特許第6050369号(P6050369)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6050369
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】網膜レーザ手術
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/14 20060101AFI20161212BHJP
   A61B 3/10 20060101ALI20161212BHJP
   A61F 9/008 20060101ALI20161212BHJP
【FI】
   A61B3/14 A
   A61B3/14 M
   A61B3/10 R
   A61F9/008 130
   A61F9/008 120D
   A61F9/008 120E
【請求項の数】28
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-539944(P2014-539944)
(86)(22)【出願日】2012年8月22日
(65)【公表番号】特表2014-532514(P2014-532514A)
(43)【公表日】2014年12月8日
(86)【国際出願番号】US2012051862
(87)【国際公開番号】WO2013070300
(87)【国際公開日】20130516
【審査請求日】2014年9月26日
(31)【優先権主張番号】13/290,593
(32)【優先日】2011年11月7日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508185074
【氏名又は名称】アルコン リサーチ, リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100180194
【弁理士】
【氏名又は名称】利根 勇基
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー アーツユコビッチ
(72)【発明者】
【氏名】ミカイル ブークニー
(72)【発明者】
【氏名】ブルーノ ダクアイ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ジェイ.ヤドロウスキー
【審査官】 川島 徹
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−501985(JP,A)
【文献】 特開2001−046417(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0217691(US,A1)
【文献】 特開2011−212349(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/130456(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/14
A61B 3/10
A61F 9/008
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
網膜の画像において網膜血管を特定するようになっている画像処理サブシステムと、
網膜に治療用ショットを適用するようになっているレーザサブシステムと、
治療を必要とし且つ実質的に網膜血管と交わらない網膜位置を決定し、且つ、前記レーザサブシステムからのビームが治療位置に整列されると、前記治療位置について前記レーザサブシステムを作動させるように命令を発するようになっているレーザ制御サブシステムと
を具備し、
前記画像処理サブシステムが、治療用レーザショットの間、該治療用レーザショットよりも低いパワーと該治療用レーザショットとは異なる周波数帯とを有する走査レーザ検視鏡(SLO)を使用して網膜位置の第1反射率を決定するようになっており、
前記レーザ制御サブシステムが前記決定された第1反射率とレーザ設定値のためにユーザによって確立された変動限界値とに基づいて前記治療用レーザショットを調整するようになっている、システム。
【請求項2】
前記網膜の画像を得るようになっている画像化サブシステムを更に具備し、前記網膜の画像がリアルタイム網膜画像であり、該リアルタイム網膜画像が、前記血管が特定される網膜画像である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記網膜の画像を得るようになっている画像化サブシステムを更に具備し、前記網膜の画像がリアルタイム網膜画像であり、前記画像処理サブシステムが前記リアルタイム網膜画像に前記血管を登録するようになっている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記網膜の画像を得るようになっている第1画像化サブシステムを更に具備する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記網膜の画像が前記網膜の第1の画像であり、前記網膜の第2の画像を得るようになっている第2画像化サブシステムを更に具備する、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1画像化サブシステムが走査レーザ検眼鏡を具備し、前記第2画像化サブシステムが眼底カメラを具備する、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記画像処理サブシステムが、前記網膜の第1の画像において前記網膜血管の位置を特定し、該位置が特定された網膜血管を前記網膜の第2の画像に登録するようになっている、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記第2画像化サブシステムが一つ以上の治療用レーザショットの後に前記網膜の第3の画像を得るようになっており、前記画像処理サブシステムが前記網膜の第3の画像に前記血管を登録するようになっている、請求項5に記載のシステム。
【請求項9】
前記レーザサブシステムが凝固レーザを具備する、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記画像処理サブシステムが、治療用レーザショットの適用の前に、治療を必要とする網膜位置の第2反射率を決定するようになっており、
前記レーザ制御サブシステムが前記決定された第2反射率に基づいて前記レーザショットを調整するようになっている、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記レーザサブシステムからのビームの前記整列を調整するようになっているビーム案内サブシステムを更に具備する、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記ビーム案内サブシステムが前記レーザ制御サブシステムによって制御される、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記ビーム案内サブシステムが、ガルバノミラーと、関連する駆動装置とを具備する、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
画像処理サブシステム及びレーザ制御サブシステムを具備するシステムの作動方法であって、
前記画像処理サブシステムが網膜の画像において網膜血管を特定するステップと、
前記レーザ制御サブシステムが、治療を必要とし且つ実質的に網膜血管と交わらない網膜位置を決定するステップと、
前記レーザ制御サブシステムが、網膜レーザからのビームが治療位置に整列されると、前記網膜レーザを作動させるように命令を発するステップと、
前記画像処理サブシステムが、治療用レーザショットの間、該治療用レーザショットよりも低いパワーと該治療用レーザショットとは異なる周波数帯とを有する走査レーザ検視鏡(SLO)を使用して網膜位置の第1反射率を決定するステップと、
