【実施例】
【0041】
以下、実施例及び比較例に基づき、本発明のセパレータ、リチウムイオン二次電池及び製造方法を詳述する。
【0042】
実施例1
1.セパレータの作製
(1)ポリマー粒子として粒子径50nm、ガラス転移温度98℃、熱分解温度310℃のスチレン−メタクリル酸エチルコポリマー(スチレン:メタクリル酸エチル(モル比)=8:2)、及びバインダー粒子として粒子径60nmのアクリルラテックス(ドイツのHenkel社、603)とを98:2の質量比で脱イオン水溶媒に添加し、均一に攪拌して塗工スラリーに調製した。その中、ポリマー粒子中のナノポアの孔径が10nm、シェルの空隙率が10%、ナノポアの孔径とシェルの厚さとの比率が50%であった。
【0043】
(2)塗工スラリーをグラビアコート法で微孔性フィルムとして厚さ9μm、微細孔の孔径35nm、空隙率30%のポリエチレンフィルムの一面に塗工し、加熱乾燥してセパレータを得た。その中、ポリマー粒子は体積比5.5%で微孔性フィルムに嵌め込まれ、塗層の厚さは4μmであった。
【0044】
2.リチウムイオン二次電池の正極シートの作製
活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO
2)、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)、及び導電剤として導電性カーボンブラックを質量比で95:3:2となるように溶媒であるNMPに添加し、均一に混ぜ合せて正極スラリーに調製した。その中、正極スラリーの固形分含有量が40%であり、その後、正極スラリーを集電体として厚さ12μmのアルミ箔の両面に均一に塗工し、加熱乾燥、冷間プレス、スライシング、タブ溶接を経てリチウムイオン二次電池の正極シートを作製した。
【0045】
3.リチウムイオン二次電池の負極シートの作製
活物質として人造黒鉛、粘度付与剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウム、導電剤として導電性カーボンブラック、及びバインダーとしてスチレンブタジエンラテックス(BASF社、SD−623)を質量比で95:1.5:1.5:2となるように脱イオン水溶媒に添加し、均一に混ぜ合せて負極スラリーに調製した。その中、負極スラリーの固形分含有量が50%であり、のちに負極スラリーを集電体として厚さ8μmの銅箔の両面に均一に塗工し、加熱乾燥、冷間プレス、スライシング、タブ溶接を経てリチウムイオン二次電池の負極シートを作製した。
【0046】
4.リチウムイオン二次電池の作製
正極シート、負極シート及びセパレータを巻回してセルとし、封口した後に電解液(1mol/LのLiPF
6溶液、非水性有機溶媒として質量比で30:35:35のEC、PC及びDECの混合物を用いる)を注入し、更に熟成、排気成形を経てリチウムイオン二次電池を作製した。
【0047】
実施例2
1.セパレータの作製
(1)ポリマー粒子として粒子径50nm、ガラス転移温度98℃、熱分解温度310℃のスチレン−メタクリル酸エチルコポリマー(スチレン:メタクリル酸エチル(モル比)=8:2)、及びバインダー粒子として粒子径60nmのアクリルラテックス(ドイツのHenkel社、603)を98:2の質量比で脱イオン水溶媒に添加し、均一に攪拌して塗工スラリーに調製した。その中、ポリマー粒子中のナノポアの孔径が10nm、シェルの空隙率が10%、ナノポアの孔径とシェルの厚さとの比率が50%であった。
【0048】
(2)塗工スラリーをグラビアコート法で微孔性フィルムとして厚さ9μm、微細孔の孔径45nm、空隙率30%のポリエチレンフィルムの一面に塗工し、加熱乾燥してセパレータを作製した。その中、ポリマー粒子は体積比19.4%で微孔性フィルムに嵌め込まれ、塗層の厚さは4μmであった。
【0049】
2.リチウムイオン二次電池の正極シートの作製
実施例1と同様である。
【0050】
3.リチウムイオン二次電池の負極シートの作製
実施例1と同様である。
【0051】
4.リチウムイオン二次電池の作製
実施例2で作製したセパレータを用いた以外、実施例1と同様である。
【0052】
実施例3
1.セパレータの作製
(1)ポリマー粒子として粒子径50nm、ガラス転移温度98℃、熱分解温度310℃のスチレン−メタクリル酸エチルコポリマー(スチレン:メタクリル酸エチル(モル比)=8:2)、及びバインダー粒子として粒子径60nmのアクリルラテックス(ドイツのHenkel社、603)を98:2の質量比で脱イオン水溶媒に添加し、均一に攪拌して塗工スラリーに調製した。その中、ポリマー粒子中のナノポアの孔径が10nm、シェルの空隙率が10%、ナノポアの孔径とシェルの厚さとの比率が50%であった。
【0053】
(2)塗工スラリーをグラビアコート法で微孔性フィルムとして厚さ9μm、微細孔の孔径49nm、空隙率30%のポリエチレンフィルムの一面に塗工し、加熱乾燥してセパレータを作製した。その中、ポリマー粒子は体積比35.3%で微孔性フィルムに嵌め込まれ、塗層の厚さは4μmであった。
【0054】
2.リチウムイオン二次電池の正極シートの作製
実施例1と同様である。
【0055】
3.リチウムイオン二次電池の負極シートの作製
実施例1と同様である。
【0056】
4.リチウムイオン二次電池の作製
実施例3で作製したセパレータを用いた以外、実施例1と同様である。
【0057】
実施例4
1.セパレータの作製
(1)ポリマー粒子として粒子径50nm、ガラス転移温度98℃、熱分解温度310℃のスチレン−メタクリル酸エチルコポリマー(スチレン:メタクリル酸エチル(モル比)=8:2)、及びバインダー粒子として粒子径90nmのアクリルラテックス(ドイツのHenkel社、603)を質量比70:30で脱イオン水溶媒に添加し、均一に攪拌して塗工スラリーに調製した。その中、ポリマー粒子中のナノポアの孔径が10nm、シェルの空隙率が10%、ナノポアの孔径とシェルの厚さとの比率が50%であった。
【0058】
(2)塗工スラリーをグラビアコート法で微孔性フィルムとして厚さ3μm、微細孔の孔径49nm、空隙率30%のポリエチレンフィルムの一面に塗工し、加熱乾燥してセパレータを得た。その中、ポリマー粒子は体積比35.3%で微孔性フィルムに嵌め込まれ、塗層の厚さは4μmであった。
【0059】
