(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1の端部及び第2の端部と、該第1の端部と該第2の端部との間に長手方向軸とを有する、管状ステントであって、該管状ステントは、前記長手方向軸の回りに円筒面を画定する、ストラットの網状構造から形成され、前記ストラットは、前記網状構造内に複数のセルの境界を定め、前記長手方向軸に対して平行なセル列があり、各列内の少なくとも1つのセルが節点セルであり、該少なくとも1つの節点セルから、前記列内の、該管状ステントの前記第1の端部又は前記第2の端部により近い第1の遠位セルにかけてのセルの、前記長手方向軸に対して平行な最大長さが増加しており、前記列内に、前記節点セル及び前記第1の遠位セルとは異なる、前記長手方向軸に対して平行な最大長さを有する第2の遠位セルがあり、ストラットの前記網状構造は、周方向の複数の環を含み、各環は、前記長手方向軸に対して垂直に延び、前記環は、前記円筒面を画定するように前記長手方向軸に対して平行に互いに隣接して位置付けられており、前記周方向の環は波形をなし、各周方向の環は、各波形が、該管状ステントの軸方向中心側に延びる複数の山部と、該管状ステントの前記軸方向中心に面しない側に延びる複数の谷部とを含むように、前記長手方向軸に対して平行な幅を有し、
前記周方向の環は、周方向の節点環と周方向の遠位環とを含み、前記周方向の節点環は、該管状ステントの前記少なくとも1つの節点セルを画定し、隣接し合う周方向の節点環は、該周方向の節点環のそれぞれの山部及び/又は谷部が互いと位置合わせされて互いに結合されるように位置合わせされており、したがって、前記周方向の節点環は各セル列の前記少なくとも1つの節点セルを画定しており、
前記周方向の節点環及び前記周方向の遠位環は、第1の周方向の遠位環が第2の周方向の遠位環又は周方向の節点環に隣接している場合、前記第1の周方向の遠位環の波形の山部の少なくとも幾つかが、前記第2の周方向の遠位環又は前記周方向の節点環の波形の谷部の少なくとも幾つかと位置合わせされるように位置合わせされており、また、隣接し合う周方向の環が前記網状構造内のセルを画定するように互いに結合されており、
各周方向の遠位環は、最大幅の山部及び谷部と最小幅の山部及び谷部とが交互になっている波形を有し、
前記周方向の遠位環の前記最大幅の山部及び谷部の頂点から頂点までの幅は、周方向の節点環に比較的より近い周方向の遠位環から、前記周方向の節点環から比較的より遠い周方向の遠位環にかけて段階的に増加しており、
前記最大幅の山部及び谷部の前記頂点から頂点までの幅は幾何学的に増加していることを特徴とする、管状ステント。
請求項1又は2に記載の管状ステントであって、該管状ステントの前記節点セルから前記第1の遠位セルにかけてのセルの、前記長手方向軸に対して平行な最大長さの前記増加は、幾何学的増加による成分を含む、請求項1又は2に記載の管状ステント。
周方向の節点環に比較的より近い周方向の遠位環から、周方向の節点環から比較的より遠い周方向の遠位環にかけて、前記周方向の遠位環の前記最小幅の山部及び谷部の頂点から頂点までの幅の増加がある、請求項1〜5に記載の管状ステント。
前記周方向の遠位環の前記最小幅の山部及び谷部の前記頂点から頂点までの幅は、周方向の節点環に比較的より近い周方向の遠位環から、前記周方向の節点環から比較的より遠い周方向の遠位環にかけて段階的に増加している、請求項6に記載の管状ステント。
前記第1の節点セルと前記第2の節点セルとの間に第3の節点セルがあり、前記第1の節点セルと前記第3の節点セルとの間に第1の中間の遠位セルと、前記第2の節点セルと前記第3の節点セルとの間に第2の中間の遠位セルとがあり、前記第1の節点セル及び前記第3の節点セルのそれぞれから前記第1の中間の遠位セルにかけての、また、前記第2の節点セル及び前記第3の節点セルのそれぞれから前記第2の中間の遠位セルにかけてのセルの、前記長手方向軸に対して平行な前記最大長さは、増加している、請求項1〜11のいずれか1項に記載の管状ステント。
【背景技術】
【0002】
生来の血管又は導管内の狭窄を防止又は阻止するために、患者の体内にステントを埋め込むことが必要であるか又は望ましい多くの医療状況がある。これに関して、「ステント」とは、患者の血管又は導管の開通性を維持するとともに血管又は導管を液が流れることを可能にするために、血管又は導管に径方向外向きの力を加えることができる、人工の管状構造体である。
【0003】
ステントが患者の体内に埋め込まれる最も一般的な処置は、病変部又はプラークによって部分的に閉塞状態すなわち塞栓状態(「狭窄状態」と呼ばれる)になった冠状動脈内への埋込みである。この処置では、狭窄した冠状動脈を血管形成術処置により開き、その場合、狭窄した動脈に収縮した(crimped)ステントを導入し、例えばカテーテルのバルーンを用いることによってステントを動脈内で拡張させる。ステントの拡張により、冠状動脈を閉塞している病変部又はプラークを圧迫して、動脈が狭窄することなく血液が動脈を流れることを可能にする。処置の一環として、動脈の開通性を維持するために、ステントを拡張形態で動脈の適所に残す。幾つかの処置では、ステントの挿入前に病変部又はプラークを圧迫するために、ステントを埋め込む前に、冠状動脈の病変に冒されたセクション内でカテーテルのバルーンを拡張させることによる、事前膨張ステップが行われる。血管ステントは、冠状動脈とは別の他の血管においても用いられ、埋込み処置は同様である。
【0004】
血管ステントの主要な要件のうちの1つは、血管ステントが、血管形成術処置においてガイドされるために十分に小さな径方向直径を有する収縮形態から、ステントの外面が血管の内面と接触して係合する拡張形態に拡径することができることである。さらに、ステントは、拡張形態では、血管の内腔を開いた状態に維持するために十分な径方向強度を有しなければならい。血管ステントの様々な異なる構造形式があるが、一般的な形式は、金属メッシュステントであり、その場合、ステントはストラットの網状構造を含み、ストラットは網状構造内の複数のセルの境界を定める。ストラットは互いに対してヒンジ結合しているか又は別様に変形可能であり、これによって、埋込み後にステントの拡張が可能になる。しかしながら、より最近では、メッシュステントは、生分解性ポリマー等の他の材料から作製されている。
【0005】
メッシュステントが伴う問題の1つは、「動脈のリコイル」の問題である。メッシュステントは、拡張した後、血管の径方向内向きの力に耐えるほど十分な径方向強度を有しない場合があり、そのため、ステントが圧迫され、血管が狭窄する。この問題に対する様々な解決策があるが、いずれも理想的ではない。例えば、1つの解決策は、メッシュのセルサイズを縮小し、これによりステントの径方向強度を直接増加させることである。しかしながら、この手法に伴う問題は、セルサイズを小さくすることによりステントの可撓性が減少し、これによりステントの埋込みが困難になる可能性があることであるが、その理由は、血管は形状が完全に円筒形ではなく、そのため、ステントが埋め込まれたときに血管の本来の形態が失われる可能性があるからである。
【0006】
別の解決策は、ストラットサイズの厚さを増加させることである。しかしながら、メッシュステントのストラットが厚いほど、ステントの埋込み後に再狭窄の可能性が高くなることを示唆するエビデンスがある。
【0007】
メッシュステントにおける動脈のリコイルの問題は、金属メッシュステントの場合に生じる可能性があるが、特に、金属メッシュステントよりも本来の強度が低いポリマーメッシュステントに伴う問題である。
