(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1が示唆しているとおり、ロボットを長期間実用すると、付与された予圧が徐々に解放され、軸受内部のガタが大きくなったり軸受に要求される剛性を保てなくなったりする。このため、予圧を再付与するなどのメンテナンスが必要になる。
【0007】
しかしながら、特許文献1のように、メンテナンスのため軸受ユニットを交換するとなれば、軸受に再び予圧を付与しさえすれば軸受ユニットを再利用可能であっても寿命を残した軸受を廃棄することになり、非常に不経済である。これを避けようとすれば、ガタが生じているのを許してロボットを実用しなければならず、そもそもロボットが所望の作業を行えなくなるおそれがある。
【0008】
軸受ユニットを交換するには、リンクの分解とその後の再組立を必要とする。このため、軸受ユニットの交換前にはリンクのアームへの連結もリンクの可動板への連結も解かざるを得ず、軸受ユニットの交換に付帯するリンク分解作業は非常に煩雑である。軸受ユニット交換後におけるリンク再組立作業も同様に非常に煩雑である。
【0009】
そこで本発明は、関節構造に備わる軸受に予圧を容易に再付与することができるようにし、それにより関節構造のメンテナンスを容易化することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記目的を達成すべくなされたものであり、本発明に係るロボットの関節構造は、第1部材に第2部材を回転可能に連結するロボットの関節構造であって、外輪と転動体と内輪とを含み、前記内輪のその軸線方向への移動により前記転動体を前記外輪に押圧可能に構成され、且つ前記外輪が前記第1部材に設けられた軸受と、前記軸受の前記内輪に嵌挿及び固定され、且つ位置調整機構を介して前記第2部材と共に回転可能に且つ前記内輪の軸線方向における位置を調整可能に該第2部材に取り付けられた回転軸と、を備え、前記位置調整機構は、調整部と、該調整部での調整により前記第2部材に対して前記回転軸を前記内輪の軸線方向に移動させる移動機構と、を含む。
【0011】
前記構成によれば、ロボットが長期間使用されて軸受にガタが生じても、調整部を用いて回転軸を内輪の軸線方向に移動させることにより、軸受の内輪によって転動体を外輪に押圧することができ、それによりガタを無くすことができる。このように、ロボットの分解作業及び再組立作業を要さずに軸受に予圧を再付与することができ、ロボットの関節構造のメンテナンス作業を省力化することができる。
【0012】
前記移動機構は、前記回転軸の一方の端部に該回転軸の軸方向に延びるように形成された雌ねじ孔と、前記ボルト孔に挿通されて前記雌ねじ孔に螺合するボルトを含み、前記調整部は前記ボルトの頭部であり、前記頭部の調整により前記ボルトが締め方向に回転すると前記回転軸が前記内輪の軸線方向へ移動してもよい。
【0013】
前記構成によれば、ボルトを締め方向に回転させるだけで、ロボットの関節構造をメンテナンスすることができる。
【0014】
それぞれ前記軸受で構成され、それぞれの内輪の軸線を共有するように並ぶ第1及び第2の軸受が、第1挟持部及び第2挟持部によって前記軸線方向に挟まれ、前記第1挟持部は、前記回転軸の他方の端部に設けられて2つの前記軸受外で前記第1軸受の内輪に当接し、前記第2挟持部は、前記第2軸受の内輪に当接し、前記ボルトが締め方向に回転すると、前記回転軸の前記軸線方向一方側への移動に伴い前記第1挟持部及び前記第2挟持部の間隔が狭まり、前記第1軸受の内輪が前記軸線方向一方側に押し付けられ且つ前記第2軸受の内輪が前記軸線方向他方側に押し付けられ、それにより前記第1及び第2軸受においてそれぞれの内輪によってそれぞれの転動体をぞれぞれの外輪に押圧してもよい。
【0015】
前記構成によれば、移動機構の作動に応じて、2つの軸受それぞれについてガタを解消することができる。
【0016】
前記2つの軸受が、それぞれ、背面組みされた2つの円錐ころ軸受であってもよい。
【0017】
前記構成によれば、内輪に軸線方向押圧力が付与されると、楔の作用により内輪から外輪側に向かう半径方向押圧力を付与することが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、関節構造に備わる軸受に予圧を容易に再付与することができるようになり、それにより関節構造のメンテナンスを省力化することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら実施形態について説明する。なお、同一の又は対応する要素には全ての図を通じて同一の符号を付して重複する詳細説明を省略する。
【0021】
図1は、実施形態に係るロボット1を上から見た斜視図である。
