特許第6050470号(P6050470)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6050470
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】低周波パルス発生装置
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/36 20060101AFI20161212BHJP
【FI】
   A61N1/36
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-235717(P2015-235717)
(22)【出願日】2015年12月2日
【審査請求日】2015年12月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】510290131
【氏名又は名称】日商平野株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平 野 昌 治
【審査官】 白川 敬寛
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−239622(JP,A)
【文献】 特開昭63−296773(JP,A)
【文献】 特開2015−156887(JP,A)
【文献】 特開2001−198227(JP,A)
【文献】 特開2015−047365(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0066396(US,A1)
【文献】 eye wave始動します!,2015年 4月 1日,URL,http://ameblo.jp/twiggy82/entry-12009014814.html
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/00− 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
低周波発生部、操作部、表示部、及び制御部を有する制御ボックスと、前記制御ボックスに接続されて外部に延びる第1電極パッド対及び第2電極パッド対と、を備え、
前記制御部には、前記操作部のタイマーアップ及びタイマーダウンのスイッチで変更可能な運転タイマーが設けられ、
前記低周波発生部は、
前記第1電極パッド対に通電され、周波数100〜200Hzの1周期を6〜12フェーズに分割し、第1フェーズに正のパルス、第2フェーズに負のパルス、第3フェーズはパルスなし、第4フェーズに負のパルス、第5フェーズ以降はパルスなしで、これを繰り返す第1刺激波と、前記第2電極パッド対に通電され、第1刺激波と同じ周波数で、1周期を6〜12フェーズに分割して第1刺激波と同相とし、第1フェーズにパルスなし、第2フェーズに負のパルス、第3フェーズに正のパルス、第4フェーズに負のパルス、第5フェーズ以降はパルスなしで、これを繰り返す第2刺激波と、を生成し、
前記第1刺激波と前記第2刺激波が、共に継続されるオン状態と、共に休止されるオフ状態からなる0.1〜0.5Hzの低周波とて、前記運転タイマーで指定された時間、前記第1電極パッド対と前記第2電極パッド対に出力されることを特徴とする低周波パルス発生装置。
【請求項2】
前記操作部には、強度アップ及び強度ダウンのスイッチが設けられ、前記第1刺激波と前記第2刺激波の電圧の大きさが変更されることを特徴とする請求項1に記載の低周波パルス発生装置。
【請求項3】
前記制御部が、スタートボタンが押された時刻情報、実際に運転された時間の情報、機器の設定情報、及び機器が正常動作したか異常動作したかの動作情報を近距離の無線通信で近くのパソコンに送信することを特徴とする請求項1に記載の低周波パルス発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低周波パルス発生装置に係り、より詳しくは、目及び目の周辺組織及び顔の筋肉に0.1〜0.5Hzのゆっくりした低周波の刺激を与えることができる低周波パルス発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電極(13A、13B)と電極(14A、14B)を備え、一方の電極(13A、13B)に151Hzの周波数を与え、他方の電極(14A、14B)に151.5Hzの周波数を与え、人体内で2つの波を干渉させ、干渉波0.5Hzを生成することが開示されている。0.5Hzの低周波は、脳をリラックスさせる効果があるとされる。