【0008】
特許文献1が、ステントの両端部に目の大きなメッシュ部分とステントの長手方向中央部に目の小さなメッシュ部分とを有するメッシュステントに関して記載している。目の小さなメッシュ部分は、目の大きなメッシュ部分よりも小さい寸法のメッシュを有し、ステントが埋め込まれると主要な病変部が位置するステントの長手方向中央部に用いられる。目の小さなメッシュ部分は、半径方向により高い強度を付与し、脱出症が発生する可能性を低下させる。しかしながら、ステントの両端部は、ステントが位置付けられる動脈の健康な組織部分に対する損傷を低減させるように目のより大きなメッシュ寸法を有している。このように、ステントには2つの異なるセル寸法しかない。しかしながら、可撓性を維持するとともに動脈の損傷を最小限に抑えつつも、ステントの長手方向長さに沿う動脈のリコイルの問題を回避するように、依然としてメッシュステントの構造に改善の必要性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の背景技術を血管ステントに関して上記で説明してきたが、本発明は血管ステントに限定されないことを理解されたい。尿管ステント、尿道ステント、十二指腸ステント、結腸ステント及び胆管ステント等の、血管ステント以外のステントが存在し、これらのステントには、血管ステントに関して上述したのと類似の問題が生じている。
【0011】
本発明は、上記の問題のうちの1つ又は複数を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様によれば、第1の端部及び第2の端部と、該第1の端部と該第2の端部との間に長手方向軸とを有する、管状ステントであって、該管状ステントは、長手方向軸の回りに円筒面を画定する、ストラットの網状構造から形成され、ストラットは、網状構造内の複数のセルの境界を定め、第1の端部から第2の端部まで延びるセル列があり、各列内の少なくとも1つのセルが中央セルであり、少なくとも1つの中央セルから管状ステントの第1の端部にかけて、また、少なくとも1つの中央セルから管状ステントの第2の端部にかけて各連続したセルの、長手方向軸に対して平行な最大長さが、段階的に増加しており、ストラットの網状構造は、周方向の複数の環を含み、各環は、長手方向軸に対して垂直に延び、これらの環は、円筒面を画定するように長手方向軸に対して平行に互いに隣接して位置付けられており、周方向の環は波形をなし、各周方向の環は、各波形が、該管状ステントの軸方向中心側に延びる複数の山部と、該管状ステントの軸方向中心に面しない側に延びる複数の谷部とを含むように、長手方向軸に対して平行な幅を有する、管状ステントが提供される。
【0013】
セル列は管状ステントの長手方向軸に対して平行であることが好ましい。
【0014】
ストラットは剛性ストラットであることが好ましい。
【0015】
ステントは収縮性であることが好都合である。
【0016】
軸方向中心から管状ステントの第1の端部にかけて、また、軸方向中心から管状ステントの第2の端部にかけて連続したセルの、長手方向軸に対して平行な最大長さの段階的な増加は、幾何学的増加による成分を含むことが好ましい。
【0017】
周方向の環は、周方向の中央環と周方向の遠位環とを含み、周方向の中央環は、管状ステントの少なくとも1つの中央セルを画定し、隣接し合う周方向の中央環は、周方向の中央環のそれぞれの山部及び/又は谷部が互いと位置合わせされて互いに結合されるように位置合わせされており、したがって、周方向の中央環は各セル列の少なくとも1つの中央セルを画定していることが有利である。
【0018】
前記周方向の中央環及び前記周方向の遠位環は、第1の周方向の遠位環が第2の周方向の遠位環又は周方向の中央環に隣接している場合、前記第1の周方向の遠位環の波形の山部の少なくとも幾つかが、前記第2の周方向の遠位環又は前記周方向の中央環の波形の谷部の少なくとも幾つかと位置合わせされるように位置合わせされており、また、隣接し合う周方向の環が前記網状構造内のセルを画定するように互いに結合されていることが好都合である。
【0019】
各周方向の遠位環は、最大幅の山部及び谷部と最小幅の山部及び谷部とが交互になっている波形を有することが好ましい。
【0020】
隣接し合う周方向の遠位環は、前記最大幅の山部及び谷部によってのみ互いに結合されることが有利である。
【0021】
周方向の中央環に隣接した各周方向の遠位環から、管状ステントの両端部のうちの一方に隣接した周方向の遠位環にかけて、周方向の遠位環の最小幅の山部及び谷部の頂点から頂点までの幅が段階的に増加していることが好都合である。
【0022】
周方向の中央環に隣接した各周方向の遠位環から、管状ステントの両端部のうちの一方に隣接した周方向の遠位環にかけて、周方向の遠位環の最小幅の山部及び谷部の頂点から頂点までの幅が幾何学的に増加していることが好ましい。
【0023】
周方向の中央環に隣接した各周方向の遠位環から、管状ステントの両端部のうちの一方に隣接した周方向の遠位環にかけて、周方向の遠位環の最大幅の山部及び谷部の頂点から頂点までの幅が段階的に増加していることが有利である。
【0024】
周方向の中央環に隣接した各周方向の遠位環から、管状ステントの両端部のうちの一方に隣接した周方向の遠位環にかけて、周方向の遠位環の最大幅の山部及び谷部の頂点から頂点までの幅が幾何学的に増加していることが好都合である。
【0025】
前記少なくとも1つの中央セルは閉じたセルであることが好ましい。
【0026】
便宜上、中央セルは、管状ステントの軸方向中心に位置付けられる必要はないため、節点セルと呼ぶことができる。
【0027】
少なくとも1つのセル列は、少なくとも3つのセル、好ましくは少なくとも5つのセルを含むことが有利である。
【0028】
少なくとも1つの中央セルから第1の端部にかけて各連続したセルの、長手方向軸に対して平行な最大長さは、少なくとも1つの中央セルから第2の端部にかけて各連続したセルの、長手方向軸に対して平行な最大長さが段階的に増加している割合と同じ又は異なる割合で段階的に増加していることが好都合である。
【0029】
少なくとも1つの中央セルは、管状ステントの軸方向中心に最も近いセル(単数又は複数)であることが好ましい。代替的には、少なくとも1つの中央セルは、管状ステントの軸方向中心に最も近いセルではない。代わりに、この中央セル又は各中央セルは、管状ステントの第1の端部又は第2の端部のより近くに位置付けられる。
【0030】
本発明の別の態様によれば、第1の端部及び第2の端部と、該第1の端部と該第2の端部との間に長手方向軸とを有する、管状ステントであって、該管状ステントは、前記長手方向軸の回りに円筒面を画定する、ストラットの網状構造から形成され、前記ストラットは、前記網状構造内に複数のセルの境界を定め、前記第1の端部から前記第2の端部まで延びるセル列があり、各列内の少なくとも1つのセルが節点セルであり、該少なくとも1つの節点セルから、該管状ステントの前記第1の端部又は前記第2の端部により近い第1の遠位セルにかけてのセルの、前記長手方向軸に対して平行な最大長さが増加しており、ストラットの前記網状構造は、周方向の複数の環を含み、各環は、前記長手方向軸に対して垂直に延び、前記環は、前記円筒面を画定するように前記長手方向軸に対して平行に互いに隣接して位置付けられており、前記周方向の環は波形をなし、各周方向の環は、各波形が、該管状ステントの軸方向中心側に延びる複数の山部と、該管状ステントの前記軸方向中心に面しない側に延びる複数の谷部とを含むように、前記長手方向軸に対して平行な幅を有する、管状ステントが提供される。