2.リチウムイオン二次電池の正極シートの作製
実施例1と同様である。
【0060】
3.リチウムイオン二次電池の負極シートの作製
実施例1と同様である。
【0061】
4.リチウムイオン二次電池の作製
実施例4で作製したセパレータを用いた以外、実施例1と同様である。
【0062】
実施例5
1.セパレータの作製
(1)ポリマー粒子として粒子径65nm、ガラス転移温度110℃、熱分解温度330℃のスチレン−メタクリル酸メチルコポリマー(スチレン:メタクリル酸メチル(モル比)=4:6)、及びバインダー粒子として粒子径80nmのスチレンアクリルラテックス(ドイツのHenkel社、NaPoly CB 411A)を94:6の質量比で脱イオン水溶媒に添加し、均一に攪拌して塗工スラリーに調製した。その中、ポリマー粒子中のナノポアの孔径が15nm、シェルの空隙率が20%、ナノポアの孔径とシェルの厚さとの比率が33%であった。
【0063】
(2)塗工スラリーをグラビアコート法で微孔性フィルムとして厚さ7μm、微細孔の孔径60nm、空隙率38%のポリエチレンフィルムの一面に塗工し、加熱乾燥してセパレータを得た。その中、ポリマー粒子は体積比22.6%で微孔性フィルムに嵌め込まれ、塗層の厚さは2μmであった。
【0064】
2.リチウムイオン二次電池の正極シートの作製
実施例1と同様である。
【0065】
3.リチウムイオン二次電池の負極シートの作製
実施例1と同様である。
【0066】
4.リチウムイオン二次電池の作製
実施例5で作製したセパレータを用いた以外、実施例1と同様である。
【0067】
実施例6
1.セパレータの作製
(1)ポリマー粒子として粒子径75nm、ガラス転移温度110℃、熱分解温度330℃のスチレン−メタクリル酸メチルコポリマー(スチレン:メタクリル酸メチル(モル比)=4:6)、及びバインダー粒子として粒子径80nmのスチレンアクリルラテックス(ドイツのHenkel社、NaPoly CB 411A)を94:6の質量比で脱イオン水溶媒に添加し、均一に攪拌して塗工スラリーに調製した。その中、ポリマー粒子中のナノポアの孔径が15nm、シェルの空隙率が20%、ナノポアの孔径とシェルの厚さとの比率が33%であった。
【0068】
(2)塗工スラリーをグラビアコート法で微孔性フィルムとして厚さ7μm、微細孔の孔径65nm、空隙率38%のポリエチレンフィルムの一面に塗工し、加熱乾燥してセパレータを得た。その中、ポリマー粒子は体積比15.7%で微孔性フィルムに嵌め込まれ、塗層の厚さは2μmであった。
【0069】
2.リチウムイオン二次電池の正極シートの作製
実施例1と同様である。
【0070】
3.リチウムイオン二次電池の負極シートの作製
実施例1と同様である。
【0071】
4.リチウムイオン二次電池の作製
実施例6で作製したセパレータを用いた以外、実施例1と同様である。
【0072】
実施例7
1.セパレータの作製
(1)ポリマー粒子として粒子径75nm、ガラス転移温度110℃、熱分解温度330℃のスチレン−メタクリル酸メチルコポリマー(スチレン:メタクリル酸メチル(モル比)=4:6)、及びバインダー粒子として粒子径80nmのスチレンアクリルラテックス(ドイツのHenkel社、NaPoly CB 411A)を94:6の質量比で脱イオン水溶媒に添加し、均一に攪拌して塗工スラリーに調製した。その中、ポリマー粒子中のナノポアの孔径が15nm、シェルの空隙率が20%、ナノポアの孔径とシェルの厚さとの比率が33%であった。
【0073】
(2)塗工スラリーをグラビアコート法で微孔性フィルムとして厚さ7μm、微細孔の孔径70nm、空隙率38%のポリエチレンフィルムの一面に塗工し、加熱乾燥してセパレータを得た。その中、ポリマー粒子は体積比24.2%で微孔性フィルムに嵌め込まれ、塗層の厚さは2μmであった。
【0074】
2.リチウムイオン二次電池の正極シートの作製
実施例1と同様である。
【0075】
3.リチウムイオン二次電池の負極シートの作製
実施例1と同様である。
【0076】
4.リチウムイオン二次電池の作製
実施例7で作製したセパレータを用いた以外、実施例1と同様である。
【0077】
実施例8
1.セパレータの作製
(1)ポリマー粒子として粒子径100nm、ガラス転移温度110℃、熱分解温度330℃のスチレン−メタクリル酸メチルコポリマー(スチレン:メタクリル酸メチル(モル比)=4:6)、及びバインダー粒子として粒子径80nmのスチレンアクリルラテックス(ドイツのHenkel社、NaPoly CB 411A)を94:6の質量比で脱イオン水溶媒に添加し、均一に攪拌して塗工スラリーに調製した。その中、ポリマー粒子中のナノポアの孔径が15nm、シェルの空隙率が20%、ナノポアの孔径とシェルの厚さとの比率が33%であった。
【0078】
(2)塗工スラリーをグラビアコート法で微孔性フィルムとして厚さ7μm、微細孔の孔径75nm、空隙率38%のポリエチレンフィルムの一面に塗工し、加熱乾燥してセパレータを得た。その中、ポリマー粒子は体積比7.6%で微孔性フィルムに嵌め込まれ、塗層の厚さは2μmであった。
【0079】
2.リチウムイオン二次電池の正極シートの作製
実施例1と同様である。
【0080】
3.リチウムイオン二次電池の負極シートの作製
実施例1と同様である。
【0081】
4.リチウムイオン二次電池の作製
実施例8で作製したセパレータを用いた以外、実施例1と同様である。
【0082】
実施例9
1.セパレータの作製
(1)ポリマー粒子として粒子径120nm、ガラス転移温度95℃、熱分解温度370℃のスチレン−メタクリル酸シクロヘキシルコポリマー(スチレン:メタクリル酸シクロヘキシル(モル比)=9:1)、及びバインダー粒子として粒子径210nmのスチレンブタジエンラテックス(BASF社、SD−623)を94:6の質量比で脱イオン水溶媒に添加し、均一に攪拌して塗工スラリーに調製した。その中、ポリマー粒子中のナノポアの孔径が20nm、シェルの空隙率が35%、ナノポアの孔径とシェルの厚さとの比率が20%であった。
【0083】
(2)塗工スラリーをグラビアコート法で微孔性フィルムとして厚さ16μm、微細孔の孔径100nm、空隙率43%のポリプロピレンフィルムの一面に塗工し、加熱乾燥してセパレータを得た。その中、ポリマー粒子は体積比12.8%で微孔性フィルムに嵌め込まれ、塗層の厚さは6μmであった。
