特許第6050814号(P6050814)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6050814集合電池用断熱容器、集合電池用制御装置及び集合電池用故障検出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6050814
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】集合電池用断熱容器、集合電池用制御装置及び集合電池用故障検出方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/34 20060101AFI20161212BHJP
   H01M 2/02 20060101ALI20161212BHJP
   H01M 10/39 20060101ALI20161212BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20161212BHJP
【FI】
   H01M2/34 A
   H01M2/02 L
   H01M10/39 Z
   H01M10/48 P
【請求項の数】9
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-520972(P2014-520972)
(86)(22)【出願日】2013年3月12日
(86)【国際出願番号】JP2013056851
(87)【国際公開番号】WO2013187096
(87)【国際公開日】20131219
【審査請求日】2015年11月18日
(31)【優先権主張番号】特願2012-136203(P2012-136203)
(32)【優先日】2012年6月15日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100149261
【弁理士】
【氏名又は名称】大内 秀治
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(72)【発明者】
【氏名】福原 基広
【審査官】 浅野 裕之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−243435(JP,A)
【文献】 特開2005−293881(JP,A)
【文献】 特開2001−084996(JP,A)
【文献】 特開平10−115569(JP,A)
【文献】 特開2003−151620(JP,A)
【文献】 特開2002−260724(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/00〜2/08
H01M 2/20〜2/34
H01M 10/39
H01M 10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面が開放され、複数の単電池(26)を直列乃至並列に接続してなる集合電池(28)が収容される箱体(12)と、
前記箱体(12)の上面側に載置される蓋体(14)とを備え、
前記箱体(12)と前記蓋体(14)とによって形成され、前記集合電池(28)が収容される内部空間(24)と、外部空間とを、断熱させるための集合電池用断熱容器であって、
前記箱体(12)の底部に、前記集合電池(28)からの活物質の漏洩を検出するための回路部材(36)を有し、
前記回路部材(36)は、
ヒータ線(44)とは別に配線された少なくとも1つの導線と、
前記ヒータ線(44)上に積層され、前記導線が載置される第1絶縁層(50a)と、
前記導線上に積層された第2絶縁層(50b)とを有し、
前記第2絶縁層(50b)は、前記集合電池(28)が収容された前記内部空間(24)から前記導線にかけて貫通する複数の孔(58b)を有することを特徴とする集合電池用断熱容器。
【請求項2】
請求項1記載の集合電池用断熱容器において、
前記導線は、
少なくとも前記集合電池(28)を前記箱体(12)の底部に投影した図形全体にわたって張り巡らされていることを特徴とする集合電池用断熱容器。
【請求項3】
請求項2記載の集合電池用断熱容器において、
前記導線は、くし歯状に張り巡らされて配線されていることを特徴とする集合電池用断熱容器。
【請求項4】
請求項3記載の集合電池用断熱容器において、
前記回路部材(36)は、共にくし歯状に張り巡らされて配線された第1導線(52A)及び第2導線(52B)を有し、
前記第1導線(52A)の隣接するくし歯(56a)の間に、前記第2導線(52B)のくし歯(56b)が位置するように配線されていることを特徴とする集合電池用断熱容器。
【請求項5】
請求項3記載の集合電池用断熱容器において、
前記回路部材(36)は、共にくし歯状に張り巡らされて配線された第1導線(52A)及び第2導線(52B)を有し、
前記第1導線(52A)のくし歯(56a)の方向と前記第2導線(52B)のくし歯(56b)の方向とが異なっていることを特徴とする集合電池用断熱容器。
【請求項6】
請求項又は記載の集合電池用断熱容器において、
前記回路部材(36)は、
前記ヒータ線(44)上に積層され、前記第1導線(52A)が載置される第1絶縁層(50a)と、
前記第1導線(52A)上に積層され、前記第2導線(52B)が載置される第2絶縁層(50b)と、
前記第2導線(52B)上に積層された第3絶縁層(50c)とを有し、
前記第3絶縁層(50c)は、前記集合電池(28)が収容された前記内部空間(24)から前記第2導線(52B)にかけて貫通する複数の孔(58a)を有し、
前記第2絶縁層(50b)は、前記第2導線(52B)から前記第1導線(52A)にかけて貫通する複数の孔(58b)を有することを特徴とする集合電池用断熱容器。
