(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0003】
自家移植片は、個々の身体の一部(例えば「ドナー部位」)から別の部分(例えば「レシピエント部位」)に移植された組織のことを指す場合がある。自家移植片は、例えば、失った皮膚および他の組織を取り替えるため、ならびに/または外傷、創傷、やけど、外科的および出生異常からの治癒を促進するために使用され得る。自己移植についての組織の利用可能性は、複数および/または全体の領域の移植組織片、ドナー部位の治癒挙動、ドナー部位およびレシピエント部位の類似性、美的考慮を含む、候補ドナー部位の特性により制限され得る。
【0004】
皮膚移植は外科的に実施され得る。例えば、従来の自己移植処置は、やけどにより損傷した組織の切除または外科的除去、清浄なやけど領域を覆うために使用される健康な皮膚から除去される領域であり得るドナー部位の選択、およびドナー部位から移植片が除去され得る場合、例えば電気シェーバーと同様の機器を用いる収集を含み得る。そのような機器(例えば採皮刀)は、例えば、植皮片として使用するためにやけどしていないドナー部位の皮膚から分層植皮のために約10/1000インチ厚であり得る組織片を穏やかに剃るように構造化され得る。次いで植皮片は治癒し得るように清浄な外傷部位上に置かれ得る。ドナー皮膚組織は、第2度熱傷の治癒と同様のプロセスにおいて、ドナー部位が自然に治癒され得るような深さまで除去され得る。
【0005】
恒久的な創傷の被覆に使用され得る2つの従来の種類の自己移植片は、シート移植片およびメッシュ移植片を含む。シート移植片は、収集と称され得るプロセスにおいて、身体のやけどしていないドナー部位から除去された皮膚組織の小片を意味し得る。使用されるドナー皮膚の小片のサイズは、損傷した領域とほぼ同じサイズであり得る。シート移植片は、切除した創傷部位の上に適用され得、所定の位置に留められ得るか、または固定され得る。シート移植片に使用されるドナー皮膚組織は顕著に伸びることはできず、被覆される損傷した領域よりわずかに大きいシート移植片が得られ得る。なぜなら、多くの場合、収集後、移植組織がわずかに収縮する場合があるからである。
【0006】
シート移植片は修復組織部位の改良された外観を提供できる。例えば、損傷を受けた場合、シート移植片は、顔、首および手の広い面積に使用され得るので、身体のそれらの多くの目に見える部分は、治癒後、ほとんど傷跡が残らないように見え得る。シート移植片は、例えば損傷した部位が狭い場合、やけどまたは損傷した皮膚の領域全体を被覆するために使用され得る。シート移植片の狭い領域は、配置された後、損傷し得る。なぜなら、シート移植片の配置後、体液(例えば血腫)の蓄積がシート移植片下で生じる場合があるからである。
【0007】
シート移植片は全層植皮または分層植皮である。例えば、分層植皮の皮膚移植は、やけどおよび皮膚潰瘍患者において創傷を被覆するために使用され得る。従来の分層植皮の移植片は、例えば、リンゴの皮をむくのと同様の処置でドナー部位から表皮および上皮組織のシートを収集することによって形成され得る。次いで分層植皮が、やけどまたは潰瘍の部位に配置され得る。次いで皮膚組織は、通常、長い治癒時間の後、ドナー部位において成長して元の状態に戻り得る。分層移植は全層移植より好適であり得る。なぜなら、ドナー部位から多量の全層皮膚組織を除去することは、ドナー部位において瘢痕化および長い治癒時間、ならびに感染の高い危険性を生じる場合があるからである。しかしながら、分層皮膚自家移植片のためにドナー部位から除去した組織は、レシピエント部位において構造安定性および正常な外観を向上させる真皮の特定の要素を欠き得る、薄い上皮層のみを含み得る。
【0008】
全層皮膚移植片は、表皮層全体および種々の厚さの真皮成分を含む組織のシートを用いて形成され得る。真皮成分は全層移植において保存され得るので、正常な皮膚の特性の多くが移植処置後に維持され得る。全層移植は、分層移植と比べて、より多くのコラーゲン量、真皮の血管網、および上皮付属器官を含み得る。しかしながら、全層移植は、より多くの組織を血管再建に必要とするため、残存についての正確な条件を必要とし得る。
【0009】
全層皮膚移植は、例えば、局所皮弁により処置できないか、または局所皮弁が禁忌である移植処置についての顔の目に見える領域を修復するのに好適であり得る。このような全層皮膚移植は、分層皮膚移植と比べて、例えば、色、質感および厚さを含む、正常な皮膚の特性の多くを保持できる。全層皮膚移植はまた、治癒の間、ほとんど収縮することはあり得ない。これらの特性は、顔および手などの多くの目に見える領域で重要であり得る。さらに、小児における全層移植は個体と共に成長する可能性が高くなり得る。しかしながら、従来の全層皮膚移植の適用は、比較的小さな、汚染されていない、十分に血管が発達した創傷に制限され得るので、分層移植ほど、多くの種類の移植処置に適切でない場合がある。さらに、全層移植についてのドナー部位は、外科的縫合または分層移植を用いて新しい皮膚にすることを必要とし得る。
【0010】
例えば、健康なドナー部位の十分な領域の欠如のために、シート移植を用いて被覆することが困難であり得る広い面積の傷口の開いた傷を被覆するためにメッシュ皮膚移植が使用され得る。皮膚移植のメッシュは、ドナー部位由来の皮膚組織を広い面積を被覆するために拡張することを促進できる。それはまた、創傷に配置された場合、皮膚移植下からの血液および体液の排出を促進でき、移植片喪失を防止するのに役立ち得る。メッシュ移植の拡張比(例えば、伸びていない移植領域対伸びた移植領域の比)は典型的に、約1:1〜1:4の間であり得る。例えば、ドナー皮膚は約1:1〜1:2の比でメッシュであってもよいが、より大きな拡張比は、より壊れやすい移植片、治癒するにつれてメッシュ移植の瘢痕化、および/または長い治癒時間を生じる場合がある。
【0011】
従来の移植メッシュ処置は、組織に切れ目を入れる機械にドナー皮膚組織を供することを含み得、魚網また金網のフェンスと同様のパターンの拡張を促進できる。治癒は、新たな上皮成長で満たされる間隙または間質と称され得る、メッシュ間の空間を移植片が伸びることにより生じ得る。しかしながら、メッシュ移植は、シート移植より耐久性のない移植片を生じ得、大きなメッシュは、移植治癒後、恒久的な瘢痕化を生じる場合がある。
【0012】
移植片の治癒および安全性を支援するために、移植片の領域は好ましくは、各手術後、少なくとも約5日間、固定され得る(例えば動かされない)。この固定化期間の間、血管が下層組織から皮膚移植片内に成長し得、2つの組織層を一緒に結合するのを支援し得る。移植片を配置してから約5日後、運動療法プログラム、入浴、および他の正常な日常生活が多くの場合、再開され得る。深い第二度および全層やけどが、迅速に治癒させ、最小の瘢痕化のために皮膚移植手術を必要とし得る。大きなやけどのサイズは、入院の間、1回より多くの移植処置を導く場合があり、治癒のために長期間の固定化を必要とし得る。
【0013】
自己移植の代替として、直近に死亡した人々から得られた皮膚組織(例えば、同種移植片(homograft)、同種移植片(allograft)、または死体皮膚と称され得る)が、清浄されている創傷領域のための一時的皮膚として使用され得る。メッシュされていない死体皮膚は、所定の位置において切除された創傷上に置かれ、固定され得る。手術後、死体皮膚は包帯で覆われ得る。次いで死体同種移植を用いる創傷被覆は恒久的な自己移植の前に除去され得る。
【0014】
異種移植片(xenograft)または異種移植片(heterograft)は、種々の動物、例えばブタの一部から得られた皮膚を示し得る。異種移植片の皮膚組織もまた、十分な恒久的な自己移植片を配置する前に、切除された創傷の一時的被覆のために使用され得、それは、ヒト皮膚組織の制限された利用可能性および/または高い費用のために使用され得る。一部の場合において、ヒトの死体皮膚を使用することに対する宗教的、財政的、または文化的な反発もまた、異種移植片の使用を導く要因であり得る。異種移植片または同種移植片を用いる創傷被覆は通常、自己移植片を収集し、配置することが実現可能になるまで使用され得る一時的処置である。
【0015】
上皮付属器官は移植処置後に再生され得る。例えば、髪は、分層移植より全層移植から成長する傾向があり得るが、このような髪の成長は創傷の部位に基づいて望ましくない場合がある。従って、全層移植についてのドナー部位は、例えば、手術時の髪の成長のパターンに部分的に基づいて注意深く選択され得る。さらに、特定の毛包は皮膚表面に対して垂直に方向付けられ得ず、それらは、移植組織を取り除くために与えられる切開が適切に方向付けられていない場合、横断し得る。
【0016】
移植組織に位置する汗腺および皮脂腺は、移植後、最初に劣化し得る。これらの構造は、分層移植より全層移植において再生する傾向があり得る。なぜなら、全層移植は、完全な機能単位として移され得るからである。例えば、汗腺再生は、レシピエントの基本的な交感神経線維と共に皮膚移植の神経再生に部分的に依存し得る。一旦、このような内部成長が生じると、皮膚移植は、ドナー部位の性質を保持するというよりむしろレシピエント部位の発汗性質を想定し得る。対照的に、皮脂腺再生は移植神経再生とは独立し得、ドナー部位の性質を保持し得る。再生前に、皮膚移植組織は、これらの腺によって生じる皮脂の正常な潤滑を欠き得、このような移植を損傷に対してより敏感にし得る。
【0017】
一般に、移植処置は、過剰な副作用を生じないようにドナー部位から取り除かれ得る組織の量により制限され得る。全層移植は創傷部位に改善された組織の質を提供できるが、ドナー部位は上記のようにかなり激しく損傷する場合がある。分層移植は、治癒時間と、ドナー部位およびレシピエント部位の審美性および機能的特性との間で妥協を生じ得るのに対して、メッシュは、目に見える瘢痕化を犠牲にして、より広範な移植被覆を提供できる。
【0018】
ドナー部位からの移植組織の収集は、一般に、ドナー部位に対して望ましくない大規模の組織損傷を生じる場合がある。他方で、健康な組織に隣接する狭い面積の皮膚創傷は良好な耐容性を示すことができ、迅速に治癒し得る。このような少ない創傷の治癒は、小さい寸法を有する損傷のパターンが皮膚組織において生成され得る、「分別光熱分解(fractional photothermolysis)」または「分別再表面化(fractional resurfacing)」などの技術において行われ得る。これらの例示的な技術は、例えば、特許文献1および特許文献2に記載されている。小規模の損傷パターンは健康な組織の再生により迅速に治癒し得、さらに、目に見える瘢痕化を生じずに皮膚締め付けなどの所望の効果を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図面全体にわたって、他に記載しない限り、同じ参照番号および特徴は、例示した実施形態の同様の特徴、要素、成分、または部分を示すために使用される。さらに、本開示をここで図面を参照して詳細に記載するが、例示した実施形態に関して説明するのであり、本発明を図面に例示した特定の実施形態に限定しているわけではない。
