(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記接着層は、前記開口部の底面、前記開口部に隣接する前記パッシベーション膜の側面、及び前記開口部に隣接する前記パッシベーション膜上でこれらに接触する、請求項12に記載の太陽電池。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下では、添付の図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。しかし、本発明がこれらの実施例に限定されるものではなく、様々な形態に変形可能であることは勿論である。
【0009】
図面では、本発明を明確且つ簡略に説明するために、説明と関係のない部分の図示を省略し、明細書全体において同一又は極めて類似の部分に対しては同一の図面参照符号を使用する。そして、図面では、説明をより明確にするために、厚さ、幅などを拡大又は縮小して示しており、本発明の厚さ、幅などは図面に示したものに限定されない。
【0010】
そして、明細書全体において、ある部分が他の部分を「含む」とするとき、特に反対の記載がない限り、他の部分を排除するのではなく、他の部分をさらに含むことができる。また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上に」あるとするとき、これは、他の部分の「直上に」ある場合のみならず、その中間に他の部分が位置する場合も含む。層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「直上に」あるとするときは、中間に他の部分が位置しないことを意味する。
【0011】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施例に係る太陽電池及びそれに使用される電極を詳細に説明する。まず、太陽電池モジュールを詳細に説明した後、それに含まれる太陽電池及びそれに使用される電極を詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施例に係る太陽電池モジュールを示す背面斜視図である。
【0013】
図1を参照すると、本発明の一実施例に係る太陽電池モジュール100は、太陽電池150と、太陽電池150の前面上に位置する第1基板(以下、「前面基板」という)121と、太陽電池150の後面上に位置する第2基板(以下、「後面シート」という)122とを含むことができる。また、太陽電池モジュール100は、太陽電池150と前面基板121との間の第1密封材131、及び太陽電池150と後面シート122との間の第2密封材132を含むことができる。これについてより詳細に説明する。
【0014】
まず、太陽電池150は、太陽エネルギーを電気エネルギーに変換する光電変換部と、光電変換部に電気的に接続される電極とを含んで形成される。本実施例では、一例として、半導体基板(一例として、シリコンウエハ)または半導体層(一例として、シリコン層)を含む光電変換部を適用することができる。このような構造の太陽電池150を、
図2及び
図3を参照して詳細に後述する。
【0015】
このような太陽電池150はリボン144を含み、リボン144によって電気的に直列、並列または直並列に接続可能である。これを、互いに隣接する第1及び第2太陽電池151,152を例に挙げて説明する。すなわち、リボン144は、第1太陽電池151の第1電極(
図2及び
図3の参照符号42、以下同様)と、隣接する第2太陽電池152の第2電極(
図2及び
図3の参照符号44、以下同様)とを接続することができる。リボン144と、第1太陽電池151の第1電極42及び第2太陽電池152の第2電極44との接続構造などは、様々な構造を適用することができる。一例として、第1及び第2太陽電池151,152において、第1電極42が、第1縁部においてこれに沿って互いに接続され、第2電極44が、第1縁部と反対の第2縁部においてこれに沿って互いに接続されてもよい。すると、リボン144は、第1太陽電池151の第1縁部に位置した第1電極42と、これに隣接する第2太陽電池152の第2縁部に位置した第2電極44とを接続するように、第1及び第2太陽電池151,152にわたって形成され、第1及び第2縁部に沿って延びて形成され得る。このとき、リボン144と第1及び第2太陽電池151,152との不必要なショートを防止するために、リボン144と第1及び第2太陽電池151,152との間に部分的に絶縁フィルム142が位置し、リボン144において絶縁フィルム142よりも突出した部分が第1又は第2電極42,44に接続されるようにすることができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0016】
また、バスリボン145は、リボン144によって連結された一つの列の太陽電池150のリボン144の両端を交互に連結する。バスリボン145は、一つの列をなす太陽電池150の端部においてこれと交差する方向に配置することができる。このようなバスリボン145は、太陽電池150が生産した電気を集め、電気が逆流することを防止するジャンクションボックス(図示せず)と連結される。
【0017】
第1密封材131は、太陽電池150の受光面に位置し、第2密封材132は、太陽電池150の裏面に位置することができ、第1密封材131と第2密封材132とはラミネーションにより接着して、太陽電池150に悪影響を及ぼし得る水分や酸素を遮断し、太陽電池150の各要素が化学的に結合できるようにする。
【0018】
このような第1密封材131及び第2密封材132は、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)、ポリビニルブチラール、ケイ素樹脂、エステル系樹脂、オレフィン系樹脂などを使用することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではない。したがって、第1及び第2密封材131,132は、その他の様々な物質を用いて、ラミネーション以外の他の方法により形成することができる。
【0019】
前面基板121は、太陽光を透過するように第1密封材131上に位置し、外部の衝撃などから太陽電池150を保護するために強化ガラスであることが好ましい。また、太陽光の反射を防止し、太陽光の透過率を高めるために、鉄分が少なく含有された低鉄分強化ガラスであることがより好ましい。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、前面基板121が他の物質などからなってもよい。
【0020】
後面シート122は、太陽電池150の裏面で太陽電池150を保護する層であって、防水、絶縁及び紫外線遮断の機能をする。後面シート122は、フィルムまたはシートなどの形態で構成することができる。後面シート122は、TPT(Tedlar/PET/Tedlar)タイプであるか、またはポリエチレンテレフタレート(PET)の少なくとも一面にポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride、PVDF)樹脂などが形成された構造であってもよい。ポリフッ化ビニリデンは、(CH
2CF
2)nの構造を有する高分子であって、ダブル(Double)フッ素分子構造を有するので、機械的性質、耐候性、耐紫外線性に優れる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、後面シート122が他の物質などからなってもよい。このとき、後面シート122は、前面基板121側から入射された太陽光を反射して再利用できるように、反射率に優れた材質であってもよい。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、後面シート122が、太陽光が入射できる透明材質(例えば、ガラス)で形成されて、両面受光型太陽電池モジュール100を具現することもできる。
【0021】
上述した太陽電池150の構造を、
図2及び
図3を参照して詳細に説明する。
【0022】
図2は、本発明の実施例に係る太陽電池150の断面図であり、
図3は、
図2に示した太陽電池150の部分背面平面図である。
【0023】
図2及び
図3を参照すると、本実施例に係る太陽電池150は、ベース領域110を含む半導体基板10と、半導体基板10の一面(一例として、半導体基板10の後面)側に位置するトンネル層20と、トンネル層20上に位置する導電型領域32,34と、導電型領域32,34に接続される電極42,44とを含む。そして、太陽電池150は、パッシベーション膜24、反射防止膜26、パッシベーション膜(または後面パッシベーション膜)40などをさらに含むことができる。これについてより詳細に説明する。
【0024】
