特許第6050698号(P6050698)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6050698
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】ラッシュアジャスタ
(51)【国際特許分類】
   F01L 1/245 20060101AFI20161212BHJP
   F01L 1/255 20060101ALI20161212BHJP
【FI】
   F01L1/245 E
   F01L1/255 G
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-27982(P2013-27982)
(22)【出願日】2013年2月15日
(65)【公開番号】特開2014-156818(P2014-156818A)
(43)【公開日】2014年8月28日
【審査請求日】2015年8月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000185488
【氏名又は名称】株式会社オティックス
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】特許業務法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 大樹
(72)【発明者】
【氏名】芳賀 吉明
【審査官】 山本 健晴
(56)【参考文献】
【文献】 独国特許出願公開第102006017442(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01L 1/245
F01L 1/255
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底筒状のボディと、前記ボディ内に上下移動可能に挿入される有底筒状のプランジャと、前記プランジャ内に挿入される仕切部材とを備え、前記プランジャの周壁には通油孔が設けられ、前記仕切部材は前記プランジャ内に挿入された状態で前記通油孔よりも上方に通油端を有し、前記プランジャの底壁と前記ボディとの間には高圧室が区画され、前記プランジャの内部における前記仕切部材の内側には低圧室が区画され、前記プランジャの底壁には前記高圧室と前記低圧室とに連通可能な弁孔が設けられ、前記プランジャの内部における前記仕切部材の外側には油路が区画されており、前記通油孔、前記油路及び前記通油端を経て前記低圧室に作動油が貯留され、さらに前記弁孔を通して前記高圧室に前記作動油が充填され、前記高圧室の油圧に応じて前記プランジャが上下動するラッシュアジャスタであって、
前記仕切部材は、板状のバッフル部を有しており、
前記バッフル部は、第1板面とこの第1板面とは反対側の第2板面とを有する平板からなり、
前記プランジャの周壁が前記バッフル部を境として2つの円弧部分に分割され、前記通油孔が位置する側の内周面と前記第1板面との間に、前記油路が画成され、前記通油孔が位置する側とは反対側の内周面と前記第2板面との間に、前記低圧室が画成されることを特徴とするラッシュアジャスタ。
【請求項2】
前記仕切部材は、前記バッフル部の板幅方向両端の上下方向一部から外側に延出し、前記プランジャの周壁の内周面に当接することによって前記バッフル部の起立姿勢を保持する支持部を有していることを特徴とする請求項1記載のラッシュアジャスタ。
【請求項3】
前記支持部は、前記プランジャの周壁の内周面にほぼ沿った弧状の形態とされていることを特徴とする請求項2記載のラッシュアジャスタ。
【請求項4】
前記支持部は、前記プランジャの周壁の内周面間に架設される弦状の形態とされていることを特徴とする請求項2記載のラッシュアジャスタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラッシュアジャスタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のラッシュアジャスタは、シリンダヘッドに固定される有底筒状のボディと、ボディ内に上下移動可能に挿入されるプランジャとを備え、プランジャの上端部でロッカアームを支承する構造とされている。プランジャの周壁には、通油孔(特許文献1では「内部連通孔」と呼称)が設けられ、プランジャの底壁には、弁孔(特許文献1では「弁口」と呼称)が設けられている。シリンダヘッドの給油孔から供給される作動油は、通油孔からプランジャ内の低圧室に貯留されるとともに、弁孔を通してボディ内に充填される。ボディの内部におけるプランジャの底壁で区画される空間は高圧室とされ、高圧室の油圧に応じてプランジャが上下動するようになっている。ところで、プランジャの上昇時には、プランジャ内の低圧室の作動油が弁孔から高圧室に吸い込まれるが、このとき、低圧室の作動油の液面高さが低いと、高圧室にエアが噛み込むおそれがある。
