特許第6050380号(P6050380)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6050380エトキシ化アミン化合物の改良製造プロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6050380
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】エトキシ化アミン化合物の改良製造プロセス
(51)【国際特許分類】
   C07C 213/04 20060101AFI20161212BHJP
   C07C 215/12 20060101ALI20161212BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20161212BHJP
【FI】
   C07C213/04
   C07C215/12
   !C07B61/00 300
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-549073(P2014-549073)
(86)(22)【出願日】2012年11月28日
(65)【公表番号】特表2015-506350(P2015-506350A)
(43)【公表日】2015年3月2日
(86)【国際出願番号】US2012066733
(87)【国際公開番号】WO2013095875
(87)【国際公開日】20130627
【審査請求日】2015年11月13日
(31)【優先権主張番号】61/578,388
(32)【優先日】2011年12月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100192463
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 剛規
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・ダブリュー・キング
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・エイ・アギュラー
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ・アール・ラロシュ
【審査官】 前田 憲彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−247909(JP,A)
【文献】 特開平06−247910(JP,A)
【文献】 欧州特許第00004015(EP,B1)
【文献】 国際公開第2010/042168(WO,A1)
【文献】 特開平07−126228(JP,A)
【文献】 特公昭49−010648(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 213/00
C07C 215/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トキシ化アミン化合物を製造する方法であって、
エタノールアミンを反応器に添加することと、
エチレンオキシドを前記反応器に添加することと、
前記エチレンオキシドの添加前または添加と同時に、前記エタノールアミンを含む反応混合物に酸を添加することと、
前記エチレンオキシドと前記エタノールアミンとを反応させてエトキシ化アミン化合物を生成することと、
を含み、
前記酸が、前記反応混合物の総重量に基づき0.001から10重量パーセントの量で存在し、
前記エチレンオキシドが、前記エタノールアミンの量に基づき各NHに対して0.5〜1.1mol当量の量で存在する、方法
【請求項2】
前記酸が、13以下のpKaを有する無機酸または有機酸である、請求項に記載の方法
【請求項3】
前記酸が、リン酸、硫酸、塩酸、ホウ酸、硝酸またはカルボン酸である、請求項1又は2に記載の方法
【請求項4】
エチレンオキシドが、エタノールアミンの量に基づき各NHに対して0.9から1.0mol当量の量で存在する、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法
【請求項5】
250℃以下の反応温度で行われる、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法
【請求項6】
酸が、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンまたはトリエタノールアミンの製造プロセスにおける反応器に添加される、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法
【請求項7】
