特許第6050612号(P6050612)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6050612
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/511 20060101AFI20161212BHJP
   A61F 13/53 20060101ALI20161212BHJP
   A61F 13/532 20060101ALI20161212BHJP
   A61F 13/514 20060101ALI20161212BHJP
【FI】
   A61F13/511 100
   A61F13/53 100
   A61F13/532 200
   A61F13/514 310
【請求項の数】9
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2012-131862(P2012-131862)
(22)【出願日】2012年6月11日
(65)【公開番号】特開2013-255560(P2013-255560A)
(43)【公開日】2013年12月26日
【審査請求日】2015年3月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】特許業務法人翔和国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076532
【弁理士】
【氏名又は名称】羽鳥 修
(74)【代理人】
【識別番号】100101292
【弁理士】
【氏名又は名称】松嶋 善之
(74)【代理人】
【識別番号】100155206
【弁理士】
【氏名又は名称】成瀬 源一
(72)【発明者】
【氏名】富田 美奈
(72)【発明者】
【氏名】柳原 茂人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 彦行
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 信也
【審査官】 笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−119154(JP,A)
【文献】 特開2009−153631(JP,A)
【文献】 特開2008−023326(JP,A)
【文献】 特開2008−245960(JP,A)
【文献】 特開2012−005539(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15 〜 13/84
A61L 15/16 〜 15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
肌対向面側に配された表面シートと、非肌対向面側に配された裏面シートと、これら両シート間に配された縦長の吸収体とを備えた吸収性物品であって、
前記表面シートは、肌対向面側に隆起した多数の隆起部と該隆起部に隣接する窪み部とを有し、該表面シートの肌対向面側が起伏を有する構造となり、非肌対向面側が平坦となっており、
前記吸収体は、吸収ポリマーを含む吸収性コアと該吸収性コアを包む被覆材とを有し、
前記吸収性コアは、相対的に坪量が高く前記裏面シート側に凸の高坪量部と、該高坪量部に隣接して相対的に坪量が低く前記裏面シート側から前記表面シート側に向かって凹んだ低坪量部とを有し、該高坪量部及び該低坪量部は、互いに分離不可能に、同一の材料から一体的に形成されており、肌対向面側が平坦となっており、
前記吸収性コアは、前記高坪量部と前記低坪量部とが横方向に交互に並列しており、
前記被覆材における肌対向面側の肌側被覆材と前記吸収性コアの平坦な肌対向面とを固定する肌側吸収性コア接着剤、及び前記肌側被覆材と前記表面シートとを固定する肌側吸収体接着剤は、前記吸収性物品の縦方向に長いスパイラル状に且つ横方向に間欠的に配置され、スパイラル状に配置された前記肌側吸収性コア接着剤及び前記肌側吸収体接着剤の少なくとも一方は、前記低坪量部上で複数点交差している吸収性物品。
【請求項2】
前記表面シートは、シート状物の第1層及び第2層からなり、該第1層及び該第2層がそれぞれ該表面シートの肌対向面及び非肌対向面を構成し、該第1層が肌対向面側に隆起して内部が空洞となっている多数の前記隆起部を形成していると共に該隆起部間に前記窪み部を形成しており、該第2層が平面状になっている請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記表面シートは、繊維集合体からなり、前記隆起部の内部が中実となっており、該隆起部及び前記窪み部がそれぞれ縦方向に延び且つ横方向に交互に並列している請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記被覆材における非肌対向面側の非肌側被覆材と前記吸収性コアの凹凸構造の非肌対向面とを固定する非肌側吸収性コア接着剤は、前記吸収性物品の横方向に間欠的に且つ縦方向に一直線状に配置されている請求項1〜3の何れか1項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記肌側吸収性コア接着剤の塗工面積率が、前記非肌側吸収性コア接着剤の塗工面積率よりも低い請求項4に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記非肌側被覆材は、前記吸収性コアに対して、前記低坪量部の凹みに入り込んでいる請求項4又は5に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記非肌側被覆材と前記裏面シートとを固定する非肌側吸収体接着剤は、前記吸収性物品の横方向に間欠的に且つ縦方向に一直線状に配置されている請求項4〜6の何れか1項に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記裏面シートは、前記吸収性コアに対して、前記低坪量部の凹みに入り込んでいる請求項1〜7の何れか1項に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記非肌側吸収性コア接着剤は、前記吸収性物品の縦方向に長いオメガ(Ω)状に配置されている請求項の何れか1項に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨ておむつ等の吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、平面方向に延設された溝状の空間が設けられたブロック状の吸収体(吸収性コア)を用いた吸収性物品が知られている(特許文献1参照)。特許文献1に記載の吸収性物品は、表面シートが薄い不織布で構成されているため、溝状の空間が、例えば吸収性物品の横方向に間欠的に縦方向に直線状に延設されていれば、吸収性物品の横方向に湾曲し易くなる。
【0003】
これとは別の技術として、本出願人は、先に、表面シートとして起伏を有する構造のシート材を用いた吸収性物品を提案した(特許文献2参照)。特許文献2に記載の吸収性物品は、起伏を有する構造の表面シートを用いているため、通気性が向上し肌触りが向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−119154号公報
【特許文献2】特開2009−153631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1にも特許文献2にも、ブロック状の吸収体(吸収性コア)及び起伏を有する構造の表面シートを具備する吸収性物品について記載されておらず、ブロック状の吸収体(吸収性コア)の効果を生かしつつ更に起伏を有する構造の表面シートの効果も生かすための、ブロック状の吸収体(吸収性コア)と起伏を有する構造の表面シートとの適正な配置について何ら記載されていない。
従って、本発明は、前述したニーズを満足し得る吸収性物品を提供することに関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、肌対向面側に配された表面シートと、非肌対向面側に配された裏面シートと、これら両シート間に配された縦長の吸収体とを備えた吸収性物品であって、前記表面シートは、肌対向面側に隆起した多数の隆起部と該隆起部に隣接する窪み部とを有し、該表面シートの肌対向面側が起伏を有する構造となり、非肌対向面側が平坦となっており、前記吸収体は、吸収ポリマーを含む吸収性コアと該吸収性コアを包む被覆材とを有し、前記吸収性コアは、相対的に坪量が高く前記裏面シート側に凸の高坪両部と、該高坪量部に隣接して相対的に坪量が低く前記裏面シート側から前記表面シート側に向かって凹んだ低坪量部とを有し、該高坪量部及び該低坪量部が一体成形されており、肌対向面側が平坦となっている吸収性物品を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の吸収性物品によれば、湾曲性が向上すると共に、通気性が向上し、肌触りが向上する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の実施形態である展開型の使い捨ておむつを表面シート側から見た一部破断平面図である。
図2図2は、図1のI−I線断面図であり、各部材を固定する接着剤の塗工パターンを説明する図である。
図3図3は、図1に示す使い捨ておむつの有する表面シートの斜視図である。
図4図4は、図1に示す使い捨ておむつの有する吸収性コアを裏面シート側から見た平面図である。
図5図5は、本発明の実施形態である展開型の使い捨ておむつに用いる吸収体の製造装置の一例を示す概略図である。
図6図6は、図5に示す回転ドラムにおける外周面側の一部(凹部)の幅方向に沿った模式断面図である。
図7図7は、図5に示す回転ドラムの凹部に吸収性材料が堆積した状態を示す模式断面図である。
図8図8は、図1に示す使い捨ておむつの着用状態を説明するための説明図であり、(a)は表面シート2側に凸に湾曲させた際のI−I線断面図であり、(b)は裏面シート3側に凸に湾曲させた際のI−I線断面図である。
図9図9は、図1に示す使い捨ておむつの着用状態を説明するための説明図であり、着用中に着用者が排泄して吸収体4が膨張した際のI−I線断面図である。
