(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
周囲の空気又は事前の水の添加により与えられる水分の存在下で重縮合反応によりエラストマーに架橋できるポリオルガノシロキサン組成物Xであって、次のものを含む組成物:
(A)少なくとも1個のアルコキシル化基を含み、かつ、同一又は異なるシロキシル単位からなる次式の少なくとも1種のポリオルガノシロキサンA:
(Z)b(R4)aSiO[4-(a+b)]/2 (1)
式中、
・記号Z=[−(OCH2CH2)c−OR5](c=0又は1である)であり、
・a=0、1、2又は3であり;b=0、1、2又は3であり、a+b=0、1、2又は3であり、
・記号R4はC1〜C13の一価炭化水素基を表し、
・記号R5はC1〜C6の一価炭化水素基又はエステル官能基を有していてよいアルコキシアルキル基を表し、
・ただし、少なくとも1個のシロキシル単位について、ポリオルガノシロキサンAが少なくとも1個のアルコキシル化基Zを有するように指数b≧1であるものとし、
(B)任意に次式の少なくとも1種のポリアルコキシル化シランB:
(R2)zSi(OR3)(4-z) (2)
式中、
・z=0又は1であり、
・記号R2はC1〜C13の一価炭化水素基を表し、
・記号R3は、同一でも異なっていてもよく、それぞれC1〜C6の一価炭化水素基又はエステル官能基を有していてよいアルコキシアルキル基を表し、
(C)機能がパワートレインに使用されるオイルを吸収することである少なくとも1種のアセチレンブラックD、
(D)無機充填剤として少なくとも1種のアルミニウム三水和物E、
(E)少なくとも1個のアミン官能基を有する少なくとも1種の接着促進剤F、
(F)縮合触媒として少なくとも1種のグアニジンGの触媒として有効な量、
(G)任意に少なくとも1種の非反応性線状ポリオルガノシロキサンH、
(H)任意に、Eとは異なる少なくとも1種の充填剤I、及び
(I)任意に着色ベース、顔料及びチキソトロープ剤から選択される少なくとも1種の添加剤J、
ただし、
・該ポリオルガノシロキサン組成物Xは、炭酸カルシウムも、ポリアルコキシル化シランの部分加水分解及び縮合によって得られる2〜10個のシロキシル単位を有するシロキサンも含有せず、しかも
・該ポリオルガノシロキサンAは、厳密に10よりも大きくかつ多くとも2000に等しい単位数を有するものとする。
【背景技術】
【0002】
用語「冷却液」とは、機械又は電子システムから熱を排出するための任意の熱交換液を意味する。
【0003】
エラストマーに架橋して漏れ止めシールを形成することのできるシリコーン組成物が知られている。特に、これらのものは、漏れ止めシールの「現場」形成に特に適しており、これらの漏れ止めシールは、特に自動車分野においては、部品の組立中に直接形成される。
【0004】
この種の用途のために知られているエラストマーに架橋できるシリコーン組成物のなかでは、室温で架橋するものが特に魅力的なカテゴリーとなっている。というのは、これらのものは、エネルギー消費型オーブンの設備を必要としないからである。
【0005】
これらのシリコーン組成物は、2つの異なるグループに分類される:一液組成物(RTV−1)及び二液組成物(RTV−2)である。用語「RTV」は、「室温硬化(Room Temperature Vulcanizing)」の略語である。
【0006】
架橋に際しては、水(RTV−1組成物の場合には大気中の湿気により与えられ、又はRTV−2組成物の場合には、組成物の一部に導入される)により重縮合反応が可能になり、これによってエラストマーネットワークの形成に至る。
【0007】
一般的に、一液組成物(RTV−1)は、大気中の水分にさらされると架橋する。通常、重縮合反応速度は極めて遅い;そのため、これらの反応は好適な触媒によって触媒される。
【0008】
さらに、広く発展しつつある輸送業に照らして、エンジンの性能の向上、運転温度の上昇、燃費の低下、及びメンテナンス頻度の低下に関連した新たな制約が現れつつある。
【0009】
したがって、パワートレイン流体(エンジンオイル、ギアボックスと動力車軸の潤滑剤、オイル/燃料混合物、冷却液、燃料又は不凍液)の配合者は、ますます効率的な添加剤を添加することにより、これらの製品の性能品質を改善し続けている。これらの製品に配合される添加剤の量は絶えず増加しているが、これは、これらの製品が使用される装置に存在する可撓性部材、例えば漏れ防止シールに対してその化学的腐食性を増大させる影響を及ぼす。
【0010】
特開2009−197188号公報には、パワートレインに使用される様々な流体と接触したときに良好な抵抗性を有するシリコーン組成物が記載されているが、これらの組成物は、次式における記号Yで示されるC
1〜C
5アルキレンリンカーを含む複雑で高価な架橋性オイルを含む:
【化1】
【0011】
欧州特許出願公開第2151480号には、パワートレインに使用される様々な流体と接触したときに良好な抵抗性を有するシリコーン組成物が記載さているが、これらの組成物は、特に、表面処理炭酸カルシウムを含む。
【0012】
国際特許出願PCT/FR2012/000364号には、パワートレインに使用される様々な流体と接触したときに良好な抵抗性を有するシリコーン組成物が記載されているが、これらの組成物は、BET法により測定された比表面積が厳密に3m
2/g未満でありかつパラフィン、脂肪酸、脂肪酸塩及びそれらの混合物よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物で表面処理された少なくとも1種の粉砕天然炭酸カルシウムを、組成物の全量に対して厳密に35重量%よりも大きい量で含む。
【0013】
米国特許第5641832号には、パワートレインに使用される様々な流体と接触したときに良好な抵抗性を有するシリコーン組成物が記載されているが、これらの組成物は、使用されるポリオルガノシロキサンと非相溶性又は部分的に非相溶性の揮発性有機化合物を多孔質充填剤に含浸させることよって製造された充填剤を含む。
【0014】
国際公開WO2011/114021号には、パワートレインに使用される様々な流体と接触したときに良好な抵抗性を有するシリコーン組成物が記載されているが、これらの組成物は、ポリアルコキシル化シランの部分加水分解及び縮合によって得られた縮合物である少なくとも1種のシロキサンを含み、このシロキサンは、次式の2〜10個の同一又は異なるシロキシル単位を含む:
(R
2)
x’(OR
3)
y’SiO
[4-(x’+y’)]/2
式中、
・x’=0、1、2又は3であり;y’=0、1、2又は3であり、x’+y’=0、1、2又は3であり、
・記号R
2は、C
1〜C
13一価炭化水素系基を表し
・記号R
3は、C
1〜C
6一価炭化水素系基又はエステル官能基を任意に含むアルコキシアルキル基を表し、
・ただし、少なくとも1個のシロキシル単位について、記号y’は≧1であるものとする。
【0015】
これらの組成物には、それらの老化後に、機械的特性と、エンジンオイルに対する抵抗性と、汚染された表面への接着特性とが劣化するエラストマーになるという欠点がある。
【発明を実施するための形態】
【0021】
