(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施形態について図面を用いて説明する。
図1は、秤装置1の外観を示す斜視図である。
図2は、秤装置1の構成を示す断面図である。秤装置1は、まず
図1に示すように、本体2、上皿3、操作表示パネル4、および客用パネル5を備えている。また、秤装置1は、
図2に示すように、概ね直方体の箱状をなす本体2内に、ロードセルユニット6および制御部7を備えている。
【0010】
上皿3は、略水平に設置され、計量対象が載せられる台である。上皿3にかかる荷重は、ロードセルユニット6が備えるロードセル61に、伝えられる。ロードセル61は、上皿3にかかる荷重を受けて、荷重に応じた信号を出力する。該出力に基づいて、制御部7は、荷重の値を算出する。
【0011】
操作表示パネル4は、操作部41および表示部42を有する。操作部41は、例えばキーボードである。表示部42は、例えば液晶パネルである。操作表示パネル4は、操作部41により店員による操作を受け付けるとともに、表示部42により店員を対象とした各種情報を表示する。
【0012】
客用パネル5は、操作部および表示部(いずれも不図示)を有する。操作部は、例えばキーボードである。表示部は、例えば液晶パネルである。客用パネル5は、操作部により客による操作を受け付けるとともに、表示部により客を対象とした各種情報を表示する。なお、客用パネル5は、操作部を有しない表示専用のものであってもよい。
【0013】
図3は、本体2が備えるフレーム21の外観を示す斜視図である。フレーム21は、本体2の骨組であって、基部となる部材である。フレーム21は、枠状の土台211、該土台211に立てられた柱212、および、該柱212の上に固定された平板状の天板213、により構成される。天板213は、上皿3の直下に位置する。本体2は、フレーム21に側壁22(
図1参照)などの部材を固定して構成される。
【0014】
図4は、ロードセルユニット6の構成を示す断面図である。ロードセルユニット6は、ロードセル61、被制限部62、下側制限部63、上側制限部64、過荷重調節部65、および逆さ落下衝撃調節部66を備えている。
【0015】
ロードセル61は、ビーム型、シングルポイント型などと呼ばれるものであって、横長のブロックの中央部に孔を有する形状をなし、一端側に固定部611を、他端側に可動部612を有し、さらに、不図示のひずみゲージを有している。
【0016】
固定部611は、フレーム21の天板213の下面に、螺子止めにより固定されている。ここで、天板213の上面には、補強板23が取り付けられている。補強板23は、長方形の板金であって、天板213を上面から補強している。固定部611は、補強板23の上面側から差し込まれる螺子24と螺合する。
【0017】
可動部612は、上皿3にかかる荷重を受ける箇所である。ひずみゲージは、ロードセル61の荷重に応じて変形する部分に貼付されていて、変形すると抵抗値が変化する。ロードセル61は、ひずみゲージの抵抗値の変化に応じた信号を出力する。
【0018】
被制限部62は、可動部612の上面に固定された板金である。被制限部62は、可動部612の端から概ね水平方向に延出している。
【0019】
下側制限部63は、Z曲げ(あるいは段曲げ)と呼ばれる加工が施された曲げ板金67の一端部であって、被制限部62の下面に所定の隙間を介して対向する。曲げ板金67の他端部は、フレーム21の下面に固定されている。
【0020】
上側制限部64は、フレーム21の、被制限部62の上面に対向する部分であって、被制限部62の上面に所定の隙間を介して対向する。
【0021】
過荷重調節部65は、雄螺子であって、被制限部62に形成された雌螺子と螺合する。
【0022】
逆さ落下衝撃調節部66は、雄螺子であって、上側制限部64に形成された雌螺子と螺合する。
【0023】
可動部612には、上皿3が間接的に連結されている。可動部612と上皿3との間には、ブロック31(被制限部材)、皿受けフレーム32、および皿受けゴム33が配されている。
【0024】
ブロック31は、可動部612の上面に螺子止めによって着脱自在に取り付けられている。このブロック31は、
図3に示すようにフレーム21が有する孔21aと干渉し、可動部612の横移動範囲を制限する。
【0025】
図5は、ブロック31の外観を示す斜視図である。ブロック31は、可動部612に、
図6および
図7に示す二つの向きに取付可能である。
図6は、ロードセル61の横位置調整時におけるブロック31の向きを示す平面図である。
図7は、ロードセル61の稼働時におけるブロック31の向きを示す平面図である。
【0026】
ブロック31は、概ね直方体をなし、側面に、互いに平行で対をなす平面31a,31bを有している。ブロック31は、平面31aの一部に、突起311を有している。突起311の頂部は、平面31aに平行な平面311aである。
【0027】
孔21aは、天板213および補強板23に形成されている。孔21aは、概ね四角形であって、ブロック31の側面を少し離れて囲む。孔21aの縁のうち、ロードセル61の長手方向に沿う直線状の2辺81,82は、平面31a,31bに対向し、制限部80として機能する。そして、孔21aが形成された天板213および補強板23は、ともに、制限部材8として機能する。制限部材8は、制限部80を有し、フレーム21に対して固定的に設けられたものである。制限部80は、可動部612に取り付けられたブロック31を側方から挟む一対のものであって、ブロック31の横移動範囲を制限する。