【0035】
本開示の例示的な実施形態によれば、自己移植片を生成する方法および装置、特に、レシピエント部位に改善された組織特性を提供しながら、ドナー部位のより迅速な治癒を促進できるような方法および装置が提供され得る。本開示の例示的な実施形態は、自己移植片を提供するために使用され得る複数の小規模の組織部分(例えば微小移植片)を含み得る。このような移植片は、迅速に治癒でき、レシピエント部位に望ましい特性を有する皮膚組織を再生できる移植組織を提供しながら、ドナー部位に対する永久的な損傷を回避できる。
【0036】
本開示の例示的な実施形態において、
図1Aに示すように、少なくとも1つの小さな寸法を有する組織部分(例えば微小移植片)が例示的なドナー部位100から収集される、自己移植片を作製する方法が提供され得る。
図1Aに示す穴110は、組織部分(例えば微小移植片)が除去される例示的なドナー部位100の領域を表す。これらの例示的な穴110はほぼ円形の断面形状を有してもよいが、他の形状が使用されてもよい。
【0037】
収集した組織の治癒が起こった後の例示的なドナー部位110を
図1Bに示す。除去した組織によりドナー部位において生じた損傷の小さな領域100は迅速に治癒でき、および/または目に見える瘢痕化を有さない。例えば、
図1Bに示す治癒したドナー部位100の残りのパターンは、通常の視覚条件下で裸眼により容易に知覚できない。
【0038】
例えば、ドナー部位100に穴110を形成するためにドナー部位100から組織の部分を収集または除去することによって形成され得る例示的な微小移植片120を
図1Cに示す。例示的な微小移植片120はほぼ円筒形であり得る細長い形状を有してもよい。微小移植片120は、例示的なドナー部位100由来の表皮組織130および真皮組織140の両方を含んでもよい。例えば、例示的な微小移植片120は、長さが約3mmであってもよく、これは、典型的な皮膚層(例えば表皮層および真皮層)の深さ全体に対応し得る。ドナー部位100の特定の皮膚または組織特性に基づいて異なる長さが使用されてもよい。一般に、顕著に多くの量の皮下組織を収集することを回避することが好適であり得るので、収集される微小移植片120は主に表皮組織130および真皮組織140を含み得る。例示的な微小移植片120の下部150はまた、(例えば真皮/脂肪層の境界に近接する)ドナー部位100の真皮の下部に存在し得る幹細胞を含んでもよい。
【0039】
収集の間に生じる穴110の幅または直径(それは収集される微小移植片120の部分のほぼ直径に対応し得る)は、約2mm未満、または約1mm未満であり得る。本開示の特定の例示的な実施形態において、微小移植片120の直径または幅は、約0.5mm未満、約0.3mm未満、または約0.2mm未満であり得る。例示的な穴110のサイズは、例えば、迅速に治癒でき、および/または瘢痕化を有さずにドナー部位100において小さな直径領域を作製する効果に基づいて、ならびに増殖媒体に移植または置かれた場合、生存を促進するのに十分小さくてもよく、ドナー組織に存在し得る多くの量の移植組織および/または捕捉組織を形成するのに十分大きい、組織の作製部分に基づいて選択され得る。
【0040】
例えば、生組織は、約0.1mmの距離にわたって拡散輸送により栄養素と共に提供されてもよい。従って、約0.5mm未満、例えば約0.3mm未満または例えば約0.2mmほどの大きさである少なくとも1つの直径を有する例示的な微小移植片120は、向上した生存を示し得、生存する可能性が高く、移植に使用される場合、それらは成長できる。このような例示的な微小移植片120は、組織の血管再生前に、レシピエント部位に置かれた場合、栄養素(例えば酸素を含む)をより受け取ることができる。
【0041】
例えば約1〜2mmの幅を有する、より大きな微小移植片120もまた、栄養素のこのような拡散輸送から利点を受け得、また、移植組織の顕著に大きい部分(例えば従来の全層、分層またはメッシュ移植)よりも生存する可能性がより高くなり得る。これらのより大きなサイズは、異種である収集される組織、例えば単一の微小移植片120内に保存され得る特定の構造を含み得る組織に好適であり得る。例えば、皮膚組織は、毛包、皮脂腺などの特定の構造を有し、皮膚からいくらか大きい微小移植片120を収集することは、収集および移植される場合、それらの組織構造を保存するのに役立ち得る。他方で、より小さい微小移植片、例えば、約0.5mm、または約0.2mm幅未満のものは、組織において保存される大きな構造が少ないかまたはほとんどない筋組織などの比較的同種組織に好適であり得る。
【0042】
収集することによってドナー部位100から除去された表面組織の割合(穴110によって占められる例示的なドナー部位100の表面積の割合に対応し得る)は、約70%未満、またはより好ましくは約50%未満であり得る。除去される組織の割合は、そこから適切なサイズの移植片を生成するために、十分な大きさの収集された微小移植片120を提供するのに十分大きくてもよいが、残存している損傷していない組織からの成長に基づいてドナー部位100において迅速な治癒を促進するのに十分小さい。組織の他の割合が、例えば、ドナー部位100の特定の特性、必要とされる移植片のサイズ、および利用可能なドナー部位組織の全体の量などの要因に応じてドナー部位100から除去されてもよい。
【0043】
本開示のさらなる例示的な実施形態において、例えば
図2Aに示すように、移植片200が、生体適合マトリクス210に複数の微小移植片120を包埋または挿入することによって提供されてもよい。微小移植片120を含有する例示的なマトリクス210は、成長が起こった後、移植片200において組織の連続層またはほぼ連続層を形成するために、収集された微小移植片120の成長を促進するために栄養素に曝露されてもよい。
図2Bに示すように、マトリクス210および微小移植片120を含み得る、例示的な移植片200は、レシピエント部位220(例えば清浄な創傷領域)の上に直接置かれ得る。例示的な微小移植片120はまた、本明細書に記載されるように、幹細胞を含んでもよく、その幹細胞もまた、レシピエント部位220に移植される場合、治癒および例示的な微小移植片120の融合を促進し得る。レシピエント部位220は、栄養素を提供でき、および/または収集された微小移植片120の血管再建を促進でき、それによりさらに、微小移植片120を分離する空間を最終的に満たすためにマトリクス210を介してそれらの成長を向上させることができる。例えば、
図2Bは、周囲マトリクス210内で成長し始めた後の微小移植片120を示す。
【0044】
本開示の1つの例示的な実施形態において、微小移植片120は、それらがドナー部位100から除去されると、ほぼ同じ間隔(例えば同様の面密度)でマトリクス210に配置されてもよい。この例示的な構成により、微小移植片120が成長し、それらと新しい組織との間の空間を満たした後、ドナー部位100の収集された面積全体とほぼ同じサイズであり得る量の移植組織を生成できる。マトリクス210内の微小移植片120の平均間隔はまた、収集されたドナー部位100の面積全体より大きい移植組織を形成するために増加させてもよい。特定の移植片200における微小移植片120の特定の間隔は、例えばドナー部位100のサイズおよび損傷の割合、皮膚移植片200により被覆されるレシピエント部位220のサイズ、微小移植片120が再成長し、連続組織層を生成する時間、移植されたレシピエント部位の望ましい外観などの要因に基づいて選択され得る。例えば、例示的な微小移植片120は、特定の移植片と離れて間隔を空けられてもよく、これにより、より大きな移植面積を提供できるが、また、より長い治癒時間を必要とし得、治癒した移植片200において一部の目に見える瘢痕化または質感が起こり得る可能性もある。
【0045】
本開示のさらなる例示的な実施形態において、
図3Cに示すように、組織部分320が、細長く、狭い帯状形状で収集されてもよい。1つ以上の例示的な組織片320は、表皮組織130および真皮組織140の両方を含んでもよく、これは
図1Cにおける微小移植片120と同様である。例えば、例示的な組織片320の高さは、約3mmまたはドナー部位100における真皮層の局所深さに対応し得る別の長さであってもよい。より深いおよび/またはより短い真皮層の深さもまた、例えばドナー部位およびレシピエント部位、移植により修復される創傷の特性に基づいて組織片320を収集する場合、選択されてもよい。
【0046】
例えば
図3Aに示すように、このような例示的な組織片320を収集することにより、ドナー領域100において長く、狭い溝310を残すことができる。溝310の幅(およびそれによる収集された組織片320の幅)は、約1mm未満、または約0.5mm未満であり得る。特定の例示的な実施形態において、このような組織片の幅は、約0.3mmまたは約0.2mm未満であってもよい。本明細書に記載するように、このような小さい寸法は、移植組織に対する栄養素の拡散輸送を促進でき、収集された組織の生存を向上させ得る。皮膚表面から溝310の深さは、収集された片320の高さに対応し得る。
【0047】
組織片320から取り除かれる例示的なドナー部位310の表面積の割合は、約70%未満、または約50%未満であり得る。収集される細長い組織片320に関連するパラメータの選択に影響を与える要因(例えばドナー部位から取り除かれる幅および面積の割合)は、実質的に円筒形の微小移植片120に関して上に記載したものと同様であってもよい。収集される片320の長さは、例えば、薄い組織片320の切断、除去、および治療の容易さ、ドナー部位100の部位などの要因に基づいて選択され得る。
図3Bに示すように、ドナー部位に形成される細長い溝310もまた、少しの側部寸法および局所的な組織再生を支持できる隣接する健康な組織の存在のために、目に見える瘢痕化を有さず、またはほとんど有さずに迅速に治癒できる。
【0048】
収集された片320は、例えば
図2に示すマトリクス210と同様の生体適合マトリクスに配置され得る。組織片320は、例えば取り除かれるドナー部位の溝310の構成に対応する、ほぼ平行な構成で配置されてもよい。片320間の間隔は、代替として、所望されるように、ドナー部位100の溝310の間隔と比べて増加または減少させてもよく、例えばそれぞれ移植組織の全体のより大きな面積またはより高密度に充填された移植組織を提供できる。このような収集された組織片320は、特定の移植処置に使用されてもよい。なぜなら、大きな寸法は、血管再建を促進でき、組織片320から形成された移植片の治癒を向上させ得る収集された皮膚組織において構造を保存できるからである。
【0049】
収集される組織部分は、タイルパターンまたはフラクタル様形状を含む、他の形状のドナー部位から除去されてもよい。一般に、各々の除去された組織片(および例えばドナー部位における各々の対応する穴または空隙)は、約1mm未満、または0.5mm未満の少なくとも1つの小さな寸法を有し得る。特定の例示的な実施形態において、この小さな寸法は約0.3mm、または約0.2mm未満であり得る。
【0050】