半導体基板10は、第2導電型ドーパントを相対的に低いドーピング濃度で含むベース領域110を含むことができる。本実施例のベース領域110は、第2導電型ドーパントを含む結晶質(単結晶または多結晶)シリコンを含むことができる。一例として、ベース領域110は、第2導電型ドーパントを含む単結晶シリコン基板(一例として、単結晶シリコンウエハ)で構成されてもよい。そして、第2導電型ドーパントはn型またはp型であってもよい。n型ドーパントとしては、リン(P)、ヒ素(As)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)などの5族元素を使用し、p型ドーパントとしては、ボロン(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)などの3族元素を使用することができる。一例として、ベース領域110がn型を有すると、ベース領域110と光電変換によってキャリアを形成する接合(一例として、トンネル層20を挟んだpn接合)を形成するp型の第1導電型領域32を広く形成して、光電変換面積を増加させることができる。また、この場合には、広い面積を有する第1導電型領域32が、移動速度が相対的に遅い正孔を効果的に収集することで、光電変換効率の向上にさらに寄与することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではない。
【0025】
そして、半導体基板10は、前面側に位置する前面電界領域130を含むことができる。前面電界領域130は、ベース領域110と同じ導電型を有しながら、ベース領域110よりも高いドーピング濃度を有することができる。
【0026】
本実施例では、前面電界領域130が、半導体基板10に第2導電型ドーパントを相対的に高いドーピング濃度でドープして形成されたドーピング領域で構成された場合を例示した。これによって、前面電界領域130が、第2導電型を有する結晶質(単結晶または多結晶)半導体を含んで半導体基板10を構成するようになる。一例として、前面電界領域130は、第2導電型を有する単結晶半導体基板(一例として、単結晶シリコンウエハ基板)の一部分として構成されてもよい。しかし、本発明がこれに限定されるものではない。したがって、半導体基板10と異なる別個の半導体層(例えば、非晶質半導体層、微細結晶半導体層、または多結晶半導体層)に第2導電型ドーパントをドープして前面電界領域130を形成してもよい。または、前面電界領域130が、半導体基板10に隣接して形成された層(例えば、パッシベーション膜24及び/又は反射防止膜26)の固定電荷によってドープされたものと類似の役割を果たす電界領域として構成されてもよい。その他の様々な方法により様々な構造の前面電界領域130を形成することができる。
【0027】
本実施例において、半導体基板10の前面は、テクスチャリング(texturing)されて、ピラミッドなどの形状の凹凸を有することができる。このようなテクスチャリングにより半導体基板10の前面などに凹凸が形成されて表面粗さが増加すると、半導体基板10の前面を介して入射する光の反射率を低下させることができる。したがって、ベース領域110と第1導電型領域32によって形成されたpn接合まで到達する光の量を増加させることができるので、光損失を最小化することができる。
【0028】
そして、半導体基板10の後面は、鏡面研磨などによって前面よりも低い表面粗さを有する、相対的に滑らかで且つ平坦な面からなることができる。本実施例のように、半導体基板10の後面側に第1及び第2導電型領域32,34が共に形成される場合には、半導体基板10の後面の特性に応じて太陽電池150の特性が大きく変化することがあるからである。これによって、半導体基板10の後面にはテクスチャリングによる凹凸を形成しないことで、パッシベーション特性を向上させることができ、これによって、太陽電池150の特性を向上させることができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、場合によって、半導体基板10の後面にテクスチャリングによる凹凸を形成してもよい。その他の様々な変形も可能である。
【0029】
半導体基板10の後面上にはトンネル層20が形成される。トンネル層20によって、半導体基板10の後面の界面特性を向上させることができ、光電変換によって生成されたキャリアがトンネル効果によって円滑に伝達されるようにする。このようなトンネル層20は、キャリアをトンネリングすることができる様々な物質を含むことができ、一例として、酸化物、窒化物、半導体、伝導性高分子などを含むことができる。例えば、トンネル層20は、シリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン酸化窒化物、真性非晶質シリコン、真性多結晶シリコンなどを含むことができる。このとき、トンネル層20は、半導体基板10の後面に全体的に形成することができる。これによって、半導体基板10の後面特性を全体的に向上させることができ、別途のパターニングなしに容易に形成することができる。
【0030】
トンネル効果を十分に具現できるように、トンネル層20の厚さTは、パッシベーション膜40の厚さよりも小さくすることができる。一例として、トンネル層20の厚さTが10nm以下であってもよく、0.5nm〜10nm(より具体的には、0.5nm〜5nm、一例として、1nm〜4nm)であってもよい。トンネル層20の厚さTが10nmを超えると、トンネリングが円滑に起こらないため、太陽電池150が作動しないことがあり、トンネル層20の厚さTが0.5nm未満であると、所望の品質のトンネル層20を形成しにくいことがある。トンネル効果をさらに向上させるためには、トンネル層20の厚さTが0.5nm〜5nm(より具体的に1nm〜4nm)であってもよい。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、トンネル層20の厚さTが様々な値を有することができる。
【0031】
トンネル層20上には導電型領域32,34が位置することができる。より具体的には、導電型領域32,34は、第1導電型ドーパントを有して第1導電型を示す第1導電型領域32と、第2導電型ドーパントを有して第2導電型を示す第2導電型領域34とを含むことができる。そして、第1導電型領域32と第2導電型領域34との間にバリア領域36が位置することができる。
【0032】
第1導電型領域32は、トンネル層20を挟んでベース領域110とpn接合(またはpnトンネル接合)を形成して、光電変換によってキャリアを生成するエミッタ領域を構成する。
【0033】
このとき、第1導電型領域32は、ベース領域110と反対の第1導電型ドーパントを含む半導体(一例として、シリコン)を含むことができる。本実施例では、第1導電型領域32が、半導体基板10上(より明確には、トンネル層20上)で半導体基板10と別個に形成され、第1導電型ドーパントがドープされた半導体層で構成される。これによって、第1導電型領域32は、半導体基板10上に容易に形成できるように、半導体基板10と異なる結晶構造を有する半導体層で構成することができる。例えば、第1導電型領域32は、蒸着などの様々な方法により容易に製造することができる非晶質半導体、微細結晶半導体、または多結晶半導体(一例として、非晶質シリコン、微細結晶シリコン、または多結晶シリコン)などに第1導電型ドーパントをドープして形成することができる。第1導電型ドーパントは、半導体層を形成する工程において半導体層に共に含まれるか、または、半導体層を形成した後に熱拡散法、イオン注入法などの様々なドーピング方法により半導体層に含まれてもよい。
【0034】
このとき、第1導電型ドーパントは、ベース領域110と反対の導電型を示すことができるドーパントであれば足りる。すなわち、第1導電型ドーパントがp型である場合には、ボロン(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)などの3族元素を使用することができる。第1導電型ドーパントがn型である場合には、リン(P)、ヒ素(As)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)などの5族元素を使用することができる。
【0035】
第2導電型領域34は、後面電界(back surface field)を形成して、半導体基板10の表面(より正確には、半導体基板10の後面)で再結合によってキャリアの損失が発生することを防止する後面電界領域を構成する。
【0036】
このとき、第2導電型領域34は、ベース領域110と同一の第2導電型ドーパントを含む半導体(一例として、シリコン)を含むことができる。本実施例では、第2導電型領域34が、半導体基板10上(より明確には、トンネル層20上)で半導体基板10と別個に形成され、第2導電型ドーパントがドープされた半導体層で構成される。これによって、第2導電型領域34は、半導体基板10上に容易に形成できるように、半導体基板10と異なる結晶構造を有する半導体層で構成することができる。例えば、第2導電型領域34は、蒸着などの様々な方法により容易に製造できる非晶質半導体、微細結晶半導体、または多結晶半導体(一例として、非晶質シリコン、微細結晶シリコン、または多結晶シリコン)などに第2導電型ドーパントをドープして形成することができる。第2導電型ドーパントは、半導体層を形成する工程において半導体層に共に含まれるか、または、半導体層を形成した後に熱拡散法、イオン注入法などの様々なドーピング方法により半導体層に含まれてもよい。
【0037】
このとき、第2導電型ドーパントは、ベース領域110と同じ導電型を示すことができるドーパントであれば足りる。すなわち、第2導電型ドーパントがn型である場合には、リン(P)、ヒ素(As)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)などの5族元素を使用することができる。第2導電型ドーパントがp型である場合には、ボロン(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)などの3族元素を使用することができる。