図10図10は、本発明の別の実施形態である使い捨ておむつに用いる表面シートの斜視図である。
図11図11は、本発明の別の実施形態である使い捨ておむつに用いる吸収性コアを裏面シート側から見た平面図である。
図12図12は、本発明の別の実施形態である使い捨ておむつに用いる吸収性コアを裏面シート側から見た平面図である。
図13図13は、本発明の別の実施形態である使い捨ておむつに用いる吸収性コアを裏面シート側から見た平面図である。
図14図14は、本発明の別の実施形態である使い捨ておむつに用いる吸収性コアを裏面シート側から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の吸収性物品を、その好ましい実施形態に基づき、図1図4を参照しながら説明する。図1には本発明の実施形態である展開型の使い捨ておむつを表面シート側から見た一部破断平面図が示されており、図2には図1のI−I線断面図が示されている。また、図3には図1に示す使い捨ておむつの有する表面シートの斜視図が示されており、図4には図1に示す使い捨ておむつの有する吸収性コアの平面図が示されている。
【0010】
本実施形態の使い捨ておむつ1(以下、「おむつ1」ともいう。)は、図1に示すように、肌対向面側に配された表面シート2と、非肌対向面側に配された裏面シート3と、これら両シート2,3間に配された縦長の吸収体4とを備えている。おむつ1は、図1に示すように、縦方向に延びる中心線CLに対して左右対称に形成されている。
【0011】
本実施形態のおむつ1について、詳述すると、おむつ1は、図1に示すように、縦方向(以下「Y方向」ともいう。Y方向:中心線CLに平行な方向をいう。)に、腹側部A、背側部B及びこれらA,Bの間に位置する股下部Cを有している。腹側部Aは、おむつ着用時に着用者の腹側に位置する部位であり、背側部Bは、着用者の背側に位置する部位であり、股下部Cは、着用者の股下に位置する部位である。股下部Cは、おむつ1の縦方向(Y方向)中央部に位置している。尚、縦方向(Y方向)に直交する方向を、おむつ1の横方向(以下「X方向」ともいう。)として説明する。
本明細書において、「肌対向面」とは、おむつ1を構成する表面シート2などの各部材の表裏両面のうち、着用時に着用者の肌側に配される面であり、「非肌対向面」とは、表面シート2などの各部材の表裏両面のうち、着用時に着用者の肌側とは反対側に向けられる面である。
【0012】
おむつ1は、図1に示すように、腹側部Aの左右両側縁及び背側部Bの左右両側縁それぞれが股下部Cの左右両側縁よりも横方向(X方向)外方に延出している。そして、股下部Cの左右両側縁が横方向(X方向)内方に向かって円弧状に湾曲しており、全体として縦方向(Y方向)中央部が内方に括れた形状を有している。表面シート2及び裏面シート3は、それぞれ、吸収体4の左右両側縁及び前後両端縁から外方に延出している。表面シート2は、図2に示すように、その横方向(X方向)の寸法が、裏面シート3の横方向(X方向)の寸法より小さくなっている。表面シート2及び裏面シート3はそれぞれ、吸収体4の周縁から外方に延出した延出部において直接的に又は他の部材を介在させて互いに接合されており、吸収体4を挟持・固定している。吸収体4を固定する接着剤5については、後で詳述する。
【0013】
おむつ1は、図1に示すように、いわゆる展開型のおむつであり、背側部Bの左右両側縁部に一対のファスニングテープ7,7が設けられ、腹側部Aの外表面(非肌対向面)に、該ファスニングテープ7,7を止着させるランディングテープ8が設けられている。図1に示すように、おむつ1の縦方向(Y方向)に沿う両側部それぞれには、Y方向に伸長状態で固定された弾性部材61を有する立体ギャザー形成用シート62が、表面シート2の側部に配され固定されており、これによって一対の立体ギャザー6,6(図2参照)が形成される。また、図1に示すように、おむつ1の縦方向(Y方向)に沿う両側部それぞれには、レッグギャザー形成用の複数本のレッグ弾性部材63がY方向に伸長状態に配されており、レッグ弾性部材63の収縮によりレッグギャザーが形成される。また、おむつ1の背側部B側の縦方向(Y方向)端部には、ウエストギャザー形成用のウエスト部弾性部材64がX方向に伸長状態に配されており、ウエスト部弾性部材64の収縮によりウエストギャザーが形成される。
【0014】
表面シート2は、図1図3に示すように、肌対向面側に隆起した多数の隆起部21と隆起部21に隣接する窪み部22とを有し、表面シート2の肌対向面側が起伏を有する構造となり、表面シート2の非肌対向面側が平坦となっている。表面シート2は、おむつ1においては、図3に示すように、シート状物の第1層23及び第2層24からなる。第1層23は表面シート2の肌対向面を構成し、第2層24は表面シート2の非肌対向面を構成している。図3に示すように、第1層23は肌対向面側に隆起して内部が空洞となっている多数の隆起部21を形成していると共に隆起部21間に窪み部22を形成している。また、第2層24が平面状になっている。尚、窪み部22においては、第1層23と第2層24とが接合部25を介して接合されている。窪み部22には接合部25と、接合部25の外周縁に非接合部が存在している。
【0015】
おむつ1の表面シート2において、隆起部21は、図3に示すように、4点の接合部25を有する窪み部22で囲まれ、その底面が平面視して矩形である。また隆起部21は、全体として稜線が丸みを帯びた扁平な直方体又は截頭四角錐体となっている。一方、窪み部22も平面視して矩形となっている。尚、おむつ1の表面シート2においては、隆起部21が4点の接合部25(窪み部22)で囲まれているが、4点より多くの接合部25(窪み部22)で囲まれていてもよい。
【0016】
隆起部21及び窪み部22は、おむつ1の表面シート2においては、図3に示すように、Y方向に沿って交互に配された列をなしており、該列は、X方向に多列に配置されている。一の前記列における任意の一つの隆起部21に着目したときに、該列にX方向に隣り合う左右の列においては、該一つの隆起部21と隣り合う位置に隆起部21が位置していない。具体的には、X方向に隣り合う2つの列において、接合部25(窪み部22)はY方向に半ピッチずつずれて配置されている。従って、一の列における任意の一つの接合部25(窪み部22)に着目したときに、該一つの接合部25(窪み部22)はその前後及び左右が隆起部21によって取り囲まれて形成された、閉じた窪み部となっている。つまり、表面シート2を第1層23の側から平面視すると、接合部25(窪み部22)が千鳥格子状に配置されており、隆起部21も千鳥格子状に配置されている。
【0017】
身体との接触圧を低減し、着用感を良好とする観点から、隆起部21はその高さh(図3参照)が、0.5mm以上、好ましくは1mm以上、そして、5mm以下、好ましくは4mm以下、より具体的には、0.5mm以上5mm以下であることが好ましく、1mm以上4mm以下であることが更に好ましい。また、Y方向に沿う隆起部21の底部寸法L1(図3参照)は、2mm以上、そして、30mm以下、好ましくは5mm以下、より具体的には、2mm以上30mm以下であることが好ましく、2mm以上5mm以下であることが更に好ましい。また、X方向に沿う底部寸法L2(図3参照)は、2mm以上、そして、30mm以下、好ましくは5mm以下、より具体的には、2mm以上30mm以下であることが好ましく、2mm以上5mm以下であることが更に好ましい。また、隆起部21の底面積は、4mm2以上、そして、900mm2以下、好ましくは25mm2以下、より具体的には、4mm2以上900mm2以下であることが好ましく、4mm2以上25mm2以下であることが更に好ましい。
【0018】
窪み部22の接合部25のX方向への長さL3(図3参照)は、0.1mm以上、好ましくは0.5mm以上、そして、20mm以下、好ましくは5mm以下、より具体的には、0.1mm以上20mm以下、特に0.5mm以上5mm以下であることが、肌触りが良好でクッション感が高い点から好ましい。尚、接合部25のY方向への長さは、長さL3と同じである。
【0019】
第1層23及び第2層24は同一の又は異なるシート状物からなる。このシート状物は実質的に非伸縮性である。シートの材質としては、従来公知のおむつに用いられる材料において、実質的に非伸縮性であるものであれば、特に制限無く使用することができる。例えばカード法により製造された不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンレース不織布及びニードルパンチ不織布等の種々の不織布が挙げられる。また、開口手段によって液透過可能とされたフィルム等も使用することができる。シート材物として不織布を用いる場合、その構成繊維の繊度は、1dtex以上、好ましくは1.5dtex以上、そして、20dtex以下、好ましくは5.6dtex以下、より具体的には、1dtex以上20dtex以下、特に1.5dtex以上5.6dtex以下であることが、表面シート2の強度確保、肌触りの向上等の点から好ましい。
【0020】
第1層23の坪量は、10g/m2以上、好ましくは15g/m2以上、そして、100g/m2以下、好ましくは30g/m2以下、より具体的には、10g/m2以上100g/m2以下であることが好ましく、15g/m2以上30g/m2以下であることが更に好ましい。一方、第2層24の坪量は、5g/m2以上、好ましくは10g/m2以上、そして、50g/m2以下、好ましくは30g/m2以下、より具体的には、5g/m2以上50g/m2以下であることが好ましく、10g/m2以上30g/m2以下であることが更に好ましい。第1層23及び第2層24を含めた表面シート2の全体の坪量は、15g/m2以上、好ましくは20g/m2以上、そして、150g/m2以下、好ましくは60g/m2以下、より具体的には、15g/m2以上150g/m2以下であることが好ましく、20g/m2以上60g/m2以下であることが更に好ましい。
【0021】
以上の構造を有する表面シート2の好適な製造方法は、本出願人の先の出願に係る特開2004−174234号公報や特開2005−111908号公報に記載されている。
【0022】
吸収体4は、図1図2に示すように、吸収ポリマーを含む吸収性コア41と吸収性コア41を包む被覆材42とを有している。吸収体4は、おむつ1においては、縦方向(Y方向)に長い液保持性の吸収性コア41を、液透過性の親水性シートである被覆材42で被覆して形成されている。