本開示のさらなる例示的な実施形態において、収集された組織部分は、高密度の構成でレシピエント部位に配置され得る。例えば、
図4Aは、例えば、例示的な微小移植片120の隣接するものは少なくとも部分的に互いに直接接触する、例示的な高密度の配置で集められ得る複数の実質的に円筒形の微小移植片120の概略的な上面図を示す。
図4Bは、
図4Aに示す微小移植片120の概略的な側面図を示す。この例示的な高密度の構成は、収集されるドナー部位100の面積全体より小さい移植片を提供できるが、より迅速に治癒する傾向があり得、間隔を空けて収集される組織部分120、320を用いて形成される移植片より目に見える瘢痕化を生じる可能性が低い。同様に収集された組織の例示的な構成は、例えば
図3Cなどに示すような組織片320を用いて形成されもよい。
【0051】
例示的な生体適合マトリクス210は、機械的安定性を提供し、および/または収集された微小移植片200を支持し、ならびに/あるいは組織再生を促進できるように構造化された1つ以上の材料を用いて形成されてもよい。マトリクス210を形成するために使用され得る材料の例としては、ポリ乳酸(PLA)、コラーゲン(例えばコラーゲンスポンジ)、低融点アガロース(LMA)、ヒアルロン酸(例えばヒアルラノン(hyaluranon))、または失活動物もしくは死体の皮膚が挙げられ得る。マトリクス210は、例えばドナー皮膚組織の一部を数回、凍結し、解凍することによって作製され得る、例えば同種皮膚から形成され得る。例えば、約7回の凍結/解凍サイクルが、マトリクス210として使用するためにドナー部位における細胞を効果的に殺傷するために実施されてもよい。凍結し、解凍した組織は、次いで、死細胞、残渣などを除去するために洗浄剤または他の組成物により洗浄され得る。
【0052】
本開示のさらなる例示的な実施形態において、生きているドナー皮膚組織試料は、マトリクス材料210を形成するために放射線で処理され得る。例えば、ドナー皮膚組織は、細胞をインタクトなままにし得る、致死量のx線、例えばガンマ線で処理され得る。従って、ドナーマトリクス材料における細胞は、乾燥前の放射線曝露後、特定の時間、例えば48〜72時間、生きたままであり得る。寿命の短い細胞を含むこのようなマトリクス210は、移植された微小移植片120の成長を最初に支持できるが、次いで、微小移植片120の成長および/または生存に対する反対の顕著な相互作用、例えば自己免疫反応が起こる前に死滅する。代替として、生存可能な微小移植片120によるこのような放射線照射マトリクス210の移植は、微小移植片120とマトリクス210との間の自己免疫反応を回避するために、放射線照射後、十分な時間、例えば72時間またはそれ以上、遅延させてもよい。マトリクス210はまた、例えば細胞を洗浄剤および酸性/塩基性溶液で引き離すことによってドナー皮膚から作製されてもよい。このようなマトリクスまたは足場を作製するための例示的なプロトコルは、例えば、Alsbergら,Proc Natl Acad Sci USA.2002年9月17日;99(19):12025−12030に記載されている。
【0053】
本開示のさらなる例示的な実施形態において、本明細書に記載するようにマトリクス材料の少しの部分が、柱の一部がマトリクス材料から形成されることを除いて、
図4Aおよび4Bに示すものと同様の構成で微小移植片120と混合され得る。微小移植片120およびマトリクス柱は、例えば接着剤、光化学結合剤などを用いて接着されてもよい。微小移植片120およびマトリクス材料の部分の相対的サイズおよび数は、特定の割合の微小移植片材料を有する合成物を生成するために変更されてもよい。
【0054】
栄養素または他の添加物もまた、組織再生をさらに促進するためにマトリクス210に提供されてもよい。そのような添加物には、例えば、1つ以上の成長因子、幹細胞が含まれる。このような成長因子の例としては、限定されないが、移植片の血管新生を向上または促進させ得る、血管内皮成長因子(VEGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、形質転換成長因子ベータ(TGF−β)、および線維芽細胞成長因子(FGF)が挙げられる。表皮成長因子(EGF)およびケラチノサイト成長因子もまた、使用されてもよく、ケラチノサイトおよび線維芽細胞などの特定の皮膚細胞の動員および分化を増加できる。多血小板結晶(これは、例えば市販のシステムを用いて患者独自の血液から作製され得る)もまた、特定の成長因子を提供するために使用されてもよい。このような血漿は、外因性成長因子より作製するのに大きな労力を必要とし得るが、天然の創傷治癒環境により近くなり得る。このような成長因子は、マトリクスが液体形態のままである適切な温度にて、マトリクス210、例えばLMA/コラーゲンミックスに導入され得る。LMA/コラーゲンマトリクスは次いで、加熱したLMAと混合する前に、コラーゲン溶液のpH値を調整することによって形成され得る。マトリクス210の凝固のために、例えば、混合物は、約4℃まで冷却する前に、約37℃の温度にて約20分間、保存され得る。
【0055】
幹細胞源には、例えば、脂肪組織由来の幹細胞および/または骨髄由来の間充織幹細胞が含まれる。皮膚組織から得たまたは収集された微小移植片はまた、毛包由来の幹細胞を含んでもよい。このような幹細胞または他の細胞は、微小移植片の移植前にマトリクスと共に細胞を培養することによりマトリクスに導入されてもよい。低レベルの光線療法(LLLT)もまた、微小移植片の成長および生存を促進するために使用されてもよい。例えば、組織の治癒および/または成長をさらに促進するために組織収集および移植組織の配置後に、赤または近赤外光がドナー部位および/またはレシピエント部位を照射するために使用されてもよい。
【0056】
成長因子および/または他の添加物が、例えば微小移植片をマトリクス材料に移植する前に成長因子を含有する溶液にマトリクス材料を浸すことによってマトリクスに導入されてもよい。成長因子はまた、例えば、時間と共にマトリクス内のリザーバから成長因子を直接移動させるか、またはポンプで移動させることによって、あるいは成長因子を、マトリクスに導入され得る生分解性ポリマーに包埋することによって、制御放出機構を用いて時間と共にそれらをマトリクス内に放出することにより導入されてもよい。特定の成長因子または添加物はまた、時間と共に切断され得る化学結合によりマトリクス材料に結合されてもよく、それによって、マトリクス内に徐々に成長因子を放出する。
【0057】
本開示の特定の例示的な実施形態において、光化学組織結合などの特定の技術が、マトリクス210内の微小移植片120および/または組織片320の機械的安定性を向上させるために使用されてもよい。例えば、光化学組織結合に関する技術は米国特許第7,073,510号に記載されている。この技術は、光線感作物質を組織に適用し、続いて、組織シールを生成するために電磁エネルギーによる照射を含む。Rose Bengalなどの光線感作物質を、例示的な微小片120および/または組織片320を含有するマトリクス210に適用し、続いて、約2分間、緑光をマトリクスに曝露することができる。光化学組織結合は、微小移植片120および/または組織片320のマトリクス210(このマトリクス210は例えばヒアルロン酸またはコラーゲンなどのタンパク質を含み得る)に対するより強力な結合を促進できる重合反応に触媒作用を及ぼし得る。
【0058】
本開示のさらに例示的な実施形態において、マトリクス材料は、微小移植片120と混合され得る液体またはゲル前駆体形態で提供され得る。次いでマトリクス材料は、(例えばレシピエント部位内に微小移植片120およびマトリクス材料の混合物を導入する前または後のいずれかに)凝固またはゲル化され得る。マトリクス210を形成するためのマトリクス材料の凝固は、使用されるマトリクス材料に基づいた種々の手順を用いて達成され得る。例えば、コラーゲンゲル(
図16に示したもの)は、低温にて液体形態で提供されてもよく、約37℃まで温度を上昇することによって凝固されてもよい。他のマトリクス210は、化学的架橋結合機構により凝固され得るポリマーを用いて形成されてもよい。このような機構は、例えば、温度、光(光組織結合と同様)、pHの変化などによって活性化、触媒化および/または開始され得る。
【0059】
微小移植片120が、最初に液体形態であるマトリクス210に提供される場合、マトリクス210内の微小移植片120の配向はいくつかの方法で設定および/または維持され得る。例えば、液体が多い材料は微小移植片120の上端または上部(例えば皮膚組織から得られた微小移植片120の表皮面)に適用され得るので、微小移植片120の先端は液体マトリクス材料の表面に対して浮遊する傾向があり、それ故、マトリクス210の上面に対して微小移植片120の上端を配置する。代替として、金属塗料が微小移植片120の上部に適用されてもよく、次いで磁場が、マトリクス材料内に微小移植片120を整列させるために移植片材料に近接して印加されてもよい。このような例示的な整列(配置)手順は、特定の配向を有する微小移植片120を有するマトリクス210を生成するためにマトリクス材料の凝固またはゲル化の前および/または間に実施され得る。代替として、本開示の特定の例示的な実施形態において、微小移植片120は、特定の好適な配向を必要とせずにマトリクス210に提供されてもよい。
【0060】
本開示のなおさらに例示的な実施形態において、
図5Aに示すように、本明細書に記載されるドナー部位100からの例示的な微小移植片120の収集を促進し得る、装置500が提供される。例示的な装置500は、金属または別の構造的に剛性の材料から形成され得る中空の管510を含み得る。例えば、管510は、ステンレス鋼管、生検針、または同様の構造を用いて形成され得る。管510は、ドナー部位組織100を通る管510の移動をさらに促進させるために、潤滑剤または低摩擦材料、例えばテフロン(登録商標)でコーティングされてもよい。
【0061】
管510の内径は、本明細書に記載されるドナー部位から取り除かれる微小移植片120の特定の直径にほぼ対応するように選択され得るかまたは構造化され得る。1つの例示的な実施形態によれば、管510の内径は、約1mm未満であり得る。例えば、18または20ゲージ生検針(例えば、それぞれ0.838mmおよび0.564mmの内径を有する)などが、管510を形成するために使用されてもよい。より大きなゲージ(およびより小さな内径)を有する生検管もまた、使用されてもよい。管との相互作用に基づいて、収集される微小移植片120の幅または直径は、収集するために使用する装置500の内径よりわずかに小さくてもよい。
【0062】
管510の遠位端は複数の先端部を形成するために尖っているようにされ得る。例えば、
図5Aに示すように2つの例示的な先端部または延長部は、管510の長軸に対してある角度で管510の対向する側を研磨することにより形成され得る。
