特許第6050893号(P6050893)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6050893移動体通信ネットワークで使用される方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6050893
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】移動体通信ネットワークで使用される方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   H04W 76/06 20090101AFI20161212BHJP
   H04W 92/12 20090101ALI20161212BHJP
【FI】
   H04W76/06
   H04W92/12
【請求項の数】26
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2015-527423(P2015-527423)
(86)(22)【出願日】2013年4月2日
(65)【公表番号】特表2015-529411(P2015-529411A)
(43)【公表日】2015年10月5日
(86)【国際出願番号】SE2013050362
(87)【国際公開番号】WO2014027937
(87)【国際公開日】20140220
【審査請求日】2015年4月10日
(31)【優先権主張番号】61/682,442
(32)【優先日】2012年8月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598036300
【氏名又は名称】テレフオンアクチーボラゲット エルエム エリクソン(パブル)
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100166660
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 晴人
(72)【発明者】
【氏名】プラダス, ホセ ルイス
(72)【発明者】
【氏名】カベルニ, アレッサンドロ
(72)【発明者】
【氏名】シ, ニアンシャン
【審査官】 齋藤 浩兵
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−541422(JP,A)
【文献】 特表2011−511517(JP,A)
【文献】 Huawei,"RAN3 impacts on standalone HS-DPCCH"[online],3GPP TSG-RAN WG3#76 R3-121007,2012年 5月25日,URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG3_Iu/TSGR3_76/Docs/R3-121007.zip
【文献】 Alcatel-Lucent,"TSN re-ordering ambiguities solutions"[online],3GPP TSG-RAN WG3#74 R3-112789,2011年11月18日,URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG3_Iu/TSGR3_74/Docs/R3-112789.zip
【文献】 Ericsson, ST-Ericsson, ZTE,"Total E-DCH buffer size in case of CCCH transmission"[online],3GPP TSG-RAN WG2#78 R2-122033,2012年 5月25日,URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_78/Docs/R2-122033.zip
【文献】 Alcatel-Lucent, Alcatel-Lucent Shanghai Bell,"Implicit release timer for standalone HS-DPCCH transmission"[online],3GPP TSG-RAN WG2#77bis R2-121500,2012年 3月30日,URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_77bis/Docs/R2-121500.zip
【文献】 Ericsson, ST-Ericsson,"RAN2 related issues on stand-alone HS-DPCCH"[online],3GPP TSG-RAN WG2#77 R2-120413,2012年 2月10日,URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_77/Docs/R2-120413.zip
【文献】 3GPP TS 25.321 V8.15.0,2012年 7月 2日,pp.90-92,101-109,148,149,URL,http://www.3gpp.org/ftp/Specs/archive/25_series/25.321/25321-8f0.zip
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24−7/26
H04W 4/00−99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局によって実行される、無線通信ネットワークにおける共通無線リソースの解放をサポートする方法であって、前記共通無線リソースは、共通拡張個別チャネル(E−DCH)リソースであり、前記方法は、
前記基地局が、共通E−DCHリソースの黙示的解放用のタイマーの値についての指標を、物理共有チャネル再設定要求メッセージで無線ネットワーク制御装置から受信するステップ(S1)であって、共通E−DCHリソースの黙示的解放用の前記タイマーの値についての前記指標が、「E−DCH送信継続バックオフ」期間を示す、前記ステップと、
前記基地局が、ユーザ装置(UE)からの空バッファ状態の報告の受信に応じて、共通E−DCHリソースの黙示的解放用の前記タイマーの値についての前記指標に基づいて、共通E−DCHリソースを解放するかどうかを決定するステップ(S2; S23)と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
共通E−DCHリソースの黙示的解放用の前記タイマーの値の前記指標は、「E−DCH送信継続バックオフ」期間がゼロに設定されているのか、ゼロとは異なる値に設定されているのかを示す、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
空バッファ状態の前記報告は、ゼロと等しいトータルE−DCHバッファ状態(TEBS)値を有する、ピギーバックされたスケジューリング情報(SI)として受信される、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記共通無線リソースは、共通拡張個別チャネル(E−DCH)リソースであり、共通無線リソースの黙示的解放用のタイマーの値についての前記指標は、共通E−DCHリソースの黙示的解放用のタイマーの値についての指標であり、
共通E−DCHリソースを解放するかどうかを前記基地局が決定する前記ステップ(S2)は、前記基地局が、ユーザ装置(UE)からの空バッファ状態の前記報告が、前記UEによる共通E−DCHリソースの黙示的解放に起因しているかどうかを、共通E−DCHリソースの黙示的解放用のタイマーの値についての前記指標に基づいて判定するステップ(S2-1)を含む、
ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記基地局が、共通E−DCHリソースの黙示的解放用の前記タイマーの値についての前記指標がゼロと等しい場合に、前記共通E−DCHリソースを解放するステップ(S24)、
を更に含むことを特徴とする請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
共通E−DCHリソースの黙示的解放用の前記タイマーの値についての前記指標がゼロと異なる場合に、前記共通E−DCHリソースを解放しないようにするステップ(S25)、
を更に含むことを特徴とする請求項3または4に記載の方法。
【請求項7】
CELL_FACH状態及びアイドルモードにおける個別チャネルの送信のためのスケジューリング情報を使用して黙示的解放のサポートを提供する、
ことを特徴とする請求項3または4に記載の方法。
【請求項8】
共通無線リソースの黙示的解放用の前記タイマーの値についての前記指標は、前記物理共有チャネル再設定要求メッセージ内の「共通E−DCH黙示的解放タイマー」情報エレメントに含まれる、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記「共通E−DCH黙示的解放タイマー」情報エレメント内の、共通無線リソースの黙示的解放用の前記タイマーの値についての前記指標は、ゼロ以上の値を有する列挙型に定められている、
ことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
無線ネットワーク制御装置によって実行される、無線通信ネットワークにおける共通無線リソースの解放をサポートする方法であって、前記共通無線リソースは、共通拡張個別チャネル(E−DCH)リソースであり、前記方法は、
前記無線ネットワーク制御装置が、共通E−DCHリソースの黙示的解放用のタイマーの値についての指標を、物理共有チャネル再設定要求メッセージで基地局へ送信することによって、ユーザ装置(UE)からの空バッファ状態の報告の受信に応じて、共通E−DCHリソースを解放するかどうかを、共通E−DCHリソースの黙示的解放用の前記タイマーの値についての前記指標に基づいて前記基地局が決定することを可能にするステップ(S11)であって、共通E−DCHリソースの黙示的解放用の前記タイマーの値についての前記指標が、「E−DCH送信継続バックオフ」期間を示す、前記ステップ、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
