(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記流体入口(28)と前記超音速圧縮機ロータ(40)との間を流体連通して位置付けられる前置翼アセンブリ(38)をさらに備える、請求項1に記載の超音速圧縮機システム(10)。
前記遠心圧縮機アセンブリ(46)が前記第1の駆動軸(72)に連結され、前記第1の駆動軸が、前記超音速圧縮機ロータ(40)および前記遠心圧縮機アセンブリをそれぞれ第1の回転速度で回転させるように構成された、請求項1または2に記載の超音速圧縮機システム(10)。
前記遠心圧縮機アセンブリ(46)に連結された第2の駆動軸(74)をさらに備え、前記第1の駆動軸(72)が前記超音速圧縮機ロータ(40)を第1の回転速度で回転させるように構成され、前記第2の駆動軸が、前記第1の回転速度とは異なる第2の回転速度で前記遠心圧縮機アセンブリを回転させるように構成された、請求項1から3のいずれかに記載の超音速圧縮機システム(10)。
前記第1の駆動軸が前記超音速圧縮機ロータ(40)を第1の回転方向で回転させるように構成され、前記第2の駆動軸(74)が、前記第1の回転方向とは異なる第2の回転方向で前記遠心圧縮機アセンブリ(46)を回転させるように構成された、請求項4に記載の超音速圧縮機システム(10)。
前記流体入口(28)と前記超音速圧縮機ロータ(40)との間を流体連通して位置付けられる前置翼アセンブリ(38)をさらに備える、請求項9に記載の超音速圧縮機システム(10)。
【発明を実施するための形態】
【0012】
別段の指示がない限り、本明細書にて提供される図面は本発明の重要な発明の特徴を示すものとする。これらの重要な発明の特徴は、本発明の1つまたは複数の実施形態を含む種々のシステムにおいて適用可能であるものと考えられる。そのため、図面は、本発明の実施に必要であることが当業者に知られているすべての従来の特徴を含むものではない。
【0013】
以下の明細書およびそれに続く請求項において、多数の用語が言及されるが、それらは次の意味を有するものと定義するものとする。数詞がない場合や「前記」などの冠詞は、文脈において別段の明示がない限り、複数の指示対象を含む。
【0014】
「適宜の」または「適宜」は、それに続いて記載される事象または状況が発生してもしなくてもよく、その説明は、事象が発生する場合および発生しない場合を含むことを意味する。
【0015】
近似の文言は、明細書および請求項全体にわたって使用するとき、関連する基本的機能を変化させることなく、随意に変動する可能性があるあらゆる量的表現を修正するために適用されることがある。したがって、「約」および「ほぼ」などの用語によって修正される値は、指定される正確な値に限定されないものとする。少なくともいくつかの例では、近似の文言は値を測定する機器の精度に対応することがある。本項では、また明細書および請求項全体にわたって、範囲の限定は組み合わされ、かつ/または置き換えられることがあり、文脈または文言による別段の指示がない限り、かかる範囲はそれに含まれるすべての下位範囲を特定し含む。
【0016】
本明細書で使用するとき、用語「超音速圧縮機ロータ」は、超音速圧縮機ロータの流体フローチャネル内に配置された超音速圧縮ランプを備える圧縮機を指す。超音速圧縮機ロータは、ロータのフローチャネル内に配置された超音速圧縮ランプにおいて、回転する超音速圧縮機ロータに衝突する移動流体、例えば移動ガスが、超音速である相対的な流体速度を有すると考えられるようにして、回転軸を中心にして高速で回転するように設計されていることから、「超音速」と呼ばれる。相対的な流体速度は、超音速圧縮ランプにおけるロータ速度と超音速圧縮ランプに衝突する直前の流体速度とのベクトル和の点から定義することができる。この相対的な流体速度は、「局所的な超音速流入速度(local supersonic inlet velocity)」と呼ばれることがあり、これは、特定の実施形態では、入口ガス速度と、超音速圧縮機ロータのフローチャネル内に配置された超音速圧縮ランプの接線速度との組み合わせである。超音速圧縮機ロータは、非常に高い接線速度で、例えば300メートル/秒〜800メートル/秒の範囲の接線速度で運転するように設計される。
【0017】
