(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6050752
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】デプスフィルターとサブミクロンフィルターとの組合せを含むカートリッジフィルター並びにRO前処理方法
(51)【国際特許分類】
B01D 27/04 20060101AFI20161212BHJP
B01D 61/18 20060101ALI20161212BHJP
B01D 27/06 20060101ALI20161212BHJP
B01D 39/16 20060101ALI20161212BHJP
B01D 39/14 20060101ALI20161212BHJP
B01D 61/04 20060101ALI20161212BHJP
B01D 61/58 20060101ALI20161212BHJP
B01D 36/02 20060101ALI20161212BHJP
【FI】
B01D27/04
B01D61/18
B01D27/06
B01D39/16 A
B01D39/14 C
B01D39/16 C
B01D61/04
B01D61/58
B01D36/02
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-528331(P2013-528331)
(86)(22)【出願日】2011年9月9日
(65)【公表番号】特表2014-500780(P2014-500780A)
(43)【公表日】2014年1月16日
(86)【国際出願番号】US2011051012
(87)【国際公開番号】WO2012034028
(87)【国際公開日】20120315
【審査請求日】2014年9月3日
(31)【優先権主張番号】61/381,708
(32)【優先日】2010年9月10日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】スティフター,トラヴィス・ジェラルド
(72)【発明者】
【氏名】スツェパンスキ,ジョセフ・ティ
(72)【発明者】
【氏名】レイドロー,ウィリアム・ビー
(72)【発明者】
【氏名】バーワダ,ウペン・ジェイアント
(72)【発明者】
【氏名】オーヌ,トーマス・マーティン
【審査官】
増田 健司
(56)【参考文献】
【文献】
特表2008−525692(JP,A)
【文献】
特開2010−179262(JP,A)
【文献】
国際公開第2009/088647(WO,A1)
【文献】
特開2000−271417(JP,A)
【文献】
特表2002−542009(JP,A)
【文献】
特開平4−244206(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0080464(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 27/04
B01D 27/06
B01D 36/02
B01D 39/14
B01D 39/16
B01D 61/04
B01D 61/18
B01D 61/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)デプスフィルターエレメントと、
b)下流の第2のフィルターエレメントと
を備えるカートリッジフィルターであって、
c)デプスフィルターエレメントがメルトブローポリマーフィラメントの塊を含んでいて、0.5μm〜10μmの夾雑物粒度に対して90%以上の除去効率を有しており、
d)第2のフィルターエレメントが、直径1μm以下の繊維を含んでいて、1μm以下の夾雑物粒度に対して50%以上の除去効率を有しており、
e)デプスフィルターエレメントがチューブ状であり、第2のフィルターエレメントがデプスフィルターエレメントの内径内に位置する、
液体用カートリッジフィルター。
【請求項2】
第2のフィルターエレメントが、プリーツシートをチューブ状に巻き付けた形態のものである、請求項1記載のカートリッジフィルター。
【請求項3】
デプスフィルターエレメント及び第2のフィルターエレメントがそれらの端部で端部キャップに封止され、端部キャップの少なくとも1つがフィルター筐体の出口に接続される、請求項2記載のカートリッジフィルター。
【請求項4】
デプスフィルターエレメントが、その深さに沿って異なる領域を占める複数のゾーンを含んでおり、前記ゾーンが、デプスフィルターエレメントの下流に向かって増大する密度又は減少するフィラメント径を有する、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載のカートリッジフィルター。
【請求項5】
前記ゾーンの2以上を横断する1以上のメルトブローポリマーフィラメントを含む、請求項4記載のカートリッジフィルター。
【請求項6】
デプスフィルターエレメントが、1μm〜5μmの夾雑物粒度に対して90%以上の除去効率を有する、請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載のカートリッジフィルター。
【請求項7】
第2のフィルターエレメントが直径0.5μm以下の繊維を含んでおり、0.5μm以下の夾雑物粒度に対して50%以上の除去効率を有する、請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載のカートリッジフィルター。
【請求項8】
供給水の処理方法であって、
