(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
  しかしながら、前記従来の吐出容器では、内容物の吐出量を把握し易くすることについて改善の余地がある。
【0005】
  本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、内容物の吐出量を把握し易くすることができる吐出容器を提供することを目的とする。
 
【課題を解決するための手段】
【0006】
  前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
  本発明に係る吐出容器は、複数の容器体に各別に収容された複数種の内容物を、同一の吐出孔から同時に吐出する吐出容器であって、前記複数の容器体の各口部に一体に装着されるとともに、前記各口部に連通する連通孔が形成されたジョイント部と、前記ジョイント部に容器軸回りに回転可能に装着されるとともに、前記吐出孔が形成された回転筒部と、前記回転筒部を覆うように前記ジョイント部に着脱可能に螺着され、前記吐出孔を開閉するオーバーキャップと、を備え、前記吐出孔は、前記回転筒部において、容器軸方向に沿ったオーバーキャップ側である上側に位置する上端部内に設けられ、前記回転筒部内は、前記連通孔と前記吐出孔とを各別に連通する複数の連通路に区画され、前記連通路において、容器軸方向に沿った容器体側である下側に位置する下端開口部は、容器軸に対して偏心し、前記回転筒部と前記オーバーキャップとの間には、前記オーバーキャップを前記ジョイント部に対して締め込むときおよび緩めるときの一方で、前記オーバーキャップの前記回転筒部に対する容器軸回りの回転を許容し、他方で、前記回転筒部を前記オーバーキャップとともに容器軸回りに回転させる逆止機構が設けられている。
【0007】
  この発明では、内容物を吐出するときには、オーバーキャップをジョイント部から離脱させて吐出孔を開放した状態で、複数種の内容物を、複数の容器体の各口部からジョイント部の連通孔を通して複数の連通路に導入し、同一の吐出孔から同時に吐出させる。連通路に導入された内容物のうち、吐出孔に到達せず吐出孔から吐出されなかった内容物は、連通路内に保持されて回転筒部内に留まる。内容物の吐出の終了後は、オーバーキャップをジョイント部に装着させて吐出孔を閉塞する。
  内容物を再び吐出するときには、オーバーキャップをジョイント部から再度、離脱させる。ここで、オーバーキャップをジョイント部に着脱させる過程において、オーバーキャップをジョイント部に装着させるとき、またはオーバーキャップをジョイント部から離脱させるときの一方で、逆止機構が、回転筒部をオーバーキャップとともに回転させる。これにより、オーバーキャップの着脱の前後で、連通路の下端開口部が周方向に変位し、この下端開口部と、ジョイント部の連通孔と、の周方向の位置関係が変化する。
  その後、内容物を、連通孔を通して連通路に新たに導入すると、この内容物によって、連通路内に保持されていた内容物が徐々に押し出されて吐出孔から吐出される。その結果、吐出孔からは、オーバーキャップの着脱前である前回の吐出時に連通路内に保持された内容物が吐出された後、オーバーキャップの着脱後である今回の吐出時に連通路に新たに導入された内容物が吐出される。
  ここでこの吐出容器では、オーバーキャップの着脱の前後で、連通路の下端開口部と連通孔との周方向の位置関係が変化することから、前回の吐出時に連通路内に保持された内容物が吐出孔から吐出される吐出態様と、今回の吐出時に連通路に導入された内容物が吐出孔から吐出される吐出態様と、を異ならせることができる。これにより、吐出孔から吐出される内容物を、連通路内に保持されていた内容物と、連通路に新たに導入された内容物と、に容易に区別することができる。したがって、例えば連通路内に保持されていた内容物の量を基準として、内容物の全体の吐出量を把握すること等が可能になり、内容物の吐出量を把握し易くすることができる。
【0008】
  また、前記逆止機構には、前記回転筒部の外面に設けられ、凹部と凸部とが周方向に交互に配置されてなる第1凹凸部と、前記オーバーキャップの内面に設けられ、凹部と凸部とが周方向に交互に配置されてなる第2凹凸部と、が備えられ、前記逆止機構は、前記オーバーキャップを前記ジョイント部に対して締め込むときおよび緩めるときの一方で、前記第1凹凸部および前記第2凹凸部の各凸部を互いに乗り越えさせ、他方で、前記各凸部を互いに係止させ、前記第1凹凸部における凹部は、上側に向けて開口し、前記第2凹凸部における凹部は、下側に向けて開口していてもよい。
