【実施例】
【0057】
次に、具体的な製造例、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の例における「部」及び「%」は特に断りのない限り質量基準である。
【0058】
<製造例1:疎水化粘土鉱物Aの製造>
イオン交換容量115mgeq/100gのNa−モンモリロナイト(商品名:クニピアF、クニミネ工業(株)製)40部、蒸留水2500部を、撹拌装置及び大気開放口のある還流器を備えた反応容器内に仕込んだ。内温を80℃まで上昇させ、モンモリロナイトが十分に分散するまで撹拌を行い、80℃のモンモリロナイトの分散液を得た。次いで、上記と同様の別の反応容器に、ファーミン80(アミン価207、花王製)12.5部、12N塩酸3.8ml、蒸留水1000部を仕込み、80℃に加温して、処理液A−1を調製した。そして、80℃の処理液A−1を上記で得た80℃のモンモリロナイトの分散液中に滴下しながら投入したところ、イオン交換反応が起こり、モンモリロナイトが沈澱した。この沈澱物を濾別した後、80℃の水1000部に再び分散させ濾過する濾過洗浄工程を3回繰り返した。洗浄後の沈澱物を100℃のオーブンで十分に乾燥させ、目的物である変性モンモリロナイトを得た。これを、疎水化粘土鉱物Aとした。該疎水化粘土鉱物Aの収量は43.1部であり、その熱重量分析(TG−8120 リガク社)により求めた1000℃での強熱減量は25.1%であった。
【0059】
<製造例2:疎水化粘土鉱物Bの製造>
製造例1で使用したと同様の反応容器を用いて、Na−モンモリロナイト(商品名:クニピアF、クニミネ工業(株)製)40部、蒸留水2500部を用いた以外は、製造例1と同様にして、80℃のモンモリロナイトの分散液を作成した。次いで、別の反応容器にファーミン80を6.2部、12N塩酸を1.9ml、蒸留水を500部仕込み、80℃に加温して処理液A−2を調製した。さらに別の反応容器に、ヘキサメチレンジアミン(東京化成工業製)2.70部と、蒸留水400部を仕込み、80℃に加温した後、反応容器内に、ヘキサメチレンジアミンのアミノ基の0.5当量に相当する塩酸として12N塩酸1.9mlを蒸留水100部で希釈した溶液を10分かけ滴下して、処理液B−2を調製した。上記で作製したモンモリロナイトの分散液を80℃にて撹拌しながら、上記で調製した処理液B−2を投入した後、次いで上記で調製した80℃の処理液A−2を投入したところ、イオン交換反応が起こり、モンモリロナイトが沈澱した。この沈澱物に対し、製造例1と同様の濾過洗浄工程を行った後に、乾燥させることにより、目的物である変性モンモリロナイトを得た。これを、疎水化粘土鉱物Bとした。疎水化粘土鉱物Bの収量は45.1部であり、強熱減量は20.5%であった。
【0060】
<製造例3:疎水化粘土鉱物Cの製造>
製造例1と同様の反応容器を用いて、Na−モンモリロナイト(商品名:クニピアF、クニミネ工業(株)製)40部、蒸留水2500部を用いた以外は、製造例1と同様にして、80℃のモンモリロナイト分散液を作成した。次いで、別の反応容器にファーミン80を8.7部、12N塩酸を2.7ml、蒸留水を500部仕込み、80℃に加温して、処理液A−3を調製した。さらに別の反応容器に、ヘキサメチレンジアミン(旭化成ケミカルズ(株)製)1.6部、蒸留水400gを仕込み、80℃に加温した後、反応容器内に、ヘキサメチレンジアミンのアミノ基の0.5当量に相当する塩酸として12N塩酸1.2mlを蒸留水100部で希釈した溶液を10分かけ滴下して、処理液B−3を調製した。次いで、上記で得た80℃のモンモリロナイトの分散液を撹拌しながら、上記で調製した処理液B−3を投入した後、80℃の処理液A−3を投入したところ、イオン交換反応が起こり、モンモリロナイトが沈澱した。この沈澱物に対し製造例1同様の濾過洗浄工程を行った後に、乾燥させることにより、目的物である変性モンモリロナイトを得た。これを疎水化粘土鉱物Cした。疎水化粘土鉱物Cの収量は44.5部であり、強熱減量は22.6%であった。
【0061】