【0003】
目の疲れをとる美容機器や医療機器では、2秒に1回(0.5Hz)よりさらにゆっくりした例えば10秒に1回(0.1Hz)の刺激波が求められている。その場合、特許文献1の方法によれば、一方の電極に151Hzの周波数の刺激を与え、他方の電極に151.1Hzの周波数の刺激を与え、人体内で干渉させ、0.1Hz(10秒周期)の干渉波を生成することになる。しかしながら、干渉波による方法では、0.1Hzの周期を感じられない場合があるので、干渉波に期待せず機器内で作成することが望まれる。例えば、5秒間は刺激をオンとし、次の5秒間は刺激をオフにすれば、0.1Hzの刺激を明確に感じる。また5秒間の間に出す刺激パルスは、例えば、151Hzでは、1つのパルスの幅が約3msとなるが、3msより短いパルスで構成することが望まれる。これは所定の刺激エネルギーを一定時間内に与える場合、大きな刺激を1回で与えるより、小さな刺激にして複数回で与える方が心地よく感じるからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3129187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、2組の電極パッドを使用し、0.1〜0.5Hzの低周波数の刺激が感じられ、刺激そのものは、高い周波数のパルスで刺激する場合と同様の刺激を得ることができる低周波パルス発生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による低周波パルス発生装置は、低周波発生部、操作部、表示部、及び制御部を有する制御ボックスと、前記制御ボックスに接続されて外部に延びる第1電極パッド対及び第2電極パッド対と、を備え、前記制御部には、前記操作部のタイマーアップ及びタイマーダウンのスイッチで変更可能な運転タイマーが設けられ、前記低周波発生部は、前記第1電極パッド対に通電され、周波数100〜200Hzの1周期を6〜12フェーズに分割し、第1フェーズに正のパルス、第2フェーズに負のパルス、第3フェーズはパルスなし、第4フェーズに負のパルス、第5フェーズ以降はパルスなしで、これを繰り返す第1刺激波と、前記第2電極パッド対に通電され、第1刺激波と同じ周波数で、1周期を6〜12フェーズに分割して第1刺激波と同相とし、第1フェーズにパルスなし、第2フェーズに負のパルス、第3フェーズに正のパルス、第4フェーズに負のパルス、第5フェーズ以降はパルスなしで、これを繰り返す第2刺激波と、を生成し、前記第1刺激波と前記第2刺激波が、共に継続されるオン状態と、共に休止されるオフ状態からなる0.1〜0.5Hzの低周波とて、前記運転タイマーで指定された時間、前記第1電極パッド対と前記第2電極パッド対に出力されることを特徴とする。
【0007】
前記操作部には、強度アップ及び強度ダウンのスイッチが設けられ、前記第1刺激波と前記第2刺激波の電圧の大きさが変更されることを特徴とする。
【0008】
前記制御部が、スタートボタンが押された時刻情報、実際に運転された時間の情報、機器の設定情報、及び機器が正常動作したか異常動作したかの動作情報を近距離の無線通信で近くのパソコンに送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明による低周波パルス発生装置によれば、(1)複数の幅の短いパルスで刺激したので、実施例では複数の0.83msのパルスを3発使用したので、従来のパルスより幅が約3.3ms(151Hz)のものより4倍も短く、長いパルス1回を使用して刺激する場合に比べてやわらかく感じられる。目及び目の周辺組織及び顔層筋をリラックスさせるのに都合がよい。(2)第1電極パッド対と第2電極パッド対に刺激波を分散して与えたので、1つの電極に刺激が集中することを防止できる。