【実施例1】
【0017】
以下、本発明の第1の実施形態について図面を参照しながらその構成を詳細に説明する。
図1は本発明が適用される電気掃除機の外観斜視図を示しており、
図1において、参照番号1は掃除機本体であり、この掃除機本体1にサイクロン方式の集塵装置10が搭載されており、掃除機本体1は吸引ホース2を介して手元ハンドル3と接続され、手元ハンドル3は延長管6を介して吸口体7と連結されている。掃除機本体1には掃除機本体1を自在に移動できる車輪11が備えられている。
【0018】
また、手元ハンドル3には掃除機本体1に内蔵されている電動送風機や、吸口体7に設けられている電動回転ブラシの駆動制御を行なう手元操作部4に設けられた電源ボタン5が備えられている。
【0019】
図2に掃除機本体1を略中央で断面した断面図を示しており、掃除機本体1はプラスチック等のような材料で形成された筺体11にホース取り付け口12を形成し、その内部に吸引力を発生するケース16に収納された電動送風機14を配置すると共に、排気を清浄化するプリーツ状の捕塵フィルタ13を配置してある。電動送風機14と捕塵フィルタ13とは空気通路15で流体的に接続されている。
【0020】
掃除機本体1の前側上部には集塵装置10が前下がりの傾斜した状態で載置されており、集塵装置10は一方がホース取り付け口12に流体的に接続され、他方が電動送風機14に流体的に接続されている。
【0021】
ここで、集塵装置10は概ねサイクロン分離部21と集塵室22より構成され、サイクロン分離部21がホース取り付け口12に流体的に接続され、集塵室22が電動送風機14に流体的に接続されるように構成されている。尚、サイクロン分離部21と集塵室22は本実施の形態では分離できるように構成された実施例として説明してあるが、相互に一体化して構成されていても良いものである。これについては後述する。
【0022】
以下の説明ではサイクロン分離部21と集塵室22が分離された実施例について説明するが、一体的に構成されたものであってもサイクロン分離部21と集塵室22の夫々が一体化されるだけなので実質的に同様の構成となる。
【0023】
そして、吸口体7から吸引された塵挨を含む空気は
図2に示す矢印のようにホース取り付け口12を介して集塵装置10を流れ、電動送風機202、捕塵フィルタ13を経由してプラスチック等で作られた筺体11の外部に排出されるようになっている。尚、図示してはいないが電気掃除機本体1の外郭を形成する筺体11の内側には電力を供給するためのコードリールを設けてある。
【0024】
そして、手元操作部4に設けられた電源ボタン5が使用者によってONされると、電動送風機14が作動して吸引力を発生し、吸口体7から吸込まれた空気及び空気と共に吸込まれた塵埃は、延長管6、吸引ホース2、掃除機本体1の順に導かれる。
【0025】
ホース取り付け口12から掃除機本体1内に流入した空気および空気と共に吸込まれた塵埃は、集塵装置10を構成するサイクロン分離部21及び集塵室22で塵埃と空気に分離され、塵埃を分離された空気は捕塵フィルタ13、空気通路15を経て電動送風機14から掃除機本体1より外へ排気される。
【0026】
図3に集塵装置10を掃除機本体1から取り外した状態での外観を示し、
図4に塵挨排出用の開閉蓋24を開放した状態での外観を示し、
図5に捕塵フィルタの保持蓋を開放した時の外観を示している。
【0027】
図3乃至
図5において、集塵装置10の上面部(掃除機本体に載置した場合で上側になる面)10Aには掃除機本体1から集塵装置10を取り外す場合や、集塵装置10を持ち運ぶ場合に使用するハンドル部25、開閉蓋24を閉じ状態に係止する係止クランプを解除するクランプ解除ボタン26が設けられている。
【0028】
また、集塵装置10の下面部(掃除機本体に載置した場合で下側になる面)10Bには塵埃を含む空気の流入口23が設けられている。この流入口23はホース取り付け口12に接続されている。
【0029】
そして、集塵装置10の上面部10Aと下面部10Bの間に存在するサイクロン分離部21と集塵室22の円筒形状の側面部20の一部には塵挨を排出する開口部20Aが設けられており、この開口部20Aは開閉蓋24によって密閉、開放される構成となっている。
【0030】
