特許第6050550号(P6050550)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6050550粉末供給装置、粉末供給装置の制御方法、粉末供給装置の制御プログラムおよび3次元造形装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6050550
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】粉末供給装置、粉末供給装置の制御方法、粉末供給装置の制御プログラムおよび3次元造形装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 67/00 20060101AFI20161212BHJP
   B22F 3/105 20060101ALI20161212BHJP
   B22F 3/16 20060101ALI20161212BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20161212BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20161212BHJP
【FI】
   B29C67/00
   B22F3/105
   B22F3/16
   B33Y10/00
   B33Y30/00
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-510855(P2016-510855)
(86)(22)【出願日】2015年3月24日
(86)【国際出願番号】JP2015059005
【審査請求日】2016年2月29日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成26年度 経済産業省「産業技術研究開発(三次元造形技術を核としたものづくり革命プログラム(次世代型産業用3Dプリンタ技術開発及び超精密三次元造形システム技術開発))」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】514227988
【氏名又は名称】技術研究組合次世代3D積層造形技術総合開発機構
(74)【代理人】
【識別番号】100134430
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 卓士
(74)【代理人】
【識別番号】100198960
【弁理士】
【氏名又は名称】奥住 忍
(72)【発明者】
【氏名】宮野 英昭
(72)【発明者】
【氏名】大場 好一
(72)【発明者】
【氏名】加藤 陽介
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 幸吉
(72)【発明者】
【氏名】大長 勇哉
【審査官】 大塚 徹
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0287185(US,A1)
【文献】 特開2002−292748(JP,A)
【文献】 特開平10−211656(JP,A)
【文献】 特開2001−269935(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 67/00
B22F 3/105
B22F 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末を貯蔵するホッパと、
造形面に前記粉末を散布する粉末散布手段と、
前記ホッパと前記粉末散布手段との間に設けられ、前記粉末散布手段に一定量の粉末を補充する粉末補充手段と、
前記粉末補充手段を回動させる回動手段と、
前記ホッパと前記粉末補充手段との間に設けられた中間ホッパと、
を有し、
前記ホッパは、前記中間ホッパへ前記粉末を供給し、
前記粉末補充手段および前記中間ホッパの移動方向に垂直な方向である幅方向の長さは、少なくとも前記造形面の幅方向の長さを有し、
前記中間ホッパは、前記ホッパから供給された前記粉末を前記中間ホッパの前記幅方向の全体に移送する粉末移送機構を備える、
ことを特徴とする粉末供給装置。
【請求項2】
前記ホッパは、前記中間ホッパの前記幅方向の一部に前記粉末を供給することを特徴とする請求項1に記載の粉末供給装置。
【請求項3】
前記粉末移送機構は、スクリューコンベアまたはスクリューフィーダであることを特徴とする請求項2に記載の粉末供給装置。
【請求項4】
前記粉末補充手段は、柱状部材であり、側面に、中心軸に沿った方向に、前記粉末を収容するための溝を少なくとも1つ有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の粉末供給装置。
