(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6050918
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】光走査装置およびそれを備えた画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G02B 26/10 20060101AFI20161212BHJP
G02B 26/12 20060101ALI20161212BHJP
B41J 2/47 20060101ALI20161212BHJP
H04N 1/113 20060101ALI20161212BHJP
【FI】
G02B26/10 F
G02B26/12 101
B41J2/47 101D
H04N1/04 104A
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-529168(P2016-529168)
(86)(22)【出願日】2015年5月11日
(86)【国際出願番号】JP2015063444
(87)【国際公開番号】WO2015194284
(87)【国際公開日】20151223
【審査請求日】2016年7月20日
(31)【優先権主張番号】特願2014-127094(P2014-127094)
(32)【優先日】2014年6月20日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100184631
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 隆
(72)【発明者】
【氏名】高橋 広基
【審査官】
堀部 修平
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−180778(JP,A)
【文献】
特開2010−2881(JP,A)
【文献】
特開平10−78553(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 26/10 − 26/12
B41J 2/47
H04N 1/113
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からのビーム光を主走査方向に偏向走査する回転多面鏡と、
前記回転多面鏡により偏向されたビーム光を被走査面上に結像させるレンズと、
前記回転多面鏡と前記被走査面との間の光路上に設けられ、前記ビーム光を反射して前記被走査面へ導く1つ以上の平面ミラーと、
前記平面ミラーの背面を押圧する押圧部材と、
を備えた光走査装置であって、
前記平面ミラーは、
前記ビーム光が入射される光入射面および前記光入射面とは反対側に配置される反対面を有するとともに前記ビーム光を透過するガラス板と、前記ガラス板の前記反対面上に配置される反射層と、を有する第1平面ミラーと、
前記押圧部材により前記背面を押圧される第2平面ミラーと、
を含み、
前記ビーム光が前記第1平面ミラーの前記ガラス板を透過して前記反対面側で反射されることによって、前記被走査面上で走査線が副走査方向一方側に凸状に湾曲され、
前記押圧部材により前記第2平面ミラーの背面を押圧して前記第2平面ミラーを湾曲させることによって、前記第1平面ミラーによって湾曲された前記被走査面上の走査線を平坦状に調整可能であることを特徴とする光走査装置。
【請求項2】
前記押圧部材は、前記第2平面ミラーの背面の前記主走査方向の中央部を押圧することを特徴とする請求項1に記載の光走査装置。
【請求項3】
前記第2平面ミラーは、前記第1平面ミラーと同一であることを特徴とする請求項1に記載の光走査装置。
【請求項4】
前記回転多面鏡と前記被走査面との間の前記光路上には、前記平面ミラーが複数設けられており、
前記第2平面ミラーは、前記第1平面ミラーとは異なることを特徴とする請求項1に記載の光走査装置。
【請求項5】
前記押圧部材は、前記第2平面ミラーの背面を押圧するビスと、前記ビスが螺着されるネジ穴が形成されたビス保持部材と、を有することを特徴とする請求項1に記載の光走査装置。
【請求項6】
請求項1に記載の光走査装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光走査により被走査面上に潜像を形成する光走査装置およびそれを備えた複写機、プリンター、ファクシミリ、それらの複合機等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンターなどに用いられる光走査装置は、一般的に、光源と、光源からのビーム光を主走査方向に偏向走査するポリゴンミラー(回転多面鏡)と、ポリゴンミラーにより偏向されたビーム光を被走査面上に結像させるfθレンズと、ポリゴンミラーと被走査面との間の光路上に設けられる1つ以上の平面ミラーと、を備える。