【0009】
  この場合、第1凹凸部における凹部が、上側に向けて開口し、第2凹凸部における凹部が、下側に向けて開口しているので、オーバーキャップをジョイント部に対して緩めて螺着を解除し、オーバーキャップをジョイント部から引き抜くときに、第1凹凸部の凹部から第2凹凸部の凸部をスムーズに引き抜き、かつ第2凹凸部の凹部から第1凹凸部の凸部をスムーズに引き抜くことができる。さらに、オーバーキャップをジョイント部に対して締め込むため、オーバーキャップをジョイント部に対して覆い被せるときには、第1凹凸部の凸部を第2凹凸部の凹部にスムーズに差し込み、かつ第2凹凸部の凸部を第1凹凸部の凹部にスムーズに差し込むことができる。
  以上より、オーバーキャップをジョイント部に対してスムーズに着脱させることが可能になり、この吐出容器の操作性を向上させることができる。
【0010】
  また、前記オーバーキャップは、下側から上側に向けて漸次縮径する多段筒状に形成され、前記オーバーキャップのうち、下側に位置する大径部には、前記ジョイント部に形成された雄ねじ部にねじ込まれる雌ねじ部が設けられ、上側に位置する小径部と前記回転筒部の間に、前記逆止機構が設けられていてもよい。
【0011】
  この場合、オーバーキャップをジョイント部に対して締め込むときおよび緩めるときには、オーバーキャップの大径部を把持した状態で、オーバーキャップとジョイント部とを容器軸回りに相対的に回転させる。
  ここで雌ねじ部が、オーバーキャップのうち、小径部ではなく大径部に設けられているので、オーバーキャップのうち、雌ねじ部が設けられた部分の外径を、把持に好適な程度に大きく確保し易くすることが可能になり、この吐出容器の操作性を向上させることができる。
  また逆止機構が、オーバーキャップのうち、大径部ではなく小径部と回転筒部との間に設けられているので、オーバーキャップに加えられた回転力を、逆止機構を介して回転筒部に効果的に伝達することが可能になり、この吐出容器の操作性を一層向上させることができる。
【0012】
  また、前記ジョイント部には、前記各口部を上側から覆う閉塞壁部が備えられ、前記連通孔は、前記閉塞壁部に複数設けられ、前記各口部に各別に連通するとともに容器軸に対して偏心し、前記回転筒部は、前記閉塞壁部に上側から当接する底壁部を有する有底筒状に形成され、前記複数の連通路の各下端開口部は、前記底壁部に開口して複数の前記連通孔に各別に連通してもよい。
【0013】
  この場合、複数種の内容物を、各口部から連通孔を通して複数の連通路に導入するときに、内容物は、この内容物が収容された容器体の口部に連通する連通孔から、この連通孔に連通する連通路の下端開口部に導入される。これにより、各連通路に、一種類の内容物を限定して導入することができる。
  ここで、オーバーキャップをジョイント部に着脱させ、連通路の下端開口部と連通孔との周方向の位置関係を変化させることで、連通路の下端開口部が連通する連通孔を、オーバーキャップの着脱の前後で異なる連通孔に切り替えることができる。これにより、連通路内に導入される内容物の種類を、オーバーキャップの着脱の前後で異ならせることができる。
【0014】
  また、前記ジョイント部には、容器軸と同軸に配置された流路筒部が備えられ、前記流路筒部内は、前記各口部に各別に連通する複数の区画流路に区画され、前記区画流路の上端開口部は、容器軸に対して偏心し、前記連通孔は、前記流路筒部の上端部内に設けられ、前記回転筒部の下端部は、下側に向けて開口するとともに前記流路筒部の上端部に回転可能に嵌合していてもよい。
【0015】
  この場合、複数種の内容物を、各口部から連通孔を通して複数の連通路に導入するときに、内容物は、この内容物が収容された容器体の口部に連通する区画流路の上端開口部から、連通孔を通して連通路の下端開口部に導入される。
  ここで、オーバーキャップをジョイント部に着脱させ、連通路の下端開口部と連通孔との周方向の位置関係を変化させることで、連通孔内での連通路の下端開口部の周方向位置を、オーバーキャップの着脱の前後で異ならせることができる。これにより、連通路内に、この連通路が内部に保持している内容物とは異なる内容物を新たに導入させることができる。
 