図1に例示するロボット1は、並列リンクロボットであるが、2つの被連結部材を回転可能に連結する関節構造を有したロボットであれば、他の形式のロボット(例えば、垂直多関節ロボット又は水平多関節ロボット)にも適用可能である。なお、
図1に示すロボット1は、食品、薬品、化粧品及び小型電子部品等の生産工場内の作業空間内に配置され、ピッキング作業、箱詰め作業及び部品組み立て作業等の各種作業を行うロボットとして好適に利用される。
【0022】
図1に示すように、ロボット1は、主として、基台2と、可動板3と、3つの回転アクチュエータ4と、3本のアーム5と、3本のリンク6と、3つの第1ジョイント部と、3つの第2ジョイント部8とを備える。基台2は、作業空間に設置され、可動板3は、アーム5及びリンク6の回転範囲によって規定される可動範囲内で三次元的に移動する。可動板3にはエンドエフェクタ(図示せず)が着脱自在に取り付けられる。
【0023】
本実施形態では、一例として、基台2が水平姿勢で設置されて可動板3が基台2の下に位置するものとしており、以降の説明における方向の概念はこの配置を基準としている。ただし、基台2は任意の姿勢で設置され得るので、方向の概念はロボット1の設置の仕方に応じて変更され得る。エンドエフェクタ(図示せず)は、ハンドやマニピュレータのように前述した各種作業用のツールであり、可動板3は、その下面にエンドエフェクタを取り付けるための構造3aを有している。必要に応じて、可動板3の上面にはエンドエフェクタを回転駆動するエフェクタアクチュエータ9が設けられる。
【0024】
回転アクチュエータ4は例えば電動モータであり、その出力軸の回転がアーム5に伝達される。各アーム5は、その基端部にて回転アクチュエータ4に取り付けられ、これにより基台2に対して回転可能に接続される。アーム5の基台2に対する回転軸線A0は、同一平面上で120度回転対称に配置され、正三角形を成すようにして交差する。本実施形態では、3本の回転軸線A0が同一の水平面上で回転対称に配置される。
【0025】
3本のリンク6は、3本のアーム5の先端部それぞれを1枚の可動板3に連結する。各リンク6は、その基端部にて第1ジョイント部7を介して対応のアーム5の先端部に連結され、その先端部にて第2ジョイント部8を介して可動板3に回転可能に連結される。第1ジョイント部7は、アーム5の基台2に対する回転軸線A0に平行な第1軸線A1及び該第1軸線A1に垂直な第2軸線A2の2つの軸線周りに回転可能に、リンク6の基端部をアーム5の先端部に連結する。第2ジョイント部8は、第1軸線A1に平行な第3軸線A3及び該第3軸線A3に垂直な第4軸線A4の2つの軸線周りに回転可能に、リンク6の先端部を可動板3に連結する。3本の第4軸線A4は、同一平面上で120度回転対称に配置され、正三角形を成すように交差し、当該平面は、3本の回転軸線A0が位置する平面と平行である。
【0026】
このように構成されるロボット1によれば、1本のリンク6が、基端部において直交2軸の回転自由度を持ってアーム5に回転可能に連結され且つ先端部にて直交2軸の回転自由度を持って可動板3に回転可能に連結される。これにより、3つの回転アクチュエータ4の任意の動作に対して、第4軸線A4が位置する平面が、回転軸線A0が位置する平面に対する平行状態を維持し、そのため基台2に対する可動板3の姿勢が変わらない。このように、リンク6の総数を3としながら、基台2に対する可動板3の姿勢を一定(本実施形態では水平)に保持してエンドエフェクタを三次元的に移動させることができる。
【0027】
このロボット1においては、上記の平行状態を維持する際に、3本のリンク6それぞれに対応する2つのジョイント部7,8(1本のリンク6あたり4軸線分の関節構造J1〜J4)の役割が大きくなってくる。そのため本実施形態に係る第1及び第2ジョイント部7,8では、後述するように、4軸線分の関節構造J1〜J4それぞれでガタが出ないように特別な配慮がなされている。
【0028】
図2は、
図1に示すリンク6、第1ジョイント部7及び第2ジョイント部8のスケルトン図である。
図3は、
図1に示す第1ジョイント部7の周辺部位を示す斜視図である。
図2に示すように、第1ジョイント部7は、アーム5の先端部に対して第1軸線A1周りに回転する第1回転シャフト11と、第1回転シャフト11に対して第2軸線A2周りに回転する第2回転シャフト12とを有し、リンク6の基端部は第2回転シャフト12に固定される。
【0029】
第1回転シャフト11は、回転可能な第1軸部13を有し、当該第1軸部13が第1軸受14で回転可能に支持される。第1軸受14は、第1軸部13の外周側に設けられ、その更に外周側に設けられる第1軸受ホルダ15により保持される。第1軸受ホルダ15は、第1軸受14を保持し且つ第1軸受14で第1軸部13を支持している状態で、アーム5の先端部に固定される(
図3参照)。第1軸部13の中心軸線、第1軸受14の中心軸線及び第1軸受ホルダ15の中心軸線は同軸に配置され、これら中心軸線が第1軸線A1を成している。
