【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図13に示す特許文献1に記載のエアウェイアダプタ1の外周には弾性を有する爪11
aを有する係止部材11が設けられている。一方、センサ2の側面には係止突起12が形
成されている。エアウェイアダプタの嵌合部1eをセンサ2に形成された凹部2aに挿入
すると、爪11aが係止突起12と弾性的に係合し、エアウェイアダプタ1が所定の位置
に位置決めされる。この状態において凹部2aを挟んで対向するセンサ2の発光部および
受光部を結ぶ光軸が嵌合部1eに形成された窓部1c、1dを通過するように配置される
。
【0005】
従来より医療の現場において、センサ及びエアウェイアダプタは患者の口元で使用され
るため、小型かつ軽量であることが望まれる。しかし、特許文献1に示すエアウェイアダ
プタ1は、爪11aを嵌合部1eの外側に備えるため構造が大型化し、その分重量も増す
だけでなく、爪11aが破損しやすい。爪11aが破損した場合、センサ2の嵌合部1e
への装着が適切に為されず、正確な測定が実行できない虞がある。
【0006】
また、嵌め入れの際に強い力を加える必要があるため、エアウェイアダプタ1とセンサ
2の少なくとも一方に破損が生ずる虞がある。また凹部2aの内壁が窓部1c、1dと接
触して傷がつき、正確な測定が実行できない虞がある。
【0007】
更に隙間なく嵌め入れられたエアウェイアダプタ1を交換目的でセンサ2から取り外す
際に、やはり強い力を加える必要がある。交換の度にこのような力がセンサ2に加えられ
ることにより、センサ2の筐体に疲労破壊が生じてしまう虞がある。使い捨てのエアウェ
イアダプタ1よりも高価なセンサ2の損傷に伴う交換は、使用者にとって深刻な負担とな
る。
【0008】
現在の医療の現場においては、小型かつ軽量のセンサ及びエアウェイアダプタが使用さ
れるものの、小型かつ軽量である分、筐体の強度が弱くなる。使用者の取り扱い方によっ
てはセンサとエアウェイアダプタの着脱時に過剰な力が加わり、センサ又はエアウェイア
ダプタが破損する虞がある。特に使用者がセンサを着脱する際にセンサをねじるようにし
て力を加えると、センサにひびが入ったり、エアウェイアダプタを傷つけることがある。
【0009】
よって本発明の目的は、可及的に小さな力で相互に着脱が可能とされたエアウェイアダ
プタおよび呼吸ガス検出用センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明によれば以下に列挙するものが提供される。
【0011】
(1):生体の呼吸気に含まれる所定の呼吸ガスを検出可能なセンサに装着されるエア
ウェイアダプタであって、
前記呼吸気が通過可能とされた通路が形成されたエアウェイケースと、
前記エアウェイケースに形成され、前記センサに対して取外し可能に嵌合可能とされた
嵌合部と、
前記嵌合部内に設けられ、前記エアウェイアダプタが前記センサに装着された際に、前
記センサと当接する接触部と前記センサと対向かつ離間する非接触部とを有する凸部とを
備えている、エアウェイアダプタ。
【0012】
(1)に記載の構成によれば、凸部の接触部のみがセンサに接触しており、非接触部は
センサから離間している。従ってセンサに外力が加わっていない状態においては接触部と
センサの接触によりセンサの位置規制機能が確保される。一方、センサの着脱時において
外力が加えられた場合、接触部は梃子の支点の役割を果たし、センサが非接触部に接近す
るような変位を許容する。従ってセンサを装着する際には、エアウェイアダプタの嵌合部
に対してセンサがある程度傾いた状態で挿入されても、センサは凸部の非接触部に案内さ
れて接触部と接触する位置へ導かれる。よってセンサに過剰な力を加えずとも円滑にエア
ウェイアダプタに装着可能であり、センサの疲労破壊を回避できる。センサを取り外す際
にも同様の変位許容性が確保されるため、過剰な力を加えずともエアウェイアダプタから
センサを取外し可能である。
【0013】
(2):(1)に記載のエアウェイアダプタであって、
前記嵌合部は、前記エアウェイアダプタが前記センサに装着された際に、前記センサの
発光部と受光部を結ぶ光軸が通過可能とされた窓部が形成された第1の面を有し、
前記凸部は、前記第1の面から突出している、エアウェイアダプタ。
【0014】
(2)に記載の構成によれば、センサの着脱時において、窓部がセンサの一部により損
傷されたり、逆に発光部や受光部がエアウェイケースの一部により損傷される事態を回避
できる。従って不適切な条件下で呼吸ガスの検出および濃度測定が行なわれる事態が回避
される。
【0015】
(3):(2)に記載のエアウェイアダプタであって、
前記窓部を封止する防曇膜を更に備えている、エアウェイアダプタ。
【0016】
(3)に記載の構成によれば、センサの検出精度を向上させるために可及的に薄い構造
の防曇膜を用いつつも、センサの着脱時において防曇膜がセンサの一部により損傷される