【請求項5】
前記溝の断面形状は、矩形、半円形または三角形であることを特徴とする請求項4に記載の粉末供給装置。
【請求項6】
前記溝は、スリット状であって、前記中心軸に沿った方向に複数個設けられていることを特徴とする請求項4または5に記載の粉末供給装置。
【請求項7】
前記回動手段は、サーボモータであることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の粉末供給装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の粉末供給装置の制御方法であって、
前記ホッパに粉末を貯蔵して、前記粉末移送機構が起動された前記中間ホッパに供給するステップと、
前記粉末を前記中間ホッパから前記粉末補充手段に供給するステップと、
前記粉末補充手段を前記回動手段で回動させて、前記ホッパから供給された前記粉末を粉末散布手段へ供給して、補充するステップと、
前記粉末補充手段から補充された前記粉末を造形面に散布するステップと、
を含むことを特徴とする粉末供給装置の制御方法。
【請求項9】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の粉末供給装置の制御プログラムであって、
前記ホッパに粉末を貯蔵して、前記粉末移送機構が起動された前記中間ホッパに供給するステップと、
前記粉末を前記中間ホッパから前記粉末補充手段に供給するステップと、
前記粉末補充手段を前記回動手段で回動させて、前記ホッパから供給された前記粉末を粉末散布手段へ供給して、補充するステップと、
前記粉末補充手段から補充された前記粉末を造形面に散布するステップと、
をコンピュータに実行させることを特徴とする粉末供給装置の制御プログラム。
【請求項10】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の粉末供給装置と、
前記粉末にバインダを噴射する噴射手段および前記粉末にレーザ光または電子線を照射する照射手段の少なくとも一方と、
を含む3次元造形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末供給装置、粉末供給装置の制御方法、粉末供給装置の制御プログラムおよび3次元造形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記技術分野において、特許文献1には、スクリュー部材を備える筒状部材により粉末材料を供給する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−279928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、一定量の粉末を迅速に供給することができなかった。
【0005】
本発明の目的は、上述の課題を解決する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る粉末供給装置は、
粉末を貯蔵するホッパと、
造形面に前記粉末を散布する粉末散布手段と、
前記ホッパと前記粉末散布手段との間に設けられ、前記粉末散布手段に一定量の粉末を補充する粉末補充手段と、
前記粉末補充手段を回動させる回動手段と、
前記ホッパと前記粉末補充手段との間に設けられた中間ホッパと、
を有し、
前記ホッパは、前記中間ホッパへ前記粉末を供給し、
前記粉末補充手段および前記中間ホッパの移動方向に垂直な方向である幅方向の長さは、少なくとも前記造形面の幅方向の長さを有し、
前記中間ホッパは、前記ホッパから供給された前記粉末を前記中間ホッパの前記幅方向の全体に移送する粉末移送機構を備える、
ことを特徴とする。
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る粉末供給装置の制御方法は、
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の粉末供給装置の制御方法であって、
前記ホッパに粉末を貯蔵して、前記粉末移送機構が起動された前記中間ホッパに供給するステップと、
前記粉末を前記中間ホッパから前記粉末補充手段に供給するステップと、
前記粉末補充手段を前記回動手段で回動させて、前記ホッパから供給された前記粉末を粉末散布手段へ供給して、補充するステップと、
前記粉末補充手段から補充された前記粉末を造形面に散布するステップと、
を含むことを特徴とする。
