(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6050892
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】取り外し可能な滅菌ラック及び滅菌装置
(51)【国際特許分類】
A61L 2/26 20060101AFI20161212BHJP
A61L 2/07 20060101ALI20161212BHJP
A61L 2/20 20060101ALI20161212BHJP
A61L 101/32 20060101ALN20161212BHJP
【FI】
A61L2/26
A61L2/07
A61L2/20 102
A61L101:32
【請求項の数】14
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-516485(P2015-516485)
(86)(22)【出願日】2012年6月14日
(65)【公表番号】特表2015-519155(P2015-519155A)
(43)【公表日】2015年7月9日
(86)【国際出願番号】EP2012061378
(87)【国際公開番号】WO2013185831
(87)【国際公開日】20131219
【審査請求日】2015年3月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】509050373
【氏名又は名称】ゲティンゲ ステラリゼイション アクチボラゲット
(74)【代理人】
【識別番号】100068021
【弁理士】
【氏名又は名称】絹谷 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128509
【弁理士】
【氏名又は名称】絹谷 晴久
(72)【発明者】
【氏名】アンデション, ヨナス
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアンソン, オーラ
(72)【発明者】
【氏名】エイナルソン, ヘンリク
【審査官】
松井 一泰
(56)【参考文献】
【文献】
実公昭50−007040(JP,Y1)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0170544(US,A1)
【文献】
米国特許第03511252(US,A)
【文献】
特開平11−004876(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/00− 2/26
A61L 11/00−12/14
A47L 15/00−15/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
滅菌装置(1)の内部で滅菌する対象物を支持するための取り外し可能な滅菌ラック(2)であって、前記滅菌ラック(2)は、
前記対象物を支持するための支持構造体(54)と、
前記対象物が前記支持構造体(54)によって支持されているときに流体の流れを前記対象物に向けて方向付ける少なくとも1つの開口部(57)と、
前記滅菌装置(1)に備えられている流体供給ポート(20)と結合し、且つ前記滅菌装置(1)の前記流体供給ポート(20)から前記流体を受け入れるためのドッキングポート(50)と、
前記ドッキングポート(50)を前記少なくとも1つの開口部(57)と流体流連通させるように配置及び構成されるコンジット(52)とを備え、
前記ドッキングポート(50)が前記滅菌装置(1)の前記流体供給ポート(20)に接続されて前記流体供給ポート(20)から前記流体を受け入れ可能であるときに、前記滅菌装置(1)に位置表示を提供するように構成されるマーカー(62)を備え、
前記マーカー(62)が前記ドッキングポート(50)内に備えられている、滅菌ラック(2)。
【請求項2】
前記マーカー(62)が磁石(62)を備える、請求項1に記載の取り外し可能な滅菌ラック(2)。
【請求項3】
前記支持構造体(54)がチューブ状フレーム(56a)を備え、
前記チューブ状フレーム(56a)が前記コンジット(52)の少なくとも一部を構成する、請求項1又は2に記載の取り外し可能な滅菌ラック(2)。
【請求項4】
前記チューブ状フレーム(56a)が、前記対象物が前記支持構造体(54)によって支持されているときに流体の流れを前記対象物に向けて方向付ける少なくとも1つの開口部(57)を備える、請求項3に記載の取り外し可能な滅菌ラック(2)。
【請求項5】