【0084】
2.リチウムイオン二次電池の正極シートの作製
実施例1と同様である。
【0085】
3.リチウムイオン二次電池の負極シートの作製
実施例1と同様である。
【0086】
4.リチウムイオン二次電池の作製
実施例9で作製したセパレータを用いた以外、実施例1と同様である。
【0087】
実施例10
1.セパレータの作製
(1)ポリマー粒子として粒子径165nm、ガラス転移温度95℃、熱分解温度370℃のスチレン−メタクリル酸シクロヘキシルコポリマー(スチレン:メタクリル酸シクロヘキシル(モル比)=9:1)、及びバインダー粒子として粒子径210nmのスチレンブタジエンラテックス(BASF社、SD−623)を94:6の質量比で脱イオン水溶媒に添加し、均一に攪拌して塗工スラリーに調製した。その中、ポリマー粒子中のナノポアの孔径が20nm、シェルの空隙率が35%、ナノポアの孔径とシェルの厚さとの比率が20%であった。
【0088】
(2)塗工スラリーをグラビアコート法で微孔性フィルムとして厚さ16μm、微細孔の孔径150nm、空隙率43%のポリプロピレンフィルムの一面に塗工し、加熱乾燥してセパレータを得た。その中、ポリマー粒子は体積比20.6%で微孔性フィルムに嵌め込まれ、塗層の厚さは6μmであった。
【0089】
2.リチウムイオン二次電池の正極シートの作製
実施例1と同様である。
【0090】
3.リチウムイオン二次電池の負極シートの作製
実施例1と同様である。
【0091】
4.リチウムイオン二次電池の作製
実施例10で作製したセパレータを用いた以外、実施例1と同様である。
【0092】
実施例11
1.セパレータの作製
(1)ポリマー粒子として粒子径230nm、ガラス転移温度95℃、熱分解温度370℃のスチレン−メタクリル酸シクロヘキシルコポリマー(スチレン:メタクリル酸シクロヘキシル(モル比)=9:1)、及びバインダー粒子として粒子径210nmのスチレンブタジエンラテックス(BASF社、SD−623)を94:6の質量比で脱イオン水溶媒に添加し、均一に攪拌して塗工スラリーに調製した。その中、ポリマー粒子中のナノポアの孔径が20nm、シェルの空隙率が35%、ナノポアの孔径とシェルの厚さとの比率が20%であった。
【0093】
(2)塗工スラリーをグラビアコート法で微孔性フィルムとして厚さ16μm、微細孔の孔径200nm、空隙率43%のポリプロピレンフィルムの一面に塗工し、加熱乾燥してセパレータを得た。その中、ポリマー粒子は体積比16.0%で微孔性フィルムに嵌め込まれ、塗層の厚さは6μmであった。
【0094】
2.リチウムイオン二次電池の正極シートの作製
実施例1と同様である。
【0095】
3.リチウムイオン二次電池の負極シートの作製
実施例1と同様である。
【0096】
4.リチウムイオン二次電池の作製
実施例11で作製したセパレータを用いた以外、実施例1と同様である。
【0097】
実施例12
1.セパレータの作製
(1)ポリマー粒子として粒子径260nm、ガラス転移温度105℃、熱分解温度350℃のスチレン−アクリル酸コポリマー(スチレン:アクリル酸(モル比)=4:7)、及びバインダー粒子として粒子径300nmのアクリルラテックス(ドイツのHenkel社、603)を94:6の質量比で脱イオン水溶媒に添加し、均一に攪拌して塗工スラリーに調製した。その中、ポリマー粒子中のナノポアの孔径が30nm、シェルの空隙率が50%、ナノポアの孔径とシェルの厚さとの比率が20%であった。
【0098】
(2)塗工スラリーをグラビアコート法で微孔性フィルムとして厚さ20μm、微細孔の孔径250nm、空隙率50%のポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレン複合フィルムの一面に塗工し、加熱乾燥してセパレータを得た。その中、ポリマー粒子は体積比29.9%で微孔性フィルムに嵌め込まれ、塗層の厚さは0.5μmであった。
【0099】
2.リチウムイオン二次電池の正極シートの作製
実施例1と同様である。
【0100】
3.リチウムイオン二次電池の負極シートの作製
実施例1と同様である。
【0101】
4.リチウムイオン二次電池の作製
実施例12で作製したセパレータを用いた以外、実施例1と同様である。
【0102】
実施例13
1.セパレータの作製
(1)ポリマー粒子として粒子径450nm、ガラス転移温度120℃、熱分解温度380℃のメタクリル酸−メタクリル酸メチルコポリマー(スチレン:メタクリル酸メチル(モル比)=6:5)、及びバインダー粒子として粒子径450nmのアクリルラテックス(ドイツのHenkel社、603)を94:6の質量比で脱イオン水溶媒に添加し、均一に攪拌して塗工スラリーに調製した。その中、ポリマー粒子中のナノポアの孔径が30nm、シェルの空隙率が20%、ナノポアの孔径とシェルの厚さとの比率が20%であった。
【0103】
(2)塗工スラリーをグラビアコート法で微孔性フィルムとして厚さ25μm、微細孔の孔径400nm、空隙率75%のポリエチレンテレフタレートフィルムの一面に塗工し、加熱乾燥してセパレータを得た。その中、ポリマー粒子は体積比18.0%で微孔性フィルムに嵌め込まれ、塗層の厚さは0.5μmであった。
【0104】
2.リチウムイオン二次電池の正極シートの作製
実施例1と同様である。
【0105】
3.リチウムイオン二次電池の負極シートの作製
実施例1と同様である。
【0106】
4.リチウムイオン二次電池の作製
実施例13で作製したセパレータを用いた以外、実施例1と同様である。
【0107】
実施例14
1.セパレータの作製
(1)ポリマー粒子として粒子径800nm、ガラス転移温度123℃、熱分解温度400℃のメチルスチレン−メタクリル酸メチルコポリマー(メチルスチレン:メタクリル酸メチル(モル比)=4:5)、及びバインダー粒子として粒子径850nmのアクリルラテックス(ドイツのHenkel社、603)を94:6の質量比で脱イオン水溶媒に添加し、均一に攪拌して塗工スラリーに調製した。その中、ポリマー粒子中のナノポアの孔径が30nm、シェルの空隙率が11%、ナノポアの孔径とシェルの厚さとの比率が20%であった。
【0108】