本実施例では集塵室22の側面部20に開口部20が形成されている。また集塵室22が取り外し可能であるので、開閉蓋24も集塵室22に向けられている。開閉蓋24の一部(或いは全部)には透明なプラスチック材料で作られた覗き窓が設けられており、塵挨の堆積量が把握できるようになっている。
【0031】
また、この側面部20は上面部10Aと下面部10Bの面に対して直交するように形成されており、開閉蓋24は下面部10B側の端面24Aがヒンジ機構41,42によって回転自在に支持されており、このヒンジ機構41,42を支点にして開閉蓋24が開閉されるものである。
【0032】
ヒンジ機構41、42は開閉蓋24の下端面24Aと集塵室22とを連結している。このように、開閉蓋24を下面部10B側の下端面24Aで回転自在に支持することによって、集塵装置10から塵挨を排出する場合に集塵装置10を傾ければ開閉蓋24が重力方向に垂下するので塵挨を容易に排出することができるものとなる。
【0033】
また、開閉蓋24の形状は集塵装置10の円筒形状に沿った円弧状に形成されているが、集塵室22を直方体状に形成して平板状の開閉蓋とすることもできるもので、本発明の基本的な概念はこの構成を含むものである。
【0034】
ただ、本実施例においては、開閉蓋24の形状を円弧状に構成することによって電動送風機14によって発生した開閉蓋24の内側の負圧と開閉蓋24の外側の大気圧との間に生じる力に対して強くなっている。本構成の開閉蓋24によれば円弧形状になっているので剛性を高めることがきるので開閉蓋24の厚みを必要以上に厚くすることを回避できる。
【0035】
また、側面部20に形成した周方向の開口部20Aの面積であるが、これは塵埃の集塵容量によって決められるものであり、集塵室22の長さを一定とした場合では、集塵容量を大きくすると開口部20Aの周方向の幅が小さくなって塵挨の排出が円滑にいかない場合があることから最適な開口部の面積が決められるものである。
【0036】
尚、本実施例において開口部20Aは開口面積を大きくとるため集塵室の最大径部分(=直径)まで形成されている。ここで、開口部308の周方向の幅を大きくすると塵挨の集塵容量に制限がでてくるが、集塵室を構成する塵挨収納室を後述のフィルタ収容部側に拡大して集塵容量を大きくすることが可能である。
【0037】
更に開口部20A及び開閉蓋24と反対側の側面には直方体形状のフィルタ収納部20Bが形成されており、このフィルタ収納部20Bには電動送風機14に繋がる空気流出開口部が設けられている。
【0038】
集塵室22は部分的に略円筒形状部を備えた側面部20を有しており、この側面部は円筒面20Cと矩形状のフィルタ収納部20Bを有している。この円筒面20Cの一部には塵挨排出用の開口部20Aが形成され、この開口部20Aと対向するフィルタ収納部20Bの対向面に吸入空気流出用の開口部29Dを備えている。開口部20Aには開閉蓋24が開閉可能に設けられ、開口部20Dには捕塵フィルタ13を保持したフィルタ保持蓋13Aが開閉可能に設けられている。
【0039】
開閉蓋24は下端部24Aに軸42を備え、軸42は円筒面20Cの下端部に設けたヒンジ41によって支持される。
図4は開閉蓋24を開いた状態を示しており、開閉蓋24は軸42を支点として図面上で集塵室22の前方向に回動する。開閉蓋24の上端部にはクランプ爪27が突出しており、構造及び機構の詳細は省略するが、クランプ解除ボタン26とクランプ爪27は連動しており、クランプ解除ボタン26を押すことで図示しないクランプがクランプ爪27を解除して開閉蓋24が開く構成となっている。
【0040】
フィルタ保持蓋13Aは一端が軸42を備え、軸42はフィルタ収納部20Bの端部に設けたヒンジ446によって支持される。
図5はフィルタ保持蓋13Aを開いた状態を示しており、フィルタ保持蓋13Aは軸42を支点として図面上でフィルタ収納部20Bの前方向に回動する。
【0041】
集塵室22の内部に形成した捕塵容器収納部35には捕塵容器30が収納されている。捕塵容器収納部35は集塵室22を形成する側面部20内であって、円筒面20Cの部分と矩形状のフィルタ収納部20Bの一部を利用して形成されている。また、捕塵容器収納部35は塵挨排出用の開口部20Aを介して集塵室22の外部と接続されており、捕塵容器30に堆積した塵挨をこの開口部20Aを通して排出することができる。つまり、本実施例においては、捕塵容器収納部35の開口と塵挨排出用の開口部20Aとは共用されている。