【0023】
吸収性コア41は、図2に示すように、相対的に坪量が高く裏面シート3側に凸の高坪量部43と、高坪量部43に隣接して相対的に坪量が低く裏面シート3側から表面シート2側に向かって凹んだ低坪量部44とを有している。吸収性コア41は、高坪量部43及び低坪量部44が一体成形されている。吸収性コア41は、図2に示すように、吸収性コア41の肌対向面側が平坦となっており、おむつ1においては、吸収性コア41の非肌対向面側が凹凸構造となっている。詳述すると、おむつ1においては、図1図2に示すように、吸収体4を構成する吸収性コア41は、吸収性材料が低坪量部44に比べて多い高坪量部41と吸収性材料が高坪量部43に比べて少ない低坪量部44(44X,44Y)とを有している。吸収性コア41には、図1に示すように、横方向(X方向)に延びる線状(連続直線状)の低坪量部44Xと、縦方向(Y方向)に延びる線状(連続直線状)の低坪量部44Yとがそれぞれ複数形成されている。低坪量部44は、図1に示すように、横方向(X方向)に延びる線状の低坪量部44Xと、縦方向(Y方向)に延びる線状の低坪量部44Yとにより、全体として格子状に形成されており、これら直線状の低坪量部44X,44Yで区画された部位(格子の目の位置)に、高坪量部43が配されている。
【0024】
吸収性コア41は、おむつ1においては、図1図2図4に示すように、格子状に配された低坪量部44X,44Yと、低坪量部44X,44Yで区画された部位に配された高坪量部43とからなるブロック形状領域411を有し、更に、ブロック形状領域411の外周に亘って配された外周領域412を有している。図1図4に示すように、ブロック形状領域411は、縦方向(Y方向)に長い矩形状に形成されており、外周領域412は、腹側部Aにおける両側縁及び背側部Bにおける両側縁それぞれが股下部Cにおける両側縁よりも横方向(X方向)外方に延出しており、全体として縦方向(Y方向)中央部から腹側部A寄りの部分が内方に括れた形状に形成されている。外周領域412は、高坪量部41と同様に、吸収性材料が低坪量部44に比べて多くなっている。
【0025】
吸収性コア41のブロック形状領域411について更に具体的に説明すると、おむつ1においては、図4に示すように、低坪量部44Y,44Xで区画された高坪量部が、規則的に横方向(X方向)に5個配されたブロック構造が、腹側部Aから背側部Bに亘って、規則的に縦方向(Y方向)に14行配されて形成されている。おむつ1のブロック形状領域411においては、図4に示すように、6本の縦方向(Y方向)に延びる低坪量部44Yが、それぞれ、腹側部Aから背側部Bに亘って直線状に配されている。
【0026】
本発明において、図2に示すように、吸収性コア41の高坪量部43及び低坪量部44は一体成形されており、おむつ1においては、外周領域412も高坪量部43及び低坪量部44と一体成形されている。ここで「一体成形されている」とは、高坪量部43、低坪量部44及び外周領域412が、接着剤や熱融着等の接合手段を介さずに互いに分離不可能に一体化されており、同一の材料から一体的に形成されていることを意味する。このように高坪量部43、低坪量部44及び外周領域412が一体成形されていると、体液がスムーズに移動し得る連続性を有するようになる。このような吸収体4の製造方法については後で説明する。
【0027】
おむつ1においては、図2に示すように、ブロック形状領域411を構成する高坪量部43は裏面シート3側に凸となっており、外周領域412も裏面シート3側に凸となっている。また、おむつ1においては、図2に示すように、ブロック形状領域411を構成する低坪量部44(44Y)は裏面シート3側から表面シート2側に向かって凹んでいる。即ち、吸収性コア41の凹凸構造における表面シート2側に凹んだ凹部(溝)が、主として低坪量部44(44X,44Y)により形成されており、吸収性コア41の凹凸構造における裏面シート3側に隆起する凸部が、主として高坪量部43及び外周領域412により形成されている。ここで、「凹部が、主として低坪量部44により形成される」とは、例えば低坪量部44と高坪量部43との境界付近の高坪量部43が該凹部の一部を形成している場合を含む意味であり、同様に、「凸部が、主として高坪量部43及び外周領域412により形成される」とは、例えば高坪量部43と低坪量部44との境界付近の低坪量部44が該凸部の一部を形成している場合を含む意味である
【0028】
また、おむつ1の吸収性コア41は、低坪量部44が、図2に示すように、おむつ1の厚み方向Tにおいて、表面シート2側(吸収体4の肌対向面側)に偏在している。吸収性コア41は、その表面シート2側が、図2に示すように、平坦となっている。
【0029】
吸収性コア41は、使い捨ておむつに用いられる場合においては、縦方向(Y方向)の全長が250mm以上550mm以下であり、横方向(X方向)の全幅が50mm以上200mm以下であることが好ましい。
ブロック形状領域411は、その縦方向(Y方向)の長さが、吸収性コア41のY方向の全長の、70%以上、好ましくは85%以上の長さ、そして、98%以下、好ましくは95%以下の長さ、より具体的には、70%以上98%以下の長さであることが好ましく、85%以上95%以下の長さであることが更に好ましい。
ブロック形状領域411は、その横方向(X方向)の長さが、吸収性コア41のX方向の全幅の、30%以上、好ましくは50%以上の長さ、そして、90%以下、好ましくは70%以下の長さ、より具体的には、30%以上90%以下の長さであることが好ましく、50%以上70%以下の長さであることが更に好ましい。
ブロック形状領域411は、使い捨ておむつに用いられる場合においては、縦方向(Y方向)の全長が100mm以上540mm以下であり、横方向(X方向)の全幅が20mm以上140mm以下であることが好ましい。
外周領域412は、使い捨ておむつに用いられる場合においては、縦方向(Y方向)の両端部それぞれの縦方向(Y方向)の長さが、10mm以上150mm以下であることが好ましい。
外周領域412は、使い捨ておむつに用いられる場合においては、縦方向(Y方向)に沿う両側部それぞれの横方向(X方向)の長さが、腹側部Aでは10mm以上40mm以下であることが好ましく、股下部Cでは10mm以上30mm以下であることが好ましく、背側部Bでは10mm以上40mm以下であることが好ましい。
【0030】
ブロック形状領域411について更に詳述すると、おむつ1においては、図1に示すように、低坪量部44の縦方向(Y方向)の長さが、高坪量部43の縦方向(Y方向)の長さよりも短くなっている。具体的には、横方向(X方向)に延びる線状の低坪量部44Xの縦方向(Y方向)の長さ(L4)が、高坪量部43の縦方向(Y方向)の長さ(L6)よりも短くなっている。低坪量部44(44X)の長さ(L4)は、高坪量部43の長さ(L6)の3%以上20%以下の長さであることが好ましい。
【0031】
以下、高坪量部43及び低坪量部44(44X,44Y)のサイズ・坪量等について更に詳述する。
横方向(X方向)に延びる線状の低坪量部44Xの幅L4は、吸収性物品が例えば使い捨ておむつに用いられる場合においては、縦方向(Y方向)の湾曲性を高めることにより着用者の体に良好にフィットさせることができる観点、及び排泄後に吸収体4が表面シートの起伏よりも大きな凹凸形状に膨潤することによって着用者の肌と表面シートとの間に隙間ができて通気性を向上させることができる観点から、0.5mm以上、好ましくは1mm以上、そして、5mm以下、好ましくは3mm以下、より具体的には、0.5mm以上5mm以下であることが好ましく、1mm以上3mm以下であることが更に好ましい。
縦方向(Y方向)に延びる線状の低坪量部44Yの幅L5は、吸収性物品が例えば使い捨ておむつに用いられる場合においては、横方向(X方向)の湾曲性を高めることにより着用者の股間部への負担を低減することができる観点、及び排泄後に吸収体4が表面シートの起伏よりも大きな凹凸形状に膨潤することによって着用者の肌と表面シートとの間に隙間ができて通気性を向上させることができる観点から、0.5mm以上、好ましくは1mm以上、そして、5mm以下、好ましくは3mm以下、より具体的には、0.5mm以上5mm以下であることが好ましく、1mm以上3mm以下であることが更に好ましい。
尚、幅L4,L5は、吸収体4の凹凸構造における凹部の底部の位置での測定値である。
【0032】
高坪量部43は、おむつ1においては、図1に示すように、平面視して、縦方向(Y方向)に長い矩形状に形成されている。尚、おむつ1においては、高坪量部43を平面視して、矩形状に形成されているが、四隅が円弧状となっていてもよく、多角形状、楕円、それらの組み合わせ等であってもよい。
おむつ1の高坪量部43は、吸収性物品が例えば使い捨ておむつに用いられる場合においては、縦方向(Y方向)及び横方向(X方向)の湾曲性を高めることにより着用者の体に良好にフィットさせることができる観点から、図1に示すように、その縦方向(Y方向)の長さL6が、5mm以上、好ましくは15mm以上、そして、30mm以下、好ましくは25mm以下、より具体的には、5mm以上30mm以下であることが好ましく、15mm以上25mm以下であることが更に好ましい。また、その横方向(X方向)の長さL7が、3mm以上、好ましくは5mm以上、そして、20mm以下、好ましくは15mm以下、より具体的には、3mm以上20mm以下であることが好ましく、5mm以上15mm以下であることが更に好ましい。
【0033】
低坪量部44(44X,44Y)は、吸収性物品が例えば使い捨ておむつに用いられる場合においては、排泄後に吸収体4が表面シートの起伏よりも大きな凹凸形状に膨潤することによって着用者の肌と表面シートとの間に隙間ができて通気性を向上させることができる観点から、その坪量が、高坪量部43の坪量の、20%以上、好ましくは30%以上、そして、80%以下、好ましくは70%以下、より具体的には、20%以上80%以下であることが好ましく、30%以上70%以下であることが更に好ましい。