a)請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載のカートリッジフィルターで供給水を濾過して、濾液を生じさせる段階と、
b)逆浸透膜を用いて濾液を濾過する段階と
を含む方法。
【請求項9】
前記濾液が3以下のシルト密度指数(SDI)を有する、請求項8記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広義には濾過、特に、デプスフィルターと直径1μm未満の繊維を含む第2のフィルターとを組合せたカートリッジフィルター並びに逆浸透(RO)前に供給水を前処理する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
以下の記載は、本欄に記載した事項が周知技術又は引用可能な先行技術であることを認めたものではない。
【0003】
フィルターは、コロイド状粒子及び微生物を始めとする固形物を除去するように設計できる。液体の濾過に慣用される2種類のフィルターは、デプスフィルター及びプリーツフィルターであり、表面又はスクリーンフィルターとすることができる。
【0004】
デプスフィルターは、粒子を濾過媒体の深さ全体で保持する。デプスフィルターは複数の層(又はゾーン)を有していることがあり、一般に孔径の最も大きい層がフィルター入口に隣接した上流層を形成し、孔径の最も小さい層がフィルター出口に隣接した下流層を形成する。デプスフィルターは、その集塵容量(DHC:dirt holding capacity)によって評価することができるが、これはフィルターが目詰まりを起こすまでに捕集できる固体粒子のグラム数として測定される。デプスフィルターは、フィルターで捕集される供給流中の所定の最小粒度の粒子の百分率(効率と呼ばれる。)によって評価することもできる。典型的な効率は90%である。ただし、デプスフィルターは、絶対粒度(100%近い効率で除去される粒子の粒度)で評価することもできる。デプスフィルターの製造には様々な媒体を使用することができ、その1つは、メルトブロー又はスパンボンド法フィラメントの不織媒体である。デプスフィルターは、チューブ状スリーブの形態又は平坦なシートの形態で提供される。
【0005】
プリーツフィルターは薄いシート材料から製造される。シート材料は筐体内での表面積を増加させるためプリーツ状に折り曲げられる。プリーツフィルターは表面フィルター又はスクリーンフィルターと呼ばれることも多く、粒子を、フィルターの深さ全体ではなく、主に上流表面又はその近傍で保持する。粒子は、主に、フィルターエレメントの上流表面又はその僅かに下の細孔の孔径に基づくサイズ排除によって保持される。表面フィルターは絶対粒度で評価されることが多い。絶対粒度未満では、細孔の孔径分布のため、さらには入り組んだ細孔に粒子が捕捉される可能性があるため、除去効率は粒度に伴って低下し、ある種のデプス(深度)濾過作用がみられることがある。プリーツフィルターに使用される媒体は、ガラス又はポリマー繊維の不織布或いはマイクロポーラスポリマー膜とすることができる。
【0006】
カートリッジフィルターは、筐体内に配置されるように設計された着脱又は交換可能なフィルターエレメントである。カートリッジフィルターには、洗浄できるものもあるが、多くは耐用年数が尽きると廃棄される。フィルターエレメントの耐用年数は、フィルターでの最大圧力降下を避け、最小流束(又は処理量)以上で作動しながら、フィルターエレメントがその定格除去をもたらし続ける期間である。最大圧力降下は、フィルターに加わる差圧に耐えることのできるフィルターエレメントの機械的能力によって制限されかねない。フィルターエレメントが、所要の効率で評価される粒度の粒子を保持できなくなったとき、或いは所定の最低処理量を得るための圧力降下が所定の最大値を超えたときに、交換される。
【0007】
高い効率及び低い圧力降下で微小粒子を除去することができ、高い捕集能力を有するフィルターエレメントを提供することができれば概して望ましい。また、所定の性能規格について長い耐用年数を有するカートリッジフィルターを提供することができれば概して望ましい。さらに、所定の性能基準を満足するのに必要とされるフィルターエレメントの容積又は質量を最小限にすることができれば概して望ましい。
【0008】
米国特許第6986427号(Aune他、2006年1月17日発行)には、デプスフィルターエレメントに特に有用なメルトブロー法不織媒体について記載されている(その開示内容は援用によって本明細書の内容の一部をなす。)。媒体は、複数のメルトブロー法フィラメントを、チューブ状構造体の円錐端部の側面に送ることによって製造される。チューブ状構造体は回転マンドレル上で回転する。マンドレルの長さ方向に沿ってフィラメント噴射領域からチューブ状構造を引き取りながら、円錐端部に材料を追加するにしたがってチューブ構造体の長さが延びる。異なるフィラメントを円錐の異なる部分に送るが、円錐の長さ方向にフィラメントの1以上の特性を変化させてもよい。こうすると、チューブ状エレメントに、1以上の特性が変化する同心環状ゾーンが生じる。例えば、1以上のフィラメントを円錐の先端の近くだけに噴射して、チューブの内側ゾーンを形成される。1以上の別のメルトブローフィラメントを円錐の長さ全体に適用して、媒体を補強するためエレメントの深さ方向に延在して複数のゾーンを横断するフィラメントを追加してもよい。
【0009】
