(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記折り返し部は、前記尿袋開口端の周上の少なくとも2箇所で、該尿袋開口端の一部を残して、前記折り返し部の長さよりも小さい範囲で、前記尿袋開口端から切り取られており、
前記装着部は、前記折り返し部のうち、切り取られていない部位に配置されている、
ことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の尿袋。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(実施の形態1)
図1(a)に、本発明の実施の形態1に係る尿袋を装着した尿器の断面図を示す。
図1(b)は
図1(a)のAで示す部位の拡大断面図であり、
図1(c)は
図1(b)に示すB−B断面図を示す。なお、
図1(c)は断面のみを示し、それ以外の表示は省略されている。
【0021】
図1(a)において、尿器1は、例えば市販され通常使用されている尿器であり、内部が見えるように、ガラスやプラスチックなどの透明又は半透明な材料で作られている。尿器1は、尿を貯留する尿器本体部10と、尿を尿器本体部10に注入するために、一端で外部に対して開口する尿器開口端12を有し、他端で尿器本体部10に連通する尿器首部11と、尿器1の持ち運びに利用されるために設けられている把手13とを備える。
図1(a)に示す例では、把手13は、その一端が尿器首部11に、他端が尿器本体部10に繋がっているが、両端とも尿器本体部10に繋がっていてもよい。
【0022】
尿袋2は、変形自在なシート状の透明なポリエチレン製シートやビニール製シートなどの防水性樹脂材料で作られた、一端が全て開口した尿袋開口端22を有する袋である。
図2(a)は、尿器1に装着される前の、シート状にたたんだ状態の尿袋2の一例の上面図を示し、
図2(b)は、その正面図を示し、
図2(c)は、その斜視図を示し、
図2(d)は、尿袋開口端22近傍の拡大正面図を示す。
図2(d)は、
図2(b)に示す尿袋の前面部のみを示している。斜視図はたたんだ状態ではなく尿袋開口端22から尿袋2の底部までを円筒状に広げた状態を模式的に示している。なお、
図2(c)に示す尿袋2は、その底面が平面を形成するようなものになっているが、底辺部が溶着され、これを広げたものであっても良い。
【0023】
尿袋2は、尿袋本体部20と、折り返し部21と、尿袋開口端22と、折り返し部21の外表面に取り付けられた装着部23とを備える。装着部23は、折り返し部21を折り返した際に、尿器1の外表面に対向する位置に配置されており、尿器1の外表面に対して着脱可能に接着できる部位である。
図2は装着部23の数が2である場合を示す。
【0024】
折り返し部21は、尿袋2を尿器1内に装着するとき、尿袋開口端22が尿器開口端12から外部に引き出された状態で、尿器首部11にかぶせるように、尿器開口端12で尿器首部11の外表面側に折り返す部位である。従って、尿袋開口端22を含めて、折り返し部21は、装着対象とする尿器1の尿器首部11にかぶせることができるようなサイズを有する。
図1及び
図2に示す折り返し線24は折り返し部21を折り返す目安となる位置を示したものであり、その位置は、厳密に設定されたものである必要はないが、装着部23が折り返し部21の領域に含まれるように設定される。従って、折り返し部21の長さは、装着部23を尿器1のどの部位に接着するかにより決定される。接着する位置は、厳密に決定されるものではないが、おおよその目安となる接着位置が予め決められており、それに従って折り返し部21の長さと装着部23の取り付け位置が決定される。
【0025】
折り返し部21は、尿袋開口端22の周上の少なくとも2箇所で、尿袋開口端22の一部を残して、折り返し部21の長さよりも小さく、予め設定された長さより大きい範囲で、尿袋開口端22から切り取られている。切り取られた部位の境界を切り欠き部25と呼ぶ。装着部23は、折り返し部21の、切り取られた領域の間に残った部位のうち、少なくとも1の部位に取り付けられている。
図2に示す装着部23は、その数が2で、尿袋開口端22の周方向に互いに180度離れた位置に配置されている例である。
【0026】
切り欠き部25は、尿袋2を尿器1に装着するとき、尿袋開口端22を広げて、折り返し部21を尿器首部11に対して折り返し易くするために設けられており、切り取られる領域の尿袋開口端22からの長さは、既に説明したように、折り返しを容易にするために予め製造者により決められた最小の長さ以上で、且つ折り返し部21の長さよりも小さい値に設定されている。切り欠いた部位の形状が矩形状の場合の切り欠き部25は、
図2に示すように尿袋開口端22の周方向と直交する方向、即ち尿袋2の長手方向に切り欠いたものでも良いし、尿袋開口端22の周方向に直交する方向に対して傾斜する方向に切り欠かれたものでも良い。傾斜する方向に切り欠かれている場合も、尿袋開口端22の周方向に対して直交する方向の切り欠部25の長さは、折り返し部21の長さよりも小さい値に設定されている。
【0027】
切り欠き部25は、そのコーナー部も含めて滑らかな形状に形成されていることが望ましい。例えば、
図2(d)に示すように、切り欠き部25のコーナー部250は、楕円形状や円弧形状など、なめらかな形状を有している。切り欠き部25の底部である切り欠き底部251も同様で、急峻な形状、例えばV字状のようなエッジのある形状ではなく、直線や緩やかな曲線などの形状であることが望ましい。尿袋2を尿器1に装着するために尿袋開口端22を広げる際、切り欠き部25のコーナー部250や切り欠き底部251には引っ張り応力が働く。切り欠き部25に応力の集中する部位があると、その部位で尿袋2が破れる恐れが出てくる。引っ張り応力がかかる切り欠き部25の形状を上記のように滑らかな形状にするのは、過度の応力集中が生じる箇所をなくすことにより、尿袋2の破損を防止するためである。
【0028】
装着部23は、尿器首部11の外表面に対して着脱可能な接着性を持つ接着面を有する部位である。装着部23は、折り返し部21の外表面、即ち、折り返し部21を尿器首部11に対して折り返したときに尿器首部11の外表面に対向する面上にあり、隣り合う切り欠き部25の間、即ち切り取られた領域の間に残った部位の少なくとも1の部位に配置されている。即ち、装着部23は、折り返し部21の周方向に沿って、その全周に隙間なく取り付けられてはいない。装着部23が1個の場合も含めて、装着部23がこのように取り付けられていることを以下では離散的に取り付けられていると言う。
【0029】
装着部23は、例えば着脱可能な両面接着テープを折り返し部21に貼り付けて構成したものでも良いし、両面接着テープ表面に塗布されているような着脱可能な接着性を有する接着剤を折返部21の表面に塗布したものでも良い。いずれの場合も、尿袋2を尿器1に装着するまでは装着部23の接着面には容易に剥がすことのできるカバーシートが貼り付けられ、尿器1やその他の周囲のもの等への不用意な接着を防止するように構成されている。
図2では、カバーシートの図示は省略した。尿袋2を尿器1から取り外すときは、尿袋開口端22の近傍を持って、折り返し部21を尿器首部11から引き外す。なお、
図1に示す装着部23はその厚さを強調して示している。
【0030】
図2は、2個の装着部23が、尿袋開口端22の周方向に互いに180度離れて、離散的に、折り返し部21の外表面上に取り付けられた例を示す。尿袋開口端22の周方向の各装着部23の両側には、折り返し部21の、切り取られた部位を含めて、接着性を有さない部位が存在する。
【0031】
図1(a)〜(c)では、尿袋2は、折り返し部21に取り付けられた装着部23を尿器首部11の外表面に着脱可能に接着することにより、尿器1に着脱可能に装着されている。折り返し部21の、尿袋開口端22の周長は、折り返しが可能となるように、尿器首部11の、尿器開口端12の周長よりも大きく設定されているため、
図1(c)に示すように、折り返し部21を尿器開口端12で折り返し、装着部23が尿器首部11の外表面に接着したとき、隣り合う装着部23の間の空間には、折り返し部21の外表面と、尿器開口端12及び尿器首部11の外表面とで構成される空隙部4が連通する。
【0032】
この空隙部4は尿器1の外部と連通している。また、尿器1の中に挿入されている尿袋本体部20の外表面と尿器首部11及び尿器本体部10の内表面との間には、
図1(a)に示すように、空気の存在する空隙部3がある。空隙部3は空隙部4と連通しているため、空隙部3は空隙部4を介して尿器1の外部と連通している。以下ではこの空隙部4を、空隙部3と尿器1の外部とを連通する経路という意味で連通経路4と呼ぶ。すなわち、尿袋2は、折り返し部21の外表面に取り付けられた装着部23を介して尿器首部11の外表面周上に離散的に接着されることにより、尿袋2の折り返し部21の接着されていない外表面の部位とこれに対向する尿器首部11の外表面の部位とで、連通経路4が構成される。
【0033】
尿袋2の使用方法を
図3に示す。使用方法は、前処理ST1と使用ST2と後処理ST3からなる。前処理ST1は、尿袋2を尿器1に装着する装着処理であり、使用ST2は、前処理ST1終了後の尿器1の使用であり、後処理ST3は、使用ST2終了後の、尿袋2を尿器から取り外し廃棄するという取り外し廃棄処理である。
【0034】
前処理ST1では、まず、尿袋2の尿袋本体部20を尿器本体部10に挿入する(ST10)。この時、尿袋2の折り返し部21は尿器1の外に残しておく。次に、尿器1の外に残した折り返し部21を尿器開口端12で尿器首部11の外表面側に折り返す処理を行う(ST11)。具体的には、尿袋開口端22を広げ、折り返し部21を尿袋開口端22から尿器首部11にかぶせるようにして折り返す。次に、装着部23を尿器首部11の外表面に押しつけることにより接着する(ST12)。
図1、2に示す尿袋2では装着部23は、尿袋開口端22の周方向に、互いに180度離れて離散的に配置されているため、装着部23を尿器首部11の外表面に接着すると、折り返し部21の外表面と尿器首部11の外表面とで構成される連通経路4が、自動的に形成される。この処理で尿袋2は尿器1に着脱可能に装着された状態になる。
【0035】