【発明の効果】
【0016】
  本発明に係る吐出容器によれば、内容物の吐出量を把握し易くすることができる。
 
 
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1実施形態)
  以下、図面を参照し、本発明の第1実施形態に係る吐出容器を説明する。
  
図1から
図7に示すように、吐出容器10は、複数種の内容物M1、M2を、同一の吐出孔33から同時に吐出する。内容物M1、M2としては、例えばクリーム状、半固形状の内容物や、粘性の高い内容液などが挙げられる。複数種の内容物の組み合わせとしては、例えば、色が異なる内容物の組み合わせ、乳白色の内容物と無色透明の内容物との組み合わせ等が挙げられる。
 
【0019】
  吐出容器10は、複数の容器体11a、11bと、ジョイント部12と、回転筒部13と、オーバーキャップ14と、を備えている。
  ここで、回転筒部13およびオーバーキャップ14の各中心軸線は、共通軸上に位置している。以下、この共通軸を容器軸Oといい、容器軸O方向に沿った容器体11a、11b側を下側といい、オーバーキャップ14側を上側といい、容器軸Oに直交する方向を径方向といい、容器軸O回りに周回する方向を周方向という。
 
【0020】
  図1に示すように、複数の容器体11a、11bには、複数種の内容物M1、M2が各別に収容されていて、複数の容器体11a、11bそれぞれに収容されている内容物M1、M2の種類は、互いに異なっている。容器体11a、11bは、2つ備えられていて、容器体11a、11bとしては、外容器11aと、外容器11a内に収納された内容器11bと、が備えられている。これらの外容器11aおよび内容器11bは、容器軸Oと同軸に配置されている。
 
【0021】
  容器体11a、11bは、いずれもチューブ容器により形成されている。容器体11a、11bは、胴部15と、口部16と、を備えている。胴部15の下端開口部には、シール部17が形成されている。シール部17は、胴部15の下端開口部が、容器軸Oに直交する直交面に沿う一方向に挟み込まれ閉塞されてなる。口部16は、胴部15の上端開口部に配設されている。
 
【0022】
  ジョイント部12は、複数の容器体11a、11bの各口部16に一体に装着されている。ジョイント部12は、閉塞壁部18と、装着筒部19a、19bと、ねじ筒部(流路筒部)20と、を備えている。
 
【0023】
  閉塞壁部18は、複数の容器体11a、11bの各口部16を上側から覆う。閉塞壁部18は、表裏面が容器軸O方向の両側を向く板状に形成されている。閉塞壁部18は、容器軸O方向から見た平面視において円形状に形成され、容器軸Oと同軸に配置されている。閉塞壁部18には、下側に向けて窪む窪み部21が形成されている。
 
【0024】
  装着筒部19a、19bは、閉塞壁部18から下側に向けて突出している。装着筒部19a、19bは、複数の容器体11a、11bの各口部16に各別に装着されている。装着筒部19a、19bとしては、外容器11aの口部16に装着された外装着筒19aと、内容器11bの口部16に装着された内装着筒19bと、が備えられている。外装着筒19aは、閉塞壁部18の外周縁から下側に向けて延びていて、内装着筒19bを径方向の外側から囲っている。
 
【0025】
  ねじ筒部20は、容器軸Oと同軸に配置され、閉塞壁部18から上側に向けて突出している。ねじ筒部20の外周面には、雄ねじ部22が形成されている。
図2に示すように、雄ねじ部22は、周方向に延びる2条のねじ山23を備えている。ねじ山23の上端部は、容器軸Oを前記一方向(径方向)に挟んだ反対側に位置している。
 
【0026】
  図1および
図3に示すように、ジョイント部12には、複数の容器体11a、11bの各口部16に連通する連通孔24a、24bが形成されている。連通孔24a、24bは、閉塞壁部18に複数設けられている。連通孔24a、24bは、閉塞壁部18においてねじ筒部20の内側に位置する部分に配置されている。
 
【0027】
  複数の連通孔24a、24bは、複数の容器体11a、11bの各口部16に各別に連通している。連通孔24a、24bは2つ備えられていて、連通孔24a、24bとしては、外容器11aの口部16に連通する外孔24aと、内容器11bの口部16に連通する内孔24bと、が備えられている。
 
【0028】
  外孔24aは、閉塞壁部18において外装着筒19aの内側に位置し、かつ内装着筒19bの外側に位置する部分に配置されている。前記窪み部21も、閉塞壁部18において外装着筒19aの内側に位置し、かつ内装着筒19bの外側に位置する部分に配置されていて、外孔24aは、窪み部21の底面に配置されている。内孔24bは、閉塞壁部18において内装着筒19bの内側に位置する部分に配置されている。
 
【0029】
  連通孔24a、24bは、容器軸Oに対して偏心している。連通孔24a、24bは、前記平面視において円形状に形成されている。連通孔24a、24bの軸線は、容器軸Oに対して径方向にずらされている。外孔24aの軸線と、内孔24bの軸線と、は、容器軸Oを前記一方向に挟んでいる。
 
【0030】
  図1に示すように、回転筒部13は、ジョイント部12に容器軸O回りに回転可能に装着されている。回転筒部13は、全体として有底筒状に形成されている。回転筒部13は、容器軸O方向の両側に開口する2段筒状の外部材25と、上側に向けて開口する有底筒状の内部材26と、を備えている。
 