これに対し、特許文献1の場合、プランジャ内に円筒状の仕切部材が挿入され、仕切部材の内部に低圧室が構成されている。仕切部材には、プランジャの周壁と仕切部材との間に油路(特許文献1では「流通路」と呼称)が形成され、通油孔よりも上方に通油端(特許文献1では「切欠部」と呼称)が設けられている。このため、通油孔から油路及び通油端を経て低圧室に作動油が貯留されることになり、作動油の液面高さが通油孔よりも上方の通油端によって規定されることで、高圧室にエアが噛み込むのが防止されるようになっている。
【0003】
この場合、仕切部材は、上下方向途中に段付き部を有し、且つ段付き部を境とする上部側に下部側よりも小径の小径部を有し、小径部とプランジャの周壁との間に油路を画成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−197665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来のラッシュアジャスタの場合、仕切部材の上部側が小径部として全周に亘って絞り込まれた形態になっているため、その分、低圧室の内容積が小さくなり、低圧室に充分な量の作動油を貯留することができないおそれがある。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、プランジャ内に仕切部材が挿入されるラッシュアジャスタにおいて、低圧室への作動油量を増加させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、有底筒状のボディと、前記ボディ内に上下移動可能に挿入される有底筒状のプランジャと、前記プランジャ内に挿入される仕切部材とを備え、前記プランジャの周壁には通油孔が設けられ、前記仕切部材は前記プランジャ内に挿入された状態で前記通油孔よりも上方に通油端を有し、前記プランジャの底壁と前記ボディとの間には高圧室が区画され、前記プランジャの内部における前記仕切部材の内側には低圧室が区画され、前記プランジャの底壁には前記高圧室と前記低圧室とに連通可能な弁孔が設けられ、前記プランジャの内部における前記仕切部材の外側には油路が区画されており、前記通油孔、前記油路及び前記通油端を経て前記低圧室に作動油が貯留され、さらに前記弁孔を通して前記高圧室に前記作動油が充填され、前記高圧室の油圧に応じて前記プランジャが上下動するラッシュアジャスタであって、前記仕切部材は、板状のバッフル部を有しており、前記バッフル部は、第1板面とこの第1板面とは反対側の第2板面とを有する平板からなり、前記プランジャの周壁が前記バッフル部を境として2つの円弧部分に分割され、前記通油孔が位置する側の内周面と前記第1板面との間に、前記油路が画成され、前記通油孔が位置する側とは反対側の内周面と前記第2板面との間に、前記低圧室が画成されるところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0008】
プランジャの内部が板状のバッフル部を介して2分割され、このうち、通油孔が位置する側とは反対側で低圧室が画成されるため、低圧室が仕切部材により全周に亘って取り囲まれる場合に比べ、低圧室の内容積を大きく確保することができ、低圧室の作動油量を増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施例1のラッシュアジャスタを組み込んだ内燃機関の全体図である。
図2】ラッシュアジャスタの断面図である。
図3】仕切部材が挿入されたプランジャの断面図である。
図4】仕切部材の展開図である。
図5】プランジャの内部が仕切部材で2分割された状態をあらわす平面視方向から見た断面図である。