次に、尿器1内に挿入した尿袋本体部20内部の実効拡幅処理を行う(ST13)。この処理は、尿器首部11に挿入されている尿袋本体部20の内部を尿器首部11の内径一杯に広げるための処理である。この処理は、人の手で実行されても良いし、尿器首部11の内径よりも小さな外径の筒状のものを使って実行されても良い。筒状のものを使用する場合は、尿袋2の折り返し部21で、外部に開口した部位から、尿器首部11の内部に、筒状のものを挿入し、尿器首部11の内側に張り出した尿袋本体部20の皺を、尿器首部11の内表面に沿って押し付けて可能な範囲で平担化する。人の手で実行する場合も同様である。この処理により、尿器1に挿入されている尿袋本体部20の、外部に対して開口している実効的な開口サイズが、尿器首部11の長さ方向に沿って拡張される。そのため、排尿の際、尿器首部11の内側に張り出した尿袋本体部20の皺に尿がかかり、尿器1外に尿が漏れるといったトラブルを減少させることができる。なお、ST13の処理は必須ではなく、尿袋2の装着状況に応じて省くこともできる。以上でST1の「前処理」が完了し、尿袋2は尿器1に適切に装着された状態となる。
【0036】
使用ST2では、尿袋2が装着された尿器1が使用される。具体的には、前処理ST1で尿器1に尿袋2が装着された後、使用者は、尿器1を使用するかどうかを判断する(ST20)。使用しないと判断したときは(ST20;NO)ST20に戻り、尿器1は、使用の意思が生じるまで待機状態となる。使用の意思があれば(ST20;YES)使用者は必要に応じて介護者にサポートされながら、尿袋2の装着された尿器開口端12を介して尿袋本体部20に排尿し、排尿された尿は、尿器1に装着された尿袋2の尿袋本体部20内に貯留される(ST21)。尿袋本体部20に尿が貯留されると、使用者又は介護者などの尿器1の管理を行う者は、予め定められた判定基準に従って貯留された尿の廃棄の要否を判定する(ST22)。尿の廃棄は不要と判定すれば(ST22;否)、ST20の尿器1の使用の待機状態に戻る。尿廃棄の判定基準は、例えば貯留された尿の量が尿器に付されたある目盛り若しくは設定された重量を超えたかどうか又は貯留されている期間が予め定めた期間を超えたかどうかなどとすることができる。量と期間の判定基準のうち早いほうの時期を尿の廃棄の最終的な判定基準としても良い。尿器1の管理を行う者は、尿の廃棄が必要と判定すれば(ST22;要)、後処理ST3に移行する。
【0037】
後処理ST3では、尿が貯留されている尿器1をトイレなどの尿の廃棄場所に持って行き、尿器1に装着された尿袋2内に貯留された尿を、尿器開口端12を介して、廃棄場所に廃棄する(ST30)。次に、尿袋2の装着部23を尿器首部11の外表面から取り外す(ST31)。これで、尿袋2は尿器1とは切り離された状態になるので、尿袋2を尿器1から取り外し、廃棄する(ST32)。以上で後処理ST3は完了し、併せて尿袋2の使用も終了する。次に尿袋2を使用するときは、新しい尿袋2についてST1からST3までの処理を繰り返すことになる。なお、尿袋2に貯留された尿の量によっては、ST30をST32の後に持って行き、尿が入ったままの尿袋2を尿器1から取り外し、その後、尿と尿袋2を廃棄してもよい。
【0038】
実施の形態1に係る尿袋2は、これまで説明したように装着部23を尿器首部11の外表面に押しつけて、着脱可能に接着することにより尿器1に装着されるので、尿袋を保持する手段を直接には備えていない通常市販されている尿器に、簡便に着脱可能に装着することができる。
【0039】
尿器1に尿袋2を装着すると、
図1(a)に示すように、尿器首部11及び尿器本体部10のそれぞれの内表面と尿袋本体部20の外表面との間には空隙部3ができ、ここには空気が存在する。
【0040】
尿器1を使用することにより、尿器1に装着された尿袋本体部20には、
図1(a)に示すように、尿が貯留される。尿袋本体部20は、尿の貯留量が増えると、その内容積が増加する。空隙部3に存在する空気は、尿袋本体部20の内容積の増加により圧力を受ける。この空気は、
図1(a)、(b)に示す矢印、及び
図1(c)で示すように、連通経路4を通って尿器1の外に放出される。
【0041】
空気孔のない尿器1において連通経路4が形成されていない場合、例えば尿袋2の折り返し部21を折り返した全周にわたり尿器首部11に接着する場合、若しくは、紐体又は輪ゴムなどで尿器首部11に固定する場合は、尿袋本体部20内の尿の貯留量の増加と共に、行き場のない空隙部3の空気により、尿袋本体部20の外表面には圧縮力が働く。そのため尿袋本体部20の実際に活用できる容量は、本来利用可能な容量よりも減少してしまう。従って、尿器1の容量自体は十分なものであっても、1回の排尿の量を尿袋2に貯留できなくなる恐れが生じる。更に、尿袋2を装着した尿器1を、尿袋2を替えずに複数回使用するような運用の場合には、尿器1の容量自体は所定の回数の排尿量に対して十分であっても、尿袋2には所定の回数に対応する排尿量を貯留することができないという問題が生じることがある。尿器1内の尿を廃棄し、再使用できるようにする作業は、その作業を行う尿器1の管理者(使用者または使用者を介護する介護人など)にとって大きな負担となる。そのため、尿器1を複数回使用した後に尿器1内の尿を廃棄する作業を行うことがあるが、上記の状況は、そのような尿器1の運用に対して大きな制約となる。
【0042】
実施の形態1に係る尿袋2及び
図3に示す尿袋使用方法によれば、尿袋2を尿器1に装着したとき、その尿器1が空気孔を備えていない通常市販されている尿器であっても連通経路4が形成される。そのため、尿袋本体部20への尿の貯留量の増加に伴い、尿袋本体部20の実際に活用できる容量が減少するという問題は発生しない。従って、この尿袋2では、尿袋本体部20の本来利用可能な容量を、装着する尿器の容量の範囲内で有効に活用することができる。これにより、尿袋の交換の頻度を抑えることができる。
【0043】
更に、尿袋2は、着脱可能な装着部23により尿器1に直接装着されているので、貯留された尿をトイレ等に廃棄した後、尿器1から簡単に取り外して廃棄することができる。装着部23を尿器1から簡単に取り外し廃棄することができるということは、その作業の際に、尿袋2の装着や取り外しに伴う付属品の洗浄などの作業が不要であると共に、尿袋2の取り外しの際に起こりうる、尿袋2からの尿の飛散が生じにくいということをも意味する。また、尿袋2を使用していることにより、尿器1の使用後の洗浄は不要である。従って、尿器の再利用に伴う作業を、従来よりも大幅に簡便化することができるという効果が得られる。
【0044】
また、これらの効果は特許文献3に記載されているような空気孔を設けた特殊な尿器ではなく、空気孔を備えていない通常市販されている尿器を使用することによっても得ることができる。そのため、尿器の準備に要する手間、及びそのために必要な費用を省くことができるという点においても効果がある。
【0045】
尿袋2には切り欠き部25が設けられている。この切り欠き部25により、折り返し部21の切り欠いていない部位を、左右に広げることにより、切り欠き部25が無いときと比べて、尿袋開口端22をより大きく広げることができるので、折り返し処理が容易になる。即ち尿器1への尿袋2の装着がより簡便になる。更に、折り返し部21の切り欠いていない部位に装着部23が配置されているので、この切り欠いていない部位を大きく広げて、折り返し部21を尿器首部11側に折り返すことにより、装着部23を尿器首部11の外表面に接着する処理が容易になる。なお、切り欠き部25の切り欠き長さを折り返し部21の折り返し長さよりも小さくするのは、尿器開口端12が折り返し部21で覆われるようにするためである。これにより排尿時に尿器開口端12を含む尿器首部11に尿が付着する恐れを低減することができる。
【0046】
切り欠き部25には、折り返し処理の際に引っ張り力が作用する。既に説明したように、切り欠き部25のコーナー部250がなめらかな形状を有していること及び切り欠き底部251が急峻な形状を有していないことから、尿袋2の尿器1への装着の際に尿袋開口端22を広げるとき、及びこの尿器1の使用時に、切り欠き部25に引っ張り力が作用しても、その引っ張り力は特定の部位に集中しにくくなる。そのため、切り欠き部25の部位から尿袋2が破れるという破損が起こりにくい。
【0047】
<第1から第3の変形例に係る尿袋>
図4(a)〜(c)に、尿袋2の変形例を示す。
図4(a)、(b)に示す、それぞれ第1の変形例及び第2の変形例に係る尿袋2は、これまで説明した
図2に示す尿袋2に対して、尿袋本体部20のうち、尿器本体部10に挿入される部分の幅若しくは周長が折り返し部21の幅若しくは周長よりも大きいものである。
図4(a)又は(b)に示す尿袋2は、矩形のシート2枚を重ねて、その側辺部を、
図4(a)又は(b)に示す形状に沿って溶断すると共に、底辺部も溶断することにより形成できる。
図4(c)に示す第3の変形例に係る尿袋2は、マチ付き袋で構成されている。図示する例は、
図4(b)の尿袋2と類似した形状を有し、尿器本体部10に挿入される尿袋本体部20の幅若しくは周長が折り返し部21の幅若しくは周長よりも大きい例である。これらの尿袋2は、尿器首部11の内径が尿器本体部10の内径に比べて小さいという尿器1の一般的な形状に合わせた形状にしたものである。
図4(b)に示す尿袋2は、底面部の両端のエッジ部を溶断等により斜めにカットした形状であっても良い。
【0048】
これらの尿袋2が、上記と同様に尿器1に装着されるときにも、連通経路4が形成されるので、上記各変形例に係る尿袋2も、これまで説明した効果を奏することができる。更に、
図2に示す尿袋2の場合は、尿器本体部10の容量を有効活用するためには、尿袋2の幅を尿器本体部10の形状に合わせて大きくする必要があるが、
図4(a)〜(c)に示すような尿袋2の場合は、尿器1に装着したとき、尿器本体部10の容量を有効活用できると共に、
図2に示す尿袋2を使用したときに比べて、尿器首部11内の尿袋2の皺が小さくなる。そのため、
図3のステップST13に示す「挿入尿袋本体部内部の実効拡幅処理」の作業が簡略化若しくは省略可能となる。また、尿器首部11内の尿袋2の皺が小さくなることにより、排尿時に尿器1から外部に尿がこぼれ落ちるというトラブルの発生する恐れが低減化する。
【0049】
<第4の変形例に係る尿袋>
第4の変形例に係る尿袋2は、女性用の尿器1に、より装着しやすくしたものである。
図5(a)は、第4の変形例に係る尿袋2を装着した女性用の尿器1の断面図、
図5(b)は、第4の変形例に係る尿袋2の正面図、
図5(c)は、第4の変形例に係る尿袋2の斜視図を示す。
図5(a)は
図1(a)に対応し、
図5(b)は、
図2(b)に対応し、
図5(c)は、
図2(c)に対応したものである。
図5(a)、(b)、(c)に示す部位の符号は、
図1(a)、
図2(b)、(c)に示す部位とその形状が異なっても機能が同じ場合には
図1(a)、
図2(b)、(c)に示す符号と同じにしている。
【0050】
女性用の尿器1は