前記支持構造体(54)が、チューブ状部分を有する棚(56b)をさらに備え、前記チューブ状部分が、前記チューブ状フレーム(56a)と流体流連通し、前記対象物が前記支持構造体(54)によって支持されているときに前記対象物に向けて流体の流れを方向付ける少なくとも1つの開口部(57)を有する、請求項3又は4に記載の取り外し可能な滅菌ラック(2)。
【請求項6】
前記棚(56b)が、前記棚(56b)の前記チューブ状部分を前記チューブ状フレーム(56a)に機械的に取り付け、且つ前記チューブ状フレーム(56a)と前記棚(56b)の前記チューブ状部分の間に流路を設けるように構成される少なくとも1つの留め具(58)を使用して、前記チューブ状フレーム(56a)に取り外し可能に取り付けられる、請求項5に記載の取り外し可能な滅菌ラック(2)。
【請求項7】
前記留め具(58)が、前記チューブ状フレーム(56a)と前記棚(56b)の前記チューブ状部分の間に流路を設けるために中空ねじ(66)を備える、請求項6に記載の取り外し可能な滅菌ラック(2)。
【請求項8】
滅菌する対象物を滅菌するための滅菌装置(1)であって、
請求項1から7のいずれか一項による取り外し可能な滅菌ラック(2)を受け入れるように構成される滅菌チャンバ(10)と、
前記滅菌チャンバ(10)へ請求項1に記載の流体に相当する滅菌媒体を注入するための注入口と、
前記滅菌チャンバ(10)からの前記滅菌媒体の制御可能な排出のための注出口(18)と、
接続デバイス(24)及び制御可能な流体供給注出口(34)を備える流体供給ポート(20)と、
前記請求項1から7のいずれか一項による滅菌ラック(2)の前記ドッキングポート(50)が滅菌装置(1)の流体供給ポート(20)に接続されて前記流体供給ポート(20)から流体を受け入れ可能であるときに、前記請求項1から7のいずれか一項による滅菌ラック(2)内に備えられている前記マーカー(62)の存在を示す位置信号を供給するように配置及び構成されるセンサー(22)と、
前記センサー(22)及び前記接続デバイス(24)に接続され、前記センサー(22)からの前記位置信号に応答して、前記流体供給ポート(20)の前記注出口(34)を前記請求項1から7のいずれか一項による滅菌ラック(2)内に備えられている前記ドッキングポート(50)と流体流連通させるために前記接続デバイス(24)を制御するように構成される、制御ユニット(3)と
を備える、滅菌装置(1)。
【請求項9】
前記接続デバイス(24)が膨張式密封器(24)を備える、請求項8に記載の滅菌装置(1)。
【請求項10】
前記センサー(22)が磁石を検出するように構成される、請求項8又は9に記載の滅菌装置(1)。
【請求項11】
前記センサー(22)が、前記滅菌チャンバ(10)の外部に配置され、チャンバ壁(12a)によって前記滅菌チャンバ(10)の内側から分離される、請求項8から10のいずれか一項に記載の滅菌装置(1)。
【請求項12】
前記流体供給ポート(20)が流体供給コンジット(26)及び流体供給注出口(34)を備え、前記流体供給コンジット(26)が前記流体供給注出口(34)に通じる、請求項8から11のいずれか一項に記載の滅菌装置(1)。
【請求項13】
前記流体供給ポート(20)が、前記取り外し可能な滅菌ラック(2)から排出するために前記流体供給注出口(34)に流体流連通可能であるドレーンパイプ(36)をさらに備える、請求項12に記載の滅菌装置(1)。
【請求項14】
前記流体供給ポート(20)が、前記流体供給コンジット(26)に沿って配置される弁(38)をさらに備え、前記弁(38)は、前記流体供給注出口(34)に対して前記流体供給コンジット(26)を開閉するように配置され、
前記ドレーンパイプ(36)が、前記弁(38)が前記流体供給注出口(34)から前記流体供給コンジット(26)を閉じるように配置されるときに前記流体供給コンジット(26)と前記ドレーンパイプ(36)の間に流体通路が供給されるように配置される、請求項13に記載の滅菌装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取り外し可能な滅菌ラック、及び例えば蒸気などの滅菌流体を用いて対象物を滅菌するための滅菌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば病院、実験室、及び医薬産業で使用される、対象物を滅菌する一般的な技法は、オートクレーブなどの滅菌装置を使用することである。滅菌装置は、通常、滅菌する対象物を受け入れるためのチャンバ、及びチャンバの内部の対象物に滅菌媒体を供給するための流体システムを備える。滅菌媒体は、例えばノズルによって対象物に供給されうる。
【0003】