【0042】
捕塵容器収納部35に収納された捕塵容器30は塵挨排出用の開口部20Aに臨むように容器開口部31を備えている。この捕塵容器30の容器開口部31は“ばね”等の弾性体によって捕塵容器収納部35の外側へ飛び出すように付勢されている。
【0043】
また、捕塵容器30は二分割されて第1容器片30Aと第2容器片30Bとに分けられている。容器開口部31とは反対側には各容器片30A、30Bの底面部が存在し、この各底面部に設けた軸(図示せず)によって各容器片30A、30Bが開閉される。
【0044】
そして、使用者がクランプ解除ボタン26を押下すると、捕塵容器30が開閉蓋24を押すと開閉蓋24の内周側に設けたクランプ爪27が解除され、捕塵容器30の押す力によって集塵室の側面部20、言い換えれば捕塵容器収納部35に形成した塵挨排出用の開口部20Aから開閉蓋24が開かれる。このときの捕塵容器30の飛び出す勢いにより捕集した塵埃を排出することができる。
【0045】
捕塵容器30の形状は本実施例の形状に限定されるものではなく、少なくとも一つの容器開口部31を有した立体的な形状であれば良い。つまり、捕塵容器30は開口面31と反対側に凹んだ形状を有する容器状であれば良い。
【0046】
また、捕塵容器30の容器開口部31の開口面に直交する断面形状は、略四角形状であっても良いし、略円形状であっても良いし、略三角形状であっても良い。つまり、捕塵容器30の断面形状は、開口面31から底面へ向かって、小さくなるのが好ましい。これによって、塵埃が排出される側に向かって断面積が拡がるため、使用者は捕塵容器30内に堆積した塵埃を容易に排出することができる。
【0047】
捕塵容器30の全体形状は、塵挨を含んだ空気が捕塵容器30を通り抜ける必要から枠体(支骨)によって形成されている。捕塵容器30の容器開口部31の対向面である底面部及び左右側面部は枠体(支骨)の間が金属やナイロンやポリエステルなどで構成されたメッシュ部材32架け渡されており、これらは被覆またはインサート成形などにより枠体(支骨)に保持されている。各枠体(支骨)に架け渡したメッシュ部材32は、通気性があり、塵埃を捕集するフィルタ機能を有する。
【0048】
捕塵容器30の開口面31の対向する底面部だけでなく、左右側面部にも通気性を持たせることによって、捕塵容器30の底面に塵埃が堆積しても流路を確保することができ、捕塵容器30を通過する空気流の圧力損失を低減し、吸込風量の低下を抑制することができる。
【0049】
また、各枠体(支骨)に架け渡したメッシュ部材32の代わりに使い捨てのティッシュペーパでも良いし、メッシュ部材32とティッシュペーパとを組み合わせても良い。例えば、メッシュ部材32の上にティッシュペーパを装着しても良いものである。
【0050】
上述したように、捕塵容器30は集塵装置10を掃除機本体1に載置した状態で上下に2分割されている。つまり上半分の第1容器片30Aと下半分の第2容器片30Bよりなり、夫々は枠体(支骨)から構成されている。
【0051】
2分割された捕塵容器30は、捕塵容器30の底面部の外側に形成された分割軸(図示せず)によって連結される。よって、捕塵容器30は容器開口部31の対向面である底面部の分割軸を支点として、捕塵容器30の容器開口部31が割れるようになっている。尚、捕塵容器30は実施例で示す方向に割れるものの他に、横方向に割れるように構成しても基本的には本発明の概念に含まれるものである。
【0052】
ただ、本実施例においては捕塵容器30の一部が捕塵容器収納部35の開口部20Aから飛び出した際に第1容器片30Aと第2容器片30Bが上下に割れる構成となっている。これによって、第2容器片30Bがより重力方向に向けて傾斜するので使用者は捕塵容器30内に堆積した塵埃をさらに容易に排出することができ、捕塵容器30の内面に付着した塵埃も容易に剥がし落とすことができる。
【0053】
開閉蓋24は上述したように集塵室22の側面部20に設けた開口部20Aを開閉するものであるが、更に捕塵容器収納部35を構成するためにも寄与している。このため、逆流防止弁50と円弧状の壁面を有する通路路部60を備えている。開閉蓋24の詳細については
図6を用いて後で説明する。
【0054】
図5は矩形状のフィルタ収納部20Bの開口部20Dに設けたフィルタ保持蓋13Aを開いた状態を示している。