図5Bに示すさらなる例示的な実施形態において、遠位端に設けられる3つの先端部または延長部520を有する管510を含む例示的な装置550が提供されてもよい。この例示的な構成は、例えば管510の長軸に対してある角度で管510の3つの先端部を研磨することにより形成され得、ここで、その3つの先端部は、管510の周囲で約120°の間隔を空けられている。なおさらなる例示的な実施形態において、遠位端に設けられる3つより多い先端部または延長部520を有する管を含む微小移植片を収集するための装置が提供されてもよい(例えば、管510は4、5、6、7または8個の先端部520を有する)。
【0063】
例示的な先端部または延長部510は、ドナー部位100において組織内への装置500、550の挿入を容易にできる。例えば、管510の遠位端の部分を研磨することによって形成され得る、例示的な先端部または延長部520はまた、それらの側部に沿って傾斜した端部を有してもよく、これにより、装置500、550のドナー部位組織内への挿入をさらに容易にできる。例えば、それらの先端において狭い角度を形成する先端部または延長部520が、より大きな先端角度を有する先端部520と比べて、より小さな力を用いて組織内に挿入され得るが、この力は、より広い先端角度で、それにより角度を付けられた先端領域のより短い長さを有する先端で使用されるものより、管510の組織内への完全な挿入を達成するのに、より長い距離および/または時間で適用される必要がある。組織を貫通するのに必要な管510に対する初期の力は、各々の先端部または延長部520の角度が一定に保持される場合、先端部520の数とほぼ比例し得る。管の遠位端により多くの数の先端部、延長部520を提供することにより、管510の機械的安定性および/または切断される組織の形状的制御が改良され得るが、それは、組織を貫通するのにより大きな力を使用し得る。
【0064】
例示的な装置500はまた、管510の外面に設けられるカラーまたは停止部540を備えてもよい。例示的な停止部540は、先端520の端部から特定の距離で管510に添えられてもよいか、またはこの距離は、例えば、管510の軸に沿って停止部540を移動させることによって長さの範囲を調節できるようにしてもよい。
【0065】
図6Aは、例えば停止部540がドナー部位100の表面と接触するまでドナー部位100における組織内へ挿入した後の例示的な装置500を示す。組織600の一部は管510の下部内に存在し得る。この組織部分600の側面は、管510がドナー部位組織100に貫通すると、管510の遠位端および/または先端部もしくは延長部520により周囲組織から切断または切り離され得る。このような組織600は管510内に維持され得、例えば
図6Bに示すように管510がドナー部位100から除去される場合、微小移植片120を形成するためにドナー部位100から分離され得る。このように形成される例示的な微小移植片120は、表皮組織130および真皮組織140の両方を含み得る。
【0066】
例示的な微小移植片120は、例えば
図6Cに示すように管510の近位端における開口620を通して圧力を与えることによって、装置500から取り除かれ得る。このような圧力は、機械的、水圧、空気圧などであってもよい。例えば、圧力は、例えば、開口に風を吹き込むことによって、開口に取り付けられたフレキシブルな球状部を絞ることによって、小さなポンプなどの高圧源から通じるバルブを開口することによって、与えられ得る。代替として、例示的な微小移植片120は、例示的な装置500をドナー部位100の複数の位置に挿入することによって収集されてもよい。次いで管510内の各々の微小移植片120は、いずれかの微小移植片を開口の方へ管510の上に押し得る。一旦、管510が収集された組織で十分に満たされると、例示的な装置500のドナー部位100への各々のさらなる挿入が、近位の開口620から外側へ、管510内の最も上側の微小移植片120を押し出すことを容易にし得る。
【0067】
例示的な装置500は、収集される微小移植片120のほぼ所望の長さに対応する深さまでドナー部位組織100内に挿入され得る。このような距離は、例えば、例示的な装置500に停止部540を適切に配置または調節することによって、決定および/または制御され得る。例えば、例示的な装置500は、
図6Aに示すように、先端部または延長部520が、真皮/脂肪層接合部610における、またはそれらに近接する位置まで延びるように構成または構造化され得る。例えば、微小移植片120は、管510をその軸周囲で回転させずにドナー部位から装置500を取り除くことによってドナー部位100から取り除かれ得る。対照的に、従来の生検針および同様物は、周囲組織から組織試料の除去を促進するために長軸周囲で回転することを必要とし得る。例示的な装置500に設けられた先端部または延長部520は、ドナー部位100における周囲組織から微小移植片120のそのような除去を容易にし得る。
【0068】
本開示の特定の例示的な実施形態において、ドナー部位における組織の一部または全ては、微小移植片120を収集する前に、冷却、凍結、または部分的に凍結され得る。このような凍結は、微小移植片120の切断、除去、操作、および/または生存を促進し得る。ドナー部位組織100は、例えば、冷却スプレー(cryopspray)を適用すること、またはドナー部位100の表面を、適切な期間、冷却した対象物と接触させることなどの従来の冷却技術を用いて冷却または凍結され得る。例示的な装置500はまた、微小移植片120を収集する前に冷却されてもよい。このような冷却および/または凍結は、例えば、微小移植片120が収集および/またはマトリクス210に配置される場合、それらの機械安定性を増加させ得る。
【0069】
例示的な微小移植片120は、種々の技術を用いてマトリクス210内に提供され得る。例えば、個々の微小移植片120は、例えばピンセットなどを用いてマトリクス210の特定の位置に挿入され得る。
図6Bに示すように、収集される微小移植片120を含む例示的な装置500もまた、マトリクス210の位置に挿入され得、マトリクス210内に微小移植片120を押すために、圧力が近位の開口620に付与され得る。次いで例示的な装置500がマトリクス210から除去されてもよく、その手順はマトリクス210内に複数の微小移植片120を配置するために反復されてもよい。近位の開口620は、微小移植片120が装置500内にさらに押し上げられることを防ぐために、装置500がマトリクス210内に挿入されている間、被覆されてもよい。例えば、微小移植片120が管510内でさらに押し上げられることを防ぎ得る非圧縮性の体積を提供するために、管510の上部は、流体、例えば水または生理食塩水で満たされてもよい。このような流体はまた、近位の開口620に圧力を付与することにより、例示的な装置500からの微小移植片120の除去を容易にし得る。
【0070】
本開示のさらなる例示的な実施形態において、
図7に示すように、例示的な装置700が提供され得る。装置700は、例えば、基部710に添えられるか、または機械的に結合される複数の管510を含んでもよい。管510は、種々の構成、例えば直線配置で、または基部710に沿った種々の2次元パターンのいずれか1つで提供されてもよい。例示的な装置700に提供される管510の数は、例えば、少なくとも6個の管510、約10個より多い管510、または約20個より多い管510であってもよい。例えば、装置700は、約3個の管510、少なくとも6個の管510の直線配置、または約12個の管510、例えば矩形の3×4配置(アレイ)または2×6配置(アレイ)を含んでもよい。管510のより大きな配置(アレイ)もまた、本開示のさらなる例示的な実施形態において提供され得る。管510の間隔は、ドナーおよび/またはレシピエント部位において認識可能なパターンの形成を回避するために、いくらか不均一または変化されてもよい。多くの微小移植片120をより迅速に収集および/または移植するために多くの管510が好適であり得る。しかしながら、多くの管510はまた、管510を組織またはマトリクス内に同時に挿入するのに使用される大きな力に対応し得、これは力が非常に大きくなる場合、望ましくない場合がある。また、装置700の機械的複雑性が、多くの管510により増加し得る。
【0071】
導管720が管510の近位の開口620と連通して提供され得る。導管720はまた、例えば圧力源730と連通して提供されてもよい。例えば、圧力源730はポンプまたは変形可能な球状物などを含んでもよい。圧力源730は、例えば、導管720と連通するフレキシブルな膜を含んでもよく、その膜が変形すると、高圧が導管720内に与えられてもよい。このような構成は、本明細書に記載される管510内に収集され得る微小移植片120を除去および/または挿入するために近位の開口620に圧力を付与することを容易にし得る。
【0072】
振動構成740が必要に応じて装置700に提供されてもよい。微小移植片120を収集または配置するために組織またはマトリクス材料内への管510の挿入を促進するために、振動構成740は基部710および/または管510に機械的に結合され得る。振動構成740は、約50〜500μm、または約100〜200μmの範囲の振動の振幅を有してもよい。誘導される振動の周波数は、約10Hz〜約10kHz、または約500Hz〜約2kHz、またはさらに約1kHzであってもよい。特定の振動パラメータは、例えば、例示的な装置700における管510のサイズ、平均間隔、および材料、管510の数、ならびに/または処理される組織に基づいて選択されてもよい。振動構成740は、振動の振幅および/または周波数を調節するように構成された回路を含んでもよい。
【0073】
例示的な装置700は、管510の1つ以上において複数の微小移植片120を同時に得るために使用され得る。例示的な装置700を用いてそのような微小移植片120を得て、取り除くための例示的な手順は、
図6A〜6Cに示す例示的な装置500を用いて単一の微小移植片120を得るために本明細書に記載した手順と同様であり得る。
【0074】
振動はまた、管510がドナー部位100内に完全に挿入された後に、管510の遠位端に近接する組織を切断するのにも役立ち得る。これは、ドナー部位100から管510内への組織部分の分離および/または抽出を促進できる。これらの組織部分はまた、管510がドナー部位100から引き抜かれる場合、管510内の摩擦により保持され得る。
【0075】
本開示のさらなる例示的な実施形態において、ドナー部位の組織は、例えば、冷却スプレーを適用すること、または組織表面を冷却した対象物と接触させることなどの対流または伝導技術を用いて、管510の挿入前に予め冷却され得る。管510がドナー部位組織100内に挿入される場合、ドナー部位100の冷却は痛覚を減少させることができ、また、組織100をより剛性にすることができ、管510による組織部分(例えば微小移植片120)のより正確な切断を容易にできる。
【0076】
例示的な装置700における管510の位置および間隔は、例えば、得られる微小移植片120の特性、ドナー部位100に対する損傷パターン、および/または本明細書上記の他の要因に基づいて決定され得る。例示的な装置700に提供される管510の数は、種々の要因に基づいて選択され得る。例えば、より多くの数の管510が、より多くの微小移植片120をドナー部位100から同時に収集できるようにするために望まれ得る。そのような例示的な構成は、より効果的な収集プロセスを促進できる。より少ない数の管510は、ドナー部位組織100内に同時に挿入し易くなり得る。さらに、非常に多くの数の管510を有する例示的な装置500は、製造および/または維持することが困難であり得る。