【0031】
節点セル及び第1の遠位セルは同じ列内にある。節点セル及び第1の遠位セルとは異なる、長手方向軸に対して平行な最大長さを有する第2の遠位セルが列内に設けられることが有利である。長手方向軸に対して平行な最大長さは、各列において、節点セルから第1の遠位セル、次に第2の遠位セルにかけて増加していることが好ましい。
【0032】
セルの少なくとも幾つかは開いたセルであることが好都合である。
【0033】
ステントは収縮性であることが好ましい。
【0034】
管状ステントの節点セルから、管状ステントの第1の端部又は第2の端部により近い第1の遠位セルにかけてのセルの、長手方向軸に対して平行な最大長さの増加は、幾何学的増加による成分を含むことが好都合である。
【0035】
周方向の環は、周方向の節点環と周方向の遠位環とを含み、周方向の節点環は、管状ステントの少なくとも1つの節点セルを画定し、隣接し合う周方向の節点環は、周方向の節点環のそれぞれの山部及び/又は谷部が互いと位置合わせされて互いに結合されるように位置合わせされており、したがって、周方向の節点環は各セル列の少なくとも1つの節点セルを画定していることが好ましい。
【0036】
前記周方向の節点環及び前記周方向の遠位環は、第1の周方向の遠位環が第2の周方向の遠位環又は周方向の節点環に隣接している場合、前記第1の周方向の遠位環の波形の山部の少なくとも幾つかが、前記第2の周方向の遠位環又は前記周方向の節点環の波形の谷部の少なくとも幾つかと位置合わせされるように位置合わせされており、また、隣接し合う周方向の環が前記網状構造内のセルを画定するように互いに結合されていることが有利である。
【0037】
各周方向の遠位環は、最大幅の山部及び谷部と最小幅の山部及び谷部とが交互になっている波形を有することが好都合である。
【0038】
隣接し合う周方向の遠位環は最大幅の山部及び谷部によってのみ互いに結合されることが有利である。
【0039】
前記隣接し合う周方向の遠位環の少なくとも幾つかは、前記最大幅の山部及び谷部によって、また、前記最小幅の山部及び谷部によって互いに結合されることが好ましい。
【0040】
周方向の節点環に比較的より近い周方向の遠位環から、周方向の節点環から比較的より遠い周方向の遠位環にかけて、前記周方向の遠位環の前記最小幅の山部及び谷部の頂点から頂点までの幅の増加があることが有利である。
【0041】
周方向の節点環に比較的より近い周方向の遠位環から、周方向の節点環から比較的より遠い周方向の遠位環にかけて、前記周方向の遠位環の前記最小幅の山部及び谷部の頂点から頂点までの幅が段階的に増加していることが好都合である。
【0042】
周方向の節点環に隣接した各周方向の遠位環から、管状ステントの両端部のうちの一方に隣接した周方向の遠位環にかけて、周方向の遠位環の最小幅の山部及び谷部の頂点から頂点までの幅が段階的に増加していることが好ましい。
【0043】
前記最小幅の山部及び谷部の前記頂点から頂点までの幅は幾何学的に増加していることが好都合である。
【0044】
周方向の節点環に比較的より近い周方向の遠位環から、周方向の節点環から比較的より遠い周方向の遠位環にかけて、前記周方向の遠位環の前記最大幅の山部及び谷部の頂点から頂点までの幅の増加があることが有利である。
【0045】
前記周方向の遠位環の前記最大幅の山部及び谷部の前記頂点から頂点までの幅は、周方向の節点環に比較的より近い周方向の遠位環から、前記周方向の節点環から比較的より遠い周方向の遠位環にかけて段階的に増加していることが好ましい。
【0046】
周方向の節点環に隣接した各周方向の遠位環から、管状ステントの両端部のうちの一方に隣接した周方向の遠位環にかけて、周方向の遠位環の最大幅の山部及び谷部の頂点から頂点までの幅が段階的に増加していることが好都合である。
【0047】
前記最大幅の山部及び谷部の前記頂点から頂点までの幅は幾何学的に増加していることが有利である。
【0048】
前記少なくとも1つの節点セルは閉じたセルであることが好ましい。
【0049】
少なくとも1つのセル列は、少なくとも3つのセルを含むことが有利である。
【0050】
前記少なくとも1つの節点セルから、本管状ステントの前記第1の端部に比較的より近い遠位セルにかけてのセルの、前記長手方向軸に対して平行な前記最大長さは、前記少なくとも1つの節点セルから、該管状ステントの前記第2の端部に比較的より近い遠位セルにかけてのセルの、前記長手方向軸に対して平行な前記最大長さが増加している割合とは異なる割合で増加していることが好都合である。
【0051】
前記第1の節点セルよりも、本管状ステントの前記端部のうちの一方に近い第2の節点セルがあり、前記第1の節点セルと前記第2の節点セルとの間に遠位セルがあり、各節点セルから該節点セル間の前記遠位セルにかけてのセルの、前記長手方向軸に対して平行な前記最大長さは、増加していることが好ましい。
【0052】
前記第1の節点セルと前記第2の節点セルとの間に第3の節点セルがあり、前記第1の節点セルと前記第3の節点セルとの間に第1の中間の遠位セルと、前記第2の節点セルと前記第3の節点セルとの間に第2の中間の遠位セルとがあり、前記第1の節点セル及び前記第3の節点セルのそれぞれから前記第1の中間の遠位セルにかけての、また、前記第2の節点セル及び前記第3の節点セルのそれぞれから前記第2の中間の遠位セルにかけてのセルの、前記長手方向軸に対して平行な前記最大長さは、増加していることが好都合である。
【0053】
前記少なくとも1つの節点セルは、本管状ステントの前記軸方向中心に最も近いセル(単数又は複数)であることが有利である。
【0054】
少なくとも1つの節点セルは、ステントの長さに沿ったどこにでも位置付けることができることが好ましい。2つ以上の節点セルがある場合、これらは互いに隣接していても隣接していなくてもよい。
【0055】
薬学的に活性な作用物質が、管状ステントに放出可能に付随していることが有利である。
【0056】
本明細書において、「長手方向」及び「軸方向」という語は同じ意味を有し、入替え可能に用いられる。
【0057】
本明細書において、「波形」という語は、構成要素、特に、形状が長さに沿って上下に振幅する周方向の環を意味する。この振幅は波の幅として規定される方向にある。振幅は、正弦波のような滑らかな曲線とすることも三角形の波形とすることもできる。
【発明を実施するための形態】
【0059】
図1を参照すると、第1の端部2及び第2の端部3と、第1の端部2と第2の端部3との間に長手方向軸4とを備える管状ステント1が示されている。第1の端部2と第2の端部3との間の等距離のところに、長手方向軸4に対して垂直な平面である、ステント1の長手方向中心5がある。ステント1の第1の端部2側に、ステント1の長手方向中心5に隣接して、第1の中央環6があり、第1の中央環6は、管状ステント1の長手方向軸4に対して平行な幅を有する波形をなして長手方向軸4の回りに周方向に延びている。第1の中央環6の波形は、長手方向中心5にそれぞれ近位の8つの山部7と、長手方向中心5からそれぞれ遠位の8つの谷部8とを含む。
【0060】