具体的には、低坪量部44(44X,44Y)は、その坪量が、100g/m2以上、好ましくは150g/m2以上、そして、500g/m2以下、好ましくは400g/m2以下、より具体的には、100g/m2以上500g/m2以下であることが好ましく、150g/m2以上400g/m2以下であることが更に好ましい。また、高坪量部43は、その坪量が、300g/m2以上、好ましくは350g/m2以上、そして、900g/m2以下、好ましくは800g/m2以下、より具体的には、300g/m2以上900g/m2以下であることが好ましく、350g/m2以上800g/m2以下であることが更に好ましい。外周領域412の坪量は、高坪量部41の坪量と同様である。
【0034】
また、低坪量部44(44X,44Y)の厚みは高坪量部43の厚みの30%以上90%以下であることが好ましい。具体的には、低坪量部44(44X,44Y)の厚みは、1.5mm以上、好ましくは2.5mm以上、そして、4.5mm以下、好ましくは4mm以下、より具体的には、1.5mm以上4.5mm以下であることが好ましく、2.5mm以上4mm以下であることが更に好ましい。高坪量部43の厚みは、2mm以上、好ましくは3mm以上、そして、8mm以下、好ましくは7mm以下、より具体的には、2mm以上8mm以下であることが好ましく、3mm以上7mm以下であることが更に好ましい。外周領域412の厚みは、高坪量部41の厚みと同様である。
尚、高坪量部43、低坪量部44(44X,44Y)及び外周領域412の厚みは、所定のサイズにサンプルをカットし、5kPaで測定部位を10分間加圧し、除重後すぐに測定を行う。測定箇所は、1枚辺り腹側部、股下部、背側部の任意それぞれ1点以上を含む3点以上とし、おむつサンプル2枚(測定箇所6点以上)の平均で厚みを出す。例えばおむつ1を、鋭利なかみそりで、図1に示す縦方向(Y方向)、又は横方向(X方向)に切断し、この切断されたサンプルの断面を測定する。肉眼にて測定し難い場合には、前記切断されたサンプルの断面を、例えば、マイクロスコープ(KEYENCE社製VHX−1000)を用いて20〜100倍の倍率で観察し、測定してもよい。
高坪量部43及び低坪量部44の坪量は次のようにして測定される。
【0035】
<坪量の測定方法>
高坪量部43、低坪量部44及び外周領域412の坪量の測定方法は以下の通りである。
吸収性コア41における高坪量部43と低坪量部44の境界線に沿ってフェザー社製片刃剃刀を用いて切断する。切断して得られた高坪量部43の小片10個をそれぞれ電子天秤(A&D社製電子天秤GR−300、精度:小数点以下4桁)を用いて測定し、高坪量部43の小片1個の平均重量を求める。求めた平均重量を高坪量部43の小片1個当りの平均面積で除して高坪量部43の坪量を算出する。外周領域412の坪量も高坪量部43の坪量と同様にして算出する。
次いで、高坪量部43と低坪量部44(44Y)の縦方向(Y方向)に延びた境界線に沿って、長さ100mm、幅は低坪量部44(44Y)の幅の設計寸法に合わせて、フェザー社製片刃剃刀を用いて、細いストライプ状の低坪量部44(44Y)の小片5個を切り出す。得られた小片5個をそれぞれ電子天秤(A&D社製電子天秤GR−300、精度:小数点以下4桁)を用いて測定し、平均して低坪量部44(44Y)の小片1個の平均重量を求める。求めた平均重量を低坪量部44(44Y)の小片1個当たりの平均面積で除して低坪量部41(44Y)の坪量を算出する。低坪量部44(44X)についても、低坪量部44(44Y)と同様にして坪量を算出する。
【0036】
おむつ1の吸収体4においては、高坪量部43及び外周領域412は、低坪量部44(44X,44Y)に比してほぼ同じか高密度に形成されている。
低坪量部44(44X,44Y)は、吸収性物品が例えば使い捨ておむつに用いられる場合においては、柔軟性が向上する観点から、その密度が、高坪量部43の密度の、50%以上、好ましくは75%以上、そして、100%以下、好ましくは95%以下、より具体的には、50%以上100%以下であることが好ましく、75%以上95%以下であることが更に好ましい。
具体的には、低坪量部44(44X,44Y)は、その密度が、0.05g/cm3以上、好ましくは0.07g/cm3以上、そして、0.15g/cm3以下、好ましくは0.13g/cm3以下、より具体的には、0.05g/cm3以上0.15g/cm3以下であることが好ましく、0.07g/cm3以上0.13g/cm3以下であることが更に好ましい。また、高坪量部43は、その密度が、0.05g/cm3以上、好ましくは0.07g/cm3以上、そして、0.15g/cm3以下、好ましくは0.13g/cm3以下、より具体的には0.05g/cm3以上0.15g/cm3以下であることが好ましく、0.07g/cm3以上0.13g/cm3以下であることが更に好ましい。外周領域412の密度は、高坪量部41の密度と同様である。
高坪量部43、外周領域412及び低坪量部44(44X,44Y)の密度は、上述した方法により求めた高坪量部43、外周領域412及び低密度部44の坪量を、上述した方法により求めたそれぞれの厚みで除して算出される。
【0037】
また、おむつ1においては、吸収性コア41の低坪量部44(44X,44Y)と被覆材42との間には空間9が形成されている。即ち、吸収体4には、吸収性コア41の凹凸構造と吸収性コア41を包む被覆材42とにより形成される空間9が形成されている。上述したように、おむつ1においては、図1図2に示すように、低坪量部44(44X,44Y)が吸収性コア41の裏面シート3(非肌対向面)側に全体として格子状に形成され、格子の目の位置に高坪量部43が配されており、低坪量部44が高坪量部43を取り囲むように形成されている。従って、おむつ1においては、図1図2に示すように、表面シート2側に凹んだ低坪量部44Xと被覆材42により形成される複数の空間9Xが、低坪量部44Xに対応して横方向(X方向)にそれぞれ連続的に延びており、表面シート2側に凹んだ低坪量部44Yと被覆材42により形成される複数の空間9Yが、低坪量部44Yに対応して縦方向(Y方向)にそれぞれ連続的に延びている。
【0038】
おむつ1においては、図2に示すように、吸収性コア41を包む被覆材42における肌対向面側の肌側被覆材421と吸収性コア41の平坦な肌対向面41Tとが肌側吸収性コア接着剤51T(図2(a)参照)を介して固定されている。また、おむつ1においては、被覆材42における非肌対向面側の非肌側被覆材422と吸収性コア41の非肌対向面41Uとが非肌側吸収性コア接着剤51U(図2(b)参照)を介して固定されている。おむつ1においては、図2に示すように、1枚の被覆材42を用いて、被覆材42の両側部を折り返し、吸収性コア41の裏面シート3側に、被覆材42の側縁部どうしを重ねるようにして吸収性コア41を包んでいる。そのため、1枚の被覆材42において、吸収性コア41の肌対向面41T側に配された部位が肌側被覆材421となり、吸収性コア41の非肌対向面41U側に配された部位が非肌側被覆材422となっている。尚、おむつ1においては、前述のとおり、肌側被覆材421及び非肌側被覆材422が1枚の被覆材42から形成されているが、別々の2枚の被覆材から形成されていてもよい。
【0039】
また、おむつ1においては、図2に示すように、肌側被覆材421と表面シート2とが肌側吸収体接着剤5T(図2(c)参照)を介して固定されている。このように、おむつ1においては、表面シート2と被覆材42(肌側被覆材421)との間に別のシートが無く、被覆材42(肌側被覆材421)上に表面シート2が直接配されているため、肌側被覆材421と表面シート2とが肌側吸収体接着剤5Tを介して固定されている。但し、表面シート2と被覆材42(肌側被覆材421)との間に、例えばサブレイヤーシートが配されている場合には、肌側被覆材421と表面シート2側のサブレイヤーシートとが肌側吸収体接着剤5Tを介して固定されていればよい。
また、おむつ1においては、図2に示すように、非肌側被覆材422と裏面シート3とが非肌側吸収体接着剤5U(図2(d)参照)を介して固定されている。
【0040】
また、おむつ1においては、肌側吸収性コア接着剤51Tの塗工面積率が、非肌側吸収性コア接着剤51Uの塗工面積率よりも低くなっている。具体的には、肌側吸収性コア接着剤51Tの塗工の塗工面積率は、2%以上、好ましくは5%以上、そして、40%以下、好ましくは20%以下、より具体的には、2%以上40%以下であることが好ましく、5%以上20%以下であることが更に好ましい。一方、非肌側吸収性コア接着剤51Uの塗工の塗工面積率は、20%以上、好ましくは30%以上、そして、100%以下、好ましくは80%以下、より具体的には、20%以上100%以下であることが好ましく、30%以上80%以下であることが更に好ましい。
【0041】
<接着剤5の塗工面積率の測定方法>
所定の部位にトナーを散布して接着剤を色付けした後、所定のサイズに切り取り色づけられた面積を測定する。測定した面積を切り取った寸法で除することで、塗工面積率を得る。測定箇所は、3点以上とし、それらの平均値を求め、塗工面積率を算出する。
【0042】
肌側吸収性コア接着剤51Tの塗工面積率を非肌側吸収性コア接着剤51Uの塗工面積率よりも低くするために、おむつ1においては、肌側吸収性コア接着剤51Tは、図2(a)に示すように、例えばスプレーガンを用いて、縦方向(Y方向)に長いスパイラル状に塗工されている。横方向(X方向)には間欠的であってもよい。
スパイラル状のほかに、縦方向(Y方向)に長いΩ(オメガ)字状でもかまわない。Ω(オメガ)字状は、Ω形状であり、接着剤の交点がないか、少ないことで、接着剤の塗布量が削減できたり、交点での接着剤の滲み出しが防止できる。
【0043】
また、おむつ1においては、非肌側吸収性コア接着剤51Uは、図2(b)に示すように、例えばコーターガンを用いて横方向(X方向)に間欠的に且つ縦方向(Y方向)に一直線状に塗工されており、全体視してストライプ状に塗工されている。横方向(X方向)に隣り合う非肌側吸収性コア接着剤51Uどうしの間隔は、0.5mm以上15mm以下であることが好ましい。このように非肌側吸収性コア接着剤51Uが塗工されて、被覆材42の非肌側被覆材422と吸収性コア41の凹凸構造の非肌対向面41Uとが接着固定されているので、非肌側被覆材422は、吸収性コア41の凹凸構造に追従し易く、低坪量部44(44X,44Y)の凹みに入り込んでいる(図2参照)。
【0044】