【請求項7】
内部にヒータ線(44)を有する集合電池用断熱容器(10)に収容され、複数の単電池(26)を直列乃至並列に接続してなる集合電池(28)の集合電池用制御装置であって、
前記集合電池(28)からの活物質の漏洩を検出する活物質漏洩検出部(120)を有し、
前記集合電池用断熱容器(10)は、
前記ヒータ線(44)とは別に配線された少なくとも1つの導線と、
前記ヒータ線(44)上に積層され、前記導線が載置される第1絶縁層(50a)と、
前記導線上に積層された第2絶縁層(50b)とを有し、
前記第2絶縁層(50b)は、前記集合電池(28)が収容された内部空間(24)から前記導線にかけて貫通する複数の孔(58b)を有し、
前記活物質漏洩検出部(120)は、
記導線の抵抗値を計測する抵抗計測部(146)と、
前記抵抗計測部(146)にて計測した抵抗値に変化があった場合に、前記集合電池(28)から活物質の漏洩があったことを示す漏洩検知信号を出力する漏洩判別部(148)と、を有することを特徴とする集合電池用制御装置。
【請求項8】
請求項記載の集合電池用制御装置において、
前記集合電池用断熱容器(10)内に、前記ヒータ線(44)とは別に配線された第1導線(52A)及び第2導線(52B)を有し、
前記抵抗計測部(146)は、前記第1導線(52A)及び前記第2導線(52B)の各抵抗値を計測し、
前記漏洩判別部(148)は、前記第1導線(52A)の抵抗値、前記第2導線(52B)の抵抗値、前記第1導線(52A)の抵抗値と前記第2導線(52B)の抵抗値との差分のうち、いずれか1つ以上に変化があった場合に、前記漏洩検知信号を出力することを特徴とする集合電池用制御装置。
【請求項9】
内部にヒータ線(44)を有する集合電池用断熱容器(10)に収容され、複数の単電池(26)を直列乃至並列に接続してなる集合電池(28)の故障を検出する集合電池用故障検出方法であって、
前記集合電池用断熱容器(10)は、
内部に前記ヒータ線(44)とは別に配線された少なくとも1つの導線と、
前記ヒータ線(44)とは別に配線された少なくとも1つの導線と、
前記ヒータ線(44)上に積層され、前記導線が載置される第1絶縁層(50a)と、
前記導線上に積層された第2絶縁層(50b)とを有し、
前記第2絶縁層(50b)は、前記集合電池(28)が収容された内部空間(24)から前記導線にかけて貫通する複数の孔(58b)を有し、
前記導線の抵抗値を計測する第1ステップと、
計測した抵抗値に変化があった場合に、前記集合電池(28)から活物質の漏洩故障があったことを示す信号を出力する第2ステップと、を有することを特徴とする集合電池用故障検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数の単電池が接続されて構成され、高温で運転される集合電池に適用される集合電池用断熱容器、集合電池用制御装置及び集合電池用故障検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ナトリウム−硫黄電池(以下、「NaS電池」と記す。)は、活物質である金属ナトリウム及び硫黄が固体電解質管により隔離収納された構造の高温二次電池であり、約300℃の高温に加熱されると、溶融された両活物質の電気化学反応により、所定のエネルギーが発生する。そして、通常、NaS電池は、複数の単電池を立設集合し、相互に接続した電池モジュールの形で用いられている。すなわち、電池モジュールは、複数の単電池を直列に接続した回路(ストリング)を、並列に接続してブロックを構成し、さらに該ブロックを少なくとも2以上直列に接続した集合電池の形態を有する。
【0003】
集合電池用断熱容器は、NaS電池のような、高温で運転される電池モジュールの高温状態を維持することを目的として、電池モジュールが収容される内部空間と外部空間とを断熱させるために用いられるものである。集合電池用断熱容器は、電池モジュールの組立性や取り扱いの容易さを考慮して、上面が開放され、高温で運転される電池モジュールが収容される箱体と、箱体の上面側に載置される蓋体とを備えた箱形構造を採用することが一般的である(例えば特許第3693983号公報参照)。
【0004】
また、NaS電池において、このような適切な運転を実現するための集合電池用制御装置は、電池モジュール毎に独立して備わるモジュール制御器と、汎用機器である例えばシーケンサとを備える。各モジュール制御器により各電池モジュールの作動電圧及び作動温度を計測し運転状態を監視すると共に、各電池モジュールに備わるヒータをON/OFFさせてNaS電池の作動温度を調節する。また、シーケンサに備わる電流計測機能により、NaS電池の例えば放電電流を計測してシーケンサにおいて電圧降下を算出し放電カットオフ電圧を求め、NaS電池の放電末(放電深度)の検出を行っている(例えば特開2003−288950号公報参照)。なお、カットオフ電圧とは、NaS電池の充電末あるいは放電末を判断する上で基準となる電圧をいう。
【0005】
また、電池モジュールの故障(ブロック単位の故障等)を検出する方法としては、各ブロックの放電深度を比較することにより、電池モジュールの故障を検出する方法が開示されている(例えば、特開平3−158781号公報参照)。この方法は、電池モジュールを構成するブロック毎に電池の故障の有無を判断するため、ブロックを構成する個々のNaS単電池毎に故障を検出する方法と比較して、装置が複雑化せず、また、製造コストも低減できる点において好適である。
【発明の概要】
【0006】
ところで、単電池の故障ひいてはモジュールの故障の要因は、単電池の内部短絡又は外部短絡と考えられる。
【0007】