海水の脱塩その他様々な用途に、逆浸透(RO)膜を使用することができる。供給水のシルト密度指数(SDI:Silt Density Index)は、供給水が逆浸透膜を汚損する傾向の尺度である。SDIは、206.8kPa(30psi)の一定圧力で供給水を供給したときの公称細孔径0.45μmの所定の膜フィルターを汚損する速度(毎分低下率%)を求めることによって評価される。中空繊維RO膜はSDI3以下の供給水が必要とされるといわれることがあるが、スパイラル膜(spiral wound membrane)ではSDI5以下の供給水が必要であるといわれており、いずれも、大半の海水のSDIよりも格段に小さい。ただし、SDIをさらに減少させると、RO膜の汚損速度が低下する。Kremen et al., Silt density indices (SDI), percent plugging factor (%PF): their relation to actual foulant deposition (Desalination 119 (1998) 259-262には、供給水のSDIが1から5に増大すると、膜に堆積する汚損物質の量が幾何級数的に増すと記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第6986427号
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Kremen et al., Silt density indices (SDI), percent plugging factor (%PF): their relation to actual foulant deposition (Desalination 119 (1998) 259-262
【発明の概要】
【0012】
以下の記載は、特許請求の範囲に記載された発明について詳細な説明を紹介するためのものであり、特許請求の範囲に記載された発明を限定するものでも定義するものでもない。特許請求の範囲に記載された発明は、以下の記載する構成要素又は段階のサブコンビネーションであってもよいし、或いは明細書の別の箇所に記載された構成要素又は段階を含んでいてもよい。
【0013】
供給水のSDIを低レベル(例えば5以下)に低下させるには、概して粒度1μm以下の粒子を除去する必要がある。直径の非常に小さいフィラメントを使用し、適宜デプスフィルターの製造時にフィラメントをマンドレルに対して圧縮することによって、この粒度範囲の粒子を除去することのできるデプスフィルターを製造することができる。しかし、かかるフィルターを通しての圧力降下が著しい。特に、デプスフィルターがチューブ状である場合、水が内側に移動すると濾過のための有効表面積が減少する。プリーツ状も含めて、シート形態のフィルターも、サブミクロン粒子を除去するように製造できる。しかし、かかるフィルターの典型的な製造方法は、シートのカレンダー加工を含んでいて、細孔構造を狭めるので、この場合も著しい圧力降下をもたらす。非常に目の詰まったシート形態のフィルターは、供給水を予め上流で濾過しておかなければ、すぐに目詰まりを起こす傾向があり、装置及び配管を増やす必要がある。
【0014】
本明細書では、デプスフィルターエレメントを下流の第2のフィルターエレメントと組合せて、標準的カートリッジフィルター筐体で使用できる単一ユニットとしたカートリッジフィルターアセンブリについて記載する。
【0015】
デプスフィルターエレメントは、メルトブローポリマーフィラメントの塊を有していて、0.5〜10μm、好ましくは1〜5μmの粒度の夾雑物に対して90%
以上の除去効率を有する。デプスフィルターは、好ましくは、フィルターの異なる深さを占める複数のゾーンを含んでおり、1以上のメルトブローポリマーフィラメントがゾーンの2以上を横断する。この構造は、微小粒子を除去することのできる内側ゾーンを有しているにもかかわらず、適度な圧縮抵抗を保持しつつ、フィルター全体の密度を低下させることによって、フィルターでの圧力降下を最小限にする。
【0016】
第2のフィルターエレメントは直径1μm以下の繊維(ナノ繊維と呼ぶ。)を含む。第2のフィルターは、粒度1μm未満、好ましくは、粒度0.5μm未満の夾雑物の大部分を除去する。ナノ繊維の使用によって、カレンダー加工なしで、非常に小さい細孔径を達成することができる。得られる細孔は入り組んでいる。第2のフィルターエレメントは、その有効濾過表面積を増加させるため、プリーツ加工してもよい。
【0017】
デプスフィルターエレメントはチューブの形態とし得る。第2のフィルターエレメントも、デプスフィルターの内部に位置するチューブの形態(好ましくはプリーツ加工されたもの)とし得る。デプスフィルター及び第2のフィルターの端部にキャップを封止して、標準的筐体に収めることのできるカートリッジフィルターを形成する。
【0018】
カートリッジフィルターは、RO膜の上流での供給水の前処理に使用し得る。供給水のSDIは3以下又は2以下に下げることができる。有機又は無機夾雑物を除去することができ、化学的洗浄から次回の化学的洗浄までのRO膜の作動時間を長くしたり、流束を増すことができる。極めてSDIの低い濾液を生じさせるには、大量の夾雑物をフィルターに保持しておく必要があることが多い。第2のフィルターは、微小粒子に対する実質的な除去効率をもたらすが、そのためすぐに目詰まりを起こしかねない。上流のデプスフィルターは、比較的大きな粒子が第2のフィルターに達するのを防いで、別個のプレフィルター筐体を必要とせずに、複合カートリッジフィルターの集塵容量を増大させる。デプスフィルター及び第2のフィルターは、除去すべき夾雑物の粒度及びその他のフィルターの存在を考慮して、圧力降下が減少するように構築される。