共通E−DCHリソースの黙示的解放用の前記タイマーの値の前記指標は、「E−DCH送信継続バックオフ」期間がゼロに設定されているのか、ゼロとは異なる値に設定されているのかを示す、
ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記無線ネットワーク制御装置は、共通E−DCHリソースの黙示的解放用の前記タイマーの値についての前記指標を前記基地局へ送信することによって、ゼロと等しいトータルE−DCHバッファ状態(TEBS)値を有する、ピギーバックされたスケジューリング情報(SI)の、ユーザ装置(UE)からの受信に応じて共通E−DCHリソースを解放するかどうかを、共通E−DCHリソースの黙示的解放用の前記タイマーの値についての前記指標に基づいて前記基地局が決定することを可能にする、
ことを特徴とする請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記無線ネットワーク制御装置は、共通E−DCHリソースの黙示的解放用の前記タイマーの値についての前記指標を前記基地局へ送信することによって、共通E−DCHリソースの黙示的解放用の前記タイマーの値についての前記指標がゼロと等しい場合に、前記共通E−DCHリソースを、前記UEからの空バッファ状態の前記報告の受信に応じて前記基地局が解放し、共通E−DCHリソースの黙示的解放用の前記タイマーの値についての前記指標がゼロと異なる場合に、前記共通E−DCHリソースを前記基地局が解放しないようにすることを可能にする、
ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記方法は、前記無線ネットワーク制御装置が、共通無線リソースの黙示的解放用のタイマーの値についての前記指標を含む情報エレメントを前記メッセージ内に付加するステップ(S10)を含み、
共通無線リソースの黙示的解放用のタイマーの値についての指標を前記無線ネットワーク制御装置が送信する前記ステップ(S11)は、共通無線リソースの黙示的解放用のタイマーの値についての前記指標を含む、前記付加された情報エレメントを有する前記メッセージを、前記無線ネットワーク制御装置が前記基地局へ送信するステップ(S11-1)を含む、
ことを特徴とする請求項10から13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
共通無線リソースの黙示的解放用の前記タイマーの値についての前記指標は、前記物理共有チャネル再設定要求メッセージ内の「共通E−DCH黙示的解放タイマー」情報エレメントに含まれる、
ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記「共通E−DCH黙示的解放タイマー」情報エレメント内の、共通無線リソースの黙示的解放用の前記タイマーの値についての前記指標は、ゼロ以上の値を有する列挙型に定められている、
ことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
無線通信ネットワークのための基地局(100; 4, 6)であって、
共通拡張個別チャネル(E−DCH)リソースの黙示的解放用のタイマーの値についての指標を、無線ネットワーク制御装置から物理共有チャネル再設定要求メッセージで受信するよう構成されたインタフェース(110, 48)であって、共通E−DCHリソースの黙示的解放用の前記タイマーの値についての前記指標が、「E−DCH送信継続バックオフ」期間を示す、前記インタフェースと、
ユーザ装置(UE)からの空バッファ状態の報告の受信に応じて、共通E−DCHリソースの黙示的解放用の前記タイマーの値についての前記指標に基づいて、共通E−DCHリソースを解放するかどうかを決定するよう構成された処理モジュール(120; 40)と、
を備えることを特徴とする基地局。
【請求項18】
前記インタフェース(110, 48)は、共通E−DCHリソースの黙示的解放用の前記タイマーの値についての前記指標を、「E−DCH送信継続バックオフ」期間の値がゼロに設定されているのか、ゼロとは異なる値に設定されているのかについての指標の形式で受信するよう構成される、
ことを特徴とする請求項17に記載の基地局。
【請求項19】
前記基地局(100; 4, 6)は、空バッファ状態の前記報告を、ゼロと等しいトータルE−DCHバッファ状態(TEBS)値を有する、ピギーバックされたスケジューリング情報(SI)として受信するよう構成された送受信機モジュール(130; 42)を備える、
ことを特徴とする請求項17または18に記載の基地局。
【請求項20】
前記処理モジュール(120; 40)は、共通E−DCHリソースの黙示的解放用の前記タイマーの値についての前記指標がゼロと等しい場合に、前記共通E−DCHリソースを解放するよう構成される、
ことを特徴とする請求項19に記載の基地局。
【請求項21】
前記処理モジュール(120; 40)は、共通E−DCHリソースの黙示的解放用の前記タイマーの値についての前記指標がゼロと異なる場合に、前記共通E−DCHリソースを維持するよう構成される、
ことを特徴とする請求項19に記載の基地局。
【請求項22】
前記インタフェース(110, 48)は、共通無線リソースの黙示的解放用の前記タイマーの値についての前記指標を、物理共有チャネル再設定要求メッセージ内の「共通E−DCH黙示的解放タイマー」情報エレメントで受信するよう構成される、
ことを特徴とする請求項17から21のいずれか1項に記載の基地局。
【請求項23】
無線通信ネットワークのための無線ネットワーク制御装置(200; 8)であって、
共通拡張個別チャネル(E−DCH)リソースの黙示的解放用のタイマーの値についての指標を、物理共有チャネル再設定要求メッセージで基地局へ送信することによって、ユーザ装置(UE)からの空バッファ状態の報告の受信に応じて、共通E−DCHリソースを解放するかどうかを、共通E−DCHリソースの黙示的解放用の前記タイマーの値についての前記指標に基づいて前記基地局が決定することを可能にするよう構成されたインタフェース(210; 52)であって、共通E−DCHリソースの黙示的解放用の前記タイマーの値についての前記指標が、「E−DCH送信継続バックオフ」期間を示す、前記インタフェース、
を備えることを特徴とする無線ネットワーク制御装置。
【請求項24】
前記インタフェース(210; 52)は、共通E−DCHリソースの黙示的解放用の前記タイマーの値についての前記指標を、「E−DCH送信継続バックオフ」期間の値がゼロに設定されているのか、ゼロとは異なる値に設定されているのかについての指標の形式で送信するよう構成される、
ことを特徴とする請求項23に記載の無線ネットワーク制御装置。
【請求項25】
前記無線ネットワーク制御装置(200; 8)は、共通無線リソースの黙示的解放用の前記タイマーの値についての前記指標を含む情報エレメントを前記メッセージ内に付加するよう構成された処理モジュール(220; 50)を備え、
前記インタフェース(210; 52)は、前記メッセージを前記基地局へ送信するよう構成される、
ことを特徴とする請求項23または24に記載の無線ネットワーク制御装置。
【請求項26】
前記無線ネットワーク制御装置(200; 8)は、共通無線リソースの黙示的解放用の前記タイマーの値についての前記指標を、前記物理共有チャネル再設定要求メッセージ内の「共通E−DCH黙示的解放タイマー」情報エレメントに含めるよう構成された処理モジュール(220; 50)を備え、
前記インタフェース(210; 52)は、前記物理共有チャネル再設定要求メッセージを前記基地局へ送信するよう構成される、
ことを特徴とする請求項23から25のいずれか1項に記載の無線ネットワーク制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、無線通信、及び無線リソースの効率的な使用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高速パケットアクセス(HSPA:High Speed Packet Access)をサポートする、UTMS地上無線アクセスネットワーク(UTRAN:UMTS Terrestrial Radio Access Network)/広帯域符号分割多元接続(WCDMA(登録商標):Wideband Code Division Multiple Access)ネットワークという、非限定的な例で、本出願の技術を説明する。図1に、UTRAN/HSPAタイプのシステムの基本的な例を示している。本例のネットワークは、基本的に、ノードBとも称される複数の基地局100−1,100−2;4,6と、1つ以上の無線ネットワーク制御装置(RNC:Radio Network Controller)200−1,200−2;8とを備える。RNCは、1つ以上のノードBに対する制御機能を提供する。RNC200−1;8は、コアネットワーク(CN)400内の1つ以上のコアネットワーク・ノードとも通信し、当該コアネットワークは、1つ以上の他のネットワーク(例えば、インターネット、公衆電話網及び私設電話網等)に接続されうる。RNC及びそれに対応するノードBは、多くの場合、1つ以上のユーザ装置(UE)300;14に対して基本的な無線アクセスを提供する無線ネットワークサブシステムと表される。ネットワーク内には複数のインタフェースが存在する。Uuインタフェースは、ノードBとUEとを接続する。Iubインタフェースは、RNCとノードBとを接続する。Iurインタフェースは、2つのRNCを互いに接続する。IuCS及びIuPSインタフェースは、RNCとCNとを接続する。
【0003】
