(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
非常用電源は、停電に対する保護手段を提供するために様々な用途や工業において重要な装置として知られている。近い将来において電力会社電力網の故障が多発するようになると、信頼性があり且つ長持ちする非常用電源が益々必要になると認められる。すなわち、嵐(落雷、風、倒木、氷雪など)の数及び酷さ、地方の経年劣化する電力会社の送電及び配電用構成要素の過負荷、並びに起こり得るテロの脅威に起因して、電力会社電力網の故障の可能性が増大する。
【0003】
このような非常用電力を供給するための様々な種類の装置が知られている。ガソリン、ディーゼル、プロパン又は他の燃料を用いる補助又は非常用発電機のような装置が、典型的には、非常用電力を供給するために切換えスイッチを介して家庭内の電気回路の一部に接続される。別の非常用電源は無停電電源装置(UPS)である。UPSは場合によっては発電機よりも好ましい。と云うのは、ある種の機器にとって望ましいような一時的な停電の際の瞬時の保護を行えない補助電源装置又は予備発電機に比べて、UPSは、電力会社から電力が利用できないときに別個の電源から電力を供給することによって、接続された機器に電力の継続的な供給を維持する。例えば、UPSは、典型的には、予期しない停電により深刻な業務の混乱又はデータ損失が惹起され、或いは他の重大な結果が引き起こされる虞のあるようなコンピュータ、通信機器、医療機器又は他の電気機器を保護するために使用される。
【0004】
しかしながら、UPSには制約があることが認められる。従来のUPSシステムに伴う重要な問題は、UPSの蓄電池に蓄積された限られた量のエネルギが長期間にわたって装置を動作させるのに充分であるか否かである。例えば、可搬式AC電力作動型医療機器及び健康状態モニタの使用を必要とする個人は、(必要とされる特定の医療機器に依存して)夜間の間にわたって、最悪の場合は電力会社電力網の故障が継続している間にわたって、持続することのできるバックアップ電源を必要とする。定圧気道通路(CPAP)、酸素濃縮器、可搬式人工呼吸器及び心臓モニタのような装置は、患者の健康を守るために適正な電力の供給を確保する必要がある。国民の平均年齢が高くなるにつれて、このような救命医療装置及びシステムの必要性もまた増大し、これに伴って電力会社電力網の停電中にそれらの装置に適切な長期間にわたる電力を供給することのできるシステムが必要になる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態は、車両利用電源から外部負荷へ無停電電力を供給するためのシステム及び方法を対象とする。蓄電池電気車両(BEV)、ハイブリッド電気車両(HEV)又はプラグイン・ハイブリッド電気車両(PHEV)のような車両に使用するための推進システムは、車上エネルギ蓄積システムと、車上エネルギ蓄積システムを充電するための車上装置又はユニット、例えば、HEV又はPHEVの場合には補助電源ユニット(APU)を含む。車両推進システム内には、無停電電力を外部負荷に供給し且つ車上エネルギ蓄積システムの電圧及び/又は充電状態(SOC)を許容範囲内に維持するように車上エネルギ蓄積システム及び車上充電装置の動作を制御する制御システムが含まれる。
【0015】
図1について説明すると、車両推進システムに組み込まれたものとして車両利用無停電電源装置(UPS)10の概略ブロック図が示されている。車両利用UPS10は、車上エネルギ蓄積システム12と、車上エネルギ蓄積システム12を充電するための車上充電装置又は機構14と、DC−ACインバータ16と、車両20上に含まれる制御システム18とを含む。車上エネルギ蓄積システム12は、本発明の様々な実施形態について以下に詳しく説明するように、1つ以上のエネルギ蓄積ユニット13(例えば、12Vの始動・照明・点火(SLI)用蓄電池、牽引用蓄電池、及び/又はハイブリッド牽引用蓄電池装置)を含んでいて、車両20の車輪(図示せず)に駆動関係に結合された1つ以上の電動機22を駆動するための電力を供給し及び/又は車両上の補助装置(例えば、ライト、ワイパー)に電力を供給すると共に、外部負荷24に対する無停電DC電力の供給装置を提供するように構成されている。車上充電装置14(すなわち、充電ユニット)は車上エネルギ蓄積システム12に接続されて、電動機(1つ又は複数)22を駆動するための電力を補足し及び/又は車上エネルギ蓄積システム12内の1つ以上のエネルギ蓄積ユニット13に再充電電力を供給する。本発明の実施形態によれば、車両がHEV又はPHEVであるとき、充電装置14は、内燃機関、水素燃料電池装置又は他の同様な発電システムのような補助電源ユニット(APU)の形態であってよい。この代わりに、充電装置14は、車両がBEVであるとき、DC−DCコンバータの形態であってよい。車両利用UPS10用の推進システムのDC−ACインバータ16は、車上エネルギ蓄積システム12に接続されていて、該システムからDC電力を受け取って、DC電力を外部負荷24によって使用可能なAC電力へ逆変換する。従って、例えば、DC−ACインバータ16は、車上エネルギ蓄積システム12から12VのDC電力を受け取って、該電力を外部負荷24によって使用するための120VのAC電力(又は他の用途又は国のための230VのAC電力)へ変換するように構成することができる。別の例では、DC−ACインバータ16は、車上エネルギ蓄積システム12から12Vよりも大きいDC電力を受け取って、該電力を外部負荷24によって使用するための120VのAC電力へ変換するように構成することができる。