図6】本発明の実施例2のラッシュアジャスタにおける図5相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の好ましい形態を以下に示す。
前記仕切部材は、前記バッフル部の板幅方向両端の上下方向一部から外側に延出し、前記プランジャの周壁の内周面に当接することによって前記バッフル部の起立姿勢を保持する支持部を有している。かかる支持部によってバッフル部がプランジャ内に安定して支持される。しかも、支持部はバッフル部の板幅方向両端の上下方向一部から延出するに過ぎないため、支持部によって低圧室の内容積が格別小さくなることもない。
【0011】
前記支持部は、前記プランジャの周壁の内周面にほぼ沿った弧状の形態とされている。これにより、支持部の保持力が高められ、仕切部材が支持部によってプランジャ内にいっそう安定して支持される。
【0012】
前記支持部は、前記プランジャの周壁の内周面間に架設される弦状の形態とされている。これにより、支持部の形状が簡素化されて加工が容易になるとともに、支持部の延出長さが短くて済むことから、低圧室に占める支持部の範囲を狭くすることができ、その分、低圧室の内容積を増加させることができる。
【0013】
<実施例1>
本発明の実施例1を図1図5によって説明する。実施例1のラッシュアジャスタ10は、図1に示すように、内燃機関の動弁装置に組み込まれる。動弁装置は、ラッシュアジャスタ10に加え、バルブ50、ロッカアーム60及びカム70を備えている。
【0014】
ラッシュアジャスタ10は、シリンダヘッド90の取付凹部91に上方から挿入され、バルブ50は、シリンダヘッド90の吸気又は排気ポート80を開閉可能に設けられる。また、ロッカアーム60は、ラッシュアジャスタ10の上端部(後述するプランジャ12の支承部25)とバルブ50の上端部との間に左右方向に架け渡して配置され、カム70は、ロッカアーム60の上方にロッカアーム60のローラ61と摺動可能に配置されている。ここで、カム70が回転すると、ロッカアーム60がラッシュアジャスタ10の上端部を支点として揺動し、それに伴ってバルブ50が上下動して吸気又は排気ポート80が開閉されるようになっている。
【0015】
続いて、ラッシュアジャスタ10について具体的に説明する。ラッシュアジャスタ10は、図2に示すように、ボディ11と、プランジャ12と、仕切部材13とを備えている。ボディ11は、円形板状の底壁部14と、底壁部14の外周から立ち上がる円筒状の周壁部15とを有し、全体として有底筒状をなしている。ボディ11は、シリンダヘッド90の取付凹部91に嵌入可能とされている。ボディ11の周壁部15には、外側通油孔16が貫通して設けられている。外側通油孔16は、取付凹部91内においてシリンダヘッド90の給油孔92に連通して配置される。また、ボディ11の外周面には、環状凹部17が全周に亘って設けられ、この環状凹部17に、外側通油孔16が開口している。このため、仮に、ボディ11が取付凹部91内で回転しても、環状凹部17を介して外側通油孔16と給油孔92との連通状態が保たれるようになっている。
【0016】
プランジャ12は、円形板状の底壁18と、底壁18の外周から立ち上がる円筒状の周壁19とを有し、全体として有底筒状をなしている。底壁18の中心部には、弁孔20が貫通して設けられている。弁孔20は、後述するように、弁体21を介して高圧室22と低圧室23とを連通可能としている。周壁19の上端部には、径方向に絞られて中心部に貫通孔24を有する半球状の支承部25が設けられている。支承部25の外側の半球面には、ロッカアーム60がその揺動時に摺動するようになっている。
【0017】
また、周壁19には、通油孔26が設けられている。周壁19の外周面には、環状凹所27が全周に亘って設けられ、この環状凹所27に、通油孔26が開口している。通油孔26は、環状凹所27を介してボディ11の外側通油孔16と連通しており、ボディ11内でプランジャ12が回転した場合にもその連通状態が保たれるようになっている。
【0018】
図2に示すように、ボディ11内にプランジャ12が挿入された状態で、ボディ11の底部のうち、プランジャ12の底壁18とボディ11との間に区画される部分は、高圧室22とされている。高圧室22には、球形の弁体21が設けられている。弁体21は、ケージ状のリテーナ28内に収容され、第1バネ29によって弁孔20を閉じる方向に付勢されている。また、高圧室22には、ボディ11の底壁部14とリテーナ28の上縁部との間に、第2バネ30が設けられている。プランジャ12は、第2バネ30によって上方に付勢されている。