【0003】
ここで、fθレンズや平面ミラーに製造誤差や取付誤差等が生じると、ビーム光が副走査線方向に湾曲する現象(以下、走査線湾曲という)が生じる場合がある。
【0004】
そこで、例えば特許文献1には、走査線湾曲を抑制するために、反射ミラー(平面ミラー)を湾曲させる光書込装置(光走査装置)が開示されている。この光書込装置では、光ビームの入射方向に対して凹凸状に湾曲する向きに反射ミラーの湾曲量を調整する走査線湾曲調整手段を設けている。これにより、走査線が副走査方向一方側に凸状に湾曲する場合であっても、副走査方向他方側に凸状に湾曲する場合であっても、反射ミラーを光ビームの入射方向に対して凹状または凸状に湾曲させることによって、走査線の湾曲量を低減させることが可能である。
【0005】
なお、カラー画像形成装置では、各色に対応する感光体の被走査面上で走査線湾曲が生じると、形成されるカラー画像には走査線のズレに起因する色ズレが生じるので、走査線湾曲は特にカラー画像形成装置において問題となりやすい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−17881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1の光書込装置では、反射ミラーを光ビームの入射方向に対して凹状にも凸状にも湾曲できるように走査線湾曲調整手段を構成する必要があるので、走査線湾曲調整手段の構造が複雑になり、部品点数が増加してコストが高くなるという問題点があった。
【0008】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、簡単な構成で、走査線湾曲を抑制することが可能な光走査装置およびそれを備えた画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の光走査装置は、光源からのビーム光を主走査方向に偏向走査する回転多面鏡と、回転多面鏡により偏向されたビーム光を被走査面上に結像させるレンズと、回転多面鏡と被走査面との間の光路上に設けられ、ビーム光を反射して被走査面へ導く1つ以上の平面ミラーと、平面ミラーの背面を押圧する押圧部材と、を備えている。平面ミラーは、第1平面ミラーと第2平面ミラーとを含んでいる。第1平面ミラーは、ビーム光が入射される光入射面および光入射面とは反対側に配置される反対面を有するとともにビーム光を透過するガラス板と、ガラス板の反対面上に配置される反射層と、を有する。第二平面ミラーは、押圧部材により背面を押圧される。そして、ビーム光が第1平面ミラーのガラス板を透過して反対面側で反射されることによって、被走査面上で走査線が副走査方向一方側に凸状に湾曲され、押圧部材により第2平面ミラーの背面を押圧して第2平面ミラーを湾曲させることによって、第1平面ミラーによって湾曲された被走査面上の走査線を平坦状に調整可能である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ビーム光が第1平面ミラーのガラス板を透過して反対面側で反射されることによって、被走査面上で走査線が副走査方向一方側に凸状に湾曲され、押圧部材により第2平面ミラーの背面を押圧して第2平面ミラーを湾曲させることによって、第1平面ミラーによって湾曲された被走査面上の走査線を平坦状に調整可能である。すなわち、走査線が副走査方向一方側に凸状に湾曲するように第1平面ミラーを形成し、押圧部材により第2平面ミラーを湾曲させることによって、走査線を平坦状にする。このため、第2平面ミラーを厚み方向一方側にのみ湾曲させることができればよいので、第2平面ミラーの背面を押圧するだけの簡単な構成の押圧部材を用いて、走査線湾曲を抑制することができる。
【0011】
また、ビーム光は第1平面ミラーのガラス板を透過して反対面側で反射される。この場合、ガラス板の位置(中央部や端部等)によって、ビーム光の入射角が異なることによりガラス板を透過するビーム光の光路長が異なるので、走査線湾曲を容易に生じさせることができる。
【0012】
また、ガラス板の厚みを変更することによって、副走査方向一方側に予め付与する走査線湾曲量を容易に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態の光走査装置を備えた画像形成装置の構造を概略的に示した断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態の光走査装置の構造および各感光体ドラムを示した断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態の光走査装置の最終平面ミラーで反射されるビーム光を説明するための図である。
【
図4】本発明の一実施形態の光走査装置の最終平面ミラーによって走査線が副走査方向一方側に凸状に湾曲された状態を示した図である。