【0038】
そして、第1導電型領域32と第2導電型領域34との間にバリア領域36が位置し、第1導電型領域32と第2導電型領域34とを互いに離隔させる。第1導電型領域32と第2導電型領域34が互いに接触する場合には、シャント(shunt)が発生して太陽電池150の性能を低下させることがある。そのため、本実施例では、第1導電型領域32と第2導電型領域34との間にバリア領域36を位置させることで、不必要なシャントを防止することができる。
【0039】
バリア領域36は、第1導電型領域32と第2導電型領域34との間でこれらを実質的に絶縁することができる様々な物質を含むことができる。すなわち、バリア領域36として、ドープされていない(即ち、アンドープ)絶縁物質(一例として、酸化物、窒化物)などを使用することができる。または、バリア領域36が真性(intrinsic)半導体を含むこともできる。このとき、バリア領域36が、第1導電型領域32及び第2導電型領域34と同一平面上に形成され、実質的に同一の厚さを有し、同一の半導体(一例として、非晶質シリコン、微細結晶シリコン、多結晶シリコン)で構成されるが、実質的にドーパントを含まなくてもよい。一例として、半導体物質を含む半導体層を形成した後、半導体層の一部の領域に第1導電型ドーパントをドープして第1導電型領域32を形成し、他の領域の一部に第2導電型ドーパントをドープして第2導電型領域34を形成すると、第1導電型領域32及び第2導電型領域34が形成されていない領域がバリア領域36を構成するようになる。このようにすれば、第1導電型領域32、第2導電型領域34及びバリア領域36の製造方法を単純化することができる。
【0040】
しかし、本発明がこれに限定されるものではない。したがって、バリア領域36を第1導電型領域32及び第2導電型領域34とを別に形成した場合には、バリア領域36と第1導電型領域32及び第2導電型領域34とが互いに異なる厚さを有することができる。一例として、第1導電型領域32及び第2導電型領域34のショートをより効果的に防止するために、バリア領域36が第1導電型領域32及び第2導電型領域34よりも厚い厚さを有してもよい。または、バリア領域36を形成するための原料を低減するために、バリア領域36の厚さを第1導電型領域32及び第2導電型領域34の厚さよりも小さくしてもよい。その他の様々な変形が可能であることは勿論である。また、バリア領域36の基本構成物質が、第1導電型領域32及び第2導電型領域34と異なる物質を含むこともできる。または、バリア領域36が、第1導電型領域32と第2導電型領域34との間に位置した空き空間(例えば、トレンチ)として構成されてもよい。
【0041】
そして、バリア領域36が、第1導電型領域32と第2導電型領域34との境界の一部のみを離隔させるように形成されてもよい。これによれば、第1導電型領域32と第2導電型領域34との境界の他の一部は互いに接触することもできる。また、バリア領域36を必ず備えなければならないわけではなく、第1導電型領域32と第2導電型領域34とが全体的に接触して形成されることも可能である。その他の様々な変形が可能である。
【0042】
ここで、ベース領域110と同じ導電型を有する第2導電型領域34の面積よりも、ベース領域110と異なる導電型を有する第1導電型領域32の面積を広く形成することができる。これによって、ベース領域110と第1導電型領域32との間でトンネル層20を通じて形成されるpn接合をさらに広く形成することができる。このとき、ベース領域110及び第2導電型領域34がn型の導電型を有し、第1導電型領域32がp型の導電型を有する場合に、広く形成された第1導電型領域32によって、移動速度が相対的に遅い正孔を効果的に収集することができる。このような第1導電型領域32、第2導電型領域34及びバリア領域36の平面構造は、
図3を参照してより詳細に後述する。
【0043】
本実施例では、導電型領域32,34がトンネル層20を挟んで半導体基板10の後面上に位置する場合を例示した。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、トンネル層20を備えずに、導電型領域32,34が、半導体基板10にドーパントをドープして形成されたドーピング領域で構成されることも可能である。すなわち、導電型領域32,34が、半導体基板10の一部を構成する単結晶半導体構造のドーピング領域で構成されてもよい。このような構造については、
図8を参照してより詳細に後述する。その他の様々な方法により導電型領域32,34を形成することができる。
【0044】
第1導電型領域32及び第2導電型領域34とバリア領域36上にパッシベーション膜40を形成することができる。パッシベーション膜40は、第1導電型領域32及び第2導電型領域34が接続されてはならない電極(すなわち、第1導電型領域32の場合には第2電極44、第2導電型領域34の場合には第1電極42)と接続されることを防止し、第1導電型領域32及び第2導電型領域34をパッシベーションすることができる。パッシベーション膜40は、第1導電型領域32を露出する第1開口部402と、第2導電型領域34を露出する第2開口部404とを備える。
【0045】
本実施例において、パッシベーション膜40は、電極42,44の形成時に発生し得るパッシベーション膜40、導電型領域32,34及び/又は半導体基板10の損傷を防止できるように、優れた耐久性、耐酸性、金属拡散防止特性及びプラズマ抵抗性を有する物質で構成することができる。これは、本実施例において、電極42,44を構成する第1電極42と第2電極44が全て半導体基板10の後面側に位置するため、様々な工程(蒸着工程、エッチング工程など)を経て電極42,44を形成するとき、パッシベーション膜40、導電型領域32,34及び/又は半導体基板10が損傷する可能性がより高いからである。従来、パッシベーション膜として多く使用されるシリコン酸化物は、耐久性、耐酸性、金属拡散防止特性及びプラズマ抵抗性に優れていないため、電極42,44の形成時にパッシベーション膜40などがエッチング溶液またはプラズマなどによって損傷したり、または電極42,44を構成する金属がパッシベーション膜40を通過して導電型領域32,34などに拡散したりするなどの問題が発生することがあった。
【0046】
これによって、本実施例でのパッシベーション膜40は、優れた耐久性などを有する絶縁物質であるシリコン窒化物及びシリコン炭化物のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0047】
一例として、本実施例において、パッシベーション膜40は、シリコン窒化物を含み、屈折率が2.1以上(一例として、2.1〜2.2)であるシリコン窒化物層を単一層として含むことができる。パッシベーション膜40がシリコン窒化物を含む場合、優れた絶縁特性を有することができ、パッシベーション特性もまた大きく向上することができる。シリコン窒化物で構成されたパッシベーション膜40において、屈折率は膜の密度と比例関係を有するので、パッシベーション膜40の屈折率が大きいと、パッシベーション膜40の密度が大きくなることを意味する。これによって、屈折率の大きいシリコン窒化物で構成されたパッシベーション膜40は、化学的損傷を効果的に防止することができる。したがって、パッシベーション膜40が、屈折率が2.1以上であるシリコン窒化物を含む場合、電極42,44を蒸着するためのスパッタリング工程で使用されるプラズマによる損傷、電極42,44のパターニングのためのエッチング工程で発生し得るパッシベーション膜40の化学的損傷、電極42,44の内部の金属の拡散などを効果的に防止することができる。これによって、太陽電池150の電流密度、開放電圧特性を向上させることができる。一方、パッシベーション膜40の屈折率が2.2を超えると、パッシベーション膜40のパッシベーション特性が低下することがある。
【0048】
他の例として、本実施例において、パッシベーション膜40は、シリコン炭化物を含むシリコン炭化物層を単一層として含むことができる。ここで、シリコン炭化物は、非晶質構造を有するので、優れた絶縁特性を有することができる。シリコン炭化物は、疎水性の特性を有するので、優れた耐酸性を有することができる。一般に、酸性物質によるエッチングは、親水性である膜において加速されるため、本実施例のように、パッシベーション膜40を疎水性のシリコン炭化物で形成すれば、酸性物質によるエッチングを効果的に防止することができる。したがって、電極42,44をパターニングするためにエッチング溶液を用いてエッチングするときに発生し得るパッシベーション膜40などの化学的損傷を防止することができる。これによって、電流密度、開放電圧特性を向上させることができる。
【0049】
そして、パッシベーション膜40がシリコン炭化物層を含む場合に、シリコン炭化物層の屈折率は1.5〜2.0であってもよい。これは、半導体基板10の後面に電極42,44が位置した後面電極構造の太陽電池150において後面反射特性を向上させることができる範囲として限定されたものである。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、パッシベーション膜40が他の屈折率を有してもよい。
【0050】