蒸気滅菌においては、蒸気がチャンバ内に導入されて温度が滅菌温度まで上昇する。使用する滅菌温度に応じた既定の滅菌時間の後、蒸気はチャンバから排出される。
【0004】
合計処理時間は、滅菌装置のユーザーにとって大変重要であることが多いが、それは主に上述の滅菌時間、蒸気を導入して滅菌温度に達するまでの時間、及びチャンバから排出する時間からなる。ある種の滅菌する対象物に関しては、その対象物をさらに処理するために、実際の滅菌の前後に追加の処理時間が必要となる可能性がある。例えば、バッグ内で滅菌される衣類は、バック内の復水を取り除くために、乾燥サイクルの対象となりうる。さらなる例としては、内容物を有する瓶の滅菌があり、比較的大きな熱質量があるため、追加の冷却時間が必要となる可能性がある。
【0005】
このような追加処理は、対象物が滅菌装置を占有する合計処理時間にさらに時間を追加する。
【0006】
したがって、滅菌プロセスの合計処理時間の短縮がもたらされることが望ましい。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、上述の課題を克服し、取り外し可能な滅菌ラック、及び滅菌プロセスの合計処理時間の短縮をもたらす滅菌装置を提供することである。
【0008】
この目的及び以下で明白になる他の目的は、添付する特許請求の範囲で定義される取り外し可能な滅菌ラック及び滅菌装置によって達成される。
【0009】
本発明の第1の態様によると、滅菌装置の内部で滅菌する対象物を支持する取り外し可能な滅菌ラックが提供される。この取り外し可能な滅菌ラックは、
対象物を支持するための支持構造体と、
対象物が支持構造体によって支持されているときに流体の流れを対象物に向けて方向付ける少なくとも1つの開口部と、
滅菌装置に備えられている流体供給ポートと結合し、且つ滅菌装置の流体供給ポートから流体を受け入れるためのドッキングポートと、
ドッキングポートを少なくとも1つの開口部と流体流連通させるように配置及び構成されるコンジットとを備え、
滅菌ラックは、ドッキングポートが滅菌装置の流体供給ポートから流体を受け入れる位置にあるときに、滅菌装置に非接触位置表示を提供するように構成されるマーカーを備える。
【0010】
本発明は、滅菌装置から流体を受け入れることができる取り外し可能な滅菌ラックを提供し、さらに流体の流れをラック内の開口部を通して滅菌する対象物に向けて方向付けることによって、合計処理時間を短縮することができるという認識に基づいている。少なくとも1つの開口部をラック内に設けることによって、流体は、開口部がチャンバの壁に位置する場合に比べて、より効率的に対象物に向けて方向付けられることができ、それ故にプロセスがより効率的に実行されうる。例えば、流体が空気であり、実行プロセスが乾燥することである場合、流体を対象物に向けて方向づけることができ、対象物から熱伝達の増大を伴うため、対象物を乾燥させる時間を短縮することができる。本発明は、さらに、取り外し可能な滅菌ラックに非接触位置表示用マーカーを設けることによって、滅菌ラック内に備えられているドッキングポートを、制御可能な信頼性のある方法で、滅菌装置内に備えられている流体供給ポートに接続することができるという認識に基づいている。したがって、流体供給ポートは、流体を、滅菌ラックを通してドッキングポートに供給し、さらにラック内の少なくとも1つの開口部を介して滅菌する対象物に供給することができる。
【0011】
少なくとも1つの開口部は、支持構造に沿うように方向付けるか、及び/又は支持構造体に対して垂直に方向付けることができる。少なくとも1つの開口部は、さらに、支持構造体に対して角度をもたせて方向付けることができる。さらに、取り外し可能な滅菌ラックは、滅菌ラックの様々な位置に配置される複数の開口部を備えることができる。開口部の位置は、流体の方向付けられた流れが、滅菌装置を通して供給されるように配置することができる。例えば、対象物を挿入するための滅菌装置のチャンバ入口及び/又は滅菌ラックに近接する開口部は、流体の流れがチャンバ入口から離れて供給されるように、チャンバ入口から離れるように方向付けることができる。
【0012】
滅菌装置から減菌ラック内の少なくとも1つの開口部へ流れる流体は、温風又は冷風などの空気、水、蒸気、或いはこの4つの組み合わせであってもよい。したがって、滅菌する対象物は、加熱、乾燥、又は冷却などの他の工程段階の対象となりうることを理解するべきである。例えば、滅菌ラックによって支持される対象物を加熱又は乾燥する場合、温風を使用することができる。滅菌ラックによって支持される対象物を冷却する場合、冷風を使用することができる。滅菌ラックによって支持される対象物を滅菌する場合、蒸気を使用することができる。他の流体の使用も、本発明の範囲内においてありうる。例えば、蒸気とは別の滅菌媒体、例えばホルマリン及び/又はホルムアルデヒド又は過熱水などが、滅菌ラックによって供給され、滅菌プロセスで使用されうる。
