(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
パンツ型着用物品はパンツ型おむつであり、前記腹側部と前記背側部を形成する前記外装体と、前記股下部を形成する吸収性本体とで構成されている請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のパンツ型着用物品。
前記第1シート材と前記第2シート材との間に前記弾性体を介在させた状態で、前記弾性体の存在していない領域の前記第1シート材と前記第2シート材同士をエンボス接合する
請求項6ないし請求項9のいずれか1項に記載のパンツ型着用物品の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係るパンツ型着用物品の好ましい一実施形態(第1実施形態)について、
図1および
図2を参照しながら、以下に説明する。
本明細書のパンツ型着用物品10、100では、パンツ型着用物品の身丈方向をY方向とし、パンツ型着用物品の幅方向をX方向とし「腰周り方向」ともいう。
【0013】
図1および
図2に示すように、本実施形態のパンツ型着用物品10は、例えばパンツ型おむつであり、着用者の腹側に配される腹側部21と、股間部に配される股下部13と、背側に配される背側部23とを有している。以下、このパンツ型おむつ10について詳細に説明する。
パンツ型おむつ10は、腹側部21と背側部23を形成する外装体11と、股下部13を形成する吸収性本体40とで構成されている。
外装体11は、腹側部21の一方の側縁部21Aと背側部23の一方の側縁部23Aとが接合され、さらに腹側部21の他方の側縁部21Bと背側部23の一方の側縁部23Bとが接合されて、環状に構成されている。外装体11は、パンツ型おむつ10の腰回り方向に伸縮性を有している。
また、股下部13は、腹側部21と背側部23とを架け渡して着用者の股間部に配される吸収性本体40で構成されている。環状にした外装体11と股下部13を架け渡した吸収性本体40によりパンツ型となっている。
吸収性本体40は、股間部を形成するとともに、腹側部21および背側部23において外装体11のウエスト開口部12下方近傍まで延出して、外装体11と固定されている。これにより、腰周り領域において外装体11は吸収性本体40が固定された中央域と、固定されていない両側域とを有する。上記「腰周り領域」とは、概ねウエスト開口部12の上端縁からその下部への方向である身丈方向(Y方向)に大腿部の外側付け根付近が配置される位置までの間の領域をいう。
【0014】
上記外装体11は、外層材33(第1シート材)と内層材31(第2シート材)とが積層されて構成されている。外層材33は、外装体11の身丈方向(Y方向)に複数配されている。外層材33は、外層材33、33同士が重なることなくかつ隣接するように配されている。言い換えれば、外層材33間に隙間を有することなく且つ外層材33、33同士が重なることなく配されている。例えば、外層材33は、一枚の外層材を複数本にスリットした状態が維持されて配されている。
図2(2)において、外層材33の矢印で示した部分がスリットされている部分を示す。「隣接する」とは外層材33、33同士が隙間を有することなく配列されている状態であり、伸縮性を有する外装体11が収縮状態となった際に、外層材33、33の間から内層材31が望めたとしても、隙間がないとは言わない。外層材33、33同士が重なるか隣接するかを観察するのは、
図2のように、パンツ型着用物品を展開した状態での各材料の配置のことであり、または弾性部材等の収縮性を発現させないで観察した状態である。外装体11の内層材31と外層材33とが積層された積層領域において、身丈方向(Y方向)の長さで観察して、内層材31の長さと外層材33の長さとが同じ場合に、「隣接するように配されている」と考える。
【0015】
内層材31と外層材33とが積層された積層領域は、パンツ型おむつ10の腰回り方向、すなわち幅方向(X方向)に伸縮性を有している。積層領域は、内層材31と外層材33との間に弾性体35を備えていることも好ましい。この場合、弾性体35は伸長状態で内層材31と外層材33との間に挟持されており、これにより、伸縮性を有する。または、後に詳述するように、内層材31および外層材33の両方またはどちらか一方が伸縮性を有する材料で構成されていることも好ましい。
【0016】
内層材31および外層材33の素材としてのシートとしては、それぞれ、例えばエアースルー不織布、ヒートロール不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布等の各種製法による不織布、織布、編布、樹脂フィルム等が挙げられ、これらを積層一体化させてなるシート材等も用いることができる。
また、特に内層材31は、通気性、風合いを良好にする観点から、不織布から形成されているものが好ましく、また、排泄物の漏れ防止の観点から、撥水性の不織布から形成されているものが好ましい。
【0017】
次に、上記吸収性本体40について説明する。
図2に示すように、吸収性本体40は、一例として、表面シート41と、裏面シート42と、その間に介在される液保持性を有する吸収性コア43を備えている。この吸収性コア43は、被覆シート44を図面に示した点線の位置で矢印方向に折り曲げることで被覆シート44により周囲を被覆されている。さらに、肌当接面側には内側立体ギャザー45をなす一対のサイドシート46,46が配置されている。非肌当接面側には順に上記裏面シート42と股下シート47とが配置されている。
この吸収性本体40は通常この種のおむつに用いられる材料を用いることができ、特に限定されるものではない。
【0018】
表面シート41は、親水性不織布で形成されることが好ましい。親水性不織布としては、エアースルー不織布、ポイントボンド不織布、スパンボンド不織布、スパンレース不織布、立体賦形不織布と呼ばれている不織布で、その繊維がポリプロピレンの単繊維や、ポリプロピレンとポリエチレンの複合繊維、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンの複合繊維等で親水化処理が施された繊維が好ましく使用できる。レーヨン等の親水性繊維を含ませてもよい。また、表面シート41として、樹脂フィルムを開孔したシートも用いることができる。上記の各種不織布と開孔した樹脂フィルムを一体化した複合シートを用いてもよい。
【0019】
裏面シート42は、防水性があれば特に限定されない。また、裏面シート42は、透湿性を有していることが好ましい。防水性および透湿性を有するシートとしては、例えば疎水性の熱可塑性樹脂と、炭酸カルシウム等からなる微小な無機フィラーまたは相溶性のない有機高分子等とを溶融混練してフィルムを形成し、該フィルムを一軸または二軸延伸して得られる多孔性フィルムが挙げられる。熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィンが挙げられる。該ポリオレフィンとしては、高〜低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等が挙げられ、これらを単独でまたは混合して用いることができる。股下シート47は布状の外観を与えるために、各種不織布を用いることができる。
【0020】
吸収性コア43には、例えば、繊維集合体またはこれと吸収性ポリマーとを併用させたもの等を用いることができる。繊維集合体を構成する繊維としては、パルプ繊維、コットン等の親水性天然繊維や、合成繊維(好ましくは親水性を有するか親水化処理を施したもの)等を用いることができる。坪量は特に限定されないが、150g/m
2〜500g/m
2が好ましい。また被覆シート44には、親水性のティッシュペーパー等の薄手の紙(薄葉紙)、コットンやレーヨンなどの親水性繊維を含む不織布、合成樹脂の繊維に親水化処理を施してなる不織布(スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド(SMS)、スパンボンド−メルトブローン−メルトブローン−スパンボンド(SMMS)、スパンボンド−スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド(SSMS)等の複合不織布)等を用いることができる。
【0021】
サイドシート46には、撥水性不織布を用いることが好ましく、具体的には、スパンボンド不織布、スパンボンド−メルトブローン(SM)不織布、SMS不織布等が用いられる。
【0022】