【0077】
収集された組織部分は、管510から生体適合マトリクス材料210内に直接堆積され得る。管510およびその中に含まれる組織部分は、その組織部分を取り除く前に冷却され得る。これは、管510内の組織部分を固くし、それらを操作し易く、かつ配置し易くする。
【0078】
本開示のさらなる例示的な実施形態において、複数の実質的に平行なブレードを含む装置が提供され得る。隣接するブレードの特定の1つの端部は、例えば、隣接するブレード間に狭い矩形の開口を提供するために接続または閉鎖され得る。このような例示的な装置は、例えば、
図3Cに示すような組織片320を形成するために使用され得る。この例示的な装置の間隔、長さ、および他の特徴は、例えば、例示的な装置500、700について本明細書に記載されるものと同様の要因に基づいて選択され得る。
【0079】
本開示のさらなる例示的な実施形態において、本明細書に記載される例示的な方法および装置は、皮膚組織以外の他の組織、例えば、肝臓または心臓などの内臓器官に適用され得る。従って、ドナー部位に対してほとんど損傷を生じずに、かつ、それらの迅速な治癒を促進しながら、レシピエント部位における配置に好適な移植組織を作製しながら、移植片が種々の組織のために形成されてもよい。
【0080】
2つの先端部を含む例示的な装置の遠位端の画像を
図8Aに示す。この例示的な装置は、例えば
図5Aに示した例示的な装置500と同様である。この例示的な装置をさらに回転させた画像を
図8Bに示す。このような例示的な装置は、約1mmの外径および約0.5mmの内径を有する管を用いて形成した。先端部または延長部は、管の軸に対して適切な角度で管の遠位端の2つの対向する側を研磨することにより形成した。
図8Aおよび8Bに示した例示的な装置において使用した角度は約30°であったが、他の角度を使用してもよい。管の傾斜した端部が先端部または延長部の側に沿って見られ得る。これらの先端部の形状は、本明細書により詳細に記載しているように、ドナー部位の組織内への装置の挿入および/またはドナー部位からの微小移植組織の一部の分離を容易にできる。例えば、このような微小移植片は、挿入し、管の軸に沿って管を回転させずにドナー部位から装置を引き抜くことによってドナー部位から分離され、除去され得る。
【0081】
2つの先端部520を含む例示的な管510の遠位端の形状(穴が開いている)は、先端部または延長部520を形成する管510の対向する側部の各々と、管510の長手方向軸との間の角度を表す、角度αにより特徴付けられ得る。管510の遠位端において角度を付けられた側部は各々、例えば、管510の遠位端における傾斜した構造を形成するために、管510の軸に対してこの角度αで削られ得るか、または切断され得る。側部から見て、先端部または延長部520において形成された角度は、従って、
図8Cに示すように、角度2αにより表され得る。例えば、
図8Aおよび8Bに示す約30°の例示的な先端の角度は、約15°の角度αに対応する。
【0082】
さらなる傾斜した表面が必要に応じて、
図8Cに示す角度αにより特徴付けられる主な傾斜に対して垂直な方向で提供されてもよい。この第2の傾角は、
図8Dに示すように、管510の長手方向軸に対して削られ得るか、または切断され得る管510の対向する側部の各々における角度を表す、角度βにより特徴付けられ得る。この第2の斜角は、管510の端部において形成される先端520の鋭角のサイズまたは幅を減少させるために提供されてもよい。
【0083】
図8E、8F、および8Gは、主な斜角αが約6°であり得る、管510の例示的な傾斜した端部を示す。例えば、
図8Eにおいて形成される第2の斜角は存在せず、先端部または延長部520は、管510の壁の厚さと等しい長さを有する平らな切断端部を有する。
図8Fおよび8Gは、第2の斜角に対応する角度βがまた、6°である、第2の斜角を含む。第2の斜角は、先端部または延長部520の先端において短い平らな切断端部を提供する
図8Fに示す例示的な先端領域において比較的浅い。第2の斜角は、
図8Gに示す例示的な先端領域においてより深く、先端部または延長部520の先端は、組織への貫通をより容易に促進できる鋭い先端部を形成する。
【0084】
図8H、8I、および8Jは、
図8E〜8Gに示すものと同様である管510の例示的な傾斜した端部を示すが、主な斜角αは12°である。
図8Hにおいて第2の斜角は存在せず、
図8Iにおいて示す狭い第2の斜角は約6°の角度βを有し、
図8Jにおいて示す深い第2の斜角は再び、例えば約6°の角度βを有する。
【0085】
上記および
図8A〜8Fに示す種々の形状および先端部520は、例えば本明細書に記載される種々の装置および方法に関して、本開示の例示的な実施形態のいずれかにおいて使用され得る。例えば、中空の管510には、約15°未満、例えば約12°の斜角αが設けられる。このような鋭い先端の角度は、生体組織またはマトリクス材料を容易に貫通できる先端部または延長部520の鋭い先端を提供できる。
図8E〜8Gに示すような、より狭い先端の角度α、例えば約6°は、密度が濃いかまたは強固な組織またはマトリクス材料内で微小移植片を収集および/または移植するのに好適であり得、先端部または延長部520の狭い先端は、管510が挿入される場合、組織またはマトリクス材料をより容易に切断するように構成され得る。
図8F、8G、8I、および8Jに示す先端部または延長部520の例示的な先端などの角度βを有する第2の斜角は、より小さく、より鋭い先端部または延長部520の先端を提供することによって、管510の遠位端の種々の材料内への挿入をさらに容易にできる。しかしながら、より鋭い、および/またはより狭い先端部または延長部520の先端、例えば、小さい先端角度αおよび/または角度βを有する第2の斜角を有するものはまた、管510が組織またはマトリクス内に繰り返し挿入される場合、擦り切れ、曲がり、または他の変形をする傾向がより多くなり得る。従って、特定の用途について選択される先端の形状は、材料または組織の種類、使用される装置および管510の望ましい寿命に基づいて選択され得る。
【0086】
図9は、
図8A〜8Bに示す例示的な装置を用いて生体外の皮膚組織のドナー部位から得られた複数の微小移植片の例示的な画像を示す。微小移植片は、細長く、実質的に同様の形状であるが、形状の詳細はいくらか不規則であり得る。これらの微小移植片の上部は表皮組織を含み、これらの微小移植片の下部はドナー部位から取り除かれた真皮組織を含む。これらの微小移植片の幅は、それらを収集するために使用した
図8A〜8Bに示す管510の内径よりわずかに小さい。
【0087】
図9に示す微小移植片は、管が収集された組織で満たされるまで、例示的な装置をドナー部位に複数回、挿入することによって装置から取り除いた。次いでドナー部位組織内に装置を各々連続して挿入することにより、最も上側の微小移植片が管の近位端から押し出され、それを個々に分析のために回収した。このような微小移植片はまた、本明細書に記載されるように管の遠位端からそれを放出するように、微小移植片を含む管の近位端に圧力を付与することにより取り除かれてもよい。
【0088】
本開示のなおさらなる例示的な実施形態において、
図10Aに示すように、ドナー部位100から例示的な微小移植片120の収集を容易にでき、必要に応じて、それらを、本明細書以下に記載するように、生体適合マトリクス210に配置する、装置1000が提供され得る。例示的な装置1000は、本明細書に記載されるように、
図5Aおよび5Bに示した中空の管510と同様であり得る、遠位端において複数の先端部1020を含み得る中空の管1010を含み得る。
【0089】
本開示の1つの例示的な実施形態において、管1010には2つの先端部1020が設けられ得、先端部1020は、鋭角、例えば管1010の長手方向軸に対して約6°にて中空の管1010の遠位端の反対側を研磨することによって形成され得る。このような鋭い先端の角度、例えば約12°未満は、小さな微小移植片120を取り除くために生体組織を貫通および切断するのに特に効果的であり得る。2つの先端部1020が設けられるこのような管は、組織または別の材料を貫通するための同様の直径の単一の先端部の針と関連するほぼ2倍の力を使用できる。
【0090】
例えば、
図19Aは、組織層からの収集針の装置の挿入および引き抜きまたは引っ張りの例示的な順序を示す。例示的な針の装置は、
図5Aに示した中空の先が尖った管510と同様であり得るか、または
図10Aに示した例示的な先の尖った管1010と同様であり得る。時間の関数として組織に対する針の位置のプロットを、挿入および引き抜きの順序を実施するために、(例えば長手方向軸に沿って)例示的な針に付与される対応する力のプロットと一緒に
図19Bに示す。
図19Bに示したデータを得るために使用した針は、
図8C、8Dおよび8Fに示した例示的な針の形状と同様の、6°の先端の斜角αおよび6°の側部の斜角βを有する25ゲージの管から形成した。
【0091】
図19Bのグラフに与えるように、針は、約6秒で組織層を通して迅速に挿入でき、約1秒間、そこに保持でき、次いで、約0.8秒の時間で組織層の外側の位置まで安定に引っ張ることができる。組織内への挿入後、特定の深さに針を維持するのに必要とされる力、および組織層の外側の位置に針をもたらした後の針における残りの力の見かけの遅延が存在し得る。25ゲージの管を用いて形成した針の挿入および引っ張りの間、針上で観測した最大および最小の力はそれぞれ約−0.2Nと0.2Nであった。針を組織内および組織外に動かす間の遅延および針上で得られた力は、少なくとも部分的に、針が挿入および引っ張られる場合の組織の変形および/または針が組織に対して移動した場合の組織の針に対する付着から生じる。
図19Bにプロットした順序の開始と終わりに見られる小さな力は、一部の摩擦成分および/または付着した成分を検出する垂直荷重と関連しているようである。
【0092】
本開示の1つの例示的な実施形態において、管1010は、約0.51mmの例示的な外径および約0.31mmの内径を有する25ゲージの薄壁の針を用いて形成した。この例示的な針のサイズは、約0.2mmの幅または直径を有する微小移植片120を収集するために使用され得る。管1010は、好ましくは生体適合であり、生体組織に対して不活性である任意の十分に強い材料、例えば304ステンレス鋼、手術用ステンレス鋼などから形成され得る。材料強度を増加させる電解研磨などのさらなる仕上げプロセスが管1010に適用されてもよい。そのような仕上げプロセスは、切断の有効性を増加させ得、および/または針1010の有効な耐用期間を向上させ得る。
【0093】
管1010は基板1030に摺動可能に取り付けられてもよく、