【0013】
対象物を滅菌するために、蒸気、ホルマリン、ホルムアルデヒド、及び/又は過熱水などの滅菌媒体を供給するために従来の通路を使用することは可能であるが、取り外し可能な滅菌ラック内の開口部は、例えば、対象物を乾燥するために温風を供給し、及び/又は対象物を冷却するために冷風又は水を供給するように配置することができる。当然ながら、種々の流体の任意の組み合わせの使用は、滅菌装置内の従来の通路を使用しても、及び/又は滅菌ラック内の開口部を使用しても、本発明の範囲内にある。
【0014】
取り外し可能な滅菌ラックを有することによって、滅菌ラックを滅菌装置内に挿入する前に、滅菌する対象物をラックに積むことができる。これによって、滅菌/加熱/乾燥/冷却する対象物の扱いが容易になる。さらに、様々な種類の対象物に対して、異なる滅菌ラックの最適化を行うことができる。例えば、ある滅菌ラックは、滅菌ラック内の少なくとも1つの開口部によって供給される流体によって加熱又は乾燥される対象物のために使用されるように構成することができ、別の滅菌ラックは、滅菌ラック内の少なくとも1つの開口部によって供給される流体によって滅菌される対象物のために使用されるように構成することができる。さらなる実施例では、ある種類の滅菌ラックは、滅菌ラック内の少なくとも1つの開口部によって供給される流体によって冷却される対象物のために使用されるように配置することができる。操作者は、加熱、滅菌、乾燥、及び/又は冷却の種々の方法を有することによって、対象物の設計及び性質に応じて、最適化された結果を得るために適合された幾つかの既定の滅菌プロセスプログラムの間から選択することができる。
【0015】
したがって、本発明の様々な実施形態は、流体を滅菌装置から受け取り、滅菌する対象物へ運ぶことができる、取り外し可能な滅菌ラックを提供する。さらに、本発明の様々な実施形態は、滅菌装置に対する非接触位置表示のためのマーカーを提供する。
【0016】
本発明の取り外し可能な滅菌ラックの少なくとも1つの実施形態によると、マーカーは、磁石を備えることができる。したがって、有利には、滅菌装置には、磁石を感知するための、例えばホールセンサーなどのセンサーを設けることができる。これによって、取り外し可能な滅菌ラックの簡単且つ安価な非接触表示位置を得ることができる。本発明の少なくとも1つの実施形態によると、マーカーは、誘導デバイスを備えることができる。したがって、流体供給ポートを通って延在する穴又は開き口がなくても、ドッキングポートが流体供給ポートに接続されたかを検出することが可能である。
【0017】
本発明の実施形態では、マーカーは、ドッキングポート内に備えられうる。このようにマーカーを位置付けることによって、滅菌装置内に備えられている供給ポートに対してドッキングポートの位置付け表示を容易にすることができる。同様に、流体供給ポートは、マーカーを検出するためのセンサーを備えることができる。
【0018】
流体を、取り外し可能な滅菌ラックを介して、減菌装置から対象物に供給するために、取り外し可能な滅菌ラックは、滅菌装置と流体流連通するための手段を備える。本発明の第1の態様によると、これは、滅菌装置内に備えられている流体供給ポートに接続されるドッキングポート、及びドッキングポートを滅菌ラック内の少なくとも1つの開口部と流体流連通させるように配置及び構成されるコンジットによって実行される。これによって、流体は、滅菌ラック内の少なくとも1つの開口部を介して、滅菌装置から対象物へ流れることができる。ドッキングポートをより簡単に流体供給ポートに接続するために、支持構造体とドッキングポートの間の少なくとも一部のコンジットを柔軟に配置することができる。さらに、取り外し可能な滅菌ラックは、コンジットが乱暴な取扱いによって割れたり又は恒久的に変形したりしないように、可撓性の制限の範囲内でコンジットを支持し且つ保持するように配置されるコンジット支持体をさらに備えることができる。
【0019】
さらに、本発明の様々な実施形態による支持構造体は、流体を滅菌ラックを介して供給するために、チューブ状フレームを備えることができ、チューブ状フレームは、コンジットの少なくとも一部を構成することができる。したがって、チューブ状フレームは、滅菌装置及び少なくとも1つの開口部と流体流連通することができる。本発明の少なくとも1つの実施形態によると、コンジットは、チューブ状フレームに連なる。本発明のさらに別の実施形態によると、コンジットは、ドッキングポートに接続することができる。