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る粉末供給装置の制御プログラムは、
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の粉末供給装置の制御方法であって、
前記ホッパに粉末を貯蔵して、前記粉末移送機構が起動された前記中間ホッパに供給するステップと、
前記粉末を前記中間ホッパから前記粉末補充手段に供給するステップと、
前記粉末補充手段を前記回動手段で回動させて、前記ホッパから供給された前記粉末を粉末散布手段へ供給して、補充するステップと、
前記粉末補充手段から補充された前記粉末を造形面に散布するステップと、
をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ホッパからリコータへ一定量の粉末を迅速に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態に係る粉末供給装置の構成を示す概略側面図である。
図2】本発明の第2実施形態に係る粉末供給装置の構成を示す概略側面図である。
図3A】本発明の第2実施形態に係る粉末供給装置の構成を示す概略正面図である。
図3B】本発明の第2実施形態に係る粉末供給装置の構成を示す概略正面図である。
図3C】本発明の第2実施形態に係る粉末供給装置の構成を示す概略正面図である。
図4A】本発明の第2実施形態に係る粉末供給装置の備える粉末補充部の斜視図である。
図4B】本発明の第2実施形態に係る粉末供給装置の備える粉末補充部の斜視図である。
図5A】本発明の第2実施形態に係る粉末供給装置の備える粉末補充部の断面図である。
図5B】本発明の第2実施形態に係る粉末供給装置の備える粉末補充部の断面図である。
図5C】本発明の第2実施形態に係る粉末供給装置の備える粉末補充部の断面図である。
図5D】本発明の第2実施形態に係る粉末供給装置の備える粉末補充部の断面図である。
図6】本発明の第3実施形態に係る3次元造形装置の構成を示す概略正面図である。
図7】本発明の第3実施形態に係る3次元造形装置の備える粉末散布部の制御手順を示すフローチャートである。
図8】本発明の第3実施形態に係る3次元造形装置の備える粉末補充部の制御手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を参照して、例示的に詳しく説明記載する。ただし、以下の実施の形態に記載されている、構成、数値、処理の流れ、機能要素などは一例に過ぎず、その変形や変更は自由であって、本発明の技術範囲を以下の記載に限定する趣旨のものではない。
【0012】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態としての粉末供給装置100について、図1を用いて説明する。粉末供給装置100は、積層造形により造形される3次元造形物の造形材料である金属や樹脂などの粉末を造形面上に供給する装置である。
【0013】
図1に示すように、粉末供給装置100は、ホッパ101と、粉末散布部102と、粉末補充部103と、回動部104とを備える。ホッパ101は、3次元造形物の造形材料である粉末120を貯蔵する。粉末散布部102は、造形面110に粉末を散布する。粉末補充部103は、ホッパ101と粉末散布部102との間に設けられ、粉末散布部102に一定量の粉末を補充する。回動部104は、粉末補充部103を回動させる。
【0014】
本実施形態によれば、ホッパからリコータへ一定量の粉末を迅速に供給することができる。
【0015】
[第2実施形態]
次に本発明の第2実施形態に係る粉末供給装置について、図2図5Dを用いて説明する。図2は、本実施形態に係る粉末供給装置200の構成を説明するための概略側面図である。粉末供給装置200は、ホッパ201と、粉末散布部202と、粉末補充部203と、回動部204と、中間ホッパ205とを備える。
【0016】
ホッパ201は、3次元造形物の造形材料である金属や樹脂などの粉末220を貯蔵する。そして、ホッパ201は、中間ホッパ205へ粉末220を供給する。中間ホッパ205は、ホッパ201から供給された粉末220を粉末補充部203へと供給する。
【0017】
粉末補充部203は、図示したような断面矩形の溝が側面に設けられた円柱状の部材である。粉末補充部203は、回動部204により回動し、粉末散布部202が所定位置にあるときに回動することにより、一定量の粉末220を迅速に粉末散布部202に供給する。粉末補充部203は、粉末散布部202への粉末220の補充が完了すると、再度回動部204により回動されて元の位置に戻る。回動部204は、例えば、サーボモータやステッピングモータであるが、これらには限定されない。
