(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記1つ以上の出力信号は、前記自ら換気を行うべき対象者の呼吸1回分の換気量、呼吸速度、吸入時間、呼気時間、又は前記自ら換気を行うべき対象者の呼吸の流速のうちの1つ以上に関する情報を担っている、請求項1に記載のシステム。
前記1つ以上の出力信号は、前記自ら換気を行う対象者の胸部呼吸努力、及び/又は前記自ら換気を行う対象者の腹部呼吸努力のうちの双方又は一方に関する情報を担っている、請求項1に記載のシステム。
前記1つ以上の出力信号は、前記自ら換気を行うべき対象者の呼吸1回分の換気量、呼吸速度、吸入時間、呼気時間、又は前記自ら換気を行うべき対象者の呼吸の流速のうちの1つ以上に関する情報を担っている、請求項6に記載の作動方法。
前記1つ以上の出力信号は、前記自ら換気を行う対象者の胸部呼吸努力、及び/又は前記自ら換気を行う対象者の腹部呼吸努力のうちの双方又は一方に関する情報を担っている、請求項6に記載の作動方法。
【発明を実施するための形態】
【0006】
<概要>
本発明の1つ以上の実施の形態の課題は、検査により対象者の中枢性無呼吸症の診断を促すように形成されたシステムを提供することである。本システムは、呼吸キューを、自ら換気を行うべき対象者に与えるように形成された装置と、空気に関連付けられている1つ以上のパラメータに関する情報を担う1つ以上の出力信号を生成する1つ以上のセンサと、1つ以上の実行可能なプログラムモジュールとを有する。呼吸キューは、自ら換気を行うべき対象者が空気を呼吸することを促し、及び/又は1つ以上の呼吸パラメータを意識して又は意図的に変更する。コンピュータモジュールは、パラメータ決定モジュールと、制御モジュールと、イベントモジュールとを含んでもよい。パラメータ決定モジュールは、センサにより生成された出力信号から、第1の呼吸パラメータと第2の呼吸パラメータとを決定するように形成されている。制御モジュールは、第1及び/又は第2の呼吸パラメータを調整するように呼吸キューを調整する装置を制御するように形成されている。イベントモジュールは、呼吸キューを与えている間に第1及び/又は第2の呼吸パラメータに基づいて中枢性無呼吸が生じていることを検出するように形成されている。
【0007】
本発明の1つ以上の実施形態のうちの別の形態は、検査の最中に対象者の中枢性無呼吸症を診断するための方法を提供する。本方法は、自ら換気を行うべき対象者が空気を呼吸することを促す呼吸キューを与え、空気に関連付けられているパラメータに関する情報を担う出力信号を生成し、生成された出力信号から第1及び第2の呼吸パラメータを決定し、第1及び/又は第2の呼吸パラメータを調整するために呼吸キューを制御し、呼吸キューを与えている間に第1及び/又は第2の呼吸パラメータに基づいて中枢性無呼吸が生じていることを検出するステップを有する。
【0008】
本発明の1つ以上の実施形態のうちの更に別の形態は、検査の最中に対象者の中枢性無呼吸症を診断するように形成されたシステムを提供する。本システムは、自ら換気を行うべき対象者が空気を呼吸することを促す呼吸キューを、自ら換気を行うべき対象者に与える手段と、空気に関連付けられている1つ以上のパラメータに関する情報を担う1つ以上の出力信号を生成する手段と、生成された1つ以上の出力信号から、第1の呼吸パラメータと第2の呼吸パラメータとを決定する手段と、第1及び/又は第2の呼吸パラメータを調整するために呼吸キューを制御する手段と、呼吸キューを与えている間に第1及び/又は第2の呼吸パラメータに基づいて中枢性無呼吸が生じていることを検出する手段とを有する。
【0009】
本発明に関する上記及びその他の課題、特徴及び性質に加えて、動作方法、構造及び部分の組み合わせに関連する要素の機能、生産性又は経済性等は、本願の一部として含まれている添付図面と共に以下の詳細な説明及び特許請求の範囲を参照することで更に明確になるであろう。図中、同様な参照番号は対応する部分を示す。しかしながら、図面は例示の目的で示されているに過ぎず本発明を限定するようには意図されていない点に特に留意を要する。
【0010】
<詳細な説明>
