【実施例】
【0035】
<実施例1>ギンマメの処理物の調製
(1)採取および乾燥粉末の調製
北海道の手稲山に自生するギンマメであるAmphicarpaea edgeworthiiの地中果を採取した。採取した地中果を、果皮をつけたままの状態で所定の乾燥方法により乾燥させた後、破砕して粉末にすることにより乾燥粉末を得た。50gの種子から23.4gの乾燥粉末が得られた。
【0036】
(2)ギンマメの抽出物の調製
[2−1]100%エタノール抽出物および50%エタノール抽出物
100%(v/v)エタノール10.3mLおよび50%(v/v)エタノール10.8mLに、本実施例1(1)の乾燥粉末をそれぞれ1.03gおよび1.08g加えた後(終濃度はいずれも100mg/mL)、室温で3時間振盪した。続いて、孔径0.2μmのメンブレンフィルターで濾過して濾液を回収した後、常温で減圧乾燥して乾固物を得た。100%(v/v)エタノールに本実施例1(1)の乾燥粉末を1.03g加えたものからは90mg、50%(v/v)エタノールに本実施例1(1)の乾燥粉末を1.08g加えたものからは127.6mgの乾固物が得られた。得られた乾固物を100mg/mLとなるよう、それぞれジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し、100%(v/v)エタノールで抽出したものを100%エタノール抽出物、50%(v/v)エタノールで抽出したものを50%エタノール抽出物とした。
【0037】
[2−2]熱水抽出物
本実施例1(1)の乾燥粉末1.139gを11.39mLの滅菌した熱水に加えた後(終濃度は100mg/mL)、10分間煮沸した。その後、孔径0.2μmのメンブレンフィルターで濾過して濾液を回収し、これを熱水抽出物とした。
【0038】
[2−3]水抽出物
本実施例1(1)の乾燥粉末1.016gを10.16mLの滅菌水に加えた後(終濃度は100mg/mL)、4℃で24時間転倒混和した。その後、孔径0.2μmのメンブレンフィルターで濾過して濾液を回収し、これを水抽出物とした。
【0039】
<比較例1>他の植物の抽出物の調製
マメ科以外の植物として、北海道各地に自生するツルニンジン(Codonopsis lanceolate:キキョウ科)の根、ホソバトウキ(Angelica stenoloba:セリ科)の根、トウキ(Angelica acutiloba:セリ科)の根、ムラサキ(Lithospermum erythrorhizon:ムラサキ科)の根、トチバニンジン(Panax japonicus:ウコギ科)の根茎、およびホタルサイコ(Bupleurum longiradiatum var.elatis:セリ科)の根を採取した。これらについて、実施例1(1)〜(2)[2−2]に記載の方法により100%エタノール抽出物、50%エタノール抽出物および熱水抽出物を調製した。
【0040】
また、マメ科植物として、栽培されたダイズ(Glycine max、品種:トヨムスメ)およびアズキ(Vigna angularis、品種:しゅまり)の種子を用意した。これらについて、実施例1(1)〜(2)[2−3]に記載の方法により、100%エタノール抽出物、50%エタノール抽出物、熱水抽出物および水抽出物を調製した。
【0041】
以下、実施例1(2)[2−1]〜[2−3]のギンマメの100%エタノール抽出物、50%エタノール抽出物、熱水抽出物および水抽出物を「ギンマメの抽出物I群」といい、本比較例1のツルニンジン、ホソバトウキ、トウキ、ムラサキ、トチバニンジンまたはホタルサイコの100%エタノール抽出物、50%エタノール抽出物および熱水抽出物を、それぞれ、「ツルニンジンの抽出物I群」、「ホソバトウキの抽出物I群」、「トウキの抽出物I群」、「ムラサキの抽出物I群」、「トチバニンジンの抽出物I群」、「ホタルサイコの抽出物I群」といい、本比較例1のダイズまたはアズキの100%エタノール抽出物、50%エタノール抽出物、熱水抽出物および水抽出物を、それぞれ、「ダイズの抽出物I群」、「アズキの抽出物I群」という。
【0042】
<実施例2>核内受容体活性促進能の検討;マメ科以外の植物との比較