<製造例4:環状カーボネート含有化合物(I)の合成>
エポキシ当量192のビスフェノールAジグリシジルエーテル(商品名:jER828、ジャパンエポキシレジン(株)製)100部と、ヨウ化ナトリウム(和光純薬製)20部と、N−メチル−2−ピロリドン100部とを、撹拌装置及び大気開放口のある還流器を備えた反応容器内に仕込んだ。次いで、撹拌しながら二酸化炭素を連続して吹き込み、100℃にて10時間反応を行った。そして、反応終了後の溶液に、イソプロパノール1400部を加え、反応物を白色の沈殿として析出させ、濾別した。得られた沈殿物をトルエンにて再結晶を行い、白色の粉末52部を得た(収率42%)。
【0062】
上記で得られた粉末を、IR(堀場製作所製、FT−720、以下の製造例、実施例も同様)にて分析したところ、910cm
-1付近の原材料のエポキシ基由来の吸収は消失しており、1800cm
-1付近に、原材料には存在しないカーボネート基のカルボニル由来の吸収が確認された。また、HPLC(日本分光製、LC−2000;カラムFinepakSIL C18−T5;移動相 アセトニトリル+水)による分析の結果、原材料のピークは消失し、高極性側に新たなピークが出現し、その純度は98%であった。また、DSC測定(示差走査熱量測定)の結果、融点は178℃であり、融点範囲は±5℃であった。以上のことから、この粉末は、エポキシ基と二酸化炭素の反応により環状カーボネート基が導入された、下記式で表わされる構造の化合物と確認された。これを化合物(I)と略称した。化合物(I)の化学構造中に二酸化炭素由来の成分が占める割合は、20.5%であった(化学構造式からの計算値)。
【0063】
【0064】
<製造例5:環状カーボネート含有化合物(II)の合成>
エポキシ化合物に、エポキシ当量115のハイドロキノンジグリシジルエーテル(商品名:デナコールEX203、ナガセケムテックス(株)製)を用いた以外は、製造例4と同様の方法で、下記式で表わされる構造の環状カーボネート化合物を合成した。この化合物を化合物(II)と略す。得られた化合物(II)は、白色の結晶であり、融点は141℃であった。収率は55%であり、IR分析の結果は、化合物(I)と同様であり、HPLC分析による純度は97%であった。化合物(II)の化学構造中に二酸化炭素由来の成分が占める割合は、28.3%であった(化学構造式からの計算値)。
【0065】
【0066】
<実施例1>
製造例1で得た疎水化粘土鉱物Aを8.5部と、トルエン85部を容器に仕込み、疎水化粘土鉱物Aが膨潤し外観が半透明な状態になるまで超音波分散機にて分散を行った。次いで、該粘土鉱物Aの分散液の全量と、ヘキサメチレンジアミン27.1部を反応容器に投入した後、80℃に昇温し、内部が均一になるまで撹拌した。次に、製造例4で得た化合物(I)100部を投入し、内温を120℃まで徐々に上昇させトルエンを蒸発留去しながら、8時間反応を行った。反応の進行と共に容器内は透明均一な状態となった。反応終了後に真空ポンプを使用し、装置内を2,000Paまで徐々に減圧しながら、内温を160℃まで上昇させ、樹脂中に残留するトルエンを完全に留去した。容器内の反応生成物を溶融状態で取り出し、室温まで冷却し淡黄色透明な固体を得た。
【0067】
得られた固体の外観は淡黄色透明であり粘土鉱物の凝集物は視認されなかったが、熱重量分析により求めた1,000℃での強熱減量は94.8%であり粘土鉱物が微分散状態で均一に含まれていることを確認した。またこの固体をIRにて分析したところ、1800cm
-1付近の環状カーボネート化合物中のカルボニル基由来の吸収は消失し、新たに1760cm
-1付近にウレタン結合のカルボニル基由来の吸収が確認されることから、目的とする疎水化粘土鉱物A含有ポリヒドロキシウレタン樹脂組成物が得られていることを確認した。
【0068】
得られた組成物を、Tダイを取り付けたφ20mm単軸押出機にて、シリンダー温度160℃、ロール温度30℃、巻き取り速度1m/分の条件で厚さ50μmのフィルムを作成した。
【0069】