本明細書に記載される例示的なシステムおよび方法は、圧縮機アセンブリに連結された超音速圧縮機ロータを含む超音速圧縮機システムを提供して、流体の圧縮効率の向上を促進することによって、既知の超音速圧縮機アセンブリの不利な点を克服する。より具体的には、本明細書に記載される実施形態は、流体を圧縮し、圧縮流体を遠心圧縮機アセンブリへと導くため、流体入口と遠心圧縮機アセンブリとの間を流体連通して位置付けられる超音速圧縮機ロータを含む。それに加えて、遠心圧縮機アセンブリの上流側に超音速圧縮機ロータを提供することによって、超音速圧縮機システムは、既知の遠心圧縮機アセンブリよりも多量の流体を圧縮することができる。
【0018】
図1は、例示的な超音速圧縮機システム10の概略図である。
図2は、超音速圧縮機システム10の概略断面図である。
図2に示される同一の構成要素には、
図1で使用されるのと同じ参照番号が付されている。例示的実施形態では、超音速圧縮機システム10は、吸込区画12と、吸込区画12の下流側に連結された圧縮機区画14と、圧縮機区画14の下流側に連結された吐出区画16と、駆動アセンブリ18とを含む。駆動アセンブリ18は、駆動モータ22に回転可能に連結された少なくとも1つの駆動軸20を含む。駆動軸20は、中心軸線24を画定し、中心軸線24を中心にして圧縮機区画14を回転させるように圧縮機区画14に連結される。例示的実施形態では、吸込区画12、圧縮機区画14、および吐出区画16はそれぞれ圧縮機ハウジング26内に位置付けられる。圧縮機ハウジング26は、流体入口28と、流体出口30と、キャビティ34を画定する内表面32とを含む。キャビティ34は、流体入口28と流体出口30との間に延在し、流体入口28から流体出口30へと流体を導くように構成される。吸込区画12、圧縮機区画14、および吐出区画16はそれぞれキャビティ34内に位置付けられる。
【0019】
例示的実施形態では、流体入口28は、流体源36から吸込区画12へと流体を導くように構成される。流体は、例えばガス、ガス混合物、固体・ガス混合物、および/または液体・ガス混合物など、いかなる流体であってもよい。吸込区画12は、流体入口28から圧縮機区画14へと流体を導くため、圧縮機区画14と流体入口28との間を流体連通して位置付けられる。吐出区画16は、圧縮機区画14と流体出口30との間を流体連通して位置付けられる。
【0020】
例示的実施形態では、吸込区画12は1つまたは複数の前置翼(inlet guide vane)アセンブリ38を含む。前置翼アセンブリ38は、渦、速度、質量流量、圧力、温度、および/または本明細書に記載されるように圧縮機区画14を機能させるのに適したあらゆるフローパラメータなど、1つまたは複数の予め定められたパラメータを含むように流体を調整するように構成される。前置翼アセンブリ38は、流体入口28から圧縮機区画14へと流体を導くため、流体入口28と圧縮機区画14との間に連結される。
【0021】
例示的実施形態では、圧縮機区画14は、吸込区画12から吐出区画16へと流体の少なくとも一部分を導くため、吸込区画12と吐出区画16との間に連結される。圧縮機区画14は、少なくとも1つの超音速圧縮機ロータ40と、遷移アセンブリ42と、圧縮機アセンブリ44とを含む。超音速圧縮機ロータ40は、前置翼アセンブリ38と圧縮機アセンブリ44との間を流体連通して位置付けられる。圧縮機アセンブリ44は遠心圧縮機アセンブリ46を含む。例示的実施形態では、圧縮機ハウジング26は、超音速圧縮機ロータ40に隣接して位置付けられたダイヤフラムアセンブリ48と、遷移アセンブリ42と、遠心圧縮機アセンブリ46とを含む。ダイヤフラムアセンブリ48は、矢印50によって表される、超音速圧縮機システム10を通る流路を少なくとも部分的に画定する。
【0022】
例示的実施形態では、超音速圧縮機ロータ40は、流体の圧力を増加させ、流体の量を低減し、かつ/または吸込区画12から吐出区画16へと導かれる流体の温度を上昇させるように構成される。超音速圧縮機ロータ40は、前置翼アセンブリ38から遷移アセンブリ42へと流体を導く。例示的実施形態では、超音速圧縮機ロータ40は、中心軸線24にほぼ垂直な半径方向54に沿って流体を導く半径流路52を含む。遷移アセンブリ42は、超音速圧縮機ロータ40から遠心圧縮機アセンブリ46へと流体を導くように構成される。遷移アセンブリ42は、超音速圧縮機ロータ40と遠心圧縮機アセンブリ46との間に延在する遷移流チャネル58を画定する内表面56を含む。遷移流チャネル58は、半径方向54から中心軸線24にほぼ平行な軸線方向60へと流体の向きを遷移させるようにサイズ、形状、および向きが決められる。一実施形態では、遷移アセンブリ42は、遠心圧縮機アセンブリ46へと導かれる流体を調整するように構成された、円周方向に間隔を空けた固定ブレード61の1つまたは複数の列59を含む。
