であり、カップまたはトレイは、カップまたはトレイの対応する運搬方向に直交する軸を中心として枢軸回動可能である。
【0012】
さらに、本発明は、請求項9に記載の範囲によって特徴づけられる有利な方法を提供する。この様式により上記利点が達成できる。
【0013】
さらに本発明に基づく装置の特に有利な詳細部は従属請求項に記載されている。
【0014】
以下、本発明に基づく装置の実施例の詳細について添付の図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の非限定的かつ例示的な実施形態に基づく運搬システムの概略上方平面図である。
図2図1に示された装置の同じ部分を斜め上方から見た等角図である。
図3】運搬システムのさらなる詳細を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
これら図面において、同様の部分や指示部には同じ参照符号が付与される。
【0017】
これら図面には、卵Eを運搬するための装置の実施例が示される。この装置は、少なくとも卵Eを集めかつその特性を決定するための第1の無端コンベア1を備える。第1のコンベア1は、複数の第1の卵キャリアからなる少なくとも単一の運搬列11を含む。さらにこの装置は、第1のコンベアからの卵Eの引き渡しのための第2の無端コンベア2を有する。第2の無端コンベア2は、その上で卵Eを運搬しかつ選別するためのものでもある。第2のコンベア2は、複数の第2の卵キャリア21を備え、第1のコンベア1の下方に配置されており、その引き渡し経路において第1のコンベア1と交差している。
【0018】
図1および図2には、特に第1のコンベア1と第2のコンベア2とが、第2のコンベア2が第1のコンベア1の下方を通過しかつ(各コンベアの運搬部分の各々の)主運搬方向T、Pそれぞれが互いに対して略直交した状態で図示される。第1のコンベア1によって提供される無端経路は、それぞれの第1の主運搬方向Tから見て、矢印c1で示される逆方向に連続している。第2のコンベア2によって提供される無端経路は、第2の主運搬方向Pから見て、矢印c2方向で示される逆方向に連続している。一般的にコンベア1、2は略水平方向位置に配置される。
【0019】
第1のコンベア1には、(第1の)卵キャリア11が設けられる;例示的な実施形態において、卵Eは、第1のコンベアの下部で、それぞれの第1の運搬方向Tに搬送される(図2参照)。第1の卵キャリア11は、第1の主方向Tへ第1の運搬速度で前進させられる。第2のコンベア2には、(第2の)卵キャリア21が設けられる;例示的な実施形態において、卵Eは、第2のコンベアの上部で、それぞれの第2の運搬方向Pに搬送される。第2の卵キャリア21は、第2の主方向Pへ第2の運搬速度で前進させられる。
【0020】
より詳細には、この実施例の卵キャリア11、21はそれぞれ、卵キャリア半体12a、12b、22a、22bから形成される。これら卵キャリア半体は、キャリアガイド13a、13b、23a、23bにスライド可能に取り付けられている。特に、第1のコンベアの卵キャリア11は、第2のコンベアの運搬方向Pに平行なスライド方向にスライドできるように第1のキャリアガイド13a、13b上に取り付けられている。特に、第2のコンベアの卵キャリア21は、第1のコンベアの運搬方向Tに平行なスライド方向にスライドできるように、第2のキャリアガイド23a、23bに取り付けられている。
【0021】
これら図面には、どのように第1のコンベア1の下部が卵キャリア11内の卵を供給して、引き渡し、どのような手段で卵Eが第2のコンベア2の卵キャリア21に受容されるかが示される。第2のコンベア2の上部は、上記第2の主運搬方向Pに、さらに放出トラックに沿って、各キャリア21内の卵Eを運搬する。図面では、この放出トラックはわずかな部分のみが図示されているが、このトラックは一般的に連続しており、特に卵がその特性に応じてキャリア21のすぐ下に配置される包装ユニット(図示せず)へ従来の様式で落下するように包装ステーション(図示せず)へ続いている。
【0022】