ヒトの核内受容体であるエストロゲン受容体α(ERα)、エストロゲン受容体β(ERβ)、肝臓X受容体α(LXRα)、肝臓X受容体β(LXRβ)、ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体α(PPARα)、ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体δ(PPARδ)、ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体γ(PPARγ)、プレグナンX受容体(PXR)、レチノイド受容体α(RARα)、レチノイドX受容体α(RXRα)およびビタミンD受容体(VDR)を検討対象として、ギンマメおよびマメ科以外の植物の抽出物の核内受容体活性促進能を、ルシフェラーゼレポーターアッセイにより測定して比較検討した。
【0043】
(1)検討用細胞の準備
具体的には、まず、アフリカミドリザル腎由来細胞株であるCV−1細胞、ヒト肝ガン細胞株であるHepG2細胞を、それぞれ2×10
5個/ウェルとなるよう、6ウェルプレートに播種し、10%(v/v)のウシ胎児血清(FBS)を含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM培地)中で1日間培養した。
【0044】
次に、GAL4遺伝子のDNA結合ドメイン(Gal4−DBD)とヒトの核内受容体(ERα、ERβ、LXRα、LXRβ、PPARα、PPARδ、PPARγ、PXR、RARα、RXRαおよびVDR)のリガンド結合ドメインとのキメラタンパク質を発現する、11種のキメラタンパク質発現プラスミド(pGal4−DBD/ERα−LBD、pGal4−DBD/ERβ−LBD、pGal4−DBD/LXRα−LBD、pGal4−DBD/LXRβ−LBD、pGal4−DBD/PPARα−LBD、pGal4−DBD/PPARδ−LBD、pGal4−DBD/PPARγ−LBD、pGal4−DBD/PXR−LBD、pGal4−DBD/RARα−LBD、pGal4−DBD/RXRα−LBDおよびpGal4−DBD/VDR−LBD)、ホタルルシフェラーゼ遺伝子の上流にGal4−DBD応答配列を連結したレポータープラスミド(pGal4−Luc)、ならびにウミシイタケルシフェラーゼ遺伝子の上流に遺伝子構成的発現プロモーターであるCMVプロモーターまたはSV40プロモーターを連結した2種類の内部標準プラスミド(pRL−CMVおよびpRL−SV40)を用意し、これらキメラタンパク質発現プラスミド、レポータープラスミドおよび内部標準プラスミドを重量比1:0.9:0.1の割合で混合して混合プラスミド液を調製した。
【0045】
調製した混合プラスミド液を、総DNA量で20μg/mLとなるようOpti−MEM培地に加え、さらに遺伝子導入試薬FuGENEを1/20量加えて15分間静置し、これを遺伝子導入用培地とした。CV−1細胞およびHepG2細胞を播種した各ウェルに、調製した遺伝子導入用培地を100μLずつ添加し、6時間培養することによってCV−1細胞およびHepG2細胞にキメラタンパク質発現プラスミド、レポータープラスミドおよび内部標準プラスミドを導入し、これを検討用細胞とした。検討用細胞における細胞の種類および導入したプラスミドの組合せを表3に示す。
【0046】
【表3】
【0047】
(2)検討用の培地における培養およびルシフェラーゼ発光強度の測定
試験物質として、実施例1(2)[2−1]〜[2−3]または比較例1で調製した、ギンマメの抽出物I群、ツルニンジンの抽出物I群、ホソバトウキの抽出物I群、トウキの抽出物I群、ムラサキの抽出物I群、トチバニンジンの抽出物I群およびホタルサイコの抽出物I群を用意した。また、陽性コントロール物質として、検討対象の核内受容体の活性を促進することが知られている物質を用意した。また、試験物質が熱水抽出物および水抽出物である場合における陰性コントロール物質として超純水を、試験物質が100%エタノール抽出物および50%エタノール抽出物である場合における陰性コントロール物質としてDMSOを、それぞれ用意した。
【0048】