このようなパッシベーション膜40は、トンネル層20と同一またはそれより厚い厚さに形成することができる。すると、パッシベーション膜40の絶縁特性及びパッシベーション特性が向上し、パッシベーション膜40の化学的損傷、プラズマ損傷、金属拡散などを防止することができる。一例として、パッシベーション膜40がシリコン窒化物層またはシリコン炭化物層の単一層構造で形成される場合には、パッシベーション膜40の厚さが50nm〜200nmであってもよい。パッシベーション膜40の厚さが50nm未満であると、パッシベーション膜40による効果が十分でないことがある。パッシベーション膜40の厚さが200nmを超えると、厚い厚さのため、パッシベーション膜40に開口部402,404を安定的に形成することが難しいことがある。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、パッシベーション膜40の厚さは多様に変形することができる。
【0051】
本実施例でのように、パッシベーション膜40が単一層の構造を有する場合、パッシベーション膜40の構造を単純化して製造工程を単純化することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、パッシベーション膜40が、上述したシリコン窒化物層またはシリコン炭化物層以外に、他の層をさらに含むことも可能である。
【0052】
半導体基板10の後面に位置する電極42,44は、第1導電型領域32に電気的及び物理的に接続される第1電極42と、第2導電型領域34に電気的及び物理的に接続される第2電極44とを含む。
【0053】
このとき、第1電極42は、パッシベーション膜40の第1開口部402を通して第1導電型領域32に接続され、第2電極44は、パッシベーション膜40の第2開口部404を通して第2導電型領域34に接続される。このような第1及び第2電極42,44としては様々な金属物質を含むことができる。そして、第1及び第2電極42,44は、互いに電気的に接続されずに第1及び第2導電型半導体層32,34にそれぞれ接続され、生成されたキャリアを収集して外部に伝達できる様々な平面形状を有することができる。すなわち、本発明が第1及び第2電極42,44の平面形状に限定されるものではない。
【0054】
以下では、
図2の拡大円を参照して第1及び/又は第2電極42,44の積層構造を詳細に説明した後、
図3を参照して第1及び/又は第2電極42,44の平面構造を詳細に説明する。
図2の拡大円及び以下の説明では第1電極42を例に挙げて説明したが、第2電極44もこれと同一または極めて類似の構造を有することができる。これによって、後述する第1電極42の積層構造は第2電極44にも適用することができる。
【0055】
図2の拡大円を参照すると、第1電極42は、半導体層で構成された第1導電型領域32(第2電極44の場合には第2導電型領域34)を構成する半導体層(以下、半導体層)に接触して形成され、透過性及び伝導性を有する接着層422と、接着層422上に形成される電極層424と、電極層424上に形成されるリボン接続層426とを含むことができる。ここで、電極層424は、光電変換によって生成されたキャリアを収集して外部に伝達する電極の基本的な役割を果たし、接着層422は、第1導電型領域32と電極層424との接着特性を向上させるなどの役割を果たし、リボン接続層426は、リボン144に接続される層として用いられる。
【0056】
接着層422は、半導体層と電極層424との間でこれらに接触して形成されてもよい。接着層422は、伝導性を有すると共に、半導体層との接触特性に優れた金属を含むことができる。これによって、第1電極42の伝導性を低下させないと共に、半導体層と電極層424との接着特性を向上させることができる。接着層422が半導体層との接触特性を向上させることができるように、接着層422の熱膨張係数が、半導体層の熱膨張係数と、電極層424において接着層422に隣接した部分の熱膨張係数との間の値を有することができる。
【0057】
これをより詳細に説明すると、半導体層と第1電極42との熱膨張係数の差が大きいと、太陽電池150を形成するための様々な熱処理工程時に、半導体層と第1電極42との間の界面接触特性が低下することがある。これによって、半導体層と第1電極42との間のコンタクト抵抗が高くなることがある。これは、半導体層または第1電極42の線幅を減少させて半導体層と第1電極42との接触面積が減少する場合にさらに大きな問題となり得る。これによって、本実施例では、第1電極42において半導体層に接触する接着層422の熱膨脹係数を限定して、半導体層と第1電極42との熱膨張係数の差を減少させることで、界面接触特性を向上させる。
【0058】
半導体層がシリコンを含む場合、熱膨張係数が約4.2ppm/Kであり、電極層424において接着層422に隣接した部分(一例として、本実施例では、電極層424)を構成することができる銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、金(Au)などの熱膨張係数が約14.2ppm/K以上である。より具体的には、銅の熱膨張係数が約16.5ppm/Kで、アルミニウムの熱膨張係数が約23.0ppm/Kで、銀の熱膨張係数が約19.2ppm/Kで、金の熱膨張係数が約14.2ppm/Kである。
【0059】
これを考慮して、接着層422を構成する物質(一例として、金属)の熱膨張係数が約4.5ppm/K〜約14ppm/Kであってもよい。熱膨張係数が4.5ppm/K未満であるか、または14ppm/Kを超えると、半導体層との熱膨張係数の差を減少させて接着特性を向上させる効果が十分でないことがある。これを考慮して、接着層422は、熱膨張係数が約8.4ppm/Kであるチタン(Ti)または熱膨張係数が約4.6ppm/Kであるタングステン(W)を含むことができ、一例として、チタンまたはタングステンからなることができる。
【0060】
このように接着層422がチタンまたはタングステンを含む場合、半導体層と第1電極42との熱膨張係数の差を減少させることによって、接触特性を向上させることができる。そして、チタンまたはタングステンは、電極層424において接着層422に隣接した部分(一例として、本実施例では電極層424)を構成する物質(例えば、銅など)のバリアとして機能することができるので、これらが半導体層または半導体基板10に拡散することを防止することができる。これによって、電極層424を構成する物質が半導体層または半導体基板10に拡散して発生し得る問題を防止することができる。
【0061】
このとき、本実施例に係る接着層422は、光が透過できる透過性を有することができる。接着層422が金属を含む場合にも、厚さが小さければ透過性を有することができるので、本実施例では、接着層422の厚さを一定水準以下に限定して、接着層422が透過性を有することができるようにする。このように接着層422が透過性を有すると、接着層422を通過した光を、接着層422上に形成される電極層424または電極層424の一部を構成する層(例えば、電極層424)で反射させて、再び半導体基板10の内部に向かうようにすることができる。これによって、光を第1電極42で反射させて、半導体基板10に存在する光の量及び残留時間を増加させることで、太陽電池150の効率を向上させることができる。
【0062】
ここで、透過性とは、光を100%透過する場合だけでなく、光の一部を透過する場合を含む。すなわち、接着層422は、金属透過膜または金属半透過膜で構成することができる。例えば、接着層422は50%〜100%の透過度を有することができ、より具体的には、80%〜100%の透過度を有することができる。接着層422の透過度が50%未満であると、電極層424で反射される光の量が十分でないため、太陽電池150の効率を十分に向上させることが難しいことがある。接着層422の透過度が80%以上であると、電極層424で反射される光の量をより増加させることができるので、太陽電池150の効率の向上にさらに寄与することができる。
【0063】
そのために、接着層422の厚さは、電極層424の厚さよりも小さくすることができる。本実施例では、電極層424が1つの層で構成された場合を例示したが、本発明がこれに限定されるものではない。したがって、電極層424が複数の層を備えてもよく、この場合には、接着層422の厚さが、電極層424を構成する複数の層のそれぞれの厚さよりも小さくてもよい。これによって、接着層422が透過性を有するように形成することができる。
【0064】
具体的には、接着層422の厚さは50nm以下であってもよい。接着層422の厚さが50nmを超えると、接着層422の透過度が低下して、電極層424に向かわせる光の量が十分でないことがある。接着層422の厚さを15nm以下とすることで、接着層422の透過度をさらに向上させることができる。ここで、接着層422の厚さが5nm〜50nm(一例として、5nm〜15nm)であってもよい。接着層422の厚さが5nm未満の場合には、接着層422が半導体層上で均一に形成されにくく、接着層422による接着特性向上の効果が十分でないことがある。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、接着層422の厚さなどは物質、工程条件などを考慮して変更可能である。
【0065】