【0030】
第2回転シャフト12は、回転可能な第2軸部16を有し、当該第2軸部16が第2軸受17で回転可能に支持される。第2軸受17は、第2軸部16の外周側に設けられており、その更に外周側に設けられる第2軸受ホルダ18により保持される。第2軸受ホルダ18は、第1軸部13の端部であってアーム5から遠位の端部に設けられ、第1回転シャフト11(第1軸部13)と共に回転する。第2回転シャフト12は、第2軸部16から連続して第2軸受16の外に突出する突出端部19を有し、リンク6の基端部は当該突出端部19に固定される。本実施形態では、リンク6の基端部が円筒状に形成されており、一つの突出端部19がリンク6の基端部に対して回転不能に嵌め込まれる(
図3参照)。第2軸部16の中心軸線、第2軸受17の中心軸線、第2軸受ホルダ18の中心軸線は同軸に配置され、これら中心軸線が第2軸線A2を成している。
【0031】
このように、第1ジョイント部7は、第1回転シャフト11を含む第1関節構造J1と、第2回転シャフト12を含む第2関節構造J2とをユニット化したものとなっている。第1関節構造J1は、第2回転シャフト12及びこれに固定されるリンク6の基端部をアーム5に対して第1軸線A1周りに相対回転可能に連結しており、当該相対回転は、第1軸受14により支持された第1回転シャフト11の回転によって実現される。第2関節構造J2は、リンク6の基端部を第1回転シャフト及びその先のアーム5に対して第2軸線A2周りに相対回転可能に連結しており、当該相対回転は、第2軸受17で支持された第2回転シャフト12の回転によって実現される。第1回転シャフト11は、第1関節構造J1ではリンク6をはじめとする回転部材(第2部材)と共に回転する回転軸として機能する一方、第2関節構造J2では固定部材(第1部材)として機能する。
【0032】
リンク6を直交2軸の回転自由度を持ってアーム5に連結するにあたり、第1ジョイント部7においては、第1軸線A1周りの回転自由度を提供する関節構造(第1関節構造J1)が、該第1軸線A1に対し垂直な第2軸線A2周りの回転自由度を提供する構造(第2関節構造J2)と分離されており、第1関節構造J1の第1回転シャフト11及び第2関節構造J2の第2回転シャフト12(換言すれば、第1軸線A1及び第2軸線A2)が、十字ではなくT字又はL字を成す。このため、第1関節構造J1の構成要素をアーム5に取り付けると、第2関節構造J2の構成要素をアーム5から第1軸線A1の方向に離すことができ、それにより第2関節構造J2の構成要素に取り付けられるリンク6の基端部もアーム5から同方向に離すことができる。これにより、1本1組のリンク6の基端部をアーム5で片持ち支持する構造を実現することができる。
【0033】
第2ジョイント部8も、第1ジョイント部7と同様である。第2ジョイント部8は、リンク6の先端部と共に第3軸線A3周りに回転する第3回転シャフト21と、第3回転シャフト21に対して第4軸線A4周りに回転する第4回転シャフト22とを有する。第3回転シャフト21は第3軸受23で回転可能に支持され、第3軸受23は第3軸受ホルダ24に保持される。第3回転シャフト21の中心軸線、第3軸受23の中心軸線及び第3軸受ホルダ24の中心軸線が第3軸線A3を成す。第4回転シャフト22は第4軸受25で回転可能に支持され、第4軸受25は第4軸受ホルダ26に保持される。第4回転シャフト22の中心軸線、第4軸受25の中心軸線及び第4軸受ホルダ26の中心軸線が第4軸線A4を成す。リンク6の先端部は、第3回転シャフト23のうち第3軸受23から突出する端部27に固定される。第4軸受ホルダ26は可動板3に固定される。第3軸受ホルダ24は、第4回転シャフト22の端部であって可動板3から遠位の端部に設けられ、第4回転シャフト22と共に回転する。第3回転シャフト21は第2回転シャフト12と同様の構造を有し、第4回転シャフト22は第1回転シャフト11と同様の構造を有する。
【0034】
第2ジョイント部8も、第3回転シャフト21を含み、リンク6の先端部を可動板3に対して第3軸線A3周りに回転可能に連結する第3関節構造J3と、第4回転シャフト22を含み、リンク6の先端部及びこれに固定される第3回転シャフト21を可動板3に対して第4軸線A4周りに回転可能に連結する第4関節構造J4とを有し、これら関節構造J3,J4をユニット化することで第2ジョイント部8が構成される。第4回転シャフト22は、第3関節構造J3では固定部材(第1部材)として機能する一方、第4関節構造J4ではリンク6をはじめとする回転部材(第2部材)と共に回転する回転軸として機能する。第2ジョイント部8においても、第3軸線A3周りの回転自由度を提供する構造(第3関節構造J3)と、第4軸線A4周りの回転自由度を提供する構造(第4関節構造J4)とが分離され、第3回転シャフト21及び第4回転シャフト22(換言すれば、第3軸線A3及び第4軸線A4)がT字又はL字を成す。このため、第4関節構造J4の構成要素を可動板3に取り付けると、第4軸線A4の方向に第3関節構造J3を離すことができ、それにより、第3関節構造J3の構成要素に固定されるリンク6の先端部も同方向に話すことができる。したがって、リンク6の先端部を可動板3で片持ち支持する構造を実現することができる。
