特許第6050963号(P6050963)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6050963インナーチューブ製造装置及びインナーチューブ製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6050963
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月21日
(54)【発明の名称】インナーチューブ製造装置及びインナーチューブ製造方法
(51)【国際特許分類】
   B21D 3/14 20060101AFI20161212BHJP
   B21D 53/86 20060101ALN20161212BHJP
【FI】
   B21D3/14 C
   !B21D53/86 C
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-139550(P2012-139550)
(22)【出願日】2012年6月21日
(65)【公開番号】特開2014-4589(P2014-4589A)
(43)【公開日】2014年1月16日
【審査請求日】2015年5月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】390029089
【氏名又は名称】高周波熱錬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100159651
【弁理士】
【氏名又は名称】高倉 成男
(74)【代理人】
【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100095441
【弁理士】
【氏名又は名称】白根 俊郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100119976
【弁理士】
【氏名又は名称】幸長 保次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(74)【代理人】
【識別番号】100134290
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 将訓
(72)【発明者】
【氏名】須永 頼匡
(72)【発明者】
【氏名】一色 信元
(72)【発明者】
【氏名】山本 剛
(72)【発明者】
【氏名】加藤 貴司
【審査官】 福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭51−067253(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 3/14
B21D 53/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属材製のチューブを支持する支持部と、
この支持部に対向配置され、上記チューブ内に上記チューブの内径より大きい外径を有し、上記チューブの素材よりも硬い金属材製の球体を圧入・通過させる圧入部と、
上記チューブの外径より僅かに大きい内径を有する孔部を有し、上記孔部に上記チューブを貫通させて案内する複数のガイド部と、
上記複数のガイド部を上記チューブの軸方向に沿って並設支持するガイド支持部とを備えていることを特徴とするインナーチューブ製造装置。
【請求項2】
金属材製のチューブを支持する支持部と、
この支持部に対向配置され、上記チューブ内に上記チューブの内径より大きい外径を有し、上記チューブの素材よりも硬い金属材製の球体を圧入・通過させる圧入部と、
記チューブの外径より僅かに大きい内径を有する孔部を有し、上記孔部に上記チューブを貫通させて案内する複数のガイド部と、
上記複数のガイド部を上記チューブの軸方向に沿って並設支持するガイド支持部とを備え、
上記ガイド部は、上記複数の孔部の中心を繋ぐ線が中凸状となることを特徴とするインナーチューブ製造装置。
【請求項3】
素管を芯引き加工によりチューブを形成し、
上記チューブを熱処理し、
上記熱処理の後、上記チューブを複数の円環状のガイド部に沿って設置し、
上記チューブ内に上記チューブの内径より大きい外径を有する金属材製の球体を圧入・通過させることを特徴とするインナーチューブ製造方法。
【請求項4】
素管を芯引き加工によりチューブを形成し、
上記チューブを熱処理し、
記熱処理の後、上記チューブを、それぞれの中心を結ぶ線が中凸状になるよう形成された複数の円環状のガイド部に沿って設置し、
上記チューブ内に上記チューブの内径より大きい外径を有する金属材製の球体を圧入・通過させることを特徴とするインナーチューブ製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動二輪車のフロントフォーク等に用いられるショックアブソーバのインナーチューブを製造するためのインナーチューブ製造装置及びインナーチューブ製造方法に関し、特に真円度を矯正する手法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動二輪車Mのフロントフォークにはショックアブソーバ100が取り付けられている(図3参照)。このショックアブソーバ100は、アウターチューブ110とインナーチューブ120とを組み合わせて構成されている。インナーチューブ製造方法では、素管から芯引きにより加工されたチューブを高周波焼入れ、焼戻し(炉戻し・高周波)をする。このとき、チューブが変形して真円度が低下する。このときの変形量は外径が例えば50mmの場合で0.1〜0.3mm程度である。この変形を修正するため、外周を研削して外径を整える外径研削工程を実施している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4647964号公報