フェノールレッドを含まない、活性炭処理したFBSを10%(v/v)含むDMEM培地(活性炭処理FBS含有DMEM培地)に、試験物質、陽性コントロール物質および陰性コントロール物質をそれぞれ添加して、検討用の培地を調製した。検討用の培地における、試験物質の濃度を表4に、陽性コントロール物質の種類および濃度を表5に、それぞれ示す。また、検討用の培地における陰性コントロール物質の濃度は、超純水が終濃度10%(v/v)、DMSOが終濃度0.5%(v/v)とした。
【0049】
【表4】
【0050】
【表5】
【0051】
次に、本実施例2(1)の検討用細胞にトリプシンを作用させて細胞を分散し、96ウェルプレートに、CV−1細胞は1.6×10
4個/ウェル、HepG2細胞は2.0×10
4個/ウェルとなるよう播種した後、ウェル内の培地を検討用の培地に交換して48時間培養することにより、検討用細胞に試験物質、陽性コントロール物質および陰性コントロール物質を作用させた。続いて、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で細胞を洗浄し、デュアルルシフェラーゼアッセイシステム(Promega社)およびプレートリーダー(Luminescencer、AB−2350EX;ATTO社)を用いてホタルルシフェラーゼおよびウミシイタケルシフェラーゼの発光強度を測定した。
【0052】
以上の本実施例2(2)の操作を、1サンプルにつき3つのウェルを用いて行い、サンプルごとに3つのウェルの発光強度の平均値を算出し、これを発光強度の測定結果とした。
【0053】
(3)評価値の算出
本実施例2(2)の発光強度の測定結果について、ホタルルシフェラーゼの発光強度をウミシイタケルシフェラーゼの発光強度で除した値を実質的発光値とした(すなわち、次式「実質的発光値=ホタルルシフェラーゼの発光強度/ウミシイタケルシフェラーゼの発光強度」により算出される)。続いて、試験物質または陽性コントロール物質を添加した場合の実質的発光値を、陰性コントロール物質を添加した場合の実質的発光値で除して、これを評価値とした(すなわち、次式「評価値=試験物質または陽性コントロール物質を添加した場合の実質的発光値/陰性コントロール物質を添加した場合の実質的発光値」により算出される)。よって、評価値は、陰性コントロール物質を添加した場合の実質的発光値1.0に対する、試験物質または陽性コントロール物質を添加した場合の実質的発光値の相対比を示している。したがって、評価値が2.0以上であって、かつ細胞毒性が無い場合は、試験物質または陽性コントロール物質は核内受容体の活性を有意に促進したといえる。なお、陰性コントロール物質を添加した場合と比較して、試験物質または陽性コントロール物質を添加した場合にウミシイタケルシフェラーゼの発光強度が顕著に低下した場合は細胞毒性が有るものとし、同等以上である場合は細胞毒性が無いものとした。
【0054】
(4)結果
試験物質における本実施例2(3)の評価値の最大値と、その最大値が得られた場合の試験物質の種類および濃度を表6にまとめて示す。なお、表6において、評価値の最大値が2以下であった場合は×で示し、100%エタノール抽出物は「100EtOH」、50%エタノール抽出物は「50EtOH」、熱水抽出物は「熱水」、水抽出物は「水」とそれぞれ略記する。また、ギンマメの抽出物I群を検討用細胞に作用させた場合の評価値を
図1〜4に示す。
【0055】
【表6】
【0056】
表6に示すように、ギンマメの抽出物I群では、ERα、ERβ、LXRα、PPARα、PPARγ、PXR、RARα、RXRαおよびVDRに対して評価値が2.0以上であった。これに対して、ツルニンジンの抽出物I群およびムラサキの抽出物I群では、PXRに対してのみ、ホソバトウキの抽出物I群ではERα、LXRα、PPARγおよびPXRに対してのみ、トウキの抽出物I群ではERα、PPARγおよびPXRに対してのみ、トチバニンジンの抽出物I群ではLXRα、PPARγおよびPXRに対してのみ、それぞれ評価値が2.0以上であった。また、ホタルサイコの抽出物I群では、いずれの核内受容体に対しても評価値が2.0以下であった。さらに、ERα、ERβ、LXRα、PPARα、PPARγ、PXR、RARα、RXRαおよびVDRに対する評価値は、ギンマメの抽出物I群が、試験物質の中でもっとも高かった。