(2)塗工スラリーをグラビアコート法で微孔性フィルムとして厚さ35μm、微細孔の孔径799nm、空隙率75%のポリイミドフィルムの一面に塗工し、加熱乾燥してセパレータを得た。その中、ポリマー粒子は体積比46.3%で微孔性フィルムに嵌め込まれ、塗層の厚さは0.5μmであった。
【0109】
2.リチウムイオン二次電池の正極シートの作製
実施例1と同様である。
【0110】
3.リチウムイオン二次電池の負極シートの作製
実施例1と同様である。
【0111】
4.リチウムイオン二次電池の作製
実施例14で作製したセパレータを用いた以外、実施例1と同様である。
【0112】
実施例15
1.セパレータの作製
(1)ポリマー粒子として粒子径900nm、ガラス転移温度125℃、熱分解温度420℃のビニルトルエン−メタクリル酸エチルコポリマー(ビニルトルエン:メタクリル酸エチル(モル比)=8:2)、及びバインダー粒子として粒子径1000nmのアクリルラテックス(ドイツのHenkel社、603)を94:6の質量比で脱イオン水溶媒に添加し、均一に攪拌して塗工スラリーに調製した。その中、ポリマー粒子中のナノポアの孔径が30nm、シェルの空隙率が10%、ナノポアの孔径とシェルの厚さとの比率が20%であった。
【0113】
(2)塗工スラリーをグラビアコート法で微孔性フィルムとして厚さ25μm、微細孔の孔径800nm、空隙率75%のセルロースフィルムの一面に塗工し、加熱乾燥してセパレータを得た。その中、ポリマー粒子は体積比18.0%で微孔性フィルムに嵌め込まれ、塗層の厚さは0.5μmであった。
【0114】
2.リチウムイオン二次電池の正極シートの作製
実施例1と同様である。
【0115】
3.リチウムイオン二次電池の負極シートの作製
実施例1と同様である。
【0116】
4.リチウムイオン二次電池の作製
実施例15で作製したセパレータを用いた以外、実施例1と同様である。
【0117】
実施例16
1.セパレータの作製
(1)ポリマー粒子として粒子径65nm、ガラス転移温度98℃、熱分解温度310℃のスチレン−メタクリル酸エチルコポリマー(スチレン:メタクリル酸エチル(モル比)=8:2)、及びバインダー粒子として粒子径75nmのアクリルラテックス(ドイツのHenkel社、603)を94:6の質量比で脱イオン水溶媒に添加し、均一に攪拌して塗工スラリーに調製した。その中、ポリマー粒子中のナノポアの孔径が15nm、シェルの空隙率が27%、ナノポアの孔径とシェルの厚さとの比率が33%であった。
【0118】
(2)塗工スラリーをグラビアコート法で微孔性フィルムとして厚さ9μm、微細孔の孔径60nm、空隙率38%のポリエチレンフィルムの一面に塗工し、加熱乾燥してセパレータを得た。その中、ポリマー粒子は体積比22.6%で微孔性フィルムに嵌め込まれ、塗層の厚さは4μmであった。
【0119】
2.リチウムイオン二次電池の正極シートの作製
実施例1と同様である。
【0120】
3.リチウムイオン二次電池の負極シートの作製
実施例1と同様である。
【0121】
4.リチウムイオン二次電池の作製
実施例16で作製したセパレータを用いた以外、実施例1と同様である。
【0122】
実施例17
1.セパレータの作製
(1)ポリマー粒子として粒子径65nm、ガラス転移温度98℃、熱分解温度310℃のスチレン−メタクリル酸エチルコポリマー(スチレン:メタクリル酸エチル(モル比)=8:2)、及びバインダー粒子として粒子径150nmのアクリルラテックス(ドイツのHenkel社、603)を94:6の質量比で脱イオン水溶媒に添加し、均一に攪拌して塗工スラリーに調製した。その中、ポリマー粒子中のナノポアの孔径が15nm、シェルの空隙率が27%、ナノポアの孔径とシェルの厚さとの比率が33%であった。
【0123】
(2)塗工スラリーをグラビアコート法で微孔性フィルムとして厚さ9μm、微細孔の孔径60nm、空隙率38%のポリエチレンフィルムの一面に塗工し、加熱乾燥してセパレータを得た。その中、ポリマー粒子は体積比22.6%で微孔性フィルムに嵌め込まれ、塗層の厚さは4μmであった。
【0124】
2.リチウムイオン二次電池の正極シートの作製
実施例1と同様である。
【0125】
3.リチウムイオン二次電池の負極シートの作製
実施例1と同様である。
【0126】
4.リチウムイオン二次電池の作製
実施例17で作製したセパレータを用いた以外、実施例1と同様である。
【0127】
実施例18
1.セパレータの作製
(1)ポリマー粒子として粒子径65nm、ガラス転移温度98℃、熱分解温度310℃のスチレン−メタクリル酸エチルコポリマー(スチレン:メタクリル酸エチル(モル比)=8:2)、及びバインダー粒子として粒子径200nmのアクリルラテックス(ドイツのHenkel社、603)を94:6の質量比で脱イオン水溶媒に添加し、均一に攪拌して塗工スラリーに調製した。その中、ポリマー粒子のナノポアの孔径が15nm、シェルの空隙率が27%、ナノポアの孔径とシェルの厚さとの比率が33%であった。
【0128】
(2)塗工スラリーをグラビアコート法で微孔性フィルムとして厚さ9μm、微細孔の孔径60nm、空隙率38%のポリエチレンフィルムの一面に塗工し、加熱乾燥してセパレータを得た。その中、ポリマー粒子は体積比22.6%で微孔性フィルムに嵌め込まれ、塗層の厚さは4μmであった。
【0129】
2.リチウムイオン二次電池の正極シートの作製
実施例1と同様である。
【0130】
3.リチウムイオン二次電池の負極シートの作製
実施例1と同様である。
【0131】
4.リチウムイオン二次電池の作製
実施例18で作製したセパレータを用いた以外、実施例1と同様である。
【0132】
実施例19
1.セパレータの作製
(1)ポリマー粒子として粒子径65nm、ガラス転移温度98℃、熱分解温度310℃のスチレン−メタクリル酸エチルコポリマー(スチレン:メタクリル酸エチル(モル比)=8:2)、及びバインダー粒子として粒子径100nmのアクリルラテックス(ドイツのHenkel社、603)を94:6の質量比で脱イオン水溶媒に添加し、均一に攪拌して塗工スラリーに調製した。その中、ポリマー粒子中のナノポアの孔径が10nm、シェルの空隙率が12%、ナノポアの孔径とシェルの厚さとの比率が22%であった。
【0133】
(2)塗工スラリーをグラビアコート法で微孔性フィルムとして厚さ9μm、微細孔の孔径60nm、空隙率38%のポリエチレンフィルムの一面に塗工し、加熱乾燥してセパレータを得た。その中、ポリマー粒子は体積比22.6%で微孔性フィルムに嵌め込まれ、塗層の厚さは4μmであった。