この目的を達成するため、出願人は、鋭意検討の結果、全く驚くべきことにかつ予想外なことに、機能がパワートレインに使用されるオイルを吸着することである少なくとも1種のアセチレンブラックDを、無機充填剤としての少なくとも1種のアルミニウム三水和物E及び少なくとも1個のアミン官能基を有する少なくとも1種の接着促進剤Fと併用することで、特開2009−197188号公報に記載されるような任意のアルキルリンカーを含まないアルコキシル化ポリオルガノシロキサンであっても、また炭酸カルシウム又は国際特許出願PCT/FR2012/000364号及び国際公開WO2011/114021号に記載されているようなポリアルコキシルシランの部分加水分及び解縮合によって得られた縮合物であるシロキサンの非存在下であっても、パワートレインに使用される部品又は部材を密封し組立てるためのシールを製造することが可能であることを実証した。
【0022】
さらに、本発明の組成物から製造されたシリコーンエラストマーは、例えばパワートレインで使用されるような化学的に腐食性の流体と長時間接触した場合であっても、また組成物の老化後であっても良好な機械的特性を維持するという利点を有する。
【0023】
化学的に腐食性の流体の例としては、エンジンオイル、ギアボックス及び動力車軸潤滑剤、オイル/燃料混合物、冷却液、燃料及び不凍液を挙げることができる。
【0024】
好ましくは、ポリオルガノシロキサン組成物Xは次のものを含む:
(A)少なくとも1個のアルコキシル化基を含み、かつ、同一又は異なるシロキシ単位からなる次式の少なくとも1種のポリオルガノシロキサンA:
(Z)
b(R
4)
aSiO
[4-(a+b)]/2 (1)
式中、
a.記号Z=[−(OCH
2CH
2)
c−OR
5](c=0又は1である)であり、
b.a=0、1、2又は3であり;b=0、1、2又は3であり、a+b=0、1、2又は3であり、
c.記号R
4はC
1〜C
13の一価炭化水素基を表し、
d.記号R
5はC
1〜C
6の一価炭化水素基又はエステル官能基を有していてよいアルコキシアルキル基を表し、
e.ただし、少なくとも1個のシロキシル単位について、ポリオルガノシロキサンAが少なくとも1個のアルコキシル化基Zを有するように指数b≧1であるものとし、
(B)次式の少なくとも1種のポリアルコキシル化シランB:
(R
2)
zSi(OR
3)
(4-z) (2)
式中、
・z=0又は1であり、
・記号R
2はC
1〜C
13の一価炭化水素基を表し、
・記号R
3は、同一でも異なっていてもよく、それぞれC
1〜C
6の一価炭化水素基又はエステル官能基を有していてよいアルコキシアルキル基を表し、
(C)機能がパワートレインに使用されるオイルを吸収することである少なくとも1種のアセチレンブラックD、
(D)無機充填剤として少なくとも1種のアルミニウム三水和物E、
(E)少なくとも1個のアミン官能基を有する少なくとも1種の接着促進剤F、
(F)縮合触媒として少なくとも1種のグアニジンGの触媒として有効な量、
(G)任意に少なくとも1種の非反応性線状ポリオルガノシロキサンHであって、本発明に係る組成物の物理的特性及び/又はこれらの組成物の硬化により生じるエラストマーの機械的性質に作用し得るもの、
(H)任意に、Eとは異なる少なくとも1種の充填剤I、及び
(I)任意に着色ベース、顔料又はチキソトロープ剤などの少なくとも1種の添加剤J、
ただし、
・該ポリオルガノシロキサン組成物Xは、炭酸カルシウムも、ポリアルコキシル化シランの部分加水分解及び縮合によって得られる2〜10個のシロキシ単位を有するシロキサンも含有せず、しかも
・該ポリオルガノシロキサンAは、厳密に10よりも大きい単位数、好ましくは20より大きくかつ多くとも2000に等しい単位数を有するものとする。
【0025】
好ましくは、ポリオルガノシロキサン組成物Xは、RTV−1一液組成物の形態である、すなわち、単一の気密パッケージ内にある。
【0026】
好ましくは、架橋性ポリオルガノシロキサンAは直鎖状であり、次の構造式を有する:
【化2】
式中、
・置換基R
1は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ飽和又は不飽和脂肪族、環状又は芳香族C
1〜C
13飽和又は不飽和一価炭化水素基を表し;
・置換基R
2は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ飽和又は不飽和脂肪族、環状又は芳香族C
1〜C
13飽和又は不飽和一価炭化水素基を表し;
・置換基R
3は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ直鎖又は分岐C
1〜C
6アルキル基を表し;
・nは、式Aのポリオルガノポリシロキサンに25℃で1000〜1000000mPa.sの範囲の動粘度を与えるのに十分な値を有し;
・指数aは0又は1に等しく、指数bは0又は1に等しい。
【0027】
別の好ましい実施形態によれば、少なくとも1個のアルコキシル化基を有するポリオルガノシロキサンAは、少なくとも1種の官能化触媒Cの触媒有効量の存在下で、任意にその場で、
(a)次式のシロキシ単位を含む少なくとも1種のポリオルガノシロキサンA’:
(R
1)
x(OH)
ySiO
(4-x-y)//2 (4)
(式中、
・x=0、1、2又は3であり;y=0、1、2又は3であり、x+y=0、1、2又は3であり、
・置換基R
1は、同一でも異なっていてもよく、それぞれアルキル、シクロアルキル、アリール、アルカリール及びアラルキル基よりなる群から選択されるC
1〜C
30の一価炭化水素基を表し、
・基≡SiOHを含む少なくとも2個のシロキシル単位が該ポリオルガノシロキサンA’に存在する。)と、
(b)次式の少なくとも1種のポリアルコキシル化シランB:
(R
2)
zSi(OR
3)
(4-z) (2)
(式中、
・z=0又は1であり、
・記号R
2はC
1〜C
13の一価炭化水素基を表し、
・記号R
3は、同一でも異なっていてもよく、それぞれC
1〜C
6の一価炭化水素基又はエステル官能基を有していてよいアルコキシアルキル基を表す。)と
を反応させることにより得られる。
【0028】
別の好ましい実施形態によれば、ポリオルガノシロキサンA’は、好ましくは、25℃で1000〜1000000mPa.sの間の粘度を有するα,ω−ジヒドロキシポリジオルガノシロキサン重合体である。
【0029】
ポリアルコキシル化シランBは、シリコーン市場で入手できる製品である;さらに、室温硬化性組成物中にそれらを使用することが知られている;特に、仏国特許第1126411号明細書、仏国特許第1179969号明細書、仏国特許第1189216号明細書、仏国特許第1198749号明細書、仏国特許第1248826号明細書、仏国特許第1314649号明細書、仏国特許第1423477号明細書、仏国特許第1432799号明細書及び仏国特許第2067636号明細書に記載されている。
【0030】
ポリアルコキシル化シランBの例として、次式のものを挙げることができる:
Si(OCH
3)
4
Si(OCH
2CH
3)
4
Si(OCH
2CH
2CH
3)
4
(CH
3O)
3SiCH
3
(C
2H
5O)
3SiCH
3
(CH
3O)
3Si(CH=CH
2)
(C
2H
5O)
3Si(CH=CH
2)
(CH
3O)
3Si(CH
2−CH=CH
2)
(CH
3O)
3Si[CH
2−(CH
3)C=CH
2]
(C
2H
5O)
3Si(OCH
3)
Si(OCH
2−CH
2−OCH
3)
4
CH
3Si(OCH
2−CH
2−OCH
3)
3
(CH
2=CH)Si(OCH
2CH
2OCH
3)
3
C
6H
5Si(OCH
3)
3
C
6H
5Si(OCH
2−CH
2−OCH
3)
3。
【0031】
官能化によるアルコキシル化基を含むポリオルガノシロキサンの製造は、例えば、仏国特許出願公開第2638752号に記載されている。