【0028】
ロードセル61の稼動時(
図7参照)、辺81,82(制限部80、孔21aの縁の一部)と平面31a,31bとの間には、所定寸法dの隙間gが設けられる。所定寸法dは、ロードセル61が許容できる横衝撃に応じて定められる。つまり、所定寸法dは、可動部612に許容される横方向の移動量の最大値である。
【0029】
突起311は、所定寸法dだけ(つまり隙間g分だけ)、平面31aから突出している。そして、制限部80の一方である辺81には、ロードセル61の稼動時において突起311に対応する位置に、窪み83を有している。窪み83は、該窪み83の縁が、突起311に干渉しない程度の深さを有している。
【0030】
皿受けフレーム32は、ブロック31の上に、概ね水平に保たれるよう固定されている。上皿3は、皿受けフレーム32の上を覆う。皿受けゴム33は、皿受けフレーム32と上皿3との間の複数個所に配されている。
【0031】
このような構成において、秤装置1は、上皿3に計量対象が載せられると、上皿3、皿受けフレーム32、皿受けゴム33、ブロック31を介して、可動部612が荷重を受ける。すると、荷重によるひずみゲージの変形に応じた信号をロードセル61が制御部7へと出力する。そして、制御部7が、ロードセル61からの出力に基づいて、荷重の値を算出する。
【0032】
ブロック31(被制限部材)と、制限部80(孔21aの縁のうちの辺81,82)を有する制限部材8(天板213および補強板23)は、ロードセル61への横衝撃を緩和する。
図7に示す稼働状態とするために、稼働前に行うロードセル61の調整について、以下に説明する。
【0033】
まず、ロードセル61の横位置調整を行う。はじめに、固定部611を、螺子24によって、フレーム21の天板213および補強板23に、仮止めする。続いて、可動部612に、ブロック31を取り付ける。このとき、ブロック31は、
図6に示すように、突起311が、辺82に接する向きに取り付けられる。そして、平面311aを辺82に接触させた状態で、固定部611を、螺子24によって固定する。
【0034】
次に、ブロック31を、可動部612から取り外し、平面視において180°回転させて突起311が窪み83内に位置する向きにして、取り付けなおす。これにより、
図7に示すように、ブロック31の平面31a,31bが辺81,82と隙間gを介して対向する状態を作ることができる。
【0035】
過荷重調節部65は、ロードセル61が、計量状態で過剰な荷重を受けることを防止する。過剰とする荷重の制限値の調節は、過荷重調節部65と被制限部62との螺合位置を変更することによって、行われる。
【0036】
可動部612が荷重を受けて下方へ移動すると、過荷重調節部65も下方へ移動する。過荷重調節部65は、下端が下側制限部63の上面に到達すると、それ以上移動できなくなる。これにより、可動部612の移動が制限されて、ロードセル61が過剰な荷重を受けることが防止される。
【0037】
逆さ落下衝撃調節部66は、秤装置1が逆さ落下した場合に、ロードセル61が、計量時とは逆方向の過剰な荷重を受けることを防止する。過剰とする荷重の制限値の調節は、逆さ落下衝撃調節部66と上側制限部64との螺合位置を変更することによって、行われる。
【0038】
秤装置1が逆さ落下による衝撃を受けると、可動部612は、
図4中における上方へ移動する。被制限部62は、上面が逆さ落下衝撃調節部66の下端に到達すると、それ以上移動できなくなる。これにより、可動部612の移動が制限されて、ロードセル61が計量時とは逆方向の過剰な荷重を受けることが防止される。
【0039】
このように、本実施形態によれば、横方向の衝撃からロードセル61を保護する部材の形状および取り付け方を工夫したことによって、従来の煩雑な調整作業を簡素化することができる。これにより、ロードセル61の調整にかかる時間を減らすことができる。
【0040】
さらに、突起311の頂部が平面311aであって、制限部80を構成する辺82が直線状であるので、例えば頂部が曲線状で辺82が直線状であるような場合に比して、調整にあたってブロック31の位置を合わせやすい。
【0041】
また、過荷重および逆さ落下衝撃からロードセル61を保護するストッパーの設置位置をまとめ、構成部品を整理し、共通化したことにより、部品点数を減らすことができ、また、設置範囲を狭めることができ、延いては秤装置1を小型化することができる。つまり、本実施形態により、省スペース化が可能となる。
【0042】
なお、上記実施形態では、孔21aの縁の一部を制限部80として機能させたが、実施にあたってはこれに限らず、ブロック31を側方から挟む一対のものであって、各々が平面31a,31bに所定寸法dの隙間gを介して対向するものであれば、上記実施形態と同様の制限部80として機能させることができる。
【0043】
また、上記実施形態では、被制限部62と可動部612とを別部材としたが、実施にあたっては、例えば可動部612の所定箇所を被制限部とするなど、被制限部が可動部612と同一部材であってもよい。
【0044】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。