第1の中央環の谷部8に隣接して、第2の環9が設けられており、第2の環9もまた長手方向軸4の回りに周方向に延びているとともに、管状ステント1の長手方向軸4に対して平行な幅を有する波形をなしている。第2の環9の波形は、長手方向中心5にそれぞれ近位の8つの山部10と、長手方向中心5からそれぞれ遠位の8つの谷部12とを含む。第2の環9の波形は以下で更に詳細に記載する。現時点では、波形の幅が第2の環9の回りを最大幅と最小幅とが交互になっていることに留意する必要があるにすぎない。さらに、第2の環9の最大幅は第1の中央環6の幅よりも広い。加えて、第2の環9の最大幅の山部10が、第1の中央環6の交互の谷部8と位置合わせされており、長手方向軸4に対して平行な短リンク11によって接続されている。
【0061】
第2の環9の谷部12に隣接して、第3の環13が位置付けられており、第3の環13もまた長手方向軸4の回りに周方向に延びており、波形を画定している。第3の環13の波形は、連続した波形の幅が最大幅と最小幅とが交互になっているという点で第2の環9の波形と同様である。第3の環13の波形は、長手方向中心5にそれぞれ近位の8つの山部14と、長手方向中心5からそれぞれ遠位の8つの谷部29とを含む。加えて、第3の環13の波形の頂点から頂点までの最大幅は、第2の環9の波形の頂点から頂点までの最大幅よりも広い。さらに、第3の環13の最大幅を有する山部14は、第2の環9の最大幅の谷部12と位置合わせされており、長手方向軸4に対して平行な短リンク15によって接続されている。
【0062】
第3の環13の谷部29に隣接して、第4の環16があり、その次に第5の環17がある。第4の環16及び第5の環17は、第2の環9及び第3の環13のパターンを繰り返している。より具体的には、第4の環16及び第5の環17のそれぞれは、長手方向軸14の回りに周方向に延びており、連続した波形の幅が最大幅と最小幅とが交互になっている波形をなしている。第4の環16の波形は、長手方向中心5にそれぞれ近位の8つの山部18と、長手方向中心5からそれぞれ遠位の8つの谷部21とを含む。第5の環17の波形は、長手方向中心5にそれぞれ近位の8つの山部20と、長手方向中心5からそれぞれ遠位の8つの谷部36とを含む。頂点から頂点までの最大幅は、第2の環9から第3の環13、第4の環16、第5の環17にかけて連続的により広くなっている。さらに、第4の環16及び第5の環17は、互いに対して位置合わせされており、また、第4の環16の最大幅の山部18が第3の環13の最大幅の谷部29に隣接するとともにリンク19によって接続されるように第3の環13に対して位置合わせされており、また、同様に、第5の環17の最大幅の山部20が第4の環16の最大幅の谷部21と位置合わせされており、長手方向軸4に対して平行な短リンク22によって接続されている。
【0063】
ステント1の構造を長手方向中心5から第1の端部2まで記載してきた。一方、長手方向中心5から第2の端部3までのステント1は、第1の中央環6と、第2の環9、第3の環13、第4の環16、第5の環17とをそれぞれ反映する、第2の中央環6’と、第2の環9’、第3の環13’、第4の環16’、第5の環17’とを有する、長手方向中心5の平面を介した鏡像である。長手方向中心5では、第1の中央環6及び第2の中央環6’の山部7、7’は、互いに対して位置合わせされており、管状ステント1の長手方向軸に対して平行なリンク28によって互いに結合している。
【0064】
したがって、周方向の環6、6’、9、9’、13、13’、16、16’、17、17’がともに、長手方向軸4の回りに円筒面を画定していることを理解されたい。周方向の環は2つのカテゴリー、すなわち、中央環6、6’と、本明細書において遠位環と呼ばれる他の環9、9’、13、13’、16、16’、17、17’とに入ることも留意されたい。中央環6、6’は、それらのそれぞれの波形の各山部7、7’が互いにリンク28によって結合されている。しかしながら、中央環に隣接した遠位環(すなわち、第2の環9、9’)は、交互の山部10、10’、すなわち最大幅の山部のみによって、中央環に結合されている。同様に、他の遠位環(すなわち、第3の環〜第5の環13、13’、16、16’、17、17’)は、交互の山部、すなわち最大幅の山部によって、軸方向中心5により近い隣接した遠位環に結合されているにすぎない。これに関して、管状ステント1は、隣接し合う遠位環の間の位置合わせされた山部及び谷部の全てが接合されているわけではないことから、開いたセル設計を有する。
【0065】
リンク11、15、19、22と併せて、第1の環〜第5の環6、6’、9、9’、13、13’、16、16’、17、17’はともにストラットの網状構造を形成し、ストラットは網状構造内の複数のセルの境界を定める。例えば、第1の中央環6のうちの、山部7と谷部8との間のセクション、及び、谷部8と第2の山部7との間のセクションにそれぞれ対応する、第1のストラット24及び第2のストラット25によって、中央セル23が画定されている。同様に、第3のストラット26及び第4のストラット27は、第1の中央環7の第1の山部7と位置合わせされている、第2の中央環6’の第1の山部7’から、第2の中央環6’の谷部8’までのセクション、及び、第2の中央環6’のうちの、谷部8’から、第1の中央環6の第2の山部7と位置合わせされている、第2の中央環6’の第2の山部7’までのセクションに対応する。中央セル23はまた、長手方向軸4に対して平行であるとともに第1の中央環6の第1の山部7と第2の中央環6’の第1の山部7’とを接続する第1のリンク28、及び、長手方向軸4に対して平行であるとともに第1の中央環6の第2の山部7と第2の中央環6’の第2の山部7’とを接続する第2のリンク28によって画定されている。したがって、第1のストラット〜第4のストラット24、25、26、27並びに第1のリンク及び第2のリンク28はともに、第1の例示的なセルを画定している。
【0066】
位置「1」にある(すなわち、中央セル23に隣接しているとともに中央セル23と同じ列にある)セル30が、第2の環9のうち、最大幅の2つの連続した谷部12間のセクションに対応するストラットと、第3の環13のうち、最大幅の2つの連続した山部14間のセクションに対応するストラットと、第2の環9の谷部12を第3の環13の山部14と接合するそれぞれのリンク15とによって画定されている。
【0067】
位置「2」にある(すなわち、位置2にあるセル30に隣接しているとともにセル30と同じ列にあるが、中央セル23からはより遠い)セル31が、第4の環16のうち、最大幅の2つの連続した谷部21間のセクションに対応するストラットと、第5の環17のうち、最大幅の2つの連続した山部20間のセクションに対応するストラットと、第4の環16の谷部21を第5の環17の山部20と接合するそれぞれのリンク22とによって画定されている。
【0068】
位置「−1」にあるセル32も存在し、セル32は長手方向中心を中心とした位置「1」にあるセル30の鏡像である。
【0069】
位置「−2」にあるセル33も存在し、セル33は長手方向中心を中心とした位置「2」にあるセル31の鏡像である。
【0070】
列内の各セルの長さは、中央セル23から、第1の端部2により近い位置「1」におけるセル、次に第1の端部2に最も近い位置「2」におけるセルにかけて、段階的に増加している(すなわち、隣接し合うセルは同じ長さを有しない)。同様に、列内の各セルの長さは、中央セル23から、第2の端部3により近い位置「−1」におけるセル、次に第2の端部3に最も近い位置「−2」におけるセルにかけて、段階的に増加している。
【0071】
図2を参照すると、ステント1の一セクションが、ステントの繰返し構造及びステントの種々の部材間の数学的関係をよりはっきりと示すように扁平にされて示されている。