【0018】
粉末散布部202は、リコータ221と中間貯蔵部222とを備える。リコータ221への粉末220の補充は、粉末補充部203から直接行われるのではなく、リコータ221に一体に設けられた中間貯蔵部222を介して行われる。粉末散布部202は、造形面210上を走査しながら、粉末補充部203から補充された粉末220を散布して、造形物230の造形材料となる粉末220を積層する。
【0019】
粉末散布部202が造形面210上を移動して粉末220を散布する場合、粉末散布部202と粉末補充部203とは切り離されて、粉末散布部202が移動する。したがって、粉末散布部202が造形面210上を走査している間は、リコータ221が、粉末補充部203から粉末220の補充を受けられない。したがって、リコータ221に中間貯蔵部222を一体に設けることにより、リコータ221は、中間貯蔵部222から粉末220の供給を受けながら、造形面210上に粉末220を散布する。
【0020】
図3A図3Cは、本実施形態に係る粉末供給装置200の構成を説明するための概略正面図である。同図に示したように、粉末補充部203および中間ホッパ205は、左右方向に横長の形状をしている。粉末補充部203の全長は約1〜2mであり、全体を1つの部材で構成してもよいし、複数の部材、例えば、数10cm程度の部材を複数個連結して構成してもよい。複数個の部材を連結することにより、例えば、粉末補充部203の強度を上げることや、メンテナンスを容易に行うことなどが可能となる。
【0021】
ホッパ201は、中間ホッパ205のほぼ中央に配置されている。ホッパ201は、狭い範囲にしか粉末220を供給できない。そのため、粉末散布部202および粉末補充部203が横長の部材の場合には、均一に粉末220を供給できない。また、ホッパ201のみで、粉末220を横長の粉末供給部203に供給しようとすると、ホッパ201自体を大きくしなければならず、装置全体が大型化してしまう。
【0022】
そこで、中間ホッパ205は、スクリューコンベア251などの粉末移送機構を備えた構成とした。中間ホッパ205に対して、ホッパ201から供給された粉末220は、スクリューコンベア251により、中間ホッパ205の左右両端方向へ撹拌されながら移送される。
【0023】
また、ホッパ201の設置数は1つには限定されず、複数でもよい。ホッパ201を複数設置することにより、1つのホッパに粉末220を補充している間であっても、残りのホッパで粉末220の供給ができるので、装置を停止させることなく造形物230の造形を継続することができる。なお、ホッパ201の配置位置は、中間ホッパ205の中央位置には限定されず、図3Bおよび図3Cに示したように、中間ホッパ205の左右両端位置でもよい。
【0024】
また、ホッパ201を複数設置することにより、粉末220を補充する時間を短縮することが可能となる。さらに、中間ホッパ205は全長が長いので、複数のホッパ201を設置することにより、粉末220が中間ホッパ205の全体に万遍なく行き渡らないなどの不具合が生じることを防止できる。
【0025】
ホッパ201の設置数が1つの場合に、大量の粉末220を散布したり、積層造形を長時間行うには、ホッパ201が大型化する。また、粉末供給装置200の上部に重量物を配置しなければならず、この場合、装置全体の重量が増大するなどのデメリットが生じる。したがって、図示はしないが、ホッパ201の代わりに中間ホッパ205にホースなどを接続しておき、粉末220を粉末供給元から圧送などによりホースの中を通して中間ホッパ205に供給してもよい。これにより、多量の粉末220が必要な場合や、長時間の造形が必要な場合、装置全体を小型化したい場合などであっても対応可能となる。
【0026】
中間ホッパ205に設けられたスクリューコンベア251は、有軸または無軸であってもよいし、また、粉末移送機構としてスクリューフィーダを設けてもよく、粉末220を移送できる機構であればこれらには限定されない。また、スクリューコンベア251などを用いずに、中間ホッパ205を傾斜させたり、中間ホッパ205にテーパーなどを設けたりしてもよい。さらに、スクリューコンベア251などと傾斜などとを組み合わせてもよい。このような粉末移送機構を設けることで、造形面210に散布する粉末220の偏析を少なくすることができる。
【0027】
図4Aおよび図4Bは、本実施形態に係る粉末供給装置200が備える粉末補充部203の斜視図である。これらの図では、粉末補充部203は、円柱状の形状をしているが、粉末補充部203の形状はこれには限定されず、四角柱状や多角柱状などであってもよい。
【0028】