【0023】
例示的実施形態では、遠心圧縮機アセンブリ46は、遷移アセンブリ42と吐出区画16との間を流体連通して位置付けられる。遠心圧縮機アセンブリ46は、圧縮機ディスク64に連結された複数の遠心翼(centrifugal vane)62を含む。隣接した遠心翼62は、圧縮機ディスク64を中心にして円周方向に間隔を空けられて、隣接した遠心翼62それぞれの間に延在する遠心流チャネル66を画定する。遠心流チャネル66は、フローチャネル入口68とフローチャネル出口69との間に延在する。フローチャネル入口68は、超音速圧縮機ロータ40に隣接して位置付けられ、軸線方向60に沿って超音速圧縮機ロータ40から流体を受け入れるように構成される。フローチャネル出口69は、吐出区画16に隣接して位置付けられ、半径方向54で吐出区画16へと流体を吐出するように構成される。遠心流チャネル66は、軸線方向60から半径方向54へと流体を導くとともに、遠心力を流体に与えて、フローチャネル出口69から吐出される流体の圧力および速度を増加させるように、サイズ、形状、および向きが決められる。
【0024】
代替実施形態では、圧縮機アセンブリ44は混流圧縮機アセンブリ70を含む。混流圧縮機アセンブリ70は、軸線方向60および/または半径方向54に対して斜めに向きを与えられた少なくとも1つの内表面71を含む。一実施形態では、混流圧縮機アセンブリ70は、軸線方向60に対して斜めの角度で超音速圧縮機ロータ40から流体を受け入れるように構成される。混流圧縮機アセンブリ70はまた、半径方向54に対して斜めの方向で流体を吐出するように構成される。
【0025】
例示的実施形態では、駆動アセンブリ18は第1の駆動軸72を含む。超音速圧縮機ロータ40、遷移アセンブリ42、および遠心圧縮機アセンブリ46はそれぞれ、第1の駆動軸72に連結される。駆動アセンブリ18は第1の駆動軸72を回転させるように構成され、それによって、超音速圧縮機ロータ40、遷移アセンブリ42、および遠心圧縮機アセンブリ46がそれぞれ同じ回転速度で回転する。代替実施形態では、駆動アセンブリ18は、駆動モータ22に連結された第2の駆動軸74を含む。この代替実施形態では、第1の駆動軸72は超音速圧縮機ロータ40に連結される。第2の駆動軸74は圧縮機アセンブリ44に連結される。駆動アセンブリ18は、矢印76によって表される第1の回転方向で超音速圧縮機ロータ40を回転させ、矢印78によって表される、第1の回転方向76とは反対向きの第2の回転方向で圧縮機アセンブリ44を回転させるように構成される。さらに、駆動アセンブリ18は、超音速圧縮機ロータ40を第1の回転速度で回転させ、圧縮機アセンブリ44を、第1の回転速度とは異なる第2の回転速度で回転させるように構成されてもよい。一実施形態では、第1の駆動軸72は、第2の駆動軸74内に位置付けられ、第2の駆動軸74と同心で向きを与えられる。
【0026】
例示的実施形態では、吐出区画16は、翼ディフューザ80および吐出スクロール(discharge scroll)82を含む。翼ディフューザ80は、圧縮機アセンブリ44と吐出スクロール82との間を流体連通して位置付けられ、圧縮機アセンブリ44から吐出される流体に渦を巻かせるように構成される。吐出スクロール82は、流体を調整して、速度、質量流量、温度、および/またはいずれかの適切なフローパラメータなど、1つもしくは複数の予め定められたパラメータを含めるように構成される。吐出スクロール82はまた、圧縮機アセンブリ44から流体出口30へと流体を導くように構成される。流体出口30は吐出フランジ84を含み、吐出スクロール82から、例えばタービンエンジンシステム、流体処理システム、および/または流体貯蔵システムなどの出力システム86へと流体を導くように構成される。
【0027】