事態を回避できる。
【0017】
(4):(2)または(3)に記載のエアウェイアダプタであって、
前記第1の面は、前記エアウェイアダプタが前記センサに装着された際に、前記センサ
に形成された凹部内に配置されるように構成され、
前記嵌合部は、前記エアウェイアダプタが前記センサに装着された際に、前記凹部の底
部に対向するように構成された第2の面を有し、
前記第1の面と前記第2の面は、斜面により接続されており、
前記斜面は、前記エアウェイアダプタが前記センサに装着された際に、前記センサと離
間するように構成されているエアウェイアダプタ。
【0018】
(4)に記載の構成によれば、嵌合部においてセンサが最初に当接する傾向にある箇所
を斜面とすることにより、嵌合部に進入するセンサの姿勢が適正な状態に正され、第1の
面と第2の面が直交する場合と比較すると、センサを凸部の位置規制面へ円滑に導くこと
ができる。センサの取外し時においても同様にしてセンサの一部が斜面により案内され得
る。従ってセンサとエアウェイアダプタの着脱操作を円滑に遂行することが可能である。
またセンサのエアウェイアダプタへの装着時において斜面はセンサから離間するため、窓
部や防曇膜がセンサの一部により損傷されたり、逆にエアウェイケースの一部によってセ
ンサが損傷される事態を回避できる。
【0019】
(5):(1)から(4)の何れか1つに記載のエアウェイアダプタであって、
前記凸部は、前記エアウェイアダプタが前記センサと嵌合する向きに延設されて第1の
端部と第2の端部とを備え、
前記第1の端部は、前記第2の端部よりも前記センサと先に嵌合を開始する側に近く、
前記接触部は、前記第1の端部よりも前記第2の端部寄りに位置している、エアウェイ
アダプタ。
【0020】
(5)に記載の構成によれば、センサを引き抜こうとする際に加えられる外力に対し、
引き抜こうとする側においてより大きな変位が許容される。よって過剰な力を加えること
なくセンサをエアウェイアダプタから円滑に取外し可能であり、センサの疲労破壊を回避
できる。また第2端部側に位置するセンサの一部は、センサを引き抜こうとする際にエア
ウェイケースに衝突しやすいが、この部分の変位が可及的に抑制されることにより、衝突
を避けることが可能である。
【0021】
(6):(1)から(5)の何れか1つに記載のエアウェイアダプタであって、
前記非接触部は、平面と曲面の少なくとも一方を含んでいる、エアウェイアダプタ。
【0022】
接触部による位置規制機能と非接触部による変位許容機能がセンサに対して担保されて
いれば、任意の構成を採ることが可能である。
【0023】
(7):エアウェイアダプタに対して取外し可能に装着され、かつ生体の呼吸気に含ま
れる所定の呼吸ガスを検出するセンサであって、
対向する第1内壁および第2内壁と、これらの間に配置された第3内壁とにより画成さ
れ、かつ前記エアウェイアダプタに対して嵌合可能とされた凹部と、
前記第1内壁に設けられた受光部と、
前記第2内壁に設けられた発光部と、
前記第1内壁と前記第2内壁に隣接するように形成され、前記センサが前記エアウェイ
アダプタに装着された際に、前記アダプタと当接する接触部と前記アダプタと対向かつ離
間する非接触部とを有する凸部とを備えている、センサ。
【0024】
(7)に記載の構成によれば、凸部の接触部のみが嵌合部に接触しており、非接触部は
嵌合部に対向かつ離間している。従ってセンサに外力が加わっていない状態においては接
触部と嵌合部の接触によりセンサの位置規制機能が確保される。一方、センサの着脱時に
おいて外力が加えられた場合、接触部は梃子の支点の役割を果たし、嵌合部が非接触部に
接近するような変位を許容する。従ってセンサを装着する際には、エアウェイアダプタの
嵌合部に対してセンサがある程度傾いた状態で挿入されても、嵌合部は凸部の非接触部に
案内されて接触部と接触する位置へ導かれる。よってセンサに過剰な力を加えずとも円滑
にエアウェイアダプタに装着可能であり、センサの疲労破壊を回避できる。センサを取り
外す際にも同様の変位許容性が確保されるため、過剰な力を加えずともエアウェイアダプ
タからセンサを取外し可能である。
【0025】
(8):(7)に記載のセンサであって、
前記凸部は、前記センサが前記エアウェイアダプタと嵌合する向きに延設されて第1の
端部と第2の端部とを備え、
前記第1の端部は、前記第2の端部よりも前記センサと先に嵌合を開始する側に近く、
前記接触部は、前記第2の端部よりも前記第1の端部寄りに位置している、センサ。
【0026】
(8)に記載の構成によれば、センサを引き抜こうとする際に加えられる外力に対し、
引き抜こうとする側においてより大きな変位が許容される。よって過剰な力を加えること
なくセンサをエアウェイアダプタから円滑に取外し可能であり、センサの疲労破壊を回避
できる。また第1端部側に位置するセンサの一部は、センサを引き抜こうとする際にエア
ウェイアダプタに衝突しやすいが、この部分の変位が可及的に抑制されることにより、衝
突を避けることが可能である。