図2は、
図1に示されている完全なステントの一セクションのみを示していることを理解されたい。
図1の完全なステントは
図5において扁平にされて示されている。
【0072】
図2には、管状ステント1のこの実施形態の設計を左右するパラメーターが示されている。以下のパラメーターは独立している:
a)T
strut−径方向のストラット厚さ(押出管の厚さ)
b)W
strut−周方向のストラット幅
c)l
c−第1の中央環6及び第2の中央環6’のそれぞれの山部7、7’間の中央リンク28の半分の長さ
d)l
link−隣接し合う環のそれぞれの最大幅の山部と最大幅の谷部との間のリンク11、12、19、22の長さ
e)w
link−11、12、19、22の周方向幅(W
strutと同様)
f)NoX−軸方向の(すなわち、長手方向軸4に対して平行な)セルの数
g)NoY−周方向のセルの数
h)L
stent−ステント1の総長
i)R
stent−ステント1の予め収縮した内径(押出管の内径)
j)d
arc−リンク位置における円弧/半円の直径
k)w−第1の中央環6の山部7と谷部8との間の、長手方向軸4に対して平行な距離
l)f−係数であって、この係数だけ、(第1の中央環6以外の)各環9、13、16、17の最小幅がそれらのそれぞれの最大幅よりも小さい、係数
m)r
c−第1の中央環6及び第2の中央環6’によって画定されているセルの中央リンク28の円弧の半径。
【0073】
以下のパラメーターを導き出す必要がある−
a)dh−周方向の各セルの四分の一長
b)e−連続した環の長さ(すなわち、最大幅の山部から最大幅の谷部までの、長手方向軸に対して平行な方向の距離)間の比
c)
【数1】
−リンク無し位置における各環の円弧/半円の導直径。
【0074】
パラメーターdhを方程式(1)に従って計算する−
【数2】
【0075】
パラメーター「e」を、方程式(2)の軸方向の等式を先に考慮することによって計算する:
【数3】
【0076】
方程式(2)の左辺の最後の2つの項を方程式(3)として記述することができる。
【数4】
【0077】
方程式(3)を方程式(2)に置き換えることにより方程式(4)を得る。
【数5】
【0078】
これは、eが他のパラメーターによって明示することができないため、「e」の陰関数方程式である。ニュートン反復法を用いてこの方程式を解く。f(e)を方程式(5)として規定する。
【数6】
【0079】
f(e)=0の解によりeの適正値を得る。方法は、eの値、すなわちe=1.1を推測してニュートン法を開始することによって始まる。なお、f(e)の導関数は解析的に計算することができる。eの新しい値を計算するには、方程式(6)の公式を用いる。
【数7】
【0080】
このプロセスをe
newとe
prevとの差が10
−6未満になるまで繰り返し、それによって、軸方向の等式制約を満たすeの値を得る。
【0081】
次に
【数8】
の値を計算する。i番目の環(中央環6/6’、第1の環9/9’、第2の環13/13’、第3の環16/16’及び第4の環17/17’それぞれについてi=0、1、2、3及び4)の軸方向長さがW
iである場合、その環の
【数9】
を方程式(7)によって得る。
【数10】
【0082】
幾何学的制約
管状ステント1の上述の実施形態を用いる際に、方程式(8)、(9)及び(10)に述べる以下の幾何学的制約が生じる。
【数11】
【数12】
【数13】
【0083】
wの数値限界の決定
wの数値限界を決定するために、方程式(2)を考慮する。方程式(2)を再構成することにより以下を得る:
【数14】
【0084】
これにより管状ステント1の長手方向中心5からそれぞれ第1の端部2及び第2の端部3までのセル長さが増加するため、e>1が望ましい。e=1に限定する場合では、方程式(12)の不等式を得ることができる。
【数15】
【0085】
方程式(12)のこの関係式によりwの上限が得られる。
【0086】
wの下限は、周方向面内の中央環の長さが、拡張後の所望の最終的なステント直径の円周よりも長いものとする幾何学的制約に左右される。R
fを最終的な拡径とする。中央環の長さの正確な式が考えられ得るが、これは数学的に扱いにくい方程式をもたらし、そのため、この式を単純にするために以下の単純化が行われる。特に、中央環を半円接合部を除いた線形セグメントに関して近似化する。
図4に示されているこの近似を用いて、周方向面内の中央環の長さを方程式(13)として記述することができる。
【数16】
【0087】
上記で説明した幾何学的制約は、方程式(14)の要件を示す。
【数17】
式中、n
safeは規定される安全係数である。
【0088】
方程式(13)、(14)及び(1)を用いて、方程式(15)の関係式を示すことができる。
【数18】
【0089】
この方程式(15)の関係式によりwの下限を得る。
【0090】
wの最大値がNoX値を制約する。特に、所与のL
stentの場合、wの最大値は、e>1を得ることができるNoX値を限定する。方程式(12)を用いて、方程式(16)の公式を導き出すことができる。
【数19】
【0091】
d
arcの数値限界の決定
d
arcの下限はゼロである。上限に関しては、方程式(17)の不等式を
図2から導き出すことができる。
【数20】
【0092】
方程式(17)は、方程式(7)とともに用いてd
arcの上限を導き出すことができる。
【0093】
W
strutの数値限界の決定
理論上、W
strutの下限及び上限はそれぞれゼロ及びdhである。
【0094】
第1の中央環6及び第2の環〜第5の環9、13、16、17が
図2に示されている。見てとることができるように、第1の中央環6は、頂点から頂点までのwの幅を有する繰返し波形形態である。
【0095】
第2の環9は、最大幅の山部8と最大幅の谷部12との間の頂点から頂点までのewの最大幅と、最小幅の山部34と最小幅の谷部35との間の頂点から頂点までのf.ewの最小幅とが交互になっている波形をなしている。
【0096】
第3の環〜第5の環13、16、17は同様の波形を有しており、これらの波形は、最大幅と最小幅とが交互になっているとともに、その最大幅及び最小幅がステント1の長手方向中心5から第1の端部2にかけて環ごとに段階的に増加している。各環の頂点から頂点までの最大幅と頂点から頂点までの最小幅との相対寸法が表1にまとめてある。
【0098】
各セルは、軸方向に(すなわち、長手方向軸4に対して平行に)、1つの環の最大幅の山部(すなわち中央環の山部)から軸方向の隣接した環の最大幅の谷部まで延びていることにも留意されたい。さらに、各セルは、1つの環の最大幅の谷部(すなわち、中央環の谷部)と、隣接した環の最大幅の当接する山部とを接続するリンクから、1つの環の最大幅の谷部(すなわち、中央環の谷部)と、隣接した環の最大幅の当接する山部とを接続する、隣接したリンクにかけて周方向に延びている。
【0099】
軸方向のセルの最大長さ(すなわち、1つの環の最大幅の山部(すなわち中央環の山部)から軸方向の隣接した環の最大幅の谷部までの距離)は、中央の構造線(
図2を参照のこと)に基づいているとともに表2に示されている通りであることにも理解されたい。
【0101】
したがって、各セルの最大長さは、他の成分(l
c又はl
link)が一定であると仮定した場合、eの値に基づいた可変成分を含む。さらに、可変成分は、セルごとに中央セルから管状ステントの両端部側にかけて幾何学的に増加している。より具体的には、隣接したセルの可変成分の比が表3に示されている。