このようなタイプのネットワークは、通常、当該ネットワークとの通信のために個別の(dedicated)無線リソースがUEに割り当てられている、当該UEの接続状態と、共通の拡張個別チャネル(E−DCH:Enhanced Dedicated Channel)リソース等の共通無線リソースをUEが利用可能である、他の接続状態と、をサポートしている。
【0004】
共通リソースは、様々な方法で解放され、例えば、ネットワークによって明示的に(explicitly)解放されうるか、UEによって黙示的に(implicitly)解放されうる。後者のケースでは、UEは基本的に、その送信バッファを空にするまで共通無線リソースを維持して、場合によってはインアクティビティ・タイマー(inactivity timer)が終了するのを待ち、その後、共通無線リソースを解放する。UEは、典型的には、空バッファ状態(empty buffer status)の報告を含むスケジューリング情報がネットワークへ送信された後に、及び、最後の再送プロセスが確認応答されたか、または最大再送回数に達した後に、リソースを解放する。UEからの、空バッファ状態の報告を含むスケジューリング情報の受信は、通常、ネットワークによって、UEによる黙示的な解放と解釈され、その後、ネットワークもネットワーク側のリソースを解放する。
【0005】
共通リソースの黙示的解放用のタイマーまたは単に黙示的解放タイマー(implicit release timer)とも称される、インアクティビティ・タイマーは、RNCによって制御され、関係のある(複数の)UEに対してシステム情報でブロードキャストされる。通常はインアクティビティ・タイマーが使用され、これは、UEが、最後の送信の完了からわずか数秒後に送信するための新たなデータを有している可能性があるためである。当該タイマーについての選択される値は、他のユーザにリソースを割り当て可能にするためにできるだけ素早くリソースを解放することと、当該リソースを解放した直後に同一のユーザから要求を受信するリスクとのトレードオフと関係している。
【0006】
しかし、UEにおけるインアクティビティ・タイマーが有効化されている場合、共通リソースをネットワークが誤って解放して、その結果として無線リンクの障害及びデータの損失が生じる状況が起こり得ることに留意すべきである。
【0007】
したがって、無線通信ネットワークにおける共通リソースの解放のためのよりロバストな解決策が必要である。
3GPP文書"Total E-DCH buffer size in case of CCCH transmission",R2−122033,2012年5月 は、CELL_FACH状態におけるCCCH送信が完了した際に、トータルE−DCHバッファ状態(TEBS)値<>0である場合に、UEがスケジューリング情報(SI)を送信できず、共通E−DCHリソースを解放することができないという課題に関係している。したがって、アイデアは、CELL_FACH状態におけるCCCH送信が完了した際に、UEに、実際のTEBS値によらず、TEBS=0を有するSIを送信させ、共通E−DCHリソースを解放させることである。
米国特許出願公開第2009/086671号明細書は、拡張ランダムアクセスチャネル(E−RACH)におけるメッセージの送信の終了に関するものである。E−RACHメッセージの終了に応じた動作が、E−DCHリソースを解放するために与えられる。UEが当該UEのバッファが空であると判定した際に、UEが、ゼロと等しいE−DCHバッファ状態(TEBS)の値を有するスケジューリング情報の送信をトリガすることで、ネットワークが、ゼロの値を有するSIを受信した際にリソースを解放できるようにする。
米国特許出願公開第2009/116378号明細書は、第1エンティティにおける少なくとも2つの第1タイマーまたは第2エンティティにおける少なくとも2つの第2タイマーを利用して、アイドルモードに移行するタイミングまたは無線リソースを解放するタイミングを決定することで無線リンクの回復を行うことによって、無線通信システムにおける無線リンク障害に対処する方法に関するものである。
国際公開第2009/082329号は、リソースの管理及び共通E−DCHリソースの解放に関するものであり、レイヤ2またはレイヤ1の既存のシグナリング・フィールドを用いてUEとノードBとの間で解放をシグナリングする。当該シグナリング・フィールドは、CELL_DCHにおいて既に使用されているが、その解釈が、CELL_FACHにおいてユーザごとに変更される。
【発明の概要】
【0008】
提案技術は、従来技術のこれらの欠点及び他の欠点を克服する。
【0009】
全体的な目的は、無線通信ネットワークにおいて共通無線リソースの的確な解放のサポートを提供することである。
【0010】
この目的及び他の目的は、添付の請求項に規定されるような提案技術によって達成される。
【0011】
第1の態様によれば、基地局によって実行される、無線通信ネットワークにおける共通無線リソースの解放をサポートする方法が提供される。基地局は、共通無線リソースの黙示的解放用のタイマーの値についての指標を、無線ネットワーク制御装置から受信し、基地局は、共通無線リソースの黙示的解放用のタイマーの値についての当該指標に基づいて、共通無線リソースを解放するかどうかを決定する。
【0012】
第2の態様によれば、無線ネットワーク制御装置によって実行される、無線通信ネットワークにおける共通無線リソースの解放をサポートする方法が提供される。無線ネットワーク制御装置は、共通無線リソースの黙示的解放用のタイマーの値についての指標を、基地局へ送信することによって、共通無線リソースを解放するかどうかを、共通無線リソースの黙示的解放用のタイマーの値についての当該指標に基づいて基地局が決定することを可能にする。
【0013】
第3の態様によれば、無線通信ネットワークのための基地局が提供される。基地局は、共通無線リソースの黙示的解放用のタイマーの値についての指標を、無線ネットワーク制御装置から受信するよう構成されたインタフェースを備える。基地局は、共通無線リソースの黙示的解放用の前記タイマーの値についての指標に基づいて、共通無線リソースを解放するかどうかを決定するよう構成された処理モジュールを更に備える。
【0014】
第4の態様によれば、無線通信ネットワークのための無線ネットワーク制御装置が提供される。無線ネットワーク制御装置は、共通無線リソースの黙示的解放用のタイマーの値についての指標を、基地局へ送信することによって、共通無線リソースを解放するかどうかを、共通無線リソースの黙示的解放用のタイマーの値についての当該指標に基づいて基地局が決定することを可能にするよう構成されたインタフェースを備える。
【0015】
第5の態様によれば、無線通信ネットワークにおいて共通拡張個別チャネル(E−DCH)リソースの解放をサポートする方法が提供され、「E−DCH送信継続バックオフ」期間がゼロに設定されているのか、ゼロとは異なる値に設定されているのかを示す「共通E−DCH黙示的解放タイマー」情報エレメント(IE)を含む、物理共有チャネル再設定要求メッセージを、基地局が無線ネットワーク制御装置から受信する。
【0016】
第6の態様によれば、無線通信ネットワークのための基地局が提供され、基地局は、「E−DCH送信継続バックオフ」期間がゼロに設定されているのか、ゼロとは異なる値に設定されているのかを示す「共通E−DCH黙示的解放タイマー」情報エレメント(IE)を含む、物理共有チャネル再設定要求メッセージを、無線ネットワーク制御装置から受信するよう構成される。
【0017】
第7の態様によれば、無線通信ネットワークにおいて共通拡張個別チャネル(E−DCH)リソースの解放をサポートする方法が提供され、「E−DCH送信継続バックオフ」期間がゼロに設定されているのか、ゼロとは異なる値に設定されているのかを示す「共通E−DCH黙示的解放タイマー」情報エレメント(IE)を含む、物理共有チャネル再設定要求メッセージを、無線ネットワーク制御装置が基地局へ送信する。
【0018】
第8の態様によれば、無線通信ネットワークのための無線ネットワーク制御装置が提供され、無線ネットワーク制御装置は、「E−DCH送信継続バックオフ」期間がゼロに設定されているのか、ゼロとは異なる値に設定されているのかを示す「共通E−DCH黙示的解放タイマー」情報エレメント(IE)を含む、物理共有チャネル再設定要求メッセージを、基地局へ送信するよう構成される。
【0019】
このように、黙示的解放用のタイマーの値についての指標を使用することによって、基地局は、UEからの空バッファ状態の報告の受信に応じて共通リソースを解放するかどうかを、正しく決定することが可能になる。これにより、空バッファ状態の報告についての誤った解釈が排除され、不必要な無線リンク障害が避けられることになる。
【0020】
他の利点は、詳細な説明を読んだ場合に理解されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
添付の図面とともに以下の説明を参照することによって、提案技術の他の目的及び利点とともに、当該提案技術が最大限に理解されることになる。
【0022】
図1】UTRAN/HSPAタイプの通信ネットワークの例を図示する概略図。
【0023】
図2】一実施形態に係る、基地局によって実行される、無線通信ネットワークにおける共通無線リソースの解放をサポートする方法の例を図示する概略的なフロー図。
【0024】
図3】一実施形態に係る、図2の決定ステップの特定の例を図示する概略的なフロー図。
【0025】
図4】一実施形態に係る、共通無線リソースの解放をサポートする方法の他の特定の例を図示する概略的なフロー図。
【0026】
図5】一実施形態に係る、無線ネットワーク制御装置によって実行される、無線通信ネットワークにおける共通無線リソースの解放をサポートする方法の例を図示する概略的なフロー図。
【0027】
図6】他の実施形態に係る、無線ネットワーク制御装置によって実行される、無線通信ネットワークにおける共通無線リソースの解放をサポートする方法の例を図示する概略的なフロー図。
【0028】
図7】一実施形態に係る、無線ネットワーク制御装置によって実行される、無線通信ネットワークにおける共通無線リソースの解放をサポートする方法の他の例を図示する概略的なフロー図。