図5(a)に示すように、尿器首部11が尿器開口端12に近づくにつれて広がっていくような形状を有している。第4の変形例に係る尿袋2は、このような尿器1の形状に対応させたものである。
【0051】
図5(b)、(c)に示す第4の変形例に係る尿袋2では、折り返し部21は尿器開口端12に対して折り返し可能な尿袋開口端22の周長(
図5(b)では幅)と同じ周長を有し、折り返し部21につながる尿袋本体部20は、尿器首部11に対応する長さの近傍までは、折り返し部21から離れるに従って徐々にその周長(
図5(b)では幅)が小さくなり、その後はその周長(
図5(b)では幅)が大きくなっている。装着部23、切り欠き部25については
図2の場合と同じである。なお、第4の変形例に係る尿袋2は、外形は
図5(b)に示す尿袋2と同様なものであって、
図4(c)に示すようなマチ付きの袋にしてもよい。
【0052】
第4の変形例に係る尿袋2の使用方法は、
図3に示す使用方法と同じである。
【0053】
図2に示す尿袋2を
図5(a)に示すような女性用の尿器1に装着することもできる。しかし、その場合は、尿袋開口端22の周長を、尿器開口端12の周長よりも大きくしなければならないので、尿袋2の幅が全体として大きくなる。このような尿袋2を女性用の尿器1に装着すると、尿器首部11の径が小さくなった部位では、尿袋2の幅、即ち周長が大きすぎ、内側に大きな皺となって張り出してきてしまう。
【0054】
これに対して、第4の変形例に係る尿袋2であれば、女性用の尿器1に装着したときに、尿袋2が尿器首部11の内側に皺となって張り出す程度が
図2に示す尿袋2の場合よりも緩和される。そのため、張り出した皺により尿が外部に漏れ出る恐れをより低減することができる。第4の変形例に係る尿袋2は、
図2に示す尿袋2と同様な装着部23と切り欠き部25を備えるので、この尿袋2は、女性用の尿器1に簡便に装着できる。更に、この尿袋2が、女性用の尿器1に、これまで説明したように装着されることにより、連通経路4が形成される。従って、この尿袋2は、
図2に示す尿袋2を尿器1に装着するときと同様に、尿器1に、これまでより簡便に着脱可能に装着でき、且つ尿器1に装着された尿袋2の容量を尿器の容量の範囲内で有効に活用でき、尿器1の再利用に伴う作業がこれまでよりも簡便化されるという効果を奏することができる。
【0055】
これまで、装着部23が、2箇所に、尿袋開口端22の周方向の互いに反対側に離れて折り返し部21の外表面に配置されている例について説明したが、装着部23の配置数は、尿袋開口端22の周方向に少なくとも1箇所、折り返し部21を折り返したとき、尿器首部11の外表面に相対する、切り欠き部25の間の部位に離散的に配置されていればよく、複数配置される場合の周方向の相互の位置関係も任意で良い。
【0056】
尿袋2は、例示した変形例の形状に限らない。尿袋2は、一端が開口した尿袋開口端22を有し、尿袋開口端22を含む折り返し部21と、折り返し部21につながる尿袋本体部20と、折り返し部21の外表面に、尿袋開口端22の周方向に離散的に配置された少なくとも1の装着部とを備えるものであればよく、想定する尿器1の尿器首部11に折り返し可能なものであればその形状は特に制限されない。そのような尿袋2であればこれまで説明したように、連通経路4を形成するように尿器1に簡便に着脱可能に装着することができるので、これまで説明した効果と同様な効果を奏することができる。
【0057】
また、これまで尿袋2には切り欠き部25が2箇所形成されているとして説明したが、これに限定されない。切り欠き部25はなくてもよいし、1箇所又は3箇所以上の切り欠き部25が形成されていてもよい。切り欠き部25がない場合でも、少し時間が長くかかる恐れはあるが、尿袋2の折り返し処理は可能である。切り欠き部25が3箇所以上の場合であっても、それらの切り欠き部25の形状と配置とが、隣り合う切り欠き部25間の少なくとも1の領域に少なくとも1の装着部23を配置する部位を確保できる様なものであれば特段の問題はない。装着部23の数と切り欠き部25の数を揃える必要はない。切り欠き部25を少なくとも2箇所設けることにより、尿袋2の折り返し処理がより容易になり、隣り合う切り欠き部25の間に少なくとも1つの装着部23を配置することにより、折り返し処理の際に、各装着部23を尿器首部11の外表面に接着する作業がより簡便に実行できることになる。
【0058】
これまで説明してきた尿袋2は、切り欠き部25の有無にかかわらず、連通経路4が形成されるため、これまで説明したように、連通経路4に伴う効果を奏することができる。なお、折り返し線24は尿器首部11と尿器開口端12の形状に依存して決まる形状の線であれば良く、例えば、尿袋開口端22に対して傾斜した直線又は曲線であっても良い。
【0059】
装着部23は、尿袋2の折り返し部21の外表面、即ち折り返したときに尿器首部11の外表面に対向する表面に付着しているとしたが、これに限定されない。装着部23のない状態の尿袋2を使用し、折り返し部21を、尿器開口端12で折り返した後、折り返し部21の内表面を、尿器首部11の外表面に対して、少なくとも一箇所で、離散的に、着脱可能に接着してもよい。具体的には、例えば粘着テープを装着部23として、折り返した後の折り返し部21の内表面を、尿袋開口端22を挟んで、粘着テープで尿器首部11の外表面に貼り付けて固定してもよい。このとき、粘着テープは、離散的に貼り付けられているので、切り欠き部25も含めて、尿袋開口端22の一部を尿器首部11の外表面に貼り付けていない。従って、尿袋2は、連通経路4を形成するように尿器1に簡便に着脱可能に装着される。そのため、このような装着方法によっても、尿袋2の容量を尿器1の容量の範囲内で有効に活用でき、尿器1の再利用に伴う作業がこれまでよりも簡便化されるという効果が得られる。
【0060】
これまでの説明では、尿袋2は、装着部23を介して、折り返し部21を尿器首部11の外表面に離散的に接着することにより、尿器1に装着されるとしたが、必ずしもこれに限定されない。尿袋2は、装着部23を介して、折り返し部21を尿器本体部10の外表面又は把手13に離散的に貼り付けることにより、尿器1に装着されてもよい。装着部23を尿器本体部10の外表面に離散的に貼り付けるというケースは尿器1の形状によって生じうる。このような場合であっても、尿器1に尿袋2が装着されると、連通経路4が形成される。また、折り返し部21に装着部23がない場合でも、折り返し部21を折り返した後に、折り返した部位を、尿袋開口端22を挟んで、離散的に、尿器本体部10の外表面又は把手13に粘着テープ等で貼り付けて固定することにより、尿袋2を尿器1に装着してもよい。この場合も、尿袋2は尿器1にこれまでより簡便に着脱可能に装着でき、更に、これまで説明した連通経路4が形成される。従って、尿器1にこのように装着された尿袋2は、その容量を尿器の容量の範囲内で有効に活用でき、尿器の再利用に伴う作業はこれまでよりも簡便化することができる。
【0061】
(実施の形態2)
実施の形態2では、尿器1に着脱可能に取り付けることのできる装着補助具と、取り付けた装着補助具を介して、即ち間接的に、尿器1に着脱可能に装着できる第5の変形例に係る尿袋2について説明する。
【0062】
図6に装着補助具5の例を示す。
図6(a)は装着補助具5の上面図、
図6(b)はその正面図、
図6(c)は尿器1の尿器首部11に取り付けた状態の装着補助具5の斜視図を示す。
図6(c)には、装着補助具5への尿袋2の装着状態もわかるように折り返した状態の尿袋2の折り返し部21の一部を破線で示した。
【0063】
図6(a)、(b)に示す装着補助具5は、図示するY方向の、予め定められた幅を有し、尿器首部11の周方向に巻き回すための、図示するX方向に帯状に伸びる帯部50と、帯部50に取り付けられた帯部装着受け部51と、帯部装着部52と、尿袋装着受け部53と、滑り止め部54とを備える。なお、尿袋装着受け部53は装着補助具5に設置されているものなので、以下では補助装着受け部53と呼ぶ。以下では補助装着受け部53の取り付けられた面を帯部50の上面、その反対側の面を下面と呼ぶ。
【0064】
帯部50は、繊維状の材質、可撓性のある薄手の高分子材料や金属材料など、尿器首部11の周方向に巻き回すことができるものであればどのような材料で作られていても良い。帯部50は尿器首部11の周方向に巻き回して一部重なりができる長さを有し、幅は、通常10〜20mm程度であるが、尿器首部11の周方向に直交する方向の長さ未満であればどのような幅であってもよい。
【0065】
帯部装着受け部51と帯部装着部52とは、相互間で着脱可能に装着性を有するもの、例えば面ファスナーで形成され、例えば、帯部装着受け部51は帯部50の一方の端部近傍の上面に、帯部装着部52は帯部50の他方の端部の近傍の下面に、それぞれ、面ファスナーを接着することにより構成されている。即ち、帯部装着受け部51と帯部装着部52とは、帯部50を尿器首部11に巻き回したときにできる帯部50の重なり部に取り付けられる。
【0066】
補助装着受け部53は、後述する第5の変形例に係る尿袋2の装着部23が着脱可能に装着できる部位で、例えばその表面が面ファスナーで構成されている。面ファスナーの場合の補助装着受け部53は、帯部50の幅と同程度の幅と、帯部50の長さよりも小さく、予め定められた最小長さ以上の長さとを有し、帯部50の長さ方向に少なくとも1箇所設置されている。
図6は、補助装着受け部53が、2箇所設置されている例であり、帯部50を尿器首部11に巻き回したとき、例えば、互いに反対側に配置されるような位置に取り付けられている。
【0067】
滑り止め部54は、尿器首部11の外表面に着脱可能に取り付けられた装着補助具5の取り付け位置の変動を抑えるためのものであり、ゴム、スポンジ等、尿器首部11の外表面に対する摩擦係数が高く弾性を有する材料で形成されている。滑り止め部54は帯部50の下面に少なくとも一箇所設置されているのが好ましいが、必須ではない。帯部50と尿器首部11の外表面との間の摩擦係数が大きく、装着補助具5の取り付け位置の変動を抑えることができれば省かれてもよい。
図6は、滑り止め部54を帯部50の長手方向に2箇所設置した例を示す。
【0068】
この尿器1に使用される尿袋2は、第5の変形例に係る尿袋2である。第5の変形例に係る尿袋2は、実施の形態1で説明したいずれかの尿袋2の装着部23を、装着補助具5の補助装着受け部53との間で、着脱可能な装着性を有するもの、例えば、面ファスナーとしたものである。尿袋開口端22の周方向における装着部23の配置は、装着補助具5を尿器首部11に巻き回して装着したときの補助装着受け部53に対して、実施の形態1で説明したように、離散的に装着可能な位置に配置されている。
【0069】
装着補助具5は、