【0035】
図4は、
図1に示す第1ジョイント部7の内部構造を示す断面図である。以下、
図4を参照しながら、第1関節構造J1について詳細に説明する。
図4に示すように、第1関節構造J1は、前述した第1回転シャフト11、第1軸受14及び第1軸受ホルダ15と共に、位置調整機構40を備えている。
【0036】
第1軸受ホルダ15は、下記のとおり第1軸受14を保持し且つ第1回転シャフト11が該第1軸受14で支持された状態で、アーム5の先端部に設けられた受容部28に受容される。第1軸受ホルダ28は、受容部28の端部に設けられた受容開口29を介して受容部28内へと嵌め込まれる。嵌込み後、第1軸受ホルダ15は、ボルト等のジョイント着脱具30を用いてアーム5の先端部に取外し可能に固定される。
【0037】
第1軸受ホルダ15は、筒状のホルダボディ31と、ホルダボディ31に取り付けられるホルダカバー32とを有する。ホルダボディ32には軸受挿入口33が設けられている。第1軸受14は、軸受挿入口33を介してホルダボディ32内に軸線方向一方側に向けて挿入され、その後に、軸受挿入口33がホルダカバー32で覆われ、ホルダカバー32がホルダボディ31にボルト等のカバー固定具(図示せず)を用いて固定される。
【0038】
第1軸受14は、例えば、軸線方向に並ぶ2個の転がり軸受34,35からなる。どちらの転がり軸受34(35)も、外輪34a(35a)と内輪34a(35b)と転動体34c(35c)とを含み、内輪34b(35b)の軸線方向への移動によって転動体34c(35c)を外輪34a(35a)に押圧可能に構成される。これを実現する一例として、
図4は、第1軸受14が背面組みされた2個の円錐ころ軸受34,35からなる場合を例示している。こうすると、内輪34b(35b)が押圧されれば楔の作用で内輪34b(35b)が転動体34c(35c)を径方向に押し、ひいては外輪34a(35a)を径方向に押すことができる。このような動作を実現できるのであれば、円錐ころ軸受は正面組みされていてもよいし、第1軸受14に他形式の軸受を適用してもよい。
【0039】
2個のベアリング34,35は、組み方(例えば、背面組みであるか正面組みであるか等)を考慮した向きで、軸受挿入口33を介してホルダボディ31内に1つずつ挿入される。なお、図示例では、軸線方向一方側(ベアリング挿入方向奥側)のベアリング34の外輪34aが軸線方向他方側(ベアリング挿入方向手前側)のベアリング35の外輪35aと軸線方向に接触するが、これら外輪34a,35aの間に間座を設けても構わない。
【0040】
ホルダボディ31は、内周面から突出する凸部36を有している。一方側のベアリング34は、その外輪34aが凸部36に突き当てられるまで挿入される。次に、他方側のベアリング35が、その外輪35aが一方側のベアリング34を押圧するまで挿入される。外輪34a,35aはどちらも、ホルダボディ31の内周面に固定される。ホルダカバー32は、内面から突出する凸部37を有しており、ホルダカバー32で軸受挿入口33を塞ぐと、凸部37が軸受挿入口33を通ってホルダボディ31内へと突出し、他方側のベアリング35の外輪35aに当接する。これにより、外輪34a,35aが凸部36,37により軸線方向に挟まれる。前述のカバー固定具がボルトであるときには、ボルトを締め上げることで第1軸受14を第1軸受ホルダ15に対して軸線方向にガタ無く位置決めすることができる。
【0041】
第1回転シャフト11は、前述のとおり第1軸部13を有し、第1軸部13は、ホルダカバー32を貫通して第1軸受ホルダ15内へと進入している。第1軸部13は、ホルダカバー32から見て、軸線方向他方側(軸進入方向手前側)の内輪35b及び軸線方向一方側(軸進入方向奥側)の内輪34bにこの順で挿し込まれる。第1軸部13は、これら内輪34b,35bそれぞれに圧入固定される。第1軸部13を有する第1回転シャフト11は、内輪34b,35bと共に回転可能であり、外輪34a,35a及び第1軸受ホルダ15に対して相対回転可能になる。
【0042】
前述のとおり、第1軸部13の軸線方向他端部には第2軸受ホルダ18が設けられ、第2軸受ホルダ18は、第2軸受16、第2回転シャフト12を介してリンク6の基端部に接続される。このため、第1回転シャフト11が回転することで、リンク6の基端部はアーム5に対して第1軸線A1周りに回転する。
【0043】