【0031】
  外部材25は、下側から上側に向かうに従い漸次段状に縮径している。外部材25は、拡径部27と、縮径部28と、連結部29と、嵌合筒部30と、を備えている。拡径部27は、ねじ筒部20の上端部に、容器軸O回りに回転可能に外嵌されている。縮径部28は、拡径部27よりも上側に位置している。連結部29は、拡径部27と縮径部28とを連結している。嵌合筒部30は、連結部29から下方に向けて延び、ねじ筒部20内に配置されている。嵌合筒部30とねじ筒部20との間には、環状隙間が設けられている。
 
【0032】
  内部材26は、周壁部31と、底壁部32と、を備えている。周壁部31は、ねじ筒部20内に液密に、かつ周方向に摺動可能に嵌合されている。周壁部31の上端部は、前述の環状隙間内に嵌合されている。これにより、周壁部31と嵌合筒部30との周方向の相対的な回転が規制されている。底壁部32は、閉塞壁部18に上側から当接している。
 
【0033】
  回転筒部13には、吐出孔33が形成されている。吐出孔33は、回転筒部13の上端部内に設けられている。
  回転筒部13内には、仕切り壁部34が設けられている。仕切り壁部34は、容器軸O方向に延在する筒状に形成されている。仕切り壁部34は、回転筒部13の底壁部32に立設されている。仕切り壁部34の上端部は、回転筒部13の上端部内に位置している。仕切り壁部34は、互いに偏心した下筒部35および上筒部36が連結されてなる。下筒部35は容器軸Oに対して偏心し、上筒部36は容器軸Oと同軸に配置されている。
 
【0034】
  回転筒部13内は、連通孔24a、24bと吐出孔33とを各別に連通する複数の連通路37a、37bに区画されている。連通路37a、37bは、容器軸O方向に延び、容器軸O方向の両側に開口している。連通路37a、37bは、前記仕切り壁部34により仕切られている。連通路37a、37bは、2つ備えられていて、連通路37a、37bとしては、外流路37aと、内流路37bと、が備えられている。
 
【0035】
  外流路37aは、回転筒部13内において仕切り壁部34の径方向の外側に位置する部分により形成され、内流路37bは、仕切り壁部34の径方向の内側に位置する部分により形成されている。複数の連通路37a、37bの各下端開口部は、回転筒部13の底壁部32に開口している。
 
【0036】
  図1および
図3に示すように、連通路37a、37bの下端開口部は、容器軸Oに対して偏心している。内流路37bの下端開口部の軸線と、外流路37aの下端開口部の軸線と、は、互いに容器軸O方向を挟んだ反対側に位置している。図示の例では、外流路37aの下端開口部は外孔24aに連通し、内流路37bの下端開口部は内孔24bに連通している。
 
【0037】
  図1および
図2に示すように、複数の連通路37a、37bの各上端開口部は、容器軸Oと同軸に配置されている。前記平面視において、外流路37aの上端開口部は円環状に形成され、内流路37bの上端開口部は円形状に形成されている。複数の連通路37a、37bの各上端開口部は、吐出孔33に開口している。
 
【0038】
  図1に示すように、オーバーキャップ14は、回転筒部13を覆うようにジョイント部12に着脱可能に螺着され、吐出孔33を開閉する。オーバーキャップ14は、下側から上側に向けて漸次縮径する多段筒状に形成されている。オーバーキャップ14は、有頂の2段筒状に形成され、下側に位置する大径部38と、上側に位置する小径部39と、を備えている。大径部38は、前記ねじ筒部20に外装されていて、大径部38の内周面には、前記雄ねじ部22にねじ込まれる雌ねじ部40が設けられている。
 
【0039】
  そして本実施形態では、回転筒部13とオーバーキャップ14との間には、逆止機構41が設けられている。逆止機構41は、オーバーキャップ14をジョイント部12に対して締め込むときおよび緩めるときの一方で、オーバーキャップ14の回転筒部13に対する容器軸O回りの回転を許容し、他方で、回転筒部13をオーバーキャップ14とともに容器軸O回りに回転させる。
 
【0040】
  図1および
図2に示すように、逆止機構41は、回転筒部13の外周面に設けられた第1凹凸部42と、オーバーキャップ14の内周面に設けられた第2凹凸部43と、を備えている。第1凹凸部42および第2凹凸部43はそれぞれ、凹部と凸部が周方向に交互に配置されてなる。
 