単電池の外部短絡は、単電池内の活物質の漏洩による外部短絡ループの形成が挙げられる。単電池の内部短絡はベータ管の破損等による短絡が挙げられる。
【0008】
これら単電池の外部短絡及び内部短絡は、上述したブロック毎の放電深度を把握することで検出することができるが、短絡による放電深度の変化は、急激ではなく、比較的長い期間にわたって徐々に行われるため、検出精度が低いと、故障が発生した際の初動行為が遅延するというリスクがある。
【0009】
そこで、放電深度の変化の検出精度を高めることが考えられるが、ブロック毎の放電深度の変化を検出する手法とは異なった手法を簡単に実現させることができる集合電池用断熱容器、集合電池用制御装置及び集合電池用故障検出方法の提案が望まれている。
【0010】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、活物質が漏洩している単電池の有無を簡単に検出することができる構造を具備し、ブロック毎の放電深度の変化を検出する手法とは異なった故障検出手法を簡単に実現させることができる集合電池用断熱容器及び集合電池用制御装置を提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明は、活物質が漏洩している単電池の有無をリアルタイムに検出することができ、故障が発生した際の初動行為の遅延のリスクを回避することができる集合電池用故障検出方法を提供することを目的とする。
【0012】
[1] 第1の本発明に係る集合電池用断熱容器は、上面が開放され、複数の単電池を直列乃至並列に接続してなる集合電池が収容される箱体と、前記箱体の上面側に載置される蓋体とを備え、前記箱体と前記蓋体とによって形成され、前記集合電池が収容される内部空間と、外部空間とを、断熱させるための集合電池用断熱容器であって、前記箱体の底部に、前記集合電池からの活物質の漏洩を検出するための回路部材を有することを特徴とする。
【0013】
これにより、活物質が漏洩している単電池の有無を簡単に検出することができ、ブロック毎の放電深度の変化を検出する手法とは異なった故障検出手法を簡単に実現させることができる。その結果、活物質が漏洩している単電池の有無をリアルタイムに検出することができ、故障が発生した際の初動行為の遅延のリスクを回避することができる。
【0014】
[2] 第1の本発明において、前記回路部材は、ヒータ線とは別に配線された少なくとも1つの導線を有するようにしてもよい。この場合、導線の抵抗値を計測し、抵抗に変化があった場合に、1以上の単電池に活物質の漏洩故障があったことがわかる。
【0015】
[3] また、前記導線は、少なくとも前記集合電池を前記箱体の底部に投影した図形全体にわたって張り巡らされていることが好ましい。これにより、集合電池を構成する複数の単電池のうち、活物質が漏洩している単電池の有無を簡単に検出することができる。
【0016】
[4] さらに、前記導線は、くし歯状に張り巡らされて配線されていることが好ましい。導線をくし歯状に配線することで、導線が抵抗線としても機能し、これにより、活物質の接触による抵抗変化が大きくなり、活物質が漏洩している単電池の有無を早期に検出することができる。
【0017】
[5] また、前記回路部材は、前記ヒータ線上に積層され、前記導線が載置される第1絶縁層と、前記導線上に積層された第2絶縁層とを有し、前記第2絶縁層は、前記集合電池が収容された前記内部空間から前記導線にかけて貫通する複数の孔を有するようにしてもよい。この場合、1以上の単電池から活物質が漏洩すると、漏洩した活物質が第2絶縁層の孔を通して導線に到達することとなるため、活物質が漏洩している単電池の有無を簡単に検出することができる。
【0018】
[6] さらに、前記回路部材は、共にくし歯状に張り巡らされて配線された第1導線及び第2導線を有し、前記第1導線の隣接するくし歯の間に、前記第2導線のくし歯が位置するように配線されていてもよい。これにより、例えば第1導線及び第2導線のくし歯のピッチを単電池の配列ピッチの2倍以下にすれば、上面から見たときの隣接する第1導線のくし歯と第2導線のくし歯との間隔を、単電池の配列ピッチ以下にすることができ、1つの単電池のみの活物質の漏洩故障でも確実に、且つ、リアルタイムに検出することが可能となる。
【0019】
[7] また、前記回路部材は、共にくし歯状に張り巡らされて配線された第1導線及び第2導線を有し、前記第1導線のくし歯の方向と前記第2導線のくし歯の方向とが異なっていてもよい。この場合も、1つの単電池のみの活物質の漏洩故障でも確実に、且つ、リアルタイムに検出することが可能となる。
【0020】
[8] さらに、前記回路部材は、前記ヒータ線上に積層され、前記第1導線が載置される第1絶縁層と、前記第1導線上に積層され、前記第2導線が載置される第2絶縁層と、前記第2導線上に積層された第3絶縁層とを有し、前記第3絶縁層は、前記集合電池が収容された前記内部空間から前記第2導線にかけて貫通する複数の孔を有し、前記第2絶縁層は、前記第2導線から前記第1導線にかけて貫通する複数の孔を有するようにしてもよい。
【0021】
この場合、1以上の単電池から活物質が漏洩すると、漏洩した活物質が第3絶縁層の孔を通して第2導線に到達し、あるいは、漏洩した活物質が第3絶縁層の孔及び第2絶縁層の孔を通して第1導線に到達し、あるいは、漏洩した活物質が第3絶縁層の孔を通して第2導線に到達した後、さらに第2絶縁層の孔を通して第1導線に到達することとなるため、活物質が漏洩している単電池の有無を簡単に検出することができる。
【0022】