【0027】
(9):(7)または(8)に記載のセンサであって、
前記非接触部は平面と曲面の少なくとも一方を含んでいる、センサ。
【0028】
接触部による位置規制機能と非接触部による変位許容機能が嵌合部に対して担保されて
いれば、任意の構成を採ることが可能である。
【0029】
(10):エアウェイアダプタに対して取外し可能に装着され、かつ生体の呼吸気に含
まれる所定の呼吸ガスを検出するセンサであって、
対向する第1内壁および第2内壁と、これらの間に配置された第3内壁とにより画成さ
れ、かつ前記エアウェイアダプタに対して嵌合可能とされた凹部と、
前記第1内壁に設けられた受光部と、
前記第2内壁に設けられた発光部と、
前記第1内壁と前記第2内壁に隣接するように形成され、前記センサが前記エアウェイ
アダプタに装着された際に、少なくとも一部が前記エアウェイアダプタと接触する第1凸
部と、
前記第1内壁および前記第2内壁と前記第3内壁とを接続する角部に隣接するように前
記側面に形成された第2凸部とを備えている、センサ。
【0030】
センサを着脱する際に生ずる応力は角部の周辺に集中する傾向がある。(10)に記載
の構成によれば、この部位の厚みを増す突起を設けることによりセンサ本体の剛性を向上
させることが可能である。従ってセンサの着脱時に繰り返し加えられる力によってセンサ
本体が疲労破壊する事態を回避できる。
【0031】
(11):(10)に記載のセンサであって、
前記第3内壁に隣接するように形成され、前記センサが前記エアウェイアダプタに装着
された際に、前記エアウェイアダプタに設けられた係止部材と係合可能とされた第3凸部
を更に備え、
前記第2凸部と前記第3凸部は一体に形成されている、センサ。
【0032】
(11)に記載の構成によれば、嵌合方向におけるセンサのエアウェイアダプタに対す
る位置規制を行なう部材に補強機能を具備させることが可能であり、(10)の構成によ
る剛性向上効果が更に高まる。
【0033】
(12):(10)または(11)に記載のセンサであって、
前記第1凸部と前記第2凸部は一体に形成されている、センサ。
【0034】
(12)に記載の構成によれば、センサの発光部と受光部を結ぶ方向の位置規制を行な
う部材に補強機能を具備させることが可能であり、(10)の構成による剛性向上効果が
更に高まる。
【0035】
(13):エアウェイアダプタに対して取外し可能に装着され、かつ生体の呼吸気に含
まれる所定の呼吸ガスを検出するセンサであって、
対向する第1内壁および第2内壁と、これらの間に配置された第3内壁とにより画成さ
れ、かつ前記エアウェイアダプタに対して嵌合可能とされた凹部と、
前記第1内壁に設けられた受光部と、
前記第2内壁に設けられた発光部と、
前記第1内壁および前記第2内壁と前記第3内壁とを接続する角部は曲面とされている
、センサ。
【0036】
センサを着脱する際に生ずる応力は角部の周辺に集中する傾向がある。(13)に記載
の構成によれば、第3内壁と第1内壁および第2内壁が直交している場合と比較すると、
角部への応力集中を緩和することが可能であり、センサ本体の剛性が向上する。よってセ
ンサの着脱時に繰り返し加えられる力によってセンサ本体が疲労破壊する事態を回避でき
る。
【0037】
(14):エアウェイアダプタに対して取外し可能に装着され、かつ生体の呼吸気に含
まれる所定の呼吸ガスを検出するセンサであって、
対向する第1内壁および第2内壁と、これらの間に配置された第3内壁とにより画成さ
れ、かつ前記エアウェイアダプタに対して嵌合可能とされた凹部と、
前記第1内壁に設けられた受光部と、
前記第2内壁に設けられた発光部と、
外側面の一つと前記第1内壁および前記第2内壁を接続する角部は各々曲面とされてい
る、センサ。
【0038】
角部は、センサをエアウェイアダプタに装着しようとする際に、嵌合部と最初に当接す
る箇所である。(14)に記載の構成によれば、当該部分を曲面とすることにより嵌合時
の摺接が滑らかになり、第1内壁および第2内壁と側面が直交する場合と比較すると、セ
ンサ本体を嵌合部へ円滑に導くことができる。センサの取外し時においても、角部の嵌合
部の一部への引っ掛かりを防止可能であり、従ってセンサとエアウェイアダプタの着脱操
作を円滑に遂行することが可能である。
【0039】
(15):生体の呼吸気に含まれる所定の呼吸ガスを検出する装置であって、
前記所定の呼吸ガスを検出可能とされたセンサと、
前記センサに対して取外し可能に装着されたエアウェイアダプタとを備え、
前記エアウェイアダプタは、
前記呼吸気が通過可能とされた通路が形成されたエアウェイケースと、
前記エアウェイケースに形成され、前記センサに嵌合された嵌合部とを備え、
前記センサと前記嵌合部の少なくとも一方は、他方に当接する接触部と他方に対向かつ
離間する非接触部とを有する凸部を備えている、装置。
【0040】
(16)に記載の構成によれば、(1)および(7)について説明したものと同様の機
能および効果を得ることが可能である。