動作中、前置翼アセンブリ38は、流体入口28から超音速圧縮機ロータ40へと流体88を案内する。前置翼アセンブリ38は、流体88の速度を増加させ、超音速圧縮機ロータ40へと導かれる流体88に渦を巻かせる。超音速圧縮機ロータ40は、前置翼アセンブリ38から流体88を受け入れ、流体88の量を低減し、流体88を遷移アセンブリ42内へと吐出する前に流体88の圧力を増加させる。遷移アセンブリ42は、流体88を半径方向54から軸線方向60へと転回させ、流体88を遠心圧縮機アセンブリ46内へと導く。遠心圧縮機アセンブリ46は、軸線方向60に沿って流体88を受け入れ、流体88の圧力の増加を引き起こす遠心力を流体88に与え、半径方向54に沿って流体88を翼ディフューザ80へと吐出する。一実施形態では、遷移アセンブリ42は、半径方向54に対して斜めの方向から流体88を転回させて、軸線方向60に対して斜めの方向で流体を吐出する。
【0028】
図3は、例示的な超音速圧縮機ロータ40の斜視図である。
図4は、
図3に示される断面線4−4における超音速圧縮機ロータ40の断面図である。
図5は、
図4に示される領域5に沿った超音速圧縮機ロータ40の一部分の拡大断面図である。
図4および
図5に示される同一の構成要素には、
図3で使用されるのと同じ参照番号が付されている。例示的実施形態では、超音速圧縮機ロータ40は、ロータディスク92に連結された複数の翼90を含む。ロータディスク92は、中心軸線24に沿ってディスク本体94を通って軸線方向に延在する内部円筒状キャビティ96を画定する、環状のディスク本体94を含む。ディスク本体94は、半径方向内表面98と、半径方向外表面100と、半径方向内表面98と半径方向外表面100との間でほぼ半径方向に延在する端壁102とを含む。端壁102は、中心軸線24に垂直に向きを与えられた半径方向54に延在し、半径方向内表面98と半径方向外表面100との間で画定される幅104を含む。半径方向内表面98は内部円筒状キャビティ96を画定する。内部円筒状キャビティ96は、ほぼ円筒状の形状を有し、中心軸線24を中心にして向きを与えられる。内部円筒状キャビティ96は、駆動軸20(
図1に示される)を中に受け入れるようにサイズ決めされる。
【0029】
例示的実施形態では、翼90はそれぞれ端壁102に連結され、中心軸線24にほぼ平行な軸線方向60で端壁102から外向きに延在する。翼90はそれぞれ、入口縁部106および出口縁部108を含む。入口縁部106は半径方向外表面100に隣接して位置付けられる。出口縁部108は半径方向内表面98に隣接して位置付けられる。例示的実施形態では、隣接した翼90は翼90の対112を形成する。対112はそれぞれ、入口開口部114と、出口開口部116と、隣接した翼90間のフローチャネル118とを画定するように向きを与えられる。フローチャネル118は、入口開口部114と出口開口部116との間に延在し、矢印120(
図4および
図5に示される)によって表される、入口開口部114から出口開口部116まで延在する流路を画定する。流路120は翼90にほぼ平行に向きを与えられる。フローチャネル118は、流路120に沿って入口開口部114から出口開口部116へと半径方向54で流体を導くように、サイズ、形状、および向きが決められる。入口開口部114は、隣接した翼90の隣接した入口縁部106の間で画定される。出口開口部116は、隣接した翼90の隣接した出口縁部108の間で画定される。翼90は、半径方向内表面98と半径方向外表面100との間に翼90が延在するように、入口縁部106と出口縁部108との間で半径方向に延在する。翼90は、外表面122とその反対側の内表面124とを含む。内表面124は端壁102に連結される。翼90は、外表面122と内表面124との間に延在して、フローチャネル118の軸線方向高さ126を画定する。
【0030】
図3を参照すると、例示的実施形態では、フローチャネル118(