図6に示す塵埃分離部21の遠心分離作用によって分離できず、塵挨分離内筒80の貫通孔81を通過した軽い塵埃や捕塵容器30のメッシュ部材32、或いはティッシュペーパを通過した細かい塵埃は捕塵フィルタ13によって捕集される。捕塵フィルタ13を通過した空気は、電動送風機14内に吸引される。
【0055】
このフィルタ保持蓋13Aは下端部に軸46を備え、軸46は集塵室のフィルタ収納部20Bの下端部に設けたヒンジ42よって開閉可能に支持されている。このフィルタ保持蓋13Aには通気面積を拡大するために断面形状が略四角形の枠体内にプリーツ状(山折り)に折られた捕塵フィルタ13が収納されている。
【0056】
捕塵フィルタ13の山折りの折り線方向は、縦方向(重力作用方向)であるのが好ましい。これは、捕塵フィルタ13の下流側に、捕塵フィルタ13に衝撃を与える除塵機構を備えた場合、折り方向が縦方向の方が捕塵フィルタ13に付着した細塵を下方に落下させて除去し易いからである。なお、山折りの折り線方向が斜めに配置されていても構わない。
【0057】
本実施例に係る掃除機は小型、軽量化をめざしており、この実施例においては本体重量の増加に繋がる排気清浄機能を省略しているが、排気を更に清浄化するために電動送風機14の下流に高密度フィルタを備えても良い。このとき、吸気した空気漏れを抑制して高密度フィルタから排気させるように、塵埃収容部35と電動送風機14を繋ぐダクト15、電動送風機14を覆うケース16、ケース16と高密度フィルタの接続部等の気密を十分に保持する構成をとることが重要である。
【0058】
次に
図4乃至
図5に示した集塵室22及びサイクロン分離部21を組み合わせた集塵装置10の更なる詳細構成を
図6に基づいて説明する。
【0059】
図6はサイクロン方式の集塵装置10の略中央を断面した構成を示している。
図6において、参照番号21は塵挨を含んだ空気を旋回させることにより生じる遠心力で塵埃と空気を分離する塵埃分離部であり、この上側に分離した塵埃を溜める集塵室22が載置されている。上述した通り、この集塵室22とサイクロン分離部21は分離可能であり、集塵部22を取り外して捕塵容器30に堆積した塵挨を廃棄することができる。
【0060】
サイクロン分離部21のサイクロン分離室21Aには円筒状の側面に複数の貫通孔81を備えた塵挨分離内筒80が配置されており、サイクロン分離室21Aで塵挨が分離された空気、或いは細かい塵挨を含んだ空気は塵挨分離内筒80の貫通孔81を通って塵挨分離内筒80の内部通路90を通り、捕塵容器収納部35に流れこむ。
【0061】
この捕塵容器収納部35は二つの機能を有しており、一つは捕塵容器30を収納して一方側に塵挨を捕集する塵挨捕集空間を形成し、一つは捕塵容器30の他方側に塵挨分離内筒80、及び捕塵容器30を通過した空気を流す空間及びフィルタ収容部20Bを形成して捕塵フィルタ13に送る機能である。
【0062】
サイクロン分離室21Aで塵挨が分離されて塵挨を含んだ空気はサイクロン分離室21Aの外周側に偏流して、分離室側連通路形成部70a及び集塵室側連通路形成部70bよりなる連通路形成部70を通って集塵室22側に流れ込む。尚、集塵室側連通路形成部70bには掃除機本体1が吸引を停止した状態で塵埃がサイクロン分離室21Aに逆流するのを防ぐ逆止弁50が設けられている。
【0063】
図6に示すように、開閉蓋24にはサイクロン分離部21と集塵室22を繋ぐ連通路形成部70の一部を備えている。つまり、連通路形成部70はサイクロン分離部21側の分離室側連通路形成部70a(具体的には配管)と集塵室22側の集塵室側連通路形成部70b(具体的には配管)とからなり、開閉蓋24には集塵室側連通路形成部70bが分離室側連通路形成部70a及び集塵室側連通路形成部70b設けられている。そして、サイクロン分離部21と集塵室22を結合した時は分離室側連通路形成部70a及び集塵室側連通路形成部70bが連結されてイクロン分離部21と集塵室22を繋いでいる。そして両者の接合部にシール面を設け気密を確保している(図示せず)。
【0064】
分離室側連通路形成部70a及び集塵室側連通路形成部70bとで構成される連通路形成部70の進行方向は捕塵容器30の容器開口部31に対して略平行になっている。言い換えれば容器開口部30の開口方向と連通路形成部70の進行方向は略直交する関係となっている。
【0065】