前記レーザ制御サブシステムが前記決定された第1反射率とレーザ設定値のためにユーザによって確立された変動限界値とに基づいて前記治療用レーザショットを調整するステップと
を含む、システムの作動方法。
【請求項15】
前記システムが第1画像化サブシステム及び第2画像化サブシステムを更に具備し、前記網膜の画像が前記網膜の第1の画像であり、当該方法が、さらに、
前記第1画像化サブシステムが前記網膜の第1の画像を得るステップと、
前記第2画像化サブシステムが前記網膜の第2の画像を得るステップと、
前記画像処理サブシステムが、前記網膜の第1の画像において前記網膜血管の位置を特定し、該位置が特定された網膜血管を前記網膜の第2の画像に登録するステップと
を含む、請求項14に記載のシステムの作動方法。
【請求項16】
さらに、
前記第2画像化サブシステムが一つ以上の治療用レーザショットの後に前記網膜の第3の画像を得るステップと、
前記画像処理サブシステムが前記網膜血管を前記網膜の第3の画像に登録するステップと
を含む、請求項15に記載のシステムの作動方法。
【請求項17】
さらに、
前記画像処理サブシステムが、レーザショットの適用の前に、治療を必要とする網膜位置の第2反射率を決定するステップと、
前記レーザ制御サブシステムが前記決定された第2反射率に基づいて前記レーザショットを調整するステップと
を含む、請求項14に記載のシステムの作動方法。
【請求項18】
前記システムがビーム案内サブシステムを更に具備し、当該方法が、さらに、前記ビーム案内サブシステムが前記網膜レーザからのレーザビームの前記整列を調整するステップを含む、請求項14に記載のシステムの作動方法。
【請求項19】
前記システムがレーザサブシステムを更に具備し、当該方法が、さらに、前記レーザサブシステムが前記治療位置についてレーザショットを発生させるステップを含む、請求項14に記載のシステムの作動方法。
【請求項20】
前記システムが画像化サブシステムを更に具備し、当該方法が、さらに、前記画像化サブシステムが前記網膜のリアルタイム画像を得るステップを含み、前記網膜のリアルタイム画像が、前記血管が特定される前記網膜の画像である、請求項14に記載のシステムの作動方法。
【請求項21】
前記システムが画像化サブシステムを更に具備し、当該方法が、さらに、
前記画像化サブシステムが前記網膜のリアルタイム画像を得るステップと、
前記画像処理サブシステムが前記網膜血管を前記リアルタイム網膜画像に登録するステップと
を含む、請求項14に記載のシステムの作動方法。
【請求項22】
網膜画像から網膜血管を特定するステップと、
治療を必要とし且つ実質的に網膜血管と交わらない網膜位置を決定するステップと、
網膜レーザからのビームが治療位置に整列されると、前記網膜レーザを作動させるように命令を発するステップと、
レーザショットの間、該レーザショットよりも低いパワーと該レーザショットとは異なる周波数帯とを有する走査レーザ検視鏡(SLO)を使用して網膜位置の第1反射率を決定するステップと、
該決定された第1反射率とレーザ設定値のためにユーザによって確立された変動限界値とに基づいて前記レーザショットを調整するステップと
をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項23】
網膜画像から網膜血管を特定するための前記ステップがリアルタイム網膜画像から前記網膜血管を特定することを含む、請求項22に記載のコンピュータプログラム。
【請求項24】
さらに、前記網膜血管をリアルタイム網膜画像に登録するステップをコンピュータに実行させる、請求項22に記載のコンピュータプログラム。
【請求項25】
さらに、前記網膜のリアルタイム画像を得るステップをコンピュータに実行させる、請求項24に記載のコンピュータプログラム。
【請求項26】
さらに、
一つ以上のレーザショットの後に第2の網膜画像を得るステップと、
前記網膜血管を前記第2の網膜画像に登録するステップと
をコンピュータに実行させる、請求項22に記載のコンピュータプログラム。
【請求項27】
さらに、レーザショットの適用の前に、治療を必要とする網膜位置の第2反射率を決定し、該決定された第2反射率に基づいて前記レーザショットを調整するステップをコンピュータに実行させる、請求項22に記載のコンピュータプログラム。
【請求項28】
さらに、レーザビームの前記整列を調整するステップをコンピュータに実行させる、請求項22に記載のコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、視覚手術に関し、より具体的にはレーザを介した患者の網膜の手術に関する。
【背景技術】
【0002】
患者の網膜にレーザを適用することによって様々な病気を治療することができる。例えば、糖尿病性網膜症が、患者の網膜上にマルチスポットのレーザ凝固パターンを生成すること、すなわち汎網膜光凝固によって治療され、汎網膜光凝固は網膜を再生することができる。これらパターンは多くの(例えば3000)の正確なレーザショットを必要とすることが多い。
【0003】
網膜レーザショットを適用すべく、医師は、例えば、各ショットの標的を個々に合わせ、レーザを作動させることができる。ショットは(例えばエンドプローブを使用して)網膜に直接適用され又は(例えばレーザ間接検眼鏡検査法(laser indirect ophthalmoscopy)又はレーザ供給光学素子を有する細隙灯を使用して)眼を通して適用される。レーザショットの間、医師は、治療効果と相関がある所定の程度の網膜白濁を実現すべくショット(例えばパワー及び/又はパルス長)を調整することができる。手術時間を減少させるために、医師が一度に多数のショットを適用することを可能とする工具(例えばマルチスポットファイバ及びパスカル・パターニングレーザ)が開発されてきた。
【発明の概要】
【0004】
一つの一般的な実施例では、網膜レーザ手術のための工程が、網膜画像から網膜血管を特定するステップを含む。工程は、さらに、治療を必要とし且つ実質的に網膜血管と交わらない網膜位置を決定するステップと、網膜レーザからのビームが治療スポットに整列されると、網膜レーザを作動させるように命令を発するステップとを含む。工程は、多数のシステム及びコンピュータプログラムの形態を使用して行われる。
【0005】
いくつかの実施例では、網膜の画像が、得られ、網膜血管を特定するのに使用される。いくつかの例では、網膜のリアルタイム画像が得られ、網膜血管が別の網膜画像から得られ、網膜血管はリアルタイム網膜画像に登録される。
【0006】
特定の実施例は、網膜のリアルタイム画像を得るステップを含む。網膜のリアルタイム画像は、網膜血管を特定するのに使用される。他の例では、網膜血管は網膜のリアルタイム画像に登録される。さらに、いくつかの実施例は、一つ以上のレーザショットの後に追加の網膜画像を得るステップと、網膜血管を第3の画像に登録するステップとを含む。
【0007】
所定の実施例は、網膜の特徴に基づいてレーザショットを調整するステップを含む。例えば、治療を必要とする網膜スポットの反射率がレーザショットの適用の前に決定され、レーザショットは、決定された反射率に基づいて調整される。別の例として、治療を必要とする網膜スポットの反射率はレーザショットの間に決定され、レーザショットは、決定された反射率に基づいて調整される。
【0008】
いくつかの実施例は、レーザビームの整列を調整するステップを含む。特定の実施例は、治療位置についてレーザショットを発生させるステップを含む。
【0009】
様々な実施例は一つ以上の特徴を含んでもよい。例えば、治療用レーザショットは、血管を回避しつつ、自動化された態様で網膜に適用されてもよい。このため、血管への損傷を回避しつつ、自動化された網膜治療を実現することができる。別の例として、複数のレーザショットが、血管を回避しつつ、自動化された態様で適用されてもよい。このため、血管の損傷を回避しつつ、比較的広い範囲に亘って、自動化された網膜治療を実現することができ、このことは手術時間及び手術の労力を低減することができる。さらに、各治療用レーザショットが個別であるので、ショットは正確に標的が合わされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、網膜レーザ手術のための例示的なシステムを示すブロック図である。