【
図5】本発明の一実施形態の光走査装置の最終平面ミラー周辺の構造を示した斜視図である。
【
図6】本発明の一実施形態の光走査装置の最終平面ミラーの背面を押圧部材により押圧した際に最終平面ミラーで反射されるビーム光を説明するための図である。
【
図7】本発明の一実施形態の光走査装置の最終平面ミラーの背面を押圧部材により押圧することによって、凸状に湾曲された走査線を平坦状に調整した状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0015】
図1〜
図7を参照して、本発明の一実施形態による光走査装置20を備えた画像形成装置1について説明する。本実施形態の画像形成装置1はタンデム型のカラープリンターであり、画像形成装置1の下部には、積載された用紙束を収容する給紙カセット等の給紙部2が設けられている。この給紙部2の一端部には、積載された用紙Pを最上位紙から1枚ずつ給紙するための分離給送部3が設けられている。そして分離給送部3の上部には、上方へ延びて本体上面に形成された排出トレイ4に至る用紙搬送路5が形成されている。この用紙搬送路5に沿って、用紙搬送方向上流から順に、分離給送部3、搬送ローラー対6、レジストローラー対7、転写ローラー8、定着ローラー対9及び排紙ローラー対10が配置されている。
【0016】
転写ローラー8の右側には、中間転写ベルト11が回転自在に配設されている。中間転写ベルト11は、駆動ローラー12と従動ローラー13とに掛け渡されており、駆動ローラー12が回転駆動することにより、時計回りに回転されるようになっている。また、駆動ローラー12は中間転写ベルト11を介して上記転写ローラー8と当接している。なお、中間転写ベルト11には誘電体樹脂製のシートが用いられ、継ぎ目を有しない(シームレス)ベルトが主に用いられる。
【0017】
中間転写ベルト11の下方には、回転方向に沿って、
図1においては右側から順に、4つの画像形成部14K,14C,14M及び14Yが配設されている。これらの画像形成部14K〜14Yは、異なる4色(ブラック、シアン、マゼンタ及びイエロー)の画像に対応して設けられており、それぞれ帯電、露光、現像及び転写の各工程によりブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの画像を順次形成する。
【0018】
これら画像形成部14K〜14Yには、各色の可視像(トナー像)を担持する感光体ドラム(像担持体)15K,15C,15M及び15Yが配設されており、回転自在に配設された各感光体ドラム15K〜15Yの周囲には、感光体ドラム15K〜15Yを帯電させる帯電器16と、感光体ドラム15K〜15Y上にトナー像を形成する現像ユニット17と、感光体ドラム15K〜15Y上に残留した現像剤を除去するクリーニング部18と、中間転写ベルト11を介して感光体ドラム15K〜15Yと当接する中間転写ローラー19がそれぞれ配置されており、更に感光体ドラム15K〜15Yの下方には各感光体ドラム15K〜15Yに画像情報を露光する光走査装置20が配置されている。
【0019】
ここで、
図2を参照して、光走査装置20についてさらに説明する。光走査装置20は、画像信号に基づいて変調したビーム光21を射出する光源(図示せず)、回転多面鏡であるポリゴンミラー22、第1fθレンズ23及び第2fθレンズ24を備えている。また、ポリゴンミラー22と各感光体ドラム15K〜15Yの被走査面との間の各光路には、第1fθレンズ23を透過したビーム光を反射する平面ミラー25と、必要に応じて設けられる平面ミラー26と、ビーム光を各感光体ドラム15K〜15Yに向かって反射する最終平面ミラー(第1平面ミラー、第2平面ミラー)27と、が配置されている。
【0020】
光走査装置20には光源(図示せず)が4つ備えられており、それぞれブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの画像信号に基づいて変調したビーム光21K,21C,21M及び21Yを射出するものである。ポリゴンミラー22は、ポリゴンモーター(図示せず)によって回転軸22aを中心に回転されることによって、反射面に入射されたビーム光21K〜21Yを主走査方向に等角速度偏向させることができる。
【0021】
第1fθレンズ23及び第2fθレンズ24は、各感光体ドラム15K〜15Yの被走査面を走査するビーム光21K〜21Yが、主走査方向に等速度で走査するように、ポリゴンミラー22によって等角速度偏向されたビーム光21を等速度偏向させ、感光体ドラム15K〜15Yの表面(被走査面)上に結像させるものである。
【0022】
平面ミラー25、26および最終平面ミラー27は、各ビーム光21K〜21Yの光路に設置される反射部材であって、その長手方向両端を保持台29および固定バネ30(