【0019】
本明細書では、液体から粒子を濾過するためのカートリッジフィルターアセンブリについて記載する。カートリッジフィルターアセンブリは、内側スクリーン又は表面フィルターと、内側フィルターを囲繞するデプスフィルターエレメントとを備える。デプスフィルターエレメントは、メルトブローポリマーフィラメントの塊を有しており、塊は深さ方向、縦(又は長さ)方向及び横(又は幅)方向の寸法を有する。塊は、深さ方向に異なる特性を有する複数のゾーンで概して縦及び横方向に配向したフィラメントを含む。塊は、塊の縦、横及び深さ方向の寸法全体に延在するように配向した横断フィラメントを有し、横断フィラメントは深さ方向に2以上のゾーンに延在する。内側表面又はスクリーンフィルターは、ナノ繊維又はナノ粒子を捕集する繊維を含んでいてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】カートリッジフィルターアセンブリ10の部分切り取り斜視図。
【
図2】別のカートリッジフィルターアセンブリ10の部分切り取り斜視図。
【
図3】
図1のカートリッジフィルターアセンブリ10の断面図。
【
図4】
図2のカートリッジフィルターアセンブリ10の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図面を通して、対応する部材には同様の符号を付した。
【0022】
以下の発明の詳細な説明で、図面を参照して本発明について説明するが、本発明を実施することができるように1以上の実施形態について詳細に説明する。特定の実施形態を参照して本発明を説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではなく、数多くの代替、修正及び均等を包含する。
【0023】
本明細書及び請求項で用いる近似表現は、数量を修飾し、その数量が関係する基本機能に変化をもたらさない許容範囲内で変動しうる数量を表現する際に適用される。したがって、「約」のような用語で修飾された値はその厳密な数値に限定されない。場合によっては、近似表現は、その値を測定する機器の精度に対応する。本明細書に記載された範囲の上下限は、互いに結合及び/又は入れ替えることができ、そうした範囲が特定されていても、文言上又は文脈から別途明らかでない限り、その範囲内に属するあらゆる中間範囲が包含される。実施例又は別途明示しない限り、成分、反応条件などの量に関する数又は表記はすべて、すべて「約」という語で修飾されていると解すべきである。
【0024】
「任意には」、「適宜」又は「好ましくは」という用語は、その用語に続いて記載された事象又は状況が起きても起こらなくてもよいこと、或いはその用語に続いて記載された材料が存在しても存在しなくてもよいことを意味しており、かかる記載はその事象又は状況が起きる場合と起こらない場合並びにその材料が存在する場合と存在しない場合とを包含する。
【0025】
本明細書で用いる「含む」、「備える」及び「有する」などの用語は内包的なものであり、記載した構成要素以外の追加の要素が存在していてもよいことを意味する。例えば、一群の構成要素を含むプロセス、方法、製品又は装置は、必ずしもそれらの構成要素に限定されるものではなく、そうしたプロセス、方法、製品又は装置の明示されていない又はそれらに固有の他の構成要素を含んでいてもよい。単数形で記載したものであっても、前後関係から明らかでない限り、複数の場合も含めて意味する。
【0026】
図1を参照すると、カートリッジフィルターアセンブリ10は、外側デプスフィルターエレメント14で囲繞された不織材料又は膜材料からなる円筒形の内側フィルター12を含む。デプスフィルターエレメント14は、カートリッジフィルターアセンブリ10の露出外表面を形成する。内側フィルター12は表面又はスクリーンフィルターであり、適当なコア16で支持してもよい。デプスフィルターエレメント14と内側スクリーン又は表面フィルター12とを有するカートリッジフィルターアセンブリ10は、流体入口及び流体出口が設けられた筐体(図示せず)内に収納できる。濾過すべき流体は、まずデプスフィルターエレメント14、次いでスクリーン又は表面フィルター12を順次、好ましくは流体バイパスなしで、通過する。ここでは、内側フィルター12を表面又はスクリーンフィルターとして記載するが、内側フィルター12は、任意には、ある程度の深度濾過が可能な材料、又はシート状材料全般(例えば、厚さ5mm以下又は2mm以下の材料)から製造できる。
【0027】
好ましくは、デプスフィルターエレメント14は、各々以下で説明する通りミクロン保持サイズの異なる複数の媒体層又はゾーンを含んでいて、媒体層の透過性又は保持率(所定の効率で除去される粒度に関するもの)がカートリッジフィルターアセンブリ10の流体入口近傍で最大となり、内側フィルター12近傍で最小となる。したがって、大きな粒子は供給液入口近傍で保持され、供給液がカートリッジフィルターアセンブリ10を通過するに伴って、徐々に小さな粒子が保持される。明瞭化のため、ゾーンの間にはっきりとした線を引いて示したが、実施に際してゾーン間にもっと段階な移行又は遷移領域が存在していてもよい。
【0028】