図6(c)に示すように尿器1の尿器首部11に取り付けられる。具体的には、まず、帯部50の下面を尿器首部11の外表面に対向させ、滑り止め部54を尿器首部11の外表面に強く押し当てるようにして、尿器首部11の周方向に帯部50を巻き回し、尿器首部11の外表面に対して締め付ける。次に、帯部50の帯部装着部52を帯部50の上面に持って行き、帯部50の上面に取り付けられている帯部装着受け部51に押しつける。これにより、帯部装着部52は帯部装着受け部51に着脱可能に付着する。このとき、帯部50は滑り止め部54を介して尿器首部11の外表面に接触しているため、帯部50、即ち装着補助具5に外力が働いたとき、装着補助具5が尿器首部11の外表面上で滑って位置が変動することが抑制される。以上により、装着補助具5は、取り付け場所である尿器首部11での位置が実質的には変化しないように尿器1に取り付けられる。なお、帯部50と帯部装着受け部51と帯部装着部52と滑り止め部54とは、装着補助具5を尿器1に取り付けるためのものであるから、取り付け部と呼ぶことができる。
【0070】
第5の変形例に係る尿袋2は、基本的には
図3のフロー図に示す方法と同様にして尿器1に装着されて使用されるが、前処理ST1において、次の点が異なる。まず、ステップST10に先だって、装着補助具5を、上記のように尿器1に取り付けるための、装着補助具取り付け工程が実行される。ステップST12では第5の変形例に係る尿袋2の折り返し部21は、尿器1に直接装着されるのではなく、装着補助具5に装着されることにより間接的に尿器1に装着される。第5の変形例に係る尿袋2は、装着部23の面ファスナーを、尿器首部11の外表面に取り付けた装着補助具5の補助装着受け部53の面ファスナーに押し当てることにより、装着補助具5に装着される。装着部23は、尿器首部11の外表面の周方向に離散的に付着することになるので、実施の形態1の場合と同様に、第5の変形例に係る尿袋2が尿器1に装着されたとき、連通経路4が形成される。ステップST31では、第5の変形例に係る尿袋2の装着部23は直接尿器1から取り外されるのではなく、装着補助具5から取り外されることにより間接的に尿器1から取り外される。
【0071】
以上の通り、
図6に示す装着補助具5を尿器1に取り付けることにより、第5の変形例に係る尿袋2は、装着補助具5を介して尿器1に、離散的に、且つ簡便に着脱可能に装着でき、その際に、実施の形態1の場合と同様に、連通経路4が形成される。ただし、このときの連通経路4は、その経路の一部が尿器首部11の外表面ではなく、装着補助具5の表面に置き換えられる。このような連通経路4であっても、実施の形態1で説明した連通経路4としての機能を果たしうる。従って、このような装着補助具5と第5の変形例に係る尿袋2とを利用することにより、実施の形態1の場合と同様の効果を奏することができる。なお、第5の変形例に係る尿袋2は、実施の形態1で説明したどのような形状の尿袋2であっても良い。
【0072】
図6に示す装着補助具5は、装着位置での尿器首部11の径が略同じであれば、市販の男性用及び女性用のいずれの尿器1にも着脱可能に容易に取り付けることができる。更に、帯部50の長さが巻き回しに十分な長さを有し、帯部装着受け部51、帯部装着部52、及び補助装着受け部53の長さをより大きくすれば、男性用及び女性用の尿器を含めて、装着補助具5の装着位置における尿器首部11の径が異なっていても、いずれの尿器1にも装着補助具5を装着でき、且つ尿袋2の装着部23を補助装着受け部53に着脱可能に装着できる。なお、補助装着受け部53の長さを大きくする代わりに、尿袋2の開口の周方向における尿袋2の装着部23の長さを大きくしてもよいし、補助装着受け部53及び装着部23の両方の長さを大きくしてもよい。いずれの場合も同様の効果を得ることができる。更に、第5の変形例に係る尿袋2は装着補助具5を介して尿器1に装着されるので、装着補助具5と第5の変形例に係る尿袋2を使用することにより、第5の変形例に係る尿袋2を通常市販されている尿器1に簡便に着脱可能に装着することができ、且つ連通経路4の形成による効果も奏することができる。
【0073】
なお、
図6に示す補助装着受け部53は、帯部装着受け部51と合わせて、帯部50の長手方向の略全面に取り付けられたものであってもよい。このときは、離散的に取り付けられた装着部23を有する尿袋2を尿器1に装着するときに、装着部23を補助装着受け部53に対して位置合わせするという手間を省くことができ、異なる径の尿器首部11に対しても装着補助具5を装着できると言う点も含めてこれまで説明した効果と同様の効果が得られる。次に、装着補助具5の各種変形例について
図7〜13を参照して説明する。
【0074】
<第1の変形例に係る装着補助具>
図7に第1の変形例に係る装着補助具5を示す。
図7(a)は第1の変形例に係る装着補助具5の上面図、
図7(b)は第1の変形例に係る装着補助具5の正面図、
図7(c)は第1の変形例に係る装着補助具5を尿器首部11に取り付けたときの斜視図、を示す。
【0075】
第1の変形例に係る装着補助具5は、基本的には
図6に示す装着補助具5と同様であるが、帯部装着受け部51と帯部装着部52とに替えてバックル55を備え、バックル55を利用して尿器首部11に着脱可能に取り付けられる。
【0076】
バックル55はバックル本体部550と回転固定部551とを備える。また、
図7に示す例では、バックル55を帯部50に取り付けるために、取り付け付属部品としてカシメ部56が使用されている。バックル55は、通常、金属材料やプラスチックなどの樹脂材料で作られることが多いが、締め付け時に破損しない程度の強度さえ有していれば、特に材料の制限はない。バックル本体部550は、帯部50を通すスリットを備え、このスリットを通り反転させた帯部50の一端は、このスリットに通す前の帯部50と共に、バックル本体部550の近傍でカシメ部56によりカシメられる。これにより、帯部50の長さ方向の一端にバックル55が取り付けられる。回転固定部551は、バックル本体部550の一端に回転可能に取り付けられ、回転させてバックル本体部550の側に押し込んで閉じることによりロックされる。バックル本体部550に対して回転固定部551が大きく開いた状態では、バックル本体部550と回転固定部551との間に帯部50が挿入されうる隙間が生じ、回転固定部551をバックル本体部550側に閉じたときは、この隙間に挿入された帯部50の部位が、バックル本体部550に対して回転固定部551の一部により押さえつけられ固定される。なお、バックル55を帯部50に取り付ける方法は、上記の方法に限定されない。例えば、リベット等を使って取り付けても良い。ただし、このときは、帯部50の下面に存在するリベットの頭部により、尿器首部11の外表面が傷つけられないように、リベットの頭部を弾性材料などの緩衝材でカバーする。
【0077】
補助装着受け部53は、
図7に示すように、帯部50の上面に取り付けられるが、帯部50の長手方向において、バックル55を取り付ける端部とは反対側の端部近傍、即ち装着補助具5を尿器1に取り付ける際に、帯部50の、バックル55に挿入されバックル55内を通過する部位、及び装着補助具5を尿器首部11に取り付けるとき、バックル55に挿入され、これを通過してバックル55から出てくる帯部50の下方に位置することになる帯部50の部位及びその近傍の帯部50の部位には補助装着受け部53は配置されない。補助装着受け部53の長さと尿袋2の装着部23の周方向の長さの少なくともいずれか一方を大きくすることによる効果については、
図6に関連して説明した通りである。
【0078】
滑り止め部54は、
図6に示す装着補助具5の場合と同様に帯部50に取り付けられ、同様の機能を有する。
【0079】
第1の変形例に係る装着補助具5を尿器1に取り付ける方法は次の通りである。まず、帯部50を尿器首部11の外表面に巻き回したのち、バックル55の回転固定部551を開いた状態で、帯部50の長手方向の一端をバックル本体部550と回転固定部551との間の隙間に挿入する。この挿入された帯部50の一端をバックル55に対して引っ張ることにより、帯部50で、滑り止め部54を介して尿器首部11を締め付ける。この状態で回転固定部551を閉じる。これにより、帯部50が、尿器首部11の外表面を締め付けた状態で、バックル55により固定され、第1の変形例に係る装着補助具5が尿器1に取り付けられる。
【0080】
なお、補助装着受け部53は、バックル55の取り付けに利用される帯部50の部位と、帯部50を尿器首部11に巻き回して締め付けて固定するためにバックル55に通過させる帯部50の部位とを除く帯部50の上面全面に取り付けてもよい。
【0081】
尿袋2は、
図6に示す装着補助具5に対して使用される第5の変形例に係る尿袋2と同じものであり、
図6に示す装着補助具5の場合と同様に、尿袋2に離散的に配置された装着部23が、尿器1に取り付けられた装着補助具5の帯部50の上面に取り付けられた補助装着受け部53に簡便に着脱可能に付着する。これにより尿袋2は、第1の変形例に係る装着補助具5を介して、尿器1に、離散的に、且つ簡便に着脱可能に装着され、
図6に示す装着補助具5の場合と同様に、連通経路4が形成される。
【0082】
<第2の変形例に係る装着補助具、及び第6の変形例に係る尿袋>
図8に第2の変形例に係る装着補助具5及び第6の変形例に係る尿袋2を示す。
図8(a)は第2の変形例に係る装着補助具5の上面図、
図8(b)は、
図8(a)のCで示す部位の拡大上面図、
図8(c)は
図8(a)のCで示す部位の拡大正面図、
図8(d)は、第6の変形例に係る尿袋2を第2の変形例に係る装着補助具5に装着する状況を示す斜視図、である。
【0083】
第2の変形例に係る装着補助具5では、
図6に示す装着補助具5において、補助装着受け部53は、柱状形状を有する突起部510と突起部取り付け部520とを含むように構成されている。突起部510は、尿袋2の折り返し部21に離散的に配置されている後述する穴部230に対応して配置されている。帯部装着受け部51、帯部装着部52、及び滑り止め部54は、
図6に示す装着補助具5と同様である。
【0084】
突起部510及び突起部取り付け部520は、通常、金属やプラスチックなどの樹脂材により形成されるが、尿袋2による引っ張りに耐える強度を有する材料であれば特にその他の制限はない。突起部510は、柱状形状を有し、尿袋2の穴部230に挿入できるとともに容易に抜けない形状と大きさを有する。尿袋2の穴部230がこの突起部510に挿入された後、容易に抜けないようにするために、突起部510の先端部がその下部よりも若干大きな形状を有しているのが望ましい。突起部取り付け部520は、