図1および図2のいずれにおいても、コンベア1、2の卵キャリア11、21が列10、20に従って主運搬方向T、Pにグループ分けされた様式が図示されている。より詳細には、第1のコンベア1に関する4つの列10a、10b、10c、10dと、第2のコンベアに関する2つの列20a、20bと、が図示される。キャリア半体12a、12b、22a、22bは、閉キャリアポジションつまり運搬ポジションと、半体が開いた後の解放ポジションとの間で動作可能である。解放ポジションでは卵は解放されるかまたは引き渡され、このとき卵は受容されるべく重力の作用下で落下運動により移動する。特に装置は、第2のコンベア2のキャリア21へ卵を引き渡すために、第1のキャリア11が引き渡し経路を移動すると同時に運搬ポジションから解放ポジションへもたらされるように構成されている。
【0023】
当業者には、第1のコンベア1から第2のコンベア2への卵Eの引き渡し中に、さまざまな状態を観察する必要があることは明らかであろう。
【0024】
そのため、第1の供給コンベア1の列10同士の間の中間距離は、第2のコンベア2の列20a、20bそれぞれにおける卵キャリア21同士の間の距離におおむね等しくなければならないだろう。
【0025】
加えて、2つのコンベア1および2の(主運搬方向T、Pにおける)前進速度は、特に、引き渡し経路において多数の第2の卵キャリア21がその都度第1の卵キャリア11とまったく同じように位置するよう、互いに対して調整される必要がある。それにより当該実施例では、第1のコンベア1の4つの隣接する列10のうち2つの隊列からの卵Eが、その都度、第2のコンベア2の2つの隣接する列20の4つの隊列へ引き渡される。それぞれの列および隊列の中間距離が図1および図2に図示されるようなものである場合、第2のコンベア2の速度は、第1のコンベア1の速度の2倍程度である。別の速度比を採用できることは当業者には明確であろう。これら速度は、コンベア1、2の所望の機能および構成上の実現性に依存する。
【0026】
本発明は、卵を搬送する第1の卵キャリア11のベクトル速度(2つの主運搬方向T、Pにおける固定点に対して測定される)と、卵を受容する第2の卵キャリア21の対応するベクトル速度(2つの主運搬方向T、Pにおける上記固定点に対して測定される)とが卵の引き渡し中に互いに対して実質的に等しくなるよう、構成されている。言い換えると、この構成は、卵の引き渡しのために互いに対して近接して配置される(上方平面図から見ると互いに対して向かい合っている)第1および第2の卵キャリア11、21の各ペア同士の間のベクトル速度差を、引き渡し領域において、実質的にゼロm/sとする。
【0027】
2つの運搬方向T、Pにおける上述の速度補償を達成し、それによってこれらの方向におけるほぼ0m/sの相対速度を得るために、補償デバイスは、コンベア1およびコンベア2の両方に設けられる。すなわち、コンベア2の主運搬方向Pにおける固有の速度(つまり第2の主運搬方向Pにおける上記第2の運搬速度)をコンベア1における卵Eに付与するためのP補償ユニット24と、主運搬方向Tにおける固有の速度(つまり第1の主運搬方向Tにおける上記第1の運搬速度)をコンベア2における卵Eへ付与するためのT補償ユニット14と、が設けられる。図1および図2に基づく実施例において、これら補償は、T補償機器14が方向Tにおける固有の速度を第2のコンベア2の卵キャリア21へ付与すると同時に、P補償機器24を用いて上記比率に基づいて「2倍」の乗率を達成せざるを得ないようなものとする必要がある。
【0028】
より詳細には、P補償機器24は、補償ビーム24a、24bを用いて、キャリア半体12a、12bが方向Pにおいて固有の速度(つまり第2の運搬速度)でガイドレール13a、13b上をスライドするように構成される。これによれば、第1のキャリア11は、キャリア内に存在する卵Eを引き渡すよう、このスライド動作中に解放ポジションへもたらされる。同様にT補償機器は、2つのステアリングビーム14a、14bとともに回転機構に接続されたメインビーム14cを備える。例えば2つのステアリングビーム14a、14bは、第2のコンベアの2つの列20a、20bにおける8つのキャリア21からなる次のセットが存在するたびに、回転動作を引き起こして、これらキャリア21をガイドレール23a、23b上を(第1の運搬速度で)方向Tにスライドさせる。当業者には、この回転が、このT構成機器の構造を連結形成する構成要素およびその大きさに応じた往復運動であってもよいことが明らかであろう。当業者には、上記引き渡し工程および引き渡し動作に先立って、すべてのキャリアが初期ポジションまたは開始ポジションへ移動されることが明確であろう。この目的のために必要な使用される手段およびデバイスはすでに公知であるため本明細書ではさらなる説明は省略する。キャリアを初期ポジションから解放ポジションへ移動させる手段についても同様のことが言える。
