特許第6050865号(P6050865)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6050865評価関数によって制御ゲインをオンラインで最適化する機能を有するサーボ制御装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6050865
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】評価関数によって制御ゲインをオンラインで最適化する機能を有するサーボ制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02P 29/00 20160101AFI20161212BHJP
   G05B 13/02 20060101ALI20161212BHJP
   G05B 19/19 20060101ALI20161212BHJP
【FI】
   H02P29/00
   G05B13/02 P
   G05B13/02 J
   G05B13/02 D
   G05B19/19 Q
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-129297(P2015-129297)
(22)【出願日】2015年6月26日
【審査請求日】2016年5月17日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】飯島 一憲
【審査官】 池田 貴俊
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−250509(JP,A)
【文献】 特開平02−261083(JP,A)
【文献】 特開2002−171778(JP,A)
【文献】 米国特許第06274995(US,B1)
【文献】 米国特許第04079301(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 29/00
G05B 13/02
G05B 19/19
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーボモータで駆動される送り軸を有する工作機械の制御装置において、
サーボモータの速度指令値を作成する速度指令作成部と、
サーボモータのトルク指令値を作成するトルク指令作成部と、
サーボモータの速度を検出する速度検出部と、
前記速度指令作成部、前記トルク指令作成部、及び前記速度検出部を含む速度制御ループと、
前記速度制御ループの制御ゲインを設定する速度制御ループゲイン設定部と、
前記速度制御ループへの正弦波掃引を行う正弦波外乱入力部と、
正弦波を前記速度制御ループへ入力したときの速度制御ループの出力から、速度制御ループ入出力信号の利得と位相を推定する周波数特性算出部と、
送り軸の規範的な周波数特性を作成する規範特性作成部と、
前記速度制御ループゲインを調整するゲイン調整部と、を具備し、
前記ゲイン調整部は、前記規範特性作成部が作成する規範的な周波数特性と前記周波数特性算出部が算出する実測の周波数特性とを用いて、実測の周波数特性に対する周波数掃引毎の評価関数値を計算し、所望の評価関数値を実現する前記速度制御ループゲインへの調整をオンラインで実行する、
ことを特徴とするサーボ制御装置。
【請求項2】
前記規範特性作成部は、送り軸の構成に応じて変更可能な規範特性を作成する、請求項1に記載のサーボ制御装置。
【請求項3】
前記ゲイン調整部は、目標とする所望の評価関数値と実際の掃引に対する評価関数値との差に基づいて前記速度制御ループゲインの調整量を決定する、請求項1に記載のサーボ制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーボ制御装置に関し、特に評価関数によって制御ゲインをオンラインで最適化する機能を有するサーボ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