この実施形態のパンツ型おむつ10では、外層材33が複数に分かれている作用で襞の量が増えて腰周り領域が柔らかくなる。また外層材33が、外装体11の身丈方向に複数配されていて、外層材33、33同士が重なることなく、かつ隣接して配されていることにより、従来のパンツ型おむつと同様の伸縮性を維持して身体への装着性および身体の可動性を保ちつつ、外層材33間の部分で通気性を得ることができる。よって、蒸れを低減できる。また、外装体11が内層材31と外層材33の2層構造になり、かつ隣接しているので、肌が透けにくくなり、肌の隠蔽性を高めることができる。
【0023】
次に、上記好ましい実施形態について、外層材33、内層材31および弾性体35の配置構成の実施例を説明する。まず、第1実施形態のパンツ型おむつ10の第1実施例について説明するが、後述の他の実施例および第2実施形態については、異なる点について説明する。特に説明しない点は、第1実施形態や第1実施例と同様であり、記載した説明が適宜適用される。また、同様の材料や部分には同じ符号を付してある。
【0024】
パンツ型おむつ10の第1実施例を
図3によって説明する。
図3に示すように、第1実施例のパンツ型おむつ10(10A)は、上述した第1実施形態のパンツ型おむつ10において、ホットメルト接着剤等の接着剤(図示せず)により、弾性体35を介して複数の外層材33をパンツ型おむつ10の身丈方向(Y方向)に隣接して内層材31に接着した構成のものである。弾性体35は伸長状態で外層材33および内層材31に固定されている。パンツ型おむつ10は、弾性体35の貼り付け本数と同等分の外層材33を用いているが、1つの外層材33に対し、複数本の弾性体35を配置させてもよい。なお、
図3(2)では、吸収性本体40(図示せず)を取り付けた部分を被覆するために、内層材31を肌当接面側に折り返した状態が示されている。また、外層材33の矢印で示した部分が外層材33、33同士の隣接個所であり、外層材33、33同士は分かれている。
【0025】
吸収性本体40が固定されている外装体11の中央域において、弾性体35は複数箇所にわたって切断されていて、内層材31と外層材33との積層領域は実質的な伸縮性を有していない。
【0026】
外層材33の幅は、適宜設定される。例えば、外層材33の幅は弾性体35の幅とほぼ同等かそれ以上とすることが好ましい。例えば、ベビー用のパンツ型おむつとしては、例えば、外層材33の幅は、1mm以上、好ましくは3mm以上、さらに好ましくは5mm以上、そして、60mm以下、好ましくは40mm以下、さらに好ましくは30mm以下、より具体的には、1mm〜60mm、好ましくは3m〜40mm、さらに好ましくは5mm〜30mmとする。外層材33の貼り付け間隔は外層材33を広げた状態で0mmとする。すなわち、外層材33間に隙間がなく、かつ外層材33、33同士が重なることがない状態に配されている。このように、外層材33の幅と貼り付け間隔を設定すると、パンツ型おむつ10のはき心地がより良好なものとなる。さらに、外層材33の幅を一定幅に揃えることにより、弾性体の収縮により身体に与える応力が均一に分散される作用が得られるとともに、外観上の美観(規則性の与える美観)も高まるという効果が得られる。
【0027】
弾性体35は、各外層材33の幅方向(Y方向)の一部において、伸長状態で外層材33および内層材31に固定されている。これにより、外層材33と内層材31とは固定されている。詳細には、
図3(3)のように、各外層材33の幅方向(Y方向)の中央部において弾性体35が固定され、外層材33はその幅方向の中央部で内層材31に固定されている。外層材33の幅方向端部(おむつの身丈方向端部)が自由端になっているので、弾性体35の伸長力が解かれるとその収縮によって外層材33が収縮しフリル(図示せず)を形成する。このため、柔らかさが向上するという効果が奏されるとともに、おむつ全体として、かわいらしさを創出できるという作用がある。また、外層材33の内層材31との接着位置は外層材33の幅方向(Y方向)における中央部に限定されず、幅方向のどちらかに偏っていてもよい。すなわち、外層材33は幅方向において内層材31との接着位置から一方の縁までの距離が長く他方の縁までの距離が短くてもよい。このように、接着位置から縁までの距離を変えることで、距離の長い方にフリルがより形成されやすくなる。これにより、異なる美観のフリルを形成することができ、大きなフリルによって柔軟性を向上することができる。
【0028】
また、サイドシール部25は、外装体11の腹側部21の側縁部と外装体11の背側部23の側縁部とが、それぞれエンボス加工等のシール接合されている部分である。例えば、腹側部21の外層材33(33A)と背側部23の外層材33(33B)同士を身丈方向(Y方向)に配した状態で、腹側部21の内層材31(31A)と背側部23の内層材31(31B)同士が接合されている。したがって、サイドシール部25では、腹側部21に配した弾性体35(35A)と背側部23に配した弾性体35(35B)とが内層材31を介して身丈方向(Y方向)に配される。
この構成は、後に説明する弾性体35を用いた実施例や第2実施形態においても適用できる。また、後に説明する弾性体35を用いない実施例においても、弾性体35を除き適用できる。
【0029】
内層材31および外層材33の素材としては、前述の第1実施形態で説明したシートを用いることができる。また弾性体35の材料としては、おむつや生理用ナプキン等の吸収性物品に用いられる通常の弾性材料を用いることができ、例えば素材としては、スチレン−ブタジエン、ブタジエン、イソプレン、ネオプレン等の合成ゴム、天然ゴム、EVA、伸縮性ポリオレフィン、ポリウレタン等を挙げることができ、形態としては、断面が矩形、正方形、円形、多角形状等の糸状ないし紐状(平ゴム等)のもの、またはマルチフィラメントタイプの糸状のもの等を用いることができる。
【0030】
第1実施例のパンツ型おむつ10Aでは、前述の第1実施形態のパンツ型おむつ10で述べた効果が得られる。それとともに、弾性体35が配置された外層材33と内層材31との積層領域では外装体11に伸縮性が付与される。この伸縮性によってパンツ型おむつの身体への適合性がよくなる。また、外層材33の幅方向端部(おむつの身丈方向端部)が自由端になっているので、弾性体35の伸長力が解かれるとその収縮によって外層材33が収縮しフリル(図示せず)が形成される。このため、おむつ全体として、かわいらしさを創出できるという作用がある。またさらに、外層材33で弾性体35が被覆されていることから、外層材33によって弾性体35が保護されている。これによって、外層材33に外力が直接当たることがなくなるので、弾性体35が切れにくくなっている。
また、外層材33は色付きや柄つきのシートを用いてもよい。このようなシートを用いることによって、デザイン性に優れるパンツ型おむつ10を提供することが可能となる。
【0031】
なお、
図3に示した第1実施例では、外層材33を複数の第1シート材として、第2シート材である内層材31に弾性体35を介して外層材33(第1シート材)を隣接して接着した構成を示したが、例えば逆に、内層材31を複数の第1シート材として、第2シート材である外層材33に弾性体35を介してスリットした内層材31をホットメルト接着剤により隣接して貼り合わせた構成であってもよい。この場合では、内層材31が複数に分かれている作用で襞の量が増えて身体側を柔らかくする。また内層材31が、外装体11の身丈方向に複数配されていて、内層材31、31同士が重なることなく、かつ隣接して配されていることにより、従来のパンツ型おむつと同様の伸縮性を維持して身体への装着性および身体の可動性を保ちつつ、内層材31間の部分で通気性を得ることができる。よって、蒸れを低減できる。また、外装体11が内層材31と外層材33の2層構造になり、かつ隣接しているので、肌が透けにくくなり、肌の隠蔽性を高めることができる。
また、腹側は外層材33が複数の第1シート材で、背側は内層材31が複数の第2シート材であってもよく、逆に腹側は内層材31が複数の第1シート材で、背側は外層材33が複数の第2シート材であってもよい。
【0032】
次に、パンツ型おむつ10の第2実施例を
図4によって説明する。
図4に示すように、第2実施例のパンツ型おむつ10(10B)は、上述した第1実施形態のパンツ型おむつ10において、弾性体35を介して外層材33(第1シート材)を、外装体11の身丈方向に複数配されていて、外層材33、33同士が重なることなく、かつ隣接するように配されているのは、第1実施例と同様である。第2実施例のパンツ型おむつ10(10B)は、外層材33が、内層材31にシール部37によって固定した構成となっている。すなわち、外層材33の構成や幅は、第1実施例に準じる。なお、外層材33の矢印で示した部分が分かれている。
【0033】