本願で使用されているように、「或る」、「ある」、「該」、「当該」等の用語は、別段の定めがない限り、単数を示すだけでなく複数を示す場合もある。本願で使用されているように、2つ以上の部分又は要素が「結合され(coupled)」ているという記述は、部分同士が直接的又は間接的に(すなわち、リンクが存在している場合に、1つ以上の中継部分又は要素を介して)共につながっている又は動作していることを意味する。本願で使用されているように、「直接的に結合され(directly coupled)」されているとは、2つの要素が直接的に互いに接していることを意味する。本願で使用されているように、「固定的に結合されている(fixedly coupled)」又は「固定されている(fixed)」は互いに一定の方向を維持しながら一体的に動くように、2つの要素が結合されていることを意味する。
【0011】
本願で使用されているように、「単一の(unitary)」という用語は、要素が1つの部分又は単位として生成されていることを意味する。すなわち、別々に生成された後にユニットとして一緒に結合された複数の部分を含む要素は、「単一の」要素でも本体(又はボディ)でもない。本願で使用されているように、2つの部分又は要素が互いに「かみ合っている又は係合している(engaged)」という記述は、直接的に、又は1つ以上の中継部分又は要素を介して互いに力を作用させていることを意味する。本願で使用されているように、「数」は1又は1より大きな整数(すなわち、複数)を意味する。
【0012】
限定ではないが例えば、上、下、左、右、上方、下方、正面、背面等及びそれらの派生語のような本願で使用されている方向性の用語は、図示されている要素の方向に関連しているが、別段の断りがない限り、特許請求の範囲を限定しない。
【0013】
睡眠ポリグラフを利用することは、患者又は「対象者(subject)」の中枢性無呼吸症や同様な睡眠障害を診断するための一般的な方法である。睡眠グラフを利用することは、複雑な検査、長い検査時間、患者の不快感、コスト及び/又はその他のようないくつもの理由で有用ではない。中枢性無呼吸(又は中枢性無呼吸症又は中枢性無呼吸症候群)は、チェーンストークス呼吸、周期性呼吸及び/又はその他の呼吸障害を含む呼吸障害に関する包括的な用語である。
【0014】
図1は、検査を行って対象者の中枢性無呼吸症の診断を促すように形成されたシステム100を概略的に示す。特に、システム100は、対象者106に呼吸キュー(breathing cue)を与え、比較的短時間の検査の間に対象者106がどの程度適切に呼吸キューに従っているかを監視し、1つ以上の呼吸パラメータに基づいて検査の間に中枢性無呼吸の出現を検出し、監視及び検出した情報を分析することで中枢性無呼吸症の診断を支援する。検査の時間は、8時間以上かかる場合がある一晩中の睡眠ポリグラフや睡眠検査と比較して短い。一実施形態において、システム100は、1つ以上のプロセッサ110、呼吸キュー装置140、センサ142、電子ストレージ130、ユーザインタフェース120、対象者インタフェース180、及び/又はその他の要素を有する。
【0015】
呼吸キュー装置140は、例えば対象者インタフェース180等を介して対象者106の気道(airway)に、呼吸可能な空気の圧縮流を提供する圧力生成部又は陽性気道圧若しくは気道陽圧(positive airway pressure:PAP)装置と共に一体化、結合又は接続されてもよい。対象者106は自己換気又は自ら換気を行っており(self-ventilating)、本明細書を通じてそのように言及される。本願で使用されているように、自己換気は、呼吸キューの存在或いは圧力的な支援なしに、彼又は彼女が自ら息を吸う及び/又は息を吐くことを開始する対象者に関連する。呼吸キュー装置140は、患者が呼吸活動を行うことを促す呼吸キューを対象者106に与えるように形成され、呼吸活動は、例えば、息を吸い始めること、息を吐き始めること、及び/又は他の呼吸活動を行うこと等である。呼吸キュー装置に関する上記の機能を実現する方法(呼吸支援法(paced breathing(BB) method))の一例は、2007年8月9日付けで出願された米国特許出願番号第11/836292号(米国特許第7556038号)(特許文献1)に開示されており、その内容全体は本願のリファレンスに組み入れられる。
【0016】
