特許第6050706号(P6050706)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6050706
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】LEDランプ
(51)【国際特許分類】
   F21K 9/00 20160101AFI20161212BHJP
   F21K 9/237 20160101ALI20161212BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20161212BHJP
【FI】
   F21K9/00 100
   F21K9/237
   F21Y115:10
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-53109(P2013-53109)
(22)【出願日】2013年3月15日
(65)【公開番号】特開2014-179262(P2014-179262A)
(43)【公開日】2014年9月25日
【審査請求日】2015年11月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000131430
【氏名又は名称】シチズン電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126583
【弁理士】
【氏名又は名称】宮島 明
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 正志
(72)【発明者】
【氏名】秋山 貴
【審査官】 丹治 和幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−163954(JP,A)
【文献】 特開2012−064367(JP,A)
【文献】 特開平08−036911(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
口金と、ヒートシンクと、前記口金及び前記ヒートシンクを固定するソケットとを備えるLEDランプにおいて、
前記口金と前記ヒートシンクは前記ソケットにねじ込んで固定され、
前記ヒートシンクは放熱フィンを備え、
前記ソケットは放熱フィンと当接する当接部を有し、
前記当接部に前記放熱フィンが引っ掛かる突起を設け
前記突起が斜面を備えていることを特徴とするLEDランプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDを光源とするLEDランプに関し、特に電球型の形状をなした
LEDランプに関する。
【背景技術】
【0002】
LED素子を使った電球型のLEDランプが普及してきている。このLEDランプは、グローブ、LEDモジュール、ヒートシンク、ソケット、回路、及び口金を備えることが多い。ここでLEDモジュールは、多数のLEDをセラミック基板等に実装した光源である。LEDモジュールが発する熱はヒートシンクにより効率よく放射される。ソケットには、ヒートシンクや回路、口金が固定される。
【0003】
例えば特許文献1の図2には、グローブ(50)、LEDモジュール(60)、ヒートシンク(30)、電源部(80)(回路)、絶縁部(20)(ソケット)、口金(10)を備えた照明装置(LEDランプ)が示されている。なお「発明を実施するための形態」以降で使用する符号と区別するため、特許文献1で示された符号には()をつけている。
【0004】
特許文献1では、図10図11に絶縁部(20)が詳細に示されている。絶縁部(20)は、下部に一部分が欠けたねじ山(241)が形成されている。このねじ山(241)に口金(10)をねじ込み固定する。絶縁部(20)の上部には嵌合部(22)があり、この嵌合部(22)にヒートシンク(30)の下部が固定される。
【0005】
特許文献1の図2で示されるヒートシンク(30)のように、ヒートシンクの上部は、リード線用の開口を除きほとんど塞がっている。このためヒートシンクの下部に複雑で精密な形状を形成するのは困難になることが多い。そこで本願発明者は、特許文献1の図10等で示された嵌合部(22)を用いる代わりに、ソケットとヒートシンクをねじ込みにより固定した。この結果、ヒートシンクの下部の加工が容易になったうえ、さらにヒートシンクがソケットにしっかり固定した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012−199256号公報 (図2図10図11
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら内部ソケット(後述する理由によりLEDランプに含まれるソケットを内部ソケットと呼ぶ)にヒートシンクをねじ込んで固定したLEDランプを、天井等に設置された外部ソケット(LEDランプに含まれる内部ソケットと区別するため天井に設置されたソケットを外部ソケットと呼ぶ)にとりつけ、その後LEDランプを外部ソケットから取り外そうとしたとき、外部ソケットと口金との間が緩むのではなく、内部ソケットとヒートシンクの連結部が緩んでしまうことがあった。
【0008】
そこで本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであり、簡単な構造でヒートシンクの緩みを防止できるLEDランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のLEDランプは、口金と、ヒートシンクと、前記口金及び前記ヒートシンクを固定するソケットとを備えるLEDランプにおいて、
前記口金と前記ヒートシンクは前記ソケットにねじ込んで固定され、
前記ヒートシンクは放熱フィンを備え、
前記ソケットは放熱フィンと当接する当接部を有し、
前記当接部に前記放熱フィンが引っ掛かる突起を設けた
ことを特徴とする。
【0010】
前記突起が斜面を備えていても良い。
【発明の効果】
【0011】
本発明のLEDランプでは、ヒートシンクの放熱フィンの底部がソケットの当接部に当接する。ソケットにヒートシンクをねじ込むと、当接部に設けておいた突起が放熱フィンに引っ掛かりヒートシンクが緩まなくなる。以上のように本発明のLEDランプは、簡単な構造でヒートシンクの緩みを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態におけるLEDランプの正面図。
図2図1のLEDランプの要部分解図。
図3図1のLEDランプに含まれるヒートシンクの底面部を示す斜視図。