【0016】
制御システム18が車両利用UPS10内に設けられて、車上エネルギ蓄積システム12及び車上充電装置14の各々に接続される。動作に関して、制御システム18は、車両推進システム(図示せず)の一部として車両20の車輪に駆動関係に結合された電動機(1つ又は複数)22を駆動するために制御された電力を供給するように車上エネルギ蓄積システム12及び車上充電装置14を動作させるように構成される。更に、制御システム18は、エネルギ蓄積システム12の充電状態(SOC)及び/又は電圧を決定し、且つ無停電電力をDC−ACインバータ16及び外部負荷24へ供給するために車上エネルギ蓄積システム12のSOC/電圧を所定の範囲内に維持するように機能する。車上エネルギ蓄積システム12のSOC/電圧を維持するために、制御システム18は車上充電装置14を選択的に動作させて、再充電電力を車上エネルギ蓄積システム12に供給させる。すなわち、もし車上エネルギ蓄積システム12のSOC/電圧が許容範囲内にあると判定された場合、制御システム18は、車両利用UPS10が、車上充電装置14を作動することなく車上エネルギ蓄積システム12から外部負荷24へ電力を供給するのを継続させる。しかしながら、もし車上エネルギ蓄積システム12のSOC/電圧が許容範囲外にあると判定された場合、制御システム18は、車上エネルギ蓄積システム12内の1つ以上のエネルギ蓄積ユニット13に再充電電力を供給して、そのSOC/電圧を増大させるように、充電装置14を作動する。
【0017】
図1に示されているように、制御システム18はセンサ・システム26から及びモード・スイッチ28からの入力33を含む。本発明の実施形態によれば、モード・スイッチ28はキー点火スイッチの形態、又はダッシュボード装着型スイッチのような車両に含まれる別個のスイッチの形態であってよい。モード・スイッチ28が別個のダッシュボード装着型スイッチである場合、該スイッチはオフ・モードと非常用電源モードとの間でのみ切り換えるように構成することができる。またモード・スイッチ28がキー点火スイッチである場合、該スイッチは、オフ・モード、車両アクセサリ・モード、車両始動/走行モード及び非常用電源モードのような車両の異なる動作モードを可能にするために複数のモードに設定されるように構成することができる。モード・スイッチ28が非常用電源モードに設定されたとき、車両利用UPS10は、プラグイン・レセプタクル30を介して車両利用UPSに接続された外部負荷24へ電力を供給するように作動される。すなわち、制御システム18は、外部負荷24に無停電電力を供給するために車上エネルギ蓄積システム12のエネルギ蓄積ユニット13(1つ又は複数)の少なくとも1つを再充電するように車上充電装置14を選択的に作動することができる。本発明の一実施形態によれば、非常用電源モードが選択されたとき、制御システム18は更に、車両20内の電動機(1つ又は複数)22及び牽引用インバータ32を動作停止させて、車両20の車輪(図示せず)におけるトルクの発生を防止するように作用する。
【0018】
図1に更に示されているように、センサ・システム26からの入力33は、UPS10の動作を制御する複数の車両関連パラメータについての情報を制御システム18へ供給する。センサ・システム26は、車上エネルギ蓄積システム12のSOC/電圧をその動作中の様々な時点に測定するSOC/電圧センサ34を含む。検知された車上エネルギ蓄積システム12のSOC/電圧に基づいて、制御システム18は、車上エネルギ蓄積システムに再充電電力を供給する車上充電装置14の動作を制御する。すなわち、SOC/電圧センサ34によって測定されるような、車上エネルギ蓄積システム12のSOC/電圧が所定の範囲内に無い場合又は特定の閾値よりも低い場合、制御システム18は充電装置14を作動して、付加的な電力を発生させて車上エネルギ蓄積システム12へ伝送させる。SOC/電圧センサ34によって測定されるような、車上エネルギ蓄積システム12のSOC/電圧が許容範囲内に戻ったとき、制御システム18は充電装置14を動作停止させ、そして車上エネルギ蓄積システム12のSOC/電圧を監視し続ける。SOC/電圧を測定して、充電装置14を作動/動作停止するこのサイクルは、モード・スイッチ28が「非常用電源」モードから他のモードへ切り換えられるまで継続する。
【0019】
センサ・システム26はまた、車両20が現在係合している伝動装置(すなわち、PRNDL)に関する情報を制御システム18に供給するように構成された伝動装置状態センサ36を含む。センサ・システム26はまた、車両駐車ブレーキが係合しているかどうかに関する情報を制御システム18に供給する駐車ブレーキ係合状態センサ38を含むことができる。本発明の一実施形態によれば、制御システム18に対する別の情報源として、燃料レベル・センサ40が、充電装置14(例えば、APU)用に残っている燃料のレベル、例えば、内燃機関用に残っているガソリン又はディーゼル燃料のレベルを測定する。センサ・システム26によって供給される情報により、車両20の伝動装置が「駐車」位置にあること及び/又は駐車ブレーキが係合していること、及び燃料レベルが許容量であることが示されている場合、制御システム18は、外部負荷24に電力を供給するための車両利用UPS10を構成するように、車上エネルギ蓄積システム12のSOC/電圧を許容範囲内に維持するために必要に応じて充電装置14を作動することができる。