一実施形態において、患者が息を吸う又は息を吐くことを促す呼吸キューは、(多段階又はマルチレベル)PAP装置の高い及び低い陽圧(higher and lower positive pressure)としてそれぞれ実現される。例えば、患者106の息を吸うこと(又は吸入)を促すために、呼吸可能な空気を圧縮した流体圧力が、吸気気道陽圧(Inspiratory Positive Air Pressure:IPAP)まで増加されてもよい。同様に、患者が息を吐くこと(呼気)を促すために、呼吸可能な空気を圧縮した流体圧力が、吐気気道陽圧(Expiratory Positive Air Pressure:EPAP)まで減少されてもよい。呼吸可能な空気の圧縮流体の流れにより、呼吸キューを提供する他の方法も本願において想定されている。呼吸可能な空気の圧縮流体の1つ以上のガスパラメータが、対象者106の呼吸治療計画(therapeutic respiratory regimen)に従って制御されるように、PAP装置は形成されていてもよい。1つ以上のガスパラメータは、例えば、流れ、流量、圧力、湿度、速度、加速度及び/又はその他のパラメータのうちの1つ以上を含んでいてもよい。一実施形態において、対象者が自発的に呼気を実行するタイプの治療、装置が陰圧(negative pressure)を提供するタイプの治療等を含む換気以外のタイプの治療を行うように、呼吸キュー装置140は形成されている。
【0017】
一実施形態において、呼吸キューは、1つ以上の呼吸活動が行われるべきこと、1つ以上のイベントが生じたこと(又は生じるであろうこと)、及び/又はその他の情報を示す感覚的又は知覚的な指示(indication)であってもよい。呼吸キューは、聴覚的な指示、視覚的な指示、触覚的な指示、及び/又はその他の指示のうちの1つ以上を含んでもよい。指示又は指標は、聴覚的な指示、視覚的な指示、触覚的な指示及び/又はその他の指示が複数個存在するシーケンス又は一連の指示を含んでもよい。聴覚的な指示は、聴覚的な音であってもよい。視覚的な指示は、先行する光であってもよい。触覚的な指示は、振動であってもよい。
【0018】
呼吸可能な空気又は気体の圧縮流体は、対象者インタフェース180により呼吸キュー装置140から対象者106の気道へ運ばれる。対象者インタフェース180は導管182及び/又は対象者インタフェース器具184を含んでいてもよい。導管182は、柔軟性のある長いホース、パイプその他の導管であってもよく、呼吸キュー装置140との流体連結の際に対象者インタフェース器具180を設ける。導管182は或る流体経路を形成し、その流体経路を通じて、呼吸可能な圧縮された空気が対象者インタフェース器具184と呼吸キュー装置140との間を流れる。
【0019】
対象者インタフェース器具184は、呼吸可能な圧縮された空気の流れを対象者106の気道に与えるように形成されてもよい。対象者インタフェース器具184はこの機能に適した何らかの器具を含む。一実施形態において、呼吸キュー装置140は専用の換気装置(ventilation device)であり、対象者インタフェース器具184は、患者に対する呼吸治療を行うために使用される他のインタフェース器具と取り外し可能に結合される。例えば、対象者インタフェース器具184は、気管内にある管、気管切開ポータル(tracheotomy portal)及び/又はその他のインタフェース器具に挿入されている及び/又はそれらに関与するように形成されてもよい。一実施形態において、対象者インタフェース器具184は、介在する器具なしに、対象者の気道に結合するように形成されている。本実施形態において、対象者インタフェース器具184は、気管内の管、鼻カニュラ(nasal cannula)、気管切開管、鼻/口マスク、顔面マスク、顔全体のマスク、部分再呼吸マスク(partial rebreathing mask)、又はその他のインタフェース器具のうちの1つ以上を含んでいてもよく、その他のインタフェース器具は空気の流れを対象者の気道に連結する。本願による開示内容はこれらの具体例に限定されず、何らかの対象者インタフェースを用いて呼吸可能な圧縮された空気の流れを対象者106に与えることも想定している。
【0020】