図10Aに示すように、管1010は、基板1030に設けられる穴を通して移動する。基板1030に対する管1010の位置は、例えば実質的に管1010の長手方向軸に沿って基板1030に対して管1010を制御可能に移動させ得る構成を配置することによって制御され得る。このように、管1010の遠位端が基板1030の下部の表面を通して突出する距離は制御可能に変更されてもよい。
【0094】
例示的な装置1000はさらに、管1010の中心の空洞または開口内にピン1040を備える。ピン1040の直径は、管1010の内径と実質的に同じであり得るか、またはそれよりわずかに小さいので、管1010の内腔の大部分または全てを満たすか、塞ぎながら、ピン1040は管1010の軸に沿って移動できる。ピン1040は、低摩擦材料から形成され得るか、または例えば、管1010内のピン1040の動きを容易にするためおよび/またはピン1040に対する生体材料の蓄積または付着を防止するためにテフロン(登録商標)などの低摩擦材料でコーティングされ得る。ピン1040の遠位端は、そのピン1040が移動する場合、管1010内の微小移植片120の移動を容易にするために実質的に平らであり得る。
【0095】
本開示の例示的な実施形態において、管1010は、約0.51mmの例示的な外径および約0.31mmの内径を有する、25ゲージの薄壁の針を用いて形成され得る。この例示的な針のサイズは、約0.2mmの幅または直径を有する微小移植片120を収集するために使用され得る。このサイズの管1010と共に使用され得るピン1040は、約0.24mmの外径を有し得る。管1010の内径とピン1040の直径との差は、管1010内のピン1040の動きを容易にできるが、ピンは、管1010の内部から微小移植片120を押し出すのに十分広い。管1010および/またはピン1040は、好ましくは、生体適合性であり、生体組織に対して不活性である、任意の十分に強い材料、例えば304ステンレス鋼、手術用ステンレス鋼などから形成され得る。
【0096】
例えば管1010の長手方向軸に実質的に沿って管1010に対してピン1040を制御可能に移動できるさらなる位置決め構成がピン1040に設けられてもよい。このように、ピン1040の遠位端に対する管1010の遠位端の位置は制御可能に変更されてもよい。例えば、基板1030の下方表面に対する管1010およびピン1040の両方の遠位端の位置は好ましくは、制御可能かつ独立して選択され、変更されてもよい。
【0097】
本明細書に記載した管1010およびピン1040の例示的な図を
図10Bに示し、これは、管1010に対して配置されたピン1040を示し、それらの遠位端は実質的に整列されている。ピン1040および/または管1010の部分には必要に応じて、それらの間および/または成分と生体組織との間の摩擦を減少させるためにコーティングまたは表面処理が提供されてもよい。使用され得る例示的なコーティングとしては、プラスチックまたはポリマー、例えばナイロンまたはポリエチレン、研磨した金属合金などが挙げられる。
【0098】
ドナー部位100から例示的な微小移植片120の収集を促進し、必要に応じてそれらを生体適合マトリクス210に配置するために使用され得る例示的な装置1100の概略図を
図11に示す。装置1100は、
図10Aに示すように、管1010、ピン1040、および基板1030を含み得る。プレート1110または他の支持構造が基板1030に固定されてもよく、または必要に応じて単一単位のコンポーネントとして基板1030に設けられてもよい。
【0099】
第1のアクチュエータ1120が、プレート1110に取り付けられてもよく、第1の接続アーム1125などを用いて機械的に管1010に結合されてもよい。同様に、第2のアクチュエータ1130が、プレート1110に取り付けられてもよく、第2の接続アーム1135などを用いて機械的にピン1040に結合されてもよい。第1のアクチュエータ1120および第2のアクチュエータ1130は、従来の線形アクチュエータなどであり得る。このようなアクチュエータ1120、1130は、適切な制御装置を備えてもよく、プレート1110(および基板1130)に対する接続アーム1125、1135の位置は、制御可能に配置され、独立して変更されてもよい。例えば、アクチュエータ1120、1130の移動の線形範囲は、例えば皮膚組織の微小移植片を収集し、本明細書以下に示すように、それらをマトリクスに配置するための装置1100の多くの典型的な使用に関して約2cm未満であり得る。
【0100】
図11に示した装置1100の例示的な概略構造において、アクチュエータ1120の移動または配置範囲は、管1010の遠位端が、基板1030の下方表面より上に上昇でき、遠位端が基板1030の下方表面の下約1〜2cmの最大距離まで突出するように下降できるように選択され得る。同様に、アクチュエータ1130の配置範囲は、ピン1040の遠位端が、約1〜2cmの距離まで管1010の遠位端より上に上昇でき、ピン1040の遠位端が、実質的に管1010の遠位端と整列(例えば先端部1020の先端と整列)するように下降できるように選択され得る。アクチュエータ1120、1130の移動範囲はまた、例えば収集されるドナー組織が比較的厚い場合、これらの例示的な距離より大きくてもよい。代替として、これらの移動範囲は、微小移植片が、薄い層から収集され、必要に応じて薄いマトリクスに配置される場合、いくらか小さくてもよい。
【0101】
本開示の実施形態に従って、ドナー部位100から微小移植片120を収集し、それをマトリクス210に配置するための例示的な順序を
図12A〜12Eに示す。最初の状態のように、ドナー部位の表面は、洗浄され、滅菌され、削られ、および/または他に準備され得、
図12Aに示すように、マトリクス材料210の一部またはシートがその上に配置され得る。管1010およびピン1040の遠位端は、それぞれのアクチュエータ(図示せず)により整列され得、マトリクス210の上方表面に近接して配置され得る。管1010およびピン1040は、それらの遠位端が、マトリクス210の厚さを貫通または通過できるように移動され得、
図12Bに示すようにドナー部位100の表面に近接して配置される。管1010およびピン1040は、それらがマトリクス210を通るとき、粘性があり、柔軟で、弾性などの少量のマトリクス材料を押しのけることができる。
【0102】
次いで管1010はドナー部位100の組織内に貫通するように下方に移動され得るが、ピン1040の位置はドナー部位100に対して実質的に固定して保持され得るので、その遠位端は、
図12Cに示すように、ドナー部位100の表面の近位に配置されたままになる。管1010の遠位端は、管1010がドナー部位を貫通すると、ドナー部位において周囲組織から組織の一部を切断できるので、ドナー部位100由来の組織の一部は、管1010の内腔の遠位端内に位置し得る。
【0103】
ドナー部位100への管1010の貫通の深さは、
図11に示すように、管のアクチュエータ1120により制御され得る。管1010は、その遠位端がドナー部位組織内の特定の深さに位置されるように移動できる。例えば、ドナー部位が皮膚組織である場合、管1010の遠位端は、真皮層の下端に近接するように、例えば
図12Cに示すように、下層の脂肪組織内にわずかに貫通するように延ばされ得る。
【0104】
次いで
図12Dに示すように、管1010の遠位端が、ドナー部位100の表面に近接するか、またはわずかにそれを上回るまで、管1010およびピン1040は、それらが、それらの相対位置を実質的に維持するように、同時に持ち上げられ得るか、または引き抜かれ得る。微小移植片120として使用され得る、管1010によってドナー部位100から切断された組織の一部はまた、管1010の遠位端内に保持され得るので、管1010がドナー部位100から引き抜かれると、管1010はドナー部位100から持ち上げられるか、または取り除かれる。収集される組織が皮膚組織である場合、管1010が皮下脂肪層の少なくとも上面を最初に貫通する場合、ドナー部位からの微小移植片120の除去は、容易になされ得る。微小移植片120の下端は、真皮組織より隣接する脂肪組織からより容易に引き離され得るか、または引き剥がされ得る。
【0105】
図12Dに示すように、ドナー部位100から一緒に管1010およびピン1040を引き抜き、微小移植片120をマトリクス材料210の層内に配置できる。例えば、管1010およびピン1040は、管1010の遠位端がマトリクス材料210の下方表面に近接して、またはマトリクス材料210内に配置されるように、実質的に同時に持ち上げられ得る。次いで管1010は、
図12Eに示すように、マトリクス210に対して実質的に固定されたピン1040の位置を保持しながら、マトリクス210からさらに引込められてもよい。この例示的な手順は、管1010が微小移植片120周囲から引き抜かれると、ピン1040を用いて実質的にマトリクス210の材料内の微小移植片120の配置を容易にする。このように、微小移植片120は、マトリクス210内に配置され得、そこに保持され得るのに対して、管1010およびピン1040は、ドナー部位100およびマトリクス210から完全に取り除かれる。
【0106】
図11に示した例示的な装置および
図12A〜12Dに示し、本明細書に記載した組織を収集する順序は、移植または自己移植処置におけるそれらの使用を容易にするために、ドナー部位から微小移植片120を収集し、それらをマトリクス210に配置するためのいくつかの利点を与える。例えば、微小移植片120は、汚染、生物学的ストレスなどの機会を減少させるために、外気(または別の中間環境)に曝露されずにマトリクス120内に配置され得る。種々の貫通深さは、収集される微小移植片の所望の深さ、使用されるマトリクス材料210の厚さなどに基づいて選択または調節され得る。それらの小さなサイズおよび/または軟らかい組織の一貫性のために取り扱うことが困難であり得る、微小移植片120は、それらがドナー部位にあるときと実質的に同じ方向でマトリクス210に配置され得る。
【0107】
存在する場合、
図11に示した基板1030は、装置1100がマトリクス材料210の層上に配置される場合、マトリクス210およびドナー部位100の表面に機械的安定性を提供できる。存在する場合、基板1030をマトリクス210および/またはドナー部位100に配置することにより、微小移植片120が収集されている間、マトリクス210およびドナー部位100の組織の動きおよび/または変形を防止できる。
【0108】
本開示のさらなる例示的な実施形態において、基板1310は、
図13Bに示すように、複数の片(ストリップ)または薄板(スラット)1315を含み得、それらの間に細長い開口を有する。
図13Bに示した黒いドットは、黒色のドナー部位から収集した微小移植片であり、この図に示したレシピエント部位に移植される。ドナーおよびレシピエント部位の両方は、自己移植を生じる、ブタの皮膚組織であった。基板1030は、組織100を安定化させるために上記のようにドナー組織100上に配置され得るのに対して、収集管510、1010は、薄板1315の間の組織100内に挿入され得る。基板1310はまた、例えば、ドナー組織100の領域から管510、1010の繰り返しの挿入および引き抜きのために、ドナー組織に対する管510、1010の配置を容易にするために使用され得る。基板1030はまた、楕円形、三角形、四角形、または他の形状、あるいはそれらの組み合わせを有する複数の開口などの開口の他の幾何学的形状および構成で提供されてもよい。