カートリッジフィルターアセンブリ10は、当技術分野で公知の通り、内側フィルター12及びデプスフィルターエレメント14に端部キャップを取り付けることによって完成する。例えば、端部キャップは熱可塑性材料からなるものでよく、フィルターアセンブリ10の各端部に熱接合すればよい。内側フィルター12とデプスフィルターエレメント14の端部が端部キャップと融合してシール及び接合部を形成する。端部キャップの一方又は両方は、フィルターアセンブリの中心から濾液を除去できるように開放されている。開放端部には、平面環状ガスケットをその面に設けてもよい。ガスケットは、液体状態のエラストマー材料を端部キャップ上にポッティングして、この材料を固化させて一体端部ガスケットを形成してもよい。端部ガスケットは、筐体の出口のエッジに押し付けるとナイフエッジシールを形成する。別法として、端部キャップは、内側チューブセクションにOリングガスケットを装着して筐体の出口の外表面に対して封止してもよい。いずれのガスケットも、筐体入口を筐体出口から隔てるメカニカルシールをもたらし、供給水はカートリッジフィルターアセンブリ10を通らなければならなくなる。
【0029】
内側フィルター12は、任意のスクリーン又は表面フィルター媒体でよく、当業者に公知のプロセスで製造できる。内側フィルター12は、ナノ繊維の層又はナノ粒子を含有する繊維状媒体で製造し得る。本明細書で用いるナノ繊維とは、直径1000nm以下の繊維をいう。ナノ粒子は、1000nm以下である少なくとも1つの寸法を有する。内側フィルターで用いられるナノ繊維は直径200〜600nmの範囲としてもよいし、或いは200nm(0.2μm)未満の直径のものでもよく、おそらくは直径50nm程度にしてもよい。ナノ繊維層は繊維のランダムな分布を形成し、それらを接合して絡み合った網目を形成してもよい。濾過性能は、微小繊維が微粒子の通過を妨げる結果として得られる。剛性、強度及びプリーツ加工性(pleatability)のような構造特性は、ナノ繊維を付着させる基材によってもたらすことができる。ナノ繊維は、ポリマー材料又はポリマーと当業者に公知の添加剤から製造できる。さらに、内側フィルター12は、スパンボンド、エレクトロスピニング、海島(islands-in-sea)プロセス、フィブリル化フィルム、メルトブローその他当業者に公知のプロセスを始めとするウエットレイ又はドライレイ法を用いて製造した媒体のものとすることができる。
【0030】
内側フィルター12の媒体は、微生物又は有機成分、或いはRO膜エレメントの寿命に悪影響をもつことが知られている鉄、水銀及び鉛のような非有機物質に対して親和性を有する吸収性の材料から製造できる。静電荷は、例えばアクリル繊維とナイロン繊維の混合物のような複数種の繊維のナノ繊維混合物での摩擦帯電作用によって
生じさせることもできる。静電荷は、動電学的捕捉によって微粒子の捕集を向上させることができる。入り組んだ流路による機械的捕捉
によっても捕集性を高めることができる。
【0031】
内側フィルター12の媒体は、シートの形態で使用してもよいし、或いは成形、折り畳みその他の賦形方法で3次元構成を有する賦形媒体としてもよい。例えば、
図2に示すように、内側フィルター12は、プリーツ加工のための公知の方法及び部品を用いてプリーツ加工してもよい。
図2に示す実施形態では、内側フィルター12は、コア16で適宜支持された1枚以上のプリーツフィルターシートを含む。プリーツは波形でもよいし、らせん状に配置してもよく、ループ状断面又は折り畳み断面(M字形断面など)を有していてもよい。本明細書で用いる「プリーツ」という用語は、かかる断面形状又は配置をすべて包含する。プリーツ構造は、平坦又は湾曲した非プリーツシート構造に比べて、デプスフィルターエレメント14から流出する流体に最初に接触する表面積を増大させる。
【0032】
内側フィルター12の媒体の具体例は、Ahlstrom Filtration社からDisruptorという商品名で市販されているロールストックからのシート(プリーツ加工し得る)、或いはArgonide社からNanoCeramという商品名で市販されているプリーツ材料である。これらは同じ材料であって直径200nm未満のガラス繊維の不織塊を含む。直径2nmで長さが250nm未満の追加のアルミナ繊維がガラス繊維に加えられる。ガラス繊維が形成する細孔は粒度2又は3μmの粒子を機械的に除去するが、アルミナ繊維で生じる静電力によって媒体は粒度1μm未満の粒子を保持できるようになる。内側フィルター12の媒体のもう一つの例は、Hollingsworth and Voss社製の200〜400nmメルトブロー繊維で製造されたポリプロピレン不織マトリックスである。好ましくは、内側フィルター12は粒度1μm以下、好ましくは0.5μm以下の夾雑物の大部分(例えば50%以上)を除去する。
【0033】
外側スリーブ14はデプスフィルターを含んでおり、内側フィルター12を囲繞するように構成される。一実施形態では、内側フィルター12は0.93インチの内径及び0.99インチの外径を有し、外側デプスフィルターエレメント14は1.00インチの内径及び2.5インチの外径を有する。内側フィルター12及び外側デプスエレメント14について、本発明の技術的範囲を逸脱せずに、その他の寸法を用いてもよい。例えば、内側フィルター12を、外径約1.1インチの支持チューブ上に置いて、内側フィルターの外径を2インチ以上に拡げてもよい。デプスフィルターエレメント14は、かかる内側フィルター12を収容する内径を有し、外径は約2.6インチ以上又は4.5インチ以上、任意には最大6又は7インチまで拡げてもよい。
【0034】
デプスフィルターエレメント14は、本質的に連続
したポリマーフィラメントの塊を有するメルトブロー媒体から製造し得る。媒体は、長さ又は縦方向、幅又は横方向及び深さ方向の寸法を有する。メルトブロー媒体の一次フィラメントは、概して、長さ(x又は縦)方向及び幅(y又は横、円筒形の塊の場合は周)方向に配向する。好ましくは、媒体は深さ(z)方向に延在する本質的に連続