【0020】
制御システム18に対する別の情報源として、一酸化炭素(CO)センサ42がセンサ・システム26に含まれており、該センサは、車両20の近辺におけるCOのレベルに関するデータ、及び該レベルが或る特定の閾値限界より大きいかどうかについてのデータを供給する。COセンサ42が所定の閾値を超えるCOレベルを検出した場合、或いは燃料レベル・センサ40が低燃料レベルを検出した場合、制御システム18は、充電装置14(例えば、燃焼機関)の動作を遮断(すなわち、動作停止)する指令を発生するように構成される。本発明の一実施形態によれば、制御システム18はまた、検知されたCOレベル又は低燃料レベルに基づいて警報を発生して、このような状態の発生をオペレータに警告することができる。従って、センサ・システム26は、車両利用UPS10が非常用電源モードで動作しているときに充電装置14の動作を制限するように制御システム18に一連の情報パラメータを供給する。
【0021】
次に
図2について説明すると、車両利用UPS10の動作を制御するために制御システム18によって実行される手法を示している。手法44は段階45で開始し、次いで段階46に進んで、車両利用UPSの動作が非常用電源モードであるかどうか判定する。すなわち、車両利用UPSの動作モード及び/又は車両自体の動作モードを切り換えるように構成されているモード・スイッチが、非常用電源設定/モードに設定されているかどうか判定する。車両利用UPSが非常用電源モード48にない場合、手法44は最初から再び始める。車両利用UPSの動作が非常用電源モードである場合(50)、手法44は段階52へ進み、そこで、車上エネルギ蓄積システムの状態を監視する。すなわち、段階52で、DC−ACインバータへ電力を供給する固有の車上エネルギ蓄積システムの充電状態(SOC)及び/又は電圧を測定して、そのSOC/電圧のレベルを決定する。
【0022】
段階54で、車上エネルギ蓄積システムのSOC/電圧が所定の閾値よりも高いか又は所定の範囲内にあるかどうか判定する。車上エネルギ蓄積システムのSOC/電圧が所定の範囲内にある場合(56)、車上エネルギ蓄積システムのSOC/電圧は外部負荷へ電力を供給するための許容レベルにあると見なされて、車上エネルギ蓄積システムの再充電は何ら遂行されない。そこで、段階57で、車上充電装置は、電気車両ではDC−DCコンバータを有し及び/又はHEV又はPHEVではAPUを有することができるが、動作停止状態に留まるように命令され、或いは動作停止状態に移行させられる。しかしながら、車上エネルギ蓄積システムのSOC/電圧が所定の範囲内にない場合(58)、充電装置による車上エネルギ蓄積システムの再充電(すなわち、エネルギ蓄積システム内の1つ以上のエネルギ蓄積ユニットの再充電)が望ましいと決定される。車上エネルギ蓄積システムの再充電の前に、段階60で、複数の車両関連パラメータが検知される。本発明の実施形態によれば、これらには、限定するものではないが、伝動装置状態、駐車ブレーキ係合状態、燃料レベル、及び一酸化炭素(CO)レベルを含むことができる。次に段階62で、車両関連パラメータが許容状態/レベルにあるかどうか判定する。例えば、伝動装置及び駐車ブレーキが許容設定状態にあり(すなわち、伝動装置が「駐車」位置にあり且つ駐車ブレーキが係合状態にあり)且つ燃料及びCOが許容レベルにあるかかどうか判定する。車両関連パラメータが許容状態/レベルにない場合(64)、段階66で、車上エネルギ蓄積システムを再充電するための充電装置の作動が防止される。車両関連パラメータが許容状態/レベルにある場合(68)、段階70で、充電装置(すなわち、DC−DCコンバータ又はAPU)が作動され、該充電装置によって発生された電力は車上エネルギ蓄積システム内の1つ以上のエネルギ蓄積ユニットへ伝送されて、それらに再充電電力を供給する。車上エネルギ蓄積システムを再充電するために充電装置を作動したとき、手法44は段階52へ戻って、車上エネルギ蓄積システムのSOC/電圧の監視を続ける。(段階54で判定されるように)充電装置によって車上エネルギ蓄積システムに供給される再充電電力がSOC/電圧を所定の許容範囲内に戻すのに充分である場合、段階57で、充電装置が動作停止される。このように手法44は、車上エネルギ蓄積システムのSOC/電圧の判定に基づいて、また再充電電力を車上エネルギ蓄積システムに供給して車上エネルギ蓄積システムのSOC/電圧を所定の範囲内に維持するための充電装置の選択的な動作に基づいて、車両利用UPSの制御された動作を規定する。
【0023】
次に