図2A図2Aは、図1の網膜レーザ手術システムによって使用される例示的な処理技術を示す図である。
図2B図2Bは、図1の網膜レーザ手術システムによって使用される例示的な処理技術を示す図である。
図3図3は、図1の網膜レーザ手術システムによって適用される例示的な治療技術を示す図である。
図4図4は、網膜レーザ手術のための別の例示的なシステムを示す概略図である。
図5図5は、網膜レーザ手術のための例示的な処理を示すフローチャートである。
図6図6は、網膜レーザ手術のための別の例示的な処理を示すフローチャートである。
図7図7は、網膜レーザ手術のための追加の例示的な処理を示すフローチャートである。
図8図8は、網膜レーザ手術のための例示的なコンピュータシステムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
様々な実施例の詳細及び特徴が図面とともに以下の説明によって伝えられる。
図1は、網膜レーザ手術のための例示的なシステム100を示す。システム100は、眼底カメラ110、リアルタイム眼底カメラ(real-time fundus camera)120、網膜レーザ130及びビーム誘導システム140を含む。システム100は網膜156上の様々な点157にレーザビームを向けることによって眼150にレーザ手術を行うようになっており、眼150は、角膜152、水晶体154及び網膜156を含む。
【0012】
眼底カメラ110は眼150の網膜156の比較的高解像度の画像を得るようになっている。眼底カメラ110は、例えば、画像を得るのに蛍光眼底血管造影法を使用することができる。眼底カメラ110は眼底の他の部分(例えば視神経乳頭、黄斑及び中心窩)の画像も得ることができる。所定の実施例では、眼底カメラ110は走査レーザ検眼鏡(「SLO」)である。しかしながら、眼底カメラ110は、網膜血管を特定するのに十分な解像度の画像を供給するように動作する任意のカメラ、静止カメラ又はビデオカメラであってもよい。例えば、眼底カメラ110は、網膜血管の高い解像度の又は非常に高い解像度の画像を供給するように動作する任意のカメラであってもよい。このため、眼底カメラ110は網膜150の治療前の画像又はリアルタイム画像を得ることができる。
【0013】
リアルタイム眼底カメラ120は、網膜156のリアルタイム画像を得て、血管パターンを画像に関連付けて、網膜レーザ130の発射を制御するようになっている。リアルタイム画像を得るべく、リアルタイム眼底カメラ120は撮像装置122を含む。撮像装置122は、例えば、SLO、ビデオカメラ、又は網膜をリアルタイムで画像化するためのその他の適切な装置である。ビデオカメラは、例えば、ビームスプリッタと、レーザ供給光学素子を有する細隙灯と共に使用される。リアルタイム画像が現在の眼の状態と一致する画像であってもなくてもよいことに留意されたい。例えば、処理時間によって遅延が生じうる。さらに、作り出された画像は、短時間(例えば数秒)の間、使用され、それでもなおリアルタイムと見なされうる。リアルタイム眼底カメラ120は眼底の他の部分(例えば視神経乳頭、黄斑及び中心窩)の画像も得ることができる。
【0014】
リアルタイム眼底カメラ120は画像プロセッサ124及びレーザコントローラ126も含む。画像プロセッサ124は、眼底カメラ110からの網膜画像に基づいて血管パターンを決定して、血管パターンをリアルタイム画像に関連付けるようになっている。レーザコントローラ126は網膜レーザ130の発射を制御するようになっている。撮像装置122、画像プロセッサ124及びレーザコントローラ126はそれぞれこれら自身のプロセッサを有し又はプロセッサを共有することができる。他の実施例では、一つ以上の撮像装置122、画像プロセッサ124及びレーザコントローラ126がプロセッサを共有してもよい。さらに、これらは同一のユニット内で組み合わされてもよい。
【0015】
いくつかの実施例では、眼底カメラ110及びリアルタイム眼底カメラ120は、異なる解像度を有する画像を得てもよい。すなわち、いくつかの実施例では、一方のカメラは他方のカメラよりも高い解像度を有する網膜の画像を得てもよい。さらに、カメラは、網膜の画像を得るべく、異なる画像技術を利用してもよい。更に他の実施例では、カメラは、同一の解像度を有する画像を得、又は同一の又は同様の画像技術を使用して画像を得てもよい。
【0016】
いくつかの例では、単一のカメラが、カメラによって生成された画像に基づいてレーザを制御するのに使用されてもよい。例えば、いくつかの例では、眼底カメラ110は取り除かれてもよい。このため、いくつかの実施例によれば、リアルタイム眼底カメラ120によって生成された画像が網膜血管パターンを決定するのに利用されてもよい。いくつかの例では、リアルタイム眼底カメラ120は、高精細ビデオカメラであってもよい。他の例では、リアルタイム眼底カメラ120はSLOであってもよい。しかしながら、網膜血管を示す眼底の高解像度の像を生成するように動作する任意の画像化装置が使用されてもよい。この網膜血管パターンはレーザ治療のために適切な位置を特定するのに使用されることができる。例えば、レーザ治療のための適切な位置は、血管と交わらない網膜の位置である。したがって、リアルタイム眼底カメラ120からの画像は、血管パターンを決定すべく画像プロセッサ124によって処理される。
【0017】
網膜レーザ130は、概して、治療用レーザショットを網膜に適用するための任意のレーザである。網膜レーザ130は例えば光凝固レーザである。治療のために、網膜レーザは、数ワット程度のパワーと、最大数百ミリセカンドのパルス長とを有することができる。網膜レーザ130のパワー及び/又はパルス長は典型的には制御可能である。
【0018】
ビーム案内システム140は、リアルタイム眼底カメラ120及び網膜レーザ130からの光(可視光又は不可視光)をビーム142として角膜152及び水晶体154を通って網膜156上の特定の位置まで案内するようになっている。ビーム案内システム140は網膜156からの光をリアルタイム眼底カメラ120まで案内することもできる。ビーム案内システム140は、例えば、一つ以上のサーボ駆動によって駆動される一つ以上のミラー、又は回転ガラスプリズムを含む。
【0019】
いくつかの実施例では、眼底カメラ110は網膜156を画像化して画像データをリアルタイム眼底カメラ120に伝達する。眼底カメラ110は通信リンク112(例えばバス又はラン)を使用してリアルタイム眼底カメラ120にデータを伝達することができる。
【0020】
リアルタイム眼底カメラ120の画像プロセッサ124は網膜血管を特定すべく網膜の画像を処理することができる。上記に示されたように、いくつかの実施例では、網膜の画像は眼底カメラ110を使用して得られる。他の例では、網膜の画像はリアルタイム眼底カメラ120によって得られてもよい。特定処理は様々な公知技術によって実現される。例えば、いくつかの例では、網膜血管の特定は、2005年8月18日〜21日に開催された機械学習及び人工頭脳の国際会議2005年の予稿集のZhiwen Xu等による「眼底の血管認識」に記載された技術に従って実現される。他の例では、網膜血管は、神経回路網の国際合同会議2007年8月の予稿集のReza Derakhshani等による「眼表面脈管構造を使用する生体認証のためのテクスチャーベースの神経回路網分類」に記載された技術を使用して特定されてもよい。しかしながら、本開示の範囲はこれらに限定されるものではない。したがって、網膜血管を特定するための任意の適切な技術が使用される。
【0021】
これの前に、これの間、又はこれの後に、リアルタイム眼底カメラ120の撮像装置122は網膜156を画像化することができる。例えば、撮像装置122は光ビーム128を発生させ、ビーム案内システム140はビーム142として網膜156を横断して光ビームを走査させることができる。