システム100は情報を電子的に保存する電子記憶媒体を含む電子ストレージ130を含んでもよい。電子ストレージ130の電子記憶媒体は、システム100に一体的に設けられた(実質的に取り外しできない)システムストレージと、例えばポート(例えば、USBポート、ファイヤワイヤポート等)又はドライブ(例えば、ディスクドライブ等)を介してシステム100に取り外し可能に接続された着脱可能ストレージとの双方又は一方を含んでもよい。電子ストレージ130は、光学的に読み取ることが可能な記憶媒体(例えば、光ディスク等)、時期的に読み取ることが可能な記憶媒体(例えば、磁気テープ、磁気ハードドライブ、フロップドライブ等)、電子的な電荷による記憶媒体(例えば、EEPROM、RAM等)、ソリッドステート記憶媒体(例えば、フラッシュドライブ等)、及び/又はその他の電子的に読み取ることが可能な記憶媒体等を含んでもよい。電子ストレージ130は、ソフトウェアアルゴリズム、プロセッサ110により決定された情報、ユーザインタフェース120を介して受信した情報、及び/又はシステム100が適切に機能を発揮できるようにする情報等を保存してもよい。例えば、電子ストレージ130は、(本願の他の箇所で説明されているような)1つ以上のパラメータ、検査の際に自ら換気を行うべき対象者が与えられた呼吸キューに適切に従っているか否かを示す情報、中枢性無呼吸であるか否かを示す情報、及び/又はその他の情報を記録又は保存していてもよい。電子ストレージ130はシステム100の中の個別的な素子であってもよいし、或いは電子ストレージ130は(例えば、プロセッサ110のような)システム100の1つ以上の他の要素と一体的に設けられていてもよい。
【0021】
システム100はシステム100とユーザ(例えば、ユーザ108、対象者106、介護人、治療判断者等)との間のインタフェースを提供するように形成されたユーザインタフェース120を含み、ユーザインタフェースにより、ユーザはシステム100に情報を提供することが可能でありかつシステム100から情報を受け取ることが可能である。これは、情報(データ、結果、及び/又は命令、指示、並びに通信されるその他の任意の情報)をユーザとシステム100との間で送受信できるようにする。対象者106に与えられる情報の具体例は、呼吸キュー、又は呼吸キューに実質的に一致する呼吸キューに関連する指示等である。呼吸キューに関連する情報は、例えば、呼気の開始を示す指示、呼気の終了を示す指示、吸気の開始を示す指示、吸気の終了を示す指示、より速く呼吸することを示す指示、より遅く呼吸することを示す指示、流量の増加を示す指示、流量の減少を示す指示、呼吸の停止を示す指示、及び/又は1つ以上の呼吸パラメータを意図的に変える他の指示等である。ユーザインタフェース120に包含されるのに適したインタフェース装置の具体例は、キーパッド、ボタン、スイッチ、キーボード、ノブ、レバー、表示スクリーン、タッチスクリーン、スピーカ、マイクロフォン、インジケータライト、可聴アラーム、プリンタ等を含む。呼吸キューに関連する情報は、例えば、可聴信号、可視的信号、触覚的信号、及び/又は他の知覚信号の形式でユーザインタフェース120により対象者106に与えられてもよい。
【0022】
非限定的な例として、ユーザインタフェース120は光を放射することが可能な放射源を含んでいてもよい。放射源は、例えば、少なくとも1つのLED、少なくとも1つの電球、表示スクリーン及び/又はその他のソースのうちの1つ以上を含んでいてもよい。ユーザインタフェース120は、呼吸可能な圧縮された空気の流れにより対象者106に提供される呼吸キューに関する情報を対象者106に与えるやり方で発光するように放射源を制御する。例えば、呼吸キューが対象者106の吸気を促す場合に放射源が発光し、呼吸キューが対象者106の呼気を促す場合に放射源が発光を停止する又は異なる色の光を発光してもよい。放射源から発光した光の強度は、呼吸キューが呼吸の際に対象者106が生成することを促している流量を対象者106に通知してもよい。システム100のユーザ及び対象者が1人の同じ人物であってもよいことに留意を要する。
【0023】
有線又は無線による他の通信技術もユーザインタフェース120として想定されていることが理解されるべきである。例えば、一実施形態において、ユーザインタフェース120は電子ストレージ130に設けられる着脱可能なストレージインタフェースと統合されていてもよい。この例の場合、着脱可能なストレージ(例えば、スマートカード、フラッシュドライブ、取り外し可能なディスク等)から情報がシステム100にロードされ、ユーザがシステム100の実現手段をカスタム化できるようにする。ユーザインタフェース120としてシステム100と共に使用するのに適した他の例示的な入力装置及び技術は、例えば、RS-232、RFリンク、IPリンク、モデム(電話機、ケーブル、イーサーネット、インターネット又はそれ以外)等であるがこれらに限定されない。要するに、システム100と情報を通信する任意の技術がユーザインタフェースとして想定されている。
