(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ポリ乳酸樹脂および共重合ポリエステル樹脂ブレンドのノッチ付きアイゾット衝撃強度(ASTM D256方法、測定温度23℃)は30J/m以上であることを特徴とする、請求項1に記載のポリ乳酸樹脂および共重合ポリエステル樹脂ブレンド。
前記ポリ乳酸樹脂は数平均分子量が10、000ないし500、000であることを特徴とする、請求項1に記載のポリ乳酸樹脂および共重合ポリエステル樹脂ブレンド。
前記ジカルボン酸成分は0ないし50モル%の炭素数8ないし14の芳香族ジカルボン酸残基、炭素数4ないし12の脂肪族ジカルボン酸残基およびこれらの混合物からなる群から選択されるジカルボン酸残基をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のポリ乳酸樹脂および共重合ポリエステル樹脂ブレンド。
前記シクロヘキサンジメタノールは1、2−シクロヘキサンジメタノール、1、3−シクロヘキサンジメタノール、1、4−シクロヘキサンジメタノールおよびこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載のポリ乳酸樹脂および共重合ポリエステル樹脂ブレンド。
前記ジオール成分は8ないし91モル%のシクロヘキサンジメタノール残基および4ないし40モル%のイソソルバイド残基を含むことを特徴とする、請求項1に記載のポリ乳酸樹脂および共重合ポリエステル樹脂ブレンド。
前記ジオール成分は、0ないし94モル%の炭素数2ないし20の脂肪族ジオール残基(シクロヘキサンジメタノール残基およびイソソルバイド残基は除外)をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のポリ乳酸樹脂および共重合ポリエステル樹脂ブレンド。
前記脂肪族ジオール残基はエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロパンジオ−ル、1、4−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール(2、2−ジメチル−1、3−プロパンジオ−ル)、1、2−シクロヘキサンジオール、1、4−シクロヘキサンジオール、テトラメチルシクロブタンジオールおよびこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項8に記載のポリ乳酸樹脂および共重合ポリエステル樹脂ブレンド。
前記シクロヘキサンジメタノール残基の含有量は前記ジカルボン酸成分100重量部に対して、10ないし90重量部であることを特徴とする、請求項1に記載のポリ乳酸樹脂および共重合ポリエステル樹脂ブレンド。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明によるポリ乳酸樹脂および共重合ポリエステル樹脂ブレンドは、ポリ乳酸(polylactic acid:PLA)樹脂、イソソルバイド(バイオモノマー)を含む共重合ポリエステル樹脂およびグリシジル基、無水マレイン酸基、エポキシ基、イソシアネート基、アミノ基、カルボン酸基、オキサゾリン基およびこれらの混合物からなる群から選択される反応性機能基を含む相溶化剤を含む。
【0012】
本発明に使用されるポリ乳酸樹脂は通常のポリ乳酸樹脂が制限なしに用いられ、製品化されたポリ乳酸樹脂が用いられる。前記ポリ乳酸樹脂は通常L−乳酸(L−lactic acid)および/またはD−乳酸(D−lactic acid)由来のモノマー(monomer)から製造され、本発明の効果を損傷しない範囲でL−乳酸、D−乳酸から由来しない他モノマーを一定量含むこともできる。前記ポリ乳酸樹脂の製造方法は多様であるが、最も知られている代表的な方法は、乳酸から製造されたラクチド(Lactide)を開環重合することである。しかし、これに限定せず、乳酸を直接重縮合反応させても差し支えない。L−乳酸およびD−乳酸それぞれから由来したモノマーから製造されるポリ乳酸樹脂の場合は結晶性であり、高融点を有する。しかし、L−乳酸、D−乳酸から由来するL−ラクチド、D−ラクチドおよびmeso−ラクチドを使用して製造する場合、L−ラクチド、D−ラクチドおよびmeso−ラクチドの含有量により結晶性および融点を自由に調節することができ、用途によってそれぞれの成分含有量の調節が可能である。
【0013】