接着層422上に形成される電極層424は、単一層で構成されてもよく、様々な特性などを向上させることができるように複数の層を含むこともできる。本実施例において、電極層424は、接着層422とリボン接続層426との間でこれらに接触して形成される単一層で構成することができる。電極層424は、第1電極42の抵抗を低下させ、電気伝導度を向上させる役割を果たし、実質的に電流を伝達する伝導層の役割を果たす。そして、電極層424は、リボン接続層426を構成する物質が半導体層または半導体基板10に向かうことを防止するバリアの役割と共に、反射物質によって反射が行われるようにする役割を果たす。すなわち、電極層424は、伝導層としての役割、バリア層としての役割、及び反射電極層としての役割を共に行うことができる。このような電極層424は、反射特性及び伝導性に優れた金属で構成することができ、一例として、銅、アルミニウム、銀、金、またはこれらの合金を含むことができる。
【0066】
電極層424は、接着層422より厚い厚さを有し、50nm〜400nmの厚さを有することができる。一例として、電極層424の厚さが100nm〜400nm(より具体的には、100nm〜300nm)であってもよい。電極層424の厚さが50nm未満であると、バリア層及び反射電極層の役割を果たすことが難しいことがある。電極層424の厚さが400nmを超えると、反射特性などが大きく向上しないにもかかわらず製造コストは増加することがある。電極層424の厚さが100nm以上であると、抵抗をさらに低下させることができる。電極層424の厚さが300nm以下であると、抵抗を低下させる効果が十分であり、熱的ストレスの増加による剥離現象を効果的に防止することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、電極層424の厚さは変わり得る。
【0067】
電極層424上にリボン接続層426を形成することができる。一例として、リボン接続層426が電極層424上に接触して形成されてもよい。リボン接続層426は、リボン144と接続される部分であって、リボン144との接続特性に優れた物質を含むことができる。リボン接続層426とリボン144とが接続される構造の様々な例を、
図4を参照して説明する。
図4は、本発明の実施例に係る太陽電池150の第1電極42とリボン144の付着構造の様々な例を拡大して示した図である。明確かつ簡略な説明のために、
図4において、第1電極42の形状は
図2の拡大円に示した形状を基準として示した。
【0068】
一例として、
図4の(a)に示すように、リボン接続層426上に、一例として、鉛(Pb)と錫を共に含むリボン144を位置させた後に熱を加えて、リボン144をリボン接続層426上に直接付着することができる。または、
図4の(b)に示すように、リボン接続層426とリボン144との間にペースト(例えば、錫とビスマスなどを含むペースト)が位置した状態で熱を加えて、ペースト層146を媒介としてリボン接続層426とリボン144とを付着することもできる。または、
図4の(c)に示すように、リボン接続層426とリボン144との間に伝導性フィルム148などが位置した状態で加圧して、伝導性フィルム148を媒介としてリボン接続層426とリボン144とを付着することもできる。伝導性フィルム148は、導電性に優れた金、銀、ニッケル、銅などで形成された導電性粒子がエポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂などで形成されたフィルム内に分散されたものであってもよい。このような伝導性フィルムに熱を加えながら圧着すると、導電性粒子がフィルムの外部に露出され、露出された導電性粒子によって太陽電池150とリボン144とが電気的に接続可能である。このように、伝導性フィルム(図示せず)によって複数の太陽電池150を接続してモジュール化する場合には、工程温度を低下させることができるので、太陽電池150の反りを防止することができる。その他にも様々な方法によりリボン接続層426とリボン144とを付着及び接続することができる。
【0069】
リボン接続層426は、錫(Sn)またはニッケル−バナジウム合金(NiV)を含むことができる。錫は、リボン144またはこれとの接続のためのペーストなどとの接合特性に優れるという利点がある。そして、ニッケル−バナジウム合金は、リボン144またはこれとの接続のためのペーストとの接合特性に優れる。より具体的に、錫及びビスマスを含むペーストの場合、ペーストの錫とニッケル−バナジウム合金のニッケルとの接合特性が非常に優れる。そして、ニッケル−バナジウム合金は、融点が約1000℃以上で非常に高い水準であるので、電極層424を構成する他の層の物質よりも高い融点を有する。これによって、リボン144との接合工程または太陽電池150の製造工程中に変形することなく、電極層424を構成する他の層を保護するキャッピング膜の役割を十分に行うことができる。
【0070】
リボン接続層426は、ナノ水準の厚さ、例えば、50nm〜300nmの厚さを有することができる。リボン接続層426の厚さが50nm未満であると、リボン144との接合特性が低下し、300nmを超えると製造コストが増加し得る。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、リボン接続層426の厚さなどは多様に変化可能である。
【0071】
本実施例では、接着層422、電極層424及びリボン接続層426を含む第1電極42をスパッタリングなどによって形成することができる。すなわち、半導体基板10の後面上に形成されたパッシベーション膜40の開口部402(第2電極44の場合には開口部404)を充填するように接着層422、電極層424及びリボン接続層426のそれぞれを構成する金属層を全体的に形成した後、金属層をパターニングすることによって、第1電極42及び/又は第2電極44の接着層422、電極層424及びリボン接続層426を形成することができる。パターニング方法としては様々な方法を適用することができ、一例として、レジストとエッチング溶液を用いた方法により行うことができる。第1電極42及び/又は第2電極44の具体的な製造方法については、
図5A乃至
図5Jを参照してより詳細に後述する。
【0072】
このようにスパッタリングによると、当該物質が太陽電池150の厚さ方向に積層されるので、接着層422が全体部分において均一な厚さを有し、電極層424が全体部分において均一な厚さを有し、リボン接続層426が全体部分において均一な厚さを有するように積層される。ここで、均一な厚さというのは、工程誤差などを考慮するとき、均一であると判断できる厚さ(例えば、10%以内の差を有する厚さ)を意味することができる。
【0073】
図2を再び参照すると、第1電極42は、開口部402の幅W1よりも大きい幅W2を有するように形成することができる。これは、第1電極42の幅W2(第1電極42を構成する部分の幅において最も広い幅)を十分に確保して、第1電極42の抵抗を低減するためである。例えば、開口部402の幅W1が10μm〜50μmであってもよく、第1電極42の幅W2が200μm〜250μmであってもよい。開口部402の幅W1が10μm未満であると、第1電極42と第1導電型領域32とが円滑に接続されないことがある。開口部402の幅W1が50μmを超えると、開口部402の形成時に第1導電型領域32が損傷する可能性が高くなることがある。第1電極42の幅W2が200μm未満であると、第1電極42が十分な抵抗を有することができない可能性がある。第1電極42の幅W2が250μmを超えると、隣接する第2電極44と不必要に短絡するなどの問題が発生し得る。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、開口部402の幅W1、第1電極42の幅W2が様々な値を有することができる。
【0074】
これによって、第1電極42(特に、接着層422)は、開口部402の底面(即ち、半導体層または導電型領域32,34との接触面)、開口部402に隣接するパッシベーション膜40の側面、及び開口部402に隣接するパッシベーション膜40の上にわたって形成することができる。特に、接着層422は、開口部402の底面(即ち、半導体層との接触面)、開口部402に隣接するパッシベーション膜40の側面、及び開口部402に隣接するパッシベーション膜40上でこれらと接触して位置することができる。このように、第1電極42が、開口部402に隣接するパッシベーション膜40の側面及び開口部402に隣接するパッシベーション膜40上に形成されることから、電極42,44を形成するための金属層をパッシベーション膜40上に全体的に形成した後、これをパターニングして電極42,44を形成したことがわかる。
【0075】
また、本実施例では、第1電極42の側面(特に、パッシベーション膜40上に位置した部分の側面)の少なくとも一部にアンダーカット(under cut、UC)が位置することができる。アンダーカットUCというのは、湿式エッチング工程において等方性エッチングによって発生するオーバーエッチング領域を意味する。より正確には、本実施例において、第1電極42の電極層424の側面にアンダーカットUCが位置することができる。これは、耐酸性に優れた接着層422及びリボン接続層426にはアンダーカットUCが発生しないか、または小さい幅のアンダーカットUCが発生する一方、相対的に耐酸性の低い電極層424は、エッチング溶液によって容易にアンダーカットUCが発生し得るからである。これによって、電極層424の少なくとも一部は、第1電極42の幅(例えば、接着層422またはリボン接続層426の幅)W2よりも小さい幅W21(第1電極42の幅において最も狭い部分の幅)を有することができる。図では、一例として、電極層424の幅が、リボン接続層426と隣接する部分ではリボン接続層426と同じ幅を有し、接着層422に向かいながら次第に小さくなることを例示した。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、アンダーカットUCによる電極層424の形状、幅などは多様に変形可能である。