図3について説明すると、本発明の一実施形態に従って、BEVのAC推進システムに組み込まれるものとして車両利用UPS72を示している。車両利用UPS72は、12Vの始動・照明・点火(SLI)用蓄電池76及び高電圧牽引用蓄電池78(例えば、公称300V)の形態で車両20上に設けられた車上エネルギ蓄積システム74を含む。高電圧牽引用蓄電池78は電動機80に電力を供給して電動機を駆動し、またDCリンク81及び牽引用インバータ82を介して電動機に結合される。牽引用インバータ82は、外部トルク指令に基づいて電動機80にAC電力を伝送する。モード・スイッチ28が通常の駆動運転のための位置にある場合、オペレータ指令に基づいたトルク指令に応答して、高電圧牽引用蓄電池78は電動機80を駆動する電力を供給する。
【0024】
車両利用UPS72はまた、車上エネルギ蓄積システム74に結合されて、それに再充電電力を供給する車上充電装置73(すなわち、充電ユニット)を含む。
図3に示されているように、充電装置73は、SLI用蓄電池76と高電圧牽引用蓄電池78との間に接続された絶縁型DC−DCコンバータ86を含む。DC−DCコンバータ86は、作動されたとき、高電圧牽引用蓄電池78からSLI用蓄電池76への再充電電力の伝送を可能にし、且つSLI用蓄電池に適切な充電を行うように電力を調整する。すなわち、DC−DCコンバータ86は高電圧牽引用蓄電池78からDC電力を受け取って、SLI用蓄電池76を充電するために該SLI用蓄電池76へ伝送するための電力を調整する。従って、DC−DCコンバータ86の作動時、高電圧牽引用蓄電池78は、SLI用蓄電池が車両利用UPS72に接続された外部負荷88に電力を供給することにより消耗しているとき、SLI用蓄電池を再充電するためにSLI用蓄電池76に電力を供給することができる。SLI用蓄電池76から外部負荷88へ電力を伝送し調整するために、DC−ACインバータ92及び電力レセプタクル94が車両利用UPS72に含まれる。DC−ACインバータ92はSLI用蓄電池76からDC電力を受け取って、該DC電力を外部負荷88によって使用できるAC電力へ逆変換する。電力レセプタクル94は車両利用UPS72への外部負荷88の接続を可能にする。
【0025】
車両20が走行していず、且つ電力が車両利用UPS72から外部負荷88へ供給されているとき、高電圧SLI用蓄電池76のSOC/電圧は低下し始め、最終的には所定の許容量よりも低くなる(すなわち、許容範囲から外れる)。(DC−DCコンバータ86によって供給されるような)高電圧牽引用蓄電池78からSLI用蓄電池76への電力の伝送が望ましいときを決定するため、車両利用UPS72内の制御システム90はSLI用蓄電池76のSOC/電圧を検知するように構成される。SLI用蓄電池76のSOC/電圧が許容範囲外にある場合、制御システム90は、SLI用蓄電池76を再充電し且つSLI用蓄電池76のSOC/電圧を適正な値に維持して内部の又は外部の負荷のいずれかに電力を供給し続けるために、高電圧牽引用蓄電池78からエネルギを伝送させるようにDC−DCコンバータ86を作動する。より詳しく述べると、制御システム90が「非常用電源」モードへ切り換えられたときに、SLI用蓄電池76の検知されたSOC/電圧が許容範囲外にあるとき、制御システム90は、高電圧牽引用蓄電池78からSLI用蓄電池76へエネルギを伝送してSLI用蓄電池76へ再充電電力を供給するために、DC−DCコンバータ86を作動するように構成される。制御システム90は、電力がDC−DCコンバータ86及び高電圧牽引用蓄電池78によってSLI用蓄電池76へ伝送されているときにSLI用蓄電池76のSOC/電圧を測定し続ける。このようにして、SLI用蓄電池76のSOC/電圧が上昇して許容範囲まで戻ったとき、制御システム90はDC−DCコンバータ86を動作停止させて、高電圧牽引用蓄電池78からの電力の伝送を終了させるように作用する。このように、制御システム90は、外部負荷88への電力の供給に起因してSLI用蓄電池76がそのSOC/電圧の正常範囲の外で動作しないように保証する。従って、SLI用蓄電池76の寿命は外部負荷88の動作に基づいて低下することはない。
【0026】
有益なこととして、BEV用の推進システムでは、高電圧牽引用蓄電池78の容量及びエネルギ蓄積定格がHEVにおける高電圧牽引用蓄電池よりもかなり高い。例えば、今日のHEVは全エネルギ定格が1〜2kWhである高電圧牽引用蓄電池を持つことができるのに対し、EV用の推進システムでは高電圧牽引用蓄電池は15kWhを超える全エネルギ定格を持つことができる。従って、BEVにおける車両利用UPS72は、UPS72が重要な医療機器又は他の外部装置/負荷を動作させるの充分である継続時間の間、動作状態に留まる(すなわち、車上エネルギ蓄積システムのSOC/電圧が許容範囲内に留まる)と期待される。
【0027】
図3にはまた補助電源ユニット(APU)97が破線で示されており、APU97は、本発明の別の実施形態によれば、推進システムがハイブリッド電気車両(HEV)AC推進システムを利用するものであるとき、車両利用UPS72用の推進システムに含まれる。APU97は(DC−DCコンバータと共に)充電装置73の一部を形成して、車上エネルギ蓄積システム12に付加的な再充電電力を供給する。APU97は内燃機関84を含むと共に、該機関84に接続された交流発電機83及びダイオード整流器装置85を含んでいて、内燃機関により供給される再充電電力を調整し且つ再充電電力をDC電力へ変換する。モード・スイッチ28が通常の駆動運転のための位置にある場合、オペレータの指令に基づいたトルク指令に応答して、内燃機関84は電動機80を駆動するために高電圧牽引用蓄電池78に補助DC電力を供給する。