開閉蓋24の内周側は円弧状面60を有しているので、連通路形成部70の出口71から流出してきた空気の流れは円弧状面60に沿って捕塵容器30の容器開口部31側に方向変換して流すようにしている。この円弧状面60は空気の流れを整流するために設けており、この他に断面が台形や三角形となる形状にしても良いものである。つまり、連通路形成部70の出口71から捕塵容器30の容器開口部31に至る間に断面が拡大していく方向に変化していけば良いものである。このようにすれば、連通路形成部70の出口71から捕塵容器30の容器開口部31に至るまで円滑に空気の流れが変化するものである。
【0066】
また、開閉蓋24の内周側で連通路形成部70の出口71と対向する面には空気流偏向部61が設けられており、出口71から噴出する空気の流れを空気流偏向部61に当てて捕塵容器30の容器開口部31側に方向変換して流すようにしている。
【0067】
そして、集塵室側連通路形成部70bと空気流偏向部61は開閉蓋24の内周面側に固定的に取り付けられており、開閉蓋24を開放すると開閉蓋24と共に移動するようになる。このため、開口部20A(捕塵容器収納部35の開口)は大きく開放された状態となって塵挨の排出を容易にできるものである。また、開閉蓋24に集塵室側連通路形成部70bと空気流偏向部61を取り付けられるため、両者の位置合わせが容易であるという効果も期待できる。
【0068】
ここで、
図6にあるように、集塵室側連通路形成部70bの出口71の形状と空気流偏向部61の形状は捕塵容器30の容器開口部31の周縁に向けて延びており、図面上では台形状となっている。このように、集塵室側連通路形成部70bの出口71及び空気流偏向部61が捕塵容器30の容器開口部31の周縁に向けて延びていることで空気の流れをより円滑に容器開口部31に流すことができる。
【0069】
また、出口71の開口面を空気流方向に対して直交するように形成した場合に比べて、本実施例にように出口71の開口面を容器開口部31に向けて傾斜するように形成すると、その開口断面積大きくすることができるので逆止弁50の固定部を十分に確保できる。また、開閉蓋24に設ける逆止弁50の固定部は捕塵容器30が存在する側に設けると良い。これは、運転を終了したときに、砂などの質量のある細かな塵埃が塵埃分離部21に落下しないために有効である。
【0070】
以上において、連通路形成部70、開閉蓋24に設けた円弧状面60、空気流偏向部61等により塵埃を含んだ空気は矢印101、及び矢印102に示すように捕塵容器30と開閉蓋24で形成される塵埃捕集空間内で旋回する流れとなり、捕塵容器30の底面から塵埃が堆積していくようになる。
【0071】
つまり、円弧状面60と捕塵容器30で形成される塵挨捕集空間内で空気に旋回流を生じるため、捕塵容器30に塵埃を吸引しても連通路形成部70、開閉蓋24に設けた円弧状面60、空気流偏向部61、及び捕塵容器30の容器開口部31側は塵埃が溜まり難く、空気の流通流路面積が減少するのが抑制されて電動送風機14の吸引力、つまり吸引風量の低下を抑制できる効果が期待できる。
【0072】
そして、捕塵容器30内が塵埃で一杯になったら、その後塵挨は開閉蓋24側に向けて堆積し始め、開閉蓋24の出口71の対向面である空気流偏向部61側付近から徐々に堆積する。この理由は、出口71付近では空気が高速で流れているため周辺の塵挨はこの空気流によって持ち運ばれて空気流偏向部61に衝突して速度を落とし、既に捕集されている塵挨に捕獲されるからである。
【0073】
更に、塵挨の堆積量を確認して塵挨を捨てる使用者もいることから、開閉蓋24正面には透明な合成樹脂等で形成した覗き窓部40を設けることで、捕塵容器30に堆積する塵埃を確認できるようにしている。
【0074】
尚、塵埃の廃棄時期は使用者によってまちまちであるが、開閉蓋24の覗き窓部40から塵埃が見え始め、開閉蓋24の覗き窓部40を埋め尽くすまでの間に行うと良い。これは、塵挨が覗き窓部40を埋め尽くしても塵埃の吸引を続けると、連通路形成部70に塵埃が詰まり吸引力が大きく低下する可能性があるためであり、開閉蓋24に塵埃が見え始めたらすぐに排出する方がなお良い。つまり、塵挨の廃棄時期は覗き窓部40に塵埃が見え始めたら排出を促すように取扱説明書等で説明しておくと良い。尚、塵挨の廃棄時期の目安として覗き窓部40の所定付近、例えば中央付近にごみ捨てラインを印刷等で表示しても良く、このごみ捨てラインまで塵挨が溜まると塵挨を廃棄する時期が来たことを使用者に認識させることができる。覗き窓部40は開閉蓋24の大きさに対してできるだけ大きく設けることでより塵埃を確認しやすくなる。