【0022】
眼底カメラ110によって得られた網膜156の画像から血管が特定される例では、画像プロセッサ124は、リアルタイム眼底カメラ120によって得られたリアルタイム画像に血管パターンを登録することができる。すなわち、眼底カメラ110からの画像から得られた血管パターンは、リアルタイム眼底カメラ120によって得られた網膜の画像上に整列される(例えばスケールが合わされて正確に配設される)。登録は、例えば、特定の特徴(例えば視神経乳頭、血管分岐等)を特定することによって実現される。その後、二つの画像は、重なり合う特徴の適切な度合い(例えば最大)を実現すべく回転せしめられ且つスケールが合わされる。単一のカメラが使用される実施例では、登録を取り除くことができる。
【0023】
図2A及び図2Bは、リアルタイム眼底カメラ120によって生成される例示的な画像を示す。図2Aでは、リアルタイム眼底カメラは網膜血管パターン210を決定すべく眼底カメラ110からの画像データを処理した。図2Bでは、リアルタイム眼底カメラ120は眼150のリアルタイム画像に血管パターン210を登録した。
【0024】
リアルタイム眼底カメラ120のレーザコントローラ126は、網膜156の一つ以上の定義された領域内において、網膜156上のレーザ治療のための一つ以上の位置を特定することができる。例えば医師又は他の医療専門家のようなユーザが、例えば、治療を必要とする網膜156の領域を特定することができる。いくつかの例では、ユーザは、網膜の表示された画像とやりとりすることによって、治療を必要とする網膜156の領域を特定してもよい。例えば、網膜の画像がディスプレイ上に表示される。いくつかの例では、ディスプレイは、後述される図8に示されるコンピュータシステムのような手術コンソール又はコンピュータシステムの一部に接続され又は手術コンソール又はコンピュータシステムの一部を形成することができる。ユーザは、入力装置を使用して治療のための網膜の領域を選択すべく、網膜の画像とやりとりすることができる。例えば、マウス、ペン、トラックボール又は他の装置のような入力装置が治療のために網膜の領域を選択するのに使用される。他の例では、ディスプレイはタッチスクリーンである。したがって、ユーザは、例えば指又は他の道具でタッチスクリーン・ディスプレイを触れることによって網膜の一部を選択することができる。
【0025】
治療のための網膜の領域を選択することに加えて、ユーザは他の治療設定値を定義することもできる。例えば、ユーザは、レーザパワー、レーザのオンタイム持続時間(すなわちレーザが網膜位置に入射する時間の持続時間)、スポットサイズ、及び網膜上に形成されるスポットの間隔(「スポット充填密度」)のうちの一つ以上を定義することができる。
【0026】
レーザコントローラ126は、特定された領域内でレーザ治療のための一つ以上の治療位置を決定することができる。レーザコントローラ126は、例えば様々な要因(例えばユーザによって設定されうるスポットサイズ、スポット充填密度等)を考慮することによって、選択された領域内で網膜上に形成される一つ以上のスポットの位置を決定することができる。例えば、スポットサイズは1mmであり、スポット間隔は1mmである。
【0027】
レーザコントローラ126は、スポットが形成されるべき治療位置が網膜血管と交わるかどうかを決定する。例えば、この決定は、血管に対する位置の近接度と、作り出されるべきスポットのサイズとに基づく。治療位置が網膜血管と交わる場合、レーザコントローラ126は、治療を必要としている別の位置を特定することができる。特定の実施例では、レーザショットと血管との少量の交差(例えば血管の10%未満を覆うこと)は許容されうる。典型的には、レーザパワーはビームの中心から離れるほど小さくなる。
【0028】
レーザコントローラ126は、治療を必要としており且つ血管と交わらない位置をいったん特定すると、ビーム142を治療位置に整列させるようにビーム案内システム140に指示することができる。指示は例えばデータリンク144(例えばバス又はラン)を横断して送信される。また、レーザコントローラ126は、ビーム案内システムがビーム132を治療位置に整列させると、網膜レーザ130に発射するように指示することができる。指示は例えばデータリンク134(例えばバス又はラン)を横断して送信される。網膜レーザ130が発射された後、レーザコントローラ126は別の適切な治療位置を決定することができる。例えば、レーザコントローラ126は、レーザ治療のための領域内で血管と交わらない別の治療位置を決定することができる。また、レーザコントローラ126は、新しい治療位置に整列させるようにビーム案内システム140を調整し、網膜レーザ130に再び発射するように指示することができる。
【0029】
図3は、網膜レーザ手術を行うための、システム100を使用して実現されうる治療技術を示す。概して、図3は、網膜画像300上に重ね合わされた血管パターン210を有する網膜画像300を示す。画像300では、領域320が、例えば医師又は他の医療専門家のようなユーザによって、網膜レーザ手術のために定義された。領域320は、レーザビームの潜在用途について特定された多数の位置330を有する。いくつかの例では、位置330は例えばスポットサイズ及び間隔のユーザの設定値に基づいて決定される。いくつかの例では、位置330は手動で決定されてもよい。他の例では、位置330はプロセッサによって決定されてもよい。位置330は位置332及び位置334を含む。位置332は血管330と交わらず、位置334は血管330と交わる。このため、位置322が網膜レーザによって治療されるべきであり、一方、位置334は治療されるべきでない。
【0030】
システム100は他の動作も含んでもよい。例えば、リアルタイム眼底カメラ120は周期的に眼150を画像化してもよい。眼150は、眼の位置を再決定すべく周期的に画像化されてもよい。例えば、いくつかの実施例では、リアルタイム眼底カメラ120は、定義された頻度、例えばレーザショット間の定義された時間間隔等で、網膜156を繰り返し画像化してもよい。リアルタイム眼底カメラは、その後、眼が移動した場合、網膜レーザ130をその標的に調整することができる。いくつかの例では、衝動性運動による眼の運動の間に約5msが経過する。周期的な画像は、網膜レーザ130の標的を正確に合わせるべく、眼の運動の間に一回以上撮られることができる。例えば、高いパーシャルフレームレート(partial frame rate)を有するウィンドウイングCMOSカメラが迅速な(すなわち高いフレームレートの)画像キャプチャを提供するのに使用されてもよい。
【0031】
別の例として、画像プロセッサ124が網膜上の治療位置の反射率を決定し、その後、網膜レーザ130が、作動され、この決定に基づいてレーザショットを調整してもよい。特定の実施例では、例えば、網膜位置は、治療効果を実現すべく約50℃まで加熱される必要がある。しかしながら、加熱は網膜位置の反射率並びに治療用レーザのスポット径及び波長に依存する。
【0032】
網膜の位置の反射率は、例えば、眼底カメラ110又はリアルタイム眼底カメラ120に反射された光の強度に基づいて決定され、反射された光の量が多ければ多いほど、高い反射率を示す。レーザショットが高められた治療効果を有するための適切な特性は、眼150内の位置毎に変化しうる網膜の色に依存し、反射率は色と相関がある。例えば、30%の反射率は茶色と相関があり、80%の反射率は橙色と相関がある。高い反射率を有する位置は強い強度のレーザショット(例えば増大したパワー及び/又はパルス長)を要求し、低い反射率を有する位置は低い強度のレーザショットを要求する。網膜レーザが作動されてレーザショット(例えばパワー及び/又はパルス長)を調整する前に治療位置を評価することによって、リアルタイム眼底カメラ120は、所定の位置において、高められた治療効果を提供することができる。さらに、位置を基準にして調整が行われてもよい。
【0033】