本発明によるポリ乳酸樹脂および共重合ポリエステル樹脂ブレンドにおいて、前記ポリ乳酸樹脂の含有量は5ないし94重量%、好ましくは6ないし92重量%、さらに好ましくは8ないし89重量%である。前記ポリ乳酸樹脂の含有量が5重量%未満であれば、ポリ乳酸樹脂の長所である生分解性特性、石油資源の枯渇防止、炭素ガス排出抑制などの効果が発現できない恐れがあり、前記ポリ乳酸樹脂の含有量が92重量%を超えれば、ブレンドの耐熱性が劣って多様な成形製品に使用できない恐れがある。
【0014】
前記ポリ乳酸樹脂の数平均分子量は10、000ないし500、000、好ましくは30、000ないし300、000である。前記ポリ乳酸樹脂の数平均分子量が10、000未満である場合、耐衝撃性などの機械的物性が十分に発現できない恐れがあり、500、000を超過する場合、ポリ乳酸樹脂の製造(重合)自体が難しくなることがあり、過度な分子量により加工が難しくなる恐れがある。
【0015】
本発明に使用される共重合ポリエステル樹脂は、前記ポリ乳酸樹脂および共重合ポリエステル樹脂ブレンドの耐衝撃性および耐熱性を向上させ、ブレンドのバイオ素材含有量を一定量(60重量%)以上維持させるためのものであって、テレフタル酸残基を含むジカルボン酸成分および3ないし99モル%のシクロヘキサンジメタノール残基、1ないし60モル%のイソソルバイド(isosorbide、下記の化学式参照)残基を含むジオール成分が共重合されて、前記ジカルボン酸成分から誘導された酸部分およびジオール成分から誘導されたジオール部分が繰り返される構造を有する。
【0017】
ここで、前記共重合ポリエステル樹脂は一つ以上の二作用性(difunctional)カルボン酸と一つ以上の二作用性ヒドロキシル化合物の重縮合反応によって製造された合成重合体を意味する。通常、二作用性カルボン酸はジカルボン酸であり、二作用性ヒドロキシル化合物は二価アルコール、例えば、グリコールまたはジオールである。本明細書において、用語“残基(residue)”は特定の化合物が化学反応に参与したとき、その化学反応の結果物に含まれ、前記特定化合物から由来した一定の部分または単位を意味する。例えば、“ジカルボン酸残基”および“ジオール(グリコール)残基”それぞれは、エステル化反応または縮重合反応で形成されるポリエステルでジカルボン酸成分から由来した部分またはジオール成分から由来した部分を意味する。つまり、ジカルボン酸成分およびジオール(グリコール)成分が通常のポリエステル重合反応するとき、水素、ヒドロキシ基またはアルコキシ基が除去され、残った残基(residue)を意味する。したがって、前記ジカルボン酸残基はジカルボン酸単量体またはその酸ハロゲン化物、エステル(例えば、モノメチル、モノエチル、ジメチル、ジエチルまたはジブチルエステルなど炭素数1ないし4の低級アルキルエステル)、塩、無水物(anhydride)、またはこれらの混合物から誘導できる。したがって、本明細書において、用語“ジカルボン酸”、“テレフタル酸”などは高分子量のポリエステルを製造するためのジオールとの重縮合工程に有用なものであって、ジカルボン酸(テレフタル酸など)およびそのジカルボン酸の任意の誘導体、例えば、それと関連した酸ハロゲン化物、エステル、ハーフ(half)−エステル、塩、ハーフ−塩、無水物、混合無水物、またはこれらの混合物を含む。
【0018】
前記共重合ポリエステル樹脂のジカルボン酸成分は全体ジカルボン酸成分に対して、前記テレフタル酸残基を50ないし100モル%、例えば、60ないし99.9モル%、具体的には90ないし99.9モル%含み、ポリエステル樹脂の物性改善のために、炭素数8ないし14の芳香族ジカルボン酸残基(テレフタル酸残基は除外)、炭素数4ないし12の脂肪族ジカルボン酸残基、これらの混合物などのジカルボン酸残基を0ないし50モル%、例えば、0.1ないし40モル%、具体的には0.1ないし10モル%を含むことができる。前記芳香族ジカルボン酸残基を形成することができる芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸を除いた、イソフタル酸、2、6−ナフタレンジカルボン酸などのナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸などのポリエステル樹脂の製造に通常使用される芳香族ジカルボン酸が挙げられ、前記脂肪族ジカルボン酸残基を形成することができる脂肪族ジカルボン酸としては、1、4−シクロヘキサンジカルボン酸、1、3−シクロヘキサンジカルボン酸などのシクロヘキサンジカルボン酸、フタル酸、セバシン酸、コハク酸、イソデシルコハク酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、グルタル酸、アゼライン酸などのポリエステル樹脂の製造に通常使用される線状、分枝型または環状脂肪族ジカルボン酸成分が挙げられる。ここで、前記テレフタル酸残基を除いたジカルボン酸残基(共重合モノマー)を含むとき、前記ジカルボン酸残基の含有量が少なすぎるか多すぎる場合には、物性改善の効果が不十分であるか、ポリエステル樹脂の物性がむしろ低下する恐れがある。