【0075】
また、開閉蓋24に設けた円弧状面60断面は上述したように、連通路形成部70の出口71から捕塵容器30の容器開口部31に至る間に断面が拡大していく方向に変化している。したがって、開閉蓋24に設けた円弧状面60の連通路形成部70に近い側まで塵埃が溜まっても、開閉蓋24を開いて使用者の手によって容易に塵埃を排出することが可能である。
【0076】
次に、
図6に示した矢印を用いて電動送風機14による吸引時の空気の流れを説明する。電動送風機14で発生した吸引力により塵埃を含んだ空気は、吸口体7、延長管6、ホース2を通り、掃除機本体1の集塵装置10内に流入する。
【0077】
流入した塵埃を含む空気はサイクロン分離部21の内周面に沿う旋回成分を持つように開口している流入口23により、サイクロン分離部21の内部を矢印100で示すように旋回する。
【0078】
この旋回による遠心分離作用で空気と塵埃を分離すると、遠心分離作用により、外周側の空気は塵埃が多く含まれ、逆に内周側の空気は塵埃が少ないようになる。そして、遠心分離後の塵埃を多く含んだ空気は矢印101に示すように流れて、連通路形成部70を通り、開閉蓋24と捕塵容器30とで形成される塵挨捕集空間に流れる。
【0079】
次に、塵埃を多く含んだ空気は矢印101に示すように、開閉蓋24や空気流偏向部61の作用によって捕塵容器30の容器開口部31が位置している方向に向きを変え、捕塵容器30の底面から堆積する。
【0080】
更に、空気は矢印101に示すように捕塵容器30形状に沿って旋回し、捕塵容器30が一杯になったら、その後塵挨は開閉蓋24の出口71の対向面である空気流偏向部61側付近から徐々に堆積する。
【0081】
塵挨捕集空間の空気は矢印103に示すように、捕塵容器30のメッシュ部材32から抜けて、捕塵フィルタ13へ至る。
【0082】
一方、サイクロン分離室21Aで遠心分離作用によって除塵された遠心分離後の塵埃が少ない空気は矢印104に示すように、塵挨分離内筒80に設けた複数の貫通孔81から塵挨分離内筒80の内部通路90を通って、捕塵容器収納部35に形成された、捕塵フィルタ13と捕塵容器30の間の空間であるフィルタ収容部20B内に流入し捕塵フィルタ13へ至る。
【0083】
この矢印104で示す空気の流れは、捕塵容器30を通過しないので塵埃が大量に堆積して連通路形成部70を流れる空気の流れが徐々に遮られても、遠心分離で除塵された空気を吸引し続けることができるため、吸引力を持続させることができる。
【0084】
尚、塵挨分離内筒80の貫通孔81は、金属やナイロンやポリエステルなどで構成されたメッシュ部材が、被覆またはインサート成形などにより貼着されていてもよいもので、このようにすると貫通孔の形成が容易となる効果がある。
【0085】
また、菌の繁殖を抑制できるように、抗菌作用のある金属(例えば、銀)や抗菌物質(例えば、銀)を含有するあるいは塗布された金属(例えば、ステンレス)で構成させても良いものである。
【0086】
以上述べたように本実施例によれば、集塵室の側面部に設けた開口部を開閉し、捕塵容器内へ塵埃を搬送する開閉蓋の内周面に対して、捕塵容器の容器開口部を開閉蓋の内周面に略平行に向けることで、捕塵容器の容器開口部の面積を大きくでき、塵埃の排出が容易になるという効果がある。
【0087】
また、開閉蓋を流れる空気の流れと直交する開閉蓋の断面を、台形状、三角形状、円弧状のように捕塵容器の容器開口部に向けて拡大する形状とすることで、空気が捕塵容器内を旋回する流れを発生させ、塵埃を捕塵容器に圧縮しながら堆積させるので、多くの塵埃を捕塵容器に蓄積できるという効果がある。
【0088】
また、本実施例で開閉蓋はその形状を円弧状に構成しているが、円弧形状にすることによって電動送風機によって発生した開閉蓋の内側の負圧と開閉蓋の外側の大気圧との間に生じる力に対して強くなっている。
【0089】
また、開閉蓋の一部、或いは全部を透明の材料で構成すれば、堆積した塵埃を視認しやすいという効果がある。
【0090】