サーボ制御装置の制御系の周波数特性の測定にかかわる装置や手法は数多く提案され、工作機械の送り軸における伝達特性の計測においても広く活用されている。一般的には分析対象を加振装置で強制的に振動させた場合(周波数掃引)の応答振動を測定し、その時系列データを大容量メモリにロギングした後、種々の信号処理技術によって周波数伝達関数を求める。簡易的な測定を行う場合は、アクチュエータ自体を加振源とした場合の応答振動を測定・ロギングして信号処理を行う。電気回路や光学系の場合は加振回路が用いられる。
【0003】
制御ゲインを最適化するシステムとして、時系列信号をフィッティングして規範モデルの基本形関数を定義し、その関数に調整パラメータを含めたものを規範モデルに選ぶ方法が提案されている(例えば、特許文献1)。この従来技術では、時系列データとして取得して定量化可能な複数の指標(オーバシュートや立上り時間)の加重和を評価関数としてPIDパラメータの調整を行っている。評価関数の意味については問わないがプラント制御の補償器の最適化ができるというものである。
【0004】
また、実測の時系列データと規範応答の時系列データとの誤差を使って制御特性の評価値を算出する方法も提案されている(例えば、特許文献2)。この従来技術では、近似モデルを調整装置内に持ち、この近似モデルに対する調整を行った後に実際の制御対象へ調整結果を適用する。
【0005】
しかしながら、これらの従来技術は時間領域での応答への曲線適合を狙った規範モデルフィッティングが基礎となっている。オンラインで取得可能な周波数特性を用いて、周波数領域で直接的に規範伝達関数との差異を定量評価する方法に関してはこれまでに提案されていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015−076024号公報
【特許文献2】特開平9−131087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、制御特性を数理的に定義した最適化問題として取り扱うことで、安定性と高速応答性との両立が原則的に確立できるサーボ制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施例に係るサーボ制御装置は、サーボモータで駆動される送り軸を有する工作機械の制御装置において、サーボモータの速度指令値を作成する速度指令作成部と、サーボモータのトルク指令値を作成するトルク指令作成部と、サーボモータの速度を検出する速度検出部と、速度指令作成部、トルク指令作成部、及び速度検出部を含む速度制御ループと、速度制御ループの制御ゲインを設定する速度制御ループゲイン設定部と、速度制御ループへの正弦波掃引を行う正弦波外乱入力部と、正弦波を速度制御ループへ入力したときの速度制御ループの出力から、速度制御ループ入出力信号の利得と位相を推定する周波数特性算出部と、送り軸の規範的な周波数特性を作成する規範特性作成部と、速度制御ループゲインを調整するゲイン調整部と、を具備し、ゲイン調整部は、規範特性作成部が作成する規範的な周波数特性と周波数特性算出部が算出する実測の周波数特性とを用いて、実測の周波数特性に対する周波数掃引毎の評価関数値を計算し、所望の評価関数値を実現する速度制御ループゲインへの調整をオンラインで実行する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一実施例に係るサーボ制御装置によれば、安定性と高速応答性との両立が原則的に確立できるサーボ制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施例に係るサーボ制御装置の構成図である。
図2】本発明の実施例に係るサーボ制御装置における、正弦波周波数、入力信号、出力信号、並びに利得及び位相の周波数特性のそれぞれの時間的変化を表す図である。
図3】本発明の実施例に係るサーボ制御装置における、正弦波周波数、周波数特性の実測値及び規範となる周波数特性、並びに評価関数値のそれぞれの時間的変化を表す図である。
図4】本発明の実施例に係るサーボ制御装置における、大型機用の規範特性及び小型機用の規範特性を用いた場合の利得の周波数特性、並びに大型機用の規範特性及び小型機用の規範特性を用いた場合の位相の周波数特性を表す図である。
図5】本発明の実施例に係るサーボ制御装置の動作手順を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施例に係るサーボ制御装置について説明する。
【0012】