【0019】
また、プランジャ12内には、仕切部材13が挿入されている。仕切部材13は、一枚の金属製の平板からなり、図3及び図4に示すように、上下方向に細長く延びる矩形状のバッフル部39と、バッフル部39の板幅方向両端から幅方向外方に突出する複数の支持部38とで構成されている。
【0020】
バッフル部39は、プランジャ12の内径(内周面の直径)よりも小さい板幅寸法を有し、且つ上下方向に同幅で延びる形態とされている。図2及び図5に示すように、プランジャ12内に仕切部材13が挿入された状態では、バッフル部39の第1板面37が通油孔26と対向し、且つ、バッフル部39の板幅方向両端がプランジャ12の周壁19の内周面に当接しつつ上下方向に沿って配置されるとともに、バッフル部39の下端がプランジャ12の底壁18の上面に当接しつつ弦方向に沿って配置される。実施例1の場合、バッフル部39の第1板面37は、通油孔26の貫通方向とほぼ直角な方向に沿って配置されるようになっている。
【0021】
図5に示すように、プランジャ12の周壁19において、バッフル部39を境として分割される2つの円弧のうち、通油孔26が位置する側は、劣弧とされ、通油孔26が位置しない側は、優弧とされる。そして、プランジャ12内に仕切部材13が挿入された状態で、プランジャ12の周壁19における劣弧側の内周面とバッフル部39の第1板面37との間には、油路40が画成される。油路40は、断面半月状であって、図2に示すように、上下方向に細長く延びる形態とされ、その下端がプランジャ12の底壁18によって閉止されるとともに、その上端がバッフル部39の上端に臨む位置に開放されるようになっている。また、バッフル部39の上端は、通油端33として構成され、通油孔26よりも上方においてプランジャ12の支承部25と近接して配置される。
【0022】
また、図5に示すように、プランジャ12内に仕切部材13が挿入された状態で、プランジャ12の周壁19における優弧側の内周面とバッフル部39の第2板面36(通油孔26と対向する面(第1板面37)とは反対側の面)との間には、低圧室23が画成される。低圧室23は、断面切頭円形状であって、図2に示すように、上下方向に延びる形態とされ、その下端がプランジャ12の底壁18の臨んで弁孔20に連通するとともに、その上端がバッフル部39の上端によって規定される。かかる低圧室23は、油路40よりも充分に大きい内容積を有している。
【0023】
図4に示すように、支持部38は、バッフル部39の板幅方向両端における下端部と上下方向途中部とに一体に連結されて、バッフル部39の延出方向と直交する方向に細長く延びる矩形状の形態とされている。そして、図5に示すように、各支持部38は、仕切部材13がプランジャ12内に挿入された状態で、プランジャ12の内周面に沿って当接可能な円弧状の形態をとる。このとき、下側の支持部38は、プランジャ12の底壁の上面に沿って当接可能に配置される。また、バッフル部39は、各支持部38によって上下方向に起立した姿勢を保ちつつプランジャ12内に保持されるようになっている。
【0024】
なお、実施例1の場合、仕切部材13は、未だ支承部25が形成されていないプランジャ12の上端開口からプランジャ12内に挿入される。このとき、仕切部材13は、プランジャ12内に圧入され、場合によっては焼き嵌めされる。そして、仕切部材13がプランジャ12内に挿入された状態で、プランジャ12の上端部が縮径方向に絞り込まれて、支承部25が貫通孔24とともに成形される。
【0025】
また、シリンダヘッド90の給油孔92から、外側通油孔16、通油孔26、油路40及び通油端33を順次経て供給された作動油は、低圧室23に貯留され、さらに弁孔20を通して高圧室22に充填される。この場合に、仕切部材13の通油端33が通油孔26よりも上方に位置していることから、低圧室23には、通油孔26を越える高さにまで作動油が貯留される。
【0026】