酸が、再循環モノエタノールアミンもしくは再循環ジエタノールアミンのエトキシ化それぞれによる、または再循環モノエタノールアミンと再循環ジエタノールアミンの混合物のエトキシ化によるジエタノールアミンまたはトリエタノールアミンの製造プロセスにおける反応器に添加される、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2011年12月21日に出願された米国特許仮出願第61/578,388号の優先権を主張するものであり、該仮出願は、その全体が参照により本明細書に援用されている。
【0002】
本発明は、一般に、エタノールアミンなどのエトキシ化アミン化合物の改良製造プロセスに関する。この改良は、より高純度の生成物をもたらし、ならびにエトキシ化アミン化合物に付随する着色、発泡および他の製品品質問題の一因となり得る望ましくないグリコールエーテル副生成物の濃度を低下させる。
【背景技術】
【0003】
エトキシ化アミン化合物の製造の際の一般的副生成物としては、グリコールエーテルアミン副生成物、ビニルエーテルエトキシレート、およびアセトアルデヒドとアミンの縮合から誘導されるオリゴマーが挙げられる。グリコールエーテルアミン副生成物の望ましくなさは公知であり、例えば、二酸化炭素を添加することによるモノ−、ジ−およびトリエタノールアミンの生産の際のエトキシ化またはグリコールエーテルアミン副生成物の低減を開示している米国特許第5,334,763号および米国特許第5,395,973号を参照されたし。二酸化炭素の使用は、二酸化炭素が周囲条件で気体であり、したがって取り扱いがより難しいため、およびアミンと二酸化炭素の併用が腐食問題につながり得るためを含めて、多数の理由のため望ましくない。加えて、副生成物として形成されるアミン/炭酸塩は熱安定性でないことがあり、このことが、望ましくないグリコールエーテルアミン副生成物の低減に対するそれらの使用を制限することがある。
【0004】
上記副生成物は、エトキシ化アミン配合物における好ましくない着色の一因となり得、ならびに/または使用中の、例えば硬質表面清浄化、腐食抑制およびこれらに類することなどの用途での使用中の、泡の発生の一因となり得る。かかる副生成物は、エトキシ化アミン化合物の一定の商業的利用にも望ましくないので、より高純度、より良好な(例えば、より少ない)色、およびより低い発泡傾向を有するエトキシ化アミン化合物の製造プロセスを有することは、改良になるだろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、望ましくない副生成物が形成される、エチレンオキシドとアミン化合物の反応からエトキシ化アミン化合物を製造するためのプロセスにおけるおよび条件下での改良であり、この改良は、前記エトキシ化アミン化合物を調製する反応器へのエチレンオキシドの添加前にまたは添加と同時に、アンモニア、第一級アミン、第二級アミン、およびそれらの2つ以上の混合物から選択されるアミン化合物を含む反応混合物に酸を添加する工程を含むが、但し、前記エトキシ化アミン化合物がピペラジンまたはピペラジン誘導体でないことを条件とする。
【0006】
前記改良プロセスの一部の実施形態では、前記酸を、前記反応混合物に、前記反応器へのエチレンオキシドの添加前に添加する。
【0007】
本発明の改良プロセスの一部の実施形態において、前記反応混合物は、無水物である。
【0008】
前記改良プロセスの一部の実施形態において、前記酸は、前記反応混合物の総重量に基づき0.001から5重量パーセントの量で存在する。
【0009】
前記改良プロセス一部の実施形態において、前記酸は、13以下のpKaを有する無機酸または有機酸である。
【0010】
一部の実施形態において、前記酸は、リン酸、硫酸、塩酸、ホウ酸、硝酸、またはカルボン酸、例えば酢酸である。
【0011】
一部の実施形態において、エチレンオキシドは、アミン化合物の量に基づき、各アミン水素(NH)に対して0.5から1.1mol当量のエチレンオキシドの量で存在する。
【0012】
一部の実施形態では、前記プロセスを250℃未満の反応温度で行う。
【0013】
一部の実施形態では、前記酸をエタノールアミンの製造プロセスにおける反応器に添加する。
【0014】
一部の実施形態では、前記酸をモノエタノールアミンの製造プロセスにおける反応器に添加する。
【0015】
一部の実施形態では、前記酸をジエタノールアミンの製造プロセスにおける反応器に添加する。
【0016】
一部の実施形態では、前記酸をトリエタノールアミンの製造プロセスにおける反応器に添加する。
【0017】
一部の実施形態では、前記酸を再循環モノエタノールアミン(MEA)もしくはジエタノールアミンのエトキシ化それぞれによるまたは再循環モノエタノールアミンと再循環ジエタノールアミンの混合物のエトキシ化によるジエタノールアミン(DEA)またはトリエタノールアミン(TEA)の製造プロセスにおける反応器に添加する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