【0019】
前記共重合ポリエステル樹脂のジオール成分は、全体ジオール成分に対して3ないし99モル%、好ましくは3ないし99モル%範囲内で下記の数式1に符合する範囲、さらに好ましくは5ないし91モル%のシクロヘキサンジメタノール(1、2−シクロヘキサンジメタノール、1、3−シクロヘキサンジメタノール、1、4−シクロヘキサンジメタノールなど)残基、1ないし60モル%、好ましくは60モル%を超えない範囲内で下記の数式1に符合する範囲、さらに好ましくは4ないし40モル%のイソソルバイドを含む(下記の数式1で、ISB mol%はイソソルバイド残基の含有量、CHDM mol%はシクロヘキサンジメタノール残基の含有量である)。
【0021】
また、前記共重合ポリエステル樹脂のジオール成分は0ないし94モル%、好ましくは0.1ないし88モル%、さらに好ましくは0.1ないし80モル%の炭素数2ないし20、好ましくは炭素数2ないし12の脂肪族ジオール残基(シクロヘキサンジメタノール残基およびイソソルバイド残基は除外)などのジオール残基を含む。前記脂肪族ジオール残基を形成することができるジオールとしてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロパンジオ−ル(1、2−プロパンジオ−ル、1、3−プロパンジオ−ルなど)、1、4−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール(1、6−ヘキサンジオールなど)、ネオペンチルグリコール(2、2−ジメチル−1、3−プロパンジオ−ル)、1、2−シクロヘキサンジオール、1、4−シクロヘキサンジオール、テトラメチルシクロブタンジオールなどの線状、分枝型または環状脂肪族ジオール、好ましくはエチレングリコールが挙げられる。
【0022】
前記共重合ポリエステル樹脂のジオール成分中、前記シクロヘキサンジメタノール残基の含有量が全体ジオール成分に対して3モル%未満であれば、衝撃強度が不十分となる恐れがあり、99モル%を超えれば、イソソルバイド残基の含有量が1モル%未満になって耐熱度が低下する恐れがある。前記イソソルバイド残基の含有量が全体ジオール成分に対して1モル%未満であれば、製造される共重合ポリエステル樹脂の耐熱性が不十分となる恐れがあり、60モル%を超えれば、ポリエステル樹脂が黄変(yellowing)する恐れがある。また、前記ジオール残基(シクロヘキサンジメタノール残基およびイソソルバイド残基は除外)の含有量が全体ジオール成分に対して94モル%を超えれば、ポリエステル樹脂の物性が低下する恐れがある。
【0023】
前記共重合ポリエステル樹脂を利用して3.2mm厚さの試片を製造した後、ノッチ付きアイゾット衝撃強度(izod impact strength、ASTM D256方法、測定温度23℃)を測定すれば、好ましくは50J/m以上の衝撃強度を示す。反面、エチレングリコールとイソソルバイドだけで共重合されたポリエステル樹脂のノッチ付きアイゾット衝撃強度は通常50J/m以下の値を示す。前記共重合ポリエステル樹脂を300℃で5分間アニーリング(Annealing)し、常温に冷却した後、昇温速度10℃/minで再びスキャン(2nd Scan)すれば、前記共重合ポリエステル樹脂は好ましくは90℃以上のガラス転移温度(Tg、Glass Transition Temperature)を有する。また、前記共重合ポリエステル樹脂をオルトクロロフェノール(OCP)に1.2g/ dL の濃度に溶解した後、35℃で固有粘度を測定したとき、0.35 dL /g以上、好ましくは0.40 dL /g以上、さらに好ましくは0.45 dL /g以上の固有粘度を有する。前記共重合ポリエステル樹脂は親環境的であり、耐熱性および耐衝撃性に優れているので、前記ポリ乳酸樹脂とブレンドすればポリ乳酸樹脂の低い耐衝撃性および耐熱性を補完することができる。