【0029】
別の例示的な実施形態においては、例えば装置は、4つの運搬列と3つの運搬列とをそれぞれ備える第1および第2のコンベア1、2を有しており、T補償機器の枢軸回動機構に関してさまざまな回転速度が得られるよう、ビーム24に関してさまざまな角度が選択されてもよい。
【0030】
上述のように、漸進的な引き渡しは2つの特徴を伴う。1つは、速度の大きさおよび方向に関連し、もう1つは、引き渡しのモーメントあるいは同期性に関連する。
【0031】
本発明に基づく上記装置には、両方の特徴が含有されている。そうしたシステムの同期性に関連するさらなる変形例および実施形態がニュージーランド国特許第1006002号明細書に開示されている。これは基本的に機械的連結と電気的連結との同期性に関係する。
【0032】
第2の特徴に関連するさらなる詳細は、一方ではコンベアの大きさおよびその部品に関連し、他方では2つのコンベア1、2の駆動に関連する。また当業者には、例えば連結の他の様式として、適切に制御される別々のサーボモータを使用できることは明らかであろう。
【0033】
図3には、本発明のさらなる詳細部が概略的に示される。図3は、第2のコンベア2’の卵キャリアがカップあるいはトレイ21’である点において図1および図2とは異なる。カップまたはトレイ21’は、保持または運搬ポジションと、解放ポジションとの間で動作可能であり、各カップまたはトレイは、それぞれの軸線X回りで枢軸回転可能である。軸線Xは、カップまたはトレイ21’の対応する主運搬方向Pに直交する。図3に示される実施例の作動は、図1および図2に図示される第1の実施例の上記作動と類似した様式で進められる。それにより、卵の引き渡しのために引き渡し領域において互いに近接して(上方平面図から見ると互いに向き合って)配置される複数対の第1および第2の卵キャリア11、21’のそれぞれの間のベクトル速度の差は、実質的にゼロm/sとなる。このため該装置には、特に上記補償デバイスが設けられている(図3には図示せず)。
【0034】
本発明に基づく装置の代替実施形態において、ロボットアームが使用されてもよい。交差するコンベア間の引き渡しのための高速移動アームの例が国際公開第2007/102732号パンフレットに開示されている。当業者には、複数のロボットアームを使用してもよく、またこのロボットアームがそれぞれ複数のピックアップ運搬ポジションに対して把持部を有することは明らかであろう。そうした適応機器は、主に、利用できる空間および使用されるコンベアの構成の能力および寸法に関する要求に基づいて選択される。
【0035】
代替的かつ例示的な実施形態をもたらす改変および変更が特許請求の範囲に記載された発明の範囲の保護の範囲内から逸脱しないことは当業者には明らかであろう。例えば、本明細書では本発明は卵に関連して説明されたが、例えばフルーツなどの食品を含む他の生産物がそうした装置を使用して処理できることは明らかであろう。さらに本明細書において、運搬方向T、Pが互いに直交する装置について開示したが、より広範な適応性を考慮して90°以外の他の角度を用いることができ、その場合は特に上述のような生産物の同時解放が連続的な解放に置き換えられるべきであることを重要な点として理解されたい。
【0036】
当業者には、本発明が上記例示的な実施形態に限定されないことは明らかであろう。特許請求の範囲に記載された本発明の構成の範囲内でさまざまな変形を行うことも可能である。
【符号の説明】
【0037】
1 第1の無端コンベア
2、2’ 第2の無端コンベア
10、10a、10b、10c、10d、20、20a、20b 列
11 第1の卵キャリア
12a、12b、22a、22b 卵キャリア半体
13a、13b、23a、23b キャリアガイド
14、24 補償ユニット
14a、14b ステアリングビーム
14c メインビーム
21、21’ 第2の卵キャリア
24a、24b 補償ビーム
図1
図2
図3