【0020】
チューブ状フレームは、対象物が支持構造体によって支持されているときに流体の流れを対象物に向けて方向付ける少なくとも1つの開口部を備えることができる。本発明の少なくとも1つの例示的な実施形態によると、滅菌する対象物を支持する支持構造体は、チューブ状フレームを備えることができ、チューブ状フレームは、コンジットの少なくとも一部を構成し、少なくとも1つの開口部を備える。このように、支持構造体は、滅菌する対象物を支持すると同時に、流体の流れを対象物に供給するための手段を備える。したがって、流体は、滅菌する対象物に向けて方向付けることができ、それにより、合計処理時間のさらなる短縮をもたらされる。
【0021】
本発明の実施形態では、支持構造は、チューブ状部分を有する棚をさらに備えてもよく、チューブ状部分は、チューブ状フレームと流体流連通し、対象物が支持構造によって支持されているときに対象物に向けて流体の流れを方向付ける少なくとも1つの開口部を有する。このように少なくとも1つの開口部を位置付けることは、滅菌する対象物に向けた流体の方向付けを改善することを可能にすることができる。
【0022】
本発明の少なくとも1つの例示的な実施形態によると、各々のチューブ状フレーム及び棚のチューブ状部分は、滅菌する対象物に向けて流体の流れを方向付ける少なくとも1つの開口部を備えることができる。
【0023】
さらなる実施形態によると、棚は、棚のチューブ状部分をチューブ状フレームに機械的に取り付けるように構成される少なくとも1つの留め具を使用して、チューブ状フレームに取り外し可能に取り付けてもよく、それにより、チューブ状フレームと棚のチューブ状部分の間に流路が設けられる。このようにすれば、種々の棚をチューブ状フレームに取り付けることができる。例えば、種々の棚を種々の対象物に使用することができる。例えば、 ある種の棚は、対象物を、滅菌ラック内の少なくとも1つの開口部によって供給される流体によって加熱又は乾燥するために使用することができる一方で、別の種の棚は、対象物を、滅菌ラック内の少なくとも1つの開口部によって供給される流体によって滅菌するために使用することができる。さらなる実施例では、ある種の棚は、対象物を、滅菌ラック内の少なくとも1つの開口部によって供給される流体によって冷却するために使用することができる。
【0024】
さらに、チューブ状フレームに棚のチューブ状部分を機械的に取り付けるように構成される留め具を使用し、チューブ状フレームと棚のチューブ状部分の間に流路を設けることによって、留め具の機能は、棚をチューブ状フレームに取り付けることと、その間に流体流連通を設けることとの組み合わせとなる。これにより、棚をチューブ状フレームに留めるために1つのコンポーネントを使用し、流体をチューブ状フレームから棚に運ぶために別のコンポーネントを使用する必要がない。
【0025】
留め具は、チューブ状フレームと棚のチューブ状部分の間に流路を設けるために中空ねじを備えることができる。
【0026】
本発明の第2の態様によると、滅菌する対象物を滅菌するための滅菌装置が提供される。滅菌装置は、本発明の第1の態様による取り外し可能な滅菌ラックを受け入れるように構成される滅菌チャンバと、滅菌チャンバへの滅菌媒体の注入のための注入口と、滅菌チャンバからの滅菌媒体の制御可能な排出のための注出口と、接続デバイス及び制御可能な流体注出口を備える流体供給ポートと、本発明の第1の態様による滅菌ラックのドッキングポートが流体供給ポートから流体を受け入れる位置にあるときに、本発明の第1の態様による滅菌ラックに備えられているマーカーの存在を示す位置信号を供給するように配置及び構成されるセンサーと、
センサー及び接続デバイスに接続され、センサーからの位置信号に応答して、流体供給ポートの注出口を本発明の第1の態様による滅菌ラック内に備えられているドッキングポートと流体流連通させるために接続デバイスを制御するように構成される、制御ユニットとを備える。
【0027】
本発明の第2の態様の効果及び特徴は、本発明の第1の態様と関連して以上で説明されるものと大きく類似する。
【0028】
流体供給ポートは、滅菌装置から取り外し可能な滅菌ラックへ任意の種類の流体を供給するように構成されうる。例えば、流体供給ポートは、滅菌する対象物を加熱及び/又は乾燥するための温風などの空気、滅菌する対象物を冷却するための冷風又は水、或いは対象物を滅菌するための、蒸気、過熱水、ホルマリン、又はホルムアルデヒドなどの滅菌媒体を供給することができる。
【0029】