【0076】
一例として、アンダーカットUCの幅W22(又は、第1電極42の一側において接着層422またはリボン接続層426の幅W2と、電極層424において最も小さい幅W21との差)は1μm〜10μmであってもよい。これは、湿式エッチング時に発生し得る程度に限定されたものである。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、アンダーカットUCの幅W22が様々な値を有することができる。
【0077】
このようなアンダーカットUCの存在から、電極42,44を形成するための金属層をパッシベーション膜40上に全体的に形成した後、これを湿式エッチングによって共にパターニングすることで電極42,44を形成したことがわかる。
【0078】
このように、電極42,44を形成するための金属層をスパッタリングによって全体的に形成する場合、スパッタリング工程において蒸着速度などを向上させるために使用されるプラズマによってパッシベーション膜40が物理的に損傷する可能性が存在する。また、金属層をパターニングするためのエッチング工程(例えば、湿式エッチング工程)などによってパッシベーション膜40などが化学的に損傷する可能性が存在する。これによって、本実施例では、上述したようにパッシベーション膜40の耐久性を向上させて、電極42,44の形成時に発生し得るパッシベーション膜40などの損傷を効果的に防止することができる。
【0079】
このように、本実施例では、第1電極42をメッキ工程を使用せずに形成することができる。第1電極42の一部をメッキによって形成すると、パッシベーション膜40にピンホール、スクラッチなどの欠陥がある場合に、その部分にもメッキが行われてしまい、望まない部分がメッキされることがある。そして、メッキ工程において使用するメッキ溶液が酸またはアルカリであるため、パッシベーション膜40に損傷を与えたり、またはパッシベーション膜40の特性を低下させることがある。本実施例では、メッキ工程を使用しないことによって、パッシベーション膜40の特性を向上させることができ、簡単な工程により第1電極42を形成することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、接着層422、電極層424及びリボン接続層426が様々な方法により形成され、様々な方法によりパターニングされてもよい。
【0080】
以下では、
図3を参照して、第1導電型領域32及び第2導電型領域34、バリア領域36、そして、第1及び第2電極42,44の平面形状を詳細に説明する。
【0081】
図3を参照すると、本実施例では、第1導電型領域32及び第2導電型領域34はそれぞれ、ストライプ状をなすように長く形成されると共に、長手方向と交差する方向において互いに交互に位置している。第1導電型領域32と第2導電型領域34との間に、これらを離隔させるバリア領域36が位置することができる。図示していないが、互いに離隔した複数の第1導電型領域32が一側縁部において互いに接続され、互いに離隔した複数の第2導電型領域34が他側縁部において互いに接続されてもよい。しかし、本発明がこれに限定されるものではない。
【0082】
このとき、第1導電型領域32の面積を第2導電型領域34の面積よりも大きくすることができる。一例として、第1導電型領域32及び第2導電型領域34の面積は、これらの幅を異ならせることによって調節することができる。すなわち、第1導電型領域32の幅W3を第2導電型領域34の幅W4よりも大きくすることができる。これによって、エミッタ領域を構成する第1導電型領域32の面積を十分に形成して、光電変換が広い領域で起こるようにすることができる。このとき、第1導電型領域32がp型を有する場合に、第1導電型領域32の面積を十分に確保して、移動速度が相対的に遅い正孔を効果的に収集することができる。
【0083】
そして、第1電極42が、第1導電型領域32に対応してストライプ状に形成され、第2電極44が、第2導電型領域34に対応してストライプ状に形成されてもよい。第1及び第2開口部(
図2の参照符号402,404参照、以下同様)のそれぞれが、第1及び第2電極42,44に対応して第1及び第2電極42,44の全面積に形成されてもよい。これによると、第1及び第2電極42,44と第1導電型領域32及び第2導電型領域34との接触面積を最大化して、キャリア収集効率を向上させることができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではない。第1及び第2開口部402,404が、第1及び第2電極42,44の一部のみを第1導電型領域32及び第2導電型領域34にそれぞれ接続するように形成されてもよいことは勿論である。例えば、第1及び第2開口部402,404が複数個のコンタクトホールとして構成されてもよい。そして、図示していないが、第1電極42が一側縁部において互いに接続されて形成され、第2電極44が他側縁部において互いに接続されて形成されてもよい。しかし、本発明がこれに限定されるものではない。
【0084】
再び
図2を参照すると、半導体基板10の前面上(より正確には、半導体基板10の前面に形成された前面電界領域130上)に絶縁膜(例えば、パッシベーション膜24、反射防止膜26)が位置することができる。実施例によって、半導体基板10上にパッシベーション膜24のみが形成されてもよく、半導体基板10上に反射防止膜26のみが形成されてもよく、または半導体基板10上にパッシベーション膜24及び反射防止膜26が順に位置してもよい。図では、半導体基板10上にパッシベーション膜24及び反射防止膜26が順に形成され、半導体基板10がパッシベーション膜24と接触して形成される場合を例示した。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、半導体基板10が反射防止膜26に接触して形成されることも可能であり、その他の様々な変形が可能である。
【0085】
パッシベーション膜24及び反射防止膜26は、実質的に半導体基板10の前面に全体的に形成することができる。ここで、全体的に形成するということは、物理的に完壁に全てに形成されたことのみならず、不可避に一部の除外された部分がある場合を含む。
【0086】
パッシベーション膜24は、半導体基板10の前面に接触して形成されて、半導体基板10の前面またはバルク内に存在する欠陥を不動化させる。これによって、少数キャリアの再結合サイトを除去して、太陽電池150の開放電圧を増加させることができる。反射防止膜26は、半導体基板10の前面に入射する光の反射率を減少させる。これによって、半導体基板10の前面を介して入射する光の反射率を低下させることによって、ベース領域110と第1導電型領域32との界面に形成されたpn接合まで到達する光量を増加させることができる。これによって、太陽電池150の短絡電流(Isc)を増加させることができる。このように、パッシベーション膜24及び反射防止膜26によって太陽電池150の開放電圧と短絡電流を増加させることで、太陽電池150の効率を向上させることができる。
【0087】
パッシベーション膜24及び/又は反射防止膜26は、様々な物質で形成することができる。一例として、パッシベーション膜24は、シリコン窒化膜、水素含有シリコン窒化膜、シリコン酸化膜、シリコン酸化窒化膜、アルミニウム酸化膜、MgF
2、ZnS、TiO
2及びCeO
2からなる群から選択されたいずれか1つの単一膜、または2つ以上の膜が組み合わされた多層膜構造を有することができる。一例として、パッシベーション膜24はシリコン酸化物を含み、反射防止膜26はシリコン窒化物を含むことができる。このように反射防止膜26がシリコン窒化物を含むとき、反射防止膜26の屈折率は、シリコン窒化物を含むパッシベーション膜40の屈折率よりも小さくすることができる。反射防止膜26の屈折率が大きくなると、光の屈折が容易に起こってしまい、太陽電池150の内部に入射する光を妨げることがあるため、反射防止膜26の屈折率を相対的に小さくする。すなわち、電極42,44が形成された面に位置し、シリコン窒化物を含むパッシベーション膜40は、相対的に大きい屈折率を有するようにして、電極42,44の形成時に発生し得る損傷を最小化し、電極42,44が形成されていない、光が入射する面に形成され、シリコン窒化物を含む反射防止膜26は、光の入射を妨げないようにすることができる。
【0088】
例えば、反射防止膜26がシリコン窒化物を含むとき、反射防止膜26の屈折率は、2.0以下(例えば、1.8〜2.0)であってもよい。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、反射防止膜26の屈折率が他の値を有してもよい。反射防止膜26及びパッシベーション膜40を所望の屈折率を有するようにすることは、反射防止膜26及びパッシベーション膜40を形成する工程の工程条件などを調節することによって具現することができる。例えば、化学気相蒸着法(CVD)などを用いるとき、シリコン窒化物を形成するための原料気体の一つであるアンモニアの含量を増加させると、形成されるシリコン窒化物膜の屈折率を増加させることができる。その他の様々な方法により、反射防止膜26及びパッシベーション膜40が所望の屈折率を有するようにすることができる。