図4に示される)がシュラウドアセンブリ128と端壁102との間に画定されるようにして、シュラウドアセンブリ128が各翼90の外表面122に連結される。シュラウドアセンブリ128は、内縁部130と、外縁部132と、内縁部130と外縁部132との間に延在するシュラウドプレート134とを含む。内縁部130はほぼ円筒状の開口部136を画定する。シュラウドアセンブリ128は、内部円筒状キャビティ96が開口部136と同心であるようにして、ロータディスク92と同軸に向きを与えられる。シュラウドプレート134は、翼90の入口縁部106がシュラウドアセンブリ128の内縁部130に隣接して位置付けられ、翼90の出口縁部108がシュラウドアセンブリ128の外縁部132に隣接して位置付けられるようにして、各翼90に連結される。代替実施形態では、超音速圧縮機ロータ40はシュラウドアセンブリ128を含まない。そのような実施形態では、ダイヤフラムアセンブリ48が少なくとも部分的にフローチャネル118を画定するように、ダイヤフラムアセンブリ48が翼90の外表面122それぞれに隣接して位置付けられる。
【0031】
図4を参照すると、例示的実施形態では、少なくとも1つの超音速圧縮ランプ140がフローチャネル118内に位置付けられる。超音速圧縮ランプ140は、入口開口部114と出口開口部116との間に位置付けられ、1つまたは複数の圧縮波142をフローチャネル118内で形成できるように、サイズ、形状、および向きが決められる。
【0032】
超音速圧縮機ロータ40の動作中、前置翼アセンブリ38(
図2に示される)は、フローチャネル118の入口開口部114に向かって流体88を導く。流体88は、入口開口部114に入る直前に、第1の速度、すなわち接近速度(approach velocity)を有する。超音速圧縮機ロータ40は、矢印144によって表される第2の速度、すなわち回転速度で中心軸線24を中心にして回転し、それによって、フローチャネル118に入る流体88が、翼90に対して超音速である入口開口部114における第3の速度、すなわち流入速度を有する。流体88が超音速速度でフローチャネル118を通って導かれると、超音速圧縮ランプ140によって圧縮波142がフローチャネル118内に形成されて、流体88の圧縮が促進されるので、流体88の圧力および温度が上昇し、かつ/または出口開口部116における量が低減される。
【0033】
図5を参照すると、例示的実施形態では、翼90はそれぞれ、第1の吸込側146と、その反対側の第2の圧力側148とを含む。吸込側146および圧力側148はそれぞれ、入口縁部106と出口縁部108との間に延在する。翼90はそれぞれ、フローチャネル118が入口開口部114と出口開口部116との間でほぼ半径方向に向きを与えられるように、内部円筒状キャビティ96を中心にして円周方向に間隔を空けられる。入口開口部114はそれぞれ、入口縁部106において翼90の吸込側146と隣接した圧力側148との間に延在する。出口開口部116はそれぞれ、出口縁部108において吸込側146と隣接した圧力側148との間に延在し、それによって、半径方向外表面100から半径方向内表面98へと半径方向内向きに流路120が画定される。例示的実施形態では、フローチャネル118は、吸込側146と隣接した圧力側148との間で画定され、流路120に垂直である幅150を含む。例示的実施形態では、翼90はそれぞれ弓状に形成され、フローチャネル118がらせん状に画定されるようにして向きを与えられる。
【0034】
例示的実施形態では、フローチャネル118は、流路120に沿って変動する断面積152を画定する。フローチャネル118の断面積152は、流路120に垂直に画定され、フローチャネル118の幅150にフローチャネル118の軸線方向高さ126(
図3に示される)を掛けたものに等しい。フローチャネル118は、第1の面積、すなわち入口開口部114における入口断面積154と、第2の面積、すなわち出口開口部116における出口断面積156と、第3の面積、すなわち入口開口部114と出口開口部116との間で画定される最小断面積158とを含む。例示的実施形態では、最小断面積158は、入口断面積154および出口断面積156よりも小さい。
【0035】
例示的実施形態では、超音速圧縮ランプ140は、翼90の圧力側148に連結され、フローチャネル118ののど部領域160を画定する。のど部領域160はフローチャネル118の最小断面積158を画定する。代替実施形態では、超音速圧縮ランプ140は、翼90の吸込側146、端壁102、および/またはシュラウドアセンブリ128に連結されてもよい。さらなる代替実施形態では、超音速圧縮機ロータ40は、吸込側146、圧力側148、端壁102、および/またはシュラウドアセンブリ128にそれぞれ連結された、複数の超音速圧縮ランプ140を含む。そのような実施形態では、超音速圧縮ランプ140は集合的にのど部領域160を画定する。