滅菌チャンバは、滅菌ラックを介さずにチャンバに直接滅菌媒体を供給するチャンバ流体注入口を備えることができる。これにより、チャンバ流体注入口は、例えば、蒸気、過熱水、ホルマリン、又はホルムアルデヒドなどの滅菌媒体を供給する一方で、取り外し可能な滅菌ラックには、加熱、乾燥及び/又は冷却する対象物に流体を方向付ける開口部が設けられる。
【0030】
本発明の少なくとも1つの例示的な実施形態によると、接続デバイスは、膨張式密封器(inflatable seal)を備えることができる。これにより、安価で信頼性のある密封器が得られる。膨張式密封器は、流体供給ポートの流体注出口から特定の径方向距離で周方向に位置決めすることができる。これにより、滅菌ラックの流体供給ポート及びドッキングポートは、完全に互いに調整されて膨張式密封器で密封されなくても、流体流連通することができる。
【0031】
本発明の1つの例示的な実施形態によると、センサーは、磁石を検出するように構成される。これにより、センサーは、マーカーが磁石を備えるときに、滅菌ラック内のマーカーを検出する。結果として、安価で信頼性のある検出システムを得ることができる。
【0032】
さらに、センサーは、滅菌チャンバの外部に配置され、チャンバ壁によって滅菌チャンバの内側から分離されうる。
【0033】
本発明の1つの実施形態によると、流体供給ポートは、流体供給コンジット及び流体供給注出口を備えてもよく、流体供給コンジットは、流体供給排出口に通じる。流体供給コンジットは、流体の流れを流体供給注出口に供給するように配置されうる。さらに、流体供給ポートは、取り外し可能な滅菌ラックから排出するためのドレーンパイプを備えることができる。
【0034】
本発明の1つの実施形態によると、流体供給ポートは、当該流体供給コンジットに沿って配置される弁を備えることができ、弁は、流体供給注出口に対して流体供給コンジットを開閉するように配置され、ドレーンパイプは、弁が流体供給注出口から流体供給コンジットを閉じるように配置されるときに、流体供給コンジットとドレーンパイプの間に流体通路が供給されるように配置されうる。これにより、流体供給コンジット及びドレーンパイプにおける微生物の成長は、例えば蒸気、いわゆる「定置蒸気滅菌(steam−in−place)」によって取り除くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
本発明のこれらの態様及び他の態様は、これより本発明の例示的な実施形態を示す添付の図面を参照してより詳細に説明される。
【0036】
【
図1a】
図1aは、本発明の少なくとも1つの例示的な実施形態による滅菌装置及び取り外し可能な滅菌ラックを示す。
【
図1b】
図1bは、
図1aの取り外し可能な滅菌ラックと滅菌装置との間の接続の拡大図である。
【
図2a】
図2aは、本発明の少なくとも1つの例示的な実施形態による取り外し可能な滅菌ラックを示す。
【
図3】
図3は、取り外し可能な滅菌ラックと滅菌装置との間の接続を概略的に示すブロック図である。
【
図4a】
図4aは、取り外し可能な滅菌ラックと滅菌装置との間の接続の斜視断面図である。
【
図4b】
図4bは、取り外し可能な滅菌ラックと滅菌装置との間の接続の斜視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明は、主に対象物の滅菌のための滅菌装置及び滅菌装置の内部に配置されるように構成される取り外し可能な滅菌ラックを参照して以下で説明される。さらに、本発明は、滅菌装置と取り外し可能な滅菌ラックとの間の接続を参照して説明される。
【0038】
しかしながら、この記述は、決して本発明の範囲を限定するものではなく、このことは、例えば、滅菌装置及び取り外し可能な滅菌ラックと共に滅菌装置を取り外し可能な滅菌ラックに接続する同じ種類の接続を使用する他の構成にも等しく適用しうることに留意するべきである。
【0039】
図1aは、滅菌装置1の内部に配置される例示的な滅菌装置1及び取り外し可能な滅菌ラック2を示す。滅菌装置1は、3つの壁12a、12b、12cを有するチャンバ10、フロア12d、及びシーリング12eを備える。対象物及び/又は取り外し可能な滅菌ラック2を挿入するためのチャンバ注入口14は、壁12cの反対側に配置される。ドア(図示せず)が、チャンバ注入口14を密封するために配置されうる。チャンバ2には、対象物及び/又は取り外し可能な滅菌ラック2を挿入するために2つのチャンバ注入口14を設けることができ、2つのチャンバ注入口14は、互いに向かい合うように配置される。フロア12dには、チャンバから排出するためのドレイン18が配置される。さらに、流体供給ポート20が、チャンバ1のうちの1つの壁12aに配置される。さらに、チャンバに流体を供給するための通路/開口部(図示せず)が、壁12a、12b、12c、フロア12d、及び/又はシーリング12eに設けられうる。