【0024】
流量、圧力、湿度、速度、加速度及び/又はその他の呼吸パラメータのうちの1つ以上を含む呼吸パラメータに関する測定値が含まれる1つ以上の出力信号を生成するように、センサ142は形成されている。出力信号は、胸部呼吸努力(thoracic respiratory effort)、腹部呼吸努力(abdominal respiratory effect)及び/又はその他の呼吸努力パラメータに関する測定値を含んでいてもよい。これらの呼吸パラメータ及び/又は呼吸努力パラメータに基づいて、パラメータ決定モジュール111(及び/又はシステム100の他の要素)は1つ以上の呼吸パラメータを判定するように形成され、1つ以上の呼吸パラメータは、例えば、(1回の)換気量、呼吸速度、呼吸時間、吸気時間又は吸気期間、呼気時間又は呼気期間、ピーク流量、流速、呼吸流量曲線の形状、吸気から呼気までの遷移時間、呼気から吸気までの遷移時間、吸気流速のピークから呼気流速のピークまでの遷移時間、呼気流速のピークから吸気流速のピークまでの遷移時間、及び/又はその他の呼吸パラメータを含んでもよい。例えば、胸部呼吸努力センサが対象者の胸部に動作可能に接続されかついわゆるエフォートベルト(effort belt)を有する。代替的に及び/又は同時に、腹部呼吸努力センサは、対象者の腹部に動作可能に接続されいわゆるエフォートベルトを有する。センサ142は導管182及び/又は対象者インタフェース器具184と流体連結(fluid communication)していてもよい。
【0025】
図1において1つの部材を含むように示されているセンサ142は限定を意図しているわけではない。一実施形態において、対象者106が呼吸する空気、対象者106に与えられる空気の量、及び/又は対象者の呼吸努力に関するパラメータ関連情報を担う出力信号を生成することで、センサ142は上述したように動作する複数のセンサを含む。例えば、ロータ回転速度、モータ回転速度、送風速度、ファン回転速度等のような呼吸キュー装置140(又は呼吸キュー装置が一体化、統合化、結合又は接続されている装置)の要素による力学的測定単位や、予め知られている/校正された数学的関係式により事前に列挙された何らかの呼吸パラメータの代用物として提供する関連する力学的測定単位に関連していてもよい。センサ142からの結果の信号又は情報は、プロセッサ110、ユーザインタフェース120及び/又は電子ストレージ130に送信されてもよい。この送信は有線及び/又は無線で実行することができる。
【0026】
プロセッサ110はシステム100における情報処理能力を提供するように形成されている。すなわち、プロセッサ110は、ディジタルプロセッサ、アナログプロセッサ、情報を処理するように設計されたディジタル回路、情報を処理するように設計されたアナログ回路、状態マシン、及び/又は情報を電子的に処理するその他の手段のうちの1つ以上を含む。プロセッサ110は
図1において単独の要素又は手段として示されているが、これは単なる説明のためであるに過ぎない。一実施形態ではプロセッサ110は複数の処理ユニットを含む。
【0027】
図1に示されているように、プロセッサ110は1つ又は複数のコンピュータプログラムモジュールを実行するように形成されている。1つ以上のコンピュータプログラムモジュールは、パラメータ決定モジュール111、制御モジュール112、イベントモジュール113、コンプライアンスモジュール114、品質確認モジュール115及び/又はその他のモジュールのうちの1つ以上を含む。ソフトウェア;ハードウェア;ファームウェア;ソフトウェア、ハードウェア、及び/又はファームウェアの何らかの組み合わせ;及び/又はプロセッサ110上で処理能力を発揮するその他の手段により、プロセッサ110はモジュール111、112、113、114及び115を実行するように形成されていてもよい。
【0028】
モジュール111、112、113、114及び115は