【0029】
図8】一実施形態に係る、無線通信ネットワーク用の基地局及び無線ネットワーク制御装置、並びに対応するRNC−BSインタフェースの例を図示する概略的なブロック図。
【0030】
図9】基地局とUEとの間のUE−BSインタフェースの図示も含む、一実施形態に係る、基地局及び無線ネットワーク制御装置、並びに対応するRNC−BSインタフェースの特定の例を図示する概略的なブロック図。
【0031】
図10】共通無線リソースの解放をサポートする方法の更に他の特定の例を図示する概略的なフロー図。
【0032】
図11】一実施形態に係るユーザ装置の例を図示する概略的なブロック図。
【0033】
図12】一実施形態に係る、ノードB等の基地局の例を図示する概略的なブロック図。
【0034】
図13】一実施形態に係る無線ネットワーク制御装置の例を図示する概略的なブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
複数の図面にわたって、同一または対応する要素に対して同一の参照番号を使用している。
【0036】
本技術は、共通拡張個別チャネル(E−DCH)のリソース等の共通無線リソースをUEが利用可能な場合のシナリオに関するものである。共通リソースは、様々な方法で解放され、例えば、ネットワークによって明示的に解放されうるか、UEによって黙示的に解放されうる。後者のケースでは、UEは、基本的に、その送信バッファが空になるまで共通無線リソースを維持して、場合によってはインアクティビティ・タイマーが終了するのを待ち、その後、共通無線リソースを解放する。
【0037】
前述のように、UEにおけるインアクティビティ・タイマーが有効化されていない場合には、黙示的な解放の手順はうまくいく。しかし、UEにおけるインアクティビティ・タイマーが有効化されている場合には、共通リソースをネットワークが誤って解放して、その結果として無線リンクの障害及びデータの損失が生じる状況があり得ることに留意すべきである。
【0038】
発明者は、このことが、パケットデータユニットの最後部において十分なスペースが利用可能な場合に、UEは、インアクティビティ・タイマーが終了したか否かにかかわらず、空バッファ状態の指標を有するスケジューリング情報を付加しうるという事実と関係があることに気が付いた。そして、そのような空バッファ状態の指標は、インアクティビティ・タイマーが終了していないにもかかわらず、ネットワークによって、UEによる黙示的な解放として誤って解釈される可能性がある。ネットワークがリソースを誤って解放した場合には、インアクティビティ・タイマーが終了する前にUEが送信を再開しようとするときに当該UEが無線リンク障害を検出することになり、データが失われることになる。
【0039】
図2は、一実施形態に係る、基地局(BS)によって実行される、無線通信ネットワークにおける共通無線リソースの解放をサポートする方法の例を図示する概略的なフロー図である。ステップS1で、基地局は、共通無線リソースの黙示的解放用のタイマーの値についての指標(indication)を、無線ネットワーク制御装置から受信する。ステップS2で、基地局は、共通無線リソースの黙示的解放用のタイマーの値についての指標に基づいて、共通無線リソースを解放するかどうかを決定する。
【0040】
黙示的解放用のタイマーの値についての指標を使用することによって、基地局は、UEからの空バッファ状態の報告の受信に応じて共通リソースを解放するかどうかを、正しく決定することが可能になる。これにより、空バッファ状態報告の誤った解釈が排除され、不必要な無線リンク障害が避けられることになる。
【0041】
ステップ2は、場合によっては、関係する3GPP標準規格において「共通リソース解放の決定(common resource release decision)」と称される。
【0042】
特定の実施形態では、共通無線リソースは、共通拡張個別チャネル(E−DCH)リソースであり、黙示的解放用のタイマーの値についての指標は、共通E−DCHリソースの黙示的解放用のタイマーの値についての指標である。
【0043】
共通E−DCHリソースの黙示的解放用のタイマーの値についての指標は、例えば、「E−DCH送信継続バックオフ(E-DCH transmission continuation back off)」期間がゼロに設定されているのか、ゼロとは異なる値に設定されているのかを示してもよい。
【0044】
これまでに示唆したように、共通無線リソースを解放するかどうかを基地局が決定するステップS2は、ユーザ装置(UE)からの空バッファ状態の報告の受信に応じて実行されうる。
【0045】
具体的には、空バッファ状態の報告は、後ほど詳細に説明するように、ゼロと等しいトータルE−DCHバッファ状態(TEBS:Total E-DCH Buffer Status)値を有する、ピギーバックされた(piggybacked)スケジューリング情報(SI:Scheduling Information)として受信されてもよい。
【0046】
特定の実施形態の例では、図3に示したように、共通無線リソースが、共通拡張個別チャネル(E−DCH)リソースであり、かつ、共通無線リソースの黙示的解放用のタイマーの値についての指標が、共通E−DCHリソースの黙示的解放用のタイマーの値についての指標である場合には、共通リソースを解放するかどうかを基地局が決定するステップS2は、UEからの空バッファ状態の報告が、UEによる共通E−DCHリソースの黙示的解放に起因しているかどうかを、共通E−DCHリソースの黙示的解放用のタイマーの値についての指標に基づいて基地局が判定する、ステップS2−1を含む。
【0047】
例として、本方法は、共通E−DCHリソースの黙示的解放用のタイマーの値についての指標がゼロと等しい場合に、基地局が共通E−DCHリソースを解放するステップを含んでもよい。
【0048】
一方で、本方法は、共通E−DCHリソースの黙示的解放用のタイマーの値についての上記指標がゼロと異なる場合に、基地局が共通E−DCHリソースを解放しないようにするステップを含んでもよい。言い換えれば、基地局は、この場合には共通E−DCHリソースを維持する。その他の詳細については、図10が参照されてもよい。
【0049】
このため、本例では、黙示的解放用のタイマーがゼロであるか否かを示せば十分である。しかし、黙示的解放用のタイマーの値についての指標は、代替的には、「E−DCH送信継続バックオフ」期間の厳密な値等の、タイマーの厳密な値を示してもよい。他の例については後ほど説明する。
【0050】
後ほど詳細に説明するように、共通無線リソースの黙示的解放用のタイマーの値についての指標は、例えば、物理共有チャネル再設定要求(PHYSICAL SHARED CHANNEL RECONFIGURATION REQUEST)メッセージで受信されてもよい。
【0051】
物理共有チャネル再設定要求メッセージは、RNCとノードBとの間のいわゆるIubインタフェース上でのシグナリングの一部である。
【0052】
共通無線リソースの黙示的解放用のタイマーの値についての指標は、物理共有チャネル再設定要求メッセージ内の、新たな「共通E−DCH黙示的解放タイマー(Common E-DCH Implicit Release Timer)」情報エレメントに含められてもよい。
【0053】
一例として、「共通E−DCH黙示的解放タイマー」情報エレメントにおける、共通無線リソースの黙示的解放用のタイマーの値についての指標は、ゼロ以上の値を有する列挙型(ENUMERATED type)に定められる。
【0054】
以下では、無線ネットワーク制御装置の観点から本技術の実施形態を説明する。
【0055】
図5は、一実施形態に係る、無線ネットワーク制御装置によって実行される、無線通信ネットワークにおける共通無線リソースの解放をサポートする方法の例を図示する概略的なフロー図である。ステップS11で、無線ネットワーク制御装置は、共通無線リソースの黙示的解放用のタイマーの値についての指標を、基地局へ送信することによって、共通無線リソースを解放するかどうかを、共通無線リソースの黙示的解放用のタイマーの値についての当該指標に基づいて基地局が決定することを可能にする。
【0056】
特定の実施形態では、共通無線リソースは、共通拡張個別チャネル(E−DCH)リソースであり、上記指標は、共通E−DCHリソースの黙示的解放用のタイマーの値についての指標である。
【0057】
例として、共通E−DCHリソースの黙示的解放用のタイマーの値についての指標は、「E−DCH送信継続バックオフ(E-DCH transmission continuation back off)」期間がゼロに設定されているのか、ゼロとは異なる値に設定されているのかを示してもよい。
【0058】
特定の実施形態の例では、無線ネットワーク制御装置は、共通E−DCHリソースの黙示的解放用のタイマーの値についての指標を基地局へ送信することによって、ユーザ装置(UE)からの空バッファ状態の報告の受信に応じて共通E−DCHリソースを解放するかどうかを、共通E−DCHリソースの黙示的解放用のタイマーの値についての当該指標に基づいて基地局が決定することを可能にする。
【0059】
より具体的には、無線ネットワーク制御装置は、共通E−DCHリソースの黙示的解放用のタイマーの値についての指標を基地局へ送信することによって、ゼロと等しいトータルE−DCHバッファ状態(TEBS)値を有する、ピギーバックされたスケジューリング情報(SI)の、ユーザ装置(UE)からの受信に応じて共通E−DCHリソースを解放するかどうかを、共通E−DCHリソースの黙示的解放用のタイマーの値についての当該指標に基づいて基地局が決定することを可能にする。
【0060】
例えば、無線ネットワーク制御装置は、共通E−DCHリソースの黙示的解放用のタイマーの値についての指標を基地局へ送信することによって、共通E−DCHリソースの黙示的解放用のタイマーの値についての指標がゼロと等しい場合に、共通E−DCHリソースを、UEからの空バッファ状態の報告の受信に応じて基地局が解放することを可能にする。相補的には、基地局は、共通E−DCHリソースの黙示的解放用のタイマーの値についての指標がゼロと異なる場合に、共通E−DCHリソースを解放しない(維持する)ことが可能になる。