【0041】
  第1凹凸部42の凸部42a(以下、第1凸部42aという)は、回転筒部13の縮径部28の外周面から径方向に突出する凸リブにより形成され、第1凹凸部42の凹部42b(以下、第1凹部42bという)は、周方向に隣り合う第1凸部42a同士の間に設けられた周方向の隙間により形成されている。
 
【0042】
  第1凸部42aは、径方向の外側に向かうに従い漸次、周方向に沿って、ジョイント部12に対するオーバーキャップ14の締め込み側に向けて延在している。第1凸部42aは、容器軸O方向に延在し、第1凸部42aの下端部は、連結部29に連結されている。第1凹部42bは、上側に向けて開口している。
 
【0043】
  第2凹凸部43の凸部43a(以下、第2凸部43aという)は、オーバーキャップ14の小径部39の内周面から径方向に突出する凸リブにより形成され、第2凹凸部43の凹部43b(以下、第2凹部43bという)は、周方向に隣り合う第2凸部43a同士の間に設けられた周方向の隙間により形成されている。第2凸部43aは、容器軸O方向に延在し、第2凸部43aの上端部は、オーバーキャップ14の頂壁部に連結されている。第2凹部43bは、下側に向けて開口している。
 
【0044】
  前記吐出容器10では、内容物M1、M2を吐出するときには、
図4に示すように、オーバーキャップ14をジョイント部12から離脱させて吐出孔33を開放した状態で、複数種の内容物M1、M2を、複数の容器体11a、11bの各口部16からジョイント部12の連通孔24a、24bを通して複数の連通路37a、37bに導入し、同一の吐出孔33から同時に吐出させる。
 
【0045】
  本実施形態では、外容器11a内の内容物M1(以下、第1内容物M1という)は、外孔24aおよび外流路37aに導入されて吐出孔33に到達し、内容器11b内の内容物M2(以下、第2内容物M2という)は、内孔24bおよび内流路37bに導入されて吐出孔33に到達し、これらの両内容物M1、M2が同一の吐出孔33から同時に吐出される。
 
【0046】
  このように内容物M1、M2は、この内容物M1、M2が収容された容器体11a、11bの口部16に連通する連通孔24a、24bから、この連通孔24a、24bに連通する連通路37a、37bの下端開口部に導入される。これにより、各連通路37a、37bに、一種類の内容物M1、M2を限定して導入することができる。
 
【0047】
  図1に示すように、連通路37a、37bに導入された内容物M1、M2のうち、吐出孔33に到達せず吐出孔33から吐出されなかった内容物M1、M2は、連通路37a、37b内に保持されて回転筒部13内に留まる。内容物M1、M2の吐出の終了後は、オーバーキャップ14をジョイント部12に装着させて吐出孔33を閉塞する。このとき例えば、オーバーキャップ14の大径部38を把持した状態で、オーバーキャップ14とジョイント部12とを容器軸O回りに相対的に回転させる。
 
【0048】
  内容物M1、M2を再び吐出するときには、オーバーキャップ14をジョイント部12から再度、離脱させる。ここで、オーバーキャップ14をジョイント部12に着脱させる過程において、オーバーキャップ14をジョイント部12に装着させるとき、またはオーバーキャップ14をジョイント部12から離脱させるときの一方で、逆止機構41が、回転筒部13をオーバーキャップ14とともに回転させる。
 
【0049】
  本実施形態では、逆止機構41は、オーバーキャップ14をジョイント部12に対して締め込むときに、第1凹凸部42および第2凹凸部43の各凸部42a、43aを互いに乗り越えさせる。このとき、第2凸部43aに、第1凸部42a上を前記締め込み側に向けて摺動させることで、第1凸部42aと第2凸部43aとを互いに乗り越えさせ、オーバーキャップ14の回転筒部13に対する容器軸O回りの回転を実質的に許容させる。なおこのとき、回転筒部13が、オーバーキャップ14とともに若干、回転してもよい。
 
【0050】
  さらに
図5に示すように、逆止機構41は、オーバーキャップ14をジョイント部12に対して緩めるときに、第1凹凸部42および第2凹凸部43の各凸部42a、43aを互いに係止させる。このとき、第2凸部43aを、第1凸部42aの径方向の外側の端部に、この端部に対する前記締め込み側から係止させることで、回転筒部13をオーバーキャップ14とともに容器軸O回りに回転させる。
 
【0051】
  このように本実施形態では、オーバーキャップ14をジョイント部12に着脱させる過程において、オーバーキャップ14をジョイント部12に対して緩めるときに、逆止機構41が、回転筒部13をオーバーキャップ14とともに回転させる。これにより、
図5および
図6に示すように、オーバーキャップ14の着脱の前後で、連通路37a、37bの下端開口部が周方向に変位し、この下端開口部と、ジョイント部12の連通孔24a、24bと、の周方向の位置関係が変化する。
 