第1回転シャフト11は、第1関節構造J1の回転部材(第2軸受ホルダ、第2軸受、第2回転シャフト及びリンク6)と共に回転するように、位置調整機構40を介して当該回転部材に取り付けられる。第1回転シャフト11は、内輪34a,35aの軸線方向に関する位置を調整することができるように、位置調整機構40を介して第1関節構造J1の回転部材に取り付けられる。
【0044】
位置調整機構40は、調整部41と、調整部41による調整により第1回転シャフト11を第1関節構造J1の固定部材(第1軸受ホルダ15及びアーム5等)に対して軸線方向に移動させる移動機構42とを含む。前述のとおり、第1回転シャフト11は、内輪34b,35bの軸線方向に位置調整することができるように構成されており、第1軸受14を成す2個のベアリング34,35は、内輪34b,35bの軸線方向への移動により転動体34c,35cを外輪34a,35aに押圧可能に構成される。このため、調整部41による調整を行い、それにより移動機構42を作動させて第1回転シャフト11を軸線方向に移動させれば、これに伴って内輪34b,35bの軸線方向の位置を調整することができる。すると、調整量に応じて内輪34b,35bが軸線方向に移動することとなるので、この移動により転動体34c,35cが外輪34a,35aに押圧される。すると、内輪34b,35bと転動体34c,35cとの間及び/又は転動体34c,35cと外輪34a,35aとの間にガタがあっても、そのガタを解消することができる。同時に、第1軸受14を成すベアリング34,35に予圧を付与することができる。これにより第1軸受14の剛性が高まり、ロボット1の動作性が向上する。
【0045】
調整部41はロボット1の製品完成後にも第1関節構造J1に設けられている。このため、ロボット1を長期間使用することで第1軸受14に付与されていた予圧が解放されて第1軸受14内にガタが生じ始めても、ロボット1のメンテナンス者は、調整部41にアクセスして調整部41による調整を行うだけで、第1軸受14のガタを解消し直すことができ、また、第1軸受14に予圧を再付与することができる。この予圧再付与にはリンク6の分解及び再組立が不要になるので、第1関節構造J1のメンテナンスを省力化することができる。
【0046】
調整部41は、第1軸受14の軸受外に配置されており、好ましくは第1軸受14よりも軸線方向一方側(軸受挿入方向奥側、軸進入方向奥側)の軸受外に配置される。このため、ロボット1のメンテナンス者は調整部41に容易にアクセスすることができる。したがって、第1関節構造J1のメンテナンスを一層省力化することができる。
【0047】
以下、位置調整機構40の具体的構造の一例について説明する。位置調整機構40は、第1軸受の内輪34b,35bを軸線方向に挟む第1挟持部43及び第2挟持部44を含む。第1挟持部43は、第1軸部13の軸線方向他端部(軸進入方向手前側端部)に設けられ、第1軸部13と第2軸受ホルダ18との間に介在している。第1挟持部43は、他方側のベアリング35の内輪35bの内径よりも大径に形成される。第1回転シャフト11の第1軸受14及び第1軸受ホルダ15への組付けのため、第1軸部13を第1軸受14の内輪34b,35bに嵌挿していくと、第1挟持部43が第1軸受14の軸受外で他方側の内輪35bの軸線方向他端面(軸進入方向手前側端面)に当接し、それにより第1軸部13の進入が止まる。
【0048】
第2挟持部44は、一方側のベアリングの内輪34bの軸線方向一端面(軸進入方向奥側端面)に当接している。図示例では、第2挟持部44を一方側の内輪34bの内径よりも大径に形成した円盤状の板材とした場合を例示しているが、第2挟持部44は、内輪34bに軸受外で当接可能であればどのように成形又は構成されていてもよい。
【0049】
第1挟持部43の作用により第1軸部13の進入が止まった状態において、第1軸部13の一端部(軸進入方向奥側端部)は、一方側の内輪34b内に位置し、第1軸受14から軸受外に突出しない。このため、第2挟持部44は、第1軸部13と干渉することなく内輪34bの端面に設置される。逆に言えば、内輪34b内には、第1軸部13と第2挟持部44との間にクリアランス45が形成される。なお、このクリアランス45が、位置調整機構40における位置調整代である。
【0050】
本実施形態に係る移動機構42には、ねじ対偶を用いた回転並進変換機構が適用されている。すなわち、移動機構42は、第1軸部13の他端部(軸進入方向奥側端部)に形成された雌ねじ孔47と、雌ねじ孔47に螺合するボルト48とを含む。雌ねじ孔47は、第1軸部13の軸線方向に延びており、第1軸部13の他端面(軸進入方向奥側端面)で開口してクリアランス45に開放される。ボルト48は、ねじが切られた軸状の雄ねじ部49と、雄ねじ部49の一端部に設けられた頭部50とを有し、頭部50には締結工具(図示せず)を挿し込むための六角状又は十字状の調整操作孔51が設けられている。雄ねじ部49を第2挟持部44に形成されたボルト挿通孔52と前述のクリアランス45を通過させて調整操作孔51に挿し込まれた締結工具でボルト48を締め方向に回転させると、雄ねじ部49が雌ねじ孔47に螺入していく。頭部50が第2挟持部44の一端面(軸進入方向奥側端面、ボルト進入方向手前側端面)に当接するまでボルト48を締めると、第1軸受14の内輪34b,35bが第1挟持部43と第2挟持部44とにより軸線方向に挟まれる。