図4Aに示したように、溝231は、粉末補充部203の側面に1つ設けられている。また、溝231は、円柱状の形状をした粉末補充部203の中心軸に沿った方向に設けられている。また、図4Bに示したように、溝232を、スリット状に複数個設けてもよい。
【0029】
図5A図5Dは、粉末補充部203の溝231の形状の説明をするための断面図である。同図に示したように、溝231の断面形状は、矩形、三角形、半円形など粉末を一定量貯めることができる形状であればいずれの形状でもよい。
【0030】
図5Aのように、溝231の断面形状を矩形とすることにより、溝231の容積を大きく取ることが可能となり、粉末220の処理量や収容量を増やすことができる。さらに、粉末補充部203の製造に要する費用を低減できる。
【0031】
図5Bのように、溝231の断面形状を三角形とすることにより、粉末220が落下し易くなる。例えば、水分などを含んだ湿った粉末220の場合などには特に、溝231の内面に粉末220が付着しにくくなる。また、粉末補充部203の強度も比較的維持し易くなる。例えば、上述の矩形の場合、溝231の深さを大きくし過ぎると、粉末補充部203が折れ易くなるが、扇形や三角形であれば折損の可能性を低減できる。
【0032】
さらに、図5Cのように、溝231の断面形状を半円形とすることにより、粉末220を収容するための容積を保つことが可能となる。さらに、溝231の形状が矩形や三角形の場合のように、粉末220が、溝231の角に付着して、溝231の中に残ることを防止し易くなる。
【0033】
図5Dのように、粉末補充部203に設ける溝231は1つには限定されず、複数個設けてもよい。これにより、溝231に粉末220を供給している間に、別の溝232から粉末220を粉末散布部202に供給することができるので、溝231に粉末220を供給する時間が長くかかる場合には効果的である。また、粉末220をより迅速に粉末散布部202に供給することも可能となる。
【0034】
同図に示した例では、溝231を4個設けているが、溝231の数は、2個でも、3個でもよいし、4個以上でもよい。この場合、粉末補充部203は、回動させてもよく、また、一方向に回転させてもよく、使用用途などに合わせてユーザが適宜設定することができる。
【0035】
本実施形態によれば、上述のような構成としたので、粉末を一定量、例えば、1層分だけ正確かつ迅速に計量でき、ホッパからリコータへ一定量の粉末を高速で供給できる。また、ホッパを振動させる必要もないので、粉末の流動性を気にすることなく粉末を取り扱うことができる。さらに、一定量を正確に量り取ることができるので、材料、例えば、粉末などの無駄が生じない。
【0036】
[第3実施形態]
次に本発明の第3実施形態に係る3次元造形装置について、図6図8を用いて説明する。図6は、本実施形態に係る3次元造形装置の全体構成を説明するための概略正面図である。本実施形態に係る3次元造形装置600は、上記第2実施形態に係る粉末供給装置を用いた装置である。したがって、図6における粉末供給装置の構成および動作は、第2実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0037】
3次元造形装置600は、粉末供給装置200と、噴射部601と、供給部602とを備える。噴射部601は、造形面210上に散布された粉末220にバインダ611を噴射して、粉末220を固化させる。なお、噴射部601の代わりに造形面210上の粉末220にレーザ光や電子線などを照射する照射部を設けてもよく、粉末220の性質や造形物230の種類や用途などに応じて適宜選択できる。供給部602は、バインダやパージガスなどを供給するが、供給物はこれらには限定されず、3次元造形に必要な供給物を適宜供給することができる。なお、図6においては、3次元造形装置600が有するその他の汎用的な装置や機構などは図示を省略している。
【0038】
図7は、本実施形態に係る3次元造形装置の備える粉末散布部202の制御手順を説明するフローチャートである。ステップS701において、3次元造形装置600は、3次元造形物の造形作業を行っているか否かを判断する。造形作業中でなければ、3次元造形装置600は、造形作業が開始されるまで待機する。
【0039】
造形作業中であれば、ステップS703において、3次元造形装置600は、粉末散布部202の中間貯蔵部222やリコータ221が空になっているか否かを判断する。粉末散布部202などが空になっていなければ、3次元造形装置600は、粉末散布部202などが空になるまで待機する。粉末散布部202などが空になっていれば、3次元造形装置は、次のステップへ進む。
【0040】