(3)第1電極パッド対と第2電極パッド対の正のパルスは、電流が顔の左から右へ次に右から左へと交互に流れるので、目及び目の周辺組織及び顔層筋を均一に刺激できる。(4)負のパルスは、第1電極パッド対と第2電極パッド対で同じ時刻に発せられるので、2つの波が大きな刺激となる。(5)第1刺激波と第2刺激波を全体に0.1〜0.5Hzの低周波数に載せて出力したので、例えば、0.1Hzとすれば、10秒に1回の刺激であり、デューティを設定してオン状態を6.5秒、オフ状態を3.5秒などとすれば、刺激のオン状態とオフ状態を明確に感じることができる。
【0010】
パルスは、電圧が操作部から設定され、刺激が強い場合は弱くし、刺激が弱い場合は強くできる。皮膚の刺激に敏感な人かどうかに合わせて設定できる。
【0011】
近距離の無線通信を行なう制御部を設けたので、スタートボタンが押された時刻情報、実際に運転された時間の情報、機器の設定情報、及び機器が正常動作したか異常動作したかの動作情報を、近くのパソコン等に送ることができる。パソコンでいつどのような刺激を加えたかの情報が蓄積できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明による低周波パルス発生装置の構成図である。
図2図1の制御ボックスの表面に設けられた操作部を示す図である。
図3】電極パッドの装着例を示す図である。図3(A)は、2つの電極パッド(A、B’)を顔の一方側(右)に、他の2つの電極パッド(B、A’)を顔の他方側(左)に装着する場合を示す。図3(B)は、2つの電極パッド(A、B)を顔の一方側(左)に、他の2つの電極パッド(B’、A’)を顔の他方側(左)に装着する場合を示す。
図4】電極パッドを顔に装着した時、刺激電流の流れる方向を示す説明図である。図4(A)の(a)〜(c)は、(a)が第1電極パッド対A、A’に、AからA’の向きに電流が流れるようにパルスを印加した場合、(b)は第2電極パッド対B、B’に、BからB’の向きに電流が流れるようにパルスを印加した場合、(c)は、A’からAの向きに電流が流れるようにパルスを印加し、B’からBの向きに電流が流れるようにパルスを印加した場合である。図4(B)の(a)〜(c)は、(a)が第1電極パッド対A、A’に、AからA’の向きに電流が流れるようにパルスを印加した場合、(b)は第2電極パッド対B、B’に、BからB’の向きに電流が流れるようにパルスを印加した場合、(c)は、A’からAの向きに電流が流れるようにパルスを印加し、B’からBの向きに電流が流れるようにパルスを印加した場合である。
図5】電極パッドの駆動回路で、(a)は第1電極パッド対A、A’側の回路、(b)は第2電極パッド対B、B’側の回路である。
図6】第1刺激波と第2刺激波の各波形である。
図7】第1刺激波と第2刺激波が低周波数(0.1Hz)で電極パッドに印加されることを示す説明図である。
図8】制御部のフローチャートである。
図9】目の構造を示す説明図である。(a)は遠くを見る場合、(b)は近くを見る場合を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明による低周波パルス発生装置を説明する。
【実施例】
【0014】
図1は、本発明による低周波パルス発生装置100の構成図である。低周波パルス発生装置100は、AC100Vの電源で動作し、制御ボックス30は、操作部31、制御部32、表示部33と低周波発生部34が設けられる。外部に向かって第1電極パッド対20と第2電極パッド対21が延びる。第1電極パッド対20は、電極パッドA、A’からなる。第2電極パッド対21は、第電極パッドB、B’からなる。制御ボックス30は、これに限られるものではないが、縦が350mm、横が250mm、高さが80mmの箱型である。
【0015】