【0036】
例示的実施形態では、超音速圧縮ランプ140は、圧縮面162および拡散面(diverging surface)164を含む。圧縮面162は、第1の縁部、すなわち前縁166と、第2の縁部、すなわち後縁168とを含む。前縁166は、後縁168よりも入口開口部114に近接して位置付けられる。圧縮面162は、前縁166と後縁168の間に延在し、斜角170で翼90から隣接した吸込側146に向かって、かつ流路120内へと向きを与えられる。圧縮面162は、圧縮領域172が前縁166と後縁168との間で画定されるように、隣接した吸込側146に向かって収束する。圧縮領域172は、前縁166から後縁168まで流路120に沿って低減されるフローチャネル118の収束断面積174を含む。圧縮面162の後縁168はのど部領域160を画定する。
【0037】
拡散面164は、圧縮面162に連結され、圧縮面162から出口開口部116に向かって下流側に延在する。拡散面164は、第1の端部176と、第1の端部176よりも出口開口部116に近接して位置付けられる第2の端部178とを含む。拡散面164の第1の端部176は、圧縮面162の後縁168に連結される。拡散面164は、第1の端部176と第2の端部178との間に延在し、圧力側148から隣接した吸込側146に向かって斜角180で向きを与えられる。拡散面164は、圧縮面162の後縁168から出口開口部116まで増加する拡散断面積184を含む拡散領域182を画定する。拡散領域182はのど部領域160から出口開口部116まで延在する。
【0038】
例示的実施形態では、超音速圧縮ランプ140は、圧縮波142のシステム186がフローチャネル118内に形成されるように、サイズ、形状、および向きが決められる。動作中、流体88が超音速圧縮ランプ140の前縁166に接触すると、システム186の第1の斜め衝撃波188が形成される。超音速圧縮ランプ140の圧縮領域172は、第1の斜め衝撃波188を、前縁166から隣接した翼90に向かって流路120に対して斜角で、かつフローチャネル118内へと向きを与えるように構成される。第1の斜め衝撃波188が隣接した翼90に接触すると、第2の斜め衝撃波190が、隣接した翼90から流路120に対して斜角で、かつ超音速圧縮ランプ140ののど部領域160に向かって反射される。超音速圧縮ランプ140は、第1の斜め衝撃波188および第2の斜め衝撃波190をそれぞれ圧縮領域172内で形成するように構成される。流体が出口開口部116に向かってのど部領域160を通過すると、垂直衝撃波192が拡散領域182内に形成される。垂直衝撃波192は、流路120に垂直に向きを与えられ、流路120を横切って延在する。
【0039】
流体88が圧縮領域172を通過すると、流体88が第1の斜め衝撃波188および第2の斜め衝撃波190をそれぞれ通過するにつれて流体88の速度は低減される。それに加えて、流体88の圧力は増加し、流体88の量は減少する。流体88がのど部領域160を通過すると、垂直衝撃波192に向かってのど部領域160の下流側で流体88の速度は増加される。流体が垂直衝撃波192を通過すると、流体88の速度はロータディスク92に対して亜音速に減少する。
【0040】
代替実施形態では、超音速圧縮ランプ140は、出口開口部116においてロータディスク92に対して超音速である流出速度を有するように、流体88を調整するように構成される。超音速圧縮ランプ140はさらに、のど部領域160の下流側かつフローチャネル118内に垂直衝撃波が形成されるのを防ぐように構成される。
【0041】
図6は、超音速圧縮機ロータ40の代替実施形態の斜視図である。
図7は、
図6に示される断面線7−7に沿った超音速圧縮機ロータ40の断面図である。
図8は、
図6に示される断面線8−8に沿った超音速圧縮機ロータ40の断面図である。
図6〜8に示される同一の構成要素には、