【0051】
締付けトルクが更に増大すると、雄ねじ部49の雌ねじ孔47への螺入量を増大させることができる。このとき、第1軸部13が第1関節部材J1の固定部材(第1軸受ホルダ15及びアーム5)に対して軸線方向に相対移動する。この相対移動に伴い、第1軸部13に設けられた第1挟持部43が第2挟持部42に近付くように移動し、それにより第1挟持部43及び第2挟持部44の間隔が狭まる。このように間隔が狭まるときには、他方側の内輪35bが第1挟持部43により一方側(軸進入方向奥側)に押し付けられる。一方側の内輪34bは第2挟持部44により他方側(軸進入方向手前側)に押し付けられる。
【0052】
本実施形態では、第1軸受14が背面組みされた2個の円錐ころ軸受からなる。このため、他方側の内輪35bの外周面は、他方側(押付け方向手前側)から一方側(押付け方向奥側)に向かうほど径方向中心側に向かって傾斜する円錐面を有し、転動体35cは当該円錐面上を転動する。一方側の内輪34bの外周面は、一方側(押付け方向手前側)から他方側(押付け方向奥側)に向かうほど径方向中心側に向かって傾斜する円錐面を含み、転動体34cが当該円錐面上で転動する。
【0053】
このため、他方側のベアリング35では、第1挟持部43が内輪35bを一方側に押し付けて内輪35bが一方側に移動すると、楔作用が働いて転動体35cが径方向外周側に押され、内輪35bが転動体35cを外輪35aに押圧する。これにより内輪35bの軸線方向の位置が調整され、当該ベアリング35内のガタが解消されると共に当該ベアリング35に予圧を付与することができる。一方側のベアリング34でも同様である。第2挟持部44が内輪34bを一方側に押し付けると、内輪34bが転動体34cを外輪34aに押圧する。これにより内輪34bの軸線方向の位置が調整され、当該ベアリング34内のガタが解消されると共に当該ベアリング34に予圧を付与することができる。
【0054】
このように本実施形態では、ボルト48を締め方向に回転することにより、第1軸受14内のガタ解消と第1軸受14への予圧付与とを行うことができる。ボルト48又はボルト48の頭部50は、位置調整機構40における調整部41を構成しており、頭部50に対する回転操作量及び回転操作力を調整することで、第1軸受14の内輪34b,35bの軸線方向の位置を調整することができる。本実施形態では、調整部41が手動操作されるが、自動操作されてもよい。
【0055】
前述のとおり、第1軸受ホルダ15はアーム5の受容部28に収容され、ジョイント着脱具30を用いてアーム5に固定される。ホルダボディ31は、軸線方向において軸受挿入口33とは反対側(ホルダ挿入方向奥側)に凸部36よりも当該反対側に突出する突出部53を有している。一方、アーム5の受容部28は、概略的には、軸線方向において受容開口29とは反対側(ホルダ挿入方向奥側)が奥壁54で閉じられた有底円筒状に形成されている。第1軸受ホルダ15を受容部28内に収容するときには、突出部53の一端面(ホルダ挿入方向奥側端面)が奥壁54の内面に当接する。ジョイント着脱具30は、受容部28の外から奥壁54を貫通して突出部53に係合される。ジョイント着脱具30の着脱方向は、受容部28及び第1軸受ホルダ15の軸線方向に平行である。
【0056】
このような構成を採用すると、突出部の軸線方向長さを適切に確保しておけば、突出部53で第1軸受14を保護することができ、第1軸受ホルダ15を受容部28に収容するときに第1軸受14がアーム5と干渉するのを避けることができる。また、突出部の軸線方向長さを適切に確保しておけば、ジョイント着脱具30の着脱方向が受容部28及び第1軸受ホルダ15の軸線方向に平行であっても、ジョイント着脱具30が第1軸受14に干渉するのを避けることができる。このようにジョイント着脱具30の着脱方向が受容部28の軸線方向に平行でも構わないとなれば、受容部28の端面に対峙した状態で着脱作業を完了することができ、複数のジョイント着脱具30を径方向に着脱するようにして周方向に間隔をおいて配置する場合と比べ、第1軸受ホルダ15の着脱作業が省力化する。
【0057】
受容部28の奥壁54にはアクセス口55が貫通しており、アクセス口55は突出部53の内部空間に連通する。ロボット1が実用されている間、アクセス口55は奥壁に取り付けられる蓋56によって閉鎖されるので、作業空間からの異物が第1関節構造J1の内部に侵入するのを防ぐことができる。ロボット1が長期間使用されると、第1軸受14に付与されていた予圧が徐々に解放され、第1軸受14内にガタが生じはじめる。