<実施例2>
実施例1で用いた疎水化粘土鉱物Aの代わりに疎水化粘土鉱物Bを8.0部使用した以外は、実施例1と同様の配合、同様の操作にて反応を実施した。反応中の状態は実施例1と同様であり、得られた固体の外観は淡黄色透明であった。粘土鉱物の凝集物は視認されず、強熱減量は95.0%であった。IR分析では、1800cm
-1付近の環状カーボネート化合物中のカルボニル基由来の吸収は消失し、新たに1760cm
-1付近にウレタン結合のカルボニル基由来の吸収が確認され、目的とする疎水化粘土鉱物B含有ポリヒドロキシウレタン樹脂組成物が得られていることを確認した。得られた組成物を用い、実施例1と同様にして厚さ50μmのフィルムを作成した。
【0070】
<実施例3>
実施例1で用いた疎水化粘土鉱物Aの代わりに、疎水化粘土鉱物Cを8.2部使用した以外は、実施例1と同様の配合、同様操作にて反応を実施した。反応中の状態は実施例1と同様であり、得られた固体の外観は淡黄色透明であった。粘土鉱物の凝集物は視認されず、強熱減量は95.1%であった。IR分析では、1800cm
-1付近の環状カーボネート化合物中のカルボニル基由来の吸収は消失し、新たに1760cm
-1付近にウレタン結合のカルボニル基由来の吸収が確認され目的とする疎水化粘土鉱物C含有ポリヒドロキシウレタン樹脂組成物が得られていることを確認した。得られた組成物を用い、実施例1と同様にして厚さ50μmのフィルムを作成した。
【0071】
<実施例4>
実施例1で用いた疎水化粘土鉱物Aの仕込み量を1.7部とした以外は、実施例1と同様の配合、同様の操作にて反応を実施した。反応中の状態は実施例1と同様であり、得られた固体の外観は淡黄色透明であった。粘土鉱物の凝集物は視認されず、強熱減量は99.0%であった。IR分析では、1800cm
-1付近の環状カーボネート化合物中のカルボニル基由来の吸収は消失し、新たに1760cm
-1付近にウレタン結合のカルボニル基由来の吸収が確認され、目的とする疎水化粘土鉱物A含有ポリヒドロキシウレタン樹脂組成物が得られていることを確認した。得られた組成物を用い、実施例1と同様にして厚さ50μmのフィルムを作成した。
【0072】
<実施例5>
実施例1で用いた疎水化粘土鉱物Aの仕込み量を17部とした以外は、実施例1と同様の配合、同様の操作にて反応を実施した。反応中の状態は実施例1と同様であり、得られた固体の外観は淡黄色透明であった。粘土鉱物の凝集物は視認されず、強熱減量は89.2%であった。IR分析では、1800cm
-1付近の環状カーボネート化合物中のカルボニル基由来の吸収は消失し、新たに1760cm
-1付近にウレタン結合のカルボニル基由来の吸収が確認され、目的とする疎水化粘土鉱物A含有ポリヒドロキシウレタン樹脂組成物が得られていることを確認した。得られた組成物を用いて実施例1と同様に厚さ50μmのフィルムを作成した。
【0073】
<実施例6>
実施例1で用いた疎水化粘土鉱物A8.5部を、疎水化粘土鉱物B4.9部とし、またトルエンを92.6部とし、ヘキサメチレンジアミンに替えてメタキシリレンジアミン(三菱ガス化学(株)製)31.8部を使用した以外は、実施例1と同様の操作にて反応を実施した。反応中の状態は実施例1と同様であり、得られた固体の外観は淡黄色透明であった。粘土鉱物の凝集物は視認されず、強熱減量は96.7%であった。IR分析では、1800cm
-1付近の環状カーボネート化合物中のカルボニル基由来の吸収は消失し、新たに1760cm
-1付近にウレタン結合のカルボニル基由来の吸収が確認され、目的とする疎水化粘土鉱物B含有ポリヒドロキシウレタン樹脂組成物が得られていることを確認した。得られた組成物を用い、実施例1と同様にして厚さ50μmのフィルムを作成した。
【0074】
<実施例7>
実施例1で用いた疎水化粘土鉱物A8.5部を、疎水化粘土鉱物B5.2部とし、またトルエンを91.6部とし、ヘキサメチレンジアミンと37部とし、化合物(I)の替わりに製造例5で得た化合物(II)を100部用いた以外は、実施例1と同様の操作にて反応を実施した。反応中の状態は実施例1と同様であり、得られた固体の外観は淡黄色透明であった。粘土鉱物の凝集物は視認されず、強熱減量は96.9%であった。IR分析では、1800cm