【0028】
前に述べたように、車両20が走行していず、且つ電力が車両利用UPS72から外部負荷88へ供給されているとき、車上エネルギ蓄積システム74のSOC/電圧は低下し始める。SLI用蓄電池76が消耗していくのに加えて、高電圧牽引用蓄電池78も電圧低下し始めて、SLI用蓄電池76への選択的な電力供給に基づいて、最終的には所定の許容量よりも低くなる(すなわち、許容範囲から外れる)。高電圧牽引用蓄電池78のSOC/電圧にこのような低下が生じたとき、車両内の制御システム90は更に、高電圧牽引用蓄電池78(及びSLI用蓄電池76)を再充電するためにAPU97を選択的に作動(すなわち、内燃機関84を作動)するように構成されている。より詳しく述べると、制御システム90が「非常用電源」モードへ切り換えられたときに、高電圧牽引用蓄電池78の検知されたSOC/電圧が許容範囲外にあるとき、制御システム90は、再充電電力を供給するために内燃機関84を作動するように構成される。制御システム90は、電力が内燃機関84によって高電圧牽引用蓄電池78へ供給されているときに高電圧牽引用蓄電池78のSOC/電圧を測定し続ける。このようにして、高電圧牽引用蓄電池78のSOC/電圧が上昇して許容範囲まで戻ったとき、制御システム90は内燃機関84を動作停止させるように作用する。以上述べたように、DC−DCコンバータ86及びAPU97を選択的に作動することによって、制御システム90は、外部負荷88への電力の供給に起因してそれぞれの蓄電池(SLI用蓄電池76及び高電圧牽引用蓄電池78)がそれらのSOC/電圧の正常範囲の外で動作しないように保証する。従って、SLI用蓄電池76及び高電圧牽引用蓄電池78の寿命は外部負荷88の動作に基づいて低下することはない。
【0029】
車両利用UPSの追加の実施形態が
図4及び
図5に示されており、それらは米国特許第7049792号に詳しく記載されているような車上エネルギ蓄積システムを車両20上に組み込んでいる。
図4に示されているように、車両利用UPS95は蓄電池電気車両(BEV)AC推進システムを利用するものであり、該システムでは車上エネルギ蓄積システム96が高エネルギ密度蓄電池99を含み、蓄電池99は、本実施形態によれば、電気的に再充電可能な蓄電池である。高エネルギ密度蓄電池99は、例えば、120W・hr/kgのエネルギ密度を持つナトリウム金属ハロゲン化物蓄電池、或いは場合により110W・hr/kgのエネルギ密度を持つリチウム・イオン蓄電池として形成することができる。高エネルギ密度蓄電池99は、牽引用インバータ100及び電動機102に接続されたDCリンク98に結合される。昇圧コンバータ回路104が高エネルギ密度蓄電池99と電動機102との間のDCリンク98上に配置されて、電気的に再充電可能な高エネルギ密度蓄電池99から利用できる電圧を昇圧する。動的リターダ(retarder)106がDCリンク98のインバータ100側の端部でDCリンク98に並列に結合されていて、この動的リターダ106は、インバータ100を介してリンクへ電力を戻す回生モードで動作しているときに、車上エネルギ蓄積ユニットが、電動機102によって発生されてインバータ100を介してリンクへ向かう回生電力のレベルを受け入れることができないとき、DCリンク98上に生じたDC電圧を制限するように動作する。
【0030】
また車上エネルギ蓄積システム96にはSLI用蓄電池101が含まれている。高エネルギ密度蓄電池99とSLI用蓄電池101との間には、絶縁型両方向DC−DCコンバータの形態の充電装置103が接続されている。両方向DC−DCコンバータ103は、作動されたとき、SLI用蓄電池101から高エネルギ密度蓄電池99への再充電電力の伝送を可能にする。車両20が走行していないとき、電力が車両利用UPS95から外部負荷88へ供給されている場合、高エネルギ密度蓄電池99のSOC/電圧は低下し始め、最終的には所定の許容量よりも低くなる(すなわち、許容範囲から外れる)。(DC−DCコンバータ103によって供給されるような)SLI用蓄電池101から高エネルギ密度蓄電池99への電力の伝送が望ましいときを決定するため、車両利用UPS95内の制御システム120は高エネルギ密度蓄電池99のSOC/電圧を検知するように構成される。高エネルギ密度蓄電池99のSOC/電圧が許容範囲外にある場合、制御システム120は、高エネルギ密度蓄電池99を再充電し且つその適正なSOC/電圧を維持するために、SLI用蓄電池101からエネルギを伝送させるように両方向DC−DCコンバータ103を作動する。
【0031】
本発明の別の実施形態によれば、