【0058】
メンテナンス者は、蓋56を奥壁から取り外してアクセス口55を開放すれば、アクセス口55を介して突出部53の内部にアクセスすることができる。突出部53の内部には、ボルト48の頭部50が露出しており、調整操作孔51はアクセス口55の方に向けられている。メンテナンス者は、手にした締結工具をアクセス口55から突出部53の内部へと挿し込んで調整操作孔51に容易に係合させることができる。そして締結工具を回転して頭部50の回転操作量及び回転操作力を調整することで、第1軸受14の内輪34b,35bの軸線方向の位置を再調整することができ、これにより第1軸受14内のガタを解消し直して第1軸受14に予圧を再付与することができる。
【0059】
このように、第1軸受14への予圧再付与に付帯する作業は、蓋56の着脱のみである。よって、第1軸受14のメンテナンスを省力化することができる。また、調整部41をボルト48の頭部50としたので、アクセス口55及び突出部53の内部が狭隘であっても、締結工具の回転を無理なく行うことができる。例えば、調整部をナットで構成した場合と比べ、受容部28及び第1関節構造J1を小型化してもメンテナンス時の調整作業を簡便に行うことができる。
【0060】
次に、第2関節構造J2について説明する。第2関節構造J2も、第1関節構造J1と同様にして、第2軸受のガタの解消し直しと第2軸受への予圧再付与とを簡便に行えるように構成されている。
図4に示すように、第2関節構造J2は、前述した第2回転シャフト12、第2軸受17及び第2軸受ホルダ18と共に、位置調整機構を備えている。
【0061】
第2軸受ホルダ18は、第1軸部13の軸線(すなわち、第1軸線A1)と垂直に延びる筒状に形成される。第2軸受ホルダは、その軸線方向一端部及び他端部それぞれに設けられた軸受挿入口61,62と、内周面の軸線方向中央部から突出する凸部63とを有している。第2軸受17は、第1軸受16と同様であり、軸線方向に並ぶ2個の転がり軸受64,65からなり、どちらのベアリング64,65も、内輪64b,65bの軸線方向への移動によって転動体64c,65cを外輪64a,65csに押圧可能に構成される。ここでは、第2軸受17も背面組みされた2個の円錐ころ軸受64,65からなる場合を例示するが、軸受の組み方及びタイプは適宜変更可能である。一方側のベアリング64は、一端部の軸受挿入口61から第2軸受ホルダ18内に軸線方向他方側に向けて挿入され、他方側のベアリング65は、他端部の軸受挿入口62から第2軸受ホルダ18内に軸線方向一方側に向けて挿入される。どちらのベアリングの外輪64a,65aも、凸部63に当接し、第2軸受ホルダ18の内周面に固定される。
【0062】
第2軸部16は、軸線方向他方側から軸線方向一方側に向けて第2軸受ホルダ18内に進入し、他方側の内輪65b及び一方側の内輪64bにこの順で嵌挿され、どちらの内輪64b,65bも第2軸部16の外周面に固定される。第2軸部16を有する第2回転シャフト12は、内輪64b,65bと共に回転可能であり、外輪64a,65及び第2軸受ホルダ18、更には第1回転シャフト及びアームに対して相対回転可能になる。
【0063】
第2軸部16の一端部(軸嵌挿方向奥側端部)は、一方側のベアリング64の内輪64bから突出し、前述した突出端部19を成している。リンク6の基端部は突出端部19を挿入する軸挿入孔66を有しており、突出端部19は軸挿入孔66に挿入されてリンク6に固定される。これにより第2回転シャフト12が回転することで、リンク6の基端部がアーム5に対して第2軸線A2周りに回転する。リンク6を突出端部19に固定するため、リンク6の基端部に径方向に貫通する雌ねじ孔67を形成し、この雌ねじ孔67にイモねじ68を螺合させ、イモねじ68の先端面で突出端部19の外周面を押圧してもよい。
【0064】
第2回転シャフト12は、第2関節構造J2の回転部材(リンク6)と共に回転するように、位置調整機構70を介して当該回転部材に取り付けられる。第2回転シャフト12は、内輪64a,65aの軸線方向に関する位置を調整することができるように、位置調整機構70を介して第2関節構造J2の回転部材に取り付けられる。
【0065】
位置調整機構70は、調整部71と、調整部71による調整により第2回転シャフト12を第2関節構造J2の固定部材(第2軸受ホルダ18、第1回転シャフト11、第1軸受14、第1軸受ホルダ15及びアーム5)に対して軸線方向に移動させる移動機構72とを含む。第2関節構造J2においても、第1関節構造J1と同様にして、調整部71による調整を行い、それにより移動機構72を作動させて第2回転シャフト12を軸線方向に移動させれば、これに伴って内輪64b,65bの軸線方向の位置を調整することができる。すると、内輪64b,65bが軸線方向に移動することになり、この移動により転動体64c,65cが外輪64a,65aに押圧される。これにより、第2軸受17内のガタを解消することができ、また、第2軸受17に予圧を付与することができる。