【0032】
好ましくは、官能化触媒Cは、水酸化リチウム又は水酸化カリウムである。
【0033】
水酸化リチウムは商業的に広く使用されている。好ましくは、このものは、アルコール、例えばメタノール又はエタノールの溶液として使用される。
【0034】
少なくとも1種のアセチレンブラックDの導入は、パワートレインに使用されるオイルを吸収する機能を有する。このものは、アセチレンの熱分解によって得られ、粉末状である。したがって、これらのアセチレンブラックは、触媒担体として一般に使用されている活性炭よりも低い比表面積を有する。この比表面積は、一般に50〜100m
2/gである。また、これらのアセチレンブラックは、それらの結晶構造、酸化状態、高い化学的純度及び大きな多孔度といった他の技術的特徴によって区別される。一例として、本発明での使用に好適なアセチレンブラックとしては、SN2A社がY70、Y200、Y50、YSという商品名で販売するブラックを挙げることができる。配合を容易にするために、これらのアセチレンブラックをペーストの形態で、すなわち少なくとも1種のポリオルガノシロキサンオイルとの混合物として導入することができる。
【0035】
表面改質されていてもよい少なくとも1種のアルミニウム三水和物Eを導入する目的は、本発明に係る組成物の硬化により得られるエラストマーに良好な機械的及び流動学的特性を与えることである。また、アルミニウム三水和物は、アルミナ水和物、三水酸化アルミニウム、ATH、アルミニウム水和物及び水酸化アルミニウムとしても知られている。3個のOH
-イオンに結合されたAl
3+イオンからなる表現Al(OH)
3は非常に簡略化されたものであり、この化合物は、一般に、多かれ少なかれ水和されている。したがって、より厳密な表現は、3個の酸化物/水酸化物についてのAl
2O
3・xH
2Oであろう。ATHの処理に一般的に使用されている所定のシランは、米国特許第4526922号及び同4550056号に記載されている。
【0036】
本発明に係る組成物は、少なくとも1個のアミン官能基を有する少なくとも1種の接着促進剤F、例えば次のものを含むことができる:
[H
2N(CH
2)
3]Si(OCH
2CH
2CH
3)
3,
[H
2N(CH
2)
3]Si(OCH
3)
3
[H
2N(CH
2)
3]Si(OC
2H
5)
3
[H
2N(CH
2)
4]Si(OCH
3)
3
[H
2NCH
2CH(CH
3)CH
2CH
2]SiCH
3(OCH
3)
2
[H
2NCH
2]Si(OCH
3)
3
[n−C
4H
9−HN−CH
2]Si(OCH
3)
3
[H
2N(CH
2)
2NH(CH
2)
3]Si(OCH
3)
3
[H
2N(CH
2)
2NH(CH
2)
3]Si(OCH
2CH
2OCH
3)
3
[CH
3NH(CH
2)
2NH(CH
2)
3]Si(OCH
3)
3
[H(NHCH
2CH
2)
2NH(CH
2)
3]Si(OCH
3)
3
HS(CH
2)
3Si(OCH
3)
3
NH
2CONH
2(CH
2)
3Si(OCH
3)
3
【化3】
【化4】
又はこのような有機基を20%を超える含有量で有するポリオルガノシロキサンオリゴマー。
【0037】
好ましい実施形態によれば、縮合触媒Gは、次式(I)に相当するグアニジンである:
【化5】
式中、
・基R
1は、同一でも異なっていてもよく、互いに独立に、直鎖又は分岐一価アルキル基、シクロアルキル基、(シクロアルキル)アルキル基(該環状部分は、置換されていてよく、かつ、少なくとも1個のヘテロ原子を有することができる)又はフルオロアルキル基を表し、
・基R
2は、水素原子、直鎖又は分岐一価アルキル基、シクロアルキル基、置換されていてよくかつ少なくとも1個のヘテロ原子を有していてよい環状部分により置換されたアルキル基、芳香族基、アリールアルキル基、フルオロアルキル基、アルキルアミノ基又はアルキルグアニジル基を表し、
・基R
3は、直鎖又は分岐一価アルキル基、シクロアルキル基、置換されていてよくかつ少なくとも1個のヘテロ原子を有していてよい環状部分により置換されたアルキル基、アリールアルキル、フルオロアルキル、アルキルアミノ又はアルキルグアニジル基を表し、
・基R
2が水素原子でない場合には、基R
2及びR
3は結合して、1個以上の置換基により置換されていてよい脂肪族3、4、5、6又は7員環を形成することができる。
【0038】
これらのものは、1,2,3−三置換及び1,2,3,3−四置換グアニジンであり、かつ、液体であり、無色であり、無臭であり、しかもシリコーンマトリックスに可溶であるという利点を有する。このタイプの触媒の例は、国際特許出願WO2009/118307号に記載されている。
【0039】
好ましくは、以下の触媒(A1)〜(A6)の触媒を使用する:
【化6】
【化7】
【0040】
別の好ましい実施形態によれば、縮合触媒Gは次式のグアニジンである:
【化8】
式中、
・R
1、R
2、R
3、R
4又はR
5基は、同一のものでも異なるものでもよく、互いに独立して、直鎖又は分岐一価アルキル基、シクロアルキル基、(シクロアルキル)アルキル基(該環は置換されていてよく、かつ、少なくとも1個のヘテロ原子を含むことができる。)又はフルオロアルキル基、芳香族基、アリールアルキル基、フルオロアルキル基、アルキルアミノ基又はアルキルグアニジル基を表し、
・R
1、R
2、R
3又はR
4基は、対になって結合して1個以上の置換基で置換されていてよい脂肪族3、4、5、6又は7員環を形成することができる。
【0041】
これらは5置換グアニジンであり、かつ、液体であり、無色であり、無臭であり、しかもシリコーンマトリックスに可溶であるという利点を有する。
【0042】
特定の実施形態によれば、以下の化合物(A7)〜(A9)が好ましい:
【化9】
【0043】
これらは、例えば、2008年11月25日に出願された仏国特許出願公開第08/06610号に記載されている。
【0044】
非反応性直鎖状ポリオルガノシロキサン重合体(H)を、本発明に係る組成物の物性及び/又はこれらの組成物の硬化により生じるエラストマーの機械的性質に影響を与えることを目的として導入できる。
【0045】
これらの非反応性直鎖状ポリオルガノシロキサン重合体(H)は周知である。これらは、特に、ジオルガノシロキシ単位及び多くとも1%のモノオルガノシロキシ及び/又はシロキシ単位から本質的に形成される、25℃で少なくとも10mPa.sの粘度を有するα,ω−ビス(トリオルガノシロキシ)ジオルガノポリシロキサン重合体を含み、ここで、その珪素原子に結合する有機基はメチル、ビニル及びフェニル基から選択され、これらの有機基の少なくとも60%がメチル基であり、多くとも10%がビニル基である。これらの重合体の粘度は、25℃で数千万mPa.sに達し得る。つまり、これらは、液体〜粘稠な見掛け及び軟質〜硬質のガム質を有するオイルを含む。これらのものは、仏国特許FR−A−978058号、FR−A−1025150号、FR−A−1108764号及びFR−A−1370884号に正確に記載された通常の技術に従って製造される。好ましくは、25℃で10mPa.s〜1000mPa.sの範囲の粘度を有するα,ω−ビス(トリメチルシロキシ)ジメチルポリシロキサンオイルが使用される。これらの重合体は可塑剤として作用する。
【0046】
Eとは異なる少なくとも1種の充填剤Iを導入する目的は、本発明に係る組成物の硬化により生じるエラストマーに良好な機械的及びレオロジー特性を与えることである。
【0047】