更なる例として、リアルタイム眼底カメラ120は、レーザショットの間、治療位置において網膜156の反射率を決定し、決定された反射率に基づいてレーザショット(例えばパワー及び/又はパルス長)を調整するように網膜レーザ130に命令することができる。網膜位置に提供される治療効果は、レーザショットによって生じる白濁の程度によって決定され、白濁は反射率と相関がある。このため、網膜レーザが作動してレーザショットを調整している間、治療位置を評価することによって、リアルタイム眼底カメラ120は高められた治療効果を提供することができる。特定の実施例では、レーザショットは、網膜位置について網膜白濁の予め設定された値が実現されるとすぐに終了する。
【0034】
システム100は様々な特徴を有する。例えば、システム100は血管を回避しつつ網膜に治療用レーザショットを適用する。このため、血管の損傷を回避しつつ、自動化された網膜治療を実現することができる。加えて、複数のレーザショットが、血管を回避しつつ、自動化された態様で適用されてもよい。この結果、自動化された網膜治療が比較的広い範囲に亘って実現され、このことは血管の損傷を回避しつつ手術時間及び手術の労力を低減することができる。さらに、各治療用レーザショットは、個別であるので、標的が正確に合わせられることができる。システム100は、糖尿病性網膜症を治療することと、光線力学的治療を促進することと、黄斑変性症を治療することとを含む様々な治療効果を発生させるために有用である。
【0035】
図1は、網膜レーザ手術のためのシステムの一つの実施例を示すが、網膜レーザ手術のための他のシステムが、より少ない、追加の、及び/又は異なる部品の構成を有してもよい。例えば、画像プロセッサ及びレーザコントローラは同一のサブシステムの一部であってもよい。例えば、これらは同一のコンピュータの一部であってもよい。別の例として、画像プロセッサ及びレーザコントローラはリアルタイム眼底カメラの一部でなくてもよい。例えば、これらは、一つ以上の通信ネットワークによって互いに結合された別個のサブシステムであってもよい。加えて、システム100は追加の部品(例えばビームコンバイナ)を含んでもよい。別の例として、システム100は眼底カメラ110を含まなくてもよい。例えば、リアルタイム眼底カメラ120が網膜画像を提供し、血管パターンがこの網膜画像から決定される。例えば、血管パターンを検出するのに十分な解像度を有するリアルタイム眼底カメラが使用されてもよい。このため、カメラによって生成された画像に基づいてレーザを制御するのに単一のカメラが使用されてもよい。これら実施例では、血管パターンをリアルタイム画像に登録する必要はない。他のシステムが、図3に示される治療技術と同様の治療技術を適用してもよい。
【0036】
図4は、網膜レーザ手術のための別の例示的なシステム400を示す。システム400は、リアルタイム眼底カメラ410、網膜レーザ420、ビームコンバイナ430及びビーム案内システム440を含む。システム400は眼450にレーザ手術を行うようになっており、眼450は、角膜452、水晶体454及び網膜456を含む。
【0037】
この実施例では、リアルタイム眼底カメラ410は例えばSLOを含み、網膜レーザ420は例えば光凝固レーザである。ビームコンバイナ430はリアルタイム眼底カメラ410からのビームと網膜レーザ420からのビームとを結合するようになっている。
【0038】
ビームコンバイナ430は、例えば、異なる波長の光(可視光又は不可視光)を結合するビームスプリッタである。例えば、治療用レーザは緑色(例えば514nm)又は黄色(例えば577nm)であることが多く、画像化レーザは近赤外であり、このことは患者の不快感を低減することができる。さらに、画像化レーザについて異なる波長を使用することは、より良い品質の画像を生成することができる。このため、リアルタイム眼底カメラ410は一つのスペクトル帯(例えば800nm)で動作し、網膜レーザ420は別のスペクトル帯(例えば532nm)で動作する。
【0039】
ビーム案内システム440はリアルタイム眼底カメラ410及び網膜レーザ420からのビームを網膜456上の様々な位置457に向けるようになっている。この実施例では、ビーム案内システム440はガルバノミラー442及びガルバノ駆動装置444を含む。入力コマンドに応答して、ガルバノ駆動装置444はガルバノミラー442の方向を調整し、このことによってビームの方向が調整される。特定の実施例では、ビーム案内システム440は複数のミラー及び駆動装置を含んでもよい。
【0040】
所定のモードの動作では、リアルタイム眼底カメラ410は網膜血管を特定すべく網膜456の一つ以上の画像を処理することができる。例えば、画像は眼底カメラ(図示せず)から生じ、眼底カメラは画像データをリアルタイム眼底カメラ410に伝達し、又は眼底カメラ410自体が網膜456を画像化してもよい。リアルタイム眼底カメラ410は、網膜456のリアルタイム画像も得て、その画像に血管パターンを登録することもできる。
【0041】
リアルタイム眼底カメラ410は、網膜456上の治療を必要としている一つ以上の位置457を特定することもできる。例えば、リアルタイム眼底カメラ410は、治療を必要としている予め定められた位置を特定することによって、又は治療を必要としている領域に関する指示(例えばユーザ入力)に基づいて位置を決定することによって位置を特定することができる。リアルタイム眼底カメラ410は、治療位置が血管と交わるかどうかも決定する。いくつかの例では、交差は、血管に対する位置の近接度と、その位置に形成されるべきスポットのサイズ(例えば直径)とに基づいて決定される。治療位置が血管と交わる場合、リアルタイム眼底カメラ410は、治療を必要としている別の位置を特定することができる。
【0042】
リアルタイム眼底カメラ410は、治療を必要としており且つ血管と交わらない位置をいったん特定すると、網膜レーザ420からのビーム422をその位置に整列させるようにビーム案内システム440に指示することができる。また、リアルタイム眼底カメラ410は、ビーム案内システムがビーム422を治療位置に整列させると、網膜レーザ420に発射するように指示することができる。網膜レーザ420が発射された後、リアルタイム眼底カメラ410は、別の適切な治療位置を決定し、ビーム案内システム440を調整し、網膜レーザ420に再び発射するように指示することができる。
【0043】
システム100は他の動作も含んでもよい。例えば、リアルタイム眼底カメラ410は眼の位置を再決定すべく周期的(例えば数秒毎又は各レーザショットの間)に眼450を画像化してもよい。リアルタイム眼底カメラは、その後、眼が移動した場合、網膜レーザ420をその標的に調整することができる。典型的には、眼が移動するのに約5msかかる。このため、調整を行うための時間が存在する。
【0044】
別の例として、リアルタイム眼底カメラ410が網膜上の治療位置の反射率を決定し、その後、網膜レーザ420が、作動され、この決定に基づいてレーザショットを調整してもよい。例えば、治療位置の反射率は、リアルタイム眼底カメラ410に反射された光に基づいて決定され、反射された光の量が多ければ多いほど、高い反射率を示す。レーザショットが高められた治療効果を有するための適切な特性は、眼150内の場所毎に変化しうる網膜の色に依存してもよく、反射率は色と相関がある。高い反射率を有する位置は強い強度のレーザショット(例えば増大したパワー及び/又はパルス長)を要求し、低い反射率を有する位置は低い強度のレーザショットを要求する。網膜レーザが作動されてレーザショット(例えばパワー及び/又はパルス長)を調整する前に治療位置を評価することによって、リアルタイム眼底カメラ410は、所定の位置において、高められた治療効果を提供することができる。さらに、位置を基準にして調整が行われてもよい。
【0045】