【0057】
一方、
図1〜4に示すように、ギンマメの抽出物I群の100%エタノール抽出物はERα、ERβ、LXRα、PPARα、PXR、RARαおよびRXRαに、50%エタノール抽出物はERα、ERβ、LXRα、PPARα、PPARγ、PXRおよびRARαに、熱水抽出物はERα、ERβ、PPARα、PPARγ、PXRおよびVDRに、水抽出物はERα、ERβ、LXRα、PPARα、PPARγ、PXR、およびVDRに対してそれぞれ評価値が2.0以上であった。
【0058】
以上より、ギンマメの抽出物は、ツルニンジン、ホソバトウキ、トウキ、ムラサキ、トチバニンジンおよびホタルサイコの抽出物と比較して、広範囲の種類の核内受容体の活性を促進し、その活性促進能も高いこと、および、抽出方法にかかわらず核内受容体の活性を促進することが明らかになった。これらの結果から、ギンマメの処理物は、広範囲の種類の核内受容体の活性を強力に促進することが示された。
【0059】
<実施例3>核内受容体活性促進能の検討;マメ科の植物との比較
ERα、ERβ、PPARαおよびPPARγを検討対象として、ギンマメおよびマメ科の植物の抽出物の核内受容体活性促進能を、ルシフェラーゼレポーターアッセイにより測定して比較検討した。
【0060】
(1)ギンマメの処理物の準備
実施例1(2)[2−1]のギンマメの100%エタノール抽出物およびギンマメの50%エタノール抽出物、ならびに実施例1(2)[2−3]のギンマメの水抽出物を、−20℃で2、3日間あるいは約一年間保存した。以下、これらを「ギンマメの抽出物II群」という。また、実施例1(2)[2−1]および[2−3]に記載の方法において、「実施例1(1)の乾燥粉末」を「実施例1(1)の乾燥粉末を2、3日間あるいは約一年間冷凍保存したもの」に代えた他は実施例1(2)[2−1]および[2−3]に記載の方法に基づいて、それぞれギンマメの100%エタノール抽出物、ギンマメの50%エタノール抽出物およびギンマメの水抽出物を得た。以下、これらを「ギンマメの抽出物III群」という。
【0061】
(2)検討用細胞の準備
実施例2(1)に記載の方法により検討用細胞を準備した。ただし、キメラタンパク質発現プラスミドとして、4種のキメラタンパク質発現プラスミド(pGal4−DBD/ERα−LBD、pGal4−DBD/ERβ−LBD、pGal4−DBD/PPARα−LBDおよびpGal4−DBD/PPARγ−LBD)を用いた。
【0062】
(3)検討用の培地における培養、ルシフェラーゼ発光強度の測定および評価値の算出
実施例2(2)および(3)に記載の方法により、検討用の培地において検討用細胞を培養してルシフェラーゼ発光強度を測定し、評価値を算出した。ただし、試験物質として、本実施例3(1)のギンマメの抽出物II群およびギンマメの抽出物III群、ならびにダイズの抽出物I群およびアズキの抽出物I群を用いた。また、検討用の培地における試験物質の濃度は、100%エタノール抽出物および50%エタノール抽出物について0.1%(w/v)、0.25%(w/v)および0.5%(w/v)、熱水抽出物および水抽出物について0.5%(w/v)、2%(w/v)および10%(w/v)とした。検討用の培地における試験物質の濃度と乾燥粉末相当量との関係を表7に示す。
【0063】
【表7】
【0064】
(4)結果
また、ERα、ERβ、PPARαおよびPPARγに対する評価値を
図5〜8にそれぞれ示す。
図5に示すように、ERαに対する評価値は、ギンマメの抽出物II群およびIII群では、100%エタノール抽出物、50%エタノール抽出物および水抽出物について、いずれも2.0以上の顕著に高い値であった。これに対し、ダイズの抽出物I群では、100%エタノール抽出物について2.0以下であり、50%エタノール抽出物、熱水抽出物および水抽出物について、いずれも2.0以上の高い値であった。また、アズキの抽出物I群では、100%エタノール抽出物、50%エタノール抽出物、熱水抽出物および水抽出物について、いずれも2.0以下であった。
【0065】