図1において単独の処理ユニットの中に共存しているように描かれているが、プロセッサ110が複数の処理ユニットを含んでいる実施の形態の場合、モジュール111、112、113、114及び/又は115のうちの1つ以上が他のモジュールから離れて位置していてもよいことが理解されるべきである。以下に説明するように、様々なモジュール111、112、113、114及び/又は115により提供される機能の説明は、説明を意図しているに過ぎず、限定することを意図してはおらず、モジュール111、112、113、114及び/又は115のうちの何れも説明された機能より多い又は少ない機能を発揮してもよい。例えば、モジュール111、112、113、114及び/又は115のうちの1つ以上が削除されてもよいし、それらの機能の全部又は一部がモジュール111、112、113、114及び/又は115のうちの他のものにより発揮されてもよい。プロセッサ10は、以下のモジュール111、112、113、114及び/又は115のうちの何れかに属する機能の全部又は一部を実行する1つ以上の追加的なモジュールを実行するように形成されていてもよいことに留意を要する。
【0029】
パラメータ決定モジュール111は、センサ142により生成された出力信号から1つ以上の呼吸パラメータを判別するように形成されている。1つ以上の呼吸パラメータは、第1の呼吸パラメータ、第2の呼吸パラメータ、及び/又はその他のパラメータを含んでいてもよい。呼吸パラメータは、呼吸可能な圧縮された空気の流れに関する1つ以上のガスパラメータから導出される呼吸のパラメータを含んでいてもよい。そのような(ガス)パラメータは、自ら換気を行うべき対象者の呼吸の1回の換気量、呼吸速度、吸気時間、呼気時間、自ら換気を行う対象者が行う呼吸の流速、及び/又は他の呼吸パラメータのうちの1つ以上を含んでいてもよい。呼吸パラメータは、流量(流量のピーク)、圧力、温度、湿度、速度、加速度、気体の組成(例えば、1つ以上の構成物質の濃度)、散逸する温度エネルギ、及び/又は呼吸可能な圧縮された空気の流れのその他のガスパラメータのうちの1つ以上の測定値に関連する及び/又はそれらの測定値から導出されてもよい。呼吸パラメータは、呼吸サイクルにおける特定のタイミング又は検査の期間内での特定のタイミングに関連していてもよい。例えば、終末圧(end pressure)は、対象者の気道付近の流れが最小になった場合である呼気の最後に測定されてもよい。更に、呼吸パラメータは対象者106の呼吸努力を示していてもよい。これは、自ら換気を行うべき対象者の胸部呼吸努力、腹部呼吸努力、及び/又は呼吸努力を示す他のパラメータのうちの1つ以上を含んでいてもよい。一実施形態において、呼吸パラメータは、別の呼吸パラメータを生成するのに使用されるように類似する測定値に関連していてもよい及び/又はそれらの測定値から導出されてもよく、類似する測定値は、呼吸サイクルのうちの特定の異なるタイミング又は検査期間のうちの特定の異なるタイミングを用いて測定されている。例えば、第1の呼吸パラメータ及び第2の呼吸パラメータの双方が呼気の期間を示していてもよい。別の例として、第1の呼吸パラメータ及び第2の呼吸パラメータの双方が胸部呼吸努力を示していてもよい。
【0030】
制御モジュール112は呼吸キューを対象者106に与える呼吸キュー装置140を制御するように形成されている。従って、制御モジュール112は、呼吸キューのタイミング、種類、タイプ、大きさ、強さ及び/又はその他の属性を、治療法に従って制御し、対象者106の呼吸に関する1つ以上のパラメータを調整する。そのようなパラメータはパラメータ決定モジュール111により決定された第1の呼吸パラメータを含んでもよい。第1の呼吸パラメータの判断は、対象者106に与えられるべき呼吸キューを制御モジュール112がフィードバック方式で決定する際に使用されてもよい。例えば、呼吸キューの速度又はレートを増やすことで、対象者106の呼吸速度が上昇する。別の例として、呼吸キューの速度又はレートを増やすことで、胸部呼吸努力を示す信号のレート又は頻度が増やされる。
【0031】