更なる例として、リアルタイム眼底カメラ410は、レーザショットの間、治療位置において網膜456の反射率を決定し、決定された反射率に基づいてレーザショット(例えばパワー及び/又はパルス長)を調整するように網膜レーザ420に命令することができる。リアルタイム眼底カメラ410は、レーザショットの間、網膜レーザ420によって使用されるスペクトル帯と同じスペクトル帯又は網膜レーザ420によって使用されるスペクトル帯と異なるスペクトル帯において網膜をサンプリングすることによって治療位置の反射率を決定してもよい。網膜の白濁が生じると、反射率は広い範囲の波長で変化する。ビームコンバイナ430はリアルタイム眼底カメラ410からのビームと網膜レーザ420からのビームとを結合し、ビーム案内システム440は結合されたビームを治療位置に案内することができる。リアルタイム眼底カメラ410からのビームの反射された部分は、その後、ビーム案内システム440からビームコンバイナ430に送られ、検出及び分析のためにビームコンバイナ430によってリアルタイム眼底カメラ410に戻るように向けられる。
【0046】
図5は、網膜手術のための例示的な工程500を示す。いくつかの例では、工程500はシステム100又はシステム400と同様のシステムによって実現される。
【0047】
工程500は網膜の画像化を要求する(動作504)。いくつかの実施例では、網膜は、リアルタイム眼底カメラ、SLO又は他の適切な装置を使用して画像化される。いくつかの例では、網膜の画像を得るのに蛍光眼底血管造影法を使用する。他の例では、網膜の生体画像が得られる。いくつかの実施例では、生体画像を生成するのに任意の高精細ビデオカメラを使用する。例えば、いくつかの例では、細隙灯に連結された高精細ビデオカメラが使用される。508において、網膜の血管パターンが、得られた網膜画像に基づいて決定される。血管パターンは、一つ以上の公知のアルゴリズム又はその他の適切な技術を使用して決定されてもよい。例えば、上記に開示された技術の一つが使用される。しかしながら、本開示はこれらに限定されるものではない。このため、任意の適切な技術を使用することができる。
【0048】
いくつかの例では、網膜の第2の画像が得られる。例えば、第2の画像は第2カメラから得られる。第2カメラはリアルタイム眼底カメラであってもよい。いくつかの実施例では、第1眼底カメラ及び第2眼底カメラは異なる解像度で画像を得てもよい。すなわち、いくつかの実施例では、一方のカメラは他方のカメラよりも高い解像度で網膜の画像を得てもよい。さらに、第1カメラ及び第2カメラは、網膜の画像を得るべく、異なる画像化技術を利用してもよい。更に他の実施例では、第1カメラ及び第2カメラは同一の解像度を有する画像を得又は同一の若しくは同様の画像化技術を使用して画像を得てもよい。
【0049】
例えば、第2カメラを使用する実施例では、第2カメラは網膜のリアルタイム画像を得てもよい。いくつかの例では、第2カメラはSLO又はビデオカメラである。血管パターンは、網膜のリアルタイム画像に登録されてもよい。
【0050】
512において、網膜の治療領域が治療のために特定される。例えば、網膜の治療領域の特定は、例えば医師又は他の医療専門家のようなユーザからの入力を受信することによって実現される。いくつかの例では、ユーザからの入力は、治療のために網膜の領域を定義すべく、網膜の表示された画像とのユーザインタラクションによって実現される。例えば、入力は、例えばタッチスクリーン、マウス、キーボード、トラックボール又は他の入力装置のような入力装置を介して受信される。
【0051】
520において、網膜の特定された治療領域内で一つ以上の位置が決定される。いくつかの例では、ユーザは、治療のための位置の開始点として、特定された領域内の位置を特定してもよい。他の例では、一つ以上の治療位置が、予め特定された治療位置を読み出すことによって特定される。領域内の治療位置は様々な要因に従って構成される。例えば、治療位置は、形成されるべき治療用レーザショットのサイズ及びこれらの充填密度に従って構成される。これら要因はユーザによって入力されてもよい。
【0052】
工程500は、治療位置が網膜血管と交わるかどうかを決定することも要求する(動作524)。いくつかの例では、治療位置は、網膜血管の任意の部分に重なる場合、網膜血管と交わると見なされる。さらに、治療位置は、血管に重なる場合、又は治療位置に形成されるべき治療スポットが網膜血管に交わる場合、血管と交わるように決定されてもよい。スポットは、形成されるべきスポットのサイズ(例えば直径)に基づいて、血管と交わるように決定されてもよい。例えば、スポットは、選択された量だけ血管に重なる場合、血管と交わるように決定されてもよい。いくつかの実施例では、少量の交差は許容される。
【0053】
治療位置が網膜血管と交わらない場合、工程500は、治療位置と一致するようにレーザビームの整列を調整することを要求する(動作528)。レーザビームの整列は例えばガルバノミラー/ガルバノ駆動システムによって調整される。工程500は、網膜レーザを作動させることも要求する(動作532)。レーザは、例えば予め定義されたパワー及びパルス長において作動される。
【0054】
工程500は、治療されるべき別の網膜の治療位置が存在するかどうかを決定することも要求する(動作536)。治療を必要とする網膜領域はレーザによって形成されるスポットと比較して比較的大きいことが多く、このため、治療を必要とする多く(例えば1000)の治療位置が存在しうる。
【0055】
治療されるべき別の治療位置が存在する場合、工程500は、別の治療位置を決定することを要求する(動作520)。しかしながら、治療されるべき別の治療位置が存在しない場合、工程500は終了する。
【0056】
動作524に戻ると、治療位置が血管と交わらない場合、工程500は、別の治療位置が治療されるべきかどうかを決定することを要求する(動作536)。すなわち、工程500は、血管と交わる位置についての治療をスキップする。治療されるべき別の治療位置が存在する場合、工程500は、別の治療位置を決定することを要求し(動作520)、治療されるべき別の治療位置が存在しない場合、工程500は終了する。
【0057】
工程500は網膜レーザ手術についての例示的な工程を示すが、網膜レーザ手術についての他の工程が、より少ない、追加の、及び/又は異なる動作の構成を含んでもよい。例えば、工程は、網膜を画像化することを含まなくてもよい。いくつかの例では、このことは、網膜が別の点において画像化された場合、生じる。別の例として、工程は、網膜のリアルタイム画像を得ることを含んでもよい。リアルタイム画像は、例えばSLO、ビデオカメラ又は他の適切な装置を使用して得られる。血管パターンはリアルタイム画像に登録されてもよい。いくつかの例では、網膜のリアルタイム画像及び網膜の一つ以上の他の画像は、異なる解像度を有してもよい。さらに、網膜のリアルタイム画像及び網膜の一つ以上の画像は、異なるカメラを使用して得られてもよい。代替的に、網膜の画像は、異なる解像度において、同一のカメラによって得られてもよい。更に他の例では、網膜画像は同一の解像度において同一のカメラによって得られてもよい。治療領域は、リアルタイム画像に登録された網膜血管を有するリアルタイム画像を使用して特定されてもよい。
【0058】
追加の例として、工程は、レーザを調整する前に、血管との交差について多数(例えば二以上)の治療位置を評価することを含んでもよい。このため、工程は、どの治療位置が実行可能であるか事前に決定することができる。更なる例として、工程は、別の治療用レーザショットを行う前に、眼が同一の位置にあることを確認すべく(例えばSLOで)眼を走査することを含んでもよい。更なる例として、工程は、レーザショットの前又は間にレーザショットを調整することを含んでもよく、このことは下記で論じられる。ユーザによって確立された変動限界値に基づいて、レーザショットの調整を行うことができる。
【0059】
図6は、網膜レーザ手術についての別の例示的な工程600を示す。いくつかの実施例では、工程600はシステム100又はシステム400と同様のシステムによって実現される。しかしながら、これらシステムは単なる例として提供される。このため、工程600を実現するのに他のシステムが使用されてもよい。工程600は、網膜手術についての別の工程、例えば工程500の一部として使用されてもよい。工程600は、手術処置の間、数回繰り返されてもよい。