【0061】
無線ネットワーク制御装置は、例えば、共通無線リソースの黙示的解放用のタイマーの値についての指標を、物理共有チャネル再設定要求メッセージで基地局へ送信してもよい。
【0062】
その結果、共通無線リソースの黙示的解放用のタイマーの値についての指標は、物理共有チャネル再設定要求メッセージ内の「共通E−DCH黙示的解放タイマー」情報エレメントに含められてもよい
【0063】
図6のフロー図に概略的に示されている特定の例では、本方法は、無線ネットワーク制御装置が、共通無線リソースの黙示的解放用のタイマーの値についての指標を含む情報エレメントをメッセージ内に付加する、オプションのステップ(S10)を含む。共通無線リソースの黙示的解放用のタイマーの値についての指標を無線ネットワーク制御装置が送信するステップ(S11)は、その結果、共通無線リソースの黙示的解放用のタイマーの値についての指標を含む、当該付加された情報エレメントを有するメッセージを、無線ネットワーク制御装置が基地局へ送信するステップ(S11−1)を含む。例えば、無線ネットワーク制御装置は、最初に、黙示的解放用のタイマーの値を提供し、当該タイマーの値についての指標を含む新たな情報エレメントをメッセージ内に付加し、最後に、当該メッセージを基地局へ送信する。
【0064】
例として、「共通E−DCH黙示的解放タイマー」情報エレメントにおける、共通無線リソースの黙示的解放用のタイマーの値についての指標は、ゼロ以上の値を有する列挙型に定められる。
【0065】
図8は、一実施形態に係る、無線通信ネットワーク用の基地局(BS)及び無線ネットワーク制御装置(RNC)、並びに対応するRNC−BSインタフェースの例を図示する概略的なブロック図である。
【0066】
基地局100は、共通無線リソースの黙示的解放用のタイマーの値についての指標を、無線ネットワーク制御装置200から受信するよう構成されたインタフェース110を備える。基地局は、共通無線リソースを解放するかどうかを、共通無線リソースの黙示的解放用のタイマーの値についての指標に基づいて決定するよう構成された処理モジュール120を更に備える。
【0067】
無線ネットワーク制御装置200は、共通無線リソースを解放するかどうかを、共通無線リソースの黙示的解放用のタイマーの値についての指標に基づいて基地局が決定することを可能にするために、共通無線リソースの黙示的解放用のタイマーの値についての当該指標を、基地局へ送信するよう構成されたインタフェース210を備える。
【0068】
このため、RNC−BSインタフェースは、共通無線リソースの黙示的解放用のタイマーの値についての新規の指標を含む。
【0069】
図9は、基地局とUEとの間のUE−BSインタフェースの図示も含む、一実施形態に係る、基地局及び無線ネットワーク制御装置、並びに対応するRNC−BSインタフェースの特定の例を図示する概略的なブロック図である。
【0070】
好ましくは、インタフェース110は、共通拡張個別チャネル(E−DCH)リソースの黙示的解放用のタイマーの値についての指標を受信するよう構成され、処理モジュール120は、共通E−DCHリソースを解放するかどうかを決定するよう構成される。
【0071】
これに関連して、インタフェース110は、共通E−DCHリソースの黙示的解放用のタイマーの値についての指標を、「E−DCH送信継続バックオフ」期間の値がゼロに設定されているのか、ゼロとは異なる値に設定されているのかについての指標の形式で受信するよう構成されてもよい。
【0072】
典型的には、処理モジュール120は、ユーザ装置(UE)からの空バッファ状態の報告の受信に応じて共通無線リソースを解放するかどうかを、共通無線リソースの黙示的解放用のタイマーの値についての指標に基づいて決定するよう構成される。
【0073】
具体的には、基地局100は、空バッファ状態の報告を、ゼロと等しいトータルE−DCHバッファ状態(TEBS)値を有する、ピギーバックされたスケジューリング情報(SI)として受信するよう構成された送受信機モジュール130を、更に含んでもよい。
【0074】
例として、処理モジュール120は、共通E−DCHリソースの黙示的解放用のタイマーの値についての指標がゼロと等しい場合に共通E−DCHリソースを解放するよう、構成されてもよい。
【0075】
一方で、処理モジュール120は、共通E−DCHリソースの黙示的解放用のタイマーの値についての指標がゼロと異なる場合に共通E−DCHリソースを維持するよう、構成されてもよい。言い換えれば、少なくとも黙示的解放用のタイマーがゼロと異なる限り、この場合には共通E−DCHリソースは解放されない。
【0076】
特定の実施形態の例では、インタフェース110は、共通無線リソースの黙示的解放用のタイマーの値についての指標を、物理共有チャネル再設定要求メッセージ内の「共通E−DCH黙示的解放タイマー」情報エレメントで受信するよう構成される。
【0077】
なお、「共通E−DCH黙示的解放タイマー」情報エレメント(IE:information element)は、物理共有チャネル再設定要求メッセージの「共通E−DCHシステム情報(Common E-DCH System Information)」情報エレメントに対して付加される新たなIEであることを理解されたい。
【0078】
物理共有チャネル再設定要求メッセージは、RNCとノードBとの間のいわゆるIubインタフェース上でのシグナリングの一部である。
【0079】
再びRNCの観点からすると、RNC200のインタフェース210は、好ましくは、共通拡張個別チャネル(E−DCH)リソースを解放するかどうかを基地局が決定することを可能にするために、共通E−DCHリソースの黙示的解放用のタイマーの値についての指標を送信するよう構成される。
【0080】
インタフェース210は、例えば、共通E−DCHリソースの黙示的解放用のタイマーの値についての指標を、「E−DCH送信継続バックオフ」期間の値がゼロに設定されているのか、ゼロとは異なる値に設定されているのかについての指標の形式で送信するよう構成されてもよい。
【0081】
特定の例では、無線ネットワーク制御装置200は、共通無線リソースの黙示的解放用のタイマーの値についての指標を含む情報エレメントをメッセージ内に付加するよう構成された、オプションの処理モジュール220を更に備える。これにより、インタフェース210は、当該メッセージを基地局へ送信するよう構成される。
【0082】
例として、無線ネットワーク制御装置200は、共通無線リソースの黙示的解放用のタイマーの値についての指標を、物理共有チャネル再設定要求メッセージ内の「共通E−DCH黙示的解放タイマー」情報エレメントに含めるよう構成された処理モジュール220を更に備える。これにより、インタフェース210は、当該物理共有チャネル再設定要求メッセージを基地局100へ送信するよう構成される。
【0083】
例えば、RNC−BSインタフェースは、Iubインタフェースであってもよく、UE−BSインタフェースは、Uuインタフェースであってもよい。
【0084】
提案技術のより深い理解のために、以下では、特定のタイプのネットワークの例についての概要及び解析について説明する。提案技術は、それらに限定されない。
【0085】
例として、WCDMA(登録商標)/HSPAネットワークは、セル順方向アクセスチャネル(CELL_FACH:CELL Forward Access Channel)状態と、セル個別チャネル(CELL_DCH:CELL Dedicated Channel)状態とをサポートしている。CELL_FACH状態は、UEがネットワークとの通信に共通無線リソースのみを利用可能である、即ち、個別の無線リソースがUEに割り当てられていない、UEの接続状態(またはモード)である。CELL_DCH状態は、個別の無線リソースがUEに割り当てられている、UEの接続状態(またはモード)である。
【0086】
周波数分割複信(FDD:Frequency Division Duplexing)では、CELL_FACH状態及びアイドルモード(Idle Mode)におけるE−DCH送信は、ランダムアクセス手順の性能を向上させるための仕組みである。CELL_FACH状態及びアイドルモードにおける拡張上りリンクは、リリース99のランダムアクセス電力ランピング(power ramping)フェーズと、共通E−DCHリソース上のE−DCH送信とを組み合わせる。ネットワークは、1つのセル内で最大32個の共通E−DCHリソースを設定可能である。設定情報は、システム情報によってブロードキャストされる(5/5bisを参照。)。
【0087】
E−DCHランダムアクセス手順は、以下のステップを含む。
1:リリース99のようなプリアンブル電力ランピングを用いたアクセス要求プリアンブルの送信。
2:共通E−DCHリソースの取得指標(Acquisition Indication)及び割当て。
3:共通制御チャネル(CCCH)送信または個別トラヒックチャネル/個別制御チャネル(DTCH/DCCH)送信を搬送するために使用される、割り当てられたE−DCHチャネルでのデータ送信。
4:共通E−DCHリソースの解放。
【0088】
DCCH/DTCHのような個別チャネルでは、共通E−DCHリソースは、以下の方法で解放されうる。
1:競合解決フェーズ(collision resolved phase)の期間中に、E−DCH絶対グラントチャネル(E−AGCH)上でノードBが解放コマンドを明示的に送信する場合。
2:ネットワークによって(UEによって黙示的に)設定された場合。UEは、空バッファ状態がSIでノードBへ報告された後、及び最後のHARQプロセスが確認応答された、または最大再送回数に達した後に、リソースを解放する。
3:競合解決(contention resolution)が失敗した場合、即ち、絶対グラントがUEによって受信されない場合。