【特許文献2】特開昭59−130633号公報
【特許文献3】特開2007−061894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したインナーチューブ製造方法では、次のような問題があった。すなわち、外周面を研削するため、外径は一定になるが、研削後の肉厚が均一とならない。また、変形量を見越した研削代が必要となり、素管の外径が大きくなると同時に研削工程(研削回数)も多くなる。また、取り代が不均等になり研削前の傷等が残り易くショックアブソーバとしての機能に影響する虞がある。
【0005】
そこで本発明は、熱処理を施し、真円度が低下したチューブであっても、内外径を均一にさせ、研削代を均一にさせるインナーチューブ製造装置及びインナーチューブ製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決し目的を達成するために、本発明のインナーチューブ製造装置及びインナーチューブ製造方法は次のように構成されている。
【0007】
金属材製のチューブを支持する支持部と、この支持部に対向配置され、上記チューブ内に上記チューブの内径より大きい外径を有し、上記チューブの素材よりも硬い金属材製の球体を圧入・通過させる圧入部と、上記チューブの外径より僅かに大きい内径を有する孔部を有し、上記孔部に上記チューブを貫通させて案内する複数のガイド部と、上記複数のガイド部を上記チューブの軸方向に沿って並設支持するガイド支持部とを備えている。
金属材製のチューブを支持する支持部と、この支持部に対向配置され、上記チューブ内に上記チューブの内径より大きい外径を有し、上記チューブの素材よりも硬い金属材製の球体を圧入・通過させる圧入部と、上記チューブの外径より僅かに大きい内径を有する孔部を有し、上記孔部に上記チューブを貫通させて案内する複数のガイド部と、上記複数のガイド部を上記チューブの軸方向に沿って並設支持するガイド支持部とを備え、上記ガイド部は、上記複数の孔部の中心を繋ぐ線が中凸状となる。
【0008】
素管を芯引き加工によりチューブを形成し、上記チューブを熱処理し、上記熱処理の後、上記チューブを複数の円環状のガイド部に沿って設置し、上記チューブ内に上記チューブの内径より大きい外径を有する金属材製の球体を圧入・通過させる。
素管を芯引き加工によりチューブを形成し、上記チューブを熱処理し、上記熱処理の後、上記チューブを、それぞれの中心を結ぶ線が中凸状になるよう形成された複数の円環状のガイド部に沿って設置し、上記チューブ内に上記チューブの内径より大きい外径を有する金属材製の球体を圧入・通過させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、熱処理を施したチューブであっても、内外径とも均一で、外周面に傷が残りにくいインナーチューブを製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1の実施の形態に係るインナーチューブ製造装置を模式的に示す側面図。
図2】同インナーチューブ製造装置の要部を拡大し、一部破断して示す説明図。
図3】同インナーチューブ製造装置により製造されるインナーチューブが組み込まれたショックアブソーバ装置を模式的に示す斜視図。
図4】同インナーチューブ製造装置により製造されるインナーチューブのボールサイジング(圧入加工)の前後、自動矯正後の内径を示すグラフ。
図5】同インナーチューブ製造装置により製造されるインナーチューブのボールサイジング(圧入加工)の前後、自動矯正後の外径を示すグラフ。
図6】同インナーチューブ製造装置により製造されるインナーチューブのボールサイジング(圧入加工)の前後、自動矯正後の全長を示すグラフ。
図7】同インナーチューブ製造装置により製造されるインナーチューブのボールサイジング(圧入加工)の前後、自動矯正後の振れ(曲がり)を示すグラフ。
図8】同インナーチューブ製造装置により製造されるインナーチューブの熱処理後、ボールサイジング(圧入加工)の前における内径寸法・真円度を示すグラフ。
図9】同インナーチューブ製造装置により製造されるインナーチューブのボールサイジング(圧入加工)の後における内径寸法・真円度を示すグラフ。
図10】本発明の第2の実施の形態に係るインナーチューブ製造装置を模式的に示す斜視図。
図11】同インナーチューブ製造装置により製造されるインナーチューブのボールサイジング(圧入加工)の前後における断面を比較して示す説明図。
図12】比較例として示すインナーチューブ製造装置により製造されたインナーチューブのボールサイジング(圧入加工)の前後における断面を比較して示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るインナーチューブ製造装置10を模式的に示す側面図、図2図1中Eの部分を拡大し、一部破断して示す説明図、図3はインナーチューブ製造装置10により製造されるインナーチューブ120が組み込まれたショックアブソーバ装置100を模式的に示す斜視図である。また、図4図7はインナーチューブ製造装置10によるインナーチューブ120のボールサイジング(圧入加工)の前後、自動矯正後の各測定値を示すグラフである。