【0134】
2.リチウムイオン二次電池の正極シートの作製
実施例1と同様である。
【0135】
3.リチウムイオン二次電池の負極シートの作製
実施例1と同様である。
【0136】
4.リチウムイオン二次電池の作製
実施例19で作製したセパレータを用いた以外、実施例1と同様である。
【0137】
実施例20
1.セパレータの作製
(1)ポリマー粒子として粒子径65nm、ガラス転移温度98℃、熱分解温度310℃のスチレン−メタクリル酸エチルコポリマー(スチレン:メタクリル酸エチル(モル比)=8:2)、及びバインダー粒子として粒子径100nmのアクリルラテックス(ドイツのHenkel社、603)を94:6の質量比で脱イオン水溶媒に添加し、均一に攪拌して塗工スラリーに調製した。その中、ポリマー粒子中のナノポアの孔径が10nm、シェルの空隙率が24%、ナノポアの孔径とシェルの厚さとの比率が22%であった。
【0138】
(2)塗工スラリーをグラビアコート法で微孔性フィルムとして厚さ9μm、微細孔の孔径60nm、空隙率38%のポリエチレンフィルムの一面に塗工し、加熱乾燥してセパレータを得た。その中、ポリマー粒子は体積比22.6%で微孔性フィルムに嵌め込まれ、塗層の厚さは4μmであった。
【0139】
2.リチウムイオン二次電池の正極シートの作製
実施例1と同様である。
【0140】
3.リチウムイオン二次電池の負極シートの作製
実施例1と同様である。
【0141】
4.リチウムイオン二次電池の作製
実施例20で作製したセパレータを用いた以外、実施例1と同様である。
【0142】
実施例21
1.セパレータの作製
(1)ポリマー粒子として粒子径65nm、ガラス転移温度98℃、熱分解温度310℃のスチレン−メタクリル酸エチルコポリマー(スチレン:メタクリル酸エチル(モル比)=8:2)、及びバインダー粒子として粒子径100nmのアクリルラテックス(ドイツのHenkel社、603)を94:6の質量比で脱イオン水溶媒に添加し、均一に攪拌して塗工スラリーに調製した。その中、ポリマー粒子中のナノポアの孔径が10nm、シェルの空隙率が50%、ナノポアの孔径とシェルの厚さとの比率が22%であった。
【0143】
(2)塗工スラリーをグラビアコート法で微孔性フィルムとして厚さ9μm、微細孔の孔径60nm、空隙率38%のポリエチレンフィルムの一面に塗工し、加熱乾燥してセパレータを得た。その中、ポリマー粒子は体積比22.6%で微孔性フィルムに嵌め込まれ、塗層の厚さは4μmであった。
【0144】
2.リチウムイオン二次電池の正極シートの作製
実施例1と同様である。
【0145】
3.リチウムイオン二次電池の負極シートの作製
実施例1と同様である。
【0146】
4.リチウムイオン二次電池の作製
実施例21で作製したセパレータを用いた以外、実施例1と同様である。
【0147】
実施例22
1.セパレータの作製
(1)ポリマー粒子として粒子径65nm、ガラス転移温度98℃、熱分解温度310℃のスチレン−メタクリル酸エチルコポリマー(スチレン:メタクリル酸エチル(モル比)=8:2)、及びバインダー粒子として粒子径100nmのアクリルラテックス(ドイツのHenkel社、603)を94:6の質量比で脱イオン水溶媒に添加し、均一に攪拌して塗工スラリーに調製した。その中、ポリマー粒子中のナノポアの孔径が10nm、シェルの空隙率が24%、ナノポアの孔径とシェルの厚さとの比率が20%であった。
【0148】
(2)塗工スラリーをグラビアコート法で微孔性フィルムとして厚さ9μm、微細孔の孔径60nm、空隙率38%のポリエチレンフィルムの一面に塗工し、加熱乾燥してセパレータを得た。その中、ポリマー粒子は体積比22.6%で微孔性フィルムに嵌め込まれ、塗層の厚さは4μmであった。
【0149】
2.リチウムイオン二次電池の正極シートの作製
実施例1と同様である。
【0150】
3.リチウムイオン二次電池の負極シートの作製
実施例1と同様である。
【0151】
4.リチウムイオン二次電池の作製
実施例22で作製したセパレータを用いた以外、実施例1と同様である。
【0152】
実施例23
1.セパレータの作製
(1)ポリマー粒子として粒子径65nm、ガラス転移温度98℃、熱分解温度310℃のスチレン−メタクリル酸エチルコポリマー(スチレン:メタクリル酸エチル(モル比)=8:2)、及びバインダー粒子として粒子径100nmのアクリルラテックス(ドイツのHenkel社、603)を94:6の質量比で脱イオン水溶媒に添加し、均一に攪拌して塗工スラリーに調製した。その中、ポリマー粒子中のナノポアの孔径が10nm、シェルの空隙率が24%、ナノポアの孔径とシェルの厚さとの比率が33%であった。
【0153】
(2)塗工スラリーをグラビアコート法で微孔性フィルムとして厚さ9μm、微細孔の孔径60nm、空隙率38%のポリエチレンフィルムの一面に塗工し、加熱乾燥してセパレータを得た。その中、ポリマー粒子は体積比22.6%で微孔性フィルムに嵌め込まれ、塗層の厚さは4μmである。
【0154】
2.リチウムイオン二次電池の正極シートの作製
実施例1と同様である。
【0155】
3.リチウムイオン二次電池の負極シートの作製
実施例1と同様である。
【0156】
4.リチウムイオン二次電池の作製
実施例23で作製したセパレータを用いた以外、実施例1と同様である。
【0157】
実施例24
1.セパレータの作製
(1)ポリマー粒子として粒子径65nm、ガラス転移温度98℃、熱分解温度310℃のスチレン−メタクリル酸エチルコポリマー(スチレン:メタクリル酸エチル(モル比)=8:2)、及びバインダー粒子として粒子径100nmのアクリルラテックス(ドイツのHenkel社、603)を94:6の質量比で脱イオン水溶媒に添加し、均一に攪拌して塗工スラリーに調製した。その中、ポリマー粒子中のナノポアの孔径が10nm、シェルの空隙率が24%、ナノポアの孔径とシェルの厚さとの比率が50%であった。
【0158】
(2)塗工スラリーをグラビアコート法で微孔性フィルムとして厚さ9μm、微細孔の孔径60nm、空隙率38%のポリエチレンフィルムの一面に塗工し、加熱乾燥してセパレータを得た。その中、ポリマー粒子は体積比22.6%で微孔性フィルムに嵌め込まれ、塗層の厚さは4μmであった。