別段の指示がない限り、例えば「2から10」の場合のような数値範囲は、その範囲を定義する数(例えば、2および10)を含む。
【0019】
別段の指示がない限り、比率、百分率、部およびこれらに類するものは、重量による。
【0020】
本明細書において用いる場合の「アルキル」は、直鎖および分岐鎖脂肪族基を包含する。一部の実施形態において、アルキルは、1から10個、代替的に1から8個、または代替的に1から6個の炭素原子を含有する。好ましいアルキル基としては、限定ではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチルおよびヘキシルが挙げられる。
【0021】
用語「シクロアルキル」は、3から12個の炭素、好ましくは3から8個の炭素、およびさらに好ましくは3から7個の環炭素原子を有する、飽和および部分不飽和環式炭化水素基を指す。好ましいシクロアルキル基としては、限定ではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルが挙げられる。
【0022】
「アリール」基は、1から3個の芳香族環を含むC6−C12芳香族部分である。好ましくは、前記アリール基は、C6−C10アリール基である。好ましいアリール基としては、限定ではないが、フェニル、ナフチル、アントラセニルおよびフルオレニルが挙げられる。フェニルは、より好ましい。
【0023】
「ヘテロシクロアルキル」基は、非芳香族3〜12原子環系であって、少なくとも1個の窒素ヘテロ原子を含有し、および窒素、酸素および硫黄から選択される1個以上の追加のヘテロ原子を場合によっては含有する環系を指す。前記ヘテロシクロアルキル環は、場合により、他のヘテロシクロアルキル環および/または非芳香族炭化水素環に縮合または別様に結合していることがある。好ましいヘテロシクロアルキル基は、3から7員を有する。ヘテロシクロアルキル基の非限定的な例としては、ピペリジンおよびモルホリンが挙げられる。
【0024】
本発明は、望ましくない副生成物、例えばグリコールエーテルアミン、ビニルエーテルエトキシレートおよび/またはオリゴマーが形成される、エタノールアミンなどのエトキシ化アミン化合物を製造するためのプロセスにおいておよび条件下で、かかるエトキシ化アミン化合物を調製する反応器に非常に少量(例えば、一部の実施形態では1重量パーセント以下)であっても酸を添加することにより、これらの望ましくない副生成物の1つ以上についてのレベル、好ましくは、グリコールエーテル副生成物のレベルもしくはビニルエーテルエトキシレートのレベルもしくは両方を低下させることができる、またはかかる副生成物を実質的に除去することができるという発見に基づく。
【0025】
前記望ましくない副生成物は、第四級アンモニウム化合物および/またはホフマン型分解の結果として生ずると考えられる。例えば、エタノールアミンの製造プロセスにおいて、これらのプロセスの一般的副生成物は、MEAGE(モノエタノールアミングリコールエーテル)、DEAGE(ジエタノールアミングリコールエーテル)およびTEAGE(トリエタノールアミングリコールエーテル)と一般に呼ばれる、対応するエトキシ化またはグリコールエーテルアミンを含む。これらの副生成物は、精製エタノールアミン中に存在することがあり、最終用途での利用の際に所望のエタノールアミンの性能に悪影響を及ぼすことがある。加えて、これらの副生成物の形成は、エタノールアミンの製造中に一部のプロセス変量を制限することがある。例えば、反応器へのMEAまたはDEA再循環の量、またはDEAの直接エトキシ化は、副生成物形成のために制限されることがある。これらの副生成物は、エチレンオキシドのTEAへの付加から形成される2−(トリス(2−ヒドロキシエチル)アンモニオ)エタノレート(I)などの中間体第四級アンモニウム化合物の、および該中間体第四級アンモニウム化合物のホフマン型分解の、結果であると考えられる。
【0026】
【化1】
【0027】
エトキシ化またはグリコールエーテルアミン副生成物に加えて、他の副生成物がMEAまたはDEAのエトキシ化から形成されることもある。
【0028】
【化2】
【0029】
例えば、前記第四級アンモニウム中間体の分解は、アセトアルデヒドに至ることがあり、このアセトアルデヒドは、縮合してクロトンアルデヒドをもたらし、そのクロトンアルデヒドは、そのプロセス中に任意の遊離MEAと反応してシッフ塩基をもたらすことがあり、その場合、そのシッフ塩基は、さらなる反応に付されてオリゴマーをもたらすことがあり、それらのオリゴマーは、最終生成物混合物中の着色生成物の原因となり得る。
【0030】
【化3】
【0031】
加えて、前記第四級アンモニウム中間体が、エトキシ化された場合、その除去は、ビニルエーテルエトキシレートオリゴマー、例えば、2−(2−(2−(ビニルオキシ)エトキシ)エトキシ)エタノールをもたらし得る。
【0032】
【化4】
【0033】