この構成では、上記各弾性体35は伸長状態でその両端は、接着剤39により接合することで外層材33及び内層材31に固定されていて、外装体11の全体に伸縮性を付与している。各弾性体35はその両端以外では外層材33および内層材31に固定されていない。したがって、外層材33と内層材31との積層領域において、弾性体35の伸縮性を阻害せず良好な伸縮性を得ることができる。吸収性本体40が固定されている外装体11の中央域において、外層材33と内層材31との積層領域は伸縮性を有している。
またこの構成では、弾性体35を間にして、内層材31と外層材33とが2層となる部分に規則正しく複数のシール部37を配置することで、両端以外を接着剤39で外層材33及び内層材31に接合されていない弾性体35は、身丈方向(Y方向)にずれにくくなると共に、襞を作り出すことができる。襞は、X方向に隣接シール部37間で形成され、また外層材33と内層材31のそれぞれに形成される。この第2実施例において襞(ひだ)によって外層材33と内層材31との間を身丈方向(Y方向)に通気する隙間が作られるので通気性が向上する。また襞(ひだ)は製品にデザイン的美観を与える。なお、シール部37の配置は、
図4に示した構成のように規則正しくなくてもよい。また、
図4に示した構成において、シール部37の位置を外層材33ごとにずらす構成としてもよく、その場合、襞の作られる位置がずれるので、内層材31と外層材33との間に空気が入り込みやすくなり、さらに通気性が良くなる。
【0034】
第2実施例のパンツ型おむつ10(10B)では、前述の第1実施形態のパンツ型おむつ10と同様の効果が得られる。それとともに、外層材33の腰周り方向の側辺部に間隔を置いてシール部37を形成して、外層材33を内層材31に付けたことから、外層材33に襞が形成されるので、その襞の盛り上がった部分において、外層材33と内層材31との間の外層材33の幅方向(図面矢印Y方向)にも通気性が得られる。したがって、外層材33を付けた内層材31部分でも通気性が確保できる。よって、積層領域を有した外装体11であるが柔らかさを失わず、伸縮性に優れていて、通気性がよく非常に蒸れにくいパンツ型おむつ10(10B)を提供することができる。
【0035】
パンツ型おむつ10の第3実施例を
図5によって説明する。
図5に示すように、第3実施例のパンツ型おむつ10(10C)は、上述した第1実施形態のパンツ型おむつ10において、外層材33自体が長手方向(腰周り方向)に伸縮性を有し、この外層材33を伸長状態で接着剤32によって内層材31に付けた構成のものである。接着剤には、例えばホットメルト接着剤や両面接着テープ等が用いられる。
ここでいう、外層材33自体が有する伸縮性とは、例えば、前述の弾性体により付与される伸縮性に代わりうる伸縮性をいう。
【0036】
伸縮性を有する外層材33として、弾性繊維を含む不織布、弾性フィルム等の伸縮シートを用いることができる。肌触りや布のような見た目を重視する場合には、これらの伸縮シートの表面は繊維層を有する形態が好ましい。この繊維層が非伸縮性である場合、非伸縮性の繊維層が伸縮シートの伸縮性を阻害しないように、延伸加工等により繊維層を伸長可能にする。延伸加工としては、例えば、繊維層に部分的に繊維同士の結合を切断したり繊維を伸長させたりする歯溝加工があり、それにより伸縮シートの伸縮性を阻害せずに伸縮性が発現される。歯溝加工によって、繊維層の表面には
図6(3)に示すように、外層材33の表面に凹凸(凹は溝34)が形成される。
上記溝34の間隔は、例えば等間隔に形成される。なお、伸縮性を付与する度合いを位置ごとに変えるような場合には、溝34の間隔を変えることも可能である。例えば、外層材33の厚みが0.01mm以上0.2mm以下の場合、強い伸縮性を得たい領域では、溝34の間隔を2mm以上5mm以下程度にし、弱い伸縮性を得たい領域では溝34の間隔を0.5mm以上2mm以下程度にする。この溝34の間隔は、外層材33の厚さによっても変化する。なお、外層材33が溝34により所望の伸縮性を有するものであれば、その加工方法は限定されない。
また外層材33の幅は、第1実施例に準じる。図面(2)において、外層材33の矢印で示した部分が分かれている。
なお、吸収性本体40上の外層材33にも延伸加工としての歯溝加工は行われる。延伸加工後、外層材33を伸長させ、内層材31と接合する。接合後、外層材33と内層材31には、吸収性本体40上に該当する箇所をヒートシール(弾性体切断)することで外層材33は非弾性化されて伸縮性がなくなるので、吸収性本体40上の外層材33に付けた歯溝は目立たなくなる。
【0037】
上記伸縮性を有する外層材としては、例えば(1)弾性繊維層の両面または片面に、伸長可能な繊維層が一体化されているシート、(2)ネット状の弾性シートの両面または片面に、伸長可能な繊維層が一体化されているシート、(3)弾性フィルムからなる弾性シートの両面または片面に、伸張可能な繊維層が一体化されているシート、(4)互いに交差せずに一方向に延びるように配列した多数の弾性フィラメントが、非伸長状態で、それらの全長にわたり、伸長可能な不織布に接合されてなる伸縮シート等を好ましく用いることができる。
【0038】
前記(1)のシートとしては、例えば(a)弾性繊維層の少なくとも一面に、非弾性の非弾性繊維層が配され、両繊維層は、弾性繊維層の構成繊維が繊維形態を保った状態で、繊維交点の熱融着によって全面接合されており、非弾性繊維層の構成繊維の一部が弾性繊維層に入り込んだ状態、および弾性繊維層の構成繊維の一部が非弾性繊維層に入り込んだ状態のいずれかの状態または両方の状態になっている伸縮性不織布が挙げられる。また、前記(1)〜(3)のシートとしては、(b)弾性伸縮性を有する弾性層と非弾性の非弾性繊維層とを有し、前記両層が厚み方向に積層されて部分的に接合されている積層シートを、延伸させてなる伸縮性シート等を好ましく用いることができる。これらの延伸や前記(1)〜(3)の伸長可能な繊維層や不織布を得るための一手段として、前述の歯溝加工を施すことが好ましい。
【0039】
前記(a)の伸縮性不織布は、弾性繊維層と、非弾性繊維層との界面およびその近傍においては、弾性繊維層の構成繊維と、非弾性繊維層の構成繊維との交点が熱融着しており、全面で均一に接合されている。全面で接合されていることによって、両層が離間して空間が形成されることが防止され、あたかも一層の不織布のような一体感のある多層構造の伸縮性不織布となる。上記の弾性繊維層の構成繊維が繊維形態を保った状態とは、弾性繊維層の構成繊維のほとんどが、熱や圧力等を付与された場合であっても、フィルム状、または繊維を含むフィルム構造に変形していない状態をいう。また、弾性繊維層は、その層内において、構成繊維の交点が熱融着している。同様に、非弾性繊維層も、その層内において、構成繊維の交点が熱融着している。
【0040】
弾性繊維層の両面に非弾性繊維層が配されている場合、少なくとも何れか一方の面においては、その構成繊維の一部が弾性繊維層に入り込んだ状態、および弾性繊維層の構成繊維の一部が少なくとも一方の非弾性繊維層に入り込んだ状態のいずれかの状態または両方の状態になっている。
弾性繊維層は、伸ばすことができ且つ伸ばした力から解放したときに収縮する性質を有するものである。また、弾性を有する繊維の集合体である。また、弾性繊維層は、弾性を有する繊維からなるウエブや不織布の形態であり得る。例えば、スピニングブローン法、スパンボンド法、メルトブローン法等によって形成された不織布であり得る。特に好ましくは、スピニングブローン法で得られたウエブである。弾性繊維層の構成繊維としては、例えば熱可塑性エラストマー、ゴムなどを原料とする繊維を用いることができる。特に熱可塑性エラストマーを原料とする繊維は、通常の熱可塑性樹脂と同様に押出機を用いた溶融紡糸が可能であり、またそのようにして得られた繊維は熱融着させやすいので、エアスルー不織布を基本構成とする本実施形態の伸縮性不織布に好適である。熱可塑性エラストマーとしては、SBS、SIS、SEBS、SEPS等のスチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマーを挙げることができる。これらは一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0041】
非弾性繊維層は、伸長性を有するが、実質的に非弾性のものである。ここでいう、伸長性は、構成繊維自体が伸長する場合と、構成繊維自体は伸長しなくても、繊維同士の交点において熱融着していた両繊維が離れたり、繊維同士の熱融着等により複数本の繊維で形成された立体構造が構造的に変化したり、構成繊維がちぎれたりして、繊維層全体として伸長する場合の何れであっても良い。非弾性繊維層を構成する繊維としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル(PETやPBT)、ポリアミド等からなる繊維等が挙げられる。非弾性繊維層を構成する繊維は、短繊維でも長繊維でも良く、親水性でも撥水性でも良い。また、芯鞘型またはサイド・バイ・サイドの複合繊維、分割繊維、異形断面繊維、捲縮繊維、熱収縮繊維等を用いることもできる。これらの繊維は一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。非弾性繊維層は、連続フィラメントまたは短繊維のウエブまたは不織布であり得る。