図3で使用されるのと同じ参照番号が付されている。代替実施形態では、ロータディスク92は上流面194および下流面196を含む。上流面194および下流面196はそれぞれ、半径方向54で半径方向内表面98と半径方向外表面100との間に延在する。上流面194は、半径方向内表面98と半径方向外表面100との間で画定される第1の半径方向幅198を含む。下流面196は、半径方向内表面98と半径方向外表面100との間で画定される第2の半径方向幅200を含む。第1の半径方向幅198は第2の半径方向幅200よりも大きい。
【0042】
この代替実施形態では、半径方向外表面100は、上流面194と下流面196の間で連結され、上流面194から下流面196まで軸線方向60で画定される距離202だけ延在する。翼90はそれぞれ、半径方向外表面100に連結され、半径方向外表面100から外向きに延在する。各翼90の入口縁部106はロータディスク92の上流面194に隣接して位置付けられる。各翼90の出口縁部108は下流面196に隣接して位置付けられる。入口開口部114はそれぞれ、半径方向外表面100によって画定され、上流面194に隣接する。出口開口部116はそれぞれ、半径方向外表面100によって画定され、下流面196に隣接する。入口開口部114は、中心軸線24から第1の半径方向距離204に位置付けられる。出口開口部116は、第1の半径方向距離204よりも長い、中心軸線24から第2の半径方向距離206に位置付けられる。
【0043】
図8を参照すると、半径方向外表面100は、入口面208と、出口面210と、入口面208と出口面210との間に延在する遷移面212とを含む。入口面208は上流面194から遷移面212まで延在する。出口面210は遷移面212から下流面196まで延在する。入口面208は、フローチャネル118が半径方向54に沿って延在する半径流路214を画定するように、中心軸線24にほぼ垂直に向きを与えられる。半径流路214は、入口開口部114から遷移面212まで延在し、半径方向54で流体を導く。出口面210は、フローチャネル118が軸線方向60に沿って延在する軸流路216を画定するように、中心軸線24にほぼ平行に向きを与えられる。軸流路216は、遷移面212から出口開口部116まで延在し、軸線方向60で流体を導く。遷移面212は弓状に形成され、入口面208と出口面210との間に延在する遷移流路218を画定する。遷移面212は、半径方向54から軸線方向60へと流体を導くように向きを与えられるので、流体は、遷移流路218全体にわたって、矢印220によって表される軸流ベクトルと矢印222によって表される半径流ベクトルとを有するものとして特徴付けられる。
【0044】
この代替実施形態では、動作中、流体88は入口開口部114に入り、半径流路214を通って半径方向54に沿って導かれる。流体が遷移流路218に入ると、フローチャネル118は、流体を半径方向54から軸線方向60へと導き、流体を半径流路214から軸流路216へと導く。次に、流体88は、出口開口部116を通って軸線方向60で軸流路216から吐出される。
【0045】
図9は、超音速圧縮機システム10の代替実施形態の概略断面図である。
図10は、超音速圧縮機ロータ40の代替実施形態の斜視図である。
図11は、線11−11に沿った、
図10に示される超音速圧縮機ロータ40の断面図である。
図9に示される同一の構成要素には、
図2で使用されるのと同じ参照番号が付されている。
図10および
図11に示される同一の構成要素には、
図3および
図7で使用されるのと同じ参照番号が付されている。代替実施形態では、超音速圧縮機ロータ40は、遷移アセンブリ42と圧縮機アセンブリ44との間を流体連通して位置付けられる。吐出区画16は、駆動軸20に回転可能に連結され、圧縮機アセンブリ44と流体出口30との間を流体連通して位置付けられた後置翼(outlet guide vane)アセンブリ224を含む。圧縮機アセンブリ44は、軸流圧縮機アセンブリ226を含み、超音速圧縮機ロータ40と後置翼アセンブリ224との間を流体連通して位置付けられる。軸流圧縮機アセンブリ226は、1つまたは複数の固定の翼アセンブリ228と、1つまたは複数の圧縮機ディスクアセンブリ230とを含む。圧縮機ディスクアセンブリ230はそれぞれ、軸線方向で、かつ翼アセンブリ228の隣接した対232それぞれの間で間隔を空けられる。翼アセンブリ228はそれぞれ、ダイヤフラムアセンブリ48に連結され、ダイヤフラムアセンブリ48から駆動軸20に向かって延在する複数の円周方向に間隔を空けたステータ234を含む。