理論により拘束されることを望まないが、アミンのエトキシ化のための反応混合物への酸の添加は、結果としてその酸と中間体第四級アンモニウム化合物との反応を生じさせ、したがって、製品品質に悪影響を及ぼし得るポリエーテル形成、および製品品質に悪影響を及ぼし得る副生成物をもたらすホフマン型分解を抑制すると考えられる。
【0034】
前記第四級アンモニウム中間体の分解が、プロセスの構成、濃度および温度に依存することになることは、当業者には明らかであろう。結果として、アミンのタイプ、オキシドの供給速度、反応混合物の温度および濃度などの変量は、副生成物の形成を軽減するような酸レベルの調整を果たすことができる。
【0035】
本発明の一部の実施形態では、前記アミン化合物を式:
【化5】
によって表すことができ、式中のR、RおよびRは、各々独立して、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、−(CH−CH−O)−H(この式中のnは、1から8の整数である)、ヒドロキシアルキル基、アミノアルキル基である、またはRと、Rと、それらが結合している窒素とがヘテロシクロアルキル基を形成するが、但し、R、RおよびRのうちの少なくとも1つは水素であることを条件とする。
【0036】
一部の実施形態において、R、RおよびRは、各々独立して、水素、アルキル基、または−(CH−CH−O)−H(この式中のnは、1から8の整数である)であるが、但し、R、RおよびRのうちの少なくとも1つは水素であることを条件とする。
【0037】
一部の実施形態において、R、RおよびRは、各々独立して、水素または−CH−CH−OHであるが、但し、R、RおよびRのうちの少なくとも1つは水素であることを条件とする。
【0038】
一部の実施形態において、前記アミン化合物は、ピペリジンまたはモルホリンである。
【0039】
一部の実施形態において、前記アミン化合物は、アンモニアである。
【0040】
一部の実施形態において、前記アミン化合物は、モノエタノールアミンである。
【0041】
一部の実施形態において、前記アミン化合物は、ジエタノールアミンである。
【0042】
本発明において、前記アミン化合物は、ピペラジンまたはピペラジン誘導体ではない。したがって、エトキシ化ピペラジン(ピペラジン誘導体を含む)は、本発明から除外される。
【0043】
本発明の利点は、エチレンオキシドとアミン化合物の反応を、グリコールエーテルアミンおよびビニルエーテルエトキシレート副生成物のレベルの有意な低下またはそれらの実質的除去を伴って進行させる点である。一部の実施形態において、望ましくないグリコールエーテルアミン副生成物の量は、各NH官能基に対するエチレンオキシドの化学量論的当量に基づき、0.5面積パーセント以下、好ましくは0.1面積パーセント以下である。望ましくないグリコールエーテル副生成物の量は、ガスクロマトグラフィーまたは当業者に公知の他の方法によって判定することができる。
【0044】
本発明のプロセスでは、前記アミン化合物のエトキシ化を無水および/またはニート(添加溶剤なし)条件下で遂行することができる。溶剤を使用する場合には水が好ましい。好ましくは、少量、例えば、反応混合物の総重量に基づき2重量パーセント以下、代替的に1重量パーセント以下の添加溶剤、例えば水を用いて、または用いずに前記反応を行う。
【0045】
好ましくは、アミン化合物と、反応混合物の総重量に基づき0.001から5重量パーセントの酸と、アミン化合物の量に基づきNHあたり0.5から1.1mol当量、好ましくは0.9から1モル当量のエチレンオキシドとを含む反応混合物を調製することによって、前記アミン化合物のエトキシ化を遂行する。好ましくは、前記酸を、前記アミン化合物に、エチレンオキシドの添加前に添加する。
【0046】
好ましくは、前記反応温度は、250℃以下、好ましくは200℃以下、さらに好ましくは170℃以下、さらに好ましくは150以下である。好ましくは前記反応温度は、40℃以上、好ましくは80℃以上、さらに好ましくは100℃以上、さらに好ましくは120℃以上である。一部の実施形態において、前記反応温度は、80℃と150℃の間である。
【0047】
所望のレベルのアミンが、エトキシ化アミン化合物に転化されるまで、好ましくは、エトキシ化アミン化合物へのアミン化合物の転化率50%以上、さらに好ましくは転化率60%以上、さらに好ましくは転化率70%以上、さらに好ましくは転化率80%以上、さらに好ましくは転化率90%以上、および最も好ましくは転化率95%以上になるまで、エトキシ化反応を進行させる。
【0048】
前記反応混合物が水溶液である場合、好ましくは、前記アミン化合物は、前記反応混合物の総重量に基づき70重量パーセント以下、前記反応混合物の総重量に基づき好ましくは60重量パーセント以下、さらに好ましくは50重量パーセント以下の量で存在する。前記反応混合物が水溶液である場合、好ましくは、前記アミン化合物は、前記反応混合物の総重量に基づき1重量パーセント以上、前記反応混合物の総重量に基づき好ましくは10重量パーセント以上、さらに好ましくは20重量パーセント以上の量で存在する。