[9] 第2の本発明に係る集合電池用制御装置は、内部にヒータ線を有する集合電池用断熱容器に収容され、複数の単電池を直列乃至並列に接続してなる集合電池の集合電池用制御装置であって、前記集合電池からの活物質の漏洩を検出する活物質漏洩検出部を有し、前記活物質漏洩検出部は、前記集合電池用断熱容器内に、前記ヒータ線とは別に配線された少なくとも1つの導線と、前記導線の抵抗値を計測する抵抗計測部と、前記抵抗計測部にて計測した抵抗値に変化があった場合に、前記集合電池から活物質の漏洩があったことを示す漏洩検知信号を出力する漏洩判別部と、を有することを特徴とする。
【0023】
これにより、活物質が漏洩している集合電池の有無を簡単に検出することができ、ブロック毎の放電深度の変化を検出する手法とは異なった故障検出手法を簡単に実現させることができる。その結果、活物質が漏洩している集合電池の有無をリアルタイムに検出することができ、故障が発生した際の初動行為の遅延のリスクを回避することができる。
【0024】
[10] 第2の本発明において、前記集合電池用断熱容器内に、前記ヒータ線とは別に配線された第1導線及び第2導線を有し、前記抵抗計測部は、前記第1導線及び前記第2導線の各抵抗値を計測し、前記漏洩判別部は、前記第1導線の抵抗値、前記第2導線の抵抗値、前記第1導線の抵抗値と前記第2導線の抵抗値との差分のうち、いずれか1つ以上に変化があった場合に、前記漏洩検知信号を出力するようにしてもよい。
【0025】
[11] 第3の本発明に係る集合電池用故障検出方法は、内部にヒータ線を有する集合電池用断熱容器に収容され、複数の単電池を直列乃至並列に接続してなる集合電池の故障を検出する集合電池用故障検出方法であって、前記集合電池用断熱容器は、内部に前記ヒータ線とは別に配線された少なくとも1つの導線を有し、前記導線の抵抗値を計測する第1ステップと、計測した抵抗値に変化があった場合に、前記集合電池から活物質の漏洩故障があったことを示す信号を出力する第2ステップと、を有することを特徴とする。
【0026】
以上説明したように、本発明に係る集合電池用断熱容器及び集合電池用制御装置によれば、活物質が漏洩している単電池の有無を簡単に検出することができる構造を具備し、ブロック毎の放電深度の変化を検出する手法とは異なった故障検出手法を簡単に実現させることができる。
【0027】
また、本発明に係る集合電池用故障検出方法によれば、活物質が漏洩している単電池の有無をリアルタイムに検出することができ、故障が発生した際の初動行為の遅延のリスクを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本実施の形態に係る集合電池用断熱容器の構成を示す縦断面図である。
図2】電池モジュールを示す等価回路図である。
図3】ヒータ部材及び回路部材の積層構造を示す分解斜視図である。
図4】第1導線及び第2導線の配線形態の一例を示す説明図である。
図5】第1導線及び第2導線の配線形態の他の例を示す説明図である。
図6】本実施の形態に係る集合電池用制御装置を電池モジュール列と共に示す構成図である。
図7】本実施の形態に係る集合電池用制御装置の構成を示すブロック図である。
図8】制御装置における計測制御部の電圧計測部の構成を示す回路図である。
図9】制御装置における活物質漏洩検出部の第2電圧計測部の構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係る集合電池用断熱容器、集合電池用制御装置及び集合電池用故障検出方法を例えばNaS電池に適用した実施の形態例を図1図9を参照しながら説明する。
【0030】
先ず、本実施の形態に係る集合電池用断熱容器(以下、断熱容器10と記す)は、図1に示すように、上面が開放された箱体12と、箱体12の上面側に載置される蓋体14とによって構成されている。
【0031】
箱体12は、例えばステンレスからなる板材によって構成し、それ自体が中空部を有する箱状に形成されている。中空部は、気密的に封止された密閉空間であり、図示されない真空バルブによって、中空部と外部空間とが連通し得る構造となっている。中空部には、ガラス繊維を接着剤で板状に固化させた多孔質の真空断熱ボード16を装填して、箱体12を真空断熱構造とした。
【0032】
蓋体14は、箱体12と同様に例えばステンレスからなる板材によって構成し、その内面側(下面側)に、必要最小限の断熱性を得るための断熱材層を配置し、中空部20に少なくとも2以上の脱着可能な断熱板22を積層充填することにより、蓋体14(上面)のみを大気断熱構造にして,、且つ、断熱容器10の上面からの放熱量を制御可能にした。
【0033】
断熱容器10には、箱体12と蓋体14とによって形成される内部空間24に、複数の単電池26を直列乃至並列に立てた状態で接続してなる電池モジュール28(集合電池)を収容した。単電池26の破損、異常加熱、あるいは活物質の漏洩等に対応できるように、図示しないが、消火砂として珪砂を箱体12と電池モジュール28との間隙に充填した。
【0034】
電池モジュール28は、図2に示すように、2以上のブロック30が直列接続されて構成され、各ブロック30は、2以上の単電池26が直列接続した2以上の回路(ストリング32)が並列に接続されて構成されている。例えば8つの単電池26を直列接続して1つのストリング32を構成し、12個のストリング32を並列に接続して、1つのブロック30を構成し、4つのブロック30を直列に接続して1つの電池モジュール28を構成する等が挙げられる。
【0035】
そして、断熱容器10の箱体12の底部には、電池モジュール28を高温に熱するためのヒータ部材34と、該ヒータ部材34上に積層され、電池モジュール28からの活物質の漏洩を検出するための回路部材36とを有する。
【0036】