図8(c)に示すように、突起部510を帯部50に取り付けるためのもので、ネジ又はリベットなどを含む。突起部510は、その下部を帯部50の上面側に接触させ、帯部50に開けられた貫通口を介して、帯部50の下面でネジ若しくはリベットなどを有する突起部取り付け部520により、帯部50に固定される。突起部取り付け部520は、尿器1の外表面を傷つけないように、その表面をカバーする弾性材料によるカバー部を有する。
【0085】
第2の変形例に係る装着補助具5は、
図6に示す装着補助具5と同様に、尿器1に着脱可能に容易に装着される。
【0086】
第2の変形例に係る装着補助具5に簡便に着脱可能に装着するために使用される尿袋2は、
図8(d)に例示する第6の変形例に係る尿袋2である。第6の変形例に係る尿袋2は、実施の形態1で説明した各種変形例を含む尿袋2において、装着部23を穴部230としたものである。
図8(c)に示すように、穴部230は突起部510を貫通させることができる程度の径を有し、突起部510の配置位置に略対応しうる位置に配置されている。
【0087】
第6の変形例に係る尿袋2は、
図8(d)に一点鎖線で示すように、穴部230を、突起部510に押し込むことにより装着補助具5に装着され、穴部230を、突起部510から引き外すことにより装着補助具5から取り外すことができる。このように、第6の変形例に係る尿袋2は、尿器1に着脱可能に取り付けた第2の変形例に係る装着補助具5を介して、尿器1に、離散的に且つ簡便に着脱可能に装着され、
図6に示す装着補助具5の場合と同様に、連通経路4が形成される。
【0088】
装着補助具5は、径の異なる尿器首部11を有する尿器1に対しても、
図6において説明したように着脱可能に装着することができる。しかし、その場合は取り付ける尿器1に応じて突起部510の周方向の位置が変化するため、尿袋2の穴部230の対応する位置が異なってしまう。位置の変化が小さい場合は、尿袋2はフレキシブルな材質であることから、尿袋2の方で調整して穴部230を突起部510に装着することは可能である。しかし、突起部510の位置の変化が大きい場合は、帯部50の長さ方向に配置されたそれぞれの突起部510の近傍に更に複数の突起部510を配置する。これにより、尿袋2の穴部230の位置が変わらなくても尿器首部11の径の違いに対応して装着補助具5を簡便に装着することができ、且つ尿袋2も装着補助具5を介して、尿器1に、これまでより簡便に、着脱可能に装着できる。突起部510を増やす代わりに、尿袋2の穴部230を周方向に突起部510の場合と同様に増やしてもよいし、突起部510と穴部230とを共に増やしてもよい。ただし、尿袋2の穴部230の数を増やす場合は、本願の実施の形態3で後述するような補強部27を有する尿袋2にした方がよい。
【0089】
<第3の変形例に係る装着補助具>
図9(a)に、第3の変形例に係る装着補助具5の上面図、
図9(b)に、
図9(a)に示すD−D方向から見たときの、第3の変形例に係る装着補助具5の拡大側面図を示す。第3の変形例に係る装着補助具5は、
図9(a)に示すように、
図6に示す装着補助具5において、補助装着受け部53を、尿袋挟み込み固定具58としたものである。他の構成は
図6に示す構成と同様である。
【0090】
尿袋挟み込み固定具58は、尿袋2の尿袋開口端22の近傍を挟み込み固定するためのもので、帯部50の長手方向に少なくとも1個、帯部50に取り付けられ、固定されている。
図9(b)に示す例は、尿袋挟み込み固定具58は、バックルを流用して構成したもので、挟み込み本体部580と、回転固定部581と、挟み込み本体部580を帯部50に固定するネジやリベットなどの取り付け具とを備える。回転固定部581は、挟み込み本体部580に対して一方の側が回転自在に固定され、他方の側が回転により開閉する。回転固定部581の他方の側が閉じたとき両者は互いに仮止め固定され、両者の間に挿入された尿袋2の部位を尿袋挟み込み固定具58で固定する。回転固定部581の他方の側を開けたとき挟み込まれて固定された尿袋2の部位は尿袋挟み込み固定具58から開放される。
図9(a)に示す例では、尿袋挟み込み固定具58は、帯部50の長手方向に2個、取り付け具で取り付けられ、取り付け具は、帯部50の裏の面で、尿器1の外表面を傷つけないように、ゴム等の弾性材料でカバーされている。尿袋挟み込み固定具58は、回転固定部581の回転により開口する部位が、帯部50の長手方向に直交する方向、即ち
図9に示すY方向とは逆の方向に向くように取り付けられている。尿袋挟み込み固定具58が複数個取り付けられているときは、それぞれの回転固定部581の回転により開口する部位は、同じ方向を向くように取り付けられている。なお、尿袋挟み込み固定具58を帯部50に取り付ける方法はどのような方法であってもよく、上記の方法に限定されない。尿袋挟み込み固定具58は、尿袋2を固定するという点で、
図6及び7で説明した補助装着受け部53に相等する。
【0091】
第3の変形例に係る装着補助具5は、
図6に示す装着補助具5と同様に、尿器1に着脱可能に容易に装着される。その際、第3の変形例に係る装着補助具5は、回転固定部581の回転により開口する側が尿器開口端12の側に来るように尿器首部11に装着される。
【0092】
第3の変形例に係る装着補助具5に対応して使用される尿袋2は、例えば、実施の形態1で説明した各種の尿袋2において装着部23を省いた第7の変形例に係る尿袋2である。
図9(b)は、このような尿袋2を、第3の変形例に係る装着補助具5に装着する様子を示している。尿袋挟み込み固定具58は、第7の変形例に係る尿袋2の折り返し部21の切り欠かれた部位でない尿袋開口端22近傍の部位を、尿袋挟み込み固定具58の回転固定部581と挟み込み本体部580とで挟み込み固定する。これにより、尿袋2が第3の変形例に係る装着補助具5に装着される。
図9(b)では、第7の変形例に係る尿袋2の尿袋挟み込み固定具58で挟み込まれる部位が、挟み込み部26として示されている。このようにして、第7の変形例に係る尿袋2は、第3の変形例に係る装着補助具5を介して、尿器1に、離散的に且つ簡便に着脱可能に装着され、
図6に示す装着補助具5の場合と同様に、連通経路4が形成される。
【0093】
<第4の変形例に係る装着補助具>
図10(a)に、第4の変形例に係る装着補助具5の上面図、
図10(b)に、
図10(a)に示すD−D方向から見たときの、第4の変形例に係る装着補助具5の拡大側面図を示す。第4の変形例に係る装着補助具5は、
図10(a)に示すように、
図9に示す第3の変形例に係る装着補助具5において、尿袋挟み込み固定具58の取り付け位置を、帯部50の長手方向に対して、直交する方向にずらしたものである。第4の変形例に係る装着補助具5は、尿袋挟み込み固定具58の取り付け位置をずらすために、延伸部500とカシメ部56とを備え、その他の構成要素については、第3の変形例に係る装着補助具5の構成と同様の構成を備える。
【0094】
延伸部500は、
図10(a)に示すように、帯部50の長手方向に対して直交する方向に延びた、予め定められた幅及び長さを有する帯状の部位で、帯部50と一体に形成されている。なお、延伸部500は、帯部50に取り付けた、帯部50とは別個のものであっても良い。帯部50と一体のものである場合は、延伸部500は、帯部50と同じ材料で形成され、別個のものであるときは帯部50と同じ材料でもよいし、樹脂系材料、繊維素材、金属材料などの別の材料で形成されてもよい。
【0095】
カシメ部56は、尿袋挟み込み固定具58を延伸部500に取り付けるためのものである。尿袋挟み込み固定具58は、
図7に示す、第1の変形例に係る装着補助具5において、バックル55が帯部50の長手方向の一端に取り付けられるときと同様に、カシメ部56を使って、延伸部500の一端に取り付けられる。なお、尿袋挟み込み固定具58を延伸部500に取り付ける方法は、どのような方法であっても良く、例えば、
図9に示したようなネジ又はリベットなどの方法で延伸部500に取り付けられてもよい。
【0096】
第4の変形例に係る装着補助具5を尿器1に装着する方法、使用される尿袋2、及び尿袋2を第4の変形例に係る装着補助具5に装着する方法は、それぞれ、
図9に示す第3の変形例に係る装着補助具5の場合と同様である。尿袋挟み込み固定具58は、尿袋を固定するという点で補助装着受け部53に相等する。第4の変形例に係る装着補助具5は、
図10(b)に示すように、尿袋2を保持するが、この保持方法は、基本的には
図9(b)に示す方法と同じである。従って、第4の変形例に係る装着補助具5を利用して、これに対応する尿袋2を尿器1に装着する場合も、
図6に示す装着補助具5の場合と同様に、連通経路4が形成される。
【0097】
第4の変形例に係る装着補助具5では、尿袋挟み込み固定具58が、尿器首部11の外表面を締め付けるための帯部50から離れた位置に配置されるので、第3の変形例に係る装着補助具5のように、帯部50下面に尿袋挟み込み固定具58の取り付け用の突起部が存在しない。そのため、装着用補助具5は、尿器表面を傷つけることなく、また、摩擦係数も大きくなるため滑りにくく、より安定して尿器首部11に固定される。
【0098】
<第5の変形例に係る装着補助具>
図11に第5の変形例に係る装着補助具5を示す。
図11(a)は第5の変形例に係る装着補助具の上面図、
図11(b)は第5の変形例に係る装着補助具の正面図、
図11(c)は尿器に取り付けた状態の第5の変形例に係る装着補助具の斜視図、である。
【0099】
図11(a)、(b)に示す第5の変形例に係る装着補助具5は、
図6に示す装着補助具5又は
図6に関連して説明した装着補助具5に接続部501と把手取り付け部59とを付加したものである。
【0100】
接続部501は、帯部50と把手取り付け部59とを接続する部位で、予め定められた幅と長さで、帯部50の長手方向に直交する方向の側に延伸した部位である。接続部501は、
図11に示すように、帯部50から延伸し、その先端近傍の部位が、その前の延伸した面に対して折れ曲がった部位、若しくは折り曲げられ得る部位とで構成される。以下では接続部501のこのように折れ曲がった形状を略L字型形状と呼ぶことにする。
図11に示す接続部501は帯部50と一体に形成された例であるが、帯部50とは別個のものとして帯部50に取り付けられる部位であってもよい。接続部501が帯部50とは別個のものである場合は、その材料として、繊維素材、樹脂系材料、金属材料などが使用可能である。接続部501として、樹脂系材料、金属材料等、可撓性の乏しい材料が使用されるときは、接続部501は予め略L字型形状に加工されたものとする。
【0101】