【0052】
  その結果、連通路37a、37bの下端開口部が連通する連通孔24a、24bを、オーバーキャップ14の着脱の前後で異なる連通孔24a、24bに切り替えることができる。この吐出容器10では、オーバーキャップ14の着脱の前後で、内流路37bの下端開口部の位置と外流路37aの下端開口部の位置とが前記一方向に入れ替えられる。これにより、外流路37aの下端開口部が内孔24bに連通し、内流路37bの下端開口部が外孔24aに連通する。
 
【0053】
  したがって、連通路37a、37b内に導入される内容物M1、M2の種類を、オーバーキャップ14の着脱の前後で異ならせることができる。つまり第1内容物M1が、外流路37aではなく内流路37bに導入され、第2内容物M2が、内流路37bではなく外流路37aに導入される。
 
【0054】
  ここで内容物M1、M2を、連通孔24a、24bを通して連通路37a、37bに新たに導入すると、この内容物M1、M2によって、連通路37a、37b内に保持されていた内容物M1、M2が徐々に押し出されて吐出孔33から吐出される。
  その結果、
図7に示すように、吐出孔33からは、オーバーキャップ14の着脱前である前回の吐出時に連通路37a、37b内に保持された内容物M1、M2が吐出された後、オーバーキャップ14の着脱後である今回の吐出時に連通路37a、37bに新たに導入された内容物M1、M2が吐出される。
 
【0055】
  以上説明したように、本実施形態に係る吐出容器10によれば、オーバーキャップ14の着脱の前後で、連通路37a、37bの下端開口部と連通孔24a、24bとの周方向の位置関係が変化することから、
図7に示すように、前回の吐出時に連通路37a、37b内に保持された内容物M1、M2が吐出孔33から吐出される吐出態様(
図7に示すR1の範囲)と、今回の吐出時に連通路37a、37bに導入された内容物M1、M2が吐出孔33から吐出される吐出態様(
図7に示すR2の範囲)と、を異ならせることができる。
 
【0056】
  本実施形態では、連通路37a、37b内に保持されていた内容物M1、M2が吐出孔33から吐出されるときと、連通路37a、37b内に新たに導入された内容物M1、M2が吐出孔33から吐出されるときと、で、吐出孔33から吐出される内容物M1、M2のうち、径方向の外側に位置する内容物M1、M2の種類を異ならせることができる。
 
【0057】
  これにより、吐出孔33から吐出される内容物M1、M2を、連通路37a、37b内に保持されていた内容物M1、M2と、連通路37a、37bに新たに導入された内容物M1、M2と、に容易に区別することができる。したがって、例えば連通路37a、37b内に保持されていた内容物M1、M2の量(例えば、
図7に示す範囲R1の容器軸O方向の大きさ)を基準として、内容物の全体の吐出量を把握すること等が可能になり、内容物の吐出量を把握し易くすることができる。
 
【0058】
  またこのように、内容物M1、M2を、吐出態様を異ならせながら吐出孔33から連続して吐出し、全体として新規の吐出態様で吐出孔33から吐出することができるので、例えば、この吐出容器10を適用した製品に対する使用者の購買意欲を向上させ易くすること等ができる。
 
【0059】
  また、第1凹部42bが上側に向けて開口し、第2凹部43bが下側に向けて開口しているので、オーバーキャップ14をジョイント部12に対して緩めて螺着を解除し、オーバーキャップ14をジョイント部12から引き抜くときに、第1凹部42bから第2凸部43aをスムーズに引き抜き、かつ第2凹部43bから第1凸部42aをスムーズに引き抜くことができる。さらに、オーバーキャップ14をジョイント部12に対して締め込むため、オーバーキャップ14をジョイント部12に対して覆い被せるときには、第1凸部42aを第2凹部43bにスムーズに差し込み、かつ第2凸部43aを第1凹部42bにスムーズに差し込むことができる。
  以上より、オーバーキャップ14をジョイント部12に対してスムーズに着脱させることが可能になり、この吐出容器10の操作性を向上させることができる。
 
【0060】
  また雌ねじ部40が、オーバーキャップ14のうち、小径部39ではなく大径部38に設けられているので、オーバーキャップ14のうち、雌ねじ部40が設けられた部分の外径を、把持に好適な程度に大きく確保し易くすることが可能になり、この吐出容器10の操作性を向上させることができる。
  また逆止機構41が、オーバーキャップ14のうち、大径部38ではなく小径部39と回転筒部13との間に設けられているので、オーバーキャップ14に加えられた回転力を、逆止機構41を介して回転筒部13に効果的に伝達することが可能になり、この吐出容器10の操作性を一層向上させることができる。
 