【0012】
図1に示すように、インナーチューブ製造装置10は、金属材製のチューブCの一端を支持する有底筒状の支持部11と、チューブCの他端を支持する筒状の押さえ15と、チューブC内にチューブCの内径より大きい外径を有し、チューブCの素材よりも硬い金属材製の球体Dを圧入・通過させる圧入部12とを備えている。圧入部12は、油圧シリンダ13と、この油圧シリンダ13によって動作するロッド14とを備えている。ロッド14の先端には金属材製の球体Dが着脱自在に配置されている。球体Dは、チューブCの材質よりも硬い金属で形成されるとともに、チューブCの内径よりも僅かに大きい外径を有している。
【0013】
図3は、このインナーチューブ製造装置10によって製造されるインナーチューブ120が使用されるショックアブソーバ100の概略を示している。すなわち、ショックアブソーバ100は、自動二輪車Mのフロントフォーク等に用いられており、アウターチューブ110とインナーチューブ120とが同軸的に配置され、軸方向に摺動可能に構成されている。
【0014】
インナーチューブ製造装置10を用いて、次のようにしてインナーチューブ120を製造する。インナーチューブ製造方法では、素管を芯引加工によりチューブCを塑性加工する。次に、高周波焼入れ、焼戻し(炉戻し・高周波)等の所定の熱処理を行い、金属組織を形成する。このとき、チューブが変形して真円度が低下する。
【0015】
次に、インナーチューブ製造装置10の支持部11の開口部にチューブCの一端を挿入し、他端を押さえ15で押さえることで、両端面を固定する。次に、チューブCの上端部に球体Dを載せる。そして、油圧シリンダ13を作動させてロッド14を伸長させる。これにより、球体DはチューブCの内部に圧入される。ロッド14の伸長速度は例えば、秒速15mm程度である。このようにして、球体DをチューブC内を通過させて処理を完了する。
【0016】
次に、自動曲がり矯正機を用いてチューブCの振れ(曲がり)を矯正する。
【0017】
さらに、チューブCの外周面の研削や探傷試験等を行い、インナーチューブ120が完成する。
【0018】
ここで、具体的なチューブC及びインナーチューブ120の寸法等に基づいて説明する。例えば、熱処理前において、軸方向の長さが603mm、内径45mm、外径48.5mm、肉厚1.75mmのチューブCを用いる。次に、熱処理を行うと、内径、外径、全長、振れがそれぞれ図4図7に示すように変化する。ここで、振れとは、外径基準で測定した中央部の曲り量をT.I.R(軸偏心量:Total Indicator Reading)で示している。
【0019】
次に、インナーチューブ製造装置10を用いて、直径48.5mmの球体DをチューブCに圧入して、チューブCの矯正、すなわち、ボールサイジングを行う。ボールサイジング後には、内径、外径、全長、振れがそれぞれ図4図7に示すように変化する。すなわち、内径・外径が大きくなり、全長は短くなる。但し、振れに関しては同じ変化はせず、大きくなったり、小さくなったりする。これは焼入れ後の初期の曲り量に影響される。
【0020】
すなわち、内径・外径・全長はほとんど変わらず、内外径寸法のばらつきが解消され、振れが変化する。このような傾向は、チューブCの両端部及び中央部においても同様である。
【0021】
また、図8はインナーチューブ製造装置10により製造されるインナーチューブの熱処理後、ボールサイジング(圧入加工)の前における内径寸法・真円度を示すグラフ、図9はインナーチューブ製造装置10により製造されるインナーチューブのボールサイジング(圧入加工)の後における内径寸法・真円度を示すグラフである。
【0022】
このようにして、チューブCを熱処理後、ボールサイジング(圧入加工)することで、インナーチューブ120の真円度が良くなり、ショックアブソーバ100に組み込んだ場合であっても、所望の性能を得ることができる。
【0023】
また、外周面の削り代を最小限に抑えることができるので、材料を節約することも可能となる。
【0024】
図10は本発明の第2の実施の形態に係るインナーチューブ製造装置20を一部破断して示す斜視図、図11はボールサイジング前のチューブCの断面と、矯正装置200を有するインナーチューブ製造装置20を用いてボールサイジングを行った後のチューブC2の断面とを比較して示す説明図である。なお、図12は本実施の形態に係るインナーチューブ製造装置20の機能を説明するために、比較例として示すインナーチューブ製造装置を用いてボールサイジングを行った場合の、ボールサイジング前後のチューブC(C3)の断面形状を示す説明図である。なお、図10及び図11において、図1と同一機能部分には同一記号を付し、詳細な説明は省略する。
【0025】
本実施の形態に係るインナーチューブ製造装置20は、金属材製のチューブCの一端を支持する有底筒状の支持部11と、チューブCの他端を支持する押さえ15と、チューブC内にチューブCの内径より大きい外径を有し、チューブCの素材よりも硬い金属材製の球体Dを圧入・通過させる圧入部12と、球体Dの圧入時に、チューブCが変形する形状を規定する矯正装置200とを備えている。圧入部12は、油圧シリンダ13と、この油圧シリンダ13によって動作するロッド14とを備えている。本実施の形態では、第1の実施の形態に係るインナーチューブ製造装置10に、図10に示す矯正装置200を付加している。
【0026】