圧縮機ディスクアセンブリ230はそれぞれ、圧縮機ディスク238にそれぞれ連結された複数の圧縮機ブレード236を含む。圧縮機ブレード236はそれぞれ、圧縮機ディスク238を中心にして円周方向に間隔を空けられ、圧縮機ディスク238からダイヤフラムアセンブリ48に向かって半径方向外向きに延在する。隣接した圧縮機ディスク238は、円周方向に間隔を空けた圧縮機ブレード236の隣接した列242それぞれの間にギャップ240が画定されるようにして、互いに連結される。ステータ234は、圧縮機ブレード236の隣接した列242の間で各圧縮機ディスク238を中心にして円周方向に間隔を空けられる。
【0046】
代替実施形態では、超音速圧縮機ロータ40は、下流面196の第2の半径方向幅200に等しい上流面194の第1の半径方向幅198を含む。翼90はそれぞれ、半径方向外表面100に連結され、ロータディスク92を中心にしてらせん状で円周方向に延在する。翼90はそれぞれ、半径方向外表面100から半径方向54で外向きに延在する。翼90はそれぞれ、隣接した翼90から軸線方向に離隔し、それによってフローチャネル118は入口開口部114と出口開口部116との間でほぼ軸線方向60に向きを与えられる。フローチャネル118は、入口開口部114から出口開口部116までの軸線方向60に沿った軸流路244を画定する。
【0047】
動作中、代替実施形態では、前置翼アセンブリ38は遷移アセンブリ42へと半径方向54で流体88を導く。遷移アセンブリ42は、半径方向54から軸線方向60へと流体88を導く。超音速圧縮機ロータ40は、流体88を軸線方向60で圧縮し、軸流圧縮機アセンブリ226に向かって軸線方向で流体88を吐出する。軸流圧縮機アセンブリ226は流体88をさらに圧縮し、後置翼アセンブリ224へと軸線方向60で流体88を吐出する。
【0048】
上述の超音速圧縮機ロータは、超音速圧縮機システムを通して流体を圧縮する、コスト効率が良く信頼性の高い方法を提供する。より具体的には、本明細書に記載される超音速圧縮機システムは、流体を圧縮し、圧縮流体を遠心圧縮機アセンブリへと導くため、流体入口と遠心圧縮機アセンブリとの間を流体連通して位置付けられる超音速圧縮機ロータを含む。さらに、遠心圧縮機アセンブリの上流側に超音速圧縮機ロータを提供することによって、超音速圧縮機システムは、既知の超音速圧縮機アセンブリよりも多量の流体を圧縮することができる。その結果、流体を圧縮するために超音速圧縮機システムを動作させるコストを低減することができる。
【0049】
超音速圧縮機ロータのシステムおよび組立て方法の例示的実施形態は、詳細に上述されている。システムおよび方法は、本明細書に記載される特定の実施形態に限定されず、むしろ、システムの構成要素および/または方法のステップは、本明細書に記載される他の構成要素および/またはステップとは独立して、かつそれらとは別個に利用されてもよい。例えば、システムおよび方法はまた、他のロータリーエンジンシステムおよび方法と組み合わせて使用されてもよく、本明細書に記載されるような超音速圧縮機システムのみを用いて実施することに限定されない。より正確には、例示的実施形態は、他の多くのロータリーシステムの用途と関連して実行し利用することができる。
【0050】
本発明の様々な実施形態の特定の特徴は、一部の図面にのみ示されていることがあるが、これは単に便宜上のものである。さらに、上記説明における「一実施形態」に対する言及は、列挙した特徴をやはり組み込む追加の実施形態が存在することを除外するものと解釈すべきでない。本発明の原理にしたがって、図面のあらゆる特徴は、他のいずれかの図面のあらゆる特徴と組み合わせて参照および/または請求されることがある。
【0051】
本明細書は、最良の形態を含む本発明を開示するため、また、いずれかのデバイスまたはシステムの作成と使用、およびいずれかの組み込まれた方法の実行を含めて、当業者が本発明を実施できるようにするため、実施例を用いている。本発明の特許性のある範囲は請求項によって定義されるが、当業者が想起する他の実施例を含んでもよい。他のそのような実施例は、請求項の文言と異ならない構造的要素を有する場合、または請求項の文言と実質的に異ならない等価の構造的要素を含む場合、請求項の範囲内にあるものとする。