また、おむつ1においては、肌側吸収体接着剤5Tは、肌側吸収性コア接着剤51Tと同様に、図2(c)に示すように、スプレーガンを用いて縦方向(Y方向)に長いスパイラル状に塗工されている。横方向(X方向)には間欠的であってもよい。肌側吸収体接着剤5Tの塗工の坪量は、0.5g/m2以上、好ましくは1g/m2以上、そして、15g/m2以下、好ましくは10g/m2以下、より具体的には、0.5g/m2以上15g/m2以下であることが好ましく、1g/m2以上10g/m2以下であることが更に好ましい。
【0045】
また、おむつ1においては、非肌側吸収体接着剤5Uは、図2(d)に示すように、例えばビードガンを用いて接着剤を一定幅に連続して落下させ、幅方向(X方向)に間欠的に且つ縦方向(Y方向)に一直線状に塗工されており、全体視してストライプ状に塗工されている。非肌側吸収体接着剤5Uの塗工の坪量は、0.5g/m2以上、好ましくは1g/m2以上、そして、15g/m2以下、好ましくは10g/m2以下、より具体的には、0.5g/m2以上15g/m2以下であることが好ましく、1g/m2以上10g/m2以下であることが更に好ましい。横方向(X方向)に隣り合う非肌側吸収体接着剤5Uどうしの間隔は、10mm以上40mm以下であることが好ましい。このように非肌側吸収体接着剤5Uが塗工されて、被覆材42の非肌側被覆材422と裏面シート3とが接着固定されているので、裏面シート3は、非肌側被覆材422と同様に、吸収性コア41の凹凸構造に追従し易く、低坪量部44(44X,44Y)の凹みに入り込んでいる(図2参照)。
【0046】
上述したように、おむつ1の吸収体4においては、図1図4に示すように、直線状の低坪量部44X,44Yで区画された部位(格子の目の位置)に、高坪量部43が配されており、吸収体4の吸収性コア41は、高坪量部43と低坪量部44(縦方向(Y方向)に延びる低坪量部44Y)とが横方向(X方向)に交互に並列しており、高坪量部43と低坪量部44(横方向(X方向)に延びる低坪量部44X)とが縦方向(Y方向)に交互に並列している。そして、スパイラル状に塗工された肌側吸収性コア接着剤51Tは、低坪両部44Y上で複数点交差しているので、吸収性コア41が湾曲する際に肌側被覆材421が吸収性コア41から離れることがないので湾曲性を妨げない。尚、おむつ1においては、前述のように、肌側吸収性コア接着剤51Tのスパイラルが低坪両部44Y上で複数点交差しているが、スパイラル状に塗工された肌側吸収性コア接着剤51T及び肌側吸収体接着剤5Tの少なくとも一方のスパイラルが低坪両部44Y上で複数点交差していれば、上記効果を奏することができる。
【0047】
次に、おむつ1の備える吸収体4、即ち、高坪量部43(高密度)、外周領域412(高密度)及び低坪量部44(低密度)が一体成形された吸収性コア41を備える吸収体4の製造方法を説明する。
図5には、吸収体4の製造方法の一実施態様及びそれに用いる製造装置が示されている。吸収体4の製造装置は、矢印R1方向に回転駆動される回転ドラム50と、回転ドラム50の外周面に吸収性コア41の原料である吸収ポリマーを含む吸収性材料45を供給するダクト60と、回転ドラム50の下流側の斜め下方に配置され、矢印R2方向に回転駆動されるトランスファーロール70と、回転ドラム50の周方向におけるダクト60とトランスファーロール70との間に配置されたバキュームボックス65と、バキュームボックス65と回転ドラム50との間及びトランスファーロール70と回転ドラム50との間を通るように配された、シート状の通気性部材であるメッシュベルト75と、トランスファーロール70の下方に配されたバキュームコンベア80とを備えている。
【0048】
回転ドラム50は、図5に示すように、円筒状をなし、モータ等の原動機からの動力を受けて、その外周面を形成する部材が水平軸回りを回転する。回転ドラム50の内側(回転軸側)の非回転部分には内部を減圧可能な空間56が形成されている。空間56には、吸気ファン等の公知の排気装置(図示せず)が接続されており、該排気装置を作動させることにより、空間56内を負圧に維持可能である。他方、回転ドラム50の内側(回転軸側)の空間57及び58には、装置外の空気を取り込み可能な配管(図示せず)が接続されている。
【0049】
図5に示すように、回転ドラム50の外周面には、製造する吸収性コア41の形状に対応する形状のドラム凹部51が複数個、R1方向に等間隔を空けて形成されている。各ドラム凹部51の底面部には、図6に示すように、多数の細孔が形成されたメッシュプレート52と、金属製又は樹脂製の難通気性部材53とが配されている。ここで、難通気性部材53は、メッシュプレート52上に突出するように設けられており、上述した低坪量部44(44X,44Y)の形状及び位置に対応するように配されている。図6に示すように、このように配された難通気性部材53により区画されたメッシュプレート52のみからなる領域54が、高坪量部43に対応する部分となり、難通気性部材53により区画された部分の外周全域におけるメッシュプレート52のみからなる領域55が、外周領域412に対応する部分となる。また、ドラム凹部51が形成されていない、回転ドラム50の外周面の部分は、金属製の剛体からなる回転ドラム50のフレーム体からなり、非通気性である。
【0050】
ダクト60は、図5に示すように、その一端側が、負圧に維持される空間56上に位置する回転ドラム50の外周面を覆っており、図示しない他端側には、繊維材料導入装置を有している。繊維材料導入装置は、例えば、シート状の木材パルプを粉砕して解繊パルプとし、その解繊パルプ(繊維材料)をダクト内に送り込む粉砕器を備え、ダクト60の途中に吸収ポリマーを導入する吸収ポリマー導入部を備えている。
【0051】
トランスファーロール70は、通気性を有する円筒状の外周部を有しており、モータ等の原動機からの動力を受けて、その外周部がR2方向に回転する。トランスファーロール70の内側(回転軸側)の非回転部分には、内部を減圧可能な空間71が形成されている。空間71には、吸気ファン等の公知の排気装置(図示せず)が接続されており、該排気装置を作動させることにより、空間71内を負圧に維持可能である。
【0052】
バキュームボックス65は、回転ドラム50の回転方向R1において、ダクト60の下流側端部601と、トランスファーロール70との間に配置されている。バキュームボックス65は、箱状の形状を有し、回転ドラム50に対向する部位に、回転ドラム50方向に向かって開口する開口部を有している。バキュームボックス65は、排気管67を介して、吸気ファン等の公知の排気装置(図示せず)が接続されており、該排気装置の作動により、バキュームボックス65内を負圧に維持可能である。
【0053】
メッシュベルト75は、網目を有する帯状の通気性ベルトが無端状に連結されたものであり、複数のフリーロール及びトランスファーロール70に案内されて所定の経路を連続的に移動する。メッシュベルト75は、トランスファーロール70の回転によって駆動される。メッシュベルト75は、バキュームボックス65の前記開口部の前を通過している間は、回転ドラム50の外周面に接触しており、トランスファーロール70と回転ドラム50とが最も接近している最接近部付近で、回転ドラム50の外周面から離れてトランスファーロール70上へと移行する。
【0054】
バキュームコンベア80は、駆動ロール81及び従動ロール82に架け渡された無端状の通気性ベルト83と、通気性ベルト83を挟んでトランスファーロール70と対向する位置に配されたバキュームボックス84とを備えている。
【0055】
次に、上述した吸収体の製造装置を用いて吸収体4(吸収性コア41)を連続的に製造する方法について説明する。
先ず、回転ドラム50内の空間56、及びバキュームボックス65内を、それぞれに接続された排気装置を作動させて負圧にする。このように、空間56内を負圧にすることで、ダクト60内に、吸収性材料45を回転ドラム50の外周面に搬送させる空気流が生じるからである。次に、回転ドラム50及びトランスファーロール70を回転させ、また、バキュームコンベア80を作動させる。そして、前記繊維材料導入装置を作動させて、ダクト60内に繊維材料を供給し、更には吸収ポリマーを供給すると、これらの吸収性材料45は、ダクト60内を流れる空気流に乗り、飛散状態となって回転ドラム50の外周面に向けて供給される。
【0056】
ダクト60に覆われた部分を搬送されている間に、回転ドラム50のドラム凹部51には、吸収性材料(繊維材料と吸収ポリマーとの混合物)45が吸引される。吸収性材料45は、図7に示すように、ドラム凹部51の各領域54及び領域55のメッシュプレート52上に徐々に堆積する。こうして得られた堆積物46においては、難通気性部材53上に吸収性材料45が堆積してなる部位(難通気性部材53対応部)46aが、相対的に吸収性材料45の堆積量が少なく、その他の部位(領域54対応部)46b及び部位(領域55対応部)46cが、相対的に吸収性材料45の堆積量が多くなっており、堆積物46全体として凹凸構造を有するようになる。
【0057】
そして、回転ドラム50が回転して、ドラム凹部51がバキュームボックス65の対向位置にくると、ドラム凹部51内の堆積物46がバキュームボックス65からの吸引によって、メッシュベルト75に吸い付けられた状態となる。ドラム凹部51内の堆積物46は、その状態で、トランスファーロール70と回転ドラム50との最接近部の直前まで搬送され、該最接近部付近で、トランスファーロール70側からの吸引により、メッシュベルト75に吸い付けられた状態のままドラム凹部51より離型し、トランスファーロール70上へと移行する。
【0058】
こうして、メッシュベルト75と共にトランスファーロール70上に移行した凹凸構造を有する堆積物46は、トランスファーロール70上のメッシュベルト75に吸着されたまま、バキュームコンベア80との受け渡し部(トランスファーロール70の最下端部)まで搬送され、該受け渡し部において、バキュームボックス84による吸引によりバキュームコンベア80上へと移行する。
【0059】
本実施形態の吸収体の製造装置においては、図5に示すように、堆積物46が載置される前のバキュームコンベア80上に、ティッシュペーパーや親水性の不織布からなる被覆材42が導入され、被覆材42上に堆積物46が移行する。そして、更に、折り返し板(図示せず)により被覆材42が折られて堆積物46を被覆材42で包んだ後、被覆材42で包まれた状態の堆積物46を所定の間隔で切断して、吸収体1個分の寸法に切断された吸収体前駆体49を連続的に製造する。
【0060】