吸気を促すようにIPAPの圧力を上昇させかつ呼気を促すようにEPAPの低下を、呼吸キューが示している実施の形態では、制御モジュール112はIPAP及びEPAPの適切なレベルを決定する。この決定は、1つ以上のユーザが設定できる設定値に基づいていてもよいし、対象者106の自発呼吸の際に取得された測定値、呼吸キューに対する対象者の応答、及び/又はその他のパラメータ等に基づいていてもよい。制御モジュール112は、(本願で説明されている1つ以上の基礎に基づいて)IPAP及びEPAPの間の圧力差を調整するように形成されていてもよい。圧力差は、3cm-H
2O未満、4cm-H
2O未満、5cm-H
2O未満、6cm-H
2O未満、1cm-H
2O以上、2cm-H
2O以上、2ないし6cm-H
2Oの間、1ないし5cm-H
2Oの間、及び/又は圧力差の他の最小値、圧力差の他の最大値、又は他の範囲内の圧力差であってもよい。本願で使用される圧力単位は、PAP装置の動作に関連して一般的に使用されているcm-H
2Oに限定されないことが認められるであろう。
【0032】
イベントモジュール113は、呼吸キュー装置140から呼吸キューが与えられている場合に、パラメータ決定モジュール111により決定された呼吸パラメータに基づいて、中枢性無呼吸症が生じていることを検出する(又は、生じているか否かを判断する)ように形成されている。例えば、イベントモジュール113は、(例えば、胸部呼吸努力及び/又は腹部呼吸努力である)呼吸努力がなされていないこと(又はなされていたとしても著しく低いレベルであること)を検出することができる。この努力の欠落は1回分の換気量(及び/又は他の呼吸パラメータ)の顕著な減少に付随して生じる。別の例として、イベントモジュール113は、1回分の換気量、呼気の期間、及び/又は他の(ガス)パラメータを監視、測定及び/又は分析することで、呼吸の停止が生じたか否かを判断することができる。そのような検出は検査途中における中枢性無呼吸が生じていることを示しているかもしれない。検査期間中の中枢性無呼吸が生じていることは、中枢性睡眠時無呼吸症の診断の要件である。
【0033】
コンプライアンスモジュール114は、自ら換気を行うべき対象者が呼吸キュー装置140から与えられる呼吸キューに適切に応じているか否かを判断するように形成されている。例えば、コンプライアンスモジュール114は、呼吸キュー装置140からの呼吸キュー(のタイミング)と呼吸タイミングの測定値(例えば、吸気開始のタイミング、呼気開始のタイミング、呼吸速度、及び/又は呼吸タイミングを示す他のパラメータ)とを比較し、検査の少なくとも一部において対象者106が呼吸キューに適切に従っているか否かを判断する。対象者106は、中枢性無呼吸が生じている場合は呼吸キューに従わないことが認められ、コンプライアンスモジュール114は対象者が自発的に呼吸してはいるが呼吸キューに従っていないことを検出するように形成されている。呼吸キューとの適合性は中枢性睡眠時無呼吸症の診断の要件である。
【0034】
品質確認モジュール115は、検査が一群の品質方針(又は指針又はガイドライン)に従って実行されたか否かを確認するように形成されている。一群の品質方針は、検査の最短時間、検査中に対象者106が適切に(仰向けに)位置していること、流れるガスの漏洩レベルが所定の許容漏洩値の範囲内にあること、圧力の高レベル及び低レベル間の差分が本願で説明されている検査について許容可能な差分の所定レベルの範囲内にあること、及び/又はその他の品質ガイドラインを含んでいてもよい。検査時間は10分、15分、20分、20分以上、及び/又は他の期間であってもよい。8時間より短い如何なる検査時間も、一晩中の睡眠ポリグラフや睡眠検査と比較すれば短い。本願で説明される本方法は、対象者が起きている場合(覚醒状態である場合)、睡眠開始時、睡眠中、又はそれらの状態の1つ以上の時点で実行されてよい。
【0035】
図2は、検査を行って対象者の中枢性無呼吸症を診断するための方法200を示す。これは以下に説明される本方法200の動作を示すように意図されている。一実施形態において、方法200は、説明されていない1つ以上の追加的な処理と共に、及び/又は説明される1つ以上の処理を行わずに実行されてもよい。更に、
図2に示されている及び以下で説明される方法200の手順の順序は、限定するようには意図されていない(すなわち、必須ではない)。
【0036】