【0103】
限局性病変部における埋込みに適したステントの場合、eの好ましい値は1.08〜1.14の範囲内にある。び慢性病変部における埋込みに適したステントの場合、eの好ましい値は1.00〜1.08の範囲内にある。0.80〜0.95の範囲内のfの値が、ステントの強度及び可撓性、並びに、セルの大径に対して不利に働く、ステントに付随している薬剤(その更なる詳細は以下で示す)を送出する際のステントの性能等の他の因子のバランスをとることから好ましい。
【0104】
しかしながら、他の実施形態では、隣接し合うセルの最大の軸方向長さの比は、異なる幾何学的式に従って増加させることができるか、又は、演算的にのみ増加させ、幾何学的成分を有しないものとすることができることを理解されたい。
【0105】
上述の実施形態では、各セルの長さは、中央セル23から管状ステント1の第1の端部2及び第2の端部3におけるセルにかけて段階的に長くなっている。しかしながら、代替的な実施形態では、各セルの長さは、中央セル23から第1の端部2にかけて、第2の端部3にかけてとは異なる割合だけ(例えば、異なる幾何学的値だけ)段階的に増加する。例えば、eの値は、中央セル23から第2の端部3にかけてよりも中央セル23から第1の端部2にかけてより大きいものとすることができる。代替的な実施形態では、セルのサイズは、中央セル23から第1の端部2及び第2の端部3にかけて段階的に増加しているのではなく、中央セル23から第1の端部2にかけて、また、中央セル23から第2の端部3にかけて一部分だけ増加している。更なる実施形態では、セルサイズは、中央セル23から第1の端部2におけるセル、また、中央セル23から第2の端部3におけるセルにかけて増加しているのではなく、代わりに、中央セル23から第1の端部2にかけて、また、中央セル23から第2の端部3にかけてのセルサイズの増減の任意の組合せがあり得る。そのような実施形態は、複数の病変部を有する血管内への埋込みに特に適しており、その場合、ステントは小さいセルサイズの領域が病変部と同じ距離だけ離れるようになっており、したがって、埋込み時に、ステントが小さいセルサイズの領域をそれぞれの病変部と位置合わせするように位置決めされる。そのようなステントの一例を以下で更に詳細に記載する。
【0106】
上述の実施形態において、管状ステント1は、管状ステント1の長手方向軸4に対して平行に連続的に配置された5つのセル33、32、23、30、31を含む。しかしながら、他の実施形態では、管状ステント1は6つ以上のセルを含む。これらの代替的な実施形態では、管状ステント1の各列は、
図1に示されている実施形態において記載したように中央セル23を有しているが、更なる環の追加によって第1の端部2及び第2の端部3において更なるセルが加えられる。他の実施形態では、管状ステント1は、第1の端部2及び/又は第2の端部3のセルを省いて4つ以下のセルを含み、一列に最低3つのセルがあることを理解されたい。なお更なる実施形態では、2つ以上の中央セルが設けられる。例えば、一実施形態では、管状ステントには4つの周方向の中央環が設けられ、これらの環は、等しいサイズの2つの中央セルを画定するとともに、ステントの長手方向中心5の両側に位置付けられる。各中央セルは、長手方向軸4に対して平行な方向に同じ長さを有する。
【0107】
本発明の更なる実施形態では、この中央セル23又は各中央セル23は、管状ステント1の長手方向中心5に又は長手方向中心5の近くには位置付けられない。代わりに、この中央セル23又は各中央セル23は、管状ステントの第1の端部2又は第2の端部3のより近くに位置付けられ、位置「1」、「2」、「−1」又は「−2」(又は各列に6つ以上のセルが存在する場合は別の位置)におけるセルのうちの1つが、管状ステント1の長手方向中心5の最も近くにある。この理由から、「節点セル」という用語が、本明細書における「中央セル」のより包括的な表現として用いられる。これらの実施形態では、中央セル23から第1の端部2におけるセルにかけてのセルサイズの段階的な増加は、中央セル23から管状ステント1の第2の端部3におけるセルにかけてのセルサイズの段階的な増加と同じであっても異なっていてもよい。さらに、中央セル23から第2の端部3におけるセルにかけてのセルの数と、中央セル23から第1の端部2におけるセルにかけてのセル(したがって、周方向の環)の数が同じであっても異なっていてもよい。
【0108】
使用の際、冠状動脈等の血管内のプラーク又は病変部の存在等の判定基準に基づいて本発明のステントの埋込む患者が選択される。管状ステント1は、当該技術分野において既知であるような血管形成術処置の際に冠状動脈等の血管の中へ収縮形態で挿入される。管状ステントは、血管の、病変部又はプラークに起因して閉塞又は部分的に閉塞したセクションに位置付けられると、例えば管状ステント内での血管形成術バルーンの膨張によって原位置で拡張する。管状ステント1は、拡張時に、
図3に示されているような拡張形態に拡径する。
図3に示されているように、拡張形態では、環6、6’、9、9’、13、13’、16、16’、17、17’の波形がより真っ直ぐになっており、したがって、セルのそれぞれを周方向に拡径している。管状ステント1の軸方向長さ全体は、比較的少量だけ予め短縮されている。
【0109】
管状ステントの拡張のプロセスにおいて、病変部又はプラークを圧迫し、血管の内腔を拡張させることで、血流の抑制を低減させるか又はいっさいなくす。管状ステントは、ステンレス鋼合金又は生分解性ポリマー等の、塑性変形が可能な剛性材料から作製される。そのため、管状ステント1は、血管形成術バルーンがしぼんで抜去され、外科処置が完了した後、実質的に拡張形態を保つ。実際、管状ステント1は、バルーンがしぼんだ後、血管の径方向圧力によって僅かに圧迫されるが、それでもなお、
図3に示されている拡張形態に近い状態のままである。さらに、処置後、プラーク又は病変部が、拡張した管状ステントによって圧迫状態に維持され、血管開通性も同様に、拡張した管状ステントによって維持される。そのため、管状ステント1は、病変部のある動脈を開いたまま保持するのに十分な径方向強度を有する。管状ステント1の中央セルは比較的小さく、そのため、血管による軸方向の圧迫に抵抗するかなりの径方向強度を有しており、このような強度を有しなければ血管の閉塞又は部分的な閉塞をもたらすことに特に留意されたい。しかしながら、中央セルから管状ステント1の両端部2、3にかけてのセルのセルサイズが段階的に大きくなっていることにより、径方向強度が段階的に低減する一方、血管壁に対する損傷も段階的に低減し、管状ステント1の軸方向の可撓性は段階的に増加する。これにより、管状ステント1の、プラーク又は病変部から遠いとともに、したがって、より低い径方向強度しか有する必要がない部分が、撓んで、該部分が位置付けられている血管の形状及び形態をとることが可能になる。
【0110】
上述した実施形態は、既に閉塞しているか又は部分的に閉塞している血管に対して行われる処置に関するが、他の実施形態では、ステントは、血管がいかなる閉塞も起こす前に予防措置として挿入されることを理解されたい。
【0111】
上述した実施形態は管状ステントの開いたセル設計である。すなわち、(中央セルは閉じたセルであるが)隣接し合う周方向の遠位環の位置合わせされた山部及び谷部は全てが接合されているわけではない。しかしながら、本発明は開いたセル設計に限定されず、代替的な実施形態では、管状ステントは中央セル以外の閉じたセルを有し得ることを理解されたい。更なる実施形態では、閉じたセル設計を有する管状ステント、すなわち全てのセルが閉じたセルであるステントが提供される。