図2は、図1の制御ボックス30の表面に設けられた操作部31を示す図である。操作部31は、各種の操作スイッチからなる。モード選択31aはモードA、B、Cのどのモードにするかを選択する。選択した結果は、表示部33のモードを示す領域に表示される。自動モード31bは、モードA〜Cをすべて選択し、A〜Cの複数モードを自動的に切り替えて使用する。選択した結果は、表示部33のモードを示す領域に表示される。通常はモードAを使用する。モードB、Cは、刺激の少ない周波数からなり、数分間の準備運転に使用され、使用者に不安を与えないようにするためのものである。なお、図示しないが、操作部31にはランプが設けられ、正常なら白のランプが点灯し、故障なら赤のランプが点灯することもできる。電極パッドに流れた電流をモニターし、AD変換して蓄積し、これを無線LANでルーターに送り、近くに設置されたパソコンで参照できる。これによれば、低周波パルス発生装置をどのように設定した時が、リラックスできるかの統計を取るのに役立つ。その人にあった設定が可能になる。もちろん故障の詳細情報をパソコンに送り、どの部位が故障しているかの分析なども可能である。
【0016】
タイマーアップ31cとタイマーダウン31dは、運転時間をアップダウンさせて、最大40分の範囲内で設定するスイッチである。通常は20〜30分に設定される。強度アップ31eと強度ダウン31fは、刺激波の電圧を変更するスイッチである。アジャスト31gは、すべてのモードの刺激の強さを変更するスイッチである。強さの指定は3段階を設けた。スタート/ストップ31hは、第1電極パッド対20と第2電極パッド対21を顔に装着した後、これを押すことで運転が開始されるスイッチで、2回目の押下では運転が停止される。なお、制御ボックス30には、電源コード1とパワーオンスイッチ2が設けられる。
【0017】
図3は、電極パッドの装着例を示す図である。図3(A)は、2つの電極パッド(A、B’)を顔の一方側(右)に、他の2つの電極パッド(B、A’)を顔の他方側(左)に装着する場合を示す。第1電極パッド対A、A’を結ぶ線と、第2電極パッド対B、B’を結ぶ線が、顔の中央付近で交差するように配置される。図3(B)は、2つの電極パッド(A、B)を顔の一方側(左)に、他の2つの電極パッド(B’、A’)を顔の他方側(左)に装着する場合を示す。この場合も同様に、第1電極パッド対A、A’を結ぶ線と、第2電極パッド対B、B’を結ぶ線が、顔の中央付近で交差するように配置される。電極パッドは、どちらの形態で装着されてもよい。なお、図3(B)の場合、図2に示された電極パッドの束ね方は、一方が電極パッド(A、B)に束ねられ、他方が電極パッド(B’、A’)に束ねられる。
【0018】
図4は、電極パッドを顔に装着した時、刺激電流の流れる方向を示す説明図である。図4(A)の(a)〜(c)は、図3(A)に対応しており、(a)が第1電極パッド対A、A’に、AからA’の向きに電流が流れるようにパルスを印加した場合、(b)は第2電極パッド対B、B’に、BからB’の向きに電流が流れるようにパルスを印加した場合、(c)は、A’からAの向きに電流が流れるようにパルスを印加し、B’からBの向きに電流が流れるようにパルスを印加した場合である。図3(A)に対応している。図4(B)の(a)〜(c)は、図3(B)に対応しており、(a)が第1電極パッド対A、A’に、AからA’の向きに電流が流れるようにパルスを印加した場合、(b)は第2電極パッド対B、B’に、BからB’の向きに電流が流れるようにパルスを印加した場合、(c)は、A’からAの向きに電流が流れるようにパルスを印加し、B’からBの向きに電流が流れるようにパルスを印加した場合である。
【0019】
図5は、電極パッドの駆動回路で、(a)は第1電極パッド対A、A’側の回路、(b)は第2電極パッド対B、B’側の回路である。図5(a)に示すように、トランジスタt1をオンとし、トランジスタt4をオンとすれば、点線(AからA’へ向かう線)で示すように電流が流れ、図4(a)が実現できる。トランジスタt3をオンとし、トランジスタt2をオンとすれば、点線(A’からAへ向かう線)で示すように電流が流れ、図4(c)の一方が実現できる。図5(b)に示すように、トランジスタt5をオンとし、トランジスタt8をオンとすれば、点線(B’からBへ向かう線)で示すように電流が流れ、図4(b)が実現できる。トランジスタt7をオンとし、トランジスタt6をオンとすれば、点線(BからB’へ向かう線)で示すように電流が流れ、図4(c)の他方が実現できる。
【0020】