【0024】
本発明によるポリ乳酸樹脂および共重合ポリエステル樹脂ブレンドにおいて、前記共重合ポリエステル樹脂の含有量は3ないし92重量%、好ましくは4ないし90重量%、さらに好ましくは6ないし87重量%である。前記共重合ポリエステル樹脂の含有量が3重量%未満であれば、耐熱性および耐衝撃性の増加効果が現れないことがあり、ポリ乳酸、前記共重合ポリエステル樹脂の含有量が92重量%を超えれば、ポリ乳酸樹脂の長所である生分解性特性、石油資源の枯渇防止、炭素ガス排出抑制などの効果が発現できない恐れがある。
【0025】
前記共重合ポリエステル樹脂の重量平均分子量Mwは、例えば、10、000ないし200、000g/mol、好ましくは20、000ないし100、000g/molである。前記共重合ポリエステル樹脂の重量平均分子量が前記範囲を外れると、ブレンドの加工性が低下したり、ブレンドの物性が低下する恐れがある。
【0026】
前記共重合ポリエステル樹脂は、通常のポリエステル製造方法で製造することができ、例えば、前記ジカルボン酸およびジオール化合物をエステル化反応させる段階(第1段階)、および前記エステル化反応生成物を重縮合(poly−condensation)反応させる段階(第2段階)を通じて製造できる。具体的に、前記ジカルボン酸およびジオール化合物をエステル化反応させる段階は、前記ジカルボン酸およびジオール化合物を0ないし10.0kg/cm
2の圧力および150ないし300℃温度で1ないし24時間エステル化反応またはエステル交換反応させる段階である。前記エステル化反応条件は製造されるポリエステルの具体的な特性、ジカルボン酸成分とグリコールのモル比、工程条件などにより適切に調節できる。具体的に、前記エステル化反応条件の好ましい例としては、0ないし5.0kg/cm
2、さらに好ましくは0.1ないし3.0kg/cm
2の圧力、200ないし270℃、さらに好ましくは240ないし260℃の温度、1ないし15時間、さらに好ましくは2ないし8時間の反応時間が例示できる。前記エステル化反応に参与するジカルボン酸成分とジオール成分のモル比は1:1.05ないし1:3.0であることができ、例えば、シクロヘキサンジメタノールの含有量が前記ジカルボン酸成分100重量部に対し10ないし90重量部、好ましくは20ないし80重量部となるように、全体ジカルボン酸成分およびジオール成分を投入することができる。前記ジカルボン酸成分に対するジオール成分のモル比が1.05未満であれば、重合反応の際、未反応ジカルボン酸成分が残留して樹脂の透明性が低下する恐れがあり、モル比が3.0を超えれば、重合反応速度が低くなったり樹脂の生産性が低下する恐れがある。前記エステル化反応の工程時間および生産量向上のために触媒を選択的に使用することができ、前記エステル化反応はバッチ(batch)式または連続式に遂行することができ、それぞれの原料は別途に投入できるが、ジオール成分にジカルボン酸成分を混合したスラリー形態に投入することが望ましい。そして、第2ポリエステルの場合、常温で固形分であるイソソルバイドなどのジオール成分は水またはエチレングリコールに溶解した後、テレフタル酸などのジカルボン酸成分に混合してスラリーを作ることができる。また、ジカルボン酸成分、イソソルバイドおよびエチレングリコールなどのジオール成分が混合されたスラリーに水を追加投入してイソソルバイドの溶解度を増加させることができ、60℃以上でスラリーを製造してイソソルバイドが溶融した状態のスラリーを使用することもできる。
【0027】
また、前記エステル化反応生成物を重縮合(poly−condensation)反応させる段階は、前記ジカルボン酸成分およびジオール成分のエステル化反応生成物を150ないし300℃温度および400ないし0.01mmHgの減圧条件下で1ないし24時間反応させる段階である。このような重縮合反応は、好ましくは200ないし290℃、さらに好ましくは260ないし280℃の反応温度および好ましくは100ないし0.05mmHg、さらに好ましくは10ないし0.1mmHgの減圧条件下で遂行できる。前記重縮合反応の減圧条件を適用すれば、重縮合反応の副産物であるグリコールを除去することができるが、前記重縮合反応が400ないし0.01mmHg減圧条件の範囲を外れる場合、副産物の除去が不十分となる恐れがある。また、前記重縮合反応が150ないし300℃温度範囲以外で起こる場合、製造されるポリエステル樹脂の物性が低下する恐れがある。前記重縮合反応は最終反応生成物の固有粘度が適切な水準に達するまで必要な時間、例えば、平均滞留時間1ないし24時間進むことができる。好ましくは、前記重縮合反応の最終到達真空度は2.0mmHg未満であり、前記エステル化反応および重縮合反応は不活性気体雰囲気下で遂行できる。