図5に示されているように、車両利用UPS107はハイブリッド蓄電池構成の形態の車上エネルギ蓄積システム108を含み、且つBEV推進システムを利用するものである。ハイブリッド蓄電池構成108は、120W・hr/kgのエネルギ密度を持つナトリウム金属ハロゲン化物蓄電池、又は場合により110W・hr/kgのエネルギ密度を持つリチウム・イオン蓄電池のような高エネルギ密度蓄電池110を含むと共に、昇圧コンバータ104のインバータ100側のDCリンク98に並列に結合された、350W/kgを超える電力密度を持つニッケル・カドミウム蓄電池、又は1000W/kgを超える電力密度を持つリチウム・イオン蓄電池のような高電力密度蓄電池112を含む。ハイブリッド蓄電池構成108は、高電力密度蓄電池112を用いて加速又はパルス状重負荷状態のために高電力応答を提供すると同時に、高エネルギ密度蓄電池110を用いて車両の動作範囲を拡張する。この実施形態では、電動機102が車両20の電気的制動を達成するために使用されたとき、電動機102によって発生された回生エネルギが両方向昇圧コンバータ104を介して高電力密度蓄電池112及び高エネルギ蓄電池の両方へ伝送されて、これらの車上蓄電池を効果的に再充電し且つ車両20の動作範囲を拡張することができる。好ましくは、高エネルギ密度蓄電池110の端子電圧は高電力密度蓄電池112の端子電圧よりも低くして、昇圧コンバータ104がない場合に蓄電池110から蓄電池112へ何ら電力が流れないようにする。これにより、高エネルギ密度蓄電池110から取り出す又は蓄電池110へ供給されるエネルギの量を調整するように昇圧コンバータ104を制御することが可能になる。電動機102による電力需要が高電力密度蓄電池112によって供給できるものより大きいとき、又は高エネルギ密度蓄電池110から高電力密度蓄電池112を充電するためにエネルギが必要とされるとき、或いは特定の制御アルゴリズムに依存して各蓄電池110、112からの電力を組み合わせるときに、高エネルギ密度蓄電池110からエネルギが引き出される。
【0032】
図5に示されるBEV構成では、車両20が走行していず、且つ電力が車両利用UPS107から外部負荷88へ供給されているとき、両方向昇圧コンバータ104はまた充電装置として作用して、高電力密度蓄電池112から高エネルギ密度蓄電池110への再充電電力の伝送を可能にする。すなわち、車両利用UPS107から外部負荷88へ電力を供給していて、高エネルギ密度蓄電池110のSOC/電圧が低下し始めて所定のSOC/電圧閾値に近づいたとき、両方向昇圧コンバータ104を作動して、高電力密度蓄電池112から高エネルギ密度蓄電池110への再充電電力の伝送を可能にすることができる。高電力密度蓄電池112から高エネルギ密度蓄電池110への電力の伝送が望ましい時を決定するため、車両利用UPS107内の制御システム120は、高エネルギ密度蓄電池110のSOC/電圧を検知するように構成される。高エネルギ密度蓄電池110のSOC/電圧が許容範囲外にある場合、制御システム120は、高エネルギ密度蓄電池110を再充電し且つその適正なSOC/電圧を維持するために、高電力密度蓄電池112からエネルギを伝送させるように両方向昇圧コンバータ104を作動する。
【0033】
本発明の追加の実施形態によれば、
図4及び
図5の車両利用UPS95、107の各々はHEV−AC推進システムを利用し又はHEV−AC推進システムに組み込むことができ、従って、
図4及び
図5に破線で示されているように、APUの形態の付加的な充電装置113を含むことができる。APU113は、エネルギ蓄積システム96、108(すなわち、高エネルギ密度蓄電池99、110)に接続されてそれに再充電電力を供給するための燃焼機関114を含む。交流発電機116及びダイオード整流器装置118が、燃焼機関114によって供給される再充電電力を調整し且つ該再充電電力をDC電力に変換するために含まれている。燃焼機関114によって供給される再充電電力は高エネルギ密度蓄電池99、110に伝送されて、そのSOC/電圧を増大させる。車両20内の制御システム120は、高エネルギ密度蓄電池99、110を再充電するために内燃機関114を選択的に作動するように構成される。より詳しく述べると、制御システム120が「非常用電源」モードに切り換えられたとき、高エネルギ密度蓄電池99、110の検知されたSOC/電圧が許容範囲外であると判定された場合、制御システム120は再充電電力を供給するために内燃機関114を作動するように構成されている。制御システム120は、電力が内燃機関114によって高エネルギ密度蓄電池99、110に伝送されているとき、蓄電池99、110のSOC/電圧を測定し続ける。このようにして、高エネルギ密度蓄電池99、110のSOC/電圧が上昇して許容範囲まで戻ったとき、制御システム120は内燃機関114を動作停止させるように作用し、そして高エネルギ密度蓄電池99、110からの蓄積されたエネルギが外部負荷88に給電するために再び用いられる。APU113は再充電電力を高エネルギ密度蓄電池99、110に供給するものとして前に説明したが、再充電電力は車上エネルギ蓄積システム96、108内のSLI用蓄電池101(
図4)及び高電力密度蓄電池112にも供給されることも当然である。制御システム120は、従って、外部負荷88への電力の供給中、車上エネルギ蓄積システム96、108のSOC/電圧をその正常な範囲内に維持するように機能する。
【0034】
図4及び
図5に示されている車両利用UPS95、107の実施形態は、車上エネルギ蓄積システム96、108に増大した量のエネルギを蓄積することができる。従って、車両利用UPS95、107は、電力定格を増大し、且つより要求の大きい(すなわち、供給する電力のより大きい)外部負荷に給電するために使用されるように設計される。そこで、車両利用UPS95、107は、適切なときに車両利用UPSからの電力出力を終端させるために地絡電流遮断器(GFCI)を含む。
【0035】
次に