そして、本実施形態の吸収体の製造装置においては、こうして得られた吸収体前駆体49を加圧手段90によって圧縮し、吸収体前駆体49を構成する堆積物46の厚みを積極的に減少させて、目的とする吸収体4(吸収性コア41)を得る。加圧手段90は、図5に示すように、少なくとも一方の表面が平滑な一対のロール91,92を備え、ロール91,92間に導入された被加圧物を上下面から加圧して厚み方向に圧縮可能に構成されている。
【0061】
加圧手段90によって堆積物46を圧縮すると、吸収性材料が相対的に多く厚みの大きい部位(領域54対応部)46b及び部位(領域55対応部)46cは、吸収性材料45が相対的に少なく厚みの小さい部位(難通気性部材53対応部)46aよりも強く圧縮される。その結果、上述した製造装置を用いて製造された吸収体4(吸収性コア41)においては、堆積物46における部位(領域54対応部)46b(凸部)及び部位(領域55対応部)46cが、吸収性コア41において相対的に密度の高い高坪量部43及び外周領域412となり、堆積物46における部位(難通気性部材53対応部)46a(凹部)が、吸収性コア41において相対的に密度の低い低坪量部44となる。
【0062】
本実施形態の使い捨ておむつ1の形成材料について説明する。
裏面シート3、立体ギャザー形成用シート62としては、通常、使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられるものであれば、特に制限なく用いることができる。例えば、裏面シート3としては、樹脂フィルムや樹脂フィルムと不織布の積層体等を用いることができる。立体ギャザー形成用シート62としては、伸縮性のフィルム、不織布、織物またはそれらの積層シート等を用いることができる。
ファスニングテープ7としては、通常、使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられるものであれば、特に制限なく用いることができる。例えば、「マジックテープ(登録商標)」(クラレ社製)、「クイックロン(登録商標)」(YKK社製)、「マジクロス(登録商標)」(カネボウベルタッチ社製)等におけるオス部材等を用いることができる。
【0063】
吸収体4を構成する吸収性コア41としては、パルプ繊維等の繊維の集合体に吸収ポリマーの粒子を保持させたもの等を用いることができる。吸収体4を構成する被覆材42としては、親水性シート、例えば、透水性の薄紙(ティッシュペーパー)や透水性の不織布からなるコアラップシート等を用いることができる。
立体ギャザー形成用の弾性部材61、レッグ弾性部材63、及びウエスト部弾性部材64としては、天然ゴム、ポリウレタン、ポリスチレン−ポリイソプレン共重合体、ポリスチレン−ポリブタジエン共重合体、アクリル酸エチル−エチレン等のポリエチレン−αオレフィン共重合体等からなる糸状の伸縮性材料を用いることができる。
【0064】
接着剤5(肌側吸収性コア接着剤51T,非肌側吸収性コア接着剤51U,肌側吸収体接着剤5T,非肌側吸収体接着剤5U)としては、通常、使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられるものであれば、特に制限なく用いることができ、例えば、ホットメルト接着剤を用いることができる。ホットメルト接着剤としては、例えばスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)等のブロックコポリマー系のホットメルト接着剤が挙げられる。
【0065】
上述した本発明の実施形態の使い捨ておむつ1を使用した際の作用効果について説明する。
おむつ1は、図1図2に示すように、表面シート2がその肌対向面側が起伏を有する構造となり非肌対向面側が平坦となっており、吸収体4の吸収性コア41の肌対向面側が平坦となっている。このような表面シート2を用いているので、おむつ1は、通気性が向上し肌触りが向上する。そして、このような表面シート2と吸収体4との組み合わせにより、湾曲性が向上する。更に、おむつ1は、図2に示すように、肌側被覆材421と吸収性コア41の平坦な肌対向面41Tとが肌側吸収性コア接着剤51Tを介して固定され、非肌側被覆材422と吸収性コア41の非肌対向面41Uとが非肌側吸収性コア接着剤51Uを介して固定されている。即ち、表面シート2の平坦な非肌対向面側の肌側被覆材421と吸収性コア41の平坦な肌対向面41Tとが肌側吸収性コア接着剤51Tを介して固定され、非肌側被覆材422と吸収性コア41の凹凸構造の非肌対向面41Uとが非肌側吸収性コア接着剤51Uを介して固定されているので、表面シート2に起伏を有する構造の厚みのあるシートを用いたとしても、吸収性コア41の凹凸構造の特徴を生かすことができ、図8(a),図8(b)に示すように、おむつ1の横方向(X方向)に湾曲し易くなる。従って、おむつ1は、湾曲性が向上すると共に、通気性が向上し、肌触りが向上する。
【0066】
また、おむつ1は、図3に示すような、内部が空洞となっている多数の隆起部21を有する表面シート2を用いているので、更に通気性が向上し、肌触りが向上する。
【0067】
また、おむつ1は、非肌側被覆材422が、図2に示すように、吸収性コア41の凹凸構造に追従しており、低坪量部44の凹み(空間9)に入り込んでいる。その為、図8(b)に示すように、おむつ1を断面視して裏面シート3側に凸に湾曲させる際に、非肌側被覆材422の入り込み部分が伸びしろとなり、更におむつ1の横方向(X方向)に湾曲し易くなる。特に、おむつ1は、裏面シート3も、図2に示すように、吸収性コア41の凹凸構造に追従しており、低坪量部44の凹み(空間9)に入り込んでいる。その為、図8(b)に示すように、おむつ1を断面視して裏面シート3側に凸に湾曲させる際に、裏面シート3の入り込み部分が伸びしろとなり、更におむつ1の横方向(X方向)に湾曲し易くなる。
【0068】
また、おむつ1は、図2に示すように、肌側吸収性コア接着剤51Tが横方向(X方向)に間欠的に且つ縦方向(Y方向)に長いスパイラル状に塗工され、非肌側吸収性コア接着剤51Uが横方向(X方向)に間欠的に且つ縦方向(Y方向)に一直線状に塗工されている。また、おむつ1は、図2に示すように、肌側吸収体接着剤5Tが横方向(X方向)に間欠的に且つ縦方向(Y方向)に長いスパイラル状に塗工され、非肌側吸収体接着剤5Uが横方向(X方向)に間欠的に且つ縦方向(Y方向)に一直線状に塗工されている。このように、吸収性コア41における凹凸構造の非肌対向面41U側に配された非肌側吸収性コア接着剤51U及び非肌側吸収体接着剤5Uが、それぞれ、横方向(X方向)に間欠的に且つ縦方向(Y方向)に一直線状に塗工されているので、図8(a),図8(b)に示すように、おむつ1の横方向(X方向)に湾曲し易くなる。
【0069】
また、おむつ1は、肌側吸収性コア接着剤51Tの塗工面積率が、非肌側吸収性コア接着剤51Uの塗工面積率よりも小さい。このように、吸収性コア41における凹凸構造の肌対向面が41T側に配された肌側吸収性コア接着剤51Tの塗工面積率が非肌対向面41U側に配された非肌側吸収性コア接着剤51Uよりも小さいので、図9に示すように、排泄後におむつ1の非肌側に対して肌側がより大きく凹凸形状に膨潤し、着用者の肌と表面シートとの間に隙間ができて通気性を向上させることができる。
【0070】
本発明の吸収性物品の一実施形態である使い捨ておむつは、上述の実施形態の使い捨ておむつに何ら制限されるものではなく、適宜変更可能である。
【0071】
例えば、上述の実施形態の使い捨ておむつ1においては、図2図3に示すように、表面シート2が、シート状物の第1層23及び第2層24からなり、表面シート2の肌対向面を構成する第1層23は肌対向面側に隆起して内部が空洞となっている多数の隆起部21を有し、表面シート2の非肌対向面を構成する第2層24は平面状になっている。このような表面シート2に換えて、図10に示すように、1層の繊維集合体からなり、肌対向面側に内部が中実となっている多数の隆起部21と、隆起部21に隣接する窪み部22とを有し、非肌対向面側はほぼ平面状になっており、隆起部21及び窪み部22がそれぞれ縦方向(Y方向)に延び且つ横方向(X方向)に交互に並列している表面シートを用いてもよい。このような内部が中実の隆起部21及び窪み部22がそれぞれ縦方向(Y方向)に延び且つ横方向(X方向)に交互に並列している表面シートを有する使い捨ておむつは、横方向の湾曲性が向上し、縦方向の通気性が向上する効果を奏する。
【0072】
また、前述の表面シート2に換えて、熱収縮性繊維を含む第1繊維層と、実質的に熱収縮しない繊維又は前記熱収縮性繊維の収縮開始温度では実質的に熱収縮しない繊維を含む 第2繊維層とを積層して部分的に接合させた後、熱風処理により、第1繊維層を収縮させて得た起伏を有するシートを、表面シートに用いてもよい。該表面シートにおいては、第2繊維層が、第1繊維層との接合部以外の部分において隆起して隆起部を形成している一方、前記接合部が窪み部を形成している。熱収縮性繊維は、潜在捲縮性繊維が好ましい。このような起伏を有するシートとしては、特開2002−187228号公報、特開2003−250836号公報、特開2004−166849号公報、特開2004−202890号公報等に記載のものを用いることがでる。
【0073】
また、上述の実施形態の使い捨ておむつ1においては、図1図4に示すように、吸収体4の吸収性コア41が、縦方向(Y方向)に長い矩形状のブロック形状領域411と、ブロック形状領域411の外周に亘って配された外周領域412とを有している。このような吸収体4の吸収性コア41に換えて、図11図14に示す吸収性コア41A〜41Dを備えていてもよい。図11図14に示す吸収性コア41A〜41Dに関し、特に説明しない点については、上述のおむつ1の備える吸収性コア41に関して詳述した説明が適宜適用される。また、図11図14において、図4と同じ部材には同じ符号を付してある。図11図14に示す吸収性コア41A〜41Dは、それぞれ、腹側部Aにおける両側縁及び背側部Bにおける両側縁それぞれが股下部Cにおける両側縁よりも横方向(X方向)外方に延出しており、全体として縦方向(Y方向)中央部が内方に括れた形状に形成されたブロック形状領域411を有し、縦方向(Y方向)中央部が内方に括れた形状に形成された外周領域412を有している。また、前述の吸収体4の吸収性コア41に換えて、外周領域412を有さず、複数の線状の低坪量部44Xそれぞれが、横方向(X方向)の全長に亘って延び、複数の線状の低坪量部44Yそれぞれが縦方向(Y方向)の全長に亘って延びて形成された吸収性コアを用いてもよい。