4:CELL_FACHからCELL_DCHへの状態遷移の期間中。
5.無線リンク障害時。
【0089】
黙示的解放については、本明細書で援用する3GPP TS 25.321 [1]の第11.2.2A節に、以下のように規定されている。
『E-DCH送信継続バックオフを用いた黙示的解放
黙示的リソース解放は、“E-DCH送信継続バックオフ”が“無限大(infinity)”に設定されていない場合にのみ有効化される。
黙示的リソース解放が有効化されていると、DTCH/DCCH送信の場合、TEBSが0バイトであり、かつ、高レイヤデータを有する最新の生成されたMAC-i PDUに、送信用に物理レイヤに対するPHY-data-REQプリミティブが与えられるときに、タイマーTbが“E-DCH送信継続バックオフ”値に設定される。
タイマーTbが動作している間にTEBS 0バイトが検出されると、当該タイマーが停止され、共通E-DCHリソースでの上りリンクデータ送信が継続する。
タイマーTbが動作している間にMAC-ehs PDUが受信されると、当該タイマーが再開される。
“E-DCH送信継続バックオフ”値が“0”に設定された場合、またはタイマーTbが終了した場合、MAC-STATUS-Indプリミティブは、RLCに対して論理チャネルごとに、PDUがMACに対して転送されてはならないことを知らせる。TEBS=0バイトが、MAC-i PDUにおけるSIとしてNode B MACに対して報告される。“E-DCH送信継続バックオフ”値が“0”に設定された場合、サービング・グラントが、残りのDCCH/DTCHデータと一緒に同一のMAC-i PDUでSIを搬送するのに十分であることを前提として、最新のDCCH/DTCHデータを搬送するMAC-i PDUでSIを送信しなければならない。それ以外の場合、空バッファ状態報告が、次のMAC-i PDUで個別に送信される。
空バッファ状態が報告され、かつ、送信(再送)用のいずれのHARQプロセスにもMAC-i PDUが残っていない場合に、CELL_FACH 状態及びアイドルモードプロセスの終了における拡張上りリンクについてRRCに通知するCMAC-STATUS-Indが、トリガされる。』
【0090】
本明細書で援用する3GPP TS 25.321 [1]の第9.2.5.3.2節には、FDDのトータルE−DCHバッファ状態について以下のように規定されている。
『トータルE-DCHバッファ状態(TEBS):
TEBSフィールドは、RRCによって報告が要求された全ての論理チャネルにわたって利用可能なトータルのデータ量を特定するとともに、RLCレイヤにおける送信及び再送に利用可能なバイト数のデータ量を示す。MAC-i/isが設定された場合には、MAC-i/isセグメンテーション・エンティティにおける送信に利用可能なデータ量も含む。MACがAM RLCエンティティと接続される場合、送信対象の制御PDU及びRLC Txウィンドウ外のRLC PDUも、TEBSに含められなければならない。送信されたもののピアエンティティによって否定確認応答がされたRLC PDUは、TEBSに含められてはならない。』
【0091】
[1]の第11.8.1.6節「スケジューリング情報の報告」は、CELL_FACH状態におけるCCCH送信の場合にスケジューリング情報がどのようにトリガされなければならないのかを、以下のように規定している。
『CELL_DCH状態では、MAC-iが設定された場合、並びにFDD及びDCCH/DTCH送信用のCELL_FACHにおいて、ヘッダを加えたデータのサイズが、UEによって選択されたE-TFCのTBサイズから18ビットを引いたサイズ以下であるときには、
スケジューリング情報は、このMAC-i PDUに連結されなければならない。それ以外の場合、スケジューリング情報は含まれない。 […] 』
【0092】
『CELL_FACH状態におけるFDD及びDTCH/DCCH送信では、TEBSがゼロのままであり、かつ、“無限大”と等しくないE-DCH送信継続バックオフ期間によって与えられる期間に送信される高レイヤデータがMACに残っていない場合に、1回、スケジューリング情報の送信がトリガされなければならない。“無限大infinity”または“ゼロ”に設定されたE-DCH送信継続バックオフ期間を用いたCELL_FACHにおけるFDD及びDTCH/DCCH送信では、TEBSがゼロになり、かつ、空バッファ状態報告を有するスケジューリング情報を含むMAC-i PDUの送信後に送信される高レイヤデータがMACに残っていない場合に、毎回、スケジューリング情報の送信がトリガされなければならない。“E-DCH送信継続バックオフ”が“無限大”に設定されている場合には、サービング・グラントが、残りのDCCH/DTCHデータと一緒に同一のMAC-i PDUでSIを搬送するのに十分であることを前提として、最新のDCCH/DTCHデータを搬送するMAC-i PDUで、空バッファ状態報告を有するスケジューリング情報が送信されなければならない。それ以外の場合、空バッファ状態報告を有するスケジューリング情報が、次のMAC-i PDUで個別に送信される。』
【0093】
RNCは、「共通E−DCHシステム情報(Common E-DCH System Information)」に含まれる以下の情報エレメントを使用して、黙示的解放の有効化をノードBに伝達する([3]の第9.2.2.103節を参照)。
【0094】
ノードBは、「E−DCH送信継続バックオフ」値を認識していない。
【0095】
黙示的解放が有効化されている場合、ゼロと等しいTEBS値を有するスケジューリング情報の送信によって、UEによる共通E−DCHリソースの解放が決定される。TEBS=0の指標は、そのUEに割り当てられた共通E−DCHリソースを解放するために、更にネットワークによって使用されてもよい。
【0096】
黙示的リソース解放が有効化されていると、DTCH/DCCH送信の場合に、TEBSが0バイトであり、かつ、高レイヤデータを有する最新の生成されたMAC−i PDUに、送信用に物理レイヤに対するPHY−data−REQプリミティブが与えられるときに、インアクティビティ・タイマーまたは黙示的解放タイマーとも称されるタイマーTbが、「E−DCH送信継続バックオフ」値に設定される。つまり、タイマーTbが0と異なる値に設定されている場合、UEは、TEBS=0が検出されてすぐにSIを送信することはなく、当該タイマーの終了を待たなければならない。それと同時に、CELL_FACH状態におけるDCCH/DTCH送信の期間中のMAC−i PDUの最後部に十分なスペースが利用可能である場合、UEは、スケジューリング情報を付加する。CELL_FACH状態におけるDCCH/DTCH送信の期間中にTEBS値が0になり、かつ、MAC−i PDUの最後部に十分なスペースが存在する場合、UEは、タイマーTbが終了したかどうかによらず、TEBS=0の指標を有するスケジューリング情報を付加することになる。
【0097】
UEの観点からするとこれは問題を意味しない。共通E−DCHリソースの解放が、このTEBS=0を有するSIの送信の影響を受けないためである(リソースを解放するために、UEは、タイマーTbが終了した際に、TEBS=0を有するSIをもう一度トリガしなければならない)。
【0098】
ノードBは、TEBS=0を有するSIが、UEからの黙示的解放に対応するのかどうかを認識していない。これは、ノードBが、タイマーTbが終了したかを判定できないため、「E−DCH送信継続バックオフ」値を認識していないという事実に起因している。ノードBは、MAC−i PDUの十分なスペースによりSIが単純にトリガされたものの、タイマーTbは未だ終了していないのかどうかも認識していない。つまり、ネットワークは、0に設定されたTEBSを有するスケジューリング情報(SI)を得るとすぐに、UEがリソースを黙示的に解放していることを理解することになる。しかし、そうではない可能性がある。ネットワークが、0に設定されたTEBSをSIが示す場合にリソースを解放するために当該SIを使用すると、UEが無線リンク障害を検出し、データが失われる可能性がある。
【0099】
特定の実施形態の例では、提案技術は、CELL_FACH状態及びアイドルモードにおける個別チャネル(例えば、DCCH/DTCH)送信のためのスケジューリング情報を使用して、黙示的解放のサポートの改善をもたらす。ノードBは、「E−DCH送信継続バックオフ」値がゼロに設定されているのか、0と異なる値に設定されているのかを認識させられる。このようにして、TEBS=0を有するピギーバックされたSIの受信に応じて、ノードB自体が、それが黙示的解放に起因しているか否かを判定することができる。MAC PDUの最後部に十分な空きビットが存在する場合、ピギーバックされるSIは、例えばMAC PDUにおけるデータと一緒に(連結して)送信されるスケジューリング情報である。
【0100】
以下では、限定ではなく説明の目的で、特定の非限定的な実施形態の例のような具体的な詳細を説明する。しかし、それらの具体的な詳細とは別に他の実施形態が採用されうることが、当業者には理解されることになる。いくつかの例では、不必要な詳細によって説明を分かりにくくしないように、周知の方法、ノード、インタフェース、回路及び装置についての詳細な説明を省略している。説明する機能が、ハードウェア回路(例えば、専用の機能を実行するために相互接続されたアナログ及び/または離散論理ゲート、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブル・ロジック・アレイ等)を使用して、及び/または、1つ以上のデジタルマイクロプロセッサまたは汎用コンピュータとともにソフトウェアプログラム及びデータを使用して、1つ以上のノードにおいて実装されうることを当業者は理解するであろう。無線インタフェースを使用して通信するノードは、適切な無線通信回路も有している。更に、本技術は、追加として、プロセッサに本明細書で説明する技術を実行させるコンピュータ命令の適切なセットを含む固体メモリ、磁気ディスクまたは光ディスクといった、コンピュータ読取可能なメモリの任意の形式の範囲で全面的に実施されるものと考えることができる。