【0109】
本開示のさらなる例示的な実施形態において、
図13に示すように、基板1030は、機械的安定性を提供し、ドナー部位100の組織の動きを減少させるためにドナー部位100の表面上に直接配置され得る。基板1030には、貫通する1つ以上の穴1310が設けられ得る。例えば、上記および
図12A〜12Eに示したように、1つ以上の管1010が、ドナー部位から微小移植片120を切断し、抽出するために穴1310を通過するように構成され得る。
図13Aに示すように、マトリクス210は基板1030の上部に提供され得る。必要に応じて、包帯材料1320などが、マトリクス210をさらに安定化させ、および/またはマトリクス210の取り扱いを容易にするためにマトリクス210の上面に配置され得る。
図13Aに示すように、基板1030がマトリクス210とドナー部位との間に提供される場合、
図12A〜Eの順序で示した管1010およびピン1030の移動距離または高さは、微小移植片120がドナー部位100から収集され、基板1030の上のマトリクス210に配置されるように適切に制御され得る。
【0110】
本開示のさらなる例示的な実施形態において、
図14に示すように、2つの基板1400、1410が、さらなる安定化を提供するために使用され得る。貫通する1つ以上の穴1420を有する下方の基板1410は、
図13Aに示した基板1030と同様に、ドナー部位100の表面に提供され得る。マトリクス210は下方の基板1410の上に提供され得る。上方の基板1400は、マトリクス210または存在する場合、包帯材料1320の上に提供され得る。このような上方の基板1400には、下方の基板1410に提供される穴1420に対応し得る、および/またはそれらと整列し得る、貫通する1つ以上の穴1425が設けられ得る。これらの整列された穴1420、1425は、ドナー部位100およびマトリクス210の両方に機械的安定性を提供しながら、マトリクス210およびドナー部位組織100内および外への管1010の移動を容易にし得る。下方の基板1410および上方の基板1400におけるこのような整列された穴1420、1425はまた、管1010が穴1420、1425を通して垂直に移動される場合、さらなる機械的安定性および1つ以上の管1010の改良された配列を提供できる。
【0111】
本開示のなおさらなる例示的な実施形態において、
図14に示すように、1つまたは両方の基板の周囲に近接して、障壁1430、例えば側壁などが、下方の基板1410と上方の基板1400との間に提供され得る。下方の基板1410、上方の基板1400、および障壁1430は、マトリクス210周囲の囲いを一緒に形成し得る。この例示的な構成は、例えば、マトリクス210が粘性または容易に変形する材料から形成される場合、マトリクス210の封じ込めを容易にし得る。従って、
図14に示した本開示の例示的な実施形態は、機械的剛性または安定性がない可能性のマトリクス210内への微小移植片120の配置を容易にし得る。
図14に示した例示的な実施形態は、本明細書に記載される本開示の他の種々の実施形態と共に使用されてもよい。
【0112】
例示的な装置1100は、ドナー部位100から複数の微小移植片120を収集し、必要に応じてそれらをマトリクス210に配置するために使用され得る。例えば、基板1030には、貫通している複数の間隔を空けた穴が設けられる。
図11に示したプレート1110、または管1010およびピン1040を支持する装置1100の別の部分は、基板1030上で移動するように構成または構造化され得るので、管1010およびピン1040は、基板1030内の複数の穴に配置され得る。このような移動は、例えば基板1030の特定の表面領域にわたって一次元(例えば直線的)または二次元であってもよい。この例示的な方法において、基板1030および例示的な装置1100を、ドナー部位100に対して単一の位置に維持しながら、複数の微小移植片120が、ドナー部位100から収集され得、例えば基板1030内の複数の穴に近接するマトリクス210の複数の位置に配置され得る。
【0113】
本開示のさらに例示的な実施形態において、
図11に示した装置1100には、複数の管1010およびピン1040が提供され得る。管1010の全ては、単一の第1のアクチュエータ1120を用いて一緒に移動可能であるか、または管1010の特定の1つは、複数の第1のアクチュエータ1120および適切な第1の接続アーム1125を用いて同時および/または連続して移動可能である。同様に、複数のピン1040は、単一の第2のアクチュエータ1130を用いて一緒に移動可能であるか、またはピン1040の特定の1つは、複数の第2のアクチュエータ1130および適切な第2の接続アーム1135を用いて同時および/または連続して移動可能である。通常、管1010の各々の移動は、その関連したピン1040(すなわち、特定の管1010の内腔に提供されたピン1040)と協動することが好適であり得る。この例示的な方法において、管1010と関連したピン1040の各々の組み合わせは、
図12A〜12Eに示した例示的な収集および移植の順序を実施するように制御され得る。
【0114】
本明細書に記載した1つ以上の微小移植片120を含むマトリクスは、適切に修復される損傷した組織のレシピエント部位の上に配置され得る移植材料として使用され得る。通常、この移植材料は、マトリクス210に提供される複数の微小移植片120を含む。マトリクス210内の微小移植片120の間隔は、微小移植片が、マトリクス120内およびマトリクス120内を介して成長するのを促進するように選択され得、最終的に、損傷した領域の十分な被覆および/または修復が提供される。微小移植片120は、均一のパター、ランダム、または任意の他の所望の空間的構成においてマトリクス210内に配置され得る。本開示の特定の例示的な実施形態において、移植される微小移植片120の密度または間隔は、マトリクス210の異なる領域において変化されてもよい。例えば、微小移植片120のより高い密度および/またはより狭い間隔は、移植片の末梢一体化および/または血管再建を向上させるためにマトリクス210の端部のより近くで提供され得る。滅菌包帯などが、移植材料が組織の損傷した領域に配置された後に、その移植材料の上に配置され得る。そのような包帯は、取扱いを容易にし、移植材料のレシピエント部位への配置を容易にするために移植材料に付着され得る。
【0115】
本開示のさらなる例示的な実施形態において、収集された微小移植片120は、例えば実質的にレシピエント部位における組織全体に直接導入または移植され得る。例えば、微小移植片120は、メラニン細胞を含み得るドナー部位100から収集され得、十分なメラニン細胞を欠くレシピエント部位における組織に直接挿入され得る。このような例示的な処置は、例えば白斑または類似の状態を治療するために、皮膚組織を再色素化するために使用され得る。レシピエント部位100における組織はまた、本明細書に記載されるように、微小移植片120の挿入前に、凍結または部分的に凍結されてもよい。
【0116】
微小移植片120をレシピエント部位1510に移植するための例示的な装置1500を
図15A〜15Eに示す。装置1500は、
図10Aに示した装置と同様に、中空の管1010の遠位端において複数の先端部1020を含み得る中空の管1010と、管1010の中心の空洞または開口に提供されるピン1040とを含み得る。例示的な装置1500は、
図15に示すように、管1010の周囲に提供され得る中空の穴の開いた針1520をさらに含み得、管1010は、穴の開いた針1520内で進みおよび/または後退し得る。穴の開いた針1520は、生体組織に穴を開け、貫通するように構成された単一の先端部1525を含み得る。穴の開いた針1520は手動で制御されてもよいか、または例えば
図11に示した例示的な装置1100におけるアクチュエータ1120、1130と同様のアクチュエータを用いて制御されてもよい。
【0117】
本開示の例示的な方法において、管1010およびピン1040は、例えば
図12A〜Dに示した例示的な収集順序を用いて組織微小移植片120を収集するために使用され得る。管1010およびピン1040がドナー部位100から完全に引き抜かれた場合、微小移植片120は管1010に保持され得る。管1010およびピン1040は、穴の開いた管1520内に位置し得るので、
図15Aに示すように、管1010の遠位端は穴の開いた針1520内にある。
【0118】
次いで穴の開いた針1520は、レシピエント部位1510内に進入することができ、穴の開いた針1520の先端部1525は、
図15Bに示すように、レシピエント部位1510において組織の一部を分離する。微小移植片120と一緒に、管1010およびピン1040は、穴の開いた針1520と一緒に前方に進入し得るので、微小移植片120を含む管1010の遠位端は、
図15Bに示すように、レシピエント部位1510の表面の下または表面に近接して位置する。穴の開いた針1520は、レシピエント部位1510に対して実質的に固定して管1010を保持しながら、レシピエント部位から引き抜かれ得るので、微小移植片120を含む管1010の遠位端は、
図15Cに示すように、レシピエント部位1510の分離された組織内に位置する。
【0119】
次いで管1010は、レシピエント部位1510に対して実質的に固定してピン1040を保持しながら、レシピエント部位1510から引き抜かれ得るので、
図15Dに示すように、管1010が引き抜かれる場合、微小移植片120はレシピエント部位1510の分離された組織内に存在したままである。レシピエント部位1510から装置1500を除去すると、
図15Eに示すように、微小移植片120は既知の方向においてレシピエント部位1510内に存在したままになり得る。
【0120】
このような直接注入は、例えば、脱色素化されたレシピエント部位220内に直接メラニンを含む微小移植片120を移植することによって白斑を処置するための組織の正常化のために使用され得る。例示的な微小移植片120はまた、
図15A〜5Eに示す例示的な方法および装置を用いて、健康なドナー部位100から収集され得、瘢痕における健康な組織の成長を促進するために瘢痕組織を含むレシピエント部位1510に直接配置され得る。本開示のさらなる例示的な実施形態において、組織部分は、これらの組織部分を取り除くことによってレシピエント部位1510に形成される穴に微小移植片120を配置する前にレシピエント部位1510から除去され得る。穴は、そこに挿入される微小移植片120のサイズとほぼ同じサイズであり得るか、またはそれよりわずかに大きなサイズであってもよい。穴は、例えば、アブレーションレーザなどを用いて組織を除去または切除することによって、例えば、本明細書に記載される1つ以上の管510を用いてレシピエント部位に形成され得る。