低圧室23及び高圧室22に作動油が導入された状態で、プランジャ12に対してロッカアーム60側から下向きに押圧力が付与されると、弁体21が弁孔20を閉じて高圧室22が密閉され、高圧室22の油圧によってプランジャ12の下降が停止される。一方、ロッカアーム60側からの押圧力の減少に伴い、プランジャ12が上昇して高圧室22の容積が増大すると、弁体21が下降して弁孔20を開き、作動油が低圧室23から弁孔20を通して高圧室22に流入し、高圧室22に作動油が満たされた状態となる。そして、プランジャ12の上昇が停止すると、弁体21が第1バネ29の付勢により上昇して弁孔20を閉じ、高圧室22が密閉状態となる。かくして、プランジャ12がボディ11に対して上下動することにより、ロッカアーム60に対する支承位置が変動して、バルブクリアランスが調整されるようになっている。
【0027】
上述したように、実施例1によれば、プランジャ12の内部が板状のバッフル部39を介して2分割され、このうち、通油孔26が位置する側では、プランジャ12の周壁19における劣弧側の内周面とバッフル部39の第1板面37とによって油路40が画成され、通油孔26が位置する側とは反対側では、プランジャ12の周壁19における優弧側の内周面とバッフル部39の第2板面36とによって低圧室23が画成されるため、プランジャ12内に挿入された円筒状の仕切部材13の内側及び外側にそれぞれ低圧室23及び油路40が形成される場合と比べ、低圧室23の内容積を大きく確保することができ、低圧室23の作動油量を増加させることができる。
【0028】
また、バッフル部39が各支持部38によってプランジャ12内に安定して保持される。この場合、各支持部38は、バッフル部39の板幅方向両端の上下方向一部から延出するに過ぎないため、低圧室23の内容積を格別狭めることもない。さらに、支持部38がプランジャ12の周壁19の内周面にほぼ沿った弧状の形態とされているため、支持部38の保持力が高められ、仕切部材13が支持部38によってプランジャ12内にいっそう安定して支持される。
【0029】
<実施例2>
図6は、本発明の実施例2を示す。実施例2では、仕切部材13Aの各支持部38Aの形態が実施例1とは異なるが、その他は実施例1と同様である。このため、実施例1の同様の構成には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0030】
仕切部材13Aは、実施例1の仕切部材13と同様の展開形状を呈し(図4を参照)、バッフル部39の板幅方向両端の下端部及び上下方向途中部から外側に向けて複数の支持部38Aが突出する形態とされている。もっとも、各支持部38Aは、仕切部材13Aがプランジャ12内に挿入された状態で、実施例1とは異なる形態をとる。すなわち、図6に示すように、各支持部38Aは、仕切部材13Aがプランジャ12内に挿入された状態で、バッフル部39の第1、第2板面37、36に対して鋭角に交差してバッフル部39の板幅方向両端から直線状に延びて、その延出端同士がバッフル部39の板幅方向中央部と対向する位置で互いに当接可能とされている。この場合、各支持部38Aは、バッフル部39との間に断面三角形状を呈し、プランジャ12の周壁19の内周面間に弦状に架設されている。このため、仕切部材13Aは、プランジャ12の周壁19の内周面に3点支持された状態で保持される。
【0031】
実施例2によれば、各支持部38Aの形状がより簡素化されるため、加工が容易になる。また、各支持部38Aの延出長さが短くて済むことから、低圧室23に占める支持部38Aの領域を狭くすることができ、その分、低圧室23の内容積を増加させることができる。
【0032】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような態様も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)通油端は、仕切部材の上端に切欠状に凹み形成されるものであってもよい。
(2)仕切部材の第1、第2板面は、曲面状の湾曲面として構成されるものであってもよい。
(3)プランジャは、上部側と下部側とに分離された状態から上部側と下部側とを一体に連結して構成されるものであってもよい。
(4)支持部の個数及び形成位置は、任意であり、上記実施例1に限定されるわけではない。
【符号の説明】
【0033】
10…ラッシュアジャスタ
11…ボディ
12…プランジャ
13、13A…仕切部材
18…底壁
19…周壁
20…弁孔
22…高圧室
23…低圧室
26…通油孔
33…通油端
38、38A…支持部
39…バッフル部
40…油路
図1
図2
図3
図4
図5
図6