把手取り付け部59は、装着補助具5を尿器1の把手13に取り付けるための部位で、第2帯部590と、第2帯部590の一方の表面に取り付けられた第2装着部591と、他方の表面に取り付けられた第2装着受け部592と、を備える。
【0102】
第2帯部590は、帯部50と同様に可撓性の材料で形成された帯状の部材である。
図11(a)、(b)に示すように、第2帯部590は、帯部50の長手方向に直交する方向に延伸した部位である接続部501の一方の端部の略L字型に折り曲げられた部位にネジやリベット等の締結具で締結されている。この締結具は弾性材でカバーされていることが望ましい。なお、第2帯部590は接続部501と一体に形成されたものであってもよい。
【0103】
第2装着部591と第2装着受け部592とは、互いに対して着脱可能な装着性を有する部位で、例えば面ファスナーで構成され、
図11(a)、(b)に示すように、第2帯部590の、長手方向の一方の端部の一方の表面と、他方の端部の他方の表面に、それぞれ取り付けられている。なお、このそれぞれの取り付け位置は第2帯部590を例えば尿器1の把手13に巻き回して重ね合わすことのできる位置であれば第2帯部590の長手方向のどの位置であっても良い。
【0104】
第5の変形例に係る装着補助具5を尿器1に取り付ける方法は次の通りである。まず、第2帯部590を、尿器首部11に近い位置で把手13に巻き回す。次に、第2装着部591と第2装着受け部592とを互いに付着させる。これにより、把手取り付け部59を把手13に取り付ける。次に、
図6で説明したように、帯部50を尿器首部11の外表面に巻き回して締め付け、帯部装着部52と帯部装着受け部51とを付着させる。以上の処理により、第5の変形例に係る装着補助具5が尿器1に容易に着脱可能に取り付けられる。
【0105】
以上の取り付け方法において、把手取り付け部59を把手13に取り付ける処理を、帯部50を尿器首部11の外表面に取り付ける処理の後に実行してもよい。ただし、このときは、接続部501の帯部50からの延伸の長さに応じて、帯部50を把手13の近傍の尿器首部11の外表面に取り付けることに留意する必要がある。なお、帯部50と第2帯部590との間の距離、即ち、接続部501の略L字型の帯部50からの延伸長さは、尿器首部11に対する把手13の配置を勘案した値に設定される。
【0106】
以上説明したように、第5の変形例に係る装着補助具5は、尿器首部11の外表面に取り付けられると共に、尿器1の把手13にも取り付けられる。即ち、第5の変形例に係る装着補助具5は、着脱可能に容易に、二重に尿器1に取り付けられている。なお、把手取り付け部59を把手13に着脱する方法は、上記の方法に限らない。例えば面ファスナーを、オス型スナップフィットとメス型スナップフィットとで置き換えてもよいし、その他の同様な締結手段で置き換えてもよい。帯部50、帯部装着受け部51、帯部装着部52、及び滑り止め部54は、装着補助具5を尿器1に取り付けるための第1の取り付け部と呼び、接続部501及び把手取り付け部59は、装着補助具5を尿器1に取り付けるための第2の取り付け部と呼ぶことができる。第1及び第2の取り付け部は全体として取り付け部を構成する。
【0107】
第5の変形例に係る装着補助具5に使用される尿袋2は、
図6に示す第5の変形例に係る尿袋2である。第5の変形例に係る尿袋2は、
図6に示す装着補助具5の場合と同様に、
図11(c)に破線で示すように、尿器1に取り付けられるので、同様に連通経路4が形成される。
【0108】
<第6の変形例に係る装着補助具>
図12(a)に、第6の変形例に係る装着補助具5の上面図、
図12(b)に第6の変形例に係る装着補助具5の正面図を示す。
図12(a)は、装着補助具5の取り付け対象となる尿器首部11を、尿器開口端部12の位置を明示して、破線で示す。
【0109】
第6の変形例に係る装着補助具5は、円環部502と、円環部502の外表面に取り付けられた補助装着受け部53と、円環部502の内表面に取り付けられた滑り止め部54と、把手取り付け部59と、円環部502に対して把手取り付け部59を接続する接続部位である接続部501とを備える。
【0110】
円環部502は、
図6における帯部50を円環状にしたもので、
図12(b)に示すように、略円環形状であり、その周方向の長さの一部が、円環の軸方向、即ち
図12に示すY方向にわたり切り欠かれた形状を有する。以下では、切り欠かれることにより円環部502に生じる空隙部を補助具切り欠き部503と呼ぶ。円環部502は、全体として、
図12(b)に矢印で示す方向、すなわち、補助具切り欠き部503のX方向の幅を拡大・縮小する方向に、ばね性を有するように、金属板又は樹脂板等の部材で形成されている。
【0111】
接続部501は、
図12(a)、(b)に示すように、円環部502から、円環部502の周方向に直交する方向、すなわち円環部502の軸方向に延伸し、その先端部が円環部502の外向き径方向に折り曲げられた略L字型の部位である。接続部501は補助具切り欠き部503以外の円環部502の周方向の任意の位置に配置されてもよい。接続部501は、通常、円環部502と一体に形成されるが、別体として形成したものを円環部502に締結若しくは融着などの方法により取り付けて構成されてもよい。
【0112】
補助装着受け部53は、
図6で説明した少なくとも1の補助装着受け部53と同様のもので、円環部502の周方向の長さが制限されたもの、又は
図6に関連して説明したように、帯部50の上表面の、帯部装着受け部51を除く略全面に取り付けた補助装着受け部53と同様に、円環部502の周方向の略全面に取り付けられたものであり、例えば面ファスナーで構成される。
図12に示す補助装着受け部53は、円環部502の周方向の略全面に取り付けられた例である。
【0113】
滑り止め部54は、
図6で説明した滑り止め部54と同様であり、円環部502の内表面上に取り付けられる。なお、円環部502の略円環形状の内径は、滑り止め部54の内表面を含めて、尿器首部11の外径よりも小さく、補助具切り欠き部503を広げることにより尿器首部11を円環部502の内側に挿入することができる大きさであり、且つ、挿入した尿器首部11を、滑り止め部54の内表面を介して、円環部502のばねによる力で予め設定した締め付け力の範囲内で締め付けられるような大きさに形成されている。
【0114】
把手取り付け部59は、
図11に示す第5の変形例に係る装着補助具5の把手取り付け部59と同じものである。ただし、第2帯部590を接続部501と一体に形成することは、この場合も可能ではあるが、好ましくはない。それは、接続部501が円環部502と同じ材料、即ち金属板又は樹脂板等の部材で形成されているため、これらの部材が可撓性を有しているとしても、第2帯部590を把手13に巻き回して装着するという処理に若干難があるからである。好ましくは、第2帯部590は、接続部501とは別体で、よりフレキシブルな材料で形成されたものとするのが好ましい。把手取り付け部59は、接続部501の端部に、
図12(a)、(b)に示すような配置で、すなわち、円環部502から、その軸方向に一定の長さ張り出した位置に取り付けられている。なお、
図12は、把手取り付け部59を、補助具切り欠き部503の両端部から円周上で略等しい距離に配置した例であるが、これに限る必要はなく、異なる距離に配置してもよい。
【0115】
第6の変形例に係る装着補助具5は、尿器1に、次のようにして取り付けられる。まず、把手取り付け部59が、尿器開口端12の反対側に来るような配置にして、尿器首部11を円環部502内に挿入する。挿入は、円環部502の補助具切り欠き部503を広げた状態で、尿器開口端12の側から、円環形状の軸方向に沿って、尿器首部11を円環部502内に挿入するか、又は、補助具切り欠き部503の開口の大きさによっては、補助具切り欠き部503を広げた状態で、円環形状の軸に直交する方向に、尿器首部11を補助具切り欠き部503に対して押し込んで円環部502内に挿入する。尿器首部11の尿器開口端12が大きく広がっている女性用の尿器1の場合には、後者の方法により取り付けるのが好ましい。次に、把手取り付け部59を把手13に巻きまわして取り付ける。その詳細は、
図11に示す第5の変形例に係る装着補助具5について説明した方法と同じである。
【0116】
第6の変形例に係る装着補助具5は、円環部502が、そのばね力により、滑り止め部54を介して尿器首部11の外表面に取り付けられ、更に、把手取り付け部59が把手13に取り付けられることにより、容易に着脱可能に、二重に尿器1に取り付けられる。なお、このような装着補助具5の場合、円環部502及び滑り止め部54は、装着補助具5を尿器1に取り付けるための第1の取り付け部を構成し、接続部501及び把手取り付け部59が、装着補助具5を尿器1に取り付けるための第2の取り付け部を構成する。第1及び第2の取り付け部は全体として取り付け部を構成する。
【0117】
尿袋2には、
図6に示す装着補助具5の場合に使用される第5の変形例に係る尿袋2が使用され、
図6に示す装着補助具5の場合と同様に尿器1に装着されるので、同様に連通経路4が形成される。
【0118】
なお、第6の変形例に係る装着補助具5は、二重に尿器1に取り付けられるので、取り付けの信頼性が向上すると言う点で、
図11に示す第5の変形例に係る装着補助具5と同様であるが、二重の取り付けのうち一方については、尿器首部11を円環部502内に挿入するだけで尿器1への取り付けが完了するため、取り付け作業がより簡便化できる。なお、装着補助具5は、把手取り付け部59と接続部501とを省いてもよい。この場合の装着補助具5は、円環部502のバネの力のみで、尿器1に着脱可能に簡便に取り付けられる。
【0119】
<第7の変形例に係る装着補助具>
図13(a)に、第7の変形例に係る装着補助具5の上面図、
図13(b)に第7の変形例に係る装着補助具5の正面図、
図13(c)に、
図13(a)に示すE−E方向からの、第7の変形例に係る装着補助具5の拡大側面図、を示す。
【0120】
第7の変形例に係る装着補助具5は、把手取り付け部59と、尿袋挟み込み固定具58と、接続部504とを備える。
【0121】
把手取り付け部59は、
図11に示す第5の変形例に係る装着補助具5の把手取り付け部59と同じもの、また、尿袋挟み込み固定具58は、
図9に示す第3の変形例、又は
図10に示す第4の変形例に係る装着補助具5の尿袋挟み込み固定具58と、同様のものである。
【0122】
接続部504は、使用される材料、形状とも第5又は第6の変形例に係る装着補助具5の接続部501と同様のものであり、その一端には、把手取り付け部59が取り付けられている。異なるのは、接続部504の他端に、尿袋挟み込み固定具58が取り付けられていることである。