【0042】
前記(b)の伸縮性シートは、弾性伸縮性を有する弾性層の両面または片面に非弾性の非弾性繊維層が積層され、これらが規則的なパターンで、部分的に接合されている積層シートに対して延伸加工を施すことにより得られる。
【0043】
第3実施例のパンツ型おむつ10(10C)の効果は、前述の第1実施形態のパンツ型おむつ10で述べたとおりである。この実施例ではさらに、内層材31と外層材33との間に配される弾性体を必要としないで、外層材33が凹凸を有する延伸加工が施されているため柔らかい外観および感触となり、また、接着剤32の塗布幅を外層材33の幅より狭くすることで、外層材33にフリルを形成することもできる。また弾性体材料の削減も図れる。
【0044】
また、外層材33の幅を変更することによって伸縮力も変化し、ウエスト部、腸骨上、腰等の各部位に応じた適切な締め付け圧に調整ができる。例えば、ウエスト部、腸骨上には他の部位に比べて幅を大きくすることで、伸縮力を高め締め付け圧を大きくすることができる。
【0045】
第3実施例のパンツ型おむつ10において、積層領域の伸縮性が弱い場合には、必要に応じて第1実施例の弾性体35を外層材33と内層材31との間に挟持してもよい。
【0046】
パンツ型おむつ10の第4実施例を
図6によって説明する。第4実施例のパンツ型おむつ10(10D)は、上述した第1実施形態のパンツ型おむつ10において、前述の第1実施例のパンツ型おむつ10Aと同様の材料を用いた。第4実施例のパンツ型おむつ10(10D)は、外装体11に延伸加工が施されている。詳細には、前述の第1実施例のパンツ型おむつ10において、
図6に示すように、ホットメルト接着剤等の接着剤(図示せず)により、弾性体35を介して固定された外層材33と内層材31に、腰周り方向(X方向)に延伸加工(例えば歯溝加工)が施されている。これにより、外層材33および内層材31は伸長性を有している。弾性体35は伸長状態で外層材33および内層材31に固定されている。上述したように、延伸加工は、外層材33および内層材31を伸長可能にする方法であれば、加工方法は限定されない。
また外層材33の幅は、前述の第1実施例に準じる。なお、図面(2)において、外層材33の矢印で示した部分が切れている。
【0047】
第4実施例のパンツ型おむつ10(10D)では、前述の第1実施例のパンツ型おむつ10Aと同様の効果が得られる。それとともに、延伸加工としての歯溝加工を行うことで、外層材33および内層材31を伸長可能にできる。これによって、弾性体35の伸縮性を阻害せずに伸縮性が発現されるので、パンツ型おむつ10Dを装着性が高められる。
【0048】
次に、本発明のパンツ型おむつの第2実施形態を、
図7を参照して説明する。
図7に示すように、パンツ型おむつの一例としてのパンツ型おむつ100は、外装体11が股下部13にも形成され、股下部13に形成された外装体11の内側(肌当接面側)に吸収性本体40を配した構成である。具体的には、前述の第1実施形態における外装体11において、腹側部21から背側部23にかけて連続的に架け渡して形成した股下部13を有するものである。上記外装体11の背側部23と腹側部21と股下部13とには内層材31が形成され、背側部23と腹側部21との内層材31に外層材33が腰周り方向(X方向)に沿って積層されている。外層材33は、外装体11の身丈方向に複数配され、外層材33間に隙間を有することなく且つ外層材33、33同士が隣接して配されている。また、内層材31と外層材33とが積層されている積層領域は、外装体11の腰周り方向に伸縮性を有している。
【0049】
このように、本発明にかかる外層材33の構成は、腹側から股下を通って背側に連続的に形成された外装体を有するパンツ型おむつ100にも適用できる。そしてパンツ型おむつ100は、第1実施形態の第1実施例と同様なる作用効果を奏することができる。
また、第1シート材を内層材31としてもよい。さらに背側の股下部13は外層材33のみとしてもよく、もしくは外層材33と内層材31とで構成されてもよい。この場合、外層材33もしくは内層材31を身丈方向に複数配してもよい。
【0050】
上記説明した各実施例においては、内層材31はウエストから内側に折り返されている(前記
図2に示した内層材31の折り返し部分参照。)そのため、内層材31は、外層材33より広い幅のシートが用いられている。また、内層材31を内側に折り返すことによって、吸収性本体40の端部からの尿や吸収性ポリマー等の漏れを一層防止することができる。また、折り返しは、内層材31ではなく外層材33を内側に折り返してもよく、内層材31と外層材33の両方を折り返してもよく、折り返さずに別体のシートで吸収性本体40の端部を被覆してもよい。
【0051】
次に、本発明のパンツ型おむつの製造方法の好ましい一実施形態(第1実施形態)の第1の実施態様について、
図8および
図9を参照して、以下に説明する。製造方法の第1の実施態様は、前述のパンツ型おむつ10(10A)を製造する好ましい一方法である。なお、後述の他の実施態様について、特に説明しない点については、第1の実施態様に関して詳述した説明が適宜適用される。
【0052】
パンツ型おむつ10の製造方法は、複数本のテープ状の第1シート材1Sを、その幅方向に互いに重なることなく、かつ隣接するように配列して準備する工程と、複数本の第1シート材1Sの配列した状態を維持して、第2シート材2Sと積層するとともに固定して外装体を得る工程と、着用者の腹側に配される腹側部21と着用者の背側に配される背側部23の外装体を互いに重ね合わせ、外装体を所定間隔で接合する工程と、外装体を幅方向に切断し個々のパンツ型おむつ10に分離する工程とを備える。
【0053】
詳細には、
図8および
図9に示すように、例えば、上側より第1シート材1Sを供給するとともに、下側より第2シート材2Sを供給し、さらに、第1シート材1Sと第2シート材2Sとの間に弾性体35となる弾性体連続部材3Sを供給する。第1シート材1Sと第2シート材2Sは、製造工程において連続部材である。第1シート材1Sは外層材33を形成するものであり、第2シート材2Sは内層材31を形成するものである。これらの第1シート材1S(外層材33)、第2シート材2S(内層材31)および弾性体連続部材3S(弾性体35)は、それぞれ上述したパンツ型おむつ10と同様な材料を用いる。なお、本明細書においては、パンツ型着用物品において外装体の身丈方向に隣接して複数配置して外層材33(又は内層材31)としたシート材について、製造工程において連続部材であるシート材(スリットする前のシート材)、スリットされたテープ状のシート材も含めて全て第1シート材と称する。また、第1シート材と積層されて外装体を構成する第2シート材も同様に、製造工程において連続部材であるシート材も第2シート材と称する。
【0054】
先ず、外層材スリットカッター211によって上記第1シート材1Sを幅方向に複数本に分割して細幅となったテープ状シート材33Tを得る。上記スリットカッター211に対向する位置には、第1シート材1Sを挟んで受けロール212が配されている。外層材スリットカッター211はロール状であり、カッター211の周方向に沿う刃(図示省略)を、カッター211の軸方向に複数有している。得られたテープ状シート材33Tは、第1シート材1Sのスリットした状態を維持して、テープ状シート材33T、33T間の間隔を開けることなく隣接して且つテープ状シート材33T、33T同士が重なることなく、ニップロール217に巻き付けた状態で、ニップロール217、218間に搬送される。
または、スリットカッターで第1シート材1Sを切って複数本のテープ状シート材33Tを得た後、ニップロール217に巻き付けず、直接ニップロール217、218間に供給されてもよい。
【0055】
また、
図8および
図9に示すように、並列に複数本の弾性体連続部材3Sを用意し、それぞれが伸長された状態で、かつ、接着剤塗工装置215により供給された接着剤(図示せず)が付された状態で、第2シート材2Sとともに上記ニップロール217、218間に供給する。それぞれの弾性体連続部材3Sは所定の間隔d1で供給される。このとき、上記テープ状シート材33T幅方向の中心に弾性体連続部材3Sの幅方向の中心が位置するように供給されることが好ましい。上記接着剤塗工装置215には例えばホットメルトガンを用い、この場合の接着剤にはホットメルト接着剤を用いる。