【0074】
図11に示す吸収性コア41Aのブロック形状領域411について更に具体的に説明する。吸収性コア41Aにおいては、図11に示すように、ブロック形状領域411の背側部411bは、低坪量部44(44X,44Y)で区画された高坪量部43が、規則的に横方向(X方向)に5個配されたブロック構造が、規則的に縦方向(Y方向)に4行配されて形成されている。また、図11に示すように、ブロック形状領域411の股下部411cは、高坪量部43が、規則的に横方向(X方向)に3個配されたブロック構造が、規則的に縦方向(Y方向)に7行配されて形成されている。また、図11に示すように、ブロック形状領域411の腹側部411aは、低坪量部44(44X,44Y)で区画された高坪量部43が、規則的に横方向(X方向)に5個配されたブロック構造が、規則的に縦方向(Y方向)に4行配されて形成されている。吸収性コア41Aのブロック形状領域411においては、図11に示すように、6本の縦方向(Y方向)に延びる低坪量部44Yの中の4本が、それぞれ、腹側部Aから背側部Bに亘って直線状に配されている。
【0075】
図12に示す吸収性コア41Bのブロック形状領域411について更に具体的に説明する。吸収性コア41Bにおいては、図12に示すように、ブロック形状領域411の背側部411bは、低坪量部44(44X,44Y)で区画された高坪量部43が規則的に横方向(X方向)に4個配されたブロック構造が、規則的に縦方向(Y方向)に4行配されて形成されている。また、図12に示すように、ブロック形状領域411の股下部411cは、低坪量部44(44X,44Y)で区画された高坪量部43が規則的に横方向(X方向)に3個配されたブロック構造が、規則的に縦方向(Y方向)に7行配されて形成されている。また、図12に示すように、ブロック形状領域411の腹側部411aは、低坪量部44(44X,44Y)で区画された高坪量部43が規則的に横方向(X方向)に4個配されたブロック構造が、規則的に縦方向(Y方向)に4行配されて形成されている。吸収性コア41Bのブロック形状領域411においては、図12に示すように、何れの縦方向(Y方向)に延びる低坪量部44Yも、腹側部Aから背側部Bに亘って直線状に配されていない。
【0076】
図13に示す吸収性コア41Cのブロック形状領域411について更に具体的に説明する。吸収性コア41Cにおいては、図13に示すように、ブロック形状領域411の背側部411bは、低坪量部44(44X,44Y)で区画された高坪量部43が規則的に横方向(X方向)に5個配されたブロック構造が、規則的に縦方向(Y方向)に3行配され、さらに高坪量部43が規則的に横方向(X方向)に4個配されたブロック構造が、規則的に縦方向(Y方向)に1行配されて形成されている。また、図13に示すように、ブロック形状領域411の股下部411cは、低坪量部44(44X,44Y)で区画された高坪量部43が規則的に横方向(X方向)に3個配されたブロック構造が、規則的に縦方向(Y方向)に7行配されて形成されている。また、図13に示すように、ブロック形状領域411の腹側部411aは、低坪量部44(44X,44Y)で区画された高坪量部43が規則的に横方向(X方向)に4個配されたブロック構造が、規則的に縦方向(Y方向)に1行配され、さらに高坪量部43が規則的に横方向(X方向)に5個配されたブロック構造が、規則的に縦方向(Y方向)に3行配されて形成されている。吸収性コア41Cのブロック形状領域411においては、図13に示すように、何れの縦方向(Y方向)に延びる低坪量部44Yも、腹側部Aから背側部Bに亘って直線状に配されていない。
【0077】
図14に示す吸収性コア41Dのブロック形状領域411について更に具体的に説明する。吸収性コア41Dにおいては、図14に示すように、ブロック形状領域411の背側部411bは、低坪量部44(44X,44Y)で区画された高坪量部43が規則的に横方向(X方向)に6個配されたブロック構造が、規則的に縦方向(Y方向)に3行配され、さらに高坪量部43が規則的に横方向(X方向)に4個配されたブロック構造が、規則的に縦方向(Y方向)に1行配されて形成されている。また、図14に示すように、ブロック形状領域411の股下部411cは、低坪量部44(44X,44Y)で区画された高坪量部43が規則的に横方向(X方向)に2個配されたブロック構造が、規則的に縦方向(Y方向)に7行配されて形成されている。また、図14に示すように、ブロック形状領域411の腹側部411aは、低坪量部44(44X,44Y)で区画された高坪量部43が規則的に横方向(X方向)に4個配されたブロック構造が、規則的に縦方向(Y方向)に1行配され、さらに高坪量部43が規則的に横方向(X方向)に6個配されたブロック構造が、規則的に縦方向(Y方向)に3行配されて形成されている。吸収性コア41Dのブロック形状領域411においては、図14に示すように、7本の縦方向(Y方向)に延びる低坪量部44Yの中の3本が、それぞれ、腹側部Aから背側部Bに亘って直線状に配されている。
【0078】
また、上述の実施形態の使い捨ておむつ1においては、図1に示すように、吸収体4を構成する吸収性コア41の低坪量部44が、横方向(X方向)に延びる線状の低坪量部44Xと、縦方向(Y方向)に延びる線状の低坪量部44Yとにより、全体として格子状に形成されているが、該格子状の形状に限定されるものではない。
【0079】
また、上述の実施形態の使い捨ておむつ1は、図1に示すように、展開型の使い捨ておむつであるが、パンツ型の使い捨ておむつでもよい。
【0080】
上述した実施形態に関し、さらに以下の吸収性物品を開示する。
<1>肌対向面側に配された表面シートと、非肌対向面側に配された裏面シートと、これら両シート間に配された縦長の吸収体とを備えた吸収性物品であって、
前記表面シートは、肌対向面側に隆起の多数の隆起部と該隆起部に隣接する窪み部とを有し、該表面シートの肌対向面側が起伏を有する構造となり、非肌対向面側が平坦となっており、
前記吸収体は、吸収ポリマーを含む吸収性コアと該吸収性コアを包む被覆材とを有し、
前記吸収性コアは、相対的に坪量が高く前記裏面シート側に凸の高坪両部と、該高坪量部に隣接して相対的に坪量が低く前記裏面シート側から前記表面シート側に向かって凹んだ低坪量部とを有し、該高坪量部及び該低坪量部が一体成形されており、肌対向面側が平坦となっている吸収性物品。
【0081】
<2>前記表面シートは、シート状物の第1層及び第2層からなり、該第1層及び該第2層がそれぞれ該表面シートの肌対向面及び非肌対向面を構成し、該第1層が肌対向面側に隆起して内部が空洞となっている多数の前記隆起部を形成していると共に該隆起部間に前記窪み部を形成しており、該第2層が平面状になっている前記<1>に記載の吸収性物品。
<3>前記表面シートは、繊維集合体からなり、前記隆起部の内部が中実となっており、該隆起部及び前記窪み部がそれぞれ縦方向に延び且つ横方向に交互に並列している<1>に記載の吸収性物品。
<4>前記被覆材における肌対向面側の肌側被覆材と前記吸収性コアの平坦な肌対向面とが肌側吸収性コア接着剤を介して固定され、前記被覆材における非肌対向面側の非肌側被覆材と前記吸収性コアの非肌対向面とが非肌側吸収性コア接着剤を介して固定されており、
前記肌側吸収性コア接着剤は、前記吸収性物品の縦方向に長いスパイラル状に塗工され、
前記非肌側吸収性コア接着剤は、前記吸収性物品の横方向に間欠的に且つ縦方向に一直線状に塗工されている前記<1>〜<3>の何れか1に記載の吸収性物品。
<5>前記肌側吸収性コア接着剤の塗工面積率が、前記非肌側吸収性コア接着剤の塗工面積率よりも低い前記<1>〜<4>の何れか1に記載の吸収性物品。
<6>前記非肌側被覆材は、前記吸収性コアに対して、前記低坪量部の凹みに入り込んでいる前記<1>〜<5>の何れか1に記載の吸収性物品。
<7>前記肌側被覆材と前記表面シート側のシートとが肌側吸収体接着剤を介して固定され、
前記非肌側被覆材と前記裏面シートとが非肌側吸収体接着剤を介して固定されており、
前記肌側吸収体接着剤は、前記吸収性物品の縦方向に長いスパイラル状に塗工され、
非肌側吸収体接着剤は、前記吸収性物品の横方向に間欠的に且つ縦方向に一直線状に塗工されている前記<1>〜<6>の何れか1に記載の吸収性物品。
<8>前記吸収性コアは、前記高坪量部と前記低坪量部とが横方向に交互に並列しており、
スパイラル状に塗工された前記肌側吸収性コア接着剤及び前記肌側吸収体接着剤の少なくとも一方は、前記低坪量部上で複数点交差している前記<1>〜<6>の何れか1に記載の吸収性物品。
<9>前記裏面シートは、前記吸収性コアに対して、前記低坪量部の凹みに入り込んでいる前記<1>〜<8>の何れか1に記載の吸収性物品。
<10>前記肌側吸収性コア接着剤及び又は前記非肌側吸収性コア接着剤は、前記吸収性物品の縦方向に長いオメガ(Ω)状に塗工されている前記<1>〜<9>の何れか1に記載の吸収性物品。
【0082】
<11>前記表面シートは、前記窪み部において、前記第1層と前記第2層とが接合部を介して接合されている前記<2>及び前記<4>〜<10>の何れか1に記載の吸収性物品。
<12>前記表面シートにおいて、前記隆起部は、4点の前記接合部を有する前記窪み部で囲まれ、その底面が平面視して矩形であり、また該隆起部は、全体として稜線が丸みを帯びた扁平な直方体又は截頭四角錐体となっている前記<11>に記載の吸収性物品。
<13>前記表面シートを前記第1層の側から平面視すると、前記接合部が千鳥格子状に配置されており、前記隆起部も千鳥格子状に配置されている前記<11>又は<12>に記載の吸収性物品。
<14>前記第1層及び前記第2層はシート状物からなり、該シート状物は非伸縮性であり、該シート状物の材質としては、不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンレース不織布及びニードルパンチ不織布等の種々の不織布、また、開口手段によって液透過可能とされたフィルムも使用することができ、該シート材物として不織布を用いる場合、その構成繊維の繊度は1dtex以上20dtex以下であるか、又は1.5dtex以上5.6dtex以下である前記<2>〜<13>の何れか1に記載の吸収性物品。