したポリマーフィラメントを含む。デプスフィルターエレメント14では、媒体は、臨界的濾過ゾーンを同時にもたらす自己支持型内部コアゾーンを形成してもよい。コアゾーン及びコアに隣接したゾーンにおける接合フィラメント(深さ方向に延在するフィラメント)の割合を高めることによって、同量の接合フィラメントを媒体全体に均一に分布させた場合よりも、高い圧潰強さ及び低い密度をもつようにデプスフィルターエレメント14を設計することができる。3次元不織媒体並びに媒体の製造方法が、本願出願人による米国特許第6986427号に開示されており、その開示内容は援用によって本明細書の内容の一部をなす。デプスフィルターの形成に有用な代表的なポリマーとしては、ポリエチレン又はポリプロピレンのようなポリオレフィン、セルロース、綿、ポリアミド、ポリエステル、繊維ガラスなどの繊維が挙げられる。
【0035】
デプスフィルターエレメント14の媒体は、繊維と繊維の間の接合を減少させて低密度の構造を形成するため、一次繊維の微細マトリックスを使用するのが望ましい。第2のフィラメント原料は、繊維同士の接着性を向上させるとともに機械的構造の絡み合いをもたらすので、一次媒体上のz方向に同時かつ意図的に配置される。これらのzフィラメントは、機械的強度が大幅に向上した剛性の多孔質構造を形成する。一次媒体は典型的には繊維がx及びy軸に配向し、層間には偶発的な接合しか存在しない本質的に2次元の層で形成される。一次媒体繊維の層形成時に、接合zフィラメントを形成中の一次媒体層の2以上を横断して配置すると有益であり、これらの接合zフィラメントは一次媒体に対して本質的にz軸方向に配向する。
【0036】
繊維は、概して、材料の2次元マトリックスマット又は層を連続的に形成して多数の繊維層からなるフィラメント塊20を構築する。これらの繊維は、XY平面上に或いは縦方向及び周又は横方向に堆積されると述べることができる。繊維を層状に積層すると、半径又は深さ方向の寸法が形成される。ここで
図3を参照すると、塊20に組み込まれるのが「z」方向繊維又はフィラメント22であり、塊20を半径方向に延在する。フィラメント塊20は、望ましくは、複数の同心濾過ゾーン104、106及び108を含む。図に示す実施形態では、3つの濾過ゾーン104、106及び108が示してある。ただし、フィラメント塊20に含まれるゾーンの数は、本発明の技術的範囲内で増減してもよい。半径方向の追加のフィラメント塊強度は、zフィラメント22によってもたらされる。zフィラメント22は、エレメントの補強繊維構造として機能する。zフィラメント22は、フィラメント塊20全体に延在し、半径方向、縦方向及び周方向に延在する。
【0037】
濾過ゾーン104、106及び108は好ましくは異なる物理的特性を有する。例えば、濾過ゾーン104を比較的小さな直径のフィラメントを含むものとし、濾過ゾーン106を中間直径のフィラメントを含むものとし、濾過ゾーン108を大きな直径のフィラメントを含むものとしてもよい。濾過ゾーン104、106及び108は、好ましくは、約1μm未満乃至約100μmの直径のフィラメントを有する。zフィラメント22の直径は、濾過ゾーン104、106及び108のフィラメントの平均直径と同じでも、大きくても、小さくてもよい。ゾーン104、106及び108の繊維は異なる材料からなるものでもよいし、異なる大きさのものでもよいし、異なる性質を有していてもよい。例えば、各ゾーンの繊維の直径は、コアゾーン
108からシェルゾーン
104まで漸次大きくしてもよい。各ゾーンは、各隣接ゾーンとは異なる密度を有していてもよい。例えば、ゾーンの密度は、コアゾーン
108からシェルゾーン
104まで漸次低くしてもよい。濾過ゾーン104が比較的高いフィラメント密度を有し、濾過ゾーン106
が中間的なフィラメント密度を有し、濾過ゾーン108
が比較的低いフィラメント密度を有するようにしてもよい。別の実施形態では、濾過ゾーン104、106及び108がその他の密度変化をもつようにしてもよい。
【0038】
一次媒体の形成中に、一次媒体を横断する接合zフィラメント22を挿入すると有益であり、接合zフィラメントは一次媒体の1以上のゾーン104、106及び108を横断して延在する。接合zフィラメント22が一次媒体のすべての層を横断して延在し、最終一次媒体の一方の主表面112から他方の主表面114まで横断していすると有益である。
図3及び
図4では、向上した圧縮耐性を有する低密度一次媒体を生成するための接合フィラメントとして、zフィラメントを用いている。一次媒体の形成中に、一次媒体の1以上の層を横断する接合zフィラメントを挿入することは、その他の顕著な利点を有する媒体の形成に使用できると考えられる。例えばzポリマーが大きく異なる物理的又は化学的特性を有していれば、得られる複合媒体を大幅に改良できる可能性がある。
【0039】
一実施形態では、フィルタースリーブ14は、形成される媒体の片面又は両面112、114に接合繊維の薄層を有していて、多孔質表面の仕上げを向上させる。接合繊維は、表面112、114で一次媒体の繊維に付着し、媒体表面の繊維のほつれを解消する。判明したもう一つの重要な利点は、接合繊維が一次表面繊維に付着して、表面のテクスチャーに順応することである。冷却すると接合繊維は収縮して、表面粗さが増す。得られる仕上げ面は、未処理一次媒体表面の表面積の約2倍の表面積を有するという予想外の知見が得られた。こうした表面積の増加は数多くの利点をもたらし、特に粒子濾過用途に有用である。シェルの表面積が2倍になると、過度の圧力降下を起こさずに、シェルのポロシティを下げることができる。また、デプスフィルターエレメント14を用いる際に、粒子のケークをシェル表面で回収することがあり、圧力降下の増大を起こすこともある。表面積が大きいと、かかる圧力降下の増大が起こるまでの作動期間を延ばすことができる。また、カートリッジフィルターの実施形態では、比較的硬質のシェルが形成されることで、カートリッジフィルター形成後に、フィルターを支持ケージ内に封入する必要がなくなる。