【0056】
このようにして、ニップロール217、218間に、第2シート材2S上に伸長した状態で所定の間隔d1にした弾性体連続部材3Sを供給する。それと同時に、それぞれの弾性体連続部材3S上に、テープ状シート材33Tの幅方向中央に弾性体連続部材3Sが位置するようにして、それぞれのテープ状シート材33Tを供給する。なお、上記テープ状シート材33Tの幅方向中央より一方向に所定距離だけずれて弾性体連続部材3Sが位置するようにして、それぞれのテープ状シート材33Tを供給してもよい。
そして、ニップロール217、218間に上記第2シート材2S、弾性体連続部材3S、テープ状シート材33Tを通し、ロール間の圧力によって弾性体連続部材3Sに付けられたホットメルト接着剤により第2シート材2Sとテープ状シート材33Tとを弾性体連続部材3Sを介して接着し、外装体11となる外装体連続部材11Sを得る。なお、接着剤は、接着剤塗工装置215により、テープ状シート材33T上および第2シート材2S上のいずれか一方または両方に供給して、弾性体連続部材3Sと接着してもよい。
【0057】
次に、外装体連続部材11Sの吸収性本体40が付けられる部分の弾性体連続部材3Sの弾性機能を発現させなくする弾性体切断工程を行う。弾性体切断工程は、吸収性本体40を外装体連続部材11Sの腹側部21と背側部23との所定の位置に配置する前に行う。この弾性体切断工程は、例えば、弾性体連続部材3Sの収縮力を発現させなくする非機能化領域形成部(図示せず)を形成したカットロール219を用い、外装体連続部材11Sに非機能化領域11Nを形成することができる。非機能化領域形成部は、弾性体連続部材3Sを分断する多数の凸部もしくはカッター刃、または弾性体連続部材3Sを熱シールによって硬化させる多数のエンボスピン等から構成されている。
カットロール219に対向するロール220はその受けロールであり、その周面は平滑面となっている。
【0058】
次に、外装体スリットカッター221を用いて、外装体の腹側部21と外装体の背側部23とを形成するよう、外装体連続部材11Sをその幅方向の中央部で切断する。上記スリットカッター221に対向する位置には、外装体連続部材11Sを挟んで受けロール222が配されている。そして、切断された外装体の腹側部21と背側部23との間隔を所定の間隔に拡幅する。この拡幅する手段しては、例えば、外装体の腹側部21と背側部23のそれぞれの上下に配された拡幅ロール223、224および拡幅ロール225、226を用いることが好ましい。この拡幅ロール223〜226によって、切断したそれぞれの外装体連続部材11Sが所定間隔に離間される。上記拡幅手段は上記拡幅ロール223〜226に限定されることはなく、外装体の腹側部21と背側部23との間隔を拡幅するものであれば如何なる手段であってもよい。
そして離間された外装体の腹側部21と背側部23とは、互いが平行になるように案内される。この平行に案内する手段として、平行化案内ロール(図示せず)を用いることが好ましい。この平行化案内ロールは、例えば、外装体の腹側部21と背側部23のそれぞれの上下に配されたロールから構成される。この平行に案内する手段は、上記案内ロールに限定されることはなく、外装体の腹側部21と背側部23との間隔を平行にするものであれば如何なる手段であってもよい。
この所定間隔を含むパンツ型おむつ10の寸法等は、サイズや用途に応じて適宜選択する。なお、前述した弾性体切断工程は、外装体連続部材11Sをその幅方向の中央部で切断した後、または切断と同時に行ってもよい。
【0059】
次に、吸収性本体形成部4より供給される吸収性本体連続体40Sを切断して得た吸収性本体40を外装体連続部材11Sの腹側部21と背側部23との所定の位置に配置する。このとき、吸収性本体40は、その長手方向が腹側部21と背側部23とに対して、例えば直角方向になるように配される。吸収性本体40の外装体連続部材11Sへの固定は、外装体連続部材11Sの伸長状態を維持したままで行う。例えば、外装体連続部材11Sが弾性体連続部材3Sの収縮力により縮まないように維持しながら、吸収性本体40を固定する。吸収性本体40にもその長手方向に収縮する弾性部材が配されていることが一般的であるが、そのような場合にも、吸収性本体40を、収縮しないように維持しながら外装体連続部材11Sに対して固定する。その際、吸収性本体40または外装体連続部材11Sには予め接着剤を塗工しておく。
【0060】
続いて、外装体連続部材11Sの幅方向外側の端部を、吸収性本体40の長手方向両端部を覆うように折り返し、その折り返し部分で吸収性本体40を固定する。その際、折り返し部分の内面側、吸収性本体40等の所定位置には、予め接着剤を塗工しておく。外装体連続部材11Sの折り返し部分(前記
図2に示した内層材31の折り返し部分)は、第2シート材2S(内層材31)で形成するため、第2シート材2Sは、第1シート材1S(外層材33)より広い幅のシートを用いる。
【0061】
次に、吸収性本体40の長手方向を二つ折りにするとともに、外装体連続部材11Sの腹側部21と外装体連続部材11Sの背側部23とを第2シート材2Sを内側に対向させて重ね合わせる。続いて、腹側部21と背側部23とを所定間隔で接合してサイドシール部25を形成するサイドシール工程を行う。接合は外装体連続部材11Sおよび外装体連続部材11Sの幅方向に行う。このサイドシール工程における所定間隔はパンツ型おむつ10の幅方向の長さを決めるものである。このようにして、パンツ型おむつ連続体10Sを得る。
【0062】
続いて、外装体の腹側部21と背側部23を合わせてなる上記パンツ型おむつ連続体10Sを幅方向に切断し、個々のパンツ型おむつ10(10A)に分離する。この結果、パンツ型おむつ10(10A)が完成し、前述のパンツ型おむつの第1実施例で説明した構成を得ることができる。パンツ型おむつ連続体10Sの切断は、サイドシールを行って得た接合部で行う。具体的には、1箇所の接合部は2本のサイドシール部が外装体連続部材11Sの幅方向に形成されており、切断は2本のサイドシール部間で行う。
【0063】
上述の製造方法の第1の実施態様では、第1シート材1Sをスリットして形成した複数本のテープ状シート材33Tを、スリット状態を維持し、それぞれが重なることなく且つ幅方向に間隔を開けることなく配された状態で第2シート材2Sと積層することで、内層材31と外層材33からなる外装体11を得る。なお、第1シート材1Sをスリットせず、予め所望の幅に作製された複数本のテープ状シート材33Tを配列させて用いることもできる。外装体スリットカッター221を用いずに、腹側部用の外装体連続部材11Sと背側部用の外装体連続部材11Sとを別に並列に製造してもよい。
【0064】
本発明のパンツ型着用物品の製造方法により、従来のパンツ型着用物品と同様の伸縮性を維持して着用者の身体への適合性および身体の動きに対する可動性を保ちつつ、外層材33がスリットされている作用で襞の量が増えて腰周り領域が柔らかくなり、かつ同領域の通気性を高めることができ、蒸れを低減できる。さらに、外装体11が内層材31と外層材33の2層構造になり、かつ隣接しているので、肌が透けにくくなり、肌の隠蔽性を高めることができるパンツ型着用物品を容易に製造することができる。
これにより、通気性が高められるので、蒸れを低減し、肌の隠蔽性に優れたパンツ型おむつ10(10A)を提供することができる。
【0065】
次に、本発明の製造方法の第2の実施態様について、
図10を参照して、以下に説明する。第2の実施態様は、前述のパンツ型おむつ10(10B)を製造する一方法である。
【0066】
図10に示すように、第2の実施態様の製造方法は、前述の第1の実施態様の製造方法において、ニップロール217、218とカットロール219、受けロール220との間に、シールロール231が配されていて、第1シート材1S(テープ状シート材33T)、弾性体連続部材3S(弾性体35)、および第2シート材2S(内層材31)を重ね合わせた状態で、シールロール231に通すシール工程を行う。上記シールロール231に対向する位置には、外装体連続部材11Sを挟んで受けロール232が配されている。上記シールロール231によって、テープ状シート材33Tの幅方向の両側に間隔をおいてシール部37を形成して、テープ状シート材33Tを第2シート材2Sに固定する。このシール部37の形成には、エンボス接合を用いることが好ましい。エンボス接合とすることで、シート材料の風合いを接着剤の硬化などにより損ねることがなく、良好な肌触りを維持することできる。
また上記弾性体連続部材3Sは、テープ状シート材33Tと第2シート材2Sとの間で、かつ、シール部37、37(
図10では図示せず、前記