【0049】
本発明者らは、本明細書で酸、例えば、有機酸または無機酸と呼ぶプロトンドナー化合物の添加が、エトキシ化アミン化合物の調製中のグリコールエーテル副生成物の形成を軽減することを発見した。好ましい酸は、13以下のpKa、さらに好ましくは11以下のpKa、さらに好ましくは9以下のpKa、およびさらに好ましくは5以下のpKaを有するプロトンドナー化合物である。適する無機酸の例は、リン酸、硫酸、塩酸、ホウ酸、硝酸、およびこれらに類するものである。適する有機酸の例は、カルボン酸、例えば酢酸(しかしこれに限定されない)である。
【0050】
好ましくは、前記酸を、前記反応混合物に、前記反応混合物の総重量に基づき10重量パーセント以下、前記反応混合物の総重量に基づき好ましくは5重量パーセント以下、好ましくは2.5重量パーセント以下、さらに好ましくは2重量パーセント以下、さらにいっそう好ましくは1.5重量パーセント以下、およびさらにいっそう好ましくは1重量パーセント以下の量で添加する。好ましくは、前記酸を、前記反応混合物に、前記反応混合物総重量に基づき0.001重量パーセント以上、前記反応混合物の総重量に基づき好ましくは0.01重量パーセント以上、およびさらに好ましくは0.1重量パーセント以上の量で添加する。
【0051】
好ましくは、エチレンオキシドを、前記反応混合物に、アミン化合物の量に基づき、各NHに対して0.75mol当量以上、各NHに対して好ましくは1mol当量以上、好ましくは1.1mol当量以下の量で添加する。
【0052】
本発明のプロセスの好ましい利用は、エタノールアミン、詳細にはモノエタノールアミン、ジエタノールアミンまたはトリエタノールアミンの生産のための利用である。エタノールアミン、例えば、モノエタノールアミン(MEA)、ジエタノールアミン(DEA)およびトリエタノールアミン(TEA)は、様々な条件下でエチレンオキシドおよびアンモニアから商業生産されている。ある生成物に対して別のものより有利に働くように、市場の要求に合うようなMEA:DEA:TEA比の調整を行うことができる。個々のエタノールアミンの相対量は、アンモニア−エチレンオキシド供給比を調整することによって、MEAおよび/もしくはDEAを再循環させて反応器のいずれかの地点に戻すことによって、または選択性触媒を用いることによって制御することができる。例えば、エチレンオキシドに対して大過剰のアンモニアによってMEAを優先的に生成させることができ、ならびに低いアンモニア対エチレンオキシドモル比で実行することによって、またはMEAおよびもしくはDEAを再循環させて反応器のいずれかの地点に戻すことによって、TEAを優先的に形成することができる。
【0053】
DEAおよびTEAへの別のルートとしては、MEAおよび/またはDEAとエチレンオキシドを別個の反応器で反応させるルートが挙げられる。得られた混合物を蒸留によって個々の成分に分離する。
【0054】
さて、本発明の一部の実施形態を以下の実施例で説明することにしよう。
【実施例】
【0055】
磁気駆動インペラを装備したジャケット付き、バッフル付き9リットルステンレス鋼オートクレーブ反応器においてエトキシ化反応を行う。
【0056】
実施例1(比較例)
ジエタノールアミンおよびエチレンオキシド(EO)からのトリエタノールアミンの調製
この実施例は、0.75のEO/DEAの公称モル当量を有する試料を調製するためのジエタノールアミンのエトキシ化を含む。予め窒素バージした9L反応器にジエタノールアミン(1806g)を投入する。その反応器を加圧して7回ガス抜きして、大気酸素を除去し、その後、窒素を用いて周囲温度で110から140kPaに加圧する。反応器内容物を撹拌しながら120℃で加熱し、その後、エチレンオキシド(合計565g)を120℃でおおよそ50分にわたってその反応器に計量供給し、結果として340から415kPaの動作圧を得る。EO供給が完了した後、反応器内容物を反応温度でさらに2時間撹拌して未反応オキシドを消費し(消化し)、その後、30℃に冷却する。ガスクロマトグラフィー分析によって分析したその反応混合物は、0.14面積パーセントの2−2−(2−ヒドロキシエトキシ)−エチルアミノエタノール(望ましくない副生成物)および0.14面積パーセントの2−(2−(2−(ビニルオキシ)−エトキシ)エトキシエタノール(望ましくない副生成物)が形成されたことを示す。それらの望ましくない副生成物を電子衝撃質量分析によって確認する。
【0057】
実施例2(本発明の実施例)
酢酸の添加を伴うジエタノールアミンおよびエチレンオキシドからのトリエタノールアミンの調製