【0112】
図6を参照すると、閉じたセル設計を有する管状ステント37が示されている。管状ステント37は、第1の端部38及び第2の端部39と、第1の端部38と第2の端部39との間に長手方向軸40とを有する。第1の端部38と第2の端部39との間の等距離のところに、長手方向軸40に対して垂直な平面である、ステント37の長手方向中心41がある。長手方向中心41に隣接して、第1の周方向の中央環42があり、第1の周方向の中央環42は、管状ステント37の長手方向軸40に対して平行な幅を有する波形をなして長手方向軸40の回りに周方向に延びている。第1の周方向の環42に隣接して、第1の周方向の環42に対して連続的かつ平行に配置されている第1の周方向の遠位環43、第2の周方向の遠位環44、第3の周方向の遠位環45及び第4の周方向の遠位環46がある。周方向の遠位環のそれぞれも同様に波形をなし、また同様に管状ステント37の長手方向軸40に対して平行なそれぞれの幅を有する。
【0113】
各周方向の環の幅は、第1の中央環42から第1の周方向の遠位環43、次に他の周方向の遠位環44、45、46のそれぞれを介して第1の端部40にかけて段階的に増加している。第1の周方向の中央環42及び周方向の遠位環43、44、45、46のそれぞれの波形は、長手方向中心41にそれぞれ近位の8つの山部と、長手方向中心41からそれぞれ遠位の8つの谷部とを含む。第1の周方向の中央環42及び周方向の遠位環43、44、45、46は、第2の周方向の遠位環から第4の周方向の遠位環のそれぞれの各全ての山部が長手方向中心41により近いそのそれぞれの隣接した環の谷部と位置合わされて接合されるように、また、第1の周方向の遠位環の各全ての山部が第1の周方向の中央環42の谷部と位置合わせされて接合されるように、互いと位置合わせされている。山部及び谷部は、それらを長手方向軸40に対して平行に結合する更なる構成要素をいっさい伴わずに、「X」字構成で接合されている。
【0114】
ステント37の構造を、長手方向中心41から第1の端部38まで記載してきた。一方、長手方向中心41から第2の端部39にかけてのステント37は、第1の中央環42と、第1の遠位環43、第2の遠位環44、第3の遠位環45及び第4の遠位環46とをそれぞれ反映する、第2の中央環42’と、第1の遠位環43’、第2の遠位環44’、第3の遠位環45’及び第4の遠位環46’とを有する、長手方向中心41の平面を介した鏡像である。長手方向中心41において、第1の中央環42の山部及び第2の中央環42’の山部が互いと位置合わせされて互いに接合されている。これらの山部は、それらを長手方向軸40に対して平行に結合する更なる構成要素をいっさい伴わずに、「X」字構成で接合されている。
【0115】
したがって、周方向の中央環42、42’と遠位環43、43’、44、44’、45、45’、46、46’とが、管状ステント37の長手方向軸40に対して平行なセル列を画定している。例えば、1つのセル列47は、長手方向中心41に中央セル48と、第1の端部38のより近くの位置「1」にセル49と、第1の端部38に隣接した位置「2」にセル50とを含む。同様に、セル49’は、中央セルに隣接しているが管状ステント37の第2の端部47により近い位置「−1」にあり、セル50’は、第2の端部39に隣接した位置「−2」にある。
【0116】
長手方向軸40に対して平行な方向の各セルの最大長さは、中央セル48から位置「1」におけるセル49、次に位置「2」におけるセル50にかけて段階的に増加している。同様に、各セルの長さは、もう一方の方向に、中央セル48から位置「−1」におけるセル49’、次に位置「−2」におけるセル50’にかけて増加している。代替的な実施形態では、中央セル48から第1の端部38にかけて、また、中央セル48から第2の端部39にかけてセルサイズの増減の任意の組合せがあり得る。
【0117】
図6に示されている実施形態では、管状ステント37は、周方向の隣接し合う遠位環の位置合わせされた山部及び谷部が全て接合されていることから、閉じたセル設計を有する。代替的な実施形態では、ステントの長さに沿って閉じたセルと開いたセルとの任意の組合せがあり得る。
【0118】
図7を参照すると、本発明の別の実施形態による管状ステント51が示されている。
図7の管状ステント51は、
図6に示されている管状ステント37と同様であり、同様の部材が同じ参照符号によって示されている。しかしながら、
図7の管状ステント51は、
図6に示されている管状ステント37とは異なっており、その理由は、第1の中央環42と第1の遠位環43との間、及び、第2の遠位環44と第3の遠位環45との間の各接合部52において、それぞれの山部及び谷部が、「X」字構成ではなく、第1の端部38から長手方向中心41につながる「S」字状リンカーによって接続されているからである。同じことが、第2の中央環42’と、管状ステント51の第2の端部39側の第1の遠位環43’、第2の遠位環44’及び第3の遠位環45’に当てはまる。「S」字状リンカーは、管状ステント51の可撓性を提供するとともに管状ステント51の短縮化を抑える。
【0119】
図8を参照すると、本発明の別の実施形態による管状ステント53が示されている。
図8の管状ステント53は、
図7に示されている管状ステント51と同様であり、同様の部材が同じ参照符号によって示されている。しかしながら、
図8の管状ステント53は、
図7に示されている管状ステント51とは異なっており、その理由は、隣接し合う周方向の遠位環43、43’、44、44’、45、45’、46、46’の山部と谷部との間、及び、第1の周方向の遠位環43、43’と第1の周方向の中央環42及び第2の周方向の中央環42’との間の接合部における全ての接合部52が、「X」字構成ではなく、第1の端部38又は第2の端部39から長手方向中心41につながる「S」字状リンカーによって接続されているからである。これにより、管状ステント53の可撓性が増加する。
【0120】
図9を参照すると、本発明の別の実施形態による管状ステント54が示されている。
図9の管状ステント54は、
図8に示されている管状ステント53と同様であり、同様の部材が同じ参照符号によって示されている。しかしながら、
図9の管状ステント54は、
図8に示されている管状ステント53とは異なっており、その理由は、第1の周方向の中央環42及び第2の周方向の中央環42’のそれぞれの山部が合流していないからである。代わりに、第1の周方向の中央環42の各山部が、長手方向軸40に対して平行に延びるブリッジ55を介して第2の周方向の中央環42’の位置合わせされた山部に接合されている。したがって、中央セル48は六角形である。この実施形態の管状ステント54は、ステントの中心から離れる方向への延伸支持を有する。
【0121】
特に、幾つかの実施形態では、ステントの長さに沿って隔てられた複数の節点セルがある。そのような実施形態では、節点セル間でセルサイズが増加していくか、減少していくか又は増減する。そのような実施形態により、患者に特異的なステント及び/又は疾患に特異的なステントが得られる。そのようなステントを用いて、血管内の複合疾患、末梢疾患、又は、び慢性疾患及び/又は限局性疾患を治療することができる。そのようなステントの一例が
図10に示されている。
【0122】