図5参照)によって固定され、光走査装置20内の所定の位置に配置されている。なお、各光路に配置される平面ミラー(25〜27)の枚数及び反射面の設置角度は適宜変更することができる。
【0023】
上記のように構成された画像形成装置1による画像形成動作について説明する。ユーザにより画像形成開始が入力されると、先ず、各感光体ドラム15K〜15Yが回転駆動されることにより、帯電器16によって感光体ドラム15K〜15Yの表面が一様に帯電され、入力された画像信号に基づいて光走査装置20によってビーム光が照射され、各感光体ドラム15K〜15Y上に画像信号に応じた静電潜像が形成される。
【0024】
ここで、光走査装置20によるビーム光走査動作について説明する。光走査装置20に備えられた図示しない4つの光源からビーム光21K〜21Yがポリゴンミラー22の反射面へと入射される。この時、ポリゴンミラー22によって偏向された4つのビーム光21K〜21Yの光路分離を容易にするために、これらのビーム光21K〜21Yはポリゴンミラー22に対して主走査方向または副走査方向に異なる角度で入射するように構成されている。
【0025】
ポリゴンミラー22に入射されたビーム光21K〜21Yは、ポリゴンミラー22によって等角速度偏向された後、それぞれの光路に配置された平面ミラー25、26によって所定回数折り返されながら、第1fθレンズ23および第2fθレンズ24によって等速度偏向される。そして、光路の最後に設けられた最終平面ミラー27によって折り返され、各感光体ドラム15K〜15Yの表面へと配光されることとなる。
【0026】
次いで、感光体ドラム15K〜15Yに現像ユニット17に図示しない補給装置から充填されたブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの各色の現像剤が供給され、静電潜像に応じたトナー像が形成され、中間転写ベルト11に所定の転写電圧で電界が付与された後、中間転写ローラー19によって感光体ドラム15K〜15Y上のブラック、シアン、マゼンタ及びイエローのトナー像が中間転写ベルト11上に転写される。これらの4色の画像は、所定のフルカラー画像形成のために予め定められた所定の位置関係をもって形成される。そして、引き続き行われる新たな静電潜像の形成に備え、感光体ドラム15K〜15Yの表面に残留した現像剤はクリーニング部18により除去される。
【0027】
また、駆動モーター(図示せず)による駆動ローラー12の回転に伴い中間転写ベルト11が時計回りに回転を開始すると、用紙Pがレジストローラー対7から所定のタイミングで中間転写ベルト11に隣接して設けられた転写ローラー8へ搬送され、フルカラー画像が用紙Pへ転写される。そして、トナー像が転写された用紙Pは定着ローラー対9へと搬送され、定着ローラー対9により加熱及び加圧されてトナー像が用紙Pの表面に定着され、所定のフルカラー画像が形成される。フルカラー画像が形成された用紙Pは、排出ローラー対10によって排出トレイ4に排出される。
【0028】
次に、最終平面ミラー27について詳細に説明する。
【0029】
本実施形態では、最終平面ミラー27は
図3に示すように、ビーム光を透過するガラス板27aと、反射層27bと、によって構成されている。ガラス板27aは、ビーム光21が入射される光入射面27cと、光入射面27cとは反対側に配置される反対面27dと、を有する。これにより、ビーム光21は、光入射面27cから入射し、ガラス板27aを透過して反対面27d側で反射され、ガラス板27aを再度透過して光入射面27cから出射する。このとき、最終平面ミラー27の長手方向(主走査方向、矢印A方向)の中央部と両端部とでは、ビーム光21の入射角が異なるので、ガラス板27aを透過するビーム光21の光路長が異なる。このため、最終平面ミラー27で反射されたビーム光21が副走査線方向に湾曲し、感光体ドラム15の被走査面上で
図4に示すように走査線Sが副走査方向(矢印B方向)一方側(ここでは上側)に凸状に湾曲する。
【0030】
この走査線湾曲量は、fθレンズ(23、24)や平面ミラー(25〜27)の製造誤差や取付誤差等に起因して生じる走査線湾曲量よりも大きくなるように設定されている。このため、最終平面ミラー27によって予め付与される走査線湾曲は、被走査面上で必ず副走査方向一方側(ここでは上側)に凸状に生じる。
【0031】
また、
図5に示すように、最終平面ミラー27の背面側には、最終平面ミラー27の背面を押圧する押圧部材31が設けられている。押圧部材31は、最終平面ミラー27の背面の長手方向(主走査方向、矢印A方向)の中央部を押圧するように配置されている。
【0032】
押圧部材31は、最終平面ミラー27の背面を押圧するビス31aと、ビス31aが螺着されるネジ穴が形成されたビス保持部材31bと、を有する。ビス保持部材31bは、光走査装置20の筐体に固定されている。
【0033】