【0159】
2.リチウムイオン二次電池の正極シートの作製
実施例1と同様である。
【0160】
3.リチウムイオン二次電池の負極シートの作製
実施例1と同様である。
【0161】
4.リチウムイオン二次電池の作製
実施例24で作製したセパレータを用いた以外、実施例1と同様である。
【0162】
比較例1
1.セパレータの作製
実施例1で作製した厚さ9μm、空隙率30%、微細孔の孔径35nmのポリエチレンフィルムをセパレータとして用い、但し、塗工処理を省略した。
【0163】
2.リチウムイオン二次電池の正極シートの作製
実施例1と同様である。
【0164】
3.リチウムイオン二次電池の負極シートの作製
実施例1と同様である。
【0165】
4.リチウムイオン二次電池の作製
比較例1で作製したセパレータを用いた以外、実施例1と同様である。
【0166】
比較例2
1.セパレータの作製
(1)粒子径230nm、熱分解温度2800℃の酸化アルミニウム粒子、及びバインダー粒子として粒子径75nmのアクリルラテックス(ドイツのHenkel社、603)を94:6の質量比で脱イオン水溶媒に添加し、均一に攪拌して塗工スラリーに調製した。
【0167】
(2)塗工スラリーをグラビアコート法で微孔性フィルムとして厚さ9μm、微細孔の孔径35nm、空隙率30%のポリエチレンフィルムの一面に塗工し、加熱乾燥してセパレータを得た。塗層の厚さは、4μmであった。
【0168】
2.リチウムイオン二次電池の正極シートの作製
実施例1と同様である。
【0169】
3.リチウムイオン二次電池の負極シートの作製
実施例1と同様である。
【0170】
4.リチウムイオン二次電池の作製
比較例2で作製したセパレータを用いた以外、実施例1と同様である。
【0171】
比較例3
1.セパレータの作製
実施例5で作製した厚さ7μm、空隙率38%、微細孔の孔径60nmのポリエチレンフィルムをセパレータとして用い、但し、塗工処理を省略した。
【0172】
2.リチウムイオン二次電池の正極シートの作製
実施例1と同様である。
【0173】
3.リチウムイオン二次電池の負極シートの作製
実施例1と同様である。
【0174】
4.リチウムイオン二次電池の作製
比較例3で作製したセパレータを用いた以外、実施例1と同様である。
【0175】
比較例4
1.セパレータの作製
実施例9で作製した厚さ16μm、空隙率43%、微細孔の孔径100nmのポリプロピレンフィルムをセパレータとして用い、但し、塗工処理を省略した。
【0176】
2.リチウムイオン二次電池の正極シートの作製
実施例1と同様である。
【0177】
3.リチウムイオン二次電池の負極シートの作製
実施例1と同様である。
【0178】
4.リチウムイオン二次電池の作製
比較例4で作製したセパレータを用いた以外、実施例1と同様である。
【0179】
比較例5
1.セパレータの作製
実施例12で作製した厚さ20μm、空隙率50%、微細孔の孔径250nmのポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレン複合フィルムをセパレータとして用い、但し、塗工処理を省略した。
【0180】
2.リチウムイオン二次電池の正極シートの作製
実施例1と同様である。
【0181】
3.リチウムイオン二次電池の負極シートの作製
実施例1と同様である。
【0182】
4.リチウムイオン二次電池の作製
比較例5で作製したセパレータを用いた以外、実施例1と同様である。
【0183】
比較例6
1.セパレータの作製
実施例13で作製した厚さ25μm、空隙率75%、微細孔の孔径400nmのポリエチレンテレフタレートフィルムをセパレータとして用い、但し、塗工処理を省略した。
【0184】
2.リチウムイオン二次電池の正極シートの作製
実施例1と同様である。
【0185】
3.リチウムイオン二次電池の負極シートの作製
実施例1と同様である。
【0186】
4.リチウムイオン二次電池の作製
比較例6で作製したセパレータを用いた以外、実施例1と同様である。
【0187】
比較例7
1.セパレータの作製
実施例14で作製した厚さ35μm、空隙率75%、微細孔の孔径799nmのポリイミドフィルムをセパレータとして用いたが、塗工処理を省略した。
【0188】
2.リチウムイオン二次電池の正極シートの作製
実施例1と同様である。
【0189】
3.リチウムイオン二次電池の負極シートの作製
実施例1と同様である。
【0190】
4.リチウムイオン二次電池の作製
比較例7で作製したセパレータを用いた以外、実施例1と同様である。
【0191】
比較例8
1.セパレータの作製
実施例15で作製した厚さ25μm、空隙率75%、微細孔の孔径800nmのセルロースフィルムをセパレータとして用いたが、塗工処理を省略した。
【0192】
2.リチウムイオン二次電池の正極シートの作製
実施例1と同様である。
【0193】
3.リチウムイオン二次電池の負極シートの作製
実施例1と同様である。
【0194】
4.リチウムイオン二次電池の作製
比較例8で作製したセパレータを用いた以外、実施例1と同様である。
【0195】
比較例9
1.セパレータの作製
実施例16で作製した厚さ9μm、空隙率38%、微細孔の孔径60nmのポリエチレンフィルムをセパレータとして用いたが、塗工処理を省略した。
【0196】
2.リチウムイオン二次電池の正極シートの作製
実施例1と同様である。
【0197】
3.リチウムイオン二次電池の負極シートの作製
実施例1と同様である。
【0198】
4.リチウムイオン二次電池の作製
比較例9で作製したセパレータを用いた以外、実施例1と同様である。
【0199】
以下、本発明のリチウムイオン二次電池及びそのセパレータの測定プロセス及び測定結果を説明する。
【0200】
(1)セパレータの熱収縮率測定
セパレータを長さ100mm、幅100mmの正方形試料に切り取り、縦方向(MD)及び横方向(TD)を記号付け、投影検査器でMD及びTD方向の長さを測定してそれぞれL
1及びL
2と標記した。そして、セパレータを130℃の空気循環式オーブンに入れて1時間経てから取り出し、更に投影検査器でMD及びTD方向の長さを測定してそれぞれL
3及びL
4と標記した。熱収縮率は、下式により求めた。
【0201】