図10を参照すると、本発明の別の実施形態による管状ステント56が示されている。管状ステント56は、第1の端部38及び第2の端部39と、第1の端部38と第2の端部39との間に長手方向軸40とを有する。第1の端部38と第2の端部39との間の等距離のところに、長手方向軸40に対して垂直な平面である、ステント56の長手方向中心41がある。長手方向中心41と第1の端部38との間に、第1の周方向の節点環57があり、第1の周方向の節点環57は、管状ステント56の長手方向軸40に対して平行な幅を有する波形をなして長手方向軸40の回りに周方向に延びている。長手方向中心41の遠位に、第1の周方向の節点環57に隣接して、第1の周方向の節点環57に対して連続的かつ平行に配置されている第1の周方向の遠位環59、第2の周方向の遠位環60、第3の周方向の遠位環61及び第4の周方向の遠位環62がある。周方向の遠位環のそれぞれも同様に波形をなし、また同様に管状ステント56の長手方向軸40に対して平行なその幅を有する。
【0123】
各周方向の環の幅は、第1の周方向の節点環57から第1の周方向の遠位環59、次に他の周方向の遠位環60、61、62のそれぞれを介して第1の端部38にかけて増加している。第1の周方向の節点環57及び周方向の遠位環59、60、61、62のそれぞれの波形は、長手方向中心41にそれぞれ近位の8つの山部と、長手方向中心41からそれぞれ遠位の8つの谷部とを含む。第1の周方向の節点環57及び周方向の遠位環59、60、61、62は、第2の周方向の遠位環から第4の周方向の遠位環の各全ての山部が長手方向中心41により近いそのそれぞれの隣接した環の谷部と位置合わされて接合されるように、また、第1の周方向の遠位環の各全ての山部が第1の周方向の節点環57の谷部と位置合わせされて接合されるように、互いと位置合わせされている。第1の周方向の節点環57と第1の遠位環59との間、及び、第2の遠位環60と第3の遠位環61との間の各接合部において、それぞれの山部及び谷部が、第1の端部38から長手方向中心41につながる「S」字状のリンカーによって接続されている。第1の遠位環59と第2の遠位環60との間、及び、第3の遠位環61と第4の遠位環62との間の各接合部において、それぞれの山部及び谷部は、それらを長手方向軸41に対して平行に結合する更なる構成要素をいっさい伴わずに、「X」字構成で接合されている。
【0124】
長手方向中心41の比較的近位に、第1の周方向の節点環57に隣接して、第1の周方向の節点環57と、第1の周方向の遠位環59、第2の周方向の遠位環60、第3の周方向の遠位環61及び第4の周方向の遠位環62とをそれぞれ反映する、第2の周方向の節点環57’と、対応側の第1の周方向の遠位環59’、第2の周方向の遠位環60’、第3の周方向の遠位環61’及び第4の周方向の遠位環62’とがある。第1の周方向の節点環57の山部及び第2の周方向節点環57’の山部は互いと位置合わせされて互いに接合されている。これらの山部は、それらを長手方向軸40に対して平行に結合する更なる構成要素をいっさい伴わずに「X」字構成で接合されている。
【0125】
ステント56の構造を、長手方向中心41から第1の端部38まで説明してきた。一方、長手方向中心から第2の端部までのステント56は、第1の周方向の節点環57及び第2の周方向の節点環57’と、第1の周方向の遠位環59及びその対応環59’、第2の周方向の遠位環60及びその対応環60’、第3の周方向の遠位環61及びその対応環61’並びに第4の周方向の遠位環62及びその対応環62’とをそれぞれ反映する、第3の周方向の節点環58及び第4の周方向の節点環58’と、第5の周方向の遠位環63及びその対応環63’、第6の周方向の遠位環64及びその対応環64’、第7の周方向の遠位環65及びその対応環65’並びに第8の周方向の遠位環66及びその対応環66’とを有する、長手方向中心41の平面を介した鏡像である。長手方向中心41において、第4の対応側の周方向の遠位環62’の山部及び第8の対応側の周方向の遠位環66’の山部が互いと位置合わせされて互いに接合されている。これらの山部は、それらを長手方向軸40に対して平行に結合する更なる構成要素をいっさい伴わずに、「X」構成で接合されている。
【0126】
したがって、周方向の節点環57、57’及び58、58’と、周方向の遠位環59、59’、60、60’、61、61’、62、62’、63、63’、64、64’、65、65’、66、66’とが、管状ステント56の長手方向軸40に対して平行なセル列を画定している。例えば、1つのセル列67は、第1の周方向の節点環57及び第2の周方向の節点環57’によって画定されている第1の節点セル68と、第3の周方向の節点環58及び第4の周方向の節点環58’によって画定されている第2の節点セル69とを含む。第1の節点セル68に隣接して、第1の端部38に比較的より近い第1の遠位セル70があり、第2の遠位セル71が第1の端部38に隣接している。第1の節点セル68に隣接して、第1の端部38から比較的より遠い第3の遠位セル72があり、第4の遠位セル73が長手方向中心41に隣接している。第2の節点セル69に隣接して、第2の端部39に比較的より近い第5の遠位セル74があり、第6の遠位セル75が第2の端部39に隣接している。第2の節点セル69に隣接して、第2の端部39から比較的より遠くに、第7の遠位セル76があり、第8の遠位セル77が長手方向中心41に隣接している。
【0127】
長手方向軸40に対して平行な方向の各セルの最大長さは、第1の節点セル68から第1の遠位セル70、次に第2の遠位セル71にかけて増加している。同様に、各セルの長さは、もう一方の方向に、第1の節点セル68から第3の遠位セル72にかけて、次に第4の遠位セル73にかけて増加している。管状ステント56は長手方向中心41の平面を介した鏡像であるため、長手方向軸40に対して平行なセルの最大長さは、第2の節点セル69から第5の遠位セル74、次に第6の遠位セル75にかけて増加していく。同様に、各セルの長さは、もう一方の方向に、第2の節点セル69から第7の遠位セル76、次に第8の遠位セル77にかけて増加していく。したがって、第1の節点セル68から第2の節点セル69にかけて述べると、セルの最大長さは長手方向中心41にかけて増加し、次に第2の節点セル69にかけて減少する。
【0128】
この実施形態を用いる際、ステント56は、前述の実施形態で記載したように血管に埋め込まれる。しかしながら、この実施形態のステント56は、血管内の2つの病変部がある部位への埋込みに特に適合されている。ステント56は、第1の節点セル68及び第2の節点セル69が2つの病変部の中心と同じ距離だけ離れているようになっている。埋込み時に、ステント56は、第1の節点セル68及び第2の節点セル69が各病変部とそれぞれ位置合わせされるように血管内に位置付けられる。したがって、ステント56は、2つの病変部の位置に対応する場所において最も大きな径方向強度を有しており、第1の節点セル68と第2の節点セル69とから離れたそれらの間のセクションに沿ってステントの可撓性が漸次的に増加している。
【0129】
本発明の更なる実施形態では、ステントには3つ以上の節点セルが設けられることを理解されたい。これらの実施形態では、ステントは、3つ以上の病変部を有する血管内への埋込みに適合される。
【0130】
上述の実施形態では、薬剤又は他の薬学的に活性な作用物質を管状ステント1に放出可能に付随させることができ、薬剤はステント1が血管に埋め込まれた後で放出される。通常、薬剤は、ステント1が埋め込まれると血管の炎症反応又は再狭窄又は血栓を抑制する抗炎症性又は抗増殖性又は抗血栓性の薬剤である。