図4(3)参照。)間にあって、しかも、前記エンボス接合する以前の工程で接着剤により間欠的にテープ状シート材33T、第2シート材2Sに固定される。したがって、弾性体連続部材3Sは大部分でテープ状シート材33Tおよび第2シート材2Sに対して自由になっている。これにより、テープ状シート材33T(外層材33)の幅方向における通気性を向上させることができる。
上記接着剤は、第2シート材2Sとテープ状シート材33Tに塗工されることが好ましい。図面では、第2シート材2Sとテープ状シート材33Tの両方に塗工する場合を示したが、弾性体連続部材3Sが細く接着剤が弾性体連続部材3Sの周囲を回り込める場合にはどちらか一方に塗工してもよい。なお、上記接着剤は弾性体連続部材3Sの方に塗ることもできる。その場合、弾性体連続部材3Sへの塗布位置は第2シート材2Sとテープ状シート材33Tとの合流の直前で行うことが好ましい。
【0067】
さらに上記シール工程では、伸長した状態の弾性体連続部材3Sを間にして、テープ状シート材33Tと第2シート材2Sとが2層となる不織布部分に規則正しくシール部37(前記
図4(3)参照。)を形成することで、弾性体連続部材3S(弾性体35)が縮んだときにテープ状シート材33T(外層材33)によって襞(図示せず)を形成することができる。すなわち、弾性体連続部材3Sからなる弾性体が収縮することにより間欠的に固定された間のテープ状シート材33Tが外側(非肌当接面側)に盛り上がる。これによって上記襞が形成される。
このようにして、外装体11となる外装体連続部材11Sを得る。
【0068】
次に、前述の第1の実施態様で説明したカットロール219を用いた弾性体切断工程以降の工程を順次行い、パンツ型おむつ10(10B)(例えば、前記
図4参照。)を完成させる。なお、この実施態様においては、弾性体切断工程は吸収体が配置される領域の中央の位置の1箇所で弾性体35を切断する。または弾性体切断工程は必須ではないので弾性体35を切断しなくてもよい。
【0069】
本発明の製造方法の第2の実施態様では、前述の第1の実施態様と同様の効果が得られるとともに、テープ状シート材33T(外層材33)が形成された領域の通気性を向上させることができる。また、テープ状シート材33Tを固定するのと同時に外層材33の幅方向に襞を形成することができる。これによって、装飾的美観を与えることができる。
また、弾性体連続部材と第1シート材1Sまたは第2シート材2Sとの固定、および第1シート材1Sと第2シート材2Sとの固定において、第1の実施態様と比べて、多くの接着剤が不要となり環境負荷低減が可能となり、またコスト低減となる。
【0070】
次に、本発明の製造方法の第3の実施態様について、
図11を参照して、以下に説明する。第3の実施態様は、前述のパンツ型おむつ10(10C)を製造する一方法である。
【0071】
図11に示すように、上側より第1シート材1Sが供給されるとともに、下側より第2シート材2Sが供給される。第1シート材1Sは外層材33を形成するものであり、それ自体が長手方向(腰周り方向)に伸縮性を有する。一例として伸縮性シートの表面に繊維層を有するものである。したがって、前述の第1の実施態様とは異なり、弾性体35は用いていない。第2シート材2Sは内層材31を形成するものである。
【0072】
まず、凹凸ロール241によって、上記第1シート材1Sの表面全域に延伸加工としての歯溝加工を施す。この結果、第1シート材1Sの幅方向に溝34(
図11では図示せず、前記
図5(3)参照。)が付けられる。この歯溝加工によって、第1シート材1Sにおいてその長手方向に伸縮シートの伸縮性を阻害せずに繊維層に伸長性を与えて、第1シート材1Sに伸縮性を発現させる。この溝34の間隔は、第1シート材1Sの不織布の厚さにもよるが、例えば、前述のパンツ型おむつ10Cに準じた間隔とする。また、凹凸ロール241に対向する位置には該ロール241と噛み合う凹凸ロール242が配されている。
【0073】
次に、前述の第1の実施態様で説明した外層材スリットカッター211により、上記歯溝加工が施された第1シート材1Sを複数本に分割してテープ状シート材33Tを得る。そして第1シート材1Sのスリットした状態を維持して、テープ状シート材33T、33T間の間隔を開けることなく、かつ重なることなくニップロール217に巻き付けた状態で、ニップロール217、218間に搬送される。なお、外層材スリットカッター211により第1シート材1Sを複数本に分割した後に、前述の歯溝加工を施してもよい。
【0074】
一方、第2シート材2Sは、接着剤塗工装置215により供給された接着剤(図示せず)が付けられた状態で供給される。接着剤は、次工程でテープ状シート材33Tのそれぞれが貼り合わされる位置のほぼ中央部に供給されることが好ましく、その供給方法は連続的であっても間欠的であってもよい。
【0075】
このようにして、ニップロール217、218間に、第2シート材2S上に所定の間隔を置いてテープ状シート材33Tが供給される。そして、ニップロール217、218間に上記第2シート材2S、テープ状シート材33Tを通すことによって、ロール間の圧力によって第2シート材2Sに付けられた接着剤により第2シート材2Sとテープ状シート材33Tとが接着される。
この結果、外装体11となる外装体連続部材11Sを得る。
【0076】
次に、前述の本発明の製造方法の第1の実施態様で説明した外装体スリットカッター221を用いた外装体切断工程以降の工程を順次行い、パンツ型おむつ10(10C)(例えば、前記
図5参照。)を完成させる。
【0077】
本発明の製造方法の第3の実施態様では、前述の第1の実施態様と同様の効果が得られる。それとともに、テープ状シート材33T自体に伸縮性が付与されているので、第1シート材1S(外層材33)と第2シート材2S(内層材31)との間に弾性体を配する必要がないため、その分、材料の削減、材料費の低減が図れる。
【0078】
次に、本発明の製造方法の第4の実施態様について、
図12を参照して、以下に説明する。第4の実施態様は、前述のパンツ型おむつ10(10D)を製造する一方法である。
【0079】
この第4の実施態様は、前述の第1の実施態様において、ニップロール217、218によって、内層材31となる第2シート材2Sと外層材33となるテープ状シート材33T(第1シート材1S)とを弾性体連続部材3Sを介して接着させる工程と、カットロール219による弾性体切断工程との間に、延伸工程としての歯溝工程を行う製造方法である。歯溝工程を行う以外は、前述の第1の実施態様と同様である。ここでの歯溝工程は、テープ状シート材33Tおよび内層材31に凹凸ロール241の歯を押し当てることで、例えば外層材33を構成する伸長シートの伸長性を阻害せずに繊維層に伸長性を与える工程である。その結果、例えばテープ状シート材33Tに間隔をおいて溝34(
図12では図示せず、前記
図6参照。)が付けられる。この溝34の間隔は、例えば、前述のパンツ型おむつ10Cの溝と同様な間隔とすることが好ましい。なお、凹凸ロール241に対向する位置には該ロール241と噛み合う凹凸ロール242が配されている。
【0080】
まず、前述の第1の実施態様と同様にして、第2シート材2S(内層材31)に、第1シート材1S(外層材33)をスリットカッター211により複数本にスリットしたテープ状シート材33Tを幅方向に間隔を開けることなく且つテープ状シート材33T、33T同士が重なることなく、スリットした状態を維持して貼り合わせる。このテープ状シート材33Tは、一例として伸縮性のない不織布である。続いて、凹凸ロール241によって、弾性体連続部材3Sを介在させて貼り合わせたテープ状シート材33Tと内層材31に延伸加工としての歯溝加工を施す。これによって、弾性体連続部材3S(弾性体35)の伸縮性を阻害しないよう、テープ状シート材33Tおよび内層材31においてその長手方向に伸長性を発現させる。なお、歯溝加工によって弾性体連続部材3Sの伸縮性には影響はない。この歯溝加工を行った結果、上記テープ状シート材33Tの表面には、その幅方向に凹凸(凹は溝34)が付与される。この溝34の間隔は、第1シート材1Sの不織布の厚さにもよるが、例えば、前述のパンツ型おむつ10Cに準じた間隔とする。なお、上記延伸加工はテープ状シート材33Tと内層材31を伸長可能にする方法であれば、加工方法は歯溝加工に限定されない。
【0081】
上述の第4の実施態様では、前述の第1の実施態様と同様の効果が得られる。それとともに、テープ状シート材33T(外層材33)および内層材31に伸長性が発現されるので、パンツ型おむつの外装体11(前記
図6参照。)の腰周り方向に伸縮性を与えることができる。また、テープ状シート材33Tに溝34が形成されることによって襞が形成されやすくなる。
【0082】
次に、製造方法の第5の実施態様について、