【0028】
前記ポリエステルの製造の際、重縮合触媒、安定剤、呈色剤などの添加剤が用いられる。このような重縮合触媒または安定剤などの添加剤は、前記重縮合反応開始前にエステル化反応またはエステル交換反応の生成物に添加することができ、前記エステル化反応前にジカルボン酸およびジオール化合物を含む混合スラリー状で添加することができ、前記エステル化反応段階の途中に添加することもできる。
【0029】
前記重縮合触媒としては、チタニウム系化合物、ゲルマニウム系化合物、アンチモン系化合物、アルミニウム系化合物、スズ系化合物またはこれらの混合物を使用することができる。前記チタニウム系化合物の例としては、テトラエチルチタネート、アセチルトリプロピルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、ポリブチルチタネート、2−エチルヘキシルチタネート、オクチレングリコールチタネート、ラクテートチタネート、トリエタノールアミンチタネート、アセチルアセトネートチタネート、エチルアセトアセチックエステルチタネート、イソステアリルチタネート、チタニウムジオキサイド、チタニウムジオキサイド/シリコンジオキサイド共重合体、チタニウムジオキサイド/ジルコニウムジオキサイド共重合体などが挙げられ、前記ゲルマニウム系化合物の例としてはゲルマニウムジオキシド(germanium dioxide、GeO
2)、ゲルマニウムテトラクロライド(germanium tetrachloride、GeCl
4)、ゲルマニウムエチレングリコキシド(germanium ethyleneglycoxide)、ゲルマニウムアセテート(germanium acetate)、これらを利用した共重合体、これらの混合物などが挙げられる。
【0030】
前記安定剤としては、リン酸、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェートなどのリン系化合物が用いられ、その添加量はリン元素量を基準に最終ポリマー(共重合ポリエステル樹脂)の重量対比10ないし100ppmである。前記安定剤の添加量が10ppm未満であれば安定化効果が不十分になって最終製品の外形が黄色く変わることができる。また、前記安定剤の添加量が100ppmを超えれば所望の高重合度のポリマーを得ることができない。
【0031】
前記呈色剤はポリマーの色相を向上させるために添加するものであって、コバルトアセテート、コバルトプロピオン酸塩などの通常の呈色剤を使用することができ、必要に応じて、有機化合物呈色剤を使用することもでき、その添加量は最終ポリマー(共重合ポリエステル樹脂)の重量対比0ないし100ppmである。
【0032】
本発明に使用されるグリシジル(Glycidyl)基、無水マレイン酸(Maleic anhydride)基、エポキシ(Epoxy)基、イソシアネート(Isocyanate)基、アミノ(Amino)基、カルボン酸(Carboxyl acid)基、オキサゾリン(Oxazoline)基およびこれらの混合物からなる群から選択される反応性機能基を含む相溶化剤は、ポリ乳酸樹脂および共重合ポリエステル樹脂の末端(カルボン酸Carboxyl acid、−COOH)およびヒドロキシル基(Hydroxyl group、−OH)にそれぞれ反応して、ポリ乳酸樹脂と共重合ポリエステル樹脂の相溶性を増加させることができ、前記の反応性機能基と結合された分子構造または主鎖構造により衝撃補強効果などの追加的な効果を得ることができる。