平均粒径が0.1μm未満の非常に細かく微粉化された製品が使用される。これらの充填剤としては、ヒュームドシリカ及び沈降シリカが挙げられる;それらのBET比表面積は、通常、40m
2/gを超える。また、これらの充填剤は、0.1μmを超える平均粒径を有する、粗く微粉化された製品の形態にあることもできる。このような充填剤の例としては、石英粉末、珪藻土シリカ、炭酸カルシウム、焼成クレー、ルチル型酸化チタン、鉄、亜鉛、クロム、ジルコニウム又はマグネシウムの酸化物、様々な形態のアルミナ(水和又は非水和)、窒化ホウ素、リトポン、メタホウ酸バリウム、硫酸バリウム及びガラスミクロビーズが挙げられる;これらの比表面積は、概して30m
2/g未満である。
【0048】
これらの充填剤は、この目的のために通常使用される様々な有機珪素化合物による処理で表面改質されていることができる。例えば、これらの有機珪素化合物は、オルガノクロルシラン、ジオルガノシクロポリシロキサン、ヘキサオルガノジシロキサン、ヘキサオルガノジシラザン又はジオルガノシクロポリシラザン(仏国特許FR−A−1126884号、FR−A−1136885号及びFR−A−1236505号、並びに英国特許第GB−A−1024234号)であることができる。処理された充填剤は、殆どの場合、有機珪素化合物の重量の3〜30%を含有する。充填剤は、様々な粒度の数種の充填剤の混合物から構成できる;つまり、例えば、40m
2/gを超えるBET比表面積を有する微粉化されたシリカ30〜70%と、30m
2/g未満の比表面積を有する、それよりも粗く微粉化されたシリカ70〜30%とから構成できる。これらの充填剤は表面処理されていてよい。
【0049】
好ましくは、充填剤Iが存在し、これは好ましくはカオリンである。
【0050】
好ましい実施形態によれば、本発明に係るポリオルガノシロキサン組成物Xは、次のものを含む:
(A)少なくとも1個のアルコキシル化基を含み、かつ、同一又は異なるシロキシ単位からなる次式:
(Z)
b(R
4)
aSiO
[4-(a+b)]/2 (1)
(式中、
・記号Z=[−(OCH
2CH
2)
c−OR
5](c=0又は1である)であり、
・a=0、1、2又は3であり;b=0、1、2又は3であり、a+b=0、1、2又は3であり、
・記号R
4はC
1〜C
13の一価炭化水素基を表し、
・記号R
5はC
1〜C
6の一価炭化水素基又はエステル官能基を有していてよいアルコキシアルキル基を表し、
・ただし、少なくとも1個のシロキシル単位について、ポリオルガノシロキサンAが少なくとも1個のアルコキシル化基Zを有するように指数b≧1であるものとする。)
の少なくとも1種のポリオルガノシロキサンA100重量部当たり、
(B)次式:
(R
2)
zSi(OR
3)
(4-z) (2)
(式中、
・z=0又は1であり、
・記号R
2はC
1〜C
13の一価炭化水素基を表し、
・記号R
3は、同一でも異なっていてもよく、それぞれC
1〜C
6の一価炭化水素基又はエステル官能基を有していてよいアルコキシアルキル基を表す。)
の少なくとも1種のポリアルコキシル化シランB0〜50重量部、好ましくは0.01〜50重量部、
(C)機能がパワートレインに使用されるオイルを吸収することである少なくとも1種のアセチレンブラックD0.01〜50重量部、
(D)無機充填剤として少なくとも1種のアルミニウム三水和物E0.1〜50重量部、
(E)少なくとも1個のアミン官能基を有する少なくとも1種の接着促進剤F0.1〜60重量部、
(F)縮合触媒として少なくとも1種のグアニジンG0.01〜50重量部、
(G)少なくとも1種の非反応性線状ポリオルガノシロキサンHであって、本発明に係る組成物の物理的特性及び/又はこれらの組成物の硬化により生じるエラストマーの機械的性質に作用し得るもの0〜60重量部、
(H)Eとは異なる少なくとも1種の充填剤I0〜250重量部、及び
(I)着色ベース、顔料又はチキソトロープ剤などの少なくとも1種の添加剤J0〜20重量部、
ただし、
・該ポリオルガノシロキサン組成物Xは、炭酸カルシウムも、ポリアルコキシル化シランの部分加水分解及び縮合によって得られる2〜10個のシロキシ単位を有するシロキサンも含有せず、しかも
・該ポリオルガノシロキサンAは、厳密に10よりも大きい単位数、好ましくは20より大きくかつ多くとも2000に等しい単位数を有するものとする。
【0051】
言及できるチキソトロープ剤としては、次のものが挙げられる:
・無機増粘剤、硼酸及びボレート、チタネート、アルミネート、ジルコネート;
・ヒドロキシル基を有する化合物;
・ポリエチレン及び/又はポリプロピレンを主成分とする化合物;
・環状アミン官能基を有する化合物;
・ポリエーテル型の化合物又はポリエーテル基を有する化合物;及び
・好ましくはポリフルオロエチレン(PFE)を主成分とする、さらに好ましくはポリテトラフルオロエチレン(PTFE又はテフロン(登録商標))を主成分とするフルオロ樹脂。
【0052】
本発明の別の主題は、周囲空気又は水の事前添加によって与えられる水の存在下で、上記本発明に係るポリオルガノシロキサン組成物Xを架橋することにより得られるエラストマーに関する。
【0053】
本発明の別の主題は、上記本発明に係るポリオルガノシロキサン組成物X又は上記本発明に係るエラストマーの、パワートレインに使用される流体中での老化に対する良好な抵抗性を有するシリコーン漏止めシールを製造するための使用に関する。
【0054】
最後に、本発明の主題は、次の工程(a)〜(d)を含む、パワートレインの少なくとも1個の部品を密封し組立てるための方法に関する:
(a)上記本発明に係るポリオルガノシロキサン組成物Xを製造し、
(b)該ポリオルガノシロキサン組成物Xを、該部品が接触する少なくとも一つの領域に連続的又は非連続的に及び任意にビードの形態で塗布し、
(c)該ポリオルガノシロキサン組成物Xを放置して、漏れ止めシールを形成するように、周囲の空気又は水の事前添加により供給される水分の存在下でシリコーンエラストマーに架橋させ、
(d)該部品をパワートレインの別の部品と共に組立て、それによって、形成されたシールが該パワートレインの該2個の部品間の組立及び漏れ止めを確保する。
【0055】
自動車分野では、シリコーンエラストマーは、シリコーンシールの形態で使用される場合が多い。用語「シリコーンシール」には、数種類の漏れ止めシール、すなわち「流動シール(FS)」(押し潰しシールしても知られている)及びフォームフィルシール(FFS)(「成形シール」としても知られている)が含まれる。
【0056】
「流動シール」(FS)は、一般に、組み立てられる2個の金属又はプラスチック部品間の接触領域に組成物のペースト状ビードを塗布した後に形成される。まず、ペースト状ビードを部材の一つに付着させ、その後他の部材を第1のものに適用する;これによりビードが押し潰され、その後エラストマーに転化する。このタイプのシールは、一般的に分解する必要がない集合体に向けられる(オイル溜めシール、タイミングケースシールなど)。
【0057】