図13を参照して、以下に説明する。第5の実施態様は、前述のパンツ型おむつ10(10A)を製造する別の製造方法である。
【0083】
図13に示すように、第5の実施態様では、予め、第1シート材1Sを、外装体11の腹側部21を形成する第1シート材1SAと、背側部23を形成する第1シート材1SBとに分けた状態で供給する。同様に、第2シート材2Sを、腹側部21を形成する第2シート材2SAと、背側部23を形成する第2シート材2SBとに分けた状態で供給する。すなわち、腹側部、背側部の幅に応じた第1シート材1SA、1SB、第2シート材2SA、2SBを用いる。そして、外層材スリットカッター211A、211Bにより上記第1シート材1SA、S1Bをそれぞれ複数本に分割してテープ状シート材33T(33TA)、33T(33TB)を得る。そして各テープ状シート材33T、33T間の間隔を開けることなく、かつテープ状シート材33T、33T同士が重なることなく、第1シート材1SA、1SBのスリットした状態を維持して、ニップロール217に巻き付け、その状態でニップロール217、218間に搬送する。
その後の工程は、外装体スリットカッターを用いた外装体連続部材11Sの切断工程を行わない以外、前述の第1の実施態様と同様である。
【0084】
または、
図14に示すように、上記第1シート材1Sを第1シート材1SA、1SBに分けるのは、スリットカッター216Aにより、上記第2シート材2Sを第2シート材2SA、2SB分けるのは、スリットカッター216Bによってもよい。この場合、スリットした後、拡幅手段(図示せず)によって所定の間隔に第1シート材1SAと第1シート材1SBの間隔を広げるとともに、別の拡幅手段(図示せず)によって上記所定の間隔に第2シート材2SAと第2シート材2SBの間隔を広げる。上記各拡幅手段としては拡幅ロールを用いることができる。また、図示はしていないが、拡幅したシートの搬送方向を平行にする手段を配することが好ましい。シートの搬送方向を平行にする手段として平行案内ロールが挙げ有れる。
そして、前述したように、外層材スリットカッター211A、211Bにより上記第1シート材1SA、S1Bをそれぞれ複数本に分割してテープ状シート材33T(33TA)、33T(33TB)を得る。続いてニップロール217、218間に、第1シート材1Sと第2シート材2Sとの間に弾性連続部材3Sを挟むようにして、第1シート材1Sと第2シート材2Sとを送る。その後は、第1の実施態様と同様の工程が行われる。このように、弾性連続部材3Sを挟んだ第1シート材1Sと第2シート材2Sとからなる外装体11は腹側部21と背側部23とに分けられて製造される。したがって、前述の第1の実施形態のように、外装体11をスリットする工程は行わない。
【0085】
上記第5の実施態様では、前述の第1の実施態様と同様な効果が得られる。また、予め、第1シート材1Sをスリットすることなく、初めから所定幅の第1シート材1SA、1SBを供給し、同様に第2シート材2Sをスリットすることなく、初めから所定幅の第2シート材2SA、2SBを供給する場合には、外装体スリットカッターを設置する必要がない。よって、製造設備を削減することができ、製造コストを低減することができる。
【0086】
上記製造方法の第5の実施態様のように、第1シート材1SAと第1シート材1SBとを分けた状態で供給する方法は、前述の第2の実施態様〜第4の実施態様に適用することができる。いずれの場合も、その後の工程は、外装体スリットカッターを用いた外装体連続部材11Sの切断工程を行わない以外、それぞれ前述の第2の実施態様〜第4の実施態様と同様である。
【0087】
次に、本発明に係るパンツ型おむつの製造方法の好ましい一実施形態(第2実施形態)について、
図15を参照して、以下に説明する。第2実施形態は、従来のレッグホールを有するパンツ型おむつの製造方法に本発明の製造方法を適用した一例であり、前述のパンツ型おむつ100を製造する方法である。
【0088】
図15に示すように、上側より第1シート材1S(1SA、1SB)を供給するとともに、下側より第2シート材2Sを供給し、また第1シート材1SA、1SBのそれぞれと第2シート材2Sとの間に弾性体35となる弾性体連続部材3Sを同時に供給する。第1シート材1SAは腹側の外層材33を形成するものであり、第1シート材1SBは背側の外層材33を形成するものであり、第2シート材2Sは内層材31を形成するものである。
図15に示すように、第2実施形態では、第1シート材1SAと第1シート材1SBとを、幅方向に離間させた状態で、一枚の第2シート材2Sに供給する。これらの第1シート材1S(外層材33)、第2シート材2S(内層材31)および弾性体連続部材3S(弾性体35)は、それぞれ上述したパンツ型おむつの第1実施例で説明したのと同様な材料を用いる。
【0089】
先ず、外層材スリットカッター211によって上記第1シート材1SA、1SBのそれぞれを複数本に分割してテープ状シート材33TA、33TBを形成する。上記スリットカッター211に対向する位置には、第1シート材1SA、1SBを挟んで受けロール212が配されている。次に第1シート材1SA、1SBのそれぞれは、スリットされて得たテープ状シート材33T、33T間の間隔を開けることなく且つテープ状シート材33T、33T同士が重なることなく、スリットした状態を維持して、ニップロール217、218間に搬送される。テープ状シート材33T(分割された第1シート材1S)は、その幅が前述したパンツ型おむつ10Aの外層材33と同様の幅に作製される。
【0090】
また、複数本の弾性体連続部材3Sを並列に用意し、それぞれを伸長させた状態で、かつ、第2シート材2Sとそれぞれのテープ状シート材33Tとの間に供給する。このとき、上記テープ状シート材33Tおよび弾性体連続部材3Sは、テープ状シート材33Tの幅方向の中心に弾性体連続部材3Sの幅方向の中心が一致するように供給することが好ましい。その際に、第2シート材2Sとテープ状シート材33Tは、前述の第1の実施態様で説明したのと同様な方法により、接着剤塗工装置(図示せず)により接着剤(図示せず)が塗工される。上記接着剤塗工装置(図示せず)には例えばホットメルトガンを用い、この場合の接着剤にはホットメルト接着剤を用いる。
【0091】
このようにして、ニップロール217、218間に上記第2シート材2SA、2SB、弾性体連続部材3S、テープ状シート材33TA、33TBを通す。そして、ロール間の圧力によって、上記塗工されたホットメルト接着剤により第2シート材2Sとテープ状シート材33Tとを弾性体連続部材3Sを介して接着して、外装体11となる外装体連続部材11Sを得る。
【0092】
その後、弾性体連続部材3Sはカットロール219と受けロール220との間に搬送される。そして、カットロール219により、後の工程で吸収性本体40が付けられる領域にある弾性体連続部材3Sの弾性機能を発現させなくする弾性体切断工程を行う。この切断方法は、前述の第1の実施態様で説明したのと同様である。
【0093】
次に、前述の第1の実施態様と同様にして、吸収性本体形成部4より供給される吸収性本体連続体40Sを切断して得た吸収性本体40を外装体連続部材11Sの腹側部21と背側部23との所定の位置に配置する。続いて、外装体連続部材11Sの幅方向の両端を、吸収性本体40の長手方向両端部を覆うように折り返し、その折り返し部分で吸収性本体40を固定する。
【0094】
次に、外装体連続部材11Sに固定された吸収性本体40の両側部分にレッグホール110を開口する。
【0095】
次に、吸収性本体40の長手方向を二つ折りにするとともに、外装体連続部材11Sの腹側部21と外装体連続部材11Sの背側部23とを第2シート材2Sを内側に対向させて重ね合わせ、腹側部21と背側部23とをその幅方向に所定間隔で接合するサイドシール工程以降の工程を行い、パンツ型おむつ100を完成させる。
【0096】
上述の第2実施形態の製造方法では、前述の第1の実施態様と同様に、従来のパンツ型着用物品と同様の伸縮性を維持して着用者の身体への適合性および身体の動きに対する可動性を保ちつつ、外層材33がスリットされている作用で襞の量が増えて腰周り領域が柔らかくなり、かつ同領域の通気性を高めることができ、蒸れを低減できる。さらに、外装体11が内層材31と外層材33の2層構造になり、かつ隣接しているので、肌が透けにくくなり、肌の隠蔽性を高めることができるパンツ型おむつ100を提供することができる。
【0097】
上記説明したように、本発明のパンツ型着用物品によれば、外層材33を身丈方向に複数配し、外層材同士が重なることなく、かつ隣接するように配することで、パンツ型着用物品10,100の外層材33が襞の量が増えて腰周り領域を柔らかくし、かつ同領域の通気性を高めることができ、蒸れを低減できる。さらに、外装体11が内層材31と外層材32の2層構造になり、かつ隣接しているので、肌が透けにくくなり、肌の隠蔽性を高めることができる。