前記相溶化剤としては前記反応性機能基を含む相溶化剤が制限なしに用いられ、例えば、アジピン酸(Adipic Acid)、ヘキサメチレンジアミン(Hexamethlylene diamine)、エポキシ系、PPDI(p−Phenylene diisocyanate)、HDI(1、6−Hexamethylene diisocyanate)、TDI(Toluene diisocyanate)、NDI(1、5−Naphthalene diisocyanate)、IPDI(Isoporon diisocyanate)、MDI(4、4−Diphenylmethane diisocyanate)、H12MDI(Cyclohexylmethane diisocyanate)、エチレン−グリシジルメタクリレート(Ethylene−Glycidylmetacrylate)、エチレン−グリシジルアクリレート(Ethylene−Glycidylacrylate)、エチレン−アクリル酸エステル−グリシジルアクリレート、(Ethylene−Acrylic Ester−Glycidyl Acrylate)、エチレン−アクリル酸エステル−グリシジルメタクリレート(Ethylene−Acrylic Ester−Glycidyl Methacrylate)、反応性ポリスチレン(Reactive Polystylene、Epocros)、これらの混合物などが用いられるが、これに限定されない。
【0033】
前記相溶化剤の含有量は全体ブレンドに対して3ないし30重量%、好ましくは4ないし25重量%、さらに好ましくは5ないし20重量%である。前記相溶化剤の含有量が3重量%未満であれば、相溶化剤の添加に応じた効果(相溶性増加)が得られず、ブレンドの耐衝撃性および耐熱性が低下する恐れがあり、30重量%を超えれば、耐熱性が低下したり、流動性が低下して射出押出など加工時に負荷が多くかかるなどの加工性が低下する恐れがある。
【0034】
本発明によるポリ乳酸樹脂および共重合ポリエステル樹脂ブレンドは、必要に応じて、全体ポリ乳酸樹脂および共重合ポリエステル樹脂ブレンド100重量部に対して例えば、1ないし30重量部の他の樹脂成分(例えば、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレートなど)および添加剤成分をさらに含むことができる。前記ブレンドに含むことができる添加剤としては酸化安定剤、熱安定剤、光安定剤、UV安定剤などのブレンドの加工、保管および使用中にブレンドの物性を保存する能力を有する安定剤類が挙げられ、造核剤、鎖延長剤(Chain−extender)、滑剤(Lubricant)、衝撃補強剤、着色剤、ワックス(Wax)、離型剤、芳香剤、発泡剤、可塑剤、加水分解抑制剤、未反応型物質および反応型物質などをブレンドの加工、保管および使用のために、用途に応じて使用することができる。前記添加剤は用途および目的に応じて用いられるが、これに限定されない。
【0035】
本発明によるポリ乳酸樹脂および共重合ポリエステル樹脂ブレンドは、通常のブレンド方法で製造することができ、例えば、射出、押出、コンパウンディング工程などの成形方法によって成形できる。つまり、単純ブレンドして直ちに押出や射出でき、またはブレンドしてコンパウンディング押出しながら冷却ペレット化した後、結晶化して得られたペレット形態のブレンドチップを利用して再び押出や射出の用途に使用することができる。
【0036】
本発明のポリ乳酸樹脂および共重合ポリエステル樹脂ブレンドを利用して3.0mm厚さの試片を製造した後、ノッチ付きアイゾット衝撃強度(izod impact strength、ASTM D256方法、測定温度23℃)を測定すれば、30J/m以上、好ましくは50J/m以上の衝撃強度を示す。
【0037】
本発明によるポリ乳酸樹脂および共重合ポリエステル樹脂ブレンドは当業系に公知の通常の射出、押出、押出ブロー、射出ブローおよびプロファイル押出などの成形工程およびこれを利用した熱成形工程のような後加工などを通して成形され、必要に応じて適切な形状の成形製品(ファイバー、射出品、シートおよびフィルム)に製造することができる。
【実施例】
【0038】
以下、実施例および比較例を通して本発明をさらに詳しく説明する。以下の実施例は本発明を例示するものであって、本発明の範囲が以下の実施例によって限定されるものではない。
【0039】
また、以下の実施例および比較例において、ポリマー(ブレンド)の性能評価方法は次の通りである。
【0040】
(1)耐熱性(熱変形温度、HDT):前記ブレンドを利用して127mm*13mm*3〜13mm大きさの試片を製造した後、熱変形温度(Heat Distortion TemperatureまたはHeat Deflection Temperature:HDT、ASTM D648方法の中、試片に加わる圧力が0.455MPaである方法)を測定する。
(2)ノッチ付きアイゾット衝撃強度:前記ブレンドを利用して3.0mm厚さの試片を製造し、ASTM D256によりノッチ(Notch)後、23℃でアイゾット(Izod)衝撃強度測定器に測定する。