ヒータ部材34は、図3にも示すように、最下層に位置する下層絶縁層38と、下層絶縁層38上に積層された下層均熱板40と、下層均熱板40上に積層された中間絶縁層42と、中間絶縁層42上に積層されたヒータ線44と、ヒータ線44上に積層された上層絶縁層46と、上層絶縁層46上に積層された上層均熱板48とを有する。各絶縁層としては、例えば電気絶縁用のマイカシート等を使用することができる。また、各均熱板としては、アルミニウム板等を使用することができる。
【0037】
回路部材36は、ヒータ部材34の上層均熱板48上に積層された第1絶縁層50aと、第1絶縁層50a上に積層された第1導線52Aと、第1導線52A上に積層された第2絶縁層50bと、第2絶縁層50b上に積層された第2導線52Bと、第2導線52B上に積層された第3絶縁層50cとを有する。この第3絶縁層50c上に電池モジュール28が載置固定される。第1絶縁層50a〜第3絶縁層50cとしては、ヒータ部材34の場合と同様に、例えばマイカシートを使用することができる。第1導線52A及び第2導線52Bとしては、例えばニッケル線等を使用することができる。
【0038】
第1導線52A及び第2導線52Bは、少なくとも電池モジュール28を箱体12の底部に投影した図形54(図4及び図5参照)の全体にわたって張り巡らされており、図4の例では、共にくし歯状に張り巡らされて配線され、特に、第1導線52A(破線で示す)の互いに隣接するくし歯56aの間に、第2導線52B(実線で示す)のくし歯56bが位置するように配線されている。もちろん、図5に示すように、第1導線52Aのくし歯56aの方向と第2導線52Bのくし歯56bの方向とが異なるように配線してもよい。図5では、互いに直交する方向に形成した例を示す。第1導線52A及び第2導線52Bをくし歯状に配線することで、それぞれ抵抗線としても機能し、これにより、活物質の接触による抵抗変化が大きくなり、活物質が漏洩している単電池の有無を早期に検出することができる。
【0039】
また、例えば図1及び図3に示すように、第3絶縁層50cは、電池モジュール28が収容された内部空間24から第2導線52Bにかけて貫通する複数の孔58aを有し、第2絶縁層50bも、第2導線52Bから第1導線52Aにかけて貫通する複数の孔58bを有する。各孔58a、58bは、電池モジュール28から漏洩した活物質が孔58aを通して第2導線52Bに到達し、さらに孔58bを通して第1導線52Aに到達する程度の数、径及び配列ピッチを有する。
【0040】
従って、電池モジュール28のうち、1以上の単電池26から活物質が漏洩すると、漏洩した活物質が第3絶縁層50cの孔58aを通して第2導線52Bに到達し、あるいは、漏洩した活物質が第3絶縁層50cの孔58a及び第2絶縁層50bの孔58bを通して第1導線52Aに到達し、あるいは、漏洩した活物質が第3絶縁層50cの孔58aを通して第2導線52Bに到達した後、さらに第2絶縁層50bの孔58bを通して第1導線52Aに到達することとなる。
【0041】
第1導線52Aに活物質が接触すると、例えば隣接するくし歯56a間を活物質が短絡したり、第1導線52Aのうち、活物質が接触した部分が侵食(腐食)したり、断線することとなる。くし歯56a間が短絡すると、第1導線52Aの全体の抵抗値が低下することとなる。また、第1導線52Aの一部が侵食したり、断線すると、第1導線52Aの全体の抵抗値が高くなる。これは、第2導線52Bについても同様である。
【0042】
このことから、第1導線52A及び第2導線52Bの各抵抗値を計測し、第1導線52Aの抵抗値R1、第2導線52Bの抵抗値R2、第1導線52Aの抵抗値R1と第2導線52Bの抵抗値R2との差分ΔRのうち、いずれか1つ以上に変化があった場合に、電池モジュール28のうち、1以上の単電池26に活物質の漏洩故障があったことがわかる。第1導線52A及び第2導線52Bの各抵抗値R1及びR2は、構成材料の温度特性に依存し、内部空間24の温度変化に応じて変化することになるため、予想される温度変化による第1導線52A及び第2導線52Bの各抵抗値R1及びR2の変化幅(Δr1及びΔr2)を実験等で予め求めておき、第1導線52Aの抵抗値R1が予め設定された変化幅Δr1を超えて変化(高くなるあるいは低くなる)した場合、あるいは第2導線52Bの抵抗値R2が予め設定された変化幅Δr2を超えて変化(高くなるあるいは低くなる)した場合に、1以上の単電池26に活物質の漏洩故障があったとして判定する。一方、第1導線52Aの抵抗値R1と第2導線52Bの抵抗値R2との差分ΔRをとる場合は、上述した変化幅を吸収することができるため、差分ΔRに変化があった段階で、活物質の漏洩故障があったとして判定してもよい。もちろん、予めしきい値Δrth(前記変化幅Δr1及びΔr2よりも小さい幅でもよい)を設定し、差分ΔRにしきい値Δrth以上の変化があった段階で、活物質の漏洩故障があったとして判定してもよい。ただ、第1導線52A及び第2導線52Bが同時に断線したり、同時に短絡した場合、抵抗値の差分ΔRに変化が出ないという懸念があるが、第1導線52Aが第2導線52Bよりも下に載置されているため、第1導線52A及び第2導線52Bが同時に断線したり、同時に短絡するというケースはほとんど発生しないと考えられる。しかし、故障が発生した際の初動行為が遅延するというリスクを回避するためにも、抵抗値の差分ΔRの監視に加えて、第1導線52Aの抵抗値R1の変化、第2導線52Bの抵抗値R2の変化を並行して監視することが好ましい。
【0043】
第1導線52Aの抵抗値R1は、第1導線52Aに微小なセンス電流I1を流し、第1導線52Aの両端電圧V1を検出して、R1=V1/I1を演算することによって求めることができる。同様に、第2導線52Bの抵抗値R2についても、第2導線52Bに微小なセンス電流I2を流し、第2導線52Bの両端電圧V2を検出して、R2=V2/I2を演算することによって求めることができる。
【0044】