【0101】
ハードウェア実装は、デジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)ハードウェアと、縮小命令セット・プロセッサと、特定用途向け集積回路(ASIC)及び/またはフィールド・プログラマブル・ゲートアレイ(FPGA)に限定されることなくそれらを含むハードウェア(例えば、デジタルまたはアナログ)回路と、(適切な場合には)そのような機能を実行可能なステート・マシンと、を限定なしで含んでもよいし、または包含してもよい。
【0102】
コンピュータ実装に関しては、コンピュータは、1つ以上のプロセッサまたは1つ以上のコントローラを備えるものと一般的に理解され、コンピュータ、プロセッサ及びコントローラという用語は互いに代替可能に用いられうる。コンピュータ、プロセッサまたはコントローラによって機能が提供される場合、単一の専用コンピュータ、プロセッサ若しくはコントローラによって、単一の共用コンピュータ、プロセッサ若しくはコントローラによって、または、一部が共用または分散されてもよい複数の個別のコンピュータ、プロセッサ若しくはコントローラによって、機能が提供されうる。更に、「プロセッサ」または「コントローラ」という用語は、上記のハードウェアの例のような、そのような機能を実行可能な、及び/またはソフトウェアを実行可能な他のハードウェアも指し示す。
【0103】
「UE」は、上りリンク(UL)における信号の送信と、下りリンク(DL)における信号の受信及び/または測定とのうちの少なくとも1つを可能にする無線インタフェースを備える任意の無線デバイスまたはノードを含む、非限定的な用語であることが、当業者には理解されるべきである。本明細書におけるUEは、1つ以上の周波数、搬送波周波数、コンポーネント搬送波、または周波数帯域において動作可能または少なくとも測定を実行可能な(一般的な意味の)UEを含みうる。UEは、シングルRAT若しくはマルチRATまたはマルチ・スタンダードのモードで動作する「UE」であってもよい。
【0104】
セルは、基地局に関連付けられ、基地局は、一般的な意味で、下りリンク(DL)における無線信号の送信、及び/または上りリンク(UL)における無線信号の受信を行う任意のノードを含む。いくつかの基地局の例は、eノードB、eNB、ノードB、マクロ/マイクロ/ピコ無線基地局、(フェムト基地局としても知られている)ホームeノードB、リレー、リピータ、センサ、送信限定無線ノード、または受信限定無線ノードである。基地局は、1つ以上の周波数、搬送波周波数、または周波数帯域において動作または少なくとも測定を実行でき、キャリア・アグリゲーションが可能であってもよい。基地局は、例えば、異なるRAT用に同一または異なるベースバンド・モジュールを使用する、シングル無線アクセス技術(RAT:Radio Access Technology)若しくはマルチRATまたはマルチ・スタンダードのノードであってもよい。
【0105】
説明するシグナリングは、直接リンクを介するか、または論理リンクを介する(例えば、高レイヤプロトコル、及び/または1つ以上のネットワークノードを介する)。例えば、協調ノードからのシグナリングは、他のネットワークノード、(例えば、無線ノード)を通過しうる。
【0106】
非限定的な例のUTRANタイプのシステムとの関連で実施形態の例を説明している。しかし、本技術は、UTRANに限定されずに、任意の無線アクセスネットワーク(RAN)、シングルRAT、またはマルチRATに対して適用可能である。他のいくつかのRATの例は、ロング・ターム・エボリューション・アドバンスト(LTE−Advanced:Long Term Evolution Advanced)、ユニバーサル移動体通信システム(UMTS:Universal Mobile Telecommunications System)、グローバル・システム・フォー・モバイル・コミュニケーションズ(GSM(登録商標):Global System for Mobile communications)、cdma2000、WiMAX、及びWiFiである。例えば、本技術をLTEに適用する場合、当業者は、LTEのMACエンティティが異なる名称及び機能を有していることを理解するであろう。
【0107】
一般に、UEが、ノードBのセル内で、共通無線リソースのみをUEが利用可能である第1の接続状態またはモードである場合において(例えば、CELL_FACHセッション)、ノードBによって割り当てられた共通または共有の無線リソース(例えば、共通E−DCHリソース)を使用した、UEによる基地局(例えば、ノードB)への最初のデータ送信の後に、UEは、インアクティビティ・タイマーが終了するまでの間、共通無線リソースを維持する。CELL_FACHセッションの期間中に、割り当てられた共通リソースをUEがいつ解放する必要があるかを判定するために、インアクティビティ・タイマーが使用される。UEがその送信バッファを空にした後に、インアクティビティ・タイマーが起動し、当該タイマーが所定のタイマー終了値に達した時点で、UEは、その割り当てられた共通リソースを解放する。その後は、UEからの他のデータの送信は、ランダムアクセス手順から開始しなければならない。共通リソースの黙示的解放用のタイマーまたは単に黙示的解放タイマーとも称される、インアクティビティ・タイマーは、RNCによって制御され、関係のある(複数の)UEに対してシステム情報でブロードキャストされる。
【0108】
図10は、1つの非限定的な実施形態に係る手順の例を図示するフローチャート図である。ステップS21で、RNCは、ノードBに対して、黙示的解放用のタイマーをシグナリングする。ステップS22で、基地局(ノードB)は、そのうち、TEBS=0を有するピギーバックされたSIを受信する。ステップS23で、基地局において、黙示的解放用のタイマー=0であるかが判定される。黙示的解放用のタイマー=0(Y)である場合には、基地局は、ステップS24で、共通E−DCHリソースを解放する。黙示的解放用のタイマー≠0(N)である場合には、基地局は、ステップS25で、共通E−DCHリソースを解放しない。
【0109】
例として、新たな情報エレメント(IE)または他のタイプのメッセージ若しくは信号が、黙示的解放用のE−DCH送信継続バックオフ・タイマー(即ち、黙示的解放タイマー)を示すために付加されうる。実施形態の例の値は、コントローリング無線ネットワーク制御装置(CRNC:Controlling Radio Network Controller)からノードBへシグナリングされる。CRNCは、考慮されるノードBの設定に関与するRNCである。
【0110】
他の実施形態の例では、新たなタイマー値を、ノードBアプリケーション・パート(NBAP:Node B Application Part)制御プレーン・メッセージに付加しうる。3GPP UTRANアーキテクチャでは、NBAPは、RNCによるノードBの制御に関与するシグナリング・プロトコルであり、Iubインタフェースの一部を形成する。
【0111】
他の実施形態の例では、CRNCは、タイマーがゼロであるのか、ゼロより大きいのかを知らせてもよい。
【0112】
他の実施形態の例では、CRNCは、Tbが設定されなければならないのか否かを(継続バックオフ・タイマーが0である場合、UEはTbを設定しない)、ノードBに知らせてもよい。
【0113】
他の実施形態の例では、CRNCは、黙示的解放タイマーの厳密な値をノードBに知らせてもよい。
【0114】
例えば、物理共有チャネル再設定(Physical Shared Channel Reconfiguration)手順に、及び物理共有チャネル再設定要求メッセージに、新たなIEが付加されてもよい。ノードBは、黙示的解放タイマー値を取得した場合、その値を拡張セルFACH関連設定に適用する。このようにして、黙示的解放タイマー値は、セル全体で同一となる。他の例では、他のNBAPメッセージ内に値を付加してもよいし、または、新たなメッセージ内に値を導入してもよい。
【0115】
以下は、本明細書で援用する、TS 25.433(第11.0.0版)(第9.1.62.1章)のNBAPの規定、物理共有チャネル再設定要求である。新たなIEは、例えば、共通E−DCHシステム情報(Common E-DCH System Information)IEに付加されうる。
【0116】
新たなIEは、共通E−DCHの解放を行う期間中に、黙示的解放タイマーを示すために付加されうる。その値は、CRNCからノードBへシグナリングされうる。
【0117】
代替のアプローチは、新たなタイマー値を、NBAP制御プレーン・メッセージに付加することである。例えば、物理共有チャネル再設定手順に、及び物理共有チャネル再設定要求メッセージに、新たなIEが付加される場合、ノードBは、黙示的解放タイマー値を取得する際には、その値を拡張セルFACH関連設定に適用しなければならない。このようにして、新たな黙示的解放タイマー値は、セル全体で同一となる。本例のIEは、クリティカリティ(criticality)「無視(ignore)」によって規定されてもよい。
【0118】
他の例では、他のNBAPメッセージ内に値を付加してもよいし、または、新たなメッセージ内に値を導入してもよい。
【0119】
以下は、第9.2.2.103章、共通E−DCHシステム情報の規定である。本例における新たなIE「共通E−DCH黙示的解放タイマー(Common E-DCH Implicit Release Timer)」が、黙示的解放タイマーを示すために付加される。共通E−DCHシステム情報(Common E-DCH System Information)IEは、CELL_FACH状態及びアイドル状態のUEに対して設定されたE−DCHについての情報を提供する。
【0120】
共通E−DCH黙示的解放タイマー(Common E-DCH Implicit Release Timer)は、以下の例に示すように、整数(INTEGER)値または列挙(ENUMERATED)値として定められうる。