【0060】
工程600は、レーザを作動させる前に網膜上の治療位置の反射率を決定することを要求する(動作604)。いくつかの例では、反射率は、SLOに反射された光に基づいて決定され、反射された光の量が多ければ多いほど、高い反射率を示す。
【0061】
工程600は、反射率に基づいて治療位置についてレーザショットを調整することも要求する(動作608)。例えば、高い反射率を有する位置は強い強度のレーザショット(例えば増大したパワー及び/又はパルス長)を要求し、低い反射率を有する位置は低い強度のレーザショットを要求する。工程600は、その後、終了する。
【0062】
図7は網膜レーザ手術についての追加の例示的な工程700を示す。いくつかの例では、工程700はシステム100又はシステム400と同様のシステムによって実現される。しかしながら、これらシステムは単なる例として提供される。このため、工程700を実現するのに他のシステムが使用されてもよい。工程700は、網膜手術についての別の工程、例えば工程500の一部として使用されてもよい。工程700は、手術処置の間、数回繰り返されてもよい。
【0063】
工程700は、レーザショットの間、網膜上の治療位置の反射率を決定することを要求する(動作704)。反射率は、例えばSLOに反射された光に基づいて決定され、反射された光の量が多ければ多いほど、高い反射率を示す。SLOは、例えば、はるかに低いパワーと別の周波数帯とを有することによって、治療用レーザと併せて使用されてもよい。治療用網膜レーザショットは100ms程度かかる。このため、決定はこれよりも短い時間で生じなければならない。
【0064】
工程700は、反射率に基づいてレーザショットを調整することも要求する(動作708)。例えば、高い反射率を有する位置は強い強度のレーザショット(例えば増大したパワー及び/又はパルス長)を要求し、低い反射率を有する位置は弱められたレーザショットを要求する。所望の程度の網膜白濁に対応し、レーザショットを終了させる反射率の量は、例えば医師によって予め設定されてもよい。工程700は、その後、終了する。
【0065】
当業者によって理解されるように、本開示の態様は、システム、方法又はコンピュータプログラムとして実装されうる。したがって、本開示の態様は、完全なハードウェア環境の形態、(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコード等を含む)完全なソフトウェアの実施形態、又はソフトウェア及びハードウェアの態様を組み合わせた実装を採ることができ、これらは全て、概して、本明細書において「回路」、「モジュール」又は「システム」と称される。さらに、本開示の態様は、一つ以上のコンピュータ可読媒体に包含されたコンピュータプログラムの形態を採ってもよく、一つ以上のコンピュータ可読媒体は、その上に包含されたコンピュータ可読プログラムコードを有する。
【0066】
一つ以上のコンピュータ可読媒体の任意の組合せが利用されてもよい。コンピュータ可読媒体はコンピュータ可読信号媒体(computer readable signal medium)又はコンピュータ可読記憶媒体でありうる。いくつかの例では、コンピュータ可読記憶媒体は、限定されるものではないが、電子、磁気、光学、電磁気、赤外線又は半導体のシステム、器具若しくは装置、又は上記の任意の適切な組合せである。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例(非限定的なリスト)は、以下のもの、すなわち一つ以上のワイヤを有する電気的接続、ポータブルフロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、リードオンリー・メモリ(ROM)、イレーサブル・プログラマブル・リードオンリー・メモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、光ファイバ、ポータブル・コンパクトディスク・リードオンリー・メモリ(CD−ROM)、光記憶装置、磁気記憶装置、又は前記の任意の適切な組合せを含むだろう。本開示の文脈では、コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行システム、器具又は装置によって使用されるプログラム又は命令実行システム、器具又は装置と組み合わせて使用されるプログラムを含み又は記憶することができる有形媒体でありうる。
【0067】
コンピュータ可読信号媒体は、例えばベースバンドにおいて又は搬送波の一部として、コンピュータ可読信号媒体に包含されたコンピュータ可読プログラムコードを有する伝搬データ信号を含んでよい。斯かる伝搬信号は、限定されるものではないが、電磁気、光又はこれらの任意の適切な組合せを含む任意の様々な形態を採ってもよい。コンピュータ可読信号媒体は、命令実行システム、器具又は装置によって使用されるプログラム又は命令実行システム、器具又は装置と組み合わせて使用されるプログラムを伝達し、伝搬し、又は移送することができる、コンピュータ可読記憶媒体ではない任意のコンピュータ可読媒体である。
【0068】
コンピュータ可読媒体に包含されたプログラムコードは、限定されるものではないが、ワイヤレス、有線、光ファイバケーブル、ラジオ周波数(RF)等、又は前記の任意の適切な組合せを含む任意の媒体を使用して伝送される。
【0069】
本開示の態様についての動作を実行するためのコンピュータプログラムコードは、Java(登録商標)、Smalltalk、C++又はこれらの均等物のような一つ以上のプログラミング言語と、「C」プログラミング言語又は同様のプログラミング言語のような従来の手続き型プログラミング言語との任意の組合せにおいて書かれることができる。プログラムコードは、ユーザのコンピュータ上で完全に実行され、スタンドアローンのソフトウェアパッケージとしてユーザのコンピュータ上で部分的に実行され、ユーザのコンピュータ上で部分的に実行され、リモート・コンピュータ上で部分的に実行され、又はリモート・コンピュータ又はサーバ上で完全に実行される。後者の場合、リモート・コンピュータは、ローカルエリア・ネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)又はワイヤレス・ネットワーク(例えばWi−Fi又はセルラー)を含む任意のタイプのネットワークを介してユーザのコンピュータに接続され、又はその接続は(例えばインターネット・サービス・プロバイダを使用するインターネットを介して)外部コンピュータに対してなされる。
【0070】
本開示の態様は、実施例に従って、方法、器具(システム)及びコンピュータプログラムのフローチャート図及び/又はブロック図を参照して下記に記載される。フローチャート図及び/又はブロック図の各ブロックと、フローチャート図及び/又はブロック図におけるブロックの組合せがコンピュータプログラム命令によって実施されることが理解されるだろう。これらコンピュータプログラム命令は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサに提供され、コンピュータのプロセッサ又は他のプログラマブルデータ処理装置を介して実行される命令が、フローチャート及び/又はブロック図のブロック又は複数のブロックにおいて特定される機能/作用を実施するための手段を作り出すように、マシンを生成する。
【0071】
これらコンピュータプログラム命令はコンピュータ可読媒体に記憶されてもよく、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読媒体に記憶された命令が、フローチャート及び/又はブロック図のブロック又は複数のブロックにおいて特定される機能/作用を実施する命令を含む製品を生成するように、コンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置又は他の装置が特定の態様で機能するように指示することができる。
【0072】