このように、本実施の形態に係る集合電池用断熱容器10においては、箱体12の底部に、電池モジュール28からの活物質の漏洩を検出するための回路部材36を設置するようにしたので、活物質が漏洩している単電池26の有無を簡単に検出することができ、ブロック30毎の放電深度の変化を検出する手法とは異なった故障検出手法を簡単に実現させることができる。これにより、活物質が漏洩している単電池26の有無をリアルタイムに検出することができ、故障が発生した際の初動行為の遅延のリスクを回避することができる。
【0045】
特に、第1導線52A及び第2導線52Bを、少なくとも電池モジュール28を箱体12の底部に投影した図形54の全体にわたって張り巡らすようにしたので、1以上の単電池26の活物質の漏洩故障を確実に、且つ、リアルタイムに検出することが可能となる。本実施の形態では、第1導線52A及び第2導線52Bを、共にくし歯状に張り巡らせて配線し、特に、第1導線52Aの隣接するくし歯56aの間に、第2導線52Bのくし歯56bが位置するように配線したので、例えば第1導線52A及び第2導線52Bのくし歯56a及び56bのピッチを単電池26の配列ピッチの2倍以下にすれば、上面から見たときの隣接する第1導線52Aのくし歯56aと第2導線52Bのくし歯56bとの間隔を、単電池26の配列ピッチ以下にすることができ、1つの単電池26のみの活物質の漏洩故障でも確実に、且つ、リアルタイムに検出することが可能となる。もちろん、図5に示すように、第1導線52Aのくし歯56aの方向と第2導線52Bのくし歯56bの方向とが異なるように配線しても、同様の効果を得ることができる。
【0046】
上述の例では、2つの導線(第1導線52A及び第2導線52B)を用いた例を示したが、その他、1つの導線(第1導線52A又は第2導線52B)のみを用いてもよいし、3つ以上の導線を用いてもよい。
【0047】
次に、本実施の形態に係る集合電池用制御装置(以下、制御装置100と記す)について図6図9を参照しながら説明する。
【0048】
制御装置100は、図6に示すように、架台102内に設けられ、主に計測制御部104とヒータ駆動部106とを有する。計測制御部104は、図7に示すように、電池モジュール28毎に作動温度T及び作動電圧Vを計測する温度計測部108及び電圧計測部110と、複数の電池モジュール28が直列に接続された電池モジュール列112の電流を電流計測線114を介して計測する電流計測部116と、これら温度計測部108、電圧計測部110及び電流計測部116からの計測結果に基づいて、放電カットオフ電圧や充電カットオフ電圧等を求める演算部118と、電池モジュール28からの活物質の漏洩を検出する活物質漏洩検出部120と、外部との信号の送受を行うインターフェイス122とを有する。
【0049】
温度計測部108は、例えば、電池モジュール28に設置された図示しない温度センサから温度計測線124を通じて送られてくる検出値に基づいて、電池モジュール28の作動温度Tを計測する。温度センサとしては、例えば熱電対によるもの、温度による電気抵抗変化を利用するもの等が挙げられる。
【0050】
電圧計測部110は、電池モジュール28内の各ブロック30毎に電圧を計測できることが好ましい。精度よく計測が可能となり、過充電又は過放電を確実に避けることができるからである。
【0051】
電圧計測部110の回路構成としては、例えば1つの電池モジュール28に対応した回路構成を示すと、図8に示すように、直列接続された4つのブロック30(第1ブロック30A〜第4ブロック30D)の両端(一端及び他端)並びに各ブロック30間の接点に接続される5本の電圧計測線126と、各電圧計測線126に対応して直列接続されたヒューズ128と、電圧計測の際に連動してオンとされるリレー130と、ブロック単位に電圧計測線126を選択するスイッチ回路SW(第1スイッチ回路SW1〜第5スイッチ回路SW5)と、ブロック単位に供給される信号を整流してほぼ直流の電圧信号に変換する整流器132と、整流器132からの電圧信号を例えば12ビットのデジタル信号(ブロック単位の電圧値)に変換する差動A/D変換器134と、所定の絶縁耐圧を確保しつつ差動A/D変換器134からのデジタル信号を演算部118へ伝送するデジタル信号用のフォトカプラアレイ136と、符号ビット用のフォトカプラ138と、リレー130及びスイッチ回路SWのオン/オフを制御し、スイッチ回路SWの切替タイミングに応じた信号を演算部118に出力するスイッチング制御回路140とを有する。各スイッチ回路SWは、例えばアバランシェ形ダイオードが逆並列で内蔵された電力用金属酸化半導体電界効果トランジスタにて構成することができる。
【0052】
例えば第1ブロック30A〜第4ブロック30Dの各電圧値を順番に演算部118に送る場合は、先ず、リレー130をオンにし、続いて、第1スイッチ回路SW1及び第2スイッチ回路SW2を共にオンにする。この切替タイミングが演算部118に伝達され、演算部118から差動A/D変換器134に「正」の符号ビットを示す信号をフォトカプラ138を介して伝達する。第1スイッチ回路SW1及び第2スイッチ回路SW2がオンになることによって、第1ブロック30Aの両端電圧が整流器132を介して差動A/D変換器134に供給され、そのままデジタル信号に変換されて、フォトカプラアレイ136を介して演算部118に送られる。
【0053】
その後、第2スイッチ回路SW2のオンを維持しながら、第1スイッチ回路SW1をオフにし、第3スイッチ回路SW3をオンにする。この切替タイミングが演算部118に伝達され、演算部118から差動A/D変換器134に今度は「負」の符号ビットを示す信号をフォトカプラ138を介して伝達する。第2スイッチ回路SW2及び第3スイッチ回路SW3がオンであることから、今度は第2ブロック30Bの両端電圧が整流器132を介して差動A/D変換器134に供給され、デジタル信号に変換された後、符号が反転(正の電圧値に変換)されて、フォトカプラアレイ136を介して演算部118に送られる。以下同様にして、第3ブロック30C及び第4ブロック30Dの各両端電圧がそれぞれデジタル信号に変換されて演算部118に送られる。