【0061】
(第2実施形態)
  次に、本発明に係る第2実施形態の吐出容器を、
図8から
図13を参照して説明する。
  なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
 
【0062】
  この吐出容器50では、容器体11c、11dとして、前述の外容器11aおよび内容器11bを備えるのに代えて、
図8および
図9に示すように、前記一方向に並ぶ左容器11cおよび右容器11dを備えている。これらの左容器11cおよび右容器11dは、互いに同等の形状でかつ同等の大きさに形成されている。左容器11cの軸線と、右容器11dの軸線と、は、容器軸Oを基準として前記一方向に対称に配置されている。
 
【0063】
  また、ジョイント部12の装着筒部19c、19dとして、前述の外装着筒19aおよび内装着筒19bを備えるのに代えて、左容器11cの口部16に装着された左装着筒19cと、右容器11dの口部16に装着された右装着筒19dと、を備えている。
 
【0064】
  さらに回転筒部13を、全体として有底筒状に形成するのに代えて、容器軸O方向の両側に向けて開口する2段筒状に形成している。回転筒部13は、前述の外部材25のみを備えていて、内部材26を備えていない。回転筒部13は、前述の拡径部(下端部)27と、縮径部28と、連結部29と、を備えている。回転筒部13は、前述の嵌合筒部30を備えるのに代えて、連結部29から下方に向けて延びるシール筒部51を備えている。シール筒部51は、ねじ筒部20内に液密に、かつ周方向に摺動可能に嵌合されている。
 
【0065】
  ここで本実施形態では、ジョイント部12のねじ筒部20内には、区画壁部52が設けられている。区画壁部52は、前記一方向を向く板状に形成され、ねじ筒部20内を、前記一方向に直交する他方向に横断している。区画壁部52の下端部は、閉塞壁部18に連結されている。区画壁部52の上端部は、ねじ筒部20の上端部内に位置している。
 
【0066】
  ねじ筒部20内は、複数の区画流路53c、53dに区画されている。区画流路53c、53dは、ねじ筒部20内を周方向に複数に区画してなる。区画流路53c、53dは、前記区画壁部52により仕切られている。区画流路53c、53dは、2つ備えられていて、区画流路53c、53dとしては、左流路53cと、右流路53dと、が備えられている。これらの左流路53cおよび右流路53dは、ねじ筒部20内を前記一方向に2等分してなる。
 
【0067】
  複数の区画流路53c、53dは、複数の容器体11c、11dの各口部16に各別に連通している。閉塞壁部18には、左貫通孔54cと、右貫通孔54dと、が形成されていて、左貫通孔54cは、左流路53cおよび左装着筒19c内に開口し、右貫通孔54dは、右流路53dおよび右装着筒19d内に開口している。
 
【0068】
  区画流路53c、53dの上端開口部は、容器軸Oに対して偏心している。区画流路53c、53dの各上端開口部の軸線は、容器軸Oに対して径方向にずらされている。左流路53cの上端開口部の軸線と、右流路53dの上端開口部の軸線と、は、容器軸Oを基準として前記一方向に対称に配置されている。
  この吐出容器50では、前記連通孔24は、ねじ筒部20の上端部内に設けられている。連通孔24には、複数の区画流路53c、53dの各上端開口部が開口している。
 
【0069】
  ここで本実施形態では、仕切り壁部34を、前述のように容器軸O方向に延在する筒状に形成するのに代えて、径方向を向く板状に形成している。図示の例では、仕切り壁部34は、前記一方向を向く板状に形成され、回転筒部13内を、前記他方向に横断していて、仕切り壁部34と区画壁部52とは、前記平面視において同一直線上に位置している。
 
【0070】
  そして連通路37c、37dとして、前述の内流路37bおよび外流路37aを備えるのに代えて、第1流路37cおよび第2流路37dを備えている。これらの第1流路37cおよび第2流路37dは、互いに同等の形状でかつ同等の大きさに形成されている。これらの第1流路37cおよび第2流路37dは、回転筒部13内を前記一方向に2等分してなる。
 
【0071】
  前記吐出容器50では、
図10に示すように、左容器11c内の内容物M1(以下、第1内容物M1という)は、左貫通孔54c、左流路53c、連通孔24および第1流路37cに導入されて吐出孔33に到達し、右容器11d内の内容物M2(以下、第2内容物M2という)は、右貫通孔54d、右流路53d、連通孔24および第2流路37dに導入されて吐出孔33に到達し、これらの両内容物M1、M2が同一の吐出孔33から同時に吐出される。
 