【0066】
位置調整機構70は、第2軸受17の内輪64b,65bを軸線方向に挟む第1挟持部73及び第2挟持部74を有している。第1挟持部73は第1軸部16の軸線方向他端部(軸進入方向手前側端部)に設けられ、他方側の内輪65bの内径よりも大径に形成される。第2回転シャフト12の第2軸受17及び第2軸受ホルダ18への組付けのため、第2軸部16を第2軸受17の内輪64b,65bに嵌挿していくと、第1挟持部73が第2軸受17の軸受外で他方側の内輪65bの軸線方向他端面に当接し、それにより第2軸部16の進入が止まる。
【0067】
第2挟持部74は、リンク6の基端部と、リンク6の基端部の一端面(軸進入方向奥側端面)に当接する閉鎖部材69とを含む。突出端部19のリンク6の軸挿入孔66への挿込みにより、リンク6の基端部の他端面(軸進入方向手前側端面)は、一方側の内輪64bの一端面(軸進入方向奥側端面)に当接する。第1挟持部73の作用により第2軸部16の進入が止まると、第2軸部16の一端部(軸進入方向奥側端部)は、軸挿入孔66内に位置してリンク6の基端部から突出しない。閉鎖部材69は、軸挿入孔66を塞ぐようにしてリンク6の基端部の一端面に当接するよう設置される。これにより、軸挿入孔66内には、突出端部19と閉鎖部材69との間にクリアランス75が形成され、当該クリアランス75が位置調整機構70における位置調整代として機能する。
【0068】
本実施形態に係る移動機構72にも、第1関節構造J1と同様にして、ねじ対偶を用いた回転並進変換機構が適用されている。突出端部19には、軸線方向に延びる雌ねじ孔77が形成され、雌ねじ孔77は突出端部の一端面(軸進入方向奥側端面)に開口してクリアランス75に開放される。雌ねじ孔77にはボルト78が螺入する。ボルト78の雄ねじ部79を閉鎖部材69に形成されたボルト挿通孔と、リンク6の軸挿通孔66において形成されるクリアランス75とを通過させ、ボルト78の頭部80に設けられた調整操作孔81に係合された締結工具(図示せず)でボルト78を締め方向に回転させると、雄ねじ部79が雌ねじ孔77に螺入していく。頭部80が閉鎖部材69(すなわち、第2挟持部74)の一端面(軸進入方向奥側端面、ボルト進入方向手前側端面)に当接するまでボルト78を締めると、第2軸受17の内輪64b,65bが第1挟持部73と第2挟持部74とにより軸線方向に挟まれる。
【0069】
締付けトルクが増大すると、第1関節構造J1と同様の作用を得られる。すなわち、頭部80の回転操作量及び回転操作力に応じて、第2回転シャフト12を軸線方向一方側(軸進入方向奥側)に移動させることができ、その移動に伴って第1挟持部73及び第2挟持部74の間隔が狭まる。第1挟持部73により他方側の内輪65bが一方側に押し付けられ、第2挟持部74により一方側の内輪64bが他方側に押し付けられる。これにより、いずれのベアリング64,65においても、軸線方向に位置調整された内輪64b,65bによって転動体64c,65cが外輪64a,65aを押圧し、ベアリング64,65内のガタが解消されると共にベアリング64,65に予圧が付与される。
【0070】
第2関節構造J2においては、第1関節構造J1とは異なり、頭部80がリンク6と共に作業空間に露出している。このため、ロボット1の長期使用により第2軸受17のメンテナンスが必要になったときでも、作業空間に露出する頭部80の調整操作孔81に締結工具を係合させてボルト78を締め方向に回転するだけで、第2軸受17内のガタを解消し直すことができ、また、第2軸受17に予圧を再付与することができるようになる。このように、第2軸受17のメンテナンスに付帯する作業は特段存在しないので、第2関節構造J2のメンテナンスを省力化することができる。
【0071】
本実施形態に係る第1ジョイント部は、直交2軸の回転自由度の提供を第1関節構造J1及び第2関節構造J2に分担させるところ、どちらの関節構造にも、当該関節構造に含まれる軸受のメンテナンスを省力化することができる。このため、ロボット1のメンテナンスを大幅に省力化することができるようになるので有益である。
【0072】
これまで実施形態について説明したが、上記構成は一例に過ぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜変更、追加及び削除することができる。第3関節構造J3及び第4関節構造J4にも、軸受のメンテナンスを省力化させるための構成が、第1関節構造及び第2関節構造と同様にして設けられていてもよい。本発明は、並列リンクロボットの関節構造に適用すると有益ではあるが、関節構造を有するロボットであれば広く好適に適用可能である。