【0054】
図8に示す回路構成は、説明を簡単にするために、1つの電池モジュール28に対応した回路構成を示したが、本実施の形態に示すように、2以上の電池モジュール28が直列接続された1つの電池モジュール列112に対応させる場合は、1つの電池モジュール列112に含まれる電池モジュール28の個数に1つの電池モジュール28に含まれるブロック30の個数を乗算した個数のヒューズ128、リレー130及びスイッチ回路SWをそれぞれ接続し、リレー130を電池モジュール単位にオン/オフ制御し、スイッチ回路SWをブロック単位にオン/オフ制御すればよい。
【0055】
演算部118は、4つの電池モジュール28に対して順番に放電カットオフ電圧と充電カットオフ電圧とを求める。
【0056】
具体的には、放電時は、温度計測部108と電流計測部116により計測された作動温度T及び放電電流Idと、電池モジュール28の内部抵抗R、温度係数Kt(作動温度Tにより変動)から、放電カットオフ電圧VLを下記演算式(1)、
L=Vo×n−Id×R×Kt …(1)
により求め、電圧計測部110により計測された作動電圧Vとの比較を行う。ここで、Voは陰極のナトリウムが欠乏する直前の単電池26の開路電圧を指し、概ね1.82Vであり、nは、ブロック30に含まれる単電池26の数である。そして、下記関係式(2)式が成立すると放電完了(放電末)と判断し、単電池26の放電を終了させるための信号を生成して出力する。
L>V …(2)
【0057】
また、充電時は、電流計測部116で計測された充電電流Icと電池モジュール28の内部抵抗Rより、充電カットオフ電圧VHを次の演算式(3)、
H=(VI+α)×n−Ic×R …(3)
により求め、電圧計測部110により計測された作動電圧Vとの比較を行う。ここで、VIは充電末の単電池26の開路電圧を指し概ね2.075Vであり、nは、ブロック30に含まれる単電池26の数である。また、αは充電末に発生する分極抵抗分を示し、概ね0.05〜0.15Vである。すなわち、充電カットオフ電圧VHは、NaS電池として理論上の充電末開路電圧に分極分を見込んだ電圧を示す。
【0058】
そして、下記関係式(4)式が成立すると、充電末と判断し、単電池26の充電を終了させるための信号を生成して出力する。
H<V …(4)
【0059】
計測した温度、電圧及び電流の各値によっては、充電もしくは放電の禁止あるいは停止の判断等を行い、NaS電池をより安定に運転する。
【0060】
なお、上述した温度計測部108においても、電圧計測部110と同様の差動A/D変換器134及びフォトカプラアレイ136等を接続することが好ましい。
【0061】
計測制御部104において、温度計測部108及び電圧計測部110及び電流計測部116により計測された温度及び電圧及び電流の各計測値(データ)は、演算部118に取り込まれると共に、インターフェイス122及び外部電線(ネットワークを含む)を通じて例えば遠隔の監視機器に送信される。
【0062】
ヒータ駆動部106は、図6及び図7に示すように、通常数kW程度であるヒータ142(負荷)に流れる電流に耐え得る容量の、例えば半導体素子からなるリレーを有し、そのリレーによって各ヒータ電源線144を接続/遮断し、ヒータ142に供給されるヒータ電力を供給/停止することができるようになっている。ヒータ短絡時の機器、電線を保護するためリレーと直列にヒューズを設けることが好ましい。
【0063】
ヒータ駆動部106は、計測制御部104から予め設定されたタイムスケジュールに従って出力されるヒータ制御信号(例えば接点信号)に従い、ヒータ電源線144を介してヒータ142に供給されるヒータ電力を供給/停止することによって、各ヒータ142をオン/オフ制御する。本例においては、ヒータ142は、それぞれを独立して制御可能な底面用の上述したヒータ線44(5.6kW)と側面用の図示しないヒータ線(1.8kW)から構成され、電池モジュール28毎にそれぞれ配置される。
【0064】
各底面用ヒータ及び各側面用ヒータは、オン時間とオフ時間を同じくする周期を繰り返すと共に、1/6周期ずつ位相をずらして作動する。このヒータ制御によって、NaS電池の作動温度が所望の温度範囲に保たれ得ると共に、三相3線式交流電源の2線間の消費電力が概ね均衡する。
【0065】
一方、活物質漏洩検出部120は、電池モジュール28毎に、第1導線52Aの抵抗値R1、第2導線52Bの抵抗値R2及びこれら抵抗値R1及びR2の差分ΔRの少なくとも1つ以上から活物質漏洩を検出できることが好ましい。故障が発生した際の初動行為が遅延するというリスクを回避することができるからである。
【0066】
活物質漏洩検出部120の回路構成としては、例えば1つの電池モジュール28に対応した回路構成を示すと、図7に示すように、第1導線52A及び第2導線52Bの各抵抗値R1及びR2を計測する抵抗計測部146と、第1導線52A及び第2導線52Bの各抵抗値R1及びR2の変化、並びに抵抗値R1及びR2の差分ΔRの変化から活物質の漏洩故障があるか否かを判別する判別部148とを有する。
【0067】
抵抗計測部146は、第1導線52A及び第2導線52Bにそれぞれ微小なセンス電流I1及びI2を流すセンス電流供給回路150と、第1導線52A及び第2導線52Bの各両端電圧V1及びV2を計測する第2電圧計測部152と、第2電圧計測部152からの電圧値V1及びV2並びにセンス電流値I1及びI2に基づいて第1導線52A及び第2導線52Bの各抵抗値R1及びR2を算出する抵抗演算部154とを有する。なお、第1導線52A及び第2導線52Bの各他端はGND(グランド)に接続され、接地電位となっている。