また、本実施例においては捕塵容器の一部が捕塵容器収納部の開口部から飛び出した際に第1容器片と第2容器片が上下に割れる構成となっている。これによって、第2容器片がより重力方向に向けて傾斜するので使用者は捕塵容器30内に堆積した塵埃をさらに容易に排出することができ、捕塵容器30の内面に付着した塵埃も容易に剥がし落とすことができる。
【実施例2】
【0091】
次に本発明の第2の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明するが、掃除機本体については実施例1と基本的に同様な構成であるので以下では集塵装置について説明する。
【0092】
図7に第2の実施形態における集塵装置110の外観を示し、
図8にこの集塵装置110を略中央で断面した構成を示している。この実施の形態はサイクロン分離部と集塵室を一体としたことが特徴である。したがって、おおよその構成は実施例1と同様である。
【0093】
図7及び
図8において、はサイクロン分離部21と集塵室22より構成され、これらは一体的に構成されている。つまり、両者は同一のプラスチック等の材料からなる同一の筺体として構成されている。
【0094】
そして、集塵装置110の上面部125(掃除機本体に載置した場合で上側になる面)には掃除機本体1から集塵装置110を取り外す場合や、集塵装置110を持ち運ぶ場合に使用するハンドル部、開閉蓋112を閉じ状態に係止する係止クランプを解除するボタンが設けられている。
【0095】
また、集塵装置110の下面部126(掃除機本体に載置した場合で下側になる面)には塵埃を含む空気の流入口114が設けられている。この流入口114はホース取り付け口12に接続されている。これらの構成は実施例1と実質的に同様である。
【0096】
そして、集塵装置110の上面部125と下面部126の間に存在する集塵室22を構成する円筒形状の側面部111の一部には塵挨を排出する開口部127が設けられており、この開口部127は開閉蓋112によって密閉、開放される構成となっている。
【0097】
この側面部111は上面部125と下面部126の面に対して直交するように形成されており、開閉蓋112は下面部126側の端面112Aがヒンジ機構113によって回転自在に支持されており、このヒンジ機構113を支点にして開閉蓋112が開閉されるものである。
【0098】
このように、開閉蓋112を下面部126側の端面112Aで回転自在に支持することによって、集塵装置110から塵挨を排出する場合に集塵装置110を傾ければ開閉蓋112が重力方向に垂下するので塵挨を容易に排出することができるものとなる。
【0099】
また、開閉蓋112の形状は集塵装置110の円筒形状に沿った円弧状に形成されている。これはヒンジ機構113がサイクロン分離部21に設けられているためである。つまり、サイクロン分離部21がその機能から円筒形状になっていることから、この部分での開閉蓋112の形状が円弧状に形成され、更に製造の観点からこの円弧形状に開閉蓋112の全体形状を合わせたものである。これによって、複雑な金型を用いることなく開閉蓋112を得ることができる。また、サイクロン分離部21にヒンジ機構113を設けることで側面部111に大きな開口部127を形成することができる。
【0100】
また、側面部113に形成した周方向の開口部127の面積であるが、これは塵埃の集塵容量によって決められるものであり、集塵室22の長さを一定とした場合では、集塵容量を大きくすると開口部127の周方向の幅が小さくなって塵挨の排出が円滑にいかない場合があることから最適な開口部の面積が決められるものである。尚、本実施例において開口部127は開口面積を大きくとるため集塵室の最大径部分(=直径)まで形成されている。
【0101】
ここで、開口部127の周方向の幅を大きくすると塵挨の集塵容量に制限がでてくるが、集塵室22を構成する捕塵容器収納部128に収容される捕塵容器30の奥行き深くすることで集塵容量を大きくすることが可能である。
【0102】
更に開口部127及び開閉蓋112と反対側の側面には直方体形状のフィルタ収納部129が形成されており、このフィルタ収納部129には電動送風機14に繋がる空気流出開口部が設けられている。
【0103】