<15>前記吸収体は、縦方向に長い液保持性の前記吸収性コアを、液透過性の親水性シートである前記被覆材で被覆して形成されている前記<1>〜<14>の何れか1に記載の吸収性物品。
<16>前記高坪量部及び前記低坪量部は、一体成形されており、前記吸収性コアは、該吸収性コアの非肌対向面側が凹凸構造となっている前記<1>〜<15>の何れか1に記載の吸収性物品。
<17>前記低坪量部は、横方向に延びる線状の低坪量部と、縦方向に延びる線状の低坪量部とからなり、該横方向に延びる線状の低坪量部の縦方向の長さは、前記高坪量部の縦方向の長さよりも短くなっており、該横方向に延びる線状の低坪量部の長さは、該高坪量部の長さの3%以上20%以下の長さである前記<1>〜<16>の何れか1に記載の吸収性物品。
<18>前記高坪量部は、平面視して、矩形状に形成されているか、縦方向に長い矩形状に形成されているか、四隅が円弧状となっているか、若しくは多角形状、楕円、又はそれらの組み合わせである前記<1>〜<17>の何れか1に記載の吸収性物品。
<19>前記低坪量部は、その坪量が、前記高坪量部の坪量の20%以上80%以下であるか、又は30%以上70%以下である前記<1>〜<18>の何れか1に記載の吸収性物品。
<20>前記吸収性コアは、格子状に配された前記低坪量部と、該低坪量部で区画された部位に配された高坪量部とからなるブロック形状領域、及び該ブロック形状領域の外周に亘って配された外周領域を有しており、前記吸収体においては、該高坪量部及び該外周領域は、該低坪量部に比してほぼ同じか高密度に形成されており、該低坪量部は、その密度が、該高坪量部の密度の50%以上100%以下であるか、又は75%以上95%以下である前記<1>〜<18>の何れか1に記載の吸収性物品。
【0083】
<21>前記肌側吸収性コア接着剤の塗工の塗工面積率は、2%以上40%以下であるか、又は5%以上20%以下であり、前記非肌側吸収性コア接着剤の塗工の塗工面積率は、20%以上100%以下であるか、又は30%以上80%以下である前記<5>に記載の吸収性物品。
<22>1枚の前記被覆材を用いて、該被覆材の両側部を折り返し、前記吸収性コアの前記裏面シート側に、該被覆材の側縁部どうしを重ねるようにして該吸収性コアを包んでいる前記<1>〜<21>の何れか1に記載の吸収性物品。
<23>前記肌側被覆部材と前記表面シートとが肌側吸収体接着剤を介して固定されており、該表面シートと該肌側被覆部材との間に別のシートが無く、該肌側被覆部材上に該表面シートが直接配されている前記<7>〜<22>の何れか1に記載の吸収性物品。
<24>前記吸収性物品が展開型の使い捨ておむつである前記<1>〜<23>の何れか1に記載の吸収性物品。
<25>前記吸収性物品がパンツ型使い捨ておむつである前記<1>〜<23>の何れか1に記載の吸収性物品。
【実施例】
【0084】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲はかかる実施例によって何ら制限されるものではない。
【0085】
[実施例1]
図5に示す装置を用いて吸収体4を製造し、図1に示す使い捨ておむつ1を作製した。表面シート2について詳述すると、隆起部21及び接合部25(窪み部22)が千鳥格子状に配されており、隆起部21の高さhは3mmであり、Y方向に沿う隆起部21の底部寸法L1は3mmであり、X方向に沿う隆起部21の底部寸法L2は3mmであり、隆起部21の底面積は9mm2であった。また、窪み部22の接合部25のX方向への長さL3及びY方向への長さは1mmであった。表面シート2を構成する第1層23は、構成繊維の繊度が2.2〜4.4dtexのエアスルー不織布からなり、その坪量は18g/m2であった。また、表面シート2を構成する第2層24は、構成繊維の繊度が2.3dtexのエアスルー不織布からなり、その坪量は18g/m2であった。
【0086】
次に、吸収体4について詳述すると、吸収性コア41は、Y方向の全長が370mmであり、X方向の全幅が120mmであった。また、吸収性コア41のブロック形状領域411は、Y方向の全長が330mmであり、X方向の全幅が50mmであった。吸収性コア41の外周領域412は、Y方向の端部のY方向の長さが20mmであり、腹側部Aの側部のX方向の長さが35mmであり、股下部Cの側部のX方向の長さが10mmであり、背側部Bの側部のX方向の長さが25mmであった。ブロック形状領域411を構成する低坪量部44Xの幅L4は2mmであり、低坪量部44Yの幅L5は2mmであった。ブロック形状領域411を構成する高坪量部43のY方向の長さL6は20mmであり、X方向の長さL7は10mmであった。ブロック形状領域411を構成する低坪量部44(44X,44Y)の坪量は260g/m2であり、ブロック形状領域411を構成する高坪量部43及び外周領域412それぞれの坪量は470g/m2であった。また、ブロック形状領域411を構成する低坪量部44(44X,44Y)の厚みは2.2mmであり、ブロック形状領域411を構成する高坪量部43及び外周領域412それぞれの厚みは4mmであった。また、ブロック形状領域411を構成する低坪量部44(44X,44Y)の密度は0.12g/cm3であり、ブロック形状領域411を構成する高坪量部43及び外周領域412それぞれの密度は0.12g/cm3であった。
【0087】
次に、接着剤5について詳述すると、スパイラル状に塗工された肌側吸収性コア接着剤51Tの塗工面積率は10%であり、ストライプ状に塗工された非肌側吸収性コア接着剤51Uの塗工面積率は、50%であった。
【0088】
[比較例1]
表面シート2に関し、非肌対向面側が起伏を有する構造となり肌対向面側が平坦となるように配する以外は、実施例1と同様にして、比較例1の使い捨ておむつを作製した。
【0089】
[比較例2]
吸収体4の吸収性コア41に関し、表面シート2側が凹凸構造となり裏面シート3側が平坦となるように配する以外は、実施例1と同様にして、比較例2の使い捨ておむつを作製した。
【0090】
[比較例3]
表面シート2に関し、非肌対向面側が起伏を有する構造となり肌対向面側が平坦となるように配し、更に吸収体4の吸収性コア41に関し、表面シート2側が凹凸構造となり裏面シート3側が平坦となるように配する以外は、実施例1と同様にして、比較例3の使い捨ておむつを作製した。
【0091】
〔性能評価〕
実施例1、比較例1〜3の使い捨ておむつに関し、下記方法に従って、着用時の湾曲性、及び着用時の通気性について評価した。評価環境は室温20℃、湿度60%RHであった。それらの結果を下記表1に示す。
【0092】
〔着用時の湾曲性〕
実施例1、比較例1〜3で得られた使い捨ておむつについて、吸収性コア41のブロック形状領域411に対応するように、縦方向(Y方向)に70mm横方向(X方向)に39mmの寸法で切り出す。このように切り出したサンプルを、熊谷理機工業株式会社製のテーバースティフネステスター(品番2048−D)を用いて、一定速度(180°±40°/min)で15°曲げ時の曲げモーメント(gf・cm)を測定した。測定はX方向の左右両方向に曲げて測定し、各おむつについて3サンプル測定し、測定された値の平均値を求め、表1に示した。
【0093】
〔排泄前の通気性〕
実施例1、比較例2で得られた使い捨ておむつについて、吸収性コア41のブロック形状領域411の中央位置に対応するように、中央に孔(内径8mm)の開いたアクリル板(縦175mm、横80mm)を設置し、中央の孔と円筒形の筒(シリンジ)の先端部とをシリコン管にて接続し、垂直に注射筒(翼工業株式会社製の品番2−5636−10)を立てる。次いで、アクリル板上に3.5kPaの荷重が加わるようおもりを載せる。次いで、可動式の押子(プランジャ)の自重により空気を供給し、200ccの空気が通過するまでの時間(秒)を測定した。尚、各おむつについて3サンプル測定し、測定された値の平均値を求め、表1に示した。
【0094】
〔排泄後の通気性〕
実施例1、比較例2で得られた使い捨ておむつについて、吸収性コア41のブロック形状領域411の中央位置に対応する表面シート2上に、生理食塩水(0.9重量%塩化ナトリウム水)を40g供給し、10分間放置する。その後、排泄前の通気性と同様に測定し、表1に示した。
【0095】
【表1】
【0096】
表1に示す結果から明らかなように、実施例1の使い捨ておむつは、比較例1〜3の使い捨ておむつに比べて、X方向の曲げモーメントが低く、着用時の湾曲性が高いことが分かった。また、肌対向面側が起伏を有する構造となり非肌対向面側が平坦となっている表面シート2を備えた実施例1の使い捨ておむつ及び比較例2の使い捨ておむつを比べると、実施例1の使い捨ておむつの方が、比較例2の使い捨ておむつに比べて、特に排泄後の通気性が高いことが分かった。このように排泄後の通気性が高い実施例1の使い捨ておむつによれば、肌触り性も向上することが期待できる。
【符号の説明】
【0097】
1 使い捨ておむつ
2 表面シート
21 隆起部
22 窪み部
23 第1層、24 第2層
25 接合部
3 裏面シート
4 吸収体
41 吸収性コア
41T 吸収性コア41の平坦な肌対向面
41U 吸収性コア41の凹凸構造の非肌対向面
411 ブロック形状領域
412 外周領域
42 被覆材
421 肌側被覆材
422 非肌側被覆材
43 高坪量部
44 低坪量部
44X 横方向(X方向)に延びる線状の低坪量部
44Y 縦方向(Y方向)に延びる線状の低坪量部
5 接着剤
51T 肌側吸収性コア接着剤
51U 非肌側吸収性コア接着剤
5T 肌側吸収体接着剤
5U 非肌側吸収体接着剤
6 立体ギャザー
61 立体ギャザー形成用の弾性部材
62 立体ギャザー形成用シート
63 レッグ弾性部材
64 ウエスト部弾性部材
7 ファスニングテープ
8 ランディングテープ
9 空間
10 接着剤
45 吸収性材料
46 堆積物
49 吸収体前駆体
50 回転ドラム
51 ドラム凹部
52 メッシュプレート
53 難通気性部材
54,55 領域
60 ダクト
65 バキュームボックス
70 トランスファーロール
75 メッシュベルト
80 バキュームコンベア
90 加圧手段
A 腹側部,B 背側部,C 股下部
CL おむつの縦方向に延びる中心線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14