(数1)
セパレータのMD方向の熱収縮率=(L
1−L
3)/L
1×100%
セパレータのTD方向の熱収縮率=(L
2−L
4)/L
2×100%
【0202】
(2)セパレータのシャットダウン温度測定
セパレータを直径15mmの円形シートに切り取り、電解液に30分間浸漬して引き上げ、その後、セパレータを測定クリップで固定し、電解液を注入した。そして、クリップを固く締め付けて温度プログラム式のオーブンに入れ、温度プログラム式のオーブンを25℃から200℃に昇温させ、温度感知センサで昇温プロセスを記録し、電気化学ワークステーションを用いてセパレータの抵抗値を監視・記録し、抵抗値が急上昇する際に対応の温度をセパレータのシャットダウン温度とした。
【0203】
(3)セパレータのイオン伝導率測定
セパレータを直径15mmの円形シートに切り取り、電解液に30分間浸漬してから引き上げ、その後、セパレータを測定クリップで固定し、電解液を注入した。そして、クリップを固く締め付け、電気化学ワークステーションを用いてセパレータの抵抗値をスキャンし、各組ごとに5個のセパレータを測定してセパレータの抵抗曲線を得た。そして、セパレータの抵抗曲線からセパレータのイオン伝導率を推算した。
【0204】
(4)セパレータの吸液量測定
セパレータを長さ100mm、幅100mmの正方形試料に切り取り、セパレータの重量を秤量した。そして、セパレータを電解液に30分間浸漬してから引き上げ、吸液紙でセパレータ表面の電解液を完全に吸い取り、更にセパレータの重量を秤量し、2回の秤量で得たセパレータ重量の差値をセパレータの吸液量とした。
【0205】
(5)セパレータの塗層と微孔性フィルムとの間の粘着力測定
セパレータを長さ20mm、幅10mmの長方形試料に切り取り、セパレータの塗層が被覆されている一面を両面テープで測定基板に粘着させ、但し、10mm(すなわち、切断後のセパレータは、長手方向において10mmが測定基板に粘着されていない状態を呈する)が露出するようにした。平らに押し付けた後、基板を引張強度試験機の下部クリップに取付け、露出した10mmのセパレータを上部クリップに取付け、そして、上部クリップを引張強度試験機の鋳型に固定し、塗層を微孔性フィルムの表面から剥離しながら50mm/分間の速度で180°剥離強度を測定した。引張強度試験機で剥離強度の数値をリアルタイムに記録しておき、剥離過程における剥離強度の数学平均値をセパレータの剥離強度F(単位:N)とし、セパレータの塗層と微孔性フィルムとの間の粘着力=F/試料の幅である。
【0206】
(6)リチウムイオン二次電池の過充電試験
リチウムイオン二次電池を電池性能測定器に取り付け、25℃、1Cの充電レートで定電流にて10Vまで充電し、且つ30分間保持してから即時にリチウムイオン二次電池の温度を測定し、並びにリチウムイオン二次電池が着火又は爆発したか否かを判断した。
【0207】
(7)リチウムイオン二次電池の低温環境下での放電性能測定
リチウムイオン二次電池を電池性能測定器に取り付け、25℃、0.5Cの充電レートで定電流にて4.35Vまで充電した後、それぞれ−20℃、−10℃、0℃、10℃、25℃において0.5Cの放電レートで定電流にて3.0Vまで放電させ、リチウムイオン二次電池の放電容量を記録しておき、25℃下でのリチウムイオン二次電池の放電容量を基準とし、異なる温度下におけるリチウムイオン二次電池の容量保持率を算出した。
【0208】
(8)リチウムイオン二次電池のレート特性の測定
リチウムイオン二次電池を電池性能測定器に取り付け、25℃、0.5Cの充電レートで定電流にて4.35Vまで充電した後、それぞれ0.2C、0.5C、1C、2Cの放電レートで定電流にて3.0Vまで放電させ、リチウムイオン二次電池の放電容量を記録しておき、0.2Cの放電レートで定電流にて放電する際のリチウムイオン二次電池の放電容量を基準とし、異なる放電レート下でのリチウムイオン二次電池の容量保持率を算出した。
【0209】
(9)リチウムイオン二次電池の常温サイクル性能の測定
25℃、0.7Cの充電レートで定電流にて電圧が4.35Vに達するまで充電した後、4.35Vの定電圧にて電流が0.05Cに達するまで充電し、その後、1Cの放電レートで定電流にて電圧が3.0Vに達するまで放電させ、この充放電サイクルを1サイクルとして、このような充放電サイクルを500回繰返した。
【0210】
(数2)
nサイクル以降の容量保持率=n回目のサイクル以降の放電容量/1回目のサイクル以降の放電容量×100%
【0211】
表1に、実施例1〜24と比較例1〜9で作製したセパレータの物性を示す。
【0212】
表2に、実施例1〜24と比較例1〜9で作製したセパレータの測定結果を示す。
【0213】
表3に、実施例1、比較例1及び比較例2で作製したリチウムイオン二次電池の性能測定結果を示す。その中、各組ごとに3個のリチウムイオン二次電池を取って測定を行い、実施例1で作製したリチウムイオン二次電池をそれぞれS1−1、S1−2、S1−3と記し、比較例1で作製したリチウムイオン二次電池をそれぞれD1−1、D1−2、D1−3と記し、比較例2で作製したリチウムイオン二次電池をそれぞれD2−1、D2−2、D2−3と記した。
【0214】
次に、セパレータとリチウムイオン二次電池の性能測定結果について評価分析する。
【0215】
先ず、セパレータの性能測定結果について評価分析を行う。
【0216】
実施例1と比較例1との対比から、無塗装の比較例1のセパレータに比べ、本発明のポリマー粒子とバインダー粒子とを含む塗層を有するセパレータが性質において明らかに優れているのが分かった。また、実施例1のセパレータは、熱収縮率が小さく、シャットダウン温度が低く、イオン伝導率及び吸液量が何れも大きくなっていることが確認できた。また、実施例5と比較例3との対比、実施例9と比較例4との対比、実施例12と比較例5との対比、実施例13と比較例6との対比、実施例14と比較例7との対比、実施例15と比較例8との対比、並びに実施例16と比較例9との対比からも上記に類似した効果が認められた。
【0217】
実施例1と比較例2との対比から、酸化アルミニウムからなるセラミック塗層を有する比較例2のセパレータに比べ、本発明のポリマー粒子とバインダー粒子とを含む塗層を有するセパレータが性質において明らかに優れていることが分かった。