【0040】
一実施形態では、ゾーン104、106及び108の各々には繊維同士の接合は存在しない。フィラメント塊20における一次接合は、「z」方向繊維22とゾーン104、106及び108のフィラメントとの接合によって達成される。媒体の所定のゾーンを非常に剛性の高いものとして作って濾過層とすれば、得られる機械的負荷を担うので、所与のフィルターデバイスで別個の構造エレメントの必要がなくなる。
【0041】
図3に、一実施形態として、z繊維22の配向の概略を示す。z繊維22は、塊20の形成中に、約120度以下回転する際に、塊20のコア又は底部ゾーン104からシェル又は上部ゾーン108に、次いでコアゾーン104に戻るように連続的に配置される。こうして、z繊維22は、半径方向、縦方向及び周方向にフィルター塊20全体に広がる。塊20が円筒形ではなく平面的である実施形態では、z繊維22は、塊20の長さ、幅及び厚さ方向に延在するものとして述べることができる。フィルター塊20は堆積物であり、z繊維22のウェブを含んでいてもよく、これはゾーン104、106及び108から繊維を3次元全方向に保持するように作用して、フィラメント塊20に強度を与え、引張り支持をもたらす。塊20の繊維は、3方向すべてにおいて所定の位置に保持されるので、微細繊維の曲げモーメントが最小限となり、塵の放出と圧力降下増大時のチャネリングが最小限となる。さもないと、かかる微細繊維を低密度媒体に使用するとかかる不都合な塵の放出及びチャネリングが起こると予想される。
【0042】
一実施形態では、ゾーン104、106及び108の繊維はフィルター塊20の繊維の約75〜95%をなし、z繊維22はフィルター塊20の繊維の約5〜25%なす。さらに好ましくは、ゾーン104、106及び108の繊維はフィルター塊20の繊維の約80〜90%をなし、z繊維22はフィルター塊20の繊維の約10〜20%をなす。最も好ましくは、ゾーン104、106及び108の繊維はフィルター塊20の繊維の約85%をなしz繊維22はフィルター塊20の繊維の約15%をなす。一実施形態では、ゾーン106及び108よりもコアゾーン104に堆積されるz繊維22の割合を高くする。例えば、z繊維22は、コアゾーン104の全繊維の約25%をなし、シェルゾーン108の全繊維の約3%をなす。この構成によって、フィルター使用時の圧潰耐性を維持するのに必要とされる追加の強度をフィルター塊20のコア領域に付与することができる。
【0043】
フィラメント塊20の独特の構成は、強度を犠牲にせずに、繊維を開放されているが、支持された構造に固定することによって、大きなボイドボリュームをもたらす。本発明のフィラメント塊20は、従来技術の媒体よりも格段に大きな機械的強度/重量比を呈する。フィラメント塊20は所望の厚さに形成し得る。一実施形態では、フィラメント塊20は、約1.15インチの内径及び約2.5インチの外形を有する。一実施形態では、フィラメント塊20は、10インチセクション当たり約95g以下の質量を有し、約40psi以上の圧潰強さを有する。高いボイドボリュームによって、集塵容量が向上し、エレメント寿命が長く、圧力降下の低減したフィラメント塊20が得られる。さらに、従来のフィルターよりも、少量の材料を用いて迅速にフィラメント塊20を生成することができる。好ましい実施形態では、フィラメント塊20の10インチセクションは約15秒で製造され、20μmで90%の保持定格を有する。
【0044】
図4は、デプスフィルターエレメントの第2の実施形態の正面図を示す。
図3に示す実施形態と同様に、フィラメント塊20は、第1の主表面112と、第2の主表面114と、同心濾過ゾーン164、166及び168とを含んでおり、z繊維又はフィラメント22及び172によって半径方向の追加フィラメント塊強度を与える。zフィラメント22及び172は、繊維塊20の補強要素として機能する。zフィラメント22及び172はフィラメント塊20全体に延在し、半径方向、縦方向及び周方向に延在する。
【0045】
z繊維22は、
図3を参照して上述した通り製造される。z繊維172は、フィルター塊
20の半径方向、縦方向及び周方向全体に広がるように、ゾーン164、166及び168を横断して配置される。塊
20が円筒形ではなく平面状である場合には、接合用繊維172は、塊20の長さ、幅及び厚さ方向に延在するものとして述べることができる。好ましい実施形態では、z繊維172は、1以上のゾーン164、166及び168を横断するように配置されるが、ゾーン164、166及び168のすべてを横断する必要はない。
【0046】
媒体の密度をさほど増加させずに、強固な一体濾過コアを作ることができる。これは、メルトブロープロセスの際に、ゾーン164、166及び168の一次濾過繊維上に接合(又はz)繊維22及び172を堆積することによって達成される。接合繊維22及び172の追加の熱エネルギーによって、高度に非晶質のポリプロピレン一次濾過繊維の結晶度を大幅に増大させることができ、ひいては媒体を補強する。さらに、一実施形態では、z繊維22及び172の一方又は両方は、ゾーン164、166及び168の一次繊維とは異なる材料特性を有する。例えば、繊維22及び/又は172は、反応の触媒、或いは毒素、ウイルス、タンパク質、有機物又は重金属に対して吸収性又は吸着性材料としてもよい。好ましい実施形態では、構造補強繊維又はフィラメント22及び172の直径は、繊維22及び172が、フィラメント塊20の強度だけでなく、その濾過能力にも寄与するように、ゾーン164、166及び168の一次濾過繊維の直径と同等である。