図13(c)に示す接続部504への尿袋挟み込み固定具58の取り付け方法は、
図9に示す帯部50への尿袋挟み込み固定具58の取り付け方法と同様の方法か、又は
図10に示す延伸部500への尿袋挟み込み固定具58の取り付け方法と同様に、カシメ部56を使って取り付ける方法であってもよい。
【0123】
第7の変形例に係る装着補助具5は、
図11に示す第5の変形例に係る装着補助具5の把手取り付け部59と同様に、尿器1の把手13に把手取り付け部59を巻き回して、取り付けることにより、尿器1に装着される。尚、接続部504と把手取り付け部59とは、装着補助具5を尿器1の外表面に取り付けるための第2の取り付け部と呼ぶことができ、第2の取り付け部だけで取り付け部が構成される。尿袋挟み込み固定具58は、尿袋を固定するという点で補助装着受け部53に相等する。
【0124】
対応する尿袋2は、
図9に示す第3の変形例に係る装着補助具5、又は
図10に示す第4の変形例に係る装着補助具5の場合に使用される第7の変形例に係る尿袋2であり、尿袋開口端22の近傍の部位である挟み込み部26が尿袋挟み込み固定具58で保持される。第7の変形例に係る装着補助具5は、尿袋挟み込み固定具58を1個しか備えていないので、尿袋2は、1個の尿袋挟み込み固定具58を介して、装着補助具5に一箇所で挟まれることにより尿器1に装着されるので、当然に連通経路4が形成される。
【0125】
第7の変形例に係る装着補助具5を使用する場合は、尿袋2は、1個の尿袋挟み込み固定具58で保持されているだけであり、更に、尿袋挟み込み固定具58自体も把手13に把手取り付け部59で保持されているだけなので、尿袋2は、より簡便に尿器1に装着される。
【0126】
図13に例示する把手取り付け部59は、
図11(c)に示すように、把手13の、尿器首部11に近い側に巻き回して固定するように構成されているが、これに限らず、把手13の他の部位に取り付けるように構成されたものであってもよい。例えば、把手取り付け部59は、
図1に示す把手13のうち、尿器首部11から立ち上がり、尿器本体部10に向かう最初の折れ曲がった部位の前後を覆うように把手13に取り付けるように構成されたものにする。把手取り付け部59の、把手13の折れ曲がった部位を覆う部分は、スナップフィット又は面ファスナー等により把手13の当該部位に取り付ける。折れ曲がった部位に取り付けることにより、把手取り付け部59が把手13の延伸方向にずれにくくなる。そのため、尿器1への尿袋2の装着が安定化する。
【0127】
図6から13で説明した装着補助具5による尿袋2の保持は、これまで説明したものに限定されない。例えば、尿袋2の装着部23と装着補助具5の補助装着受け部53とは、一方がオス型スナップフィット、他方がメス型スナップフィットとしてもよい。また、一方がフック型、他方がフックを受けるフック受け型のものであってもよく、その他の保持方法であっても良い。これらのいずれの方法によっても、それぞれの装着補助具5に対応する尿袋2は、該装着補助具5を装着した尿器1に、簡便に着脱可能に装着でき、装着した際に、それぞれの箇所での説明と同様に、連通経路4が形成される。
【0128】
<第8の変形例に係る装着補助具>
これまで、装着補助具5は、尿器1に着脱可能に装着されるものとして説明したが、第8の変形例に係る装着補助具5は、接着により尿器1に固定して取り付けられるように構成されたものである。
【0129】
そのような装着補助具5は、具体的には、
図6、
図8、
図9、
図10、又は
図11に示す装着補助具5において、帯部装着部52、帯部装着受け部51、滑り止め部54をなくしたもの、若しくは
図12に示す装着補助具5において、滑り止め部54をなくし、帯部50又は円環部502の尿器首部11の外表面に相対する面の全面又は一部の面に、尿器首部11の外表面に対して接着性を有する帯部接着部を付加したものである。把手取り付け部59は省いてもよい。このときの帯部50若しくは円環部502の材料は、尿器首部11に巻き回しでき、帯部接着部を取り付けできるものであればどのようなものでもよい。また、円環部502を尿器首部11に接着する場合は、円環部502のばね性は特に問わない。
【0130】
また、帯部50若しくは円環部502は、尿器首部11の外表面の周上に巻き回して接着するものではなくて、円弧状の形状を有し、尿器首部11の外表面の周上の一部に接着されるように構成されたものであってもよい。
【0131】
いずれの装着補助具5においても、
図6、
図8、
図9、
図10、
図11若しくは
図12のそれぞれの装着補助具5の場合と同様に、それぞれの装着補助具5に対応する尿袋2は、該装着補助具5を接着した尿器1に、簡便に着脱可能に装着でき、装着した際に、それぞれの箇所での説明と同様に、連通経路4が形成される。
【0132】
第8の変形例に係る装着補助具5では、通常、把手取り付け部59は省かれるが、尿器首部11の外表面に対する帯部50又は円環部502の接着性が、経時的な変化により低下してしまい、装着補助具5が尿器首部11から脱落してしまう可能性がないわけではない。把手取り付け部59を尿器1の把手13に取り付けておくことによりこのような事態を防止することができる。
【0133】
これまで説明した各種変形例に係る装着補助具5と、それぞれに対応した尿袋2とを組み合わせて使用して、当該尿袋2を尿器1に装着すると、いずれの場合も、尿袋2は、通常市販されているものを含む尿器1に、簡便に着脱可能に装着でき、連通経路4が形成されるため、尿袋2の容量を尿器1の容量の範囲内で有効に活用でき、尿器1の再利用に伴う作業がこれまでよりも簡便化される。また、把手取り付け部59を利用して、装着補助具5を、尿器1に二重に取り付けた場合、装着補助具5の尿器1への取り付けの信頼性が向上し、不測の事態により、装着補助具5が尿器1から外れる恐れを低減することができる。その結果、尿器1から尿が外部に漏れる、又は尿器1の内部に尿が漏れるという状況に至る恐れが、二重の取り付けをしない場合に比べて低減する。
【0134】
なお、実施の形態2に係る装着補助具5の帯部50又はこれに対応する部位を尿器首部11に装着するための構成要素は、これまで説明した変形例の間で相互に入れ替えた構成にしてもよい。更に、把手取り付け部59の有無についても、
図13に示す例を除き、それぞれの装着補助具5で選択可能である。なお、尿器1への装着補助具5の装着は、これまで説明した方法に限定されず、他の方法で装着してもよい。また、尿袋2を装着補助具5に保持するための構成についても、各装着補助具5間で置き換える変形が可能である。ただし、この場合は使用される尿袋2は、これまで説明したように、変形された装着補助具5に対応した尿袋2である。このような変形を加えても、尿袋2の装着により、連通経路4が形成されるので、更なる変形に係る装着補助具5は、これに対応した尿袋2を組み合わせて使用することにより、当該尿袋2を尿器1に簡便に着脱可能に装着でき、且つ、尿袋2の容量を尿器1の容量の範囲内で有効に活用でき、尿器1の再利用に伴う作業がこれまでよりも簡便化される。
【0135】
これまでの説明では、装着補助具5は、尿器首部11の外表面又は把手13に装着されるとしたが、必ずしもこれに限定されず、尿器本体部10の外表面に装着してもよい。具体的には、
図6〜10に示す装着補助具5、及び
図12に示す装着補助具5のいずれかを尿器本体部10に装着する。装着方法はそれぞれの装着補助具5を尿器首部11に装着する場合と同じである。装着補助具5を尿器1に装着する際に、帯部装着受け部51と帯部装着部52とが重なる位置は、尿器1の下面を避けるなど、尿器1の設置姿勢を考慮した位置とするのが好ましい。このときに尿器1に装着される尿袋2は、各装着補助具5のところで説明した尿袋2であるが、折り返し部21の折り返しの長さは、各装着補助具5を尿器首部11に装着したときよりも長くなる。装着補助具5を尿器本体部10に装着するケースは尿器1の形状によって生じうる。
【0136】
このような場合であっても、これまで説明したように尿袋2を尿器1に離散的に装着することにより、連通経路4が形成される。従って、このような装着補助具5を使用することにより、尿袋2は、尿器1に、簡便に着脱可能に装着でき、且つ、尿袋2の容量を尿器1の容量の範囲内で有効に活用でき、尿器1の再利用に伴う作業がこれまでよりも簡便化される。
【0137】
(実施の形態3)
実施の形態3は、実施の形態1及び2で説明した各種尿袋2に補強部を付加した更なる変形例に係る尿袋2を示す。
図14(a)、(b)、及び
図15(a)、(b)、(c)は、それぞれ、第8から第12の変形例に係る尿袋2を示す。
【0138】
図14(a)に、第8の変形例に係る尿袋2の尿袋開口端22の近傍の正面図と断面図を示す。
図14(a)の左側の図は、正面図、右側の図は、F−F断面図である。第8の変形例に係る尿袋2は、
図8(d)の第6の変形例に係る尿袋2において、穴部230の周囲に補強部27を付加したものである。第8の変形例に係る尿袋2の装着対象となる尿器1は、突起部510を備えた装着補助具5、例えば
図8に示す第2の変形例に係る装着補助具5、を取り付けた尿器1である。
【0139】
補強部27は、尿袋2よりも剛性が高く、且つ可撓性をも有するシート状の、例えば樹脂などの材質で形成され、穴部230に対応する穴を有する。補強部27は、尿袋開口端22の近傍で、穴部230を含む領域に、穴の位置合わせをして、尿袋2の外表面、内表面、又は両表面に、接着剤による貼り付け、圧着、熱溶着などの方法に依り取り付けられる。補強部27は、穴部230の補強を目的としているので、その限りにおいて、その形状、厚さ、及び大きさは、特に限定される必要はない。尿袋2の穴部230の周囲に補強部27が存在するようにするためには、穴部230に対応する穴のない補強部27を取り付けた後に、補強部27を含めて尿袋2に穴部230を形成してもよい。なお、補強部27は、尿袋2の製造時に、他の部位よりも厚く作られた部位としてもよい。
【0140】
図8(b)及び(c)に示すように、尿袋2の穴部230に突起部510を挿入することにより、尿袋2が尿器1に装着される場合、尿袋2に尿が貯留されると、穴部230には、突起部510を介して引っ張り応力が働く。補強部27は、この引っ張り応力に対する穴部230の強度を補強するためのものである。なお、補強部27の材質を、可撓性を有するものとしたのは、尿袋2を尿器1に装着する際に、折り返し部21を折り返す作業の便を図るためであり、更に、補強部27を取り付けた部位の境界近傍の尿袋2に過度の応力の集中が起こりにくいようにするためである。
【0141】
図14(b)に第9の変形例に係る尿袋2の尿袋開口端22の近傍の正面図と断面図を示す。第9の変形例に係る尿袋2は、