【0121】
図15A〜15Dに示した例示的な方法および装置は、皮膚以外の種々の組織、例えば筋肉組織、臓器組織などの間または中の移植を含む、種々の処置のために使用され得る。異なる組織を含む「ハイブリッド」または異種移植片もまた、本明細書に記載される例示的な方法および装置を用いて生成され得る。例えば、第1の組織種を有するドナー部位由来の微小移植片120が、ドナー部位における第2の組織種に配置されてもよい。このような例示的な移植処置は、多くの異なる用途に使用され得る。例えば、内分泌器官由来の微小移植片120は、皮膚を含むドナー部位1510に配置され得る。例えば、膵臓組織の微小移植片は、インスリン分泌を提供するために皮膚組織に配置され得る。別の例として、平滑筋組織は消化管に導入され得る。他の機能的組織から得られた微小移植片120は、異なる特徴を有するドナー部位に配置され得る。
【0122】
本開示の特定の例示的な実施形態において、穴の開いた針1520は、先の尖った先端部1525を有さずに管510、1010の少なくとも一部の周囲に提供され得る。穴の開いた針1520の遠位端は、平らであってもよく、例えば、遠位端の外側は、必要に応じて、広くなってもよいか、またはフランジを付けられてもよい。このような穴の開いた針1520は、管510、1010のためのガイドおよび/または支持として機能し得、管がドナー組織部位内に挿入され、そこから引き抜かれる場合、管510、1010の曲がり、歪み、破損などを低減し得るか、または防ぎ得る。それはまた、組織における管1010および/またはピン1040(存在する場合)の挿入深さの制御を容易にできる。
【0123】
本開示のさらなる例示的な実施形態において、例えば、管510、1010の近位端に接続される、本明細書に記載される管510、1010の内腔と連通する導管が提供され得る。このような導管は、
図7に示した導管と同様に構成され得る。導管はまた、低および/または高圧源、例えば真空構成および/または加圧ガスもしくは液体源と連通して提供され得る。例えば、ピン1040の直径は、管1010の内腔の直径よりわずかに小さくサイズ決めされてもよい。このような構成は、ガスなどの流体が、ピン1040周囲の管1010の内腔を通過することを促進でき、さらに、管1010の内腔を通して圧力差を伝播できる。導管から管1010の内腔までの低圧の制御可能な適用は、周囲組織から微小移植片120の分離を容易にできる。同様に、導管から管1010の内腔への高圧の適用は、微小移植片の収集後、管1010から微小移植片の除去または排出を容易にできる。
【0124】
本開示のさらなる例示的な実施形態において、例えば、流体の一部が管1010とピン1040との間に存在するように、流体は、
図5Aおよび5Bに示した管510または
図10Aに示した管1010内に提供され得る。流体は、ピン1040と管1010との間の摩擦を減少させ得る。流体はまた、管1010が複数の組織微小移植片120を収集するために使用される場合、管1010の遠位端に近接する生体組織の集合または蓄積を減少または防止し得る。流体はまた、管1010内の微小移植片120の保持および/または例えば、
図6A〜6C、12A〜12E、および/または15A〜15Dに示した例示的な微小移植片操作順序の適切な工程の間、低圧もしくは高圧で流体を提供することによって、管から微小移植片110の放出を容易にできる。例えば、流体は、ドナー部位の組織1510における、または本明細書に記載されるマトリクス210における微小移植片120の配置の精度を向上させ得る。収集された微小移植片120を配置するこのような精度は、例えば、微小移植片120が収集後に成長し得る場合、嚢胞の形成または他の望ましくない結果を減少または防止し得る。
【0125】
このような流体は、例えば、
図7に示した導管720と同様に、管100の近位端と連通して提供され得る導管などを通して提供され得る。代替として、流体は、管1010の側部に形成される開口などを通して提供され得る。
図15に示した例示的な装置1500に提供されるような穴の開いた針1520が使用される場合、流体はまた、もしくは代替的に、穴の開いた針1520と管1010との間に提供され得る。
【0126】
使用され得る例示的な流体は、生体適合性であり、生体組織などに対して不活性である。そのような流体は好ましくは、組織100、1510と接触してもいかなる副作用も生じない。例えば、流体は、生理食塩水、グリセロールなどを含んでもよい。それは、緩衝化されてもよく、1つ以上の追加の成分、例えば、抗凝固剤、抗菌剤、凝固剤などを含んでもよい。1つ以上の成長因子もまた、微小移植片120をマトリクス120に移植する前またはレシピエント部位220に直接移植する前に、微小移植片120をこのような成長因子に曝露するためにこの流体に添加されてもよく、それにより、微小移植片120の生存能力を高めることができる。
【0127】
本明細書に記載される例示的な収集および/またはマトリクス移植処置の制御を改良するために、力センサ、光センサ、および/または位置センサが必要に応じて、アクチュエータ1120、1130および/または管510、1010および/またはピン1040と連通して提供されてもよい。例えば、このようなセンサは、微小移植片120の組織および/またはサイズの特定の層を収集および/または移植するのに役立つように、管101および/またはピン1040の貫通深さおよび/または貫通抵抗を検出するために使用され得る。
【0128】
管510、1010内の微小移植片の存在を検出するためのセンサもまた提供されてもよい。このようなセンサは、例えば、管510、1010内の電気抵抗または抵抗の変化を検出するように構成される管510、1010に提供される小電流源を含んでもよい。例えば、小電流が(例えば電極構成において)針510、1010に流れる場合、検出される抵抗は、針510、1010が空であるかどうか、または微小移植片120がそこに存在しているかどうかを示し得る。代替として、レーザファイバーおよび光検出器が、微小移植片120が存在するか否かを示す、散乱光の変化を光学的に検出するために針内に提供されてもよい。
【0129】
例えば、複数のこのような微小移植片がドナー部位100および/またはレシピエント部位1510の2次元走査または横断で処理される場合、このような微小移植片センサは、管510、1010により収集および/または移植された実際の微小移植片の数または割合を決定するために使用され得る。比較的少数の「失った」微小移植片は特定の処置において許容可能であるのに対して、多数の割合の「失った」微小移植片は、例えば、針510、1010を取り替える必要があること、移植材料が生存していないか、もしくは受容されていないこと、および/または処置が反復もしくは継続されなければならないことを示し得る。検出された「失った」微小移植片がドナー部位100に局在している場合、これは、組織が特定の領域において構造的に異なり得ること、例えばモルまたは小さな瘢痕がドナー部位100に存在し得ることを示し得る。
【0130】
ブタの皮膚から収集され、コラーゲンゲルに配置された微小移植片の例示的な画像のセットを
図16に示す。微小移植片の表皮部分は、これらの画像において微小移植片の下端のより暗い領域である。12時間という短い時間でさえ(
図16の左から2番目の画像)、暗い微小移植片周囲の明るい領域によって示されるように、微小移植片から周囲ゲルマトリクスに遊走している生細胞が観察され得る。この遊走は、微小移植片をコラーゲンゲルに配置してから72時間継続して観察され(
図16の最も右側の画像)、本開示の例示的な実施形態に従って、収集され、マトリクスに配置された微小移植片が、長時間生存することができ、生存可能な移植材料を提供できることを示す。
【0131】
本開示のさらなる例示的な実施形態において、微小移植片120は、マトリクスを有さない清浄された創傷領域220に移植され得る。例えば、
図17は、ヌード(無毛)マウスにおいて生成された創傷の治癒を示す一連の例示的な画像を示し、ここで、ブラックマウスの皮膚から得られた微小移植片は創傷領域に移植され、次いで創傷は治癒され得る。約6週間後、創傷は、十分に治癒しているように見え、黒い髪の一部の房が観察できる。ヌードレシピエント部位におけるこれらの黒い髪の房は、微小移植片の少なくとも一部が治癒プロセスの間に生存し、機能的な毛包がヌードレシピエントに首尾よく移植されたことを示唆している。
【0132】
図18Aは、全層皮膚組織(表皮および皮下脂肪層の下方の真皮)の実質的に正方形の領域を手術により除去することによってブタ被験体に形成される例示的な創傷を示す。この創傷のサイズは約1.5cm×1.5cmである。微小移植片は、本明細書に記載した例示的な実施形態に係る、
図5Aに示した装置500と同様の装置を用いて、ブタ被験体のドナー部位から収集した。微小移植片は、1つのこのような創傷に(マトリクスを用いず)直接移植した。2番目の同様の創傷もまた、被験体において生成し、微小移植片を移植せずに治癒できた。
【0133】
図18Bの上側の列は、微小移植片が移植されている
図18Aに示した創傷についての4週間にわたる治癒発達を示す一連の例示的な画像を示す。
図18Bの下側の列は、微小移植片を有さない創傷についての4週間にわたる治癒発達の例示的な画像を示す。観察された創傷縮小の量は、創傷部位に移植された微小移植片を有する創傷において実質的に減少しているように見える。対照的に、微小移植片を有さない創傷は、治癒プロセスの間、より顕著に縮小していように見える。創傷治癒として皮膚組織の縮小は通常、望ましくない。例えば、関節周囲の皮膚の縮小は、関節の動作の範囲を低下させ得、また、関節が曲げられるかまたは伸ばされる場合、痛みを伴い得る。いくつかの場合において、関節は実質的にまたは完全に固定され得る(例えば、顎関節周囲の重度の組織縮小は、被験体の口の開口を阻み得、流動食を必要とし得る)。従って、本明細書に記載される微小移植片の創傷領域への移植は、創傷治癒の間、組織縮小を減少できるので、このような縮小の有害な副作用を減少または回避する。
【0134】
本明細書に記載される例示的な方法および装置はまた、本明細書に記載される例示的な方法および装置を用いて他の種類の生体組織を収集するために使用されてもよく、皮膚に限定される必要はない。本開示の実施形態は、ドナー部位における損傷の生成を減少または回避しながら、種々の器官または組織種類から小さな組織部分(例えば微小移植片120)の収集を促進できる。収集された組織部分は、種々の移植または培養処理に使用され得る生存組織を提供できる。
【0135】
上述は本開示の原理を単に例示しているだけである。記載された実施形態に対する種々の修飾および変更は、本明細書の教示を考慮して当業者に明らかであろう。本明細書に記載される種々の例示的な実施形態は互いに交換可能に使用されてもよい。従って、当業者は、本明細書に特に記載していないが、本開示の原理を具現化する、多くの技術を考案できるだろう。それ故それらは本開示の精神および範囲内である。本明細書に引用される全ての特許および刊行物はその全体が参照として本明細書に組み込まれる。