【0047】
逆浸透膜の上流での水の前処理のためのカートリッジフィルターアセンブリ10で使用する場合、デプスフィルターエレメント14の少なくとも内側ゾーン108及び168は、0.5〜10μm、好ましくは1〜5μmの粒度に対して90%の除去効率を有する。この除去効率は、内側ゾーンに直径約1μm〜約20μmのフィラメントを使用することによって達成される。デプスフィルターエレメント14の圧力降下を低減させるため、400μmまでの大径フィラメントを外側ゾーンに使用することができる。任意には、内側ゾーン108及び168用のフィラメントの温度及び流速を調節し、内側ゾーン108及び168の形成中に適宜圧縮力を加えることによって、内側ゾーン108及び168を3μm以下又は1μm以下の細孔径で製造することができ、かかるデプスフィルターエレメント14は3μm粒子又は1μm粒子を完全に除去する。
【0048】
任意には、フィルターアセンブリ10は、デプスフィルター14を内側フィルター12の内側に配置して構築し得る。その場合、供給水は、一方又は両方の端部キャップを通してフィルターアセンブリ10の内部に供給され、濾液はフィルターアセンブリ10の外部の筐体から回収される。
【0049】
任意には、支持層を、内側フィルター12とデプスフィルターエレメント14の間に設けてもよい。この支持層は、例えばスクリーンをチューブ状に丸めたもの、押出メッシュを延伸してチューブ状スクリーンとしたもの、又は押出多孔チューブから製造し得る。高温又は粘度を伴う用途又は高固形
分のものに付される用途では、追加の支持層は、デプスフィルターエレメント14から内側フィルター12に加わる圧力を低下させるのに役立ち、ひいては内側フィルター12の裂け又はプリーツ圧潰を防ぐことができる。
【実施例】
【0050】
実験では、比較実験として、供給水を、従来のデプスフィルター並びにデプスフィルターと表面フィルターとの複合カートリッジフィルターエレメントで濾過した。供給水は、有機、生物及び剛性粒状夾雑物の水中での合成混合物であり、SDI測定値は4〜6であった。従来のデプスフィルターは2.6インチの外径を有しており、内径1.1インチの多孔質コアチューブで支持した。従来のデプスフィルターは、90%の効率で10〜12μmの粒子を除去することができた。複合フィルターは、同じコアチューブを用いて、同様に約2.6インチの外径を有していた。複合フィルターは、メルトブローポリプロピレンの傾斜密度デプスフィルターを含んでおり、内側ゾーンは3μm夾雑物の90%除去効率を有しており、外側ゾーンは15〜20μmで90%除去であった。このデプスフィルターは0.125インチの深さ(壁厚)を有していた。表面フィルターは、直径200〜600nmのポリプロピレン(PP)ナノ繊維の不織シートであり、チューブ内に深さ0.45インチでプリーツ加工した。従来のデプスフィルターと複合フィルターはいずれも合計フィルター深さが同様であり、同様のカートリッジ筐体内に装着した。
【0051】
各フィルターで濾過した水のSDIを様々な時点で測定し、その結果を以下の表1に示す。表1において、従来のデプスフィルターは「CDF」として表し、複合フィルターは「CF」と表す。表1に示すように、従来のデプスフィルターは、SDIに対してほとんど効果がなかったのに対して、複合フィルターではSDIが下流のRO膜の運転に適した範囲まで低下した。
【0052】
【表1】
供給液及び濾液に暴露される試験パネル上で細菌を培養した。従来のデプスフィルターではごくわずかな細菌除去しか認められなかったのに対して、複合フィルターの濾液では細菌濃度がはっきりと減少した。したがって、複合フィルターは、メンブランでの細菌汚損を低下させると期待できる。
【0053】
目視検査に基づくと、複合フィルターのデプスフィルター部分は供給流中の夾雑物の約30%を保持し、表面フィルターは約70%を保持していた。デプスフィルターはこのようにSDIの除去に寄与し、表面フィルターの耐用年数の延長に寄与する。試験した供給流は、汚損の非常に少ない天然供給流又は前処理供給流に代表的な低いSDIを有していた。デプスフィルターは、SDIが高く、若干大きな夾雑物を含む天然供給流に暴露されると、夾雑物の除去割合が増えると予想される。ただし、その場合、デプスフィルターの集塵容量に達する時間が短くなる。そこで、ある種の供給流については、デプスフィルターと表面フィルターの予想耐用年数を調和させるため、デプスフィルターの厚さを例えば0.5インチ又は1インチ以上に増すのが好ましいこともあろう。
【0054】
例示した実施形態は、外側デプスフィルターエレメント14を有する円筒形のカートリッジフィルターのアセンブリ10に関するものであるが、他の実施形態も想定される。例えば、本発明の教示内容を、平坦、シート状又は平面状製品に適応させてもよい。かかる平坦製品は、例えば円筒形カートリッジフィルターをその長さ方向に沿ってカットしてシートの材料を得ることによって製造し得る。
【0055】
実施例又は実施形態を用いて本発明を開示してきたが、本発明は、特許請求の範囲によって規定され、これら特定の実施例又は実施形態に限定されるものではない。