以上より、ギンマメの抽出物II群およびIII群の評価値の大きさはダイズの抽出物I群と比較して同等以上であり、アズキの抽出物I群と比較して顕著に高いことが明らかとなった。すなわち、ギンマメの抽出物は、抽出方法にかかわらずERαの活性を促進すること、およびその活性促進能はダイズの抽出物と比較して同等以上であり、アズキの抽出物と比較して顕著に高いことが明らかになった。
【0066】
次に、
図6に示すように、ERβに対する評価値は、ギンマメの抽出物II群およびIII群では、100%エタノール抽出物、50%エタノール抽出物および水抽出物について、いずれも2.0以上の顕著に高い値であった。また、ダイズの抽出物I群では、100%エタノール抽出物、50%エタノール抽出物、熱水抽出物および水抽出物について、いずれも2.0以上の高い値であった。これに対し、アズキの抽出物I群では、濃度が0.1%(w/v)の100%エタノール抽出物および50%エタノール抽出物、ならびに濃度が0.5%(w/v)の熱水抽出物および水抽出物について、いずれも2.0以下であり、濃度が0.25%(w/v)および0.5%(w/v)の100%エタノール抽出物および50%エタノール抽出物、ならびに濃度が2%(w/v)および10%(w/v)の熱水抽出物および水抽出物について、いずれも2.0以上であった。
【0067】
以上より、ギンマメの抽出物II群およびIII群の評価値の大きさは、ダイズの抽出物I群と比較して同等以上であり、アズキの抽出物I群と比較して顕著に高いことが明らかとなった。すなわち、ギンマメの抽出物は、抽出方法にかかわらずERβの活性を促進すること、およびその活性促進能はダイズの抽出物と比較して同等以上であり、アズキの抽出物と比較して顕著に高いことが明らかになった。
【0068】
次に、
図7に示すように、PPARαに対する評価値は、ギンマメの抽出物II群およびIII群では、100%エタノール抽出物、50%エタノール抽出物および水抽出物について、いずれも2.0以上の高い値であった。これに対し、ダイズの抽出物I群では、100%エタノール抽出物、50%エタノール抽出物、熱水抽出物および水抽出物について、いずれも2.0以下であった。また、アズキの抽出物I群では、濃度が0.1%(w/v)の100%エタノール抽出物および50%エタノール抽出物、ならびに50%エタノール抽出物、熱水抽出物および水抽出物について、いずれも2.0以下であり、濃度が0.25%(w/v)および0.5%(w/v)の100%エタノール抽出物について、いずれも2.0以上であった。
【0069】
以上より、ギンマメの抽出物II群およびIII群の評価値の大きさは、ダイズおよびアズキの抽出物I群と比較して高いことが明らかとなった。すなわち、ギンマメの抽出物は、抽出方法にかかわらずPPARαの活性を促進すること、およびその活性促進能はダイズおよびアズキの抽出物と比較して高いことが明らかになった。
【0070】
次に、
図8に示すように、PPARγに対する評価値は、ギンマメの抽出物II群およびIII群では、100%エタノール抽出物、50%エタノール抽出物および水抽出物について、いずれも2.0以上の高い値であった。これに対し、ダイズの抽出物I群では、100%エタノール抽出物、50%エタノール抽出物、濃度が0.5%(w/v)の熱水抽出物、ならびに濃度が0.5%(w/v)および2%(w/v)の水抽出物について、いずれも2.0以下であり、濃度が2%(w/v)および10%(w/v)の熱水抽出物ならびに濃度が10%(w/v)の水抽出物について、いずれも2.0以上であった。また、アズキの抽出物I群では、100%エタノール抽出物、50%エタノール抽出物、熱水抽出物および水抽出物について、いずれも2.0以下であった。
【0071】
以上より、ギンマメの抽出物II群およびIII群の評価値の大きさは、ダイズの抽出物I群と比較して高く、アズキの抽出物I群と比較して顕著に高いことが明らかとなった。すなわち、ギンマメの抽出物は、抽出方法にかかわらずPPARγの活性を促進すること、およびその活性促進能はダイズおよびアズキの抽出物と比較して高いことが明らかになった。
【0072】
以上の結果から、ギンマメの処理物はERα、ERβ、PPARαおよびPPARγの活性を強力に促進すること、およびその活性促進能はダイズおよびアズキの抽出物と比較して高いことが示された。