一実施形態において、方法200は1つ以上の処理装置(例えば、ディジタルプロセッサ、アナログプロセッサ、情報を処理するように設計されたディジタル回路、情報を処理するように設計されたアナログ回路、状態マシン、及び/又は情報を電子的に処理する他の手段)で実行されてもよい。1つ以上の処理装置は電子記憶手段に電子的に保存されている命令に応答して方法200の処理のうちの全部又は一部を実行する1つ以上の装置を含んでいてもよい。1つ以上の処理装置は、方法200の処理のうちの1つ以上を実行するように具体的に設計されたソフトウェア、ファームウェア及び/又はハードウェアにより形成された1つ以上の装置を含んでいてもよい。
【0037】
処理202において、自ら換気を行う対象者が(空気を)呼吸することを促す呼吸キューが、自ら換気を行う対象者に与えられる。一実施形態において、処理202は(
図1に関連して説明した)呼吸キュー装置140と類似する又は実質的に同一である呼吸キュー装置により実行される。
【0038】
処理204において、空気に関連付けられている1つ以上のパラメータに関する情報が含まれている1つ以上の出力信号が生成される。一実施形態において、処理204は(
図1に関連して説明した)センサ142と類似する又は実質的に同一である1つ以上のセンサにより実行されてもよい。
【0039】
処理206において、第1の呼吸パラメータ及び第2の呼吸パラメータが、生成された1つ以上の出力信号から決定される。一実施形態において、処理206は、(
図1を参照しながら説明した)センサ142に類似する又は実質的に同じである1つ以上のセンサと共に動作する(
図1を参照しながら説明した)パラメータ決定モジュール111に類似する又は実質的に同一であるパラメータ決定モジュールにより実行される。
【0040】
処理208において、呼吸キューは第1の呼吸パラメータを調整するように規制又は制御される。一実施形態において、処理208は、(
図1を参照しながら説明した)パラメータ決定モジュール111と類似する又は実質的に同一であるパラメータ決定モジュールと共に動作する(
図1を参照しながら説明した)制御モジュール112と類似する又は実質的に同一である制御モジュールにより実行される。
【0041】
処理210において、自ら換気を行う対象者に呼吸キューを与えている最中に、第2の呼吸パラメータに基づいて中枢性無呼吸が生じていることが検出される(生じているか否かが判断される)。一実施形態において、処理210は、(
図1を参照しながら説明した)パラメータ決定モジュール111と類似する又は実質的に同一であるパラメータ決定モジュールと共に動作する(
図1を参照しながら説明した)イベントモジュール113と類似する又は実質的に同一であるイベントモジュールにより実行される。例えば、第1の呼吸パラメータと、第2の呼吸パラメータと、自ら換気を行う対象者が検査の最中に与えられる呼吸キューに適切に対応しているか否かを示す情報と、中枢性無呼吸が生じているか否かを示す情報と、必要に応じて他の情報とを組み合わせることで、比較的短時間の検査により、自ら換気を行う対象者の中枢性睡眠時無呼吸症を診断するために方法200が使用されてもよい。
【0042】
特許請求の範囲において、カッコ内に示された如何なる参照符号も(存在する場合)、請求項を限定するように解釈してはならない。「有する」又は「含む」という言葉は請求項に列挙されたもの以外の要素やステップが存在することを排除していない。幾つかの手段を有する装置の請求項において、それらの手段のいくつかが1つの同じハードウェアにより実現されてもよい。「或る」又は「ある」という要素に先行する言葉はそのような要素が複数個存在することを排除していない。いくつかの手段を有する任意の装置の請求項において、それらの手段のいくつが1つの同じハードウェアにより実現されてもよい。ある複数の要素が相異なる従属請求項で引用されているというただそれだけでは、それらの要素が組み合わせて使用できないことを意味しない。
【0043】
最も実用的かつ好適であると現在のところ考えられている実施の形態に基づいて本発明が説明を意図して詳細に説明されてきたが、そのような詳細な事項は専ら説明のためであるに過ぎず、本発明は説明された実施の形態に限定されず、むしろ本発明は添付の特許請求の範囲の精神及び範囲内に属する変形例及び均等的な手段を包含するように意図されていることが、理解されるべきである。例えば、本発明において、ある任意の実施の形態の1つ以上の特徴を他の任意の実施の形態の1つ以上の特徴と可能な限り組み合わせることが可能である点が、理解されるべきである。