【0072】
  このように内容物M1、M2は、この内容物M1、M2が収容された容器体11c、11dの口部16に連通する区画流路53c、53dの上端開口部から、連通孔24を通して連通路37c、37dの下端開口部に導入される。
  内容物M1、M2の吐出の終了後は、
図8に示すように、オーバーキャップ14をジョイント部12に装着させて吐出孔33を閉塞する。
 
【0073】
  内容物M1、M2を再び吐出するときには、オーバーキャップ14をジョイント部12から再度、離脱させる。ここで
図11および
図12に示すように、オーバーキャップ14をジョイント部12に着脱させる過程において、オーバーキャップ14をジョイント部12から離脱させるときに、逆止機構41が、回転筒部13をオーバーキャップ14とともに回転させる。これにより、オーバーキャップ14の着脱の前後で、連通路37c、37dの下端開口部が周方向に変位し、この下端開口部と連通孔24との周方向の位置関係が変化する。
 
【0074】
  その結果、連通孔24内での連通路37c、37dの下端開口部の周方向位置を、オーバーキャップ14の着脱の前後で異ならせることができる。これにより、連通路37c、37d内に、この連通路37c、37dが内部に保持している内容物M1、M2とは異なる内容物M1、M2を新たに導入させることができる。この吐出容器10では、オーバーキャップ14を着脱することで、仕切り壁部34が、前記平面視において区画壁部52と交差するように、回転筒部13が回転する。これにより、第1流路37cおよび第2流路37dいずれの下端開口部も、連通孔24を通して、左流路53cのおよび右流路53dの両上端開口部に連通する。
 
【0075】
  したがって、第1流路37cに、第1内容物M1のみが導入されたり、第2流路37dに、第2内容物M2のみが導入されたりするのではなく、これらの第1流路37cおよび第2流路37dにはいずれも、左流路53cの上端開口部から連通孔24を通して第1内容物M1の一部が導入され、右流路53dの上端開口部から連通孔24を通して第2内容物M2の一部が導入される。
 
【0076】
  以上説明したように、本実施形態に係る吐出容器50によれば、オーバーキャップ14の着脱の前後で、連通路37c、37dの下端開口部と連通孔24との周方向の位置関係が変化することから、
図13に示すように、前回の吐出時に連通路37c、37d内に保持された内容物M1、M2が吐出孔33から吐出される吐出態様(
図13に示すR1の範囲)と、今回の吐出時に連通路37c、37dに導入された内容物M1、M2が吐出孔33から吐出される吐出態様(
図13に示すR2の範囲)と、を異ならせることができる。
 
【0077】
  本実施形態では、連通路37c、37d内に保持されていた内容物M1、M2が吐出孔33から吐出されるときと、連通路37c、37d内に新たに導入された内容物M1、M2が吐出孔33から吐出されるときと、で、吐出される各内容物M1、M2の周方向の位置を異ならせることができる。
 
【0078】
  これにより、吐出孔33から吐出される内容物M1、M2を、連通路37c、37d内に保持されていた内容物M1、M2と、連通路37c、37dに新たに導入された内容物M1、M2と、に容易に区別することが可能になり、内容物M1、M2の吐出量を把握し易くすることができる。
 
【0079】
  なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
  例えば、容器体11a、11b、11c、11dはチューブ容器に限られず、容器体として、繰り出し容器や、有底筒状のボトル容器などを採用してもよい。
 
【0080】
  前記第1実施形態では、容器体11a、11bとして、外容器11aおよび内容器11bを備え、前記第2実施形態では、容器体11c、11dとして、左容器11cおよび右容器11dを備えているが、本発明はこれに限られない。例えば、前記第1実施形態に係る吐出容器において、容器体として、外容器および内容器を備えるのに代えて、左容器および右容器を備える構成を採用してもよい。また、前記第2実施形態に係る吐出容器において、容器体として、左容器および右容器を備えるのに代えて、外容器および内容器を備える構成を採用してもよい。
 
【0081】
  容器体11c、11dは、2つに限られず、3つ以上備えられていてもよい。
  またオーバーキャップ14は、多段筒状に形成されていなくてもよい。
 
【0082】
  前記実施形態では、逆止機構41が、オーバーキャップ14をジョイント部12に対して締め込むときに、オーバーキャップ14の回転筒部13に対する容器軸O回りの回転を許容し、緩めるときに、回転筒部13をオーバーキャップ14とともに容器軸O回りに回転させているが、本発明はこれに限られない。例えば逆止機構が、オーバーキャップをジョイント部に対して緩めるときに、オーバーキャップの回転筒部に対する容器軸回りの回転を許容し、締め込むときに、回転筒部をオーバーキャップとともに容器軸回りに回転させてもよい。
 
【0083】
  その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。