図6は、第1刺激波3と第2刺激波4の各波形である。最初に、第1刺激波3は、電極パッドA、A’に印加される波形である。第1刺激波3は、周波数151Hzの1周期(6.62ms(ミリセカンド:10−3秒))を8フェーズに分割し、第1フェーズに正のパルス、第2フェーズに負のパルス、第3フェーズはパルスなし、第4フェーズに負のパルス、第5〜8フェーズはパルスなしとして、これを繰り返すものである。正のパルスは、電極パッドAに正の電圧が加えられ、電極パッドA’には電流が流れ込むことで実現する。これは図4(a)に示す状態である。負のパルスは、例えば電極パッドA’に正の電圧が加えられ、電極パッドAに電流が流れ込むように印加することで実現する。これは図4(c)に示す状態である。正のパルスは、例えば10V程度で、2つの負のパルスは、少し小さくして8V〜6Vにすることができる。正または負のパルスの幅は0.83msで、周波数でいうと604Hzである。第1刺激波3は、3個の塊を1つの刺激と見なすなら、1秒間に151回の刺激が与えられるものとなる。なお、第1刺激波3は、151Hzを前提に波形を示したが、これに限るものではなく、100〜200Hzの範囲内で変更できる。
【0021】
図6に示すように、第2刺激波4は、電極パッドB、B’に印加される波形である。第2刺激波4は、第1刺激波3と同じ周波数151Hzを使用し、第1刺激波3と同相であり、1周期を8フェーズに分割し、第1フェーズにパルスなし、第2フェーズに負のパルス、第3フェーズに正のパルス、第4フェーズに負のパルス、第5〜8フェーズはパルスなしで、これを繰り返す。正のパルスは、電極パッドBに正の電圧が加えられ、電極パッドB’には電流が流れ込むことで実現する。これは図4(A)(b)と図4(B)(b)に示す状態である。負のパルスは、例えば電極パッドB’に正の電圧が加えられ、電極パッドBに電流が流れ込むように印加することで実現する。正のパルスは、例えば10V程度で、2つの負のパルスは少し小さくして6V〜8Vにできる。図6に示すように、第2刺激波4の正のパルスは、第1刺激波3に対して1/4周期ずれた関係で印加される。そのため、第2刺激波4の正のパルスは、第1刺激波3の正のパルスの時期と重ならない。第2刺激波4の負のパルスは、第1刺激波3の負のパルスの時期と重なる。この場合、図4(c)に示すように、第1刺激波3と第2刺激波4が同時刻に発せられるので、人体内でより強い刺激に感じられる。
【0022】
図6では、周波数151Hzの1周期6.62msを8フェーズに分割したが、6フェーズに分割してもよい。6フェーズに分割した場合、第1フェーズ〜第4フェーズに、図6のようにパルスを割り振ることができて、第5フェーズ以降(第5フェーズと第6フェーズ)にはパルスがない。パルスの幅は0.83mmから1.10msと大きくなる。また、10フェーズに分割することもできる。その場合、第1フェーズ〜第4フェーズに、図6のようにパルスを割り振ることができて、第5フェーズ以降(第5フェーズ〜第10フェーズ)にはパルスがない。パルスの幅は、0.83mmから0.66msと小さくなる。フェーズの分割数は6〜12で選定できる。
【0023】
図7は、第1刺激波3と第2刺激波4が低周波数(0.1Hz)で電極パッドに印加されることを示す説明図である。第1刺激波3と第2刺激波4が、運転タイマーで指定された時間、ここでは25分間、第1電極パッド対20と第2電極パッド対21に出力される。第1刺激波3と第2刺激波4は、刺激波が共に継続されるオン状態5と、刺激波が共に休止されるオフ状態6からなる。図7に示すように、オン状態5を6.5秒とし、オフ状態6を3.5秒とした。この場合、デューティ比は65(%)で、0.1Hzの低周波にできる。周波数は0.1Hzに限らず、0.1〜0.5Hzの範囲に設定できる。0.2Hzの低周波にするのであれば、1周期が5秒なので、デューティ比が65(%)なら、オン状態を3.25秒、オフ状態6を1.75秒にできる。
【0024】