図9に示す第3の変形例に係る装着補助具5、
図10に示す第4の変形例に係る装着補助具5、及び
図13に示す第7の変形例に係る装着補助具5に対して共通に使用されうる第7の変形例に係る尿袋2の更なる変形例である。
図14(b)に示すように、第9の変形例に係る尿袋2は、尿袋挟み込み固定具58で挟み込まれる部位である挟み込み部26を含む領域に取り付けられた補強部27を有する。補強部27は、
図14(a)に示す第8の変形例に係る尿袋2の補強部27と同様の材質で形成されたものであるが、穴部230に対応する穴は形成されていない。
【0142】
尿袋2が、尿袋挟み込み固定具58を介して尿器1に装着され、使用されるときに、補強部27がない場合は、尿袋2の挟み込み部26の外周近傍に引っ張り応力が働くため、尿袋2が挟み込み部26の近傍から破損し、それにより貯留された尿が、尿袋2又は尿器1から外部に漏れ出す恐れがある。補強部27は、この引っ張り応力に対する挟み込み部26近傍の強度を補強するためのものである。なお、補強部27の材質を、
図14(a)に示す第8の変形例に係る尿袋2の補強部27と同様に、可撓性を有するものとしたのは、補強部27の取り付けた部位の境界近傍の尿袋2に過度の応力の集中が起こりにくいようにするためである。
【0143】
図14(a)、(b)に示された、第8及び第9の変形例に係る尿袋2は、いずれも装着補助具5に保持される部位が補強部27で補強されたものなので、装着補助具5を介して尿器1に装着された上記変形例に係る尿袋2は、使用の際に破損しにくくなるという効果を奏することができる。
【0144】
図15(a)及び(b)にそれぞれ示す第10及び第11の変形例に係る尿袋2は、
図14(a)に示す第8の変形例に係る尿袋2の補強部27、及び
図14(b)に示す第9の変形例に係る尿袋2の補強部27を、それぞれ、尿袋2の切り欠き部25の間の切り欠かれていない部位の略全体の領域にまで広げたものである。
図15(a)に示す第10の変形例に係る尿袋2が使用される尿器1は、突起部510を備えた装着補助具5、例えば
図8に示す第2の変形例に係る装着補助具5、を取り付けた尿器1である。
図15(b)に示す第11の変形例に係る尿袋2が使用される尿器1は、
図9に示す第3の変形例に係る装着補助具5、
図10に示す第4の変形例に係る装着補助具5、及び
図13に示す第7の変形例に係る装着補助具5のいずれか、又はそれと同様な装着補助具5が取り付けられた尿器1である。
【0145】
図15(c)に示す第12の変形例に係る尿袋2は、
図2、
図4(a)〜(c)、
図5(b)又は(c)に例示する、実施の形態1に係る尿袋2の装着部23、又は第5の変形例に係る尿袋2の装着部23を、
図15(b)に示す第11の変形例に係る尿袋2の補強部27の上に、貼り合わせなどの方法に依り、取り付けたものである。
【0146】
図15(a)〜(c)に示す尿袋2は、いずれも補強部27を備えているため、尿袋2を尿器1に装着して使用したときの尿袋2の破損を防止する効果を有する。更に、この尿袋2の、尿袋開口端22の近傍は、切り欠き部25を除き、可撓性を有しつつも剛性が高くなっているので、持ちやすい状態にあり、切り欠き部25の存在も相まって、広げやすくなっている。そのため、このような尿袋2使用することにより、尿袋2を尿器1に装着する際に必要な、折り返し部21を尿器開口端12で尿器首部11の外表面側に折り返すという処理が容易になる。
【0147】
図14、15に示す変形例に係る尿袋2は、直接又は装着補助具5を介して間接的に尿器1に装着されたとき、これまでの説明と同様に、いずれにおいても連通経路4が形成される。従って、当該尿袋2を直接又は間接的に尿器1に装着することにより、当該尿袋2は、実施の形態1で説明した効果と同様の効果を奏することができる。
【0148】
補強部27は、これまで説明した構成以外の構成のものであってもよい。例えば、尿袋開口端22を折り返して袋状にしてその中に
図14又は15に示す補強部27を挿入し、その周囲の開口部を溶着などで封じて、補強部27が折り返して形成した袋の中で動かないようにする。すなわち、補強部27は、尿袋2の部材で挟まれることにより尿袋2に取り付けられる。この場合、
図14(a)、
図15(a)に示すような穴部230は、補強部27を袋の中に封じた後に形成される。このようにして補強部27を取り付けた尿袋2の場合は、補強部27を封入した後の尿袋2の外部に開口した端部が尿袋開口端22となる。このような補強部27を有する尿袋2も、これまで説明した補強部27を有する尿袋2と同様の効果を奏することができる。
【0149】
(実施の形態4)
実施の形態1−3で例示した尿器1は、従来から市販されている尿器1であり、尿器1自体には、尿袋2を、直接に着脱可能に装着する部位を備えていないものであった。実施の形態4では、尿袋2を着脱可能に装着するための尿袋装着受け部を直接に備える尿器1について説明する。
図16は、尿袋装着受け部14を直接に備える尿器1の尿器首部11近傍の斜視図の例を示している。なお、尿器1が直接備える尿袋装着受け部14は、補助装着具5の尿袋装着受け部である補助装着受け部53と区別するために、以下では尿器装着受け部14と呼ぶ。尿器装着受け部14は、尿器首部11の外表面に少なくとも1個取り付けられている。尿器装着受け部14が、複数個の場合は、尿器首部11の外表面の周上に、離散的に配置される。
図16に示す例は、尿器装着受け部14が4個の場合である。
図16に示す尿器装着受け部14は、実施の形態2の
図8に示す装着補助具5の突起部510と同様のものである。
【0150】
尿器装着受け部14は、
図8に示すような柱状の突起部である。柱状の突起部は、尿器首部11の外表面に尿器1と一体に形成されたものであっても良いし、尿器1とは別に製作され、尿器首部11の外表面に取り付られたものであってもよい。突起部の取り付けは、尿器首部11の外表面への溶着又は接着による固定、尿器首部11の外表面に配置した突起部の、尿器首部11に開けられた穴を介したネジや締結具の圧入等による尿器首部11の外表面への固定、又は、尿器1の外表面に構造部位を形成し、この構造部位に突起部をスライドさせて圧入することによる尿器首部11の外表面への固定等による。突起部の材料は、剛性を有するものであればどのようなものでもよいが、その形成又は取り付け方法に依存して決まる場合もある。
【0151】
図16には、尿器1に装着される尿袋2の折り返し部21が破線で示されている。尿袋2は、折り返し部21にある穴部230に、尿器装着受け部14を挿入することにより、尿器1に装着される。
【0152】
図16に示すように、突起部の先端部は、先端部に続く柱状部と同じ径か幾分大きい径を有する。突起部の先端部の径が大きくなっている場合は、穴部230に挿入された柱状の突起物が、穴部230から不用意に外れにくくなり、尿器1への尿袋2の装着状態が不完全又は非装着状態になりにくくなる。
【0153】
尿器装着受け部14は、把手13に配置されたものであってもよい。尿器装着受け部14の位置によっては、尿袋2の折り返し部21は、尿器首部11の長さより長く折り返す場合があってもよい。また、把手13に配置された場合、尿器装着受け部14は、通常は一箇所となり、それに対応して尿袋2の保持も一箇所になる。
【0154】
この尿器1には、実施の形態2で説明した第6の変形例に係る尿袋2又は実施の形態3の
図14(a)、
図15(a)に示す補強部27を付加した尿袋2が装着されるのが好ましい。尿器1が、上述のように、尿器首部11の外表面の周上に、少なくとも1つの離散的に配置された尿器装着受け部14を備え、このような尿袋2を使用することにより、尿袋2の尿器1への簡便な着脱が可能になる。更に、尿袋2を尿器1に装着したとき、実施の形態2の<第2の変形例に係る装着補助具5、及び第6の変形例に係る尿袋>の項で説明したことと同様な理由で、尿袋2と尿器1との間に連通経路4が形成される。従って、同項で説明したように、このような尿器1は、尿袋2を尿器1に装着して使用する際に、尿袋2の容量を、尿器1の容量の範囲内で有効に活用することができ、尿器の再利用に伴う作業がこれまでよりも簡便化される。
【0155】
なお、尿器装着受け部14は、
図16に示すものに限定されない。実施の形態2で説明した各種の装着補助具5に取り付けられている尿袋2の保持に使用される部位のいずれかに置き換えてもよい。その際に使用される尿袋2は、既に説明したように、それぞれの装着補助具5と組み合わせて使用される尿袋2である。そのいずれの場合であっても、このような尿器1は、尿袋2を簡便に着脱することができ、尿袋2を尿器1に装着して使用する際に、連通経路4が形成されることにより、尿袋2の容量を、尿器1の容量の範囲内で有効に活用することができ、尿器の再利用に伴う作業がこれまでよりも簡便化される。
【0156】
尿器装着受け部14は、尿器首部11又は把手13に限らず、尿器本体部10の外表面に離散的に配置されたものであってもよく、この場合も、尿袋2の装着部23を尿器首部11に装着する場合に比べて、尿袋2の折り返し部21の長さをより大きくすれば、装着部23を尿器装着受け部14に装着することができ、これにより、尿袋2は、尿器1に簡便に着脱可能に装着される。このときも尿器1と装着された尿袋2との間には連通経路4が形成されるため、尿器1は、尿袋2の容量を、尿器1の容量の範囲内で有効に活用することができ、尿器の再利用に伴う作業がこれまでよりも簡便化される。
【0157】
尿器1の尿袋装着受け部、即ち尿器装着受け部14及び、実施の形態2で説明した装着補助具5の尿袋装着受け部、即ち補助装着受け部53は、共に、対象部位を装着するための装着受け部と呼んでもよい。これまで説明したように、装着受け部が、補助装着受け部53である場合は、装着受け部は尿器1に間接的に装備されたものであり、装着受け部が、尿器装着受け部14である場合は、装着受け部は尿器1に直接的に装備されたものである。なお、実施の形態4に係る尿器1は、男性用及び女性用のいずれの尿器であってもよい。
【解決手段】尿袋使用方法は、一方が開口した開口端を有する尿袋を、尿器開口端を経由して尿器内部に挿入して使用する尿袋使用方法であって、尿器の開口周長よりも大きな開口周長を有する尿袋を、尿器の内部に挿入し、尿袋の開口端を含む一部の部位を折り返し部として尿器の外部に残し、折り返し部を、尿器の開口端に対して尿器の外表面側に折り返し、尿器の内表面と尿器の内部に挿入された尿袋の外表面との間の空間と尿器の外部とが、折り返し部の表面と尿器の外表面との間の空間を介して連通するように、折り返し部の少なくとも1つの一部の部位を、尿器の外表面に、直接又は間接的に着脱可能に保持することにより、尿袋を尿器に装着することを特徴とする。