【0040】
滅菌ラック2と滅菌装置1との間の接続の拡大図である
図1bを参照すると、滅菌ラック2内に備えられているドッキングポート50が、滅菌ラック2内に備えられているコンジット52に接続される。ドッキングポート50が流体供給ポート20と接続し、それにより、滅菌装置1が滅菌ラック2と流体流接触することができる。ドッキングポート50と流体供給ポート20との間の接続は、
図3及び
図4においてさらに説明される。
【0041】
取り外し可能な滅菌ラック2については、これより
図2aを参照してより詳細に説明する。
図2aで示されるように、滅菌ラック2は、対象物(図示せず)を支持するための支持構造体54、滅菌装置1の流体供給ポート20に接続するための
図1bを参照して以上で説明されたドッキングポート50、及び支持構造体54に接続される
図1bを参照して以上で説明されたコンジット52と、コンジット52をドッキングポート50と支持構造体54との間に導くためのフレーム56a上に配置されるコンジット支持体53と、及びドッキングポート50とを備える。支持構造体54は、フレーム56a及び接続器58を用いてフレーム56aに接続される棚56bを備える。
図2aでは、7つの棚56bがフレーム56aに取り付けられている。任意の個数の棚56bをフレーム56aに取り付けることができるため、棚56bの個数は本発明の範囲を限定しない。さらに、フレーム56aには、
図2aでは6つあるホイール60が設けられ、これは、滅菌装置1のチャンバ10に滅菌ラック2を出し入れする運搬作業を容易にする。
【0042】
ドッキングポート50は、マーカー62をさらに備え、これは、滅菌ラック2を滅菌装置1の内部に配置するときの滅菌ラック2の非接触位置表示のための磁石62の形態をとる。
【0043】
滅菌ラック2を滅菌装置1のチャンバ10内に挿入する前に、対象物(図示せず)は、支持構造体54上に、例えば棚56bのうちの少なくとも1つの上に積まれる。滅菌ラック2のチャンバ10内への挿入は、ホイール60によって容易となる。滅菌ラック2がチャンバ10内に挿入される間、ドッキングポート50は、滅菌装置1の流体供給ポート20に接続されるように配置される。コンジット52はフレーム56aに可撓自在に取り付けられ、それにより、ドッキングポート50が流体供給ポート20に接続することが容易となる。さらに、コンジット52は、その可搬性の限界を越えて屈曲しないように、コンジット支持体53によって制限される範囲内で可動することができる。
【0044】
さらに、
図2aで示されるように、コンジット52、フレーム56a、棚56b、及び接続器58は、チューブ状であり、流体が滅菌ラック2を通過することを可能にする。このため、滅菌ラック2が滅菌装置1と流体流連通するとき、流体は、
図2aの矢印で示されるように、滅菌装置1から、ドッキングポート50及びコンジット52を介して、支持構造体54へ分配されうる。
【0045】
図2aは、さらに棚56bをフレーム56aに接続する1つの接続器58の拡大図を示す。
図2aの拡大図の棚56bは、支持構造体54を通じて対象物(図示せず)に向けて分配される流体の流れを方向付ける開口部57をさらに備える。
図2aにおいて示される実施形態では、開口部57が棚56bに備えられているが、開口部57は、フレーム56a又は棚56bとフレーム56aの両方に備えられてもよい。さらに、開口部57を任意の適切な方向に方向付けることができる。
【0046】
1つの接続器58の概略斜視切取図である
図2bを参照すると、接続器58は、中空棚ホルダ(hollow shelf holder)64及び中空締結ねじ(hollow fastening screw)66を備える。流体の流れは、矢印によって示される。中空締結ねじ66は、棚ホルダ64を棚56bに締結するためのねじ頭66a、中空棚ホルダ64を封止するためのねじ受け部66b、フレーム56aから中空棚ホルダ64への流体の流れを可能にするねじ開口部66c、ねじ体62d、及び締結ねじ66を棚56bに通すためのねじリード66eを備える。中空締結ねじ66及び中空棚ホルダ64は、ねじ体66dと中空棚ホルダ64の内側の間に隙間が設けられるように配置される。これにより、中空締結ねじ66は、開口部66cが中空棚ホルダ64の内側の壁に対して突き当たることを防止しながら、任意の方向に配置することができる。
図2bに示される構成によって、流体は、接続器58を介して、フレーム56aから棚56bへ流れることが可能である。