図8は、制御部32のフローチャートである。ステップS1では、まず運転タイマーが設定される。例えば25分がセットされる。なお、オン状態とオフ状態の時間間隔は、オン状態が6.5秒、オフ状態が3.5秒とされ、0.1Hzの低周波に乗せて刺激を与えるよう設定されているものとする。ステップS2は、モードとアジャストが選択される。モードは、自動モードが選択されたとする。第1電極パッド対20と第2電極パッド対21が顔の左右に装着され準備ができると、第1操作部31のスタートが押下される。ステップS3で、スタートが検知されて運転が開始される。ステップ4で自動モードかどうかが判定され、自動モードがであった場合、ステップ5、6で、使用者に不安を与えないよう刺激の弱いBモードとCモードがそれぞれ数分間運転される。その後ステップS7で第1刺激波と第2刺激波を使用した低周波の運転(Aモード、0.1Hz)を25分間行なう。0.1Hzの刺激は、10秒に1回の刺激であり、刺激のある6.5秒間と刺激のない3.5秒間が、25分間繰り返される。25分が経過し運転タイマーが終了すると、ステップS8で検知され運転終了となる。
【0025】
ステップS9ではAモードかどうかが判定され、Aモードの場合、ステップ7に飛んでAモードが実行される。ステップS10でBモードかどうかが判定され、Bモードの場合、ステップ11に飛んでBモードが実行される。25分が経過すると、ステップS12で検知され運転終了となる。ステップS10でBモードでない場合はCモードであるから、ステップ13に飛んでCモードが実行される。25分が経過すると、ステップS14で検知され運転終了となる。
【0026】
制御部32は、近距離の無線通信を行なう。スタートボタンが押された時刻情報、実際に運転された時間の情報、及び機器の設定情報、及び機器が正常動作したか異常動作したかの動作情報を近くのパソコンに送信することができる。パソコンでいつどのような刺激を加えたかの情報が蓄積できる。なお、電波は2.4GHzを使用することができる。
【0027】
図9は、目の構造を示す説明図である。(a)は遠くを見る場合、(b)は近くを見る場合を示す。目の水晶体の厚さを変える調整をするのが、毛様体とよばれる筋肉である。毛様体が縮むと帯が引っ張られ、水晶体が薄くなり、遠くを見ることができる。毛様体が膨らむと帯がゆるみ、水晶体が厚くなり、近くを見ることができる。目に疲れがたまると毛様体が硬直して調整機能が低下する。低周波パルス発生装置によれば、心地よい刺激を毛様体に与えて血行をよくする。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明による低周波パルス発生装置は、目の疲れを取ってリラックスでき、顔全体の筋肉にも働きかけることができるので、美容機器としてもまた医療機器としても好適である。
【符号の説明】
【0029】
1 電源コード
2 パワーオンスイッチ
3 第1刺激波
4 第2刺激波
5 オン状態
6 オフ状態
20 第1電極パッド対
A、A’ 電極パッド
21 第2電極パッド対
B、B’ 電極パッド
30 制御ボックス
31 操作部
31a モード選択
31b 自動モード
31c タイマーアップ
31d タイマーダウン
31e 強度アップ
31f 強度ダウン
31g アジャスト
31h スタート/ストップ
32 制御部
33 表示部
34 低周波発生部
S1〜S14 制御ステップ
100 低周波パルス発生装置
【要約】
【課題】低周波数の刺激が感じられ、高い周波数のパルスで刺激する場合と同様の刺激を得ることができる低周波パルス発生装置を提供する。
【解決手段】周波数100〜200Hzの1周期を6〜12フェーズに分割し、第1フェーズに正のパルス、第2フェーズに負のパルス、第3フェーズはパルスなし、第4フェーズに負のパルス、第5フェーズ以降はパルスなしで、これを繰り返す第1刺激波と、第1刺激波と同じ周波数で、1周期を6〜12フェーズに分割し、同相で、第1フェーズにパルスなし、第2フェーズに負のパルス、第3フェーズに正のパルス、第4フェーズに負のパルス、第5フェーズ以降はパルスなしで、これを繰り返す第2刺激波と、からなり、第1刺激波と第2刺激波が、共にオン状態と共にオフ状態からなる0.1〜0.5Hzの低周波とされ、第1電極パッド対と第2電極パッド対に出力される。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9