【0121】
他の代替的な方法は、CRNCがノードBにタイマー値を送信するように、Iubフレームプロトコルに新たなタイマー値を付加することである。
【0122】
1つの例は、新たなIEを、拡張セルFACHとともに使用されるHS−DSCHデータフレーム内に付加することである。他の例は、制御フレームに対して、例えば、高速下りリンク共有チャネル(HS−DSCH:High Speed Downlink Shared Channel)キャパシティ要求(Capacity Request)内に、新たなIEを付加することである。情報を搬送するために、新たなユーザ・プレーン・フレームが導入されてもよい。
【0123】
図11は、説明した1つ以上の非限定的な実施形態の例で使用可能なユーザ装置(UE)14の例を示している。UE14は、UE14の動作を制御する処理モジュール30を備える。処理モジュール30は、ネットワーク2内の基地局4,6から信号を受信する/基地局4,6へ信号を送信するために使用される、関連した(複数の)アンテナ34を有する送受信機モジュール32と接続されている。ユーザ装置14は、処理モジュール30と接続され、かつ、UE14の動作に必要となるプログラム、他の情報及びデータを格納したメモリモジュール36を更に備える。いくつかの実施形態では、UE14は、UE14の位置及び移動速度を判定するために使用可能な衛星ポジショニングシステム(例えば、GPS)受信機モジュール38を、オプションとして備えてもよい。
【0124】
図12は、上述の実施形態の例で使用可能な(UMTSにおいてノードBと称される)基地局4,6の例を示している。基地局4,6は、基地局4,6の動作を制御する処理モジュール40を備える。処理モジュール40は、ネットワーク2内のユーザ装置14へ信号を送信する、及びユーザ装置14から信号を受信するために使用される、関連した(複数の)アンテナ44を有する送受信機モジュール42と接続されている。基地局4,6は、処理モジュール40と接続され、かつ、基地局4,6の動作に必要となるプログラム、他の情報及びデータを格納したメモリモジュール40を更に備える。基地局4,6は、基地局4,6が(典型的にはIubインタフェースを介して)RNC8と、及び/または他のネットワークノードと情報をやりとりするための、図12においてRNCインタフェースと称される構成要素及び/または回路48を更に含む。
【0125】
図13は、説明した1つ以上の実施形態の例で使用可能な無線ネットワーク制御装置(RNC)8の例を示している。RNC8は、RNC8の動作を制御する処理モジュール50を備える。処理モジュール50は、RNC8が、当該RNC8と(典型的にはIubインタフェースを介して)結合される基地局4,6と情報をやりとりするための構成要素及び/または回路52と接続されるとともに、RNC8が、(典型的にはIu−CSインタフェース及び/またはIu−PSインタフェースを介して)コアネットワーク10と情報をやりとりするための構成要素または回路54と接続される。RNC8は、処理モジュール50と接続され、かつ、RNC8の動作に必要となるプログラム、他の情報及びデータを格納したメモリモジュール56を更に備える。
【0126】
UE14、基地局4,6及びRNC8の全ての構成要素が図示されているわけではないことが理解されよう。
【0127】
上記の技術は、多数の利点を有する。例えば、ノードBは、TEBS=0を有するピギーバックされたSIを、黙示的解放と解釈するすぐに、共通E−DCHリソースをネットワークへ解放しうる。この問題を認識していないネットワーク実装の場合には、タイマーTbが終了する前に(即ち、黙示的解放手順がトリガされることなく)TEBS=0を有するピギーバックされたSIをUEが送信した際に、ネットワークが共通E−DCHリソースを解放するリスクはない。
【0128】
提案技術の他の特定の態様によれば、無線通信ネットワークにおいて共通拡張個別チャネル(E−DCH)リソースの解放をサポートする方法及び対応する基地局が提供される。図4に示すように、基地局は、ステップS1’で、「E−DCH送信継続バックオフ」期間がゼロに設定されているのか、ゼロとは異なる値に設定されているのかを示す「共通E−DCH黙示的解放タイマー」情報エレメント(IE)を含む物理共有チャネル再設定要求メッセージを、無線ネットワーク制御装置から受信している。例えば、「共通E−DCH黙示的解放タイマー」IEは、「共通E−DCHシステム情報」IEの「共通E−DCH情報(Common E-DCH Information)」IEに含まれる。図8、9及び12も参照されてもよい。
【0129】
提案技術の更に他の特定の態様によれば、無線通信ネットワークにおいて共通拡張個別チャネル(E−DCH)リソースの解放をサポートする方法及び対応する無線ネットワーク制御装置も提供される。図7に示すように、無線ネットワーク制御装置は、ステップS11’で、「E−DCH送信継続バックオフ」期間がゼロに設定されているのか、ゼロとは異なる値に設定されているのかを示す「共通E−DCH黙示的解放タイマー」情報エレメント(IE)を含む物理共有チャネル再設定要求メッセージを、基地局へ送信している。例えば、「共通E−DCH黙示的解放タイマー」IEは、「共通E−DCHシステム情報」IEの「共通E−DCH情報」IEに含まれる。図8、9及び13も参照されてもよい。
【0130】
本技術は、少なくとも3GPP TS 25.433標準規格のリリース8からリリース11及びそれ以降を含む、適用可能な標準規格の関連する全てのリリースに適用可能である。
【0131】
略語
3GPP 第3世代パートナシップ・プロジェクト(3rd Generation Partnership Project)
CCCH 共通制御チャネル(Common Control Channel)
BS 基地局(Base Station)
CN コアネットワーク(Core Network)
DCCH 個別制御チャネル(Dedicated Control Channel)
DCH 個別チャネル(Dedicated Channel)
DTCH 個別トラヒックチャネル(Dedicated Traffic Channel)
E−DCH 拡張個別チャネル(Enhanced Dedicated Channel)
E−AGCH E−DCH絶対グラントチャネル(Absolute Grant Channel)
FACH 順方向アクセスチャネル(Forward Access Channel)
HARQ ハイブリッド自動再送要求(Hybrid Automatic Repeat Request)
HSPA 高速パケットアクセス(High Speed Packet Access)
L1 レイヤ1(物理レイヤ)
MAC メディアアクセス制御プロトコル(Medium Access Control Protocol)
AM 確認応答モード(Acknowledged Mode)
PDU プロトコルデータユニット(Protocol Data Unit)
RACH ランダムアクセスチャネル(Random Access Channel)
RLC 無線リンク制御(Radio Link Control)
RNC 無線ネットワーク制御装置(Radio Network Controller)
RRC 無線リソース制御プロトコル(Radio Resource Control Protocol)
SDU サービスデータユニット(Service Data Unit)
SI スケジューリング情報(Scheduling Information)
SIB システム情報ブロック(System Information Block)
TEBS トータルE−DCHバッファ状態(Total E-DCH Buffer Status)
UE ユーザ装置(User Equipment)
FDD 周波数分割複信(Frequency Division Duplexing)
TTI 送信時間間隔(Time Transmission Interval)
UMTS ユニバーサル移動体通信システム
UTRA UMTS地上無線アクセス
UTRAN UMTS地上無線アクセスネットワーク
【0132】
(本明細書で関連する部分が参照されている)援用する参考文献は、以下のとおりである。
[1] 3GPP TS 25.321 v8.15.0, “Medium Access Control (MAC) protocol specification”
[2] 3GPP TS 25.331 v8.19.0, “Radio Resource Control (RRC); Protocol specification”
[3] 3GPP TS 25.433 v8.12.0 “UTRAN Iub interface Node B Application Part (NBAP) signalling”
【0133】
上記の説明は、多くの詳細を含んでいるが、制限するものと解釈されてはならず、いくつかの現在の好適な実施形態の例示を提供しているにすぎないと解釈されなければならない。本明細書に記載の実施形態は、独立した実施形態として扱われてもよいし、または、非限定的な例を説明するために互いに任意に組み合わせて扱われてもよい。本技術の非限定的な実施形態の例を、UTRANとの関連で説明したが、説明した本技術の原理は、他の無線アクセス技術に対しても適用できる。
【0134】
実際に、本技術は、当業者には明らかになりうる他の実施形態を十分に包含している。要素への単数での言及は、明示的に記述しない限り「1つ及び1つのみ」を意味することを意図したものではなく、「1つ以上」を意図したものである。当業者には既知である、上述の実施形態の要素に対するあらゆる構造的及び機能的な均等物は、本明細書で明確に援用され、本明細書によって包含されるよう意図されている。更に、装置または方法が、本明細書によって包含される、説明した技術によって解決されようとするあらゆる課題に取り組む必要はない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13