【0089】
本実施例に係る太陽電池150に光が入射すると、ベース領域110と第1導電型領域32との間に形成されたpn接合での光電変換によって電子と正孔が生成され、生成された正孔及び電子は、トンネル層20をトンネリングして、それぞれ第1導電型領域32及び第2導電型領域34に移動した後、第1及び第2電極42,44に移動する。これによって、電気エネルギーを生成するようになる。
【0090】
本実施例のように、半導体基板10の後面に電極42,44が形成され、半導体基板10の前面には電極が形成されない後面電極構造の太陽電池150においては、半導体基板10の前面でシェーディング損失(shading loss)を最小化することができる。これによって、太陽電池150の効率を向上させることができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではない。半導体基板10の前面に第1電極42が位置する構造の太陽電池150に(特に、太陽電池150の後面に位置する第2電極44に)本実施例の電極42,44の構造が適用されてもよい。
【0091】
本実施例では、第1電極42及び第2電極44が全て半導体基板10の後面に位置する太陽電池150において、これらと隣接して位置するパッシベーション膜40の物質、屈折率などを限定することによって、電極42,44の形成時に発生し得るパッシベーション膜40、導電型領域32,34などの損傷を効果的に防止することができる。これによって、太陽電池150の特性及び効率を向上させることができる。
【0092】
上述した構造の太陽電池150の製造方法を、
図5A乃至
図5Jを参照して詳細に説明する。
図5A乃至
図5Jは、本発明の実施例に係る太陽電池の製造方法を示した断面図である。
【0093】
まず、
図5Aに示すように、第2導電型ドーパントを有するベース領域110で構成される半導体基板10を準備する。本実施例において、半導体基板10は、n型のドーパントを有するシリコン基板(一例として、シリコンウエハ)からなることができる。n型のドーパントとしては、リン(P)、ヒ素(As)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)などの5族元素を使用することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、ベース領域110がp型のドーパントを有してもよい。
【0094】
このとき、半導体基板10の前面及び後面のうちの少なくとも一面が凹凸を有するようにテクスチャリングしてもよい。半導体基板10の表面のテクスチャリングとしては、湿式または乾式テクスチャリングを使用することができる。湿式テクスチャリングは、テクスチャリング溶液に半導体基板10を浸漬することによって行うことができ、工程時間が短いという利点がある。乾式テクスチャリングは、ダイヤモンドドリルまたはレーザなどを用いて半導体基板10の表面を削ることであって、凹凸を均一に形成することができる一方、工程時間が長く、半導体基板10に損傷が発生し得る。その他に、反応性イオンエッチング(RIE)などにより半導体基板10をテクスチャリングすることもできる。このように、本発明では、様々な方法で半導体基板10をテクスチャリングすることができる。
【0095】
一例として、半導体基板10の前面が凹凸を有するようにテクスチャリングされ、半導体基板10の後面が、鏡面研磨などによって処理されて、半導体基板10の前面よりも小さい表面粗さを有する平坦な面として構成されてもよい。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、様々な構造の半導体基板10を使用することができる。
【0096】
次いで、
図5Bに示すように、半導体基板10の後面にトンネル層20を形成する。トンネル層20は、半導体基板10の後面に全体的に形成することができる。
【0097】
ここで、トンネル層20は、一例として、熱的成長法、蒸着法(例えば、プラズマ化学気相蒸着法(PECVD)、原子層蒸着法(ALD))などにより形成することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、様々な方法により第1トンネル層20を形成することができる。
【0098】
次いで、
図5C及び
図5Dに示すように、トンネル層20上に第1導電型領域32及び第2導電型領域34を形成する。これをより具体的に説明すると、次の通りである。
【0099】
図5Cに示すように、トンネル層20上に半導体層30を形成する。半導体層30は、微細結晶質、非晶質、または多結晶半導体で構成することができる。半導体層30は、一例として、熱的成長法、蒸着法(例えば、プラズマ化学気相蒸着法(PECVD))などによって形成することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、様々な方法により半導体層30を形成することができる。
【0100】
次いで、
図5Dに示すように、半導体層30に第1導電型領域32、第2導電型領域34、及びバリア領域36を形成する。例えば、第1導電型領域32に該当する領域に、イオン注入法、熱拡散法、レーザドーピング法などのような様々な方法により第1導電型ドーパントをドープし、第2導電型領域34に該当する領域に、イオン注入法、熱拡散法、レーザドーピング法などによる様々な方法により第2導電型ドーパントをドープすることができる。すると、第1導電型領域32と第2導電型領域34との間に位置した領域がバリア領域36を構成することになる。
【0101】
しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、導電型領域32,34、そして、バリア領域36を形成する方法としては、公知の様々な方法を使用することができる。そして、バリア領域36を形成しないなどの様々な変形が可能である。
【0102】
次いで、
図5Eに示すように、半導体基板10の前面に第2導電型ドーパントをドープすることで前面電界領域130を形成することができる。前面電界領域130は、イオン注入法、熱拡散法、レーザドーピング法などのような様々な方法により形成することができる。その他の様々な方法を使用することができる。
【0103】
次いで、
図5Fに示すように、半導体基板10の前面にパッシベーション膜24及び反射防止膜26を順次形成し、半導体基板10の後面にパッシベーション膜40を順次形成する。すなわち、半導体基板10の前面上にパッシベーション膜24及び反射防止膜26を全体的に形成し、半導体基板10の後面上に第1及び第2導電型領域32,34を覆うように全体的にパッシベーション膜40を形成する。パッシベーション膜24、反射防止膜26及びパッシベーション膜40は、真空蒸着法、化学気相蒸着法、スピンコーティング、スクリーン印刷またはスプレーコーティングなどのような様々な方法により形成することができる。パッシベーション膜24及び反射防止膜26、そして、パッシベーション膜40の形成順序は多様に変形することができる。
【0104】
次いで、
図5Gに示すように、パッシベーション膜40に第1及び第2開口部402,404を形成する。第1及び第2開口部402,404を形成する方法としては様々な方法を適用することができる。
【0105】
一例として、本実施例では、レーザ200を用いたレーザエッチングによって第1及び第2開口部402,404を形成することができる。レーザエッチングを用いると、第1及び第2開口部402,404の幅を薄く具現することができ、様々なパターンの第1及び第2開口部402,404を容易に形成することができる。
【0106】
次いで、
図5Hに示すように、第1及び第2開口部402,404内を充填するように、半導体基板10の後面上(より正確には、第1及び第2導電型領域32,34を形成する半導体層上)に全体的に電極層400を形成する。より具体的には、接着層400a、電極層400b及びリボン接続層400cを順次にスパッタリングによって形成する。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、接着層400a、電極層400b及びリボン接続層400cの形成方法は多様に変形可能である。
【0107】
次いで、
図5Iに示すように、電極層400上にマスク層410を形成する。マスク層410は、電極42,44に対応する部分に形成され、エッチング工程中に電極42,44に該当する部分の電極層400がエッチングされないようにする役割を果たす。マスク層410は、印刷、フォトリソグラフィーなどにより形成することができる。マスク層410は、開口部402,404の幅よりも大きい幅を有するように形成することができる。
【0108】
次いで、
図5Jに示すように、マスク層410が形成されていない部分の電極層400を除去して電極42,44を形成し、マスク層410を除去する。マスク層410が形成されていない部分は、エッチング溶液を用いた湿式エッチング工程により除去することができる。エッチング溶液としては、酸性溶液を用いることができ、一例として、フッ酸、リン酸、硝酸、またはこれらの混合物を用いることができる。これによって、電極42,44がパターニングされる。このように湿式エッチング工程を用いると、簡単な工程により電極42,44をパターニングすることができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではない。