ステップS705において、3次元造形装置600は、粉末散布部202が供給位置にあるか否かを判断する。粉末散布部202が供給位置になければ、3次元造形装置600は、粉末散布部202が供給位置に戻るまで待機する。粉末散布部202が供給位置に戻っていれば、3次元造形装置600は、次のステップに進む。
【0041】
ステップS707において、3次元造形装置600は、粉末補充部203が満タンか否かを判断する。粉末補充部203が満タンでなければ、3次元造形装置600は、粉末補充部203が満タンになるまで待機する。粉末補充部203が満タンであれば、3次元造形装置600は、次のステップに進む。
【0042】
ステップS709において、3次元造形装置600は、粉末補充部203を動かして粉末散布部202に粉末220を補充する。
【0043】
図8は、本実施形態に係る3次元造形装置の備える粉末補充部203の制御手順を説明するフローチャートである。ステップS801において、3次元造形装置600は、3次元造形物の造形作業を行っているか否かを判断する。造形作業中でなければ、3次元造形装置600は、造形作業が開始されるまで待機する。
【0044】
造形作業中であれば、ステップS803において、3次元造形装置600は、粉末補充部203が空か否かを判断する。粉末補充部203が空でなければ、3次元造形装置600は、粉末補充部203が空になるまで待機する。
【0045】
粉末補充部203が空であれば、ステップS805において、3次元造形装置600は、中間ホッパ205などから粉末補充部203に粉末220を供給する。
【0046】
ステップS807において、3次元造形装置600は、粉末散布部202が満タンか否かを判断する。粉末散布部202が満タンであれば、3次元造形装置600は、粉末散布部202が空になるまで待機する。粉末散布部202が空であれば、3次元造形装置600は、次のステップに進む。
【0047】
ステップS809において、3次元造形装置600は、粉末補充部203を動かして粉末散布部202に粉末220を補充する。
【0048】
なお、図7および図8では、粉末散布部202と粉末補充部203との制御手順を分けて説明をしたが、粉末散布部202と粉末補充部203とは互いに連動して動作するようにしてもよいし、それぞれ別個に動作するようにしてもよい。
【0049】
本実施形態によれば、粉末を一定量、例えば、1層分だけ正確かつ迅速に計量でき、ホッパからリコータへ一定量の粉末を高速で供給できるので、リコータが粉末の供給を待つ必要がなく、粉末などの材料の無駄が生じず、造形物を正確に積層することができる。また、振動などを用いて粉末を供給していないので、粉末供給の速度を制限する機構がなく、粉末を高速で供給できる。さらに、余分な機構がないので、機械の故障やメンテナンスなども必要なく、ランニングコストやメンテナンスコストも低減し、3次元造形装置の稼働率も向上する。
【0050】
[他の実施形態]
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。また、それぞれの実施形態に含まれる別々の特徴を如何様に組み合わせたシステムまたは装置も、本発明の範疇に含まれる。
【0051】
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用されてもよいし、単体の装置に適用されてもよい。さらに、本発明は、実施形態の機能を実現する情報処理プログラムが、システムあるいは装置に直接あるいは遠隔から供給される場合にも適用可能である。したがって、本発明の機能をコンピュータで実現するために、コンピュータにインストールされるプログラム、あるいはそのプログラムを格納した媒体、そのプログラムをダウンロードさせるWWW(World Wide Web)サーバも、本発明の範疇に含まれる。特に、少なくとも、上述した実施形態に含まれる処理ステップをコンピュータに実行させるプログラムを格納した非一時的コンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)は本発明の範疇に含まれる。
【要約】
ホッパからリコータへ一定量の粉末を迅速に供給すること。粉末供給装置であって、ホッパと、粉末散布手段と、粉末補充手段と、回動手段とを備えることを特徴とする。粉末供給装置のホッパは、粉末を貯蔵する。粉末供給装置の粉末補充手段は、造形面に前記粉末を散布する粉末散布手段と、前記ホッパと前記粉末散布手段との間に設けられ、前記粉末散布手段に一定量の粉末を補充する。粉末供給装置の回動手段は、前記粉末補充手段を回動させる。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7
図8