【0068】
第2電圧計測部152は、例えば図9に示すように、第1導線52A及び第2導線52Bの各一端にそれぞれ直列接続された第2ヒューズ156と、電圧計測の際に連動してオンとされる第2リレー158と、第1導線52A及び第2導線52Bを順番に選択するスイッチ回路SW(第6スイッチ回路SW6及び第7スイッチ回路SW7)と、導線単位に供給される信号を整流してほぼ直流の電圧信号に変換する第2整流器160と、第2整流器160からの電圧信号を例えば12ビットのデジタル信号(導線単位の電圧値)に変換する第2差動A/D変換器162と、所定の絶縁耐圧を確保しつつ第2差動A/D変換器162からのデジタル信号を抵抗演算部154へ伝送するデジタル信号用の第2フォトカプラアレイ164と、各第2リレー158、並びに第6スイッチ回路SW6及び第7スイッチ回路SW7のオン/オフを制御する第2スイッチング制御回路166とを有する。第6スイッチ回路SW6及び第7スイッチ回路SW7においても、例えばアバランシェ形ダイオードが逆並列で内蔵された電力用金属酸化半導体電界効果トランジスタにて構成することができる。
【0069】
そして、例えば第1導線52A及び第2導線52Bの各電圧値を順番に抵抗演算部154に送る場合は、先ず、第2リレー158をオンにし、続いて、第6スイッチ回路SW6をオンにする。第6スイッチ回路SW6がオンになることによって、第1導線52Aの両端電圧V1(他端は接地電位)が第2整流器160を介して第2差動A/D変換器162に供給され、デジタル信号に変換されて、第2フォトカプラアレイ164を介して抵抗演算部154に送られる。
【0070】
その後、第6スイッチ回路SW6をオフにし、第7スイッチ回路SW7をオンにすることによって、今度は第2導線52Bの両端電圧V2(他端は接地電位)が第2整流器160を介して第2差動A/D変換器162に供給され、デジタル信号に変換されて、第2フォトカプラアレイ164を介して抵抗演算部154に送られる。
【0071】
図9に示す回路構成は、説明を簡単にするために、1つの電池モジュール28に対応した回路構成を示したが、本実施の形態に示すように、2以上の電池モジュール28が直列接続された1つの電池モジュール列112に対応させる場合は、1つの電池モジュール列112に含まれる電池モジュール28の個数に1つの電池モジュール28に含まれる導線の本数を乗算した個数の第2ヒューズ156、第2リレー158及びスイッチ回路SWをそれぞれ接続し、第2リレー158を電池モジュール単位にオン/オフ制御し、スイッチ回路SWを導線単位にオン/オフ制御すればよい。
【0072】
抵抗演算部154は、第2電圧計測部152からの第1導線52Aの電圧値V1(両端電圧)と、第1導線52Aに供給されるセンス電流値I1とに基づいて、第1導線52Aの抵抗値R1を演算し、第2電圧計測部152からの第2導線52Bの電圧値V2(両端電圧)と、第2導線52Bに供給されるセンス電流値I2とに基づいて、第2導線52Bの抵抗値R2を演算する。これら抵抗値R1及びR2は、判別部148に供給される。
【0073】
判別部148は、各電池モジュール28を最初に起動した際の第1導線52A及び第2導線52Bの各抵抗値R1及びR2をそれぞれ基準抵抗値Ra及びRbとしてメモリに格納する。また、メモリには、上述したように、予想される温度変化による第1導線52A及び第2導線52Bの抵抗値R1及びR2の変化幅(Δr1及びΔr2)と、差分ΔRとの比較で用いられるしきい値Δrthが格納されている。
【0074】
そして、判別部148は、抵抗演算部154から刻々と供給される抵抗値R1及びR2と、基準抵抗値Ra及びRbとに基づいて、第1導線52Aの抵抗変化ΔR1(=|R1−Ra|)、第2導線52Bの抵抗変化ΔR2(=|R2−Rb|)、並びに抵抗値R1及びR2の差分ΔR(=|R1−R2|)を求める。
【0075】
さらに、判別部148は、下記関係式(a)〜(c)のいずれか1つ以上を満たせば、電池モジュール28のうち、1以上の単電池26に活物質の漏洩故障があったとして、当該電池モジュール28の情報(モジュール番号等)を含む漏洩検知信号を出力する。
関係式(a):ΔR1>Δr1
関係式(b):ΔR2>Δr2
関係式(c):ΔR>Δrth
【0076】
判別部148からの漏洩検知信号は、インターフェイス122及び外部電線(ネットワークを含む)を通じて例えば遠隔の監視機器に送信される。
【0077】
このように、本実施の形態に係る制御装置100においては、断熱容器10内に、ヒータ線44とは別に配線された第1導線52A及び第2導線52Bと、第1導線52A及び第2導線52Bの抵抗値R1及びR2を計測する抵抗計測部146と、抵抗計測部146にて計測した抵抗値R1及びR2に変化があった場合に、電池モジュール28から活物質の漏洩があったことを示す漏洩検知信号を出力する判別部148とを有するようにしたので、活物質が漏洩している電池モジュール28の有無を簡単に検出することができ、ブロック毎の放電深度の変化を検出する手法とは異なった故障検出手法を簡単に実現させることができる。これにより、活物質が漏洩している電池モジュール28の有無をリアルタイムに検出することができ、故障が発生した際の初動行為の遅延のリスクを回避することができる。
【0078】
なお、本発明に係る集合電池用断熱容器、集合電池用制御装置及び集合電池用故障検出方法は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9