-1付近の環状カーボネート化合物中のカルボニル基由来の吸収は消失し、新たに1760cm
-1付近にウレタン結合のカルボニル基由来の吸収が確認され、目的とする疎水化粘土鉱物B含有ポリヒドロキシウレタン樹脂組成物が得られていることを確認した。得られた組成物を用い、実施例1と同様にして厚さ50μmのフィルムを作成した。
【0075】
<比較例1>
実施例1で用いた疎水化粘土鉱物Aを使用しない以外は、実施例1と同様の配合及び操作により重合体を製造した。得られた重合体は無色透明であり、IR分析では、1800cm
-1付近の環状カーボネート化合物中のカルボニル基由来の吸収は消失し、新たに1760cm
-1付近にウレタン結合のカルボニル基由来の吸収が確認された。また、水酸基当量は204mgKOH/g(JISK0070)であり、DMFを移動相としたGPC測定(東ソー製、GPC−8220;カラムSuper AW2500+AW3000+AW4000+AW5000)による重量平均分子量は41000(ポリスチレン換算)であった。この重合体は粘土鉱物を含まないポリヒドロキシウレタン樹脂であり、該樹脂を用いて実施例1と同様にして厚さ50μmのフィルムを作成した。
【0076】
<比較例2>
小型バンバリーミキサー((株)東洋精機製作所 製)を使用し、比較例1で製造したポリヒドロキシウレタン樹脂40部と、製造例1で製造した疎水化粘土鉱物A0.6部とを、160℃にて20分間混練した。混練り後の樹脂は淡黄色透明であり、該樹脂を用いて実施例1同様にして厚さ50μmのフィルムを作成した。
【0077】
<比較例3>
小型バンバリーミキサー((株)東洋精機製作所 製)を使用し、比較例1で製造したポリヒドロキシウレタン樹脂40部と、製造例1で製造した疎水化粘土鉱物A2.5部とを、160℃にて20分間混練した。混練り後の樹脂は淡黄色透明であったが、粘土鉱物の凝集物が目視で確認できる状態であった。実施例1同様にして厚さ50μmのフィルムを作成したが、得られたフィルムは不均一であった。
【0078】
<比較例4>
実施例6で用いた疎水化粘土鉱物Bを使用しない以外は、実施例6と同様の配合及び操作により、重合体を製造した。得られた重合体は無色透明であり、IR分析では、1800cm
-1付近の環状カーボネート化合物中のカルボニル基由来の吸収は消失し、新たに1760cm
-1付近にウレタン結合のカルボニル基由来の吸収が確認された。また、水酸基当量は195mgKOH/gであり、DMFを移動相としたGPC測定(東ソー製、GPC−8220;カラムSuper AW2500+AW3000+AW4000+AW5000)による重量平均分子量は33000(ポリスチレン換算)であった。この重合体は粘土鉱物を含まないポリヒドロキシウレタン樹脂であり、該樹脂を用いて実施例1と同様にして厚さ50μmのフィルムを作成した。
【0079】
<比較例5>
実施例7で用いた疎水化粘土鉱物Bを使用しない以外は、実施例7と同様の配合及び操作により重合体を製造した。得られた重合体は無色透明であり、IR分析では、1800cm
-1付近の環状カーボネート化合物中のカルボニル基由来の吸収は消失し、新たに1760cm
-1付近にウレタン結合のカルボニル基由来の吸収が確認された。また、水酸基当量は258mgKOH/gであり、DMFを移動相としたGPC測定(東ソー製、GPC−8220;カラムSuper AW2500+AW3000+AW4000+AW5000)による重量平均分子量は41,000(ポリスチレン換算)であった。この重合体は粘土鉱物を含まないポリヒドロキシウレタン樹脂であり、該樹脂を用いて実施例1と同様にして厚さ50μmのフィルムを作成した。
【0080】
(評価)
上記実施例1〜7及び比較例1〜5で得られた樹脂、或いは樹脂から成型したフィルムについて性能を評価した。評価及びその方法は、以下の試験項目及び方法によるものである。