図1は本発明の実施例に係るサーボ制御装置の構成を示すブロック図である。本発明の実施例に係るサーボ制御装置100は、サーボモータ20で駆動される送り軸を有する工作機械の制御装置において、サーボモータ20の速度指令値を作成する速度指令作成部1と、サーボモータ20のトルク指令値を作成するトルク指令作成部2と、サーボモータの速度を検出する速度検出部3と、速度指令作成部1、トルク指令作成部2、及び速度検出部3を含む速度制御ループ4と、速度制御ループ4の制御ゲインを設定する速度制御ループゲイン設定部5と、速度制御ループ4への正弦波掃引を行う正弦波外乱入力部6と、正弦波を速度制御ループ4へ入力したときの速度制御ループ4の出力から、速度制御ループ入出力信号の利得と位相を推定する周波数特性算出部7と、送り軸の規範的な周波数特性を作成する規範特性作成部8と、速度制御ループゲインを調整するゲイン調整部9と、を具備し、ゲイン調整部9は、規範特性作成部8が作成する規範的な周波数特性と周波数特性算出部7が算出する実測の周波数特性とを用いて、実測の周波数特性に対する周波数掃引毎の評価関数値を計算し、所望の評価関数値を実現する速度制御ループゲインへの調整をオンラインで実行する、ことを特徴とする。
【0013】
次に、本発明の実施例に係るサーボ制御装置の動作について説明する。まず、速度指令作成部1がサーボモータ20を駆動するための速度指令値を作成し、加算器10へ出力する。加算器10は、正弦波外乱入力部6から入力された正弦波外乱を速度指令値に加算すると共に、速度検出部3が検出したサーボモータ20の速度検出値を減算し、計算結果を速度ループゲイン設定部5へ出力する。
【0014】
速度制御ループゲイン設定部5は、ゲイン調整部9によって調整された速度制御ループ4の制御ゲインを設定する。
【0015】
トルク指令作成部2は、加算器10の計算結果に速度制御ループゲインを乗算した値を取得し、トルク指令を出力しサーボモータ20を駆動する。サーボモータ20は伝達機構30を介して駆動体(図示せず)を動作させる。
【0016】
速度制御ループ4は、速度指令作成部1、トルク指令作成部2、及び速度検出部3を含むように構成されている。
【0017】
正弦波外乱入力部6は速度制御ループ4への正弦波掃引を行う。即ち、正弦波外乱入力部6は、速度制御ループ4へ正弦波外乱を入力する。
【0018】
周波数特性算出部7は、正弦波外乱をサーボ制御装置100の速度制御ループ4へ入力したときの速度制御ループ4の出力から、速度制御ループ入出力信号の利得と位相を推定する。さらに、周波数特性算出部7は、正弦波外乱入力部6からの外乱入力周波数を基本周波数とした、任意の項数からなるフーリエ級数によって速度制御ループ4の出力を表現し、そのフーリエ級数の基本波成分の振幅と位相を算出することで周波数特性をオンラインで算出する。
【0019】
規範特性作成部8は、送り軸の規範的な周波数特性を作成する。
【0020】
ゲイン調整部9は、速度制御ループゲインを調整する。ゲイン調整部9は、目標とする所望の評価関数値と実際の掃引に対する評価関数値との差に基づいて速度制御ループゲインの調整量を決定することが好ましい。
【0021】
本発明の実施例に係るサーボ制御装置100は、サーボ制御系に速度制御用のループ構造を持つ。速度制御ループ4はサーボモータ20に接続している伝達機構30の機械的特性を直接的に反映する。
【0022】
周波数特性の算出方法を問題にする場合はこの速度制御ループの構造自体は重要ではなく、図1に示した破線部を1つの入出力関係をもつシステムと捉えれば十分である。したがって速度制御ループ4の入力信号と出力信号との間の対応関係のみを考えればよい。周波数掃引を行う場合は、入力信号の正弦波周波数を段階的に増やしていくときの出力信号の定常応答を調べることで周波数特性が得られる。
【0023】
次に、本発明の実施例に係るサーボ制御装置の動作の動作について説明する。図2(a)に正弦波外乱入力部6から速度制御ループ4に加える外乱入力である正弦波の周波数の時間的変化を示す。図2(a)において、時刻t0からt1に渡って正弦波周波数を増加させ、時刻t1で初期値に戻す。同様に、時刻t1からt2に渡って正弦波周波数を増加させ、時刻t2で初期値に戻す。以下同様にして正弦波周波数を変化させる。ここで、時刻t0からt1までの期間を第1期間、時刻t1からt2までの期間を第2期間、時刻t2からt3までの期間を第3期間とする。