ビス31aをビス保持部材31bのネジ穴にねじ込んでいくと、ビス31aの先端が最終平面ミラー27の背面を押圧し、最終平面ミラー27は光入射面27cが凸状になるように湾曲する。このとき、
図6に示すように、最終平面ミラー27の中央部は破線L1で示すように撓み、最終平面ミラー27の中央部で反射されるビーム光21は破線L2で示すように進行する。これにより、
図7に示すように、予め副走査方向(矢印B方向)一方側(ここでは上側)に凸状に湾曲される走査線S(実線)が、破線で示すように平坦状に調整される。
【0034】
なお、ビス31aの回転量を調整することにより、最終平面ミラー27の湾曲の度合いを変更することができ、走査線Sを容易に平坦化することができる。
【0035】
本実施形態では、上記のように、ビーム光21が最終平面ミラー27のガラス板27aを透過して反対面27d側で反射されることによって、押圧部材31により最終平面ミラー27が湾曲されていない状態では被走査面上で走査線Sが副走査方向一方側に凸状に湾曲され、押圧部材31により最終平面ミラー27の背面を押圧して最終平面ミラー27を湾曲させることによって、被走査面上の走査線Sを平坦状に調整可能である。すなわち、走査線Sが副走査方向一方側に凸状に湾曲するように最終平面ミラー27を形成し、押圧部材31により最終平面ミラー27を湾曲させることによって、走査線Sを平坦状にする。このため、最終平面ミラー27を厚み方向一方側にのみ湾曲させることができればよいので、最終平面ミラー27の背面を押圧するだけの簡単な構成の押圧部材31を用いて、走査線湾曲を抑制することができる。
【0036】
また、ビーム光21はガラス板27aを透過して反対面27d側で反射される。この場合、ガラス板27aの位置(中央部や端部等)によって、ビーム光21の入射角が異なることによりガラス板27aを透過するビーム光21の光路長が異なるので、走査線湾曲を容易に生じさせることができる。
【0037】
また、ガラス板27aの厚みを変更することによって、副走査方向一方側に予め付与する走査線湾曲量を容易に調整することができる。
【0038】
また、上記のように、押圧部材31は、最終平面ミラー27の背面の主走査方向の中央部を押圧する。これにより、最終平面ミラー27を主走査方向に対称に湾曲させることができるので、走査線Sを容易に平坦状に調整することができる。
【0039】
また、上記のように、押圧部材31により押圧される平面ミラー(最終平面ミラー27、第2平面ミラー)は、ビーム光21をガラス板27aの反対面27d側で反射して走査線Sを副走査方向一方側に凸状に湾曲させる平面ミラー(最終平面ミラー27、第1平面ミラー)と同一である。これにより、各光路において1つの最終平面ミラー27によって走査線湾曲を抑制することができるので、光走査装置20を簡単な構成にすることができる。
【0040】
また、上記のように、押圧部材31は、ビス31aと、ビス31aが螺着されるネジ穴が形成されたビス保持部材31bと、によって構成されている。これにより、簡単な構成の押圧部材31を容易に実現することができる。
【0041】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0042】
例えば、
図1に示したようなカラープリンターに本発明を適用した例について示したが、本発明はこれに限らない。言うまでもなく、モノクロプリンター、カラー複写機、モノクロ複写機、デジタル複合機、ファクシミリ等の、露光走査により被走査面上に潜像を形成する光走査装置を備えた種々の画像形成装置に本発明を適用できる。
【0043】
また、上記実施形態では、各光路上に平面ミラーを2個または3個配置した例について示したが、各光路上に平面ミラーを1個または4個以上配置してもよい。
【0044】
また、上記実施形態では、ビーム光21をガラス板27aの反対面27d側で反射して走査線Sを副走査方向一方側に凸状に湾曲させる平面ミラー(第1平面ミラー)と、押圧部材31により押圧されて走査線Sを平坦状にする平面ミラー(第2平面ミラー)と、を最終平面ミラー27によって構成した例について示したが、平面ミラー25または26によって構成してもよい。
【0045】
また、上記実施形態では、走査線Sを副走査方向一方側に凸状に湾曲させる平面ミラーと、走査線Sを平坦状にする平面ミラーと、を同一の平面ミラーにより構成した例について示したが、本発明はこれに限らない。走査線Sを副走査方向一方側に凸状に湾曲させる平面ミラー(第1平面ミラー)と、走査線Sを平坦状にする平面ミラー(第2平面ミラー)と、を異なる平面ミラーによって構成してもよい。例えば、平面ミラー25または26によって走査線Sを副走査方向一方側に凸状に湾曲させ、最終平面ミラー27によって走査線Sを平坦状にしてもよい。また、走査線Sを平坦状にする平面ミラー(第2平面ミラー)を、走査線Sを副走査方向一方側に凸状に湾曲させる平面ミラー(第1平面ミラー)よりも光路上流側に配置してもよい。