図6について説明すると、本発明の別の実施形態に従ってプラグイン・ハイブリッド車両(PHEV)推進システムに組み込まれている車両利用UPS122を示している。車両利用UPS122の車上エネルギ蓄積システム124が複数の車上エネルギ蓄積ユニットを含み、車上エネルギ蓄積ユニットは、高比エネルギ蓄電池126(例えば、120W・hr/kgのエネルギ密度を持つナトリウム金属ハロゲン化物蓄電池、或いは110W・hr/kgのエネルギ密度を持つリチウム・イオン蓄電池)と、高比電力蓄電池128(例えば、350W/kg以上の電力密度を持つニッケル・カドミウム蓄電池、又は1000W/kg以上の電力密度を持つリチウム・イオン蓄電池)とを含む。更に、車上エネルギ蓄積システム124は1つ以上の超コンデンサ(ultracapacitor)エネルギ蓄積装置130を含む。超コンデンサ蓄積装置(1つ又は複数)130は、車上エネルギ蓄積システム124内における電力蓄積を増大させ、従って車両利用UPS122がより大きいパルス状電力を外部負荷132に供給し且つ再充電電力を供給するための車両利用UPS122内の充電装置134に係合することなく一層長い期間にわたって動作することを可能にする。
【0036】
図6に示されるように、車両利用UPS122のための推進システムの充電装置134は、エネルギを発生するための複数の補助電源ユニット(APU)を含む。すなわち、車上エネルギ蓄積システム124に再充電電力を供給するための1つの機構として、充電装置134は、燃料電池集成体136を形成する1つ以上の燃料電池135を含む。模範的な実施形態では、燃料電池集成体136は、電力を発生する複数の水素燃料電池135で形成される。有利なことに、水素燃料電池集成体136の動作では、熱と水が生じるが、本発明の他の実施形態におけるガソリン及びディーゼル燃料によるAPUで生じるような一酸化炭素の排出物を生じない。燃料電池集成体136によって発生された電力は、ダイオード整流器装置138によって調整された後、高比エネルギ蓄電池126及び/又は超コンデンサ蓄積装置(1つ又は複数)130に伝送されて、それらに再充電電力を供給する。車上エネルギ蓄積システム124に再充電電力を供給するための別の機構として、充電装置134は、電力会社電力網に対する車両利用UPS122の接続を可能にするプラグイン端子140を含む。車両20が動作状態でないとき(また電力会社電力網が利用可能であるとき)、プラグイン端子140は電力会社電力網に接続して、そこからAC電力を受け取ることができる。電力会社電力網からのAC電力は、車上エネルギ蓄積システム124へ伝送するための電力を調整するためにAC−DC充電器インターフェース142(すなわち、電圧及び電流制御式整流器)に通される。電力会社電力網からプラグイン端子140を介して受け取た電力は、車上エネルギ蓄積システム124を再充電するために供給される。
【0037】
牽引用インバータ144及び電動機146に電力を供給して、通常の動作モード(すなわち、「走行」モード)で車両20を推進させるため、燃料電池集成体136からの電力は1つ以上の昇圧コンバータ148に伝送することができ、また高比エネルギ蓄電池126及び超コンデンサ蓄積装置(1つ又は複数)130からの電力は、それらに結合された複数の両方向降圧/昇圧コンバータ150に伝送される。昇圧コンバータ148及び複数の両方向降圧/昇圧コンバータ150はDCリンク152に結合され、また、動作においては、昇圧コンバータ148は燃料電池集成体136からの電圧を昇圧して、該昇圧された電圧をDCリンク152に供給する。必要なとき、複数の両方向降圧/昇圧コンバータ150は高比エネルギ蓄電池126及び超コンデンサ蓄積装置(1つ又は複数)130からの電圧を昇圧して、該昇圧された電圧をDCリンク152に供給する。燃料電池の電圧が昇圧されるレベル、並びにエネルギ蓄積装置の電圧が昇圧されるレベルは、複数の両方向降圧/昇圧コンバータ150及び昇圧コンバータ148が制御される態様に依存する。燃料電池集成体136、高比エネルギ蓄電池126及び超コンデンサ蓄積装置(1つ又は複数)130からの昇圧された電圧と組み合わせて、高比電力蓄電池128からの電圧は、車両20の車輪に又は推進システムの一部として選択された用途のための機械的負荷に駆動関係に結合された牽引用インバータ144及び電動機146に制御された電力を供給するために必要とされるときに使用される。
【0038】
車両利用UPS122にはまた制御システム154が含まれており、この制御システム154は車上エネルギ蓄積システム124及び充電装置134の動作を監視し制御するように構成される。車両利用UPS122が、モード・スイッチ28の設定によって決定されるように、非常用電源モードに設定されたとき、制御システムは車両利用UPS122内の電力スイッチ156を切り換えるように作用する。電力スイッチ156は、電力会社電力網から(プラグイン端子140を介して)車上エネルギ蓄積システム124へ電力を伝送する設定から、車両利用UPS122から外部負荷132に電力を供給する設定(すなわち、非常用電源モード)へ切り換えられる。
【0039】
車両利用UPS122を非常用電源モードへ切り換えるのに加えて、制御システム154はまた、車上エネルギ蓄積システム124を再充電するために燃料電池集成体136を選択的に作動するように機能する。制御システム154は、SOC/電圧センサ34(