この実施例は、0.75のEO/DEAの公称モル当量を有する試料を調製するための氷酢酸の存在下でのジエタノールアミンのエトキシ化を含む。予め窒素パージした9L反応器にジエタノールアミン(1799g)と氷酢酸(18.0g)の混合物を投入する。その反応器を加圧して7回ガス抜きして、大気酸素を除去し、その後、窒素を用いて周囲温度で110〜140kPaに加圧する。反応器内容物を撹拌しながら120℃で加熱し、その後、エチレンオキシド(合計560g)を120℃でおおよそ50分にわたってその反応器に計量供給し、結果として340〜415kPaの動作圧を得る。EO供給が完了した後、反応器内容物を反応温度でさらに3.5時間撹拌して未反応オキシドを消費し(消化し)、その後、30℃に冷却する。ガスクロマトグラフィー分析によって分析したその反応混合物は、0.03面積パーセントの2−2−(2−ヒドロキシエトキシ)−エチルアミノエタノール(望ましくない副生成物)および0.07面積パーセントの2−(2−(2−(ビニルオキシ)−エトキシ)エトキシエタノール(望ましくない副生成物)が形成されたことを示す。それらの望ましくない副生成物を電子衝撃質量分析によって確認する。
【0058】
実施例3(本発明の実施例)
硫酸/水の添加を伴うジエタノールアミンおよびエチレンオキシドからのトリエタノールアミンの調製
硫酸/水(全反応混合物に対して1.1重量%/9.8重量%)を酢酸の代わりにジエタノールアミンに添加したことを除き、実施例2で説明したとおりの反応条件を用いて、0.75のEO/DEAの公称モル当量を有する試料を調製する。ガスクロマトグラフィー分析によって分析したその反応混合物は、検出可能な量の2−2−(2−ヒドロキシエトキシ)−エチルアミノエタノール(望ましくない副生成物)および2−(2−(2−(ビニルオキシ)−エトキシ)エトキシエタノール(望ましくない副生成物)が形成されなかったことを示す。
【0059】
GC分析は、本質的に同じ条件下での1%酢酸のジエタノールアミン(DEA)への添加が、0.75当量のエチレンオキシドを添加すると、DEAのグリコールエーテル(2−2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルアミノエタノール)および2−2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−エチルアミノエタノールがより少なく形成されるという結果となることを示す。12.5%水および1.4%硫酸をジエタノールアミンに添加すると、検出可能な(2−2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルアミノエタノール)および2−2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−エチルアミノエタノールは形成されなかった。
【0060】
DEAエトキシ化に関して可能性のあるアミングリコールエーテル不純物としては、次のものが挙げられる:
【化6】
加えて、DEAをエトキシ化する際にビニルエーテルエトキシレート、例えば、2−(2−(2−(ビニルオキシ)エトキシ)エトキシ)エタノールが形成されることがある。
本開示は以下も包含する。
[1] 望ましくないアミングリコールエーテル副生成物および/またはビニルエーテルエトキシレートが形成される、エチレンオキシドとアミン化合物の反応からエトキシ化アミン化合物を製造するためのプロセスにおけるおよび条件下での改良であって、前記エトキシ化アミン化合物を調製する反応器へのエチレンオキシドの添加前にまたは添加と同時に、アンモニア、第一級アミンおよび第二級アミンから選択されるアミン化合物を含む反応混合物に酸を添加する工程を含むが、但し、前記エトキシ化アミン化合物がピペラジンまたはピペラジン誘導体でないことを条件とする、改良プロセス。
[2] 前記酸が、前記反応混合物の総重量に基づき0.001から10重量パーセントの量で存在する、上記態様1に記載の改良プロセス。
[3] 前記酸が、13以下のpKaを有する無機酸または有機酸である、上記態様1〜2のいずれかに記載の改良プロセス。
[4] 前記酸が、リン酸、硫酸、塩酸、ホウ酸、硝酸またはカルボン酸である、上記態様1〜3のいずれかに記載の改良プロセス。
[5] エチレンオキシドが、アミン化合物の量に基づき各NHに対して0.9から1.0mol当量の量で存在する、上記態様1〜4のいずれかに記載の改良プロセス。
[6] 250℃以下の反応温度で行われる、上記態様1〜5のいずれかに記載の改良プロセス。
[7] 酸が、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンまたはトリエタノールアミンの製造プロセスにおける反応器に添加される、上記態様1〜6のいずれかに記載の改良プロセス。
[8] 酸が、再循環モノエタノールアミンもしくはジエタノールアミンのエトキシ化それぞれによる、または再循環モノエタノールアミンと再循環ジエタノールアミンの混合物のエトキシ化によるジエタノールアミンまたはトリエタノールアミンの製造プロセスにおける反応器に添加される、上記態様1〜7のいずれかに記載の改良プロセス。