図4図1のLEDランプに含まれるソケットの上面部を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図1〜4を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお図面の説明において、同一または相当要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0014】
本発明の実施形態として先ず図1によりLEDランプ100の外観を説明する。図1はLEDランプ100の正面図である。図1に示すように、口金10上には、ソケット30、ヒートシンク40、グローブ60が積層している。ヒートシンク40には放熱フィン41があり、放熱フィン41の底部はソケット30の当接部32に当接している。口金10の下方には電極22が突き出ている。なお口金10と電極22は絶縁している。
【0015】
次に図2によりLEDランプ100の構成部品を説明する。図2はLEDランプ100の主要な部品を示した要部分解図である。口金10は、円筒状の金属板からなり、表側がねじ山、内側がねじ溝となるような凹凸を有し、ソケット30の口金基体部31にねじ込んで固定する。
【0016】
回路20は、電子部品を搭載した回路基板21、給電用の電極22,23、及びリード線24からなる。回路基板21は、ソケット30の軸にそって形成した貫通孔に下から挿入される。回路基板21が挿入された状態では、ソケット30の上部からリード線24が飛び出す。また給電用の電極23は、口金10と口金基体部31に挟まれ、固定されるとともに口金10と電気的に接続する。電極22は口金10から下に突き出る(図1参照)。
【0017】
ソケット30は、口金10をねじ込んで固定するための口金基体部31を当接部32の下側に有し、当接部32の上側にヒートシンク40を連結固定するための連結部34を有している。さらに当接部32の上面には緩み防止用の突起33が形成されている。また口金基体部31と連結部34にはそれぞれねじ山が形成されている。ソケット30は軸に沿って貫通孔があり、前述したように回路基板21をその貫通孔に収納する。
【0018】
ヒートシンク40は、アルミダイキャストであり、側部に放熱フィン41を備え、上部
にLEDモジュール50をはめ込む固定部42と、ねじ穴43と、開口44とがある。ヒートシンク40も軸に沿って貫通孔があり、この貫通孔にソケット30の連結部34をはめ込み、ねじ込んで固定する。さらにリード線24が貫通孔を通り、開口44でLEDモジュール50の電極と接続する。また、ヒートシンク40をソケット30にねじ込んでいくと、放熱フィン41の底部が当接部32に当接する。このとき突起33が放熱フィン41の底部近傍において放熱フィン41の側面に引っ掛かる。この結果、ヒートシンク40は緩みづらくなる。
【0019】
LEDモジュール50は、セラミック基板51上に円環上の蛍光体部52がある。セラミック基板51上の蛍光体部52が占める領域では、多数のLEDダイが実装されているとともに、このLEDダイを制御するためのFET及び抵抗も実装されている。さらに蛍光体部52では、LEDダイ、FET及び抵抗が蛍光樹脂により被覆されている。セラミック基板51の中央部には、蛍光樹脂はなく、2個の電極が存在する。この電極は回路20のリード線24とヒートシンク40の開口44の位置で接続する。なおリード線24上端は、図示していない部品で位置が固定される。この部品は開口44にはまり込む。またLEDモジュール50は、抑え板(図示せず)とねじ(図示せず)によりヒートシンク40の固定部42に固定される。
【0020】
グローブ60は、半透明の樹脂からなり、LEDモジュール50を覆い、ヒートシンク40に取り付けられる。またグローブ60内には配光分布を調整するための反射器が組み込まれている。
【0021】
本発明の作用効果の要点は、ソケット30の当接部32に形成した突起33が放熱フィン41に引っ掛かって緩みを防止することである。そこで先ず図3により、LEDランプ100における放熱フィン41についてさらに詳しく説明する。図3はLEDランプ100に含まれるヒートシンク40の底面部を示す斜視図である。図3に示すように、ヒートシンク40の底面部には放熱フィン41の底部が12個存在する。この放熱フィン41の底部と、ヒートシンク40の円筒状に見える部分の底部と、は高さが等しい。なお各放熱フィン41の間には放熱フィン41aが存在する。放熱フィン41aは、その底部が放熱フィン41等の底部にまで達してないので、突起33に引っ掛かることはない。
【0022】
次に図4により放熱フィン41を引っ掛ける突起33についてさらに詳しく説明する。図4はLEDランプ100に含まれるソケット30の上面部を示す斜視図である。図4に示すように、当接部32上には4個の突起33がある。各突起33は、ヒートシンク40をねじ込み易くするため一方の側が斜面になっている。またヒートシンク40が緩まないように突起33の他方の側は当接部32の上面に対し垂直に立っている。
【0023】
なおLEDランプ100では突起33が斜面を備えていた。しかしながら放熱フィンを引っ掛けて緩みづらくする突起は斜面を備えなくても良い。例えば突起として角柱状のものであっても良い。この場合、ヒートシンクをねじ込むとき、放熱フィンが角柱状の突起にあたったら、強くねじ込むことにより突起を変形させ放熱フィンを突起上面に乗せる。そしてさらにねじ込むことにより放熱フィンが上面を滑ったのち突起をのり越える。この結果、天井等に設置された外部ソケットからLEDランプを取り外す際、放熱フィンが突起に引っ掛かるためヒートシンクと内部ソケットは緩みづらくなる。またねじ込み時には突起をのり越える前に比べ突起をのり越えた後で、放熱フィンが下方(口金側)の移動している。これもヒートシンクの緩み防止に寄与している。
【0024】
以上のようにしてLEDランプ100は、ソッケト30の当接部32に微小な突起33を設けただけでヒートシンク40の緩みを防止できた。このときヒートシンク40の放熱フィン41は逆回転防止用の構造材として流用されている。
【符号の説明】
【0025】
10…口金、
20…回路、
21…回路基板、
22…給電用の電極、
23…給電用の電極、
24…リード線、
30…ソケット、
31…口金基体部、
32…当接部、
33…突起、
34…連結部、
40…ヒートシンク、
41,41a…放熱フィン、
42…固定部、
43…ねじ穴、
44…開口、
50…LEDモジュール、
51…セラミック基板、
52…蛍光体部、
60…グローブ、
100…LEDランプ。
図1
図2
図3
図4