矯正装置200は、チューブCを貫通させて案内するガイド部210a,210b,210c,210d,210e,210fと、ガイド部210a〜210fを支持するガイド支持部220とを有している。ガイド部210a〜210fは、平板状に形成され、チューブCの外径より僅かに大きい内径を有する孔部211a,211b,211c,211d,211e,211fを備えている。ガイド支持部220は、ガイド部210a〜210fを、それぞれが平行で、かつ、チューブCの軸方向に沿って並設する状態で支持している。また、ガイド部210a〜210fは、それぞれの孔部211a〜211fの中心が円弧上に位置する状態で保持されている。なお、円弧とは中凸状の一種であり、楕円形状の一部であってもよい。
【0027】
インナーチューブ製造装置20を用いて、次のようにしてインナーチューブ120を製造する。インナーチューブ製造方法では、素管を芯引加工によりチューブCを塑性加工する。次に、高周波焼入れ、焼戻し(炉戻し・高周波)等の所定の熱処理を行い、金属組織を形成する。このとき、チューブが変形して、真円度が低下する。
【0028】
次に、インナーチューブ製造装置20の支持部11の開口部にチューブCの一端を挿入し、他端を押さえ15で押さえることで、両端面を固定する。この際、チューブCを矯正装置200のガイド部210a〜210fの孔部211a〜211fを貫通する状態で固定する。次に、チューブCの上端部に球体Dを載せる。そして、油圧シリンダ13を作動させてロッド14を伸長させる。これにより、球体DはチューブCの内部に圧入される。ロッド14の伸長速度は例えば、秒速15mm程度である。この際、チューブCは圧入によりその外径が拡張され、ガイド部210a〜210fと干渉し、矯正装置200に規定された形状を形成する。ガイド部210a〜210fは、その孔部211a〜211fの中心が円弧上に位置していることから、チューブCも図11中C2に示すように円弧状に曲がった形状に形成される。
【0029】
次に、自動曲がり矯正機を用いてチューブCの円弧状の振れ(曲がり)を矯正する。
【0030】
さらに、チューブC(C2)の外周面の研削や深傷試験等を行い、インナーチューブ120が完成する。
【0031】
上記のように形成された矯正装置200を用いてインナーチューブの製造を行う場合、次のような効果がある。すなわち、図11に示すチューブC2は円弧状に曲がった形状を有する。一方、図12に示す矯正装置250は、ガイド部210a〜210fの孔部211a〜211fの中心が直線上を通る位置で固定されている。矯正装置250を用いた場合や、矯正装置を用いない場合、ボールサイジング後は不規則な振れを有するチューブC3が形成される。
【0032】
矯正装置200を用いて形成されたチューブC2は、規定された円弧形状を有することから、不規則な振れを有するチューブC3よりも容易かつ正確に振れの矯正を行うことができる。
【0033】
したがって、本実施の形態に係るインナーチューブ製造装置20によれば、第1の実施の形態に係るインナーチューブ製造装置10と同様の効果を得られるとともに、矯正装置200を用いてチューブCのボールサイジング時の振れ(曲がり)を意図的に規定することで、チューブCの振れの矯正を容易かつ正確に行うことが可能となり、軸心直進度を改善する効果を付加することが可能となる。なお、インナーチューブ製造装置20ではガイド部の数を6つとしているが、本実施の形態はガイド部の数を6つに限るものではない。
【0034】
上述したように、本発明のインナーチューブ製造装置によれば、熱処理を施したチューブCであっても、内外径とも均一で、外周面に傷が残りにくいインナーチューブ120を製造することが可能となる。
【0035】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能であるのは勿論である。以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]金属材製のチューブを支持する支持部と、この支持部に対向配置され、上記チューブ内に上記チューブの内径より大きい外径を有し、上記チューブの素材よりも硬い金属材製の球体を圧入・通過させる圧入部とを備えていることを特徴とするインナーチューブ製造装置。
[2]上記チューブの外径より僅かに大きい内径を有する孔部を有し、上記孔部に上記チューブを貫通させて案内する複数のガイド部と、上記複数のガイド部を上記チューブの軸方向に沿って並設支持するガイド支持部とを備え、上記ガイド部は、上記複数の孔部の中心を繋ぐ線が中凸状となる[1]に記載のインナーチューブ製造装置。
[3]素管を芯引き加工によりチューブを形成し、上記チューブを熱処理し、上記チューブ内に上記チューブの内径より大きい外径を有する金属材製の球体を圧入・通過させることを特徴とするインナーチューブ製造方法。
[4]上記熱処理の後、上記球体の圧入・通過の前に、上記チューブを、それぞれの中心を結ぶ線が中凸状になるよう形成された複数の円環状のガイド部に沿って設置することを特徴とする[3]に記載のインナーチューブ製造方法。
【符号の説明】
【0036】
10,20…インナーチューブ製造装置、11…支持部、12…圧入部、13…油圧シリンダ、14…ロッド、15…押さえ、200,250…矯正装置、210a,210b,210c,210d,210e,210f…ガイド部、C,C2,C3…チューブ、D…球体。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12