(3)熱成形後の気泡の有/無:カイス(Gaiss)熱成型機を利用して130℃で熱成形し、“SK”形態のマーク製作された板状の気泡の有/無を肉眼で観察する。
(4)有害物質の含有可否の確認:核磁気共鳴分析器(NMR)を利用して、製品中有害物質(ビスフェノール−A(Bisphenol−A)など)の存在および含有量を確認する。
【0041】
[製造例1]共重合ポリエステル樹脂の製造
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸6モルおよびジオール成分としてテレフタル酸6モルを基準に、1、4−シクロヘキサンジメタノール138g、エチレングリコール313gおよびイソソルバイド105gを撹拌機と流出コンデンサーを備えた3L反応器で混合しながら、温度を徐々に255℃まで昇温してエステル化反応させた。このとき、発生する水は系外に流出し、水の発生および流出が終了すれば撹拌機、冷却コンデンサーおよび真空システム付き重縮合反応器に前記反応物を移した。前記エステル化反応物に触媒、安定剤、呈色剤を適正比率で添加した後に反応器の内部温度を240℃から275℃まで上げながら圧力を1次に常圧から50mmHgまで減圧し40分間低真空反応でエチレングリコールを取り除き、再び0.1mmHgまで徐々に減圧して高真空下で所望の固有粘度となるまで重縮合反応させて共重合ポリエステル樹脂を製造した。製造された樹脂の重量平均分子量Mwは63、000g/mol、固有粘度は0.76 dL/gであった。
【0042】
[製造例2]共重合ポリエステル樹脂の製造
酸成分としてテレフタル酸6モルおよびジオール成分としてテレフタル酸6モルを基準に、1、4−シクロヘキサンジメタノール565g、エチレングリコール96gおよびイソソルバイド789gを使ったことを除いては、前記製造例1と同様な方法で共重合ポリエステル樹脂を製造した。このように製造された樹脂の重量平均分子量Mwは37、000g/mol、固有粘度は0.65 dL /gであった。
【0043】
[実施例1]ポリ乳酸樹脂および共重合ポリエステル樹脂ブレンドの製造および評価
数平均分子量100、000のポリ乳酸樹脂チップ10重量%および前記製造例1で製造された共重合ポリエステル樹脂チップ87重量%とグリシジル(Glycidyl)反応器を主鎖内に約8%含むエチレン系の反応型ターポリマー(Terpolymer)(エチレン−アクリル酸エステル−グリシジルメタクリレート(Ethylene−Acrylic Ester−Glycidyl Methacrylate))3重量%をハーケ(Haake)コンパウンディング設備に入れて、シリンダー温度260℃、ダイ温度255℃およびスクリュー速度50rpmでブレンドして、ペレット形態のポリ乳酸樹脂および共重合ポリエステル樹脂ブレンドを製造した。前述した方法を使用して熱変形温度、ノッチ付きアイゾット(Izod)衝撃強度、熱成形後の気泡の有/無および有害物質の含有可否を測定し、その結果を下記表1に示す。
【0044】
[実施例2]ポリ乳酸樹脂および共重合ポリエステル樹脂ブレンドの製造および評価
数平均分子量100、000のポリ乳酸樹脂チップ40重量%、前記製造例1で製造された共重合ポリエステル樹脂チップ50重量%、およびグリシジル(Glycidyl)反応器を主鎖内に約8%含むエチレン系の反応型ターポリマー(Terpolymer)(エチレン−アクリル酸エステル−グリシジルメタクリレート(Ethylene−Acrylic Ester−Glycidyl Methacrylate)10重量%を使ったことを除いては、前記実施例1と同様な方法でペレット形態のポリ乳酸樹脂および共重合ポリエステル樹脂ブレンドを製造し、熱変形温度、ノッチ付きアイゾット(Izod)衝撃強度、熱成形後の気泡の有/無および有害物質の含有可否を測定し、その結果を下記表1に示す。
【0045】
[実施例3]ポリ乳酸樹脂および共重合ポリエステル樹脂ブレンドの製造および評価
数平均分子量100、000のポリ乳酸樹脂チップ75重量%と製造例1で製造された共重合ポリエステル樹脂チップ15重量%およびグリシジル(Glycidyl)反応器を主鎖内に約6%含むエチレン系の反応型ターポリマー(Terpolymer)(エチレン−アクリル酸エステル−グリシジルメタクリレート(Ethylene−Acrylic Ester−Glycidyl Methacrylate)10重量%を使ったことを除いては、前記実施例1と同様な方法でペレット形態のポリ乳酸樹脂および共重合ポリエステル樹脂ブレンドを製造し、熱変形温度、ノッチ付きアイゾット(Izod)衝撃強度、熱成形後の気泡の有/無および有害物質の含有可否を測定し、その結果を下記表1に示す。