【0024】
図2(b)に速度制御ループ4の入力信号の時間的変化を示し、図2(c)に速度制御ループ4の出力信号の時間的変化を示す。周波数特性算出部7は、正弦波を速度制御ループ4へ入力したときの速度制御ループの出力から、速度制御ループ入出力信号の利得と位相を推定する。周波数特性算出部7が推定した利得(実線)と位相(点線)の時間的変化を図2(d)に示す。本実施例ではゲイン調整部9が速度制御ループゲインのハイゲイン化調整を行っているため、第1期間、第2期間、第3期間と時間を追うごとに利得が増大している。
【0025】
次に、本発明により制御系の周波数特性を逐次計測し、規範特性と実測特性とで構成する評価関数によって制御パラメータをオンラインで最適化する方法について説明する。図3(a)に正弦波外乱入力部6から速度制御ループ4に加える外乱入力である正弦波の周波数の時間的変化を示す。
【0026】
周波数特性算出部7は、正弦波を速度制御ループ4へ入力したときの速度制御ループ4の出力から、当該周波数での周波数特性、即ち、速度制御ループ入出力信号の利得と位相を推定する。そして、規範特性作成部8が、送り軸の規範的な周波数特性を計算する。図3(b)に周波数特性の実測値(実線)及び規範となる周波数特性(点線)の時間的変化を示す。入力信号の正弦波周波数が最大値に達すると、ゲイン調整部9が、掃引に対する評価関数値を計算する。
【0027】
次に、ゲイン調整部9が、規範特性作成部8が作成する規範的な周波数特性と周波数特性算出部7が算出する実測の周波数特性とを用いて、実測の周波数特性に対する周波数掃引毎の評価関数値を計算する。評価関数Sjは下記の式(1)のように表される。
【0028】
【数1】
ただし、
ω:周波数
kv:速度制御ループゲイン
W(ω):周波数特性に対する重み付け
Gmodel(ω):規範特性
Gexperimental(ω):実測特性
である。
式(1)は重みつき最小二乗法による計算式である。Sjが最小となる速度制御ループゲインkvを逐次掃引で算出する。このようにして、最適な速度制御ループゲインkvを求めることができる。
【0029】
上記の式(1)は評価関数値の算出式の一例であって、他の評価関数を用いることもできる。例えば、下記の式(2)のように表した評価関数を用いてもよい。
【0030】
【数2】
式(2)に従って評価関数Sjを用いる場合、Sjが0に近いほど速度制御ループゲインkvが目標値に近くなる。また、Sjが負の場合はゲインが過剰であることを示す。
【0031】
評価関数値の時間的変化を図3(c)に示す。第1期間(時刻:t0〜t1)の評価関数値は時刻t1において算出される。時刻t1において、1期間前の評価関数値と比較され、差分がゲイン調整量に反映される。第2期間、第3期間においても同様に評価関数値が計算され、評価関数値が目標値に到達するまで繰り返される。このようにして、ゲイン調整部9は、所望の評価関数値を実現する速度制御ループゲインへの調整をオンラインで実行する。また、ゲイン調整部9は、目標とする所望の評価関数値と実際の掃引に対する評価関数値との差に基づいて速度制御ループゲインの調整量を決定することが好ましい。図3(c)においては、時刻t3において、評価関数値が目標値に到達する例を示している。
【0032】
なお、規範特性作成部8は、送り軸の構成に応じて変更可能な規範特性を作成することが好ましい。例えば、制御の対象となる機械が大型機であるか小型機であるかに従って、規範特性を変えることができる。図4(a)は、大型機用の規範特性に基づく利得の周波数特性と、小型機用の規範特性に基づく利得の周波数特性を示し、図4(b)は、大型機用の規範特性に基づく位相の周波数特性と、小型機用の規範特性に基づく位相の周波数特性を示す。評価関数の値を正しく見積もるためには、共振周波数の高低を意識して規範特性(理想的な特性)を想定しておく必要がある。ここでは、理想的な特性として、大型機用の特性は制御帯域が狭く、小型機用の特性は制御帯域が広いものと定義している。小型機ではノミナルな特性として共振周波数が高くなる傾向にあるので、帯域を比較的容易に広くすることができる(ゲインを高くしてもよい)。一方、大型機では共振周波数が低くなる傾向にあるので帯域を広くすることは難しくなる(ゲインをあまり高くできない)。このように、制御対象の機械が大型機であるか小型機であるかに基づいて規範特性を変えることによって、上述のような共振特性の違いを背景にして、ハイゲイン化の目安を含めて評価関数値をより正確に計算できる。