コンピュータプログラム命令は、一連の動作ステップが、コンピュータ、他のプログラマブル装置又は他の装置上で行われるように、コンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置又は他の装置に読み込まれてもよく、コンピュータプログラム命令は、コンピュータ又は他のプログラマブル装置上で実行される命令が、フローチャート及び/又はブロック図のブロック又は複数のブロックにおいて特定される機能/作用を実施するための処理を提供するように、コンピュータによって実施される処理を生成する。
【0073】
図8は、網膜レーザ手術のための例示的なコンピュータシステム800を示す。いくつかの例では、システム800はリアルタイム眼底カメラ120のようなリアルタイム眼底カメラの一部である。しかしながら、他の例では、システム800は別個のシステムであってもよい。更に他の例では、システム800は別の部品又は装置の一部を形成してもよい。システム800は、ネットワーク850によって互いに結合されたプロセッサ810、入力/出力システム820及びメモリ830を含む。
【0074】
典型的には、プロセッサ810は、(例えばソフトウェアからの)プログラム命令の指示の下、データを処理する論理処理ユニット(例えば論理演算ユニット)を含む。例えば、プロセッサ810は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、又は特定用途向け集積回路である。概して、プロセッサ810は論理的な態様でデータを操作する任意の装置である。
【0075】
入力/出力システム820は例えば一つ以上の通信インタフェース及び/又は一つ以上のユーザインタフェースを含むことができる。通信インタフェースは、例えば(ワイヤレスであろうがなかろうが)ネットワーク・インタフェース・カード又はモデムである。ユーザインタフェースは、例えばユーザ入力装置(例えばキーボード、キーパッド、タッチパッド、スタイラス又はマイクロホン)又はユーザ出力装置(例えばモニタ、ディスプレイ又はスピーカー)である。概して、システム820は、コンピュータシステムがデータを受信し且つ出力することができる装置の任意の組合せである。
【0076】
メモリ830は例えばランダム・アクセス・メモリ(RAM)、リードオンリー・メモリ(ROM)及び/又はディスクメモリを含む。様々な品目が様々な時間にメモリの異なる部分に記憶される。メモリ830は、概して、データを記憶するための装置の任意の組合せである。
【0077】
メモリ830は命令832及びデータ842を含む。命令832はオペレーティング・システム834(例えばウィンドウズ(登録商標)、リナックス(登録商標)又はユニックス)及びアプリケーション836を含む。データ842は、アプリケーション836に必要とされるデータ及び/又はアプリケーション836によって生成されるデータを含む。
【0078】
この実施例では、アプリケーション836は、血管認証837、画像レジストレーション838及びレーザ制御839を含む。アプリケーション837〜839は別個のアプリケーション又はより大きなアプリケーションの一部(例えばサブルーチン又はライブラリー)である。データ842は、網膜画像843、血管パターン844、リアルタイム網膜画像845及び治療位置846を含む。
【0079】
ネットワーク850はプロセッサ810と入力/出力システム820とメモリ830との間でデータを通信することに関与する。ネットワーク850は例えば多数の異なるタイプのバス(例えばシリアル及びパラレル)を含んでもよい。
【0080】
所定のモードの動作では、プロセッサ810は、血管パターン844を得るべく、血管認証アプリケーション837に従って網膜画像843を処理する。網膜画像843は(例えば診断用又はリアルタイムの)眼底カメラから入力/出力システム820を介して受信されてもよい。プロセッサ810は、その後、リアルタイム網膜画像845に血管パターン844を登録すべく、登録アプリケーション838に従って血管パターン844及びリアルタイム網膜画像845を処理する。
【0081】
レーザ制御アプリケーション839を使用して、プロセッサ810は治療箇所846を選択することができる。いくつかの例では、プロセッサ810は、治療を必要としている予め定められた位置を特定することによって治療を必要としている位置を決定し、又は治療を必要としている領域に関する指示(例えばユーザ入力)に基づいて位置を決定してもよい。プロセッサ810は、様々な要因(スポットサイズ、スポット充填密度等)を考慮することによって、領域の指示に基づいて一つ以上の位置を決定してもよい。
【0082】
また、レーザ制御アプリケーション839によれば、プロセッサ810は、治療位置が血管と交わるかどうか決定する。治療位置が血管と交わる場合、プロセッサ810は、治療を必要としている別の位置を特定することができる。
【0083】
プロセッサ810は、治療を必要としており且つ血管と交わらない位置をいったん特定すると、ビーム案内システムに網膜レーザからのビームをその位置に整列させるように指示し、ビーム案内システムがビームを治療位置に整列させると、網膜レーザに発射するように指示する。指示は、入力/出力システム820を使用して送信されうる。網膜レーザが発射した後、プロセッサ810は、別の適切な治療位置を決定し、ビーム案内システムを調整し、且つ網膜レーザに再び発射するように指示することができる。
【0084】
動作のいくつかのモードでは、コンピュータシステム800は他の動作も行うことができる。例えば、コンピュータシステム800は、治療位置の反射率に基づいて、(治療用レーザショットの前に治療用レーザショットの間に)網膜レーザにパワーを調整するように命令することができる。別の例として、コンピュータシステム800は、手術処置が生じると、更新された網膜画像を血管パターン844に登録することができる。
【0085】
本明細書において使用された専門用語は、特定の実施例を記載する目的のためのみに使用され、限定することが意図されていない。本明細書において使用されるような単数形「一つの(a)」、「一つの(an)」及び「その(the)」は、文脈が明確に反対のことを示さない限り、複数形も含むことが意図されている。さらに、用語「具備する」及び/又は「具備している」は、本明細書において使用されるとき、述べられた特徴、整数、ステップ、動作、要素及び/又は部品の存在を特定するが、一つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、部品及び/又はひいては群の存在又は付加を排除しないことが理解されるだろう。
【0086】
以下の請求項における対応する構造、材料、作用、及び全ての機能プラス手段又はステップの要素の均等物が、具体的に請求された他の請求項の要素と組み合わせて機能を行うための任意の構造、材料又は作用を含むことが意図されている。本実施例の説明が、例証及び説明の目的で与えられてきたが、開示された形態における実施例に限定されることは意図されていない。本開示の範囲及び精神から逸脱することなく、多くの修正及び変更が当業者に明らかであるだろう。本開示の原理及び実施用途を説明し、他の人又は当業者が、考えられる特定の使用に適切であるような様々な修正を有する様々な実施例について本開示が理解できるように、実施例が選択されて記載された。
【0087】
多数の実施例が網膜レーザ手術について記載され、いくつかの他の実施例が言及され又は示唆されてきた。さらに、当業者は、様々な付加、削除、修正及び置換が、それでもなお網膜レーザ手術を行いつつ、これら実施例になされうることに容易に気付くであろう。このため、保護される対象の範囲は、一つ以上の実施例の一つ以上の概念を含みうる以下の請求項に基づいて判断されるべきである。
図1
図2A
図2B
図3
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図6
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図8