図1)を介して車上エネルギ蓄積システム124(すなわち、高比エネルギ蓄電池126、高比電力蓄電池128、及び超コンデンサ・エネルギ蓄積装置(1つ又は複数)130)のSOC/電圧を測定し、次いで該SOC/電圧が所定の許容範囲の外にあるかどうか判定する。もし測定されたSOC/電圧が所定の許容範囲の外にあると判定された場合、制御システム154は、車上エネルギ蓄積システム124に再充電電力を供給するために燃料電池集成体136を作動する指令を発生する。制御システム154は、電力が燃料電池集成体136によって車上エネルギ蓄積システム124に伝送されているとき、車上エネルギ蓄積システム124のSOC/電圧を測定し続ける。このようにして、車上エネルギ蓄積システム124のSOC/電圧が上昇して許容範囲に戻ったとき、制御システム154は燃料電池集成体136を遮断/動作停止するように作用する。制御システム154は、従って、外部負荷132へ電力を供給している間、車上エネルギ蓄積システム124のSOC/電圧をその正常範囲内に維持するように機能する。
【0040】
車上エネルギ蓄積システム及び充電装置の様々な実施形態を
図3〜6に図示し且つ説明したが、他の形態及び構成の車上エネルギ蓄積システム及び充電装置を車両利用UPSに含むこともできると考えられる。例えば、米国特許第5,373,195(発明者キング)に述べられているような車上エネルギ蓄積システム(すなわち、高電圧牽引用蓄電池及び昇圧コンバータの組合せ)もまた、本発明の別の実施形態に従って、車両利用UPS内に具現化することができよう。本発明の実施形態によれば、制御システム、及び
図2に示し且つ説明したように制御システムによって具現化される手法は、外部負荷に対する無停電電源を提供するために様々な実施形態の車上エネルギ蓄積システム及び充電装置(例えば、DC−DCコンバータ及びAPU)の動作を監視し制御するように構成される。
【0041】
開示した方法及び装置についての技術的貢献は、車両利用UPS用の推進システムの動作を制御するために制御装置で具現化される手法を提供することである。制御システムは、外部負荷に無停電電力を供給し且つ車上エネルギ蓄積システムの電圧及び/又は充電状態(SOC)を許容範囲内に維持するように、車上エネルギ蓄積システム及び車上充電装置(1つ又は複数)を制御する。
【0042】
従って、本発明の一実施形態によれば、車両利用無停電電源装置(UPS)システムが、車両上に位置していて、外部負荷へ伝送可能なDC電力を発生するように構成されたエネルギ蓄積システムと、車上エネルギ蓄積システムに接続されていて、そこからDC電力を受け取って、該DC電力を外部負荷によって使用できるAC電力へ逆変換するDC−ACインバータとを含む。車両利用UPSはまた、車両上に位置し且つ車上エネルギ蓄積システムに接続されていて、該車上エネルギ蓄積システムに再充電電力を供給する充電装置と、制御システムとを含む。制御システムは、エネルギ蓄積システムの充電状態(SOC)及び電圧の一方を決定し、且つエネルギ蓄積システムに再充電電力を供給してエネルギ蓄積システムのSOC及び電圧の前記一方を所定の範囲内に維持するように充電装置を選択的に動作させるように構成される。
【0043】
本発明の別の実施形態によれば、無停電電力を供給するための方法が、車両の車上エネルギ蓄積システムに対する外部負荷の接続を検出する段階と、外部負荷への接続時に車上エネルギ蓄積システムから外部負荷へ電力を供給する段階とを含む。本方法はまた、車上エネルギ蓄積システムの電圧及び充電状態(SOC)の一方を検出する段階と、車上エネルギ蓄積システムの電圧及びSOCの前記一方が所定の閾値よりも低い場合、車上エネルギ蓄積システムに接続された充電ユニットを作動することにより、車上エネルギ蓄積システムに再充電電力を供給して、車上エネルギ蓄積システムの電圧及びSOCの前記一方を所定の範囲内に維持する段階とを含む。
【0044】
本発明の更に別の実施形態によれば、車両の車上エネルギ蓄積システムから外部負荷への無停電電力の供給を制御するための制御システムが、車両の車上エネルギ蓄積システムに対する外部負荷の接続を検出し、また外部負荷への接続時に車上エネルギ蓄積システムの電圧及び充電状態(SOC)の一方を測定するようにプログラムされる。本制御システムは更に、車上エネルギ蓄積システムの電圧及びSOCの前記一方が所定の範囲内に無い場合は、車上エネルギ蓄積システムに接続された充電装置を作動して、車上エネルギ蓄積システムに再充電電力を供給し、また車上エネルギ蓄積システムの電圧及びSOCの前記一方が所定の範囲内にある場合は、充電装置を動作停止させるようにプログラムされる。
【0045】
本明細書は、最良の実施形態を含めて、本発明を開示するために、また当業者が任意の装置又はシステムを作成し使用し、任意の採用した方法を遂行すること含めて、本発明を実施するために、幾つかの例を使用した。本発明の特許可能な範囲は「特許請求の範囲」の記載に定めており、また当業者に考えられる他の例を含み得る。このような他の例は、それらが特許請求の範囲の文字通りの記載から実質的に差異のない構造的要素を持つ場合、或いはそれらが「特許請求の範囲」の文字通りの記載から実質的に差異のない等価な構造的要素を含む場合、特許請求の範囲内にあるものとする。