「フォームフィル」シール(FFS)は、特に、輸送及び自動車分野において、分解できることが必要な全てのエンジン部品、例えばシリンダヘッドカバー、オイルポンプ、ウォータポンプ、ラジエータタンク、オイルサンプ、タイミングケースカバー又はクラッチリリーススリーブに対する漏れ止め用途のために使用されている。「フォームフィル」シール(FFS)は、一般に、組み立てられる2個の部材間の接触領域に組成物のペースト状ビードを塗布した後に形成される。しかし、部材の一つにペースト状ビードを塗布した後に、このビードは、エラストマーに架橋する時間が与えられ、その後第2部材を第1のものに適用する。その結果、このような集合体は容易に分解できる。というのは、このシールを受け入れたものに適用される部材は、このシールに付着しないからである。さらに、このシールは、そのエラストマーの性質により、互いにシールされる表面の凹凸を支持するため、互いに接触した状態に置かれる表面を慎重に機械加工し、そして得られた集合体を強制的に締めることを必要としない。これらの特徴は、通常、集合体の部材を硬化及び強化させることを目的とした締結シール、スペーサー又はリブを不要にすることをある程度まで可能にする。「フォームフィル」シールは、一般に、明確な輪郭で付着され、しかもその機能が2個(又はそれ以上)の分解可能な部品を漏れ止めにする卵形断面のシリコーンエラストマーの閉ビードである。
【0058】
本発明に係る方法で使用される組成物は室温で、さらには閉鎖環境において急速に硬化するため、この結果は、これらの組成物の硬化により得られるシリコーン漏れ止めシールを非常に厳格な工業的製造条件下で製造できることになるというものである。例えば、これらのものは、組成物付着用の自動装置を備えた自動車業界の通常の組立ラインで製造できる。この自動装置は、混合ヘッド及び付着ノズルを有する場合が非常に多く、後者のものは、製造されるシールの輪郭に従って進む。この装置によって製造され分配された組成物は、好ましくは、一方ではミキシングヘッド中で組成物が硬化しないように、そして他方では共に密封される部品へのペースト状ビードの付着終了後に完全な架橋を得るように適切に調整された硬化時間を有する。これらの「成形」シールは、シリンダヘッドカバーシール、ギアボックスケースカバーシール、タイミングスペーサシール及びさらにオイル溜めシールに特に好適である。
【0059】
部品は、多様な性質のものであり、ガラス、プラスチック、金属などから製造される。
【0060】
本発明の方法の別の特定の実施形態によれば、パワートレイン部品は、次のものよりなる群から選択される:シリンダーヘッド、オイルサンプ、シリンダヘッドカバー、タイミングケースカバー、主支持棒、エンジンシリンダブロック、ギアボックス、ウォータポンプ、ポジティブクランクケース換気ボックス、ウォータフィルタ、オイルフィルタ、オイルポンプ、パワートレイン又はクラッチガイドの電子部品を備えたボックス。
【0061】
一般に、シリコーン組成物は、連続若しくは不連続のシールの形態又は連続若しくは不連続層の形態で部品に塗布される。連続又は不連続層を形成するために、標準的な付着又は被覆技術を使用することができる。
【0062】
湿気のある雰囲気下で組成物をそのままの状態で固体基材に塗布した後に、塗布された材料の外側から内側に向かって生じるエラストマーへの硬化プロセスが生じることが観察される。まず、表面に外皮が形成され、続いて深いところで架橋が続行する。表面の非粘着的な感触をもたらす外皮の完全な形成には、数分の時間を要するが、この時間は、組成物を取り巻く雰囲気の相対湿度の程度と、該組成物の架橋能力とによる。
【0063】
一液ベースは、例えば、参考として引用するEP141685、EP147323、EP102268、EP21859、FR2121289及びFR2121631に詳しく記載されている。
【0064】
本発明の別の詳細な内容又は利点は、単なる例示として以下に与える実施例を読めばさらに明らかになるであろう。
【実施例】
【0065】
(I)配合物の製造
使用した物質
αω OH PDMS:ヒドロキシル基OHを0.045重量%含有するα,ω−ジヒドロキシル化ポリジメチルシロキサン
PDMS:鎖末端トリメチルシリル官能基を含み、100mPa.sの粘度を有するポリジメチルシロキサン
【0066】
シラン:
Dynasylan VTMO:ビニルトリメトキシシラン(VTMO)(CH
2=CH
2)Si(OCH
3)
3(供給業者エボニック)
Dynasylan 6490:部分的に加水分解及び縮合したビニルトリメトキシシラン(VTMO)(供給業者エボニック)
【0067】
官能化触媒:
水酸化リチウム:メタノールに溶解された水酸化リチウム一水和物(LiOH・H
2O−3.8重量%)
【0068】
縮合触媒:
Cy2G:ジシクロヘキシルメチルブチルグアニジン(供給業者BSI)
【0069】
接着促進剤:
Dynasylan DAMO−T(エボニック):N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(純度>90%)
Dynasylan DAMO(エボニック):N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(純度>99%)
Dynasylan GLYMO(エボニック):γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
Dynasylan DS1146(エボニック):アルキルポリシロキサン、変性アミノアルキル基
Silquest A−link597(モメンティブ):トリス(3−(トリメトキシシリル)プロピル)イソシアヌレート
【0070】
充填剤:
Winnofil SPM:ステアレート処理炭酸カルシウム(供給業者ソルベイ)
Omya BLR3:ステアレートで表面処理された炭酸カルシウム(供給業者オムヤ)
Martinal OL107A:シラン処理三水酸化アルミニウムD50 1.1〜1.7μm(供給業者Albermale)
Martinal OL107ZO:シラン処理三水酸化アルミニウムD50 1.6〜1.9μm(供給業者Albermale)
Black Y200:アセチレンブラック、見掛け密度200kg/m
3(供給業者SN2A)
Black Y70:アセチレンブラック、見掛け密度70kg/m
3(供給業者SN2A)
【0071】
製造した物質
1−ブチル−2,3−ジシクロヘキシル−1−メチルグアニジン(Cy2G)の合成
【化10】
32.68gのN−ブチル−N−メチルアミン(0.375mol)と23.66gのジイソプロピルカルボジイミド(0.1875mol)との混合物を3時間還流する。このとき、GC分析により、99.5%を超えるジイソプロピルカルボジイミドの転化率が示される。無色の最終混合物を60℃で5mbar下において2時間にわたり濃縮して、40gの無色でかつ実質的に無臭の低粘度液体を得た。これは所期のグアニジンに相当する(100%の収率)。
1H NMR/CDCl
3(ppm):0.88(3H、t)、1.06(12H、d)、1.26(2H、sext.)、1.46(2H、quint)、2.67(3H、s)、3.05(2H、t)、3.35(2H、m)。
【0072】
比較例C1(炭酸カルシウムあり及び水酸化アルミニウムなし)
ヒドロキシル基OHを0.045重量%含むα,ω−ジヒドロキシル化ポリジメチルシロキサンオイル626gと、鎖末端トリメチルシリル官能基を含み、100mPa.sの粘度を有するポリジメチルシロキサン120gと、アセチレンブラックY70(SN2A社製)96gと、ビニルトリメトキシシラン(Dynasylan VTMO、エボニック)48gとを、プラネタリーミキサー内に配置する。この混合物を蝶パドルを200rpmで2分間回転させることにより均質化させる。次に、メタノールに溶解された水酸化リチウム一水和物をベースとする官能化触媒0.6gを添加する。その後、400rpmで4分間の均質化段階を行う。次に、炭酸カルシウムBLR3(オムヤ社製)300gを200rpmの撹拌速度で配合し、そして400rpmでさらに4分間分散させる。その後、媒体を50mbarの部分真空下で10分間脱気する。次いで、この混合物を、窒素雰囲気下に置き、そしてN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(Dynasylan DAMO、エボニック)6gを200rpmで攪拌しながら添加し、その後1−ブチル−2,3−ジシクロヘキシル−1−メチルグアニジン(Cy2G)3.6gを添加する。