【0218】
実施例1〜3の対比から、ポリエチレンフィルムにおける微細孔の孔径が増加すると、同様の粒径のポリマー粒子が微孔性フィルム表面の微細孔に入り込む体積比が増加し、よって、セパレータの熱収縮率、並びにセパレータの塗層と微孔性フィルムとの間の粘着力が増加し、セパレータのイオン伝導率が一旦増加した後に次第に低下し、吸液量が低下しているのが分かる。その理由として、ポリマー粒子の微細孔に入り込む体積比が増加すると、ポリマー粒子表面におけるナノポアと微孔性フィルム表面の微細孔との接触面積が増加し、よって、セパレータのイオン伝導率が増加することが考えられる。但し、ポリマー粒子の微細孔に入り込む体積比が大き過ぎると、微孔性フィルム表面の微細孔自身の貯液能力が低下し、よって、セパレータのイオン伝導率が逆に低下する結果になってしまう虞があるので、ポリマー粒子の微孔性フィルム表面の微細孔に入り込む体積比を適度に制御する必要があると思われる。
【0219】
実施例3と実施例4との対比から、実施例4の塗層中のポリマー粒子の含有量が実施例3の塗層中のポリマー粒子の含有量より低いため、実施例4のセパレータの熱収縮率が実施例3より大きく、吸液量においては実施例3より小さくなっているのが分かる。なお、セパレータの塗層と微孔性フィルムとの間の粘着力は、バインダー粒子の含有量増加につれて増加する傾向があることを確認できる。
【0220】
実施例1〜4に比べて、実施例5〜8は、全体からして熱収縮率においてやや劣る結果を示しているが、イオン伝導率がやや増加していることを確認でき、実施例5〜8において塗層の厚さがより薄くなっていることが起因になっていると考えられる。したがって、セパレータに良好な総合的性能を付与するため、その厚さを適度に制御する必要がある。なお、ポリマー粒子の微細孔に入り込む体積についても適度に制御する必要があると思われる。実施例9〜11の対比から、塗層の厚さが6μmであるため、本発明のポリマー粒子とバインダー粒子とを含む塗層を有するセパレータが吸液量において顕著に改善されていることを確認できる。
【0221】
実施例16〜18の対比から、バインダー粒子の粒径増加につれて、セパレータの塗層と微孔性フィルムとの間の粘着力が低下したことが分かる。然しながら、バインダー粒子の粒径が小さすぎると、ポリマー粒子表面のナノポアが塞がれ、よって、セパレータの吸液量及びイオン伝導率が低下する結果になると考えられる。
【0222】
実施例19〜21の対比から、ポリマー粒子のシェル表面の空隙率が増加すると、セパレータのイオン伝導率及び吸液量が向上させたが、セパレータの熱収縮率も増加したので、セパレータの熱安定性が低下する結果になると分かる。
【0223】
実施例22〜24の対比から、ポリマー粒子表面におけるナノポアの孔径とチャンネルの長さ(すなわち、シェルの厚さ)との比率が増加すると、セパレータのイオン伝導率及び吸液量が増加したが、セパレータの熱収縮率も増加したので、セパレータの熱安定性が低下する結果になるとわかる。理由は、ナノポアの孔径が一定の場合、ナノポアの孔径とチャンネルの長さとの比率が大きいほど(すなわち、シェルの厚さが薄いほど)、電解液がより速くポリマー粒子の空洞に入れ、セパレータの一定時間内における吸液量がより大きくなると意味するが、ナノポアの孔径とチャンネルの長さとの比率が大きいほど(すなわち、シェルの厚さが薄いほど)、セパレータの熱収縮率がより大きくなり、熱安定性がより低下すると考えられる。
【0224】
以下、リチウムイオン二次電池の性能測定結果について評価分析した。
【0225】
表3に示すように、本発明の実施例1に係るポリマー粒子とバインダー粒子とを含む塗層を有するセパレータを用いたリチウムイオン二次電池が過充電試験に合格したことに対し、比較例1に係る無塗装のセパレータを用いたリチウムイオン二次電池は、15min〜20min後に着火し、過充電試験に合格できなかったことが確認できる。また、比較例2に係るセラミック粒子からなる塗層を有するセパレータを用いたリチウムイオン二次電池において、1個の試料が過充電試験に合格したが、残りの2個の試料は、それぞれ35minと38min後に着火した。このことから、本発明のポリマー粒子とバインダー粒子とを含む塗層を有するセパレータを用いたリチウムイオン二次電池は、安全性において大幅に改善されていることが実証された。
【0226】
本発明の実施例1に係るポリマー粒子とバインダー粒子とを含む塗層を有するセパレータを用いたリチウムイオン二次電池は、低温環境下での放電性能及びレート特性の観点から、比較例1に係る無塗装のセパレータを用いたリチウムイオン二次電池、及び比較例2に係るセラミック粒子からなる塗層を有するセパレータを用いたリチウムイオン二次電池に比較して優れていることが確認できる。
図1は、実施例1、比較例1及び比較例2で作製したリチウムイオン二次電池の常温サイクル性能を示す図である。
図1において、試料番号がS1−1、S1−2及びS1−3のリチウムイオン二次電池の容量保持率平均値を実施例1の容量保持率とし、試料番号がD1−1、D1−2及びD1−3のリチウムイオン二次電池の容量保持率平均値を比較例1の容量保持率とし、試料番号がD2−1、D2−2及びD2−3のリチウムイオン二次電池の容量保持率平均値を比較例2の容量保持率とした。
図1に示すように、実施例1に係るポリマー粒子とバインダー粒子とを含む塗層を有するセパレータを用いたリチウムイオン二次電池は、常温サイクル性能の観点から、比較例1に係る無塗装のセパレータを用いたリチウムイオン二次電池、及び比較例2に係るセラミック粒子からなる塗層を有するセパレータを用いたリチウムイオン二次電池に比べてより優れていることが分かる。その理由は、本発明のポリマー粒子とバインダー粒子とを含む塗層を有するセパレータが電解液の保持量を高めることができるため、それを用いたリチウムイオン二次電池の常温サイクル性能がより優れ、リチウムイオン二次電池のサイクル寿命の長期化ニーズを満たできると考えられる。
【0227】
以上を纏めると、本発明のセパレータは、高い吸液量、高いイオン伝導率及び低い熱収縮率を備え、本発明のリチウムイオン二次電池は、長いサイクル寿命、良好な低温環境下での放電性、良好なレート特性及び良好な安全性を備えることが実証された。
【0228】
【表1】
【0229】
【表2】
【0230】
【表3】