【0033】
以上説明したように、本発明の実施例によるサーボ制御装置においては、自らが加振入力可能なシーケンサとして働いてオンラインで周波数特性を測定する。計測を繰返し行うたびに評価関数計算を実行し、規範特性へ近づけるようにコントローラのパラメータ調整を逐次的に実行することで、制御装置自身がオンラインで最適な制御特性を実現するようなパラメータを取得することができる。
【0034】
次に、本発明の実施例に係るサーボ制御装置の動作手順について図5に示したフローチャートを用いて説明する。まず、ステップS101において、正弦波外乱入力部6(図1参照)が入力周波数を初期化する。次に、ステップS102において、正弦波外乱入力部6が速度制御ループ4に正弦波外乱を入力する。次に、ステップS103において、速度検出部3がサーボモータ20の速度を検出する。
【0035】
次に、ステップS104において、トルク指令作成部2が、速度指令値、速度検出値、及び速度制御ループゲインからトルク指令値を作成する。次に、ステップS105において、周波数特性算出部7が、当該周波数での周波数特性を算出する。次に、ステップS106において、規範特性作成部8が、周波数毎に規範となる周波数特性を計算する。次に、ステップS107において、正弦波外乱入力部が入力周波数を更新する。
【0036】
次に、ステップS108において、入力信号の正弦波周波数が最大値に達したか否かを判断する。入力信号の正弦波周波数が最大値に達していない場合はステップS101からステップS108の各ステップを繰り返す。入力信号の正弦波周波数が最大値に達した場合は、ステップS109において、ゲイン調整部9が、掃引に対する評価関数値を計算する。評価関数値の計算方法は上述した通りである。
【0037】
次に、ステップS110において、評価関数値が目標値に到達したか否かを判断する。評価関数値が目標値に到達していない場合は、ステップS111において、評価関数値が目標値に近づくようにゲイン調整部9が速度制御ループゲインを変更し、ステップS101からステップS110までの各ステップを繰り返す。
【0038】
評価関数の値が目標値に到達した場合は、ステップS112において、ゲイン調整部9が最終的な速度制御ループゲインを確定する。以上のようにして、オンラインで取得可能な周波数特性を用いて、周波数領域で直接的に規範伝達関数との差異を定量評価することができる。
【0039】
以上説明したように、本発明の実施例に係るサーボ制御装置によれば、制御系の周波数特性を逐次計測し、規範特性と実測特性とで構成する評価関数によって制御パラメータをオンラインで最適化することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 速度指令作成部
2 トルク指令作成部
3 速度検出部
4 速度制御ループ
5 速度制御ループゲイン設定部
6 正弦波外乱入力部
7 周波数特性算出部
8 規範特性作成部
9 ゲイン調整部
10 加算器
20 サーボモータ
【要約】
【課題】本発明は、数理的に定義した最適化問題として取り扱うことで、安定性と高速応答性との両立が原則的に確立できるサーボ制御装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の一実施例に係るサーボ制御装置は、速度指令作成部と、トルク指令作成部と、速度検出部と、速度制御ループと、速度制御ループゲイン設定部と、速度制御ループへの正弦波掃引を行う正弦波外乱入力部と、正弦波を速度制御ループへ入力したときの速度制御ループの出力から、速度制御ループ入出力信号の利得と位相を推定する周波数特性算出部と、送り軸の規範的な周波数特性を作成する規範特性作成部と、速度制御ループゲインを調整するゲイン調整部と、を具備し、ゲイン調整部は、規範的な周波数特性と実測の周波数特性とを用いて周波数掃引毎の評価関数値を計算し、所望の評価関数値を実現する速度制御ループゲインへの調整をオンラインで実行する、ことを特徴とする。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5