この媒体を5分間400rpmで撹拌し、次いで40mbarの部分真空下において300rpmで5分間にわたり脱気する。最後に、この混合物を密閉プラスチック製カートリッジに移す。
【0073】
比較例C2(炭酸カルシウム及びWO2011/114021号に記載されたポリアルコキシルシランの部分加水分解と縮合とにより得られた縮合物であるシロキサンあり)
ヒドロキシル基OHを0.045重量%含むα,ω−ジヒドロキシル化ポリジメチルシロキサンオイル602gと、鎖末端トリメチルシリル官能基を含み、100mPa.sの粘度を有するポリジメチルシロキサン120gと、アセチレンブラックY70(SN2A社製)96gと、ビニルトリメトキシシラン(Dynasylan VTMO、エボニック)24gとを、プラネタリーミキサー内に配置する。この混合物を蝶パドルを200rpmで2分間回転させることにより均質化させる。次に、メタノールに溶解された水酸化リチウム一水和物をベースとする官能化触媒0.6gを添加する。その後、400rpmで4分間の均質化段階を行う。次に、炭酸カルシウムBLR3(オムヤ社製)300gを200rpmの撹拌速度で配合し、そして400rpmでさらに4分間分散させる。その後、媒体を50mbarの部分真空下で10分間脱気する。次いで、この混合物を、窒素雰囲気下に置き、そしてN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(Dynasylan DAMO、エボニック)6gを200rpmで攪拌しながら添加し、その後1−ブチル−2,3−ジシクロヘキシル−1−メチルグアニジン(Cy2G)3.6gを添加する。
この媒体を5分間400rpmで撹拌し、次いで40mbarの部分真空下において300rpmで5分間にわたり脱気する。最後に、この混合物を密閉プラスチック製カートリッジに移す。
【0074】
比較例C3(炭酸カルシウム及びWO2011/114021号に記載されたポリアルコキシルシランの部分加水分解と縮合とによって得られた縮合物であるシロキサンあり)
ヒドロキシル基OHを0.045重量%含むα,ω−ジヒドロキシル化ポリジメチルシロキサンオイル602gと、鎖末端トリメチルシリル官能基を含み、100mPa.sの粘度を有するポリジメチルシロキサン120gと、アセチレンブラックY200(SN2A社製)96gと、ビニルトリメトキシシラン(Dynasylan VTMO、エボニック)24gとを、プラネタリーミキサー内に配置する。この混合物を蝶パドルを200rpmで2分間回転させることにより均質化させる。次に、メタノールに溶解された水酸化リチウム一水和物をベースとする官能化触媒0.6gを添加する。その後、400rpmで4分間の均質化段階を行う。次に、炭酸カルシウムBLR3(オムヤ社製)300gを200rpmの撹拌速度で配合し、そして400rpmでさらに4分間分散させる。その後、媒体を50mbarの部分真空下で10分間脱気する。次いで、この混合物を、窒素雰囲気下に置き、そしてN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(Dynasylan DAMO、エボニック)6gを200rpmで攪拌しながら添加し、その後Dynasylan 6490(エボニック)48g及び1−ブチル−2,3−ジシクロヘキシル−1−メチルグアニジン(Cy2G)3.6gを添加する。
この媒体を5分間400rpmで撹拌し、次いで40mbarの部分真空下において300rpmで5分間にわたり脱気する。最後に、この混合物を密閉プラスチック製カートリッジに移す。
【0075】
比較例C4(水酸化アルミニウム及びポリアルコキシルシランの部分加水分解と縮合とによって得られた縮合物であるシロキサンあり)
ヒドロキシル基OHを0.045重量%含むα,ω−ジヒドロキシル化ポリジメチルシロキサンオイル721gと、鎖末端トリメチルシリル官能基を含み、100mPa.sの粘度を有するポリジメチルシロキサン120gと、アセチレンブラックY200(SN2A社製)96gと、ビニルトリメトキシシラン(Dynasylan VTMO、エボニック)24gとを、プラネタリーミキサー内に配置する。この混合物を蝶パドルを200rpmで2分間回転させることにより均質化させる。次に、メタノールに溶解された水酸化リチウム一水和物をベースとする官能化触媒1.8gを添加する。その後、400rpmで4分間の均質化段階を行う。次に、Martinal OL107A(Albermale社製)180gを200rpmの撹拌速度で配合し、そして400rpmでさらに4分間分散させる。その後、媒体を50mbarの部分真空下で10分間脱気する。次いで、この混合物を、窒素雰囲気下に置き、そしてN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(Dynasylan DAMO−T、エボニック)6gを200rpmで攪拌しながら添加し、その後Dynasylan 6490(エボニック)48g及び1−ブチル−2,3−ジシクロヘキシル−1−メチルグアニジン(Cy2G)3.6gを添加する。
この媒体を5分間400rpmで撹拌し、次いで40mbarの部分真空下において300rpmで5分間にわたり脱気する。最後に、この混合物を密閉プラスチック製カートリッジに移す。
【0076】
比較例C5(水酸化アルミニウム及び非アミノ接着促進剤あり)
ヒドロキシル基OHを0.045重量%含むα,ω−ジヒドロキシル化ポリジメチルシロキサンオイル738gと、鎖末端トリメチルシリル官能基を含み、100mPa.sの粘度を有するポリジメチルシロキサン120gと、アセチレンブラックY200(SN2A社製)96gと、ビニルトリメトキシシラン(Dynasylan VTMO、エボニック)48gとを、プラネタリーミキサー内に配置する。この混合物を蝶パドルを200rpmで2分間回転させることにより均質化させる。次に、メタノールに溶解された水酸化リチウム一水和物をベースとする官能化触媒2.4gを添加する。その後、400rpmで4分間の均質化段階を行う。次に、Martinal OL107A(Albermale社製)180gを200rpmの撹拌速度で配合し、そして400rpmでさらに4分間分散させる。その後、媒体を50mbarの部分真空下で10分間脱気する。次いで、この混合物を、窒素雰囲気下に置き、そしてトリス(3−(トリメトキシシリル)プロピル)イソシアヌレート(A−Link597、モメンティブ)12gを200rpmで攪拌しながら添加し、その後1−ブチル−2,3−ジシクロヘキシル−1−メチルグアニジン(Cy2G)3.6gを添加する。
この媒体を5分間400rpmで撹拌し、次いで40mbarの部分真空下において300rpmで5分間にわたり脱気する。最後に、この混合物を密閉プラスチック製カートリッジに移す。
【0077】
比較例C6(水酸化アルミニウム及び非アミノ接着促進剤あり)