【0081】
[二酸化炭素含有量]
二酸化炭素含有量は、使用したポリウレタン樹脂の化学構造中における、原料の二酸化炭素由来のセグメントの質量%を算出して求めた。具体的には、ポリウレタン樹脂の合成反応に使用した、化合物(I)又は(II)を合成する際に使用した、モノマーに対して含まれる二酸化炭素の理論量から算出した計算値で示した。例えば、実施例1の場合には、使用した化合物(I)の二酸化炭素由来の成分量は20.5%、であり、これより実施例1で得られる組成物中の二酸化炭素濃度は(100部×20.5%)/135.6全量=15.1%となる。得られた計算結果を表1に示した。
【0082】
[粘土鉱物含有量]
実施例及び比較例で成型したフィルムのフィルム片を、熱重量分析装置(TG−8120 リガク製)を用いて、空気雰囲気中にて、1000℃で60分間の条件で熱分解を行った後、残さ成分量を分解前質量に対する質量%で表した数値を求めた。これを粘土鉱物の含有量とし、結果を表1に示した。
【0083】
[フィルム外観]
実施例及び比較例で成型したフィルムの外観を、目視にて観察し、以下の基準で評価した。なお、比較例1、3、4は、粘土鉱物を含まないため、評価からは除外した。
○:目視で確認できる凝集物は存在しない
△:部分的に粘土鉱物の凝集物が存在する
×:粘土鉱物の凝集物が多く存在し表面にも凹凸がある
−:評価せず
【0084】
[フィルム厚み]
各フィルムの厚みは、精密厚み測定器(尾崎製作所製)を使用して実測した。
【0085】
[破断点強度]
各フィルムの破断点強度は、JIS K−6251に準拠して、オートグラフ(島津製作所(株)製、AGS−J(商品名))を使用した測定法によって、室温(25℃)での破断強度を測定した。
【0086】
[全光線透過率]
各フィルムについて、JIS K−7105に準拠して、ヘイズメーター(スガ試験機(株)製 HZ−1)により測定した。なお、ヘイズメーターで測定される全ての光量が全光線透過率である。
【0087】
[表面光沢]
JIS Z−8741に準拠し変確光沢計(UGV−6P スガ試験機(株)製)を使用し60°の光沢値を測定した。
【0088】
[酸素透過率(ガスバリア性)]
各フィルムについて、JIS K−7126に準拠して酸素の透過率を測定し、これをガスバリア性の評価値とした。すなわち、この値が低いほどガスバリア性に優れていると判断できる。具体的には、酸素透過率測定装置(MOCON社製 OX−TRAN 2/21ML)を使用して、温度23℃で、湿度65%の条件下にて、酸素透過率を測定した。なお、単位は、ml・20μm/m
2・24h・atmであり、フィルムの厚みを20μmに換算した値での表記とした。
【0089】
【0090】
表1から明らかなように、実施例に示した、本発明の製造方法により製造された疎水化粘土鉱物を含むポリヒドロキシウレタン樹脂組成物の被膜(樹脂層)は、ベースとなる粘土鉱物を含まない従来のヒドロキシウレタン樹脂と比較して、より優れたガスバリア性を有することが確認された。また、複合化により機械強度の向上も確認された。一方、比較例に示した、一般的な組成物の製造方法である重合後の樹脂と粘土鉱物とを混練する方法により製造された組成物は、本発明と同様の性能を持ったものは得られず、これにより本発明の優位性が確認された。比較例に示した従来の混練方法では本発明の製造方法により得られた組成物と同様の性能を有するものが得られなかった理由としては、粘土鉱物の層剥離が不十分であったためと考えられ、これは表面光沢及び全光線透過率の値の低さからも明らかである。また、実施例1よりも実施例2及び3の方が、酸素透過率が低い結果となっていることから、有機オニウム塩としてジアミン成分を併用する方が、より効果的にガスバリア性を向上させることができるといえる。
【0091】
また本発明により得られる粘土鉱物含有ポリヒドロキシウレタン樹脂組成物は二酸化炭素を原材料として製造されており、従来のバリア層に使用されてきた樹脂と比較し環境対応性にも優れている。