また本発明のパンツ型着用物品の製造方法によれば、上記の、伸縮性、身体への適合性、通気性、肌の隠蔽性等を向上させたパンツ型着用物品を容易に製造することができる。
【0098】
上記各実施形態においては本発明のパンツ型着用物品としてパンツ型おむつを例に示したが、吸収性本体を肌面側に配置して用いられるパンツ型おむつカバーであることも好ましい。ここで吸収性本体は、排泄される尿等を吸収するものであれば特に限定されないが、例えば尿とりパッド等の吸収パッドが挙げられる。吸収パッドは、例えば、液透過性の表面シート、液不透過性の防漏シート、および両シート間に介在された液保持性の吸収体を具備し、平面視矩形状等の縦長形状に形成されたものが挙げられる。そして、吸収パッドの長手方向の両側には、左右一対の立体ガードが形成されていることが好ましく、各立体ガードは、吸収パッドの長手方向の両側に、立体ガード弾性部材を有する立体ガード形成用のシート材が配設されていることが好ましい。このような吸収パッドの長手方向を着用者の背側から腹側に股間を介してわたすようにして、該パッドの液透過シート側を着用者の肌に当接するよう配置する。おむつカバーは、この吸収パッドを覆うようにして着用することが好ましい。
また本発明のパンツ型着用物品は、上述のようなパンツ型のおむつのほか、生理用ショーツ、ショーツ型ナプキンなどの、パンツ型の構造を有する吸収性物品一般を含む概念である。このパンツ型着用物品は、乳幼児用のものであっても、成人用のものであってもよい。また、吸収性本体を具備しない使い捨て下着であってもよい。
【0099】
上述した実施形態および実施態様に関し、さらに以下の付記(パンツ型着用物品、パンツ型着用物品の製造方法)を開示する。
【0100】
<1>着用者の腹側に配される腹側部と、股間部に配される股下部と、背側に配される背側部とを有し、腹側部の側縁部と背側部の側縁部とが接合されてパンツ型に形成されているパンツ型着用物品であって、
前記腹側部および前記背側部は、第1シート材と第2シート材とが積層されている外装体から構成されており、
前記第1シート材は、前記外装体の身丈方向に複数配され、複数の前記第1シート材は互いに重なることなく、かつ隣接するように配され、
前記外装体は、腰周り方向に伸縮性を有するパンツ型着用物品。
<2>前記積層領域は、前記第1シート材と前記第2シート材との間に弾性体を具備する、または前記第1シート材および前記第2シート材の両方またはどちらか一方が伸縮性を有する材料で形成されている前記<1>に記載のパンツ型着用物品。
<3>前記弾性体を介して前記第1シート材が前記第2シート材に接着剤によりに接着されている前記<2>に記載のパンツ型着用物品。
<4>前記弾性体は伸長状態でその両端が接着剤により前記第1シート材及び前記第2シート材に固定され、前記第1シート材と前記第2シート材が2層となる部分に複数のシール部が配置され、該パンツ型着用物品の幅方向に隣接する前記シール部間で、前記第1シート材と前記第2シート材のそれぞれに襞が形成されている前記<2>または<3>に記載のパンツ型着用物品。
<5>前記第1シート材および前記第2シート材の両方またはどちらか一方は、延伸加工が施されている前記<2>〜<4>のいずれか1に記載のパンツ型着用物品。
<6>前記第1シート材自体が腰周り方向に伸縮性を有し、前記第1シート材が伸長状態で前記第2シート材に付けられている前記<2>〜<5>のいずれか1に記載のパンツ型着用物品。
<7>前記弾性体が前記第1シート材と前記第2シート材との間に挟持されている前記<6>に記載のパンツ型着用物品。
<8>弾性体を介して固定された前記第1シート材と前記第2シート材は、腰周り方向に延伸加工が施され、前記弾性体は伸長状態で前記第1シート材および前記第2シート材に固定されている前記<2>〜<7>のいずれか1に記載のパンツ型着用物品。
<9>前記第1シート材は、その幅方向における一部で前記第2シート材と固定され、自由端となった前記第1シート材の縁部にフリルが形成されている前記<1>〜<8>のいずれか1に記載のパンツ型着用物品。
<10>前記第1シート材は、その幅方向における中央部で前記第2シート材と固定されている前記<9>に記載のパンツ型着用物品。
<11>前記外装体は、延伸加工が施されている前記<1>〜<10>のいずれか1に記載のパンツ型着用物品。
<12>前記第1シート材は、その幅方向における中央部で前記第2シート材と固定され、自由端となった前記第1シート材の縁部にフリルが形成されている前記<1>〜<11>のいずれか1に記載のパンツ型着用物品。
<13>前記第1シート材は、外装体を構成する外層材である前記<1>〜<12>のいずれか1に記載のパンツ型着用物品。
<14>前記第1シート材は、外装体を構成する内層材である前記<1>〜<12>のいずれか1に記載のパンツ型着用物品。
<15>前記第1シート材の幅は、1mm以上であって、3mm以上が好ましく、5mm以上がより好ましい前記<1>〜<14>のいずれか1に記載のパンツ型着用物品。
<16>前記第1シート材の幅は、60mm以下であって、40mm以下が好ましく、30mm以下がより好ましい前記<1>〜<15>のいずれか1に記載のパンツ型着用物品。
<17>前記第1シート材の幅は、1mm〜60mmであって、3mm〜40mmが好ましく、5mm〜30mmがより好ましい前記<1>〜<16>のいずれか1に記載のパンツ型着用物品。
<18>前記第2シート材は前記外装体を構成する内層材であり、前記外層材はその幅方向の中央部で前記内層材に固定されている前記<1>〜<17>のいずれか1に記載のパンツ型着用物品。
<19>パンツ型着用物品はパンツ型おむつであり、前記腹側部と前記背側部を形成する前記外装体と、前記股下部を形成する吸収性本体とで構成されている前記<1>〜<18>のいずれか1に記載に記載のパンツ型着用物品。
<20>前記外装体が前記股下部にも配された前記<1>〜<19>のいずれか1項に記載のパンツ型着用物品。
<21>前記外装体の肌当接面側に吸収性本体が配された前記<1>〜<20>のいずれか1に記載のパンツ型着用物品。
【0101】
<22>パンツ型着用物品の製造方法であって、
複数本のテープ状の第1シート材を、その幅方向に互いに重なることなく、かつ隣接するように配列して準備する工程と、
前記複数本の第1シート材の配列した状態を維持して、第2シート材と積層するとともに固定して外装体を得る工程と、
着用者の腹側に配される腹側部と着用者の背側に配される背側部の前記外装体を互いに重ね合わせ、前記外装体を所定間隔で接合する工程と、
前記外装体を幅方向に切断し個々のパンツ型着用物品に分離する工程と、
を備えるパンツ型着用物品の製造方法。
【0102】
<23>前記テープ状の第1シート材を準備する工程では、シート材を幅方向に複数にスリットして第1シート材を形成している前記<22>に記載のパンツ型着用物品の製造方法。
<24>前記接合する工程では、前記第2シート材同士を内側に対向させて2組の前記外装体を互いに重ね合わせる前記<22>または<23>に記載のパンツ型着用物品の製造方法。
<25>前記第1シート材と前記第2シート材との間に、弾性体を介在させて接合する前記<22>〜<24>のいずれか1に記載のパンツ型着用物品の製造方法。
<26>前記第1シート材と前記第2シート材との間に弾性体を介在させた状態で、前記弾性体の存在していない領域の前記第1シート材と前記第2シート材同士をエンボス接合する前記<22>〜<24>のいずれか1に記載のパンツ型着用物品の製造方法。
<27>前記弾性体は、複数本の弾性体連続部材を用意し、それぞれが伸長された状態で、かつ、接着剤塗工装置により供給された接着剤が付された状態で供給される前記<25>または<26>に記載のパンツ型着用物品の製造方法。
<28>前記腹側部の第1シート材と前記背側部の第1シート材とを、幅方向に離間させた状態で、一枚の前記第2シート材に供給する前記<22>〜<27>のいずれか1に記載のパンツ型着用物品の製造方法。
<29>前記第1シート材と前記第2シート材とを積層させる前に、前記第1シート材および前記第2シート材のいずれか一方もしくは両方に、または前記第1シート材および前記第2シート材を積層状態にした後に、延伸加工を施す前記<22>〜<28>のいずれか1に記載のパンツ型着用物品の製造方法。
<30>前記パンツ型着用物品は吸収性本体を備え、吸収性本体を前記外装体の所定の位置に配置する前記<22>〜<29>のいずれか1に記載のパンツ型着用物品の製造方法。
<31>前記吸収性本体を前記外装体の所定の位置に配置する前に、該吸収性本体が付けられる部分について、弾性体の弾性機能を発現させなくする弾性体切断工程を備える前記<30>に記載のパンツ型着用物品の製造方法。