【0046】
[実施例4]ポリ乳酸樹脂および共重合ポリエステル樹脂ブレンドの製造および評価
数平均分子量100、000のポリ乳酸樹脂チップ5重量%と製造例2で製造された共重合ポリエステル樹脂チップ90重量%およびグリシジル(Glycidyl)反応器を主鎖内に約6%含むエチレン系の反応型ターポリマー(Terpolymer)(エチレン−アクリル酸エステル−グリシジルメタクリレート(Ethylene−Acrylic Ester−Glycidyl Methacrylate)5重量%を使ったことを除いては、前記実施例1と同様な方法でペレット形態のポリ乳酸樹脂および共重合ポリエステル樹脂ブレンドを製造し、熱変形温度、ノッチ付きアイゾット(Izod)衝撃強度、熱成形後の気泡の有/無および有害物質の含有可否を測定し、その結果を下記表1に示す。
【0047】
[比較例1]ペレット形態のポリ乳酸樹脂の製造および評価
共重合ポリエステル樹脂およびグリシジル(Glycidyl)反応器を主鎖内に約8%含むエチレン系の反応型ターポリマー(Terpolymer)を使わないことを除いては、前記実施例1と同様な方法でペレット形態のポリ乳酸樹脂を製造し、熱変形温度、ノッチ付きアイゾット(Izod)衝撃強度、熱成形後の気泡の有/無および有害物質の含有可否を測定し、その結果を下記表1に示す。
【0048】
[比較例2]ポリ乳酸樹脂およびポリカーボネート樹脂ブレンドの製造および評価
数平均分子量100、000のポリ乳酸樹脂チップ30重量%とポリカーボネート(PC)樹脂チップ70重量%をハーケ(Haake)コンパウンディング設備に入れて、シリンダー温度260℃、ダイ温度255℃およびスクリュー速度50rpmでブレンドして、ペレット形態のポリ乳酸樹脂およびポリカーボネート樹脂ブレンドを製造した。前述した方法を使用して熱変形温度、ノッチ付きアイゾット(Izod)衝撃強度、熱成形後の気泡の有/無および有害物質の含有可否を測定し、その結果を下記表1に示す。
【0049】
[比較例3]ポリ乳酸樹脂およびポリカーボネート樹脂ブレンドの製造および評価
数平均分子量100、000のポリ乳酸樹脂チップ70重量%とポリカーボネート(PC)樹脂チップ30重量%を使ったことを除いては、前記比較例2と同様な方法でペレット形態のポリ乳酸樹脂および共重合ポリエステル樹脂ブレンドを製造し、熱変形温度、ノッチ付きアイゾット(Izod)衝撃強度、熱成形後の気泡の有/無および有害物質の含有可否を測定し、その結果を下記表1に示す。
【0050】
[比較例4]ポリ乳酸樹脂およびポリカーボネート樹脂ブレンドの製造および評価
数平均分子量100、000のポリ乳酸樹脂チップ40重量%と前記製造例1で製造された共重合ポリエステル樹脂チップ60重量%を使ったことを除いては、前記比較例2と同様な方法でペレット形態のポリ乳酸樹脂および共重合ポリエステル樹脂ブレンドを製造し、熱変形温度、ノッチ付きアイゾット(Izod)衝撃強度、熱成形後の気泡の有/無および有害物質の含有可否を測定し、その結果を下記表1に示す。
【0051】
[比較例5]ポリ乳酸樹脂およびポリカーボネート樹脂ブレンドの製造および評価
数平均分子量100、000のポリ乳酸樹脂チップ75重量%と前記製造例1で製造された共重合ポリエステル樹脂チップ25重量%を使ったことを除いては、前記比較例2と同様な方法でペレット形態のポリ乳酸樹脂および共重合ポリエステル樹脂ブレンドを製造し、熱変形温度、ノッチ付きアイゾット(Izod)衝撃強度、熱成形後の気泡の有/無および有害物質の含有可否を測定し、その結果を下記表1に示す。
【0052】
【表1】
【0053】
上記表1から、本発明によるポリ乳酸樹脂および共重合ポリエステル樹脂ブレンドは、本発明の相溶化剤を含むことによって、相溶化剤を使わない場合に比べ(比較例4および5)、熱変形温度が55ないし80℃で耐熱性に優れており、ノッチ付きアイゾット衝撃強度が70ないし140J/mであって、耐衝撃性に優れていることが分かる。また、熱成形後の気泡が発生しなくて、成形製品(シートなど)の製造時に別途の乾燥工程をさらに含まないので、時間的かつ経済的なメリットがあり、有害物質(ビスフェノール−Aなど)が検出されないので親環境的であることが分かる。