ヒドロキシル基OHを0.045重量%含むα,ω−ジヒドロキシル化ポリジメチルシロキサンオイル654gと、鎖末端トリメチルシリル官能基を含み、100mPa.sの粘度を有するポリジメチルシロキサン120gと、アセチレンブラックY200(SN2A社製)120gと、ビニルトリメトキシシラン(Dynasylan VTMO、エボニック)48gとを、プラネタリーミキサー内に配置する。この混合物を蝶パドルを200rpmで2分間回転させることにより均質化させる。次に、メタノールに溶解された水酸化リチウム一水和物をベースとする官能化触媒2.4gを添加する。その後、400rpmで4分間の均質化段階を行う。次に、沈降炭酸カルシウムWinnofil SPM(Solvay社製)240gを200rpmの撹拌速度で配合し、そして400rpmでさらに4分間分散させる。その後、媒体を50mbarの部分真空下で10分間脱気する。次いで、この混合物を、窒素雰囲気下に置き、そしてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(Dynasylan GLYMO、エボニック)12gを200rpmで攪拌しながら添加し、その後1−ブチル−2,3−ジシクロヘキシル−1−メチルグアニジン(Cy2G)3.6gを添加する。
この媒体を5分間400rpmで撹拌し、次いで40mbarの部分真空下において300rpmで5分間にわたり脱気する。最後に、この混合物を密閉プラスチック製カートリッジに移す。
【0078】
本発明に係る例E1(水酸化アルミニウム及びアミノシランあり(炭酸カルシウムなし及びポリアルコキシルシランの部分加水分解と縮合とによって得られる縮合物であるシロキサンなし))
ヒドロキシル基OHを0.045重量%含むα,ω−ジヒドロキシル化ポリジメチルシロキサンオイル745gと、鎖末端トリメチルシリル官能基を含み、100mPa.sの粘度を有するポリジメチルシロキサン120gと、アセチレンブラックY200(SN2A社製)96gと、ビニルトリメトキシシラン(Dynasylan VTMO、エボニック)48gとを、プラネタリーミキサー内に配置する。この混合物を蝶パドルを200rpmで2分間回転させることにより均質化させる。次に、メタノールに溶解された水酸化リチウム一水和物をベースとする官能化触媒1.2gを添加する。その後、400rpmで4分間の均質化段階を行う。次に、Martinal OL107A(Albermale社製)180gを200rpmの撹拌速度で配合し、そして400rpmでさらに4分間分散させる。その後、媒体を50mbarの部分真空下で10分間脱気する。次いで、この混合物を、窒素雰囲気下に置き、そしてN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(Dynasylan DAMO−T、エボニック)6gを200rpmで攪拌しながら添加し、その後1−ブチル−2,3−ジシクロヘキシル−1−メチルグアニジン(Cy2G)3.6gを添加する。
この媒体を5分間400rpmで撹拌し、次いで40mbarの部分真空下において300rpmで5分間にわたり脱気する。最後に、この混合物を密閉プラスチック製カートリッジに移す。
【0079】
発明に係る例E2(水酸化アルミニウム及びアミノシランあり(炭酸カルシウムなし及びポリアルコキシルシランの部分加水分解と縮合とによって得られた縮合物であるシロキサンなし))
ヒドロキシル基OHを0.045重量%含むα,ω−ジヒドロキシル化ポリジメチルシロキサンオイル720gと、鎖末端トリメチルシリル官能基を含み、100mPa.sの粘度を有するポリジメチルシロキサン120gと、アセチレンブラックY200(SN2A社製)120gと、ビニルトリメトキシシラン(Dynasylan VTMO、エボニック)48gとを、プラネタリーミキサー内に配置する。この混合物を蝶パドルを200rpmで2分間回転させることにより均質化させる。次に、メタノールに溶解された水酸化リチウム一水和物をベースとする官能化触媒2.4gを添加する。その後、400rpmで4分間の均質化段階を行う。次に、Martinal OL107A(Albermale社製)180gを200rpmの撹拌速度で配合し、そして400rpmでさらに4分間分散させる。その後、媒体を50mbarの部分真空下で10分間脱気する。次いで、この混合物を、窒素雰囲気下に置き、そしてN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(Dynasylan DAMO−T、エボニック)6gを200rpmで攪拌しながら添加し、その後1−ブチル−2,3−ジシクロヘキシル−1−メチルグアニジン(Cy2G)3.6gを添加する。
この媒体を5分間400rpmで撹拌し、次いで40mbarの部分真空下において300rpmで5分間にわたり脱気する。最後に、この混合物を密閉プラスチック製カートリッジに移す。
【0080】
本発明に係る例E3(水酸化アルミニウム及びアミノシランあり(炭酸カルシウムなし及びポリアルコキシルシランの部分加水分解と縮合とによって得られた縮合物であるシロキサンなし))
ヒドロキシル基OHを0.045重量%含むα,ω−ジヒドロキシル化ポリジメチルシロキサンオイル714gと、鎖末端トリメチルシリル官能基を含み、100mPa.sの粘度を有するポリジメチルシロキサン120gと、アセチレンブラックY200(SN2A社製)120gと、ビニルトリメトキシシラン(Dynasylan VTMO、エボニック)48gとを、プラネタリーミキサー内に配置する。この混合物を蝶パドルを200rpmで2分間回転させることにより均質化させる。次に、メタノールに溶解された水酸化リチウム一水和物をベースとする官能化触媒2.4gを添加する。その後、400rpmで4分間の均質化段階を行う。次に、Martinal OL107A(Albermale社製)180gを200rpmの撹拌速度で配合し、そして400rpmでさらに4分間分散させる。その後、媒体を50mbarの部分真空下で10分間脱気する。次いで、この混合物を、窒素雰囲気下に置き、そしてN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(Dynasylan DAMO−T、エボニック)12gを200rpmで攪拌しながら添加し、その後1−ブチル−2,3−ジシクロヘキシル−1−メチルグアニジン(Cy2G)3.6gを添加する。
この媒体を5分間400rpmで撹拌し、次いで40mbarの部分真空下において300rpmで5分間にわたり脱気する。最後に、この混合物を密閉プラスチック製カートリッジに移す。
【0081】
本発明に係る例E4(水酸化アルミニウム及びアミノシランあり(炭酸カルシウムなし及びポリアルコキシルシランの部分加水分解と縮合とによって得られた縮合物であるシロキサンなし))
ヒドロキシル基OHを0.045重量%含むα,ω−ジヒドロキシル化ポリジメチルシロキサンオイル708gと、鎖末端トリメチルシリル官能基を含み、100mPa.sの粘度を有するポリジメチルシロキサン120gと、アセチレンブラックY200(SN2A社製)120gと、ビニルトリメトキシシラン(Dynasylan VTMO、エボニック)48gとを、プラネタリーミキサー内に配置する。この混合物を蝶パドルを200rpmで2分間回転させることにより均質化させる。次に、メタノールに溶解された水酸化リチウム一水和物をベースとする官能化触媒2.4gを添加する。その後、400rpmで4分間の均質化段階を行う。次に、Martinal OL107A(Albermale社製)180gを200rpmの撹拌速度で配合し、そして400rpmでさらに4分間分散させる。その後、媒体を50mbarの部分真空下で10分間脱気する。次いで、この混合物を、窒素雰囲気下に置き、そしてN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(Dynasylan DAMO−T、エボニック)18gを200rpmで攪拌しながら添加し、その後1−ブチル−2,3−ジシクロヘキシル−1−メチルグアニジン3.6gを添加する。