また、集塵装置110の下面部にある蓋体115には流入口114が設けられており、この蓋体115はヒンジ機構116で回動可能にサイクロン分離部21の側面部に回動自在に支持されている。したがって、ヒンジ機構116の反対側において、係止爪117で蓋体115はサイクロン分離部21に固定されている。よって、サイクロン離部21の内部が汚れた場合などは蓋体115を開ければ簡単に内部を掃除できるようになっている。
【0104】
次に
図7に示した集塵室22及びサイクロン分離部21を組み合わせた集塵装置10の更なる詳細構成を
図8に基づいて説明する。
【0105】
図8において、参照番号21は吸気を旋回させることにより生じる遠心力で塵埃と空気を分離するサイクロン分離部であり、この上方側に隣接して分離した塵埃を溜める集塵室22が配置されている。このサイクロン分離部21と集塵室22は分離できないように一体的に構成されている。
【0106】
サイクロン分離部21を構成するサイクロン分離室130の中央付近には、サイクロン分離室130を形成する分離壁131に取り付けられた円筒形状の塵挨分離内筒80が設けられており、この塵挨分離内筒80の円筒側面に複数の貫通孔81が設けられている。この部分の構成、及び作用も実質的に実施例1と同様である。
【0107】
集塵室22は捕塵容器30を収納する捕塵容器収納部35を備え、この捕塵容器30で区画された二つの室を備えている。一方はサイクロン分離部21で分離された塵挨と空気が流れ込む塵挨捕集空間であり、もう一方はサイクロン分離部501で分離されなかった塵挨と空気が流れ込むフィルタ収容部129である。また、捕塵容器30等の構成も実施例1と同様の構成と作用を行なうものである。
【0108】
開閉蓋112の内周面にはサイクロン分離室21のサイクロン分地室130と集塵室22に形成された塵挨捕集空間を繋ぐ連通路形成体70が固定されている。ここで、開閉蓋112の内周面には空気流偏向部については省略されている。これによって、開閉蓋112の重量を軽くすることができる。
【0109】
更に、本実施の形態では蓋体115の流入口114下流側(サイクロン分離室側)に逆止弁120が設けられている。この逆止弁120により、塵埃を排出する際に掃除機本体1から集塵装置110を取り外しても、集塵装置110内にあるサイクロン分離室130から塵埃がこぼれることがない。
【0110】
実施例1では、連通路形成部70の下流側(集塵室側連通路形成部70b)に逆止弁50を設けているが、本実施の形態のようにすることで、実施例1の逆止弁50の面積よりも流入口14の方が面積を大きくすることができる。
【0111】
これは、実施例1の出口71よりも、本実施の形態の流入口114下流の開口の方を大きくすることが容易なためである。通常では逆止弁は圧力損失の増加に繋がるので、開口面積の大きな部分に逆止弁を設けた方が圧力損失を低減可能である。尚、必要に応じて塵埃分離部への塵埃のこぼれを抑制するために連通路形成部70の下流側に逆止弁を設けても差し支えないものである。
【0112】
以上述べたように本実施例によれば、集塵室の側面部に設けた開口部を開閉し、捕塵容器内へ塵埃を搬送する開閉蓋の内周面に対して、捕塵容器の容器開口部を開閉蓋の内周面に略平行に向けることで、捕塵容器の容器開口部の面積を大きくでき、塵埃の排出が容易になるという効果がある。
【0113】
また、開閉蓋を流れる空気の流れと直交する開閉蓋の断面を、台形状、三角形状、円弧状のように捕塵容器の容器開口部に向けて拡大する形状とすることで、空気が捕塵容器内を旋回する流れを発生させ、塵埃を捕塵容器に圧縮しながら堆積させるので、多くの塵埃を捕塵容器に蓄積できるという効果がある。
また、本実施例で開閉蓋はその形状を円弧状に構成しているが、円弧形状にすることによって電動送風機によって発生した開閉蓋の内側の負圧と開閉蓋の外側の大気圧との間に生じる力に対して強くなっている。
【0114】
また、開閉蓋の一部、或いは全部を透明の材料で構成すれば、堆積した塵埃を視認しやすいという効果がある。
【0115】
また、本実施例においては捕塵容器の一部が捕塵容器収納部の開口部から飛び出した際に第1容器片と第2容器片が上下に割れる構成となっている。これによって、第2容器片がより重力方向に向けて傾斜するので使用者は捕塵容器30内に堆積した塵埃をさらに容易に排出することができ、捕塵容器30の内面に付着した塵埃も容易に剥がし落とすことができる。
【0116】
サイクロン分離室の流入口に逆流防止弁を設けたことにより、この部分の開口の方を大きくすることで圧力損失を低減可能である。