【0047】
滅菌ラック2のドッキングポート50を滅菌装置1の流体供給ポート20に接続することは、これより
図3を参照してさらに説明される。
図3で示されるように、流体供給ポート20は、流体供給ポート20をドッキングポート50に密封するための密封器24、流体を流体供給ポート20に供給するための第1の流体供給コンジット26、流体を密封器24に供給するための第2の流体供給コンジット28、及びマーカー62を感知して滅菌ラック2がいつ滅菌装置1の内部に配置されたかを検出するセンサー22をさらに備える。マーカー62は、滅菌ラック2の他の部分に配置され、センサー22は、滅菌装置1の他の部分に配置されうる。密封器24は、第1の流体供給コンジット26から径方向距離で周方向に配置され、第2の流体供給コンジット28に接続される。
図3に示されるように、滅菌装置1は、制御ユニット3、第1の流体供給コンジット26に接続される第1の制御可能な弁30、及び第2の流体供給コンジット28に接続される第2の制御可能な弁32をさらに備える。
【0048】
図3に示されるように、制御ユニット3は、取り外し可能な滅菌ラック2が滅菌装置1の内部に適切に配置されるとき、すなわち、ドッキングポート50が流体供給ポート20と整列するとき、ドッキングポート50に取り付けられるマーカー62を検出するセンサー22と通信するように配置される。その後、制御ユニット3は、制御可能な弁32が開いて流体が密封器24に流れることを可能にするために、第2の制御可能な弁32と通信し、密封器は、拡張されて流体供給ポート20及びドッキングポート50を密封する。その後、制御ユニット3は、制御可能な弁20を開くために第1の制御可能な弁30と通信し、それにより、流体が第1の流体供給コンジット26を介して、流体供給ポート20に流れ、さらにドッキングポート50及びコンジット52に流れることを可能にする。これにより、滅菌装置1は、滅菌ラック2と流体流接触することができる。
【0049】
ドッキングポート50を流体供給ポート20に密封することは、これより
図4a及び
図4bを参照してさらに説明される。
図4aでは、ドッキングポート50は、流体供給ポート20に接続され、第1の流体供給コンジット26は、流体供給ポート20の流体供給注出口34及びドッキングポート50を介して、コンジット52と(流体流)接触するように配置される。密封器24は、流体注出口26から径方向距離で周方向に配置される。さらに、密封器24は、流体を密封器24に供給するように配置される第2の流体供給コンジット28に接続される。
図4aでは、密封器24に供給される流体はなく、密封器24はドッキングポート50と接触していない。
【0050】
図4aに示されるように、流体供給ポート20は、流体供給コンジット26に沿って配置されるドレーンパイプ36、及びドレーンパイプ36と流体供給注出口34の間に流体供給コンジット26に沿って配置される弁38をさらに備える。
【0051】
ドレーンパイプ36は、取り外し可能な滅菌ラック2から排出するように構成される。さらに、弁38は、流体供給注出口34に対して流体供給コンジット26を開閉するように配置される。ドレーンパイプ36の配置によって、弁38が流体供給注出口34に対して流体供給コンジット26を閉じるときに、流体供給コンジット26とドレーンパイプ36の間に流体通路が供給される。流体供給コンジット26及びドレーンパイプ36内の微生物の成長及び他の不純物を取り除くために、蒸気を流体通路内に供給することができる。
【0052】
図4bでは、密封器24は、流体、例えば第2の流体供給コンジット28を通じて密封器24に供給される空気によって拡張される。これにより、密封器は、ドッキングポート50と接触し、流体供給ポート20をドッキングポート50に密封接続する。
【0053】
さらに、開示した実施形態の変形例を、当業者は、図面、明細書及び添付の特許請求の範囲を検討することにより、請求項に記載の発明を実施する際に理解し且つ達成することができる。例えば、滅菌装置及び取り外し可能な滅菌ラックは、滅菌装置を取り外し可能な滅菌ラックに接続する際と同じ種類の接続を使用しながらも、ここで提示されているものとは異なる構成を有することができる。
【0054】
特許請求の範囲では、「備える(comprising)」という用語は、他の要素又は工程を除外せず、不定冠詞(「a」又は「an」)は、複数を除外するものではない。互いに異なる従属請求項において特定の測定単位が記載されていることは、これらの測定単位の組み合わせを、利益を得るために使用することができないということを示すわけではない。