この媒体を5分間400rpmで撹拌し、次いで40mbarの部分真空下において300rpmで5分間にわたり脱気する。最後に、この混合物を密閉プラスチック製カートリッジに移す。
【0082】
本発明に係る例E5(水酸化アルミニウム及びアミノシランあり(炭酸カルシウムなし及びポリアルコキシルシランの部分加水分解と縮合とによって得られた縮合物であるシロキサンなし))
ヒドロキシル基OHを0.045重量%含むα,ω−ジヒドロキシル化ポリジメチルシロキサンオイル708gと、鎖末端トリメチルシリル官能基を含み、100mPa.sの粘度を有するポリジメチルシロキサン120gと、アセチレンブラックY200(SN2A社製)120gと、ビニルトリメトキシシラン(Dynasylan VTMO、エボニック)48gとを、プラネタリーミキサー内に配置する。この混合物を蝶パドルを200rpmで2分間回転させることにより均質化させる。次に、メタノールに溶解された水酸化リチウム一水和物をベースとする官能化触媒2.4gを添加する。その後、400rpmで4分間の均質化段階を行う。次に、Martinal OL107ZO(Albermale社製)180gを200rpmの撹拌速度で配合し、そして400rpmでさらに4分間分散させる。その後、媒体を50mbarの部分真空下で10分間脱気する。次いで、この混合物を、窒素雰囲気下に置き、そしてN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(Dynasylan DAMO−T、エボニック)18gを200rpmで攪拌しながら添加し、その後1−ブチル−2,3−ジシクロヘキシル−1−メチルグアニジン(Cy2G)3.6gを添加する。
この媒体を5分間400rpmで撹拌し、次いで40mbarの部分真空下において300rpmで5分間にわたり脱気する。最後に、この混合物を密閉プラスチック製カートリッジに移す。
【0083】
本発明に係る例E6(水酸化アルミニウム及びアミノシランあり(炭酸カルシウムなし及びポリアルコキシルシランの部分加水分解と縮合とによって得られた縮合物であるシロキサンなし))
ヒドロキシル基OHを0.045重量%含むα,ω−ジヒドロキシル化ポリジメチルシロキサンオイル714gと、鎖末端トリメチルシリル官能基を含み、100mPa.sの粘度を有するポリジメチルシロキサン120gと、アセチレンブラックY200(SN2A社製)120gと、ビニルトリメトキシシラン(Dynasylan VTMO、エボニック)48gとを、プラネタリーミキサー内に配置する。この混合物を蝶パドルを200rpmで2分間回転させることにより均質化させる。次に、メタノールに溶解された水酸化リチウム一水和物をベースとする官能化触媒2.4gを添加する。その後、400rpmで4分間の均質化段階を行う。次に、Martinal OL107A(Albermale社製)180gを200rpmの撹拌速度で配合し、そして400rpmでさらに4分間分散させる。その後、媒体を50mbarの部分真空下で10分間脱気する。次いで、この混合物を、窒素雰囲気下に置き、そしてDynasylan 1146(エボニック)12gを200rpmで攪拌しながら添加し、その後1−ブチル−2,3−ジシクロヘキシル−1−メチルグアニジン(Cy2G)3.6gを添加する。
この媒体を5分間400rpmで撹拌し、次いで40mbarの部分真空下において300rpmで5分間にわたり脱気する。最後に、この混合物を密閉プラスチック製カートリッジに移す。
【0084】
(II)生成物のキャラクタリゼーション
(a)機械的性質
その後、2mm厚のフィルム状のシールを上記配合物のそれぞれを用いて製造し、そして制御された条件(23℃±2℃、50%±5%の湿度)下で7日間放置して架橋させる。
ショアA(ShA)として表されるショアA硬度(SAH)を、ASTM−D2240又はDIN53505規格の指示に従って測定し、また、機械的引張特性((破壊強度(MPaで表されるR/r)、破断点伸び(%で表されるA/rと表記)及び100%伸び時弾性率(MPaで表されるM100%と表記))をASTM−D412又はAFNOR−T−46002規格の指示に従って測定する。これらの測定を、架橋の14日後に厚さ2mmの試験片を使用して実行する。
【0085】
(b)エンジンオイルに対する抵抗性の特性
厚さ2mmのフィルム状シールを23℃及び50%湿度で状態調整された部屋内で14日間にわたり予備架橋させる。それぞれの場合において、シールから切り出されかつショアA硬度が予め測定された(3つの正方形を重ね合わせることによって)3つの正方形試験片を、5W30ディーゼルオイル(Total社が頒布)が充填された150mLガラスフラスコに入れる。3日間にわたって150℃で加熱し、そして室温に冷却した後に、これらの試験片を吸収性ティッシュで拭い、そしてショアA硬度を、ズウィックデュロメータを用いて測定する。%で表す残留硬度(SAH resと表記)は、オイル浸漬前後のSAHの比に等しい。この比が高ければ高いほどオイルに対する抵抗性は良好である。
【0086】
(c)接着特性
厚さ1mmの直方体形状シリコーンエラストマーシールを、2個の突起物間で適用する。このようにして得られた試験片を、23℃±2℃及び50%±5%相対湿度での架橋の14日後に引張せん断応力に供す。
結合性を破壊強度(MPa)及び破断のタイプ(%CRと表記する凝集破壊の割合)によって特徴付ける。高い凝集破壊が求められる(目標100%)。
AG3等級のアルミニウム試験片を、酸化物層を除去するように予めに削り、その後溶媒で洗浄し、乾燥させる。
オイルで汚染された表面に対する接着試験のために、試験片をヘプタン及びエルフディーゼル5W30オイルの混合物(95/5)に浸漬し、次に排出させてから、シリコーンエラストマーシール上に配置する。
【0087】
(III)結果
表1:比較例
【表1-1】
【表1-2】
【0088】
表2:本発明に係る例
【表2】
【0089】
比較例C1〜C3は、
炭酸カルシウムを含有し、
ポリアルコキシルシランの部分加水分解及び縮合により得られた縮合物であるシロキサンを有しない及びこれを有する配合物のモータオイルで汚染された表面への接着特性が、使用したアセチレンブラックの等級(Y70又はY200)にかかわらず、閉鎖カートリッジ内において室温で4ヶ月貯蔵後に有意に劣化することを示す。
【0090】
一方、本発明に係る例E1〜E6、すなわち、
アセチレンブラックと、表面処理された水酸化アルミニウムと、アミノシランとを組み合わせたものは、6ヶ月貯蔵後に、汚染された表面への良好な接着特性を保持することを可能にする。
【0091】
炭酸カルシウムを水酸化アルミニウム(OL107A)で置き換えると、モータオイルでの処理前後のエラストマーの機械的特性を改善させるのみならず、オイルで汚染された表面に対する接着特性も有意に改善させることが可能になり、これは、9ヶ月貯蔵後でも安定である(E5)。
【0092】
本発明に係る実施例E1〜E6のモータオイルで汚染された表面への接着特性は、ポリアルコキシルシランの部分加水分解及び縮合により得られた縮合物であるシロキサンを含有する配合物(比較例C4)とは異なり、高くかつ数ヶ月の貯蔵後でも安定である。
【0093】
アミン官能基を持たない接着促進剤を使用すると、水酸化アルミニウムの代わりに炭酸カルシウム使用したとしても、汚染表面に対する良好な接着特性を達成することができない(比較例C5及びC6)。