【0109】
このように、本実施例では、電極層400をスパッタリングによってパッシベーション膜40上に全体的に形成した後、電極層400をエッチングすることによって電極42,44を形成する。このような工程により、パッシベーション膜40が物理的または化学的に損傷する可能性があり、そのため、本実施例では、パッシベーション膜40を優れた耐久性、耐酸性、プラズマ抵抗性などを有するシリコン窒化物またはシリコン炭化物で形成する。これによって、パッシベーション膜40の損傷を防止し、半導体基板10及び導電型領域32,34を安全に保護することができる。これによって、太陽電池150の電流密度、開放電圧などの特性を向上させることができる。
【0110】
上述した実施例では、トンネル層20、導電型領域32,34、バリア領域36を形成した後、前面電界層130を形成し、パッシベーション膜24、反射防止膜26及びパッシベーション膜40を形成した後、第1及び第2電極42,44を形成する場合を例示した。しかし、本発明がこれに限定されるものではない。したがって、トンネル層20、導電型領域32,34、バリア領域36,パッシベーション膜24、反射防止膜26及びパッシベーション膜40の形成順序は多様に変更可能である。また、一部が形成されないなどの様々な変更が可能である。
【0111】
以下、本発明の他の実施例に係る太陽電池及びそれに用いられる電極を詳細に説明する。上述した説明と同一または極めて類似の部分については詳細な説明を省略し、互いに異なる部分についてのみ詳細に説明する。そして、以下の説明及び図面では第1電極42を例示として説明したが、下記の説明は第2電極44にも適用することができる。
【0112】
図6は、本発明の他の実施例に係る太陽電池を示した断面図である。
【0113】
図6を参照すると、本実施例に係るパッシベーション膜40は、導電型領域上に位置(一例として、接触)し、シリコン窒化物を含む第1層40aと、第1層40a上に位置(一例として、接触)し、シリコン炭化物を含む第2層40bとを含むことができる。シリコン窒化物を含む第1層40aに対する説明には、上述した実施例においてパッシベーション膜40として用いられるシリコン窒化物層に対する説明を適用することができ、シリコン炭化物を含む第2層40bの説明には、上述した実施例においてパッシベーション膜40として用いられるシリコン炭化物層に対する説明を適用することができる。これによって、詳細な説明を省略する。
【0114】
本実施例のように、パッシベーション膜40が互いに異なる物質を有する第1層40a及び第2層40bを含む場合、パッシベーション膜40の耐久性、耐酸性、プラズマ抵抗性、金属拡散防止特性などの効果を極大化することができる。このとき、シリコン炭化物を含む第2層40bが疎水性を有するので、パッシベーション膜40の外面側に位置させることで、エッチングにさらに効果的に対応するようにすることができる。
【0115】
本実施例において、第1層40aの厚さT1が、第2層40bの厚さT2と同一またはそれより大きくてもよい。これは、耐久性、耐酸性、プラズマ抵抗性、金属拡散防止特性などを全て備えた第1層40aを相対的に厚く形成することで、これによる優れた特性を全て具現するようにし、第2層40bは疎水性を示すことができる程度に相対的に薄く形成することで、工程時間、工程コストなどを低減するためである。
【0116】
例えば、第2層40bの厚さT2:第1層40aの厚さT1の比率T2:T1が、1:1〜1:4であってもよい。前記比率T2:T1が1:1未満であると、第2層40bによる効果を十分に具現しにくく、前記比率T2:T1が1:4を超えると、第1層40aの厚さによって工程時間、工程コストなどが増加し、太陽電池100の薄型化が難しくなることがある。または、第1層40aの厚さT1が50nm〜200nmであり、第2層40bの厚さT2が10nm〜50nmであってもよい。第1層40aの厚さT1が50nm未満であるか、または第2層40bの厚さT2が10nm未満であると、所望の効果を十分に具現することが難しいことがある。第1層40aの厚さT1が200nmを超えるか、または第2層40bの厚さT2が50nmを超えると、工程時間、工程コストを低減するのに限界がある。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、第1層40aの厚さT1、第2層40bの厚さT2、これらの比率T2:T1などの値は多様に変形可能である。
【0117】
図7は、本発明の更に他の実施例に係る太陽電池の部分背面平面図である。
【0118】
図7を参照すると、本実施例に係る太陽電池150では、第2導電型領域34が、島状を有しながら互いに離隔して複数備えられ、第1導電型領域32は、第2導電型領域34及びこれを取り囲むバリア領域36を除外した部分に全体的に形成されてもよい。
【0119】
すると、第1導電型領域32として機能する第1導電型領域32が最大限広い面積を有しながら形成されて、光電変換効率を向上させることができる。そして、第2導電型領域34の面積を最小化しながらも、半導体基板10に全体的に第2導電型領域34が位置するようにすることができる。すると、第2導電型領域34によって表面再結合を効果的に防止すると共に、第2導電型領域34の面積を最大化することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、第2導電型領域34が、第2導電型領域34の面積を最小化することができる様々な形状を有していてもよいことは勿論である。
【0120】
図では、第2導電型領域34が円形の形状を有する場合を例示したが、本発明がこれに限定されるものではない。したがって、第2導電型領域34が、それぞれ楕円形、または三角形、四角形、六角形などの多角形の平面形状を有していてもよいことは勿論である。
【0121】
パッシベーション膜40に形成された第1及び第2開口部402,404は、第1導電型領域32及び第2導電型領域34のそれぞれの形状を考慮して、互いに異なる形状を有することができる。すなわち、第1開口部402は、第1導電型領域32上で長く延びながら形成されてもよく、第2開口部404は、複数個が第2導電型領域34に対応して互いに離隔して形成されてもよい。第1電極42は、第1導電型領域32上にのみ位置し、第2電極44は、第1導電型領域32と第2導電型領域34上に共に位置することを考慮したものである。すなわち、パッシベーション膜40において、第2導電型領域34上に位置した部分に対応して第2開口部404が形成され、第2開口部404によって第2電極44と第2導電型領域34とが接続される。そして、第1導電型領域32上に該当するパッシベーション膜40の部分には第2開口部404が形成されないので、第2電極44と第1導電型領域32とが互いに絶縁された状態を維持できるようにする。第1電極42は、第1導電型領域32上にのみ形成されるので、第1開口部402が第1電極42と同一または類似の形状を有することができ、これによって、第1電極42が第1導電型領域32上に全体的にコンタクトすることができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、第1開口部402が、第2開口部404と類似の形状を有する複数個のコンタクトホールとして構成されてもよい。
【0122】
図8は、本発明の更に他の実施例に係る太陽電池の断面図である。
【0123】
図8を参照すると、本実施例に係る太陽電池150は、トンネル層(
図2の参照符号20、以下同様)を備えずに、第1及び第2導電型領域32,34を半導体基板10の内部に形成されるドーピング領域で構成する。すなわち、第1及び第2導電型領域32,34のそれぞれが、半導体基板10に第1又は第2導電型ドーパントを相対的に高いドーピング濃度でドープして形成されたドーピング領域で構成される。これによって、第1及び第2導電型領域32,34が、第1又は第2導電型を有する結晶質(単結晶または多結晶)半導体を含んで半導体基板10を構成するようになる。一例として、第1及び第2導電型領域32,34のそれぞれは、第1又は第2導電型を有する単結晶半導体基板(一例として、単結晶シリコンウエハ基板)の一部分として構成されてもよい。
【0124】
このような実施例では、第1電極42の接着層(
図2の参照符号422参照)が、半導体基板10(又は、半導体基板10の一部を構成する第1導電型領域32)に接触して形成され、第2電極44の接着層422が、半導体基板10(又は、半導体基板10の一部を構成する第2導電型領域34)に接触して形成される。上述した説明において、第1及び第2電極42,44の接着層422が半導体層の代わりに半導体基板10に接触する点のみが異なるので、これについての詳細な説明は省略する。
【0125】
上述したような特徴、構造、効果などは、本発明の少なくとも一つの実施例に含まれ、必ずしも一つの実施例にのみ限定されるものではない。さらに、各実施例で例示した特徴、構造、効果などは、実施例の属する分野における通常の知識を有する者によって、他の実施例に対しても組み合わせ又は変形して実施可能である。したがって、このような組み合わせ及び変形に係わる内容は、本発明の範囲に含まれるものと解釈されるべきである。