特許第6051142号(P6051142)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6051142真空バルブ用電気接点およびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6051142
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】真空バルブ用電気接点およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01H 33/664 20060101AFI20161219BHJP
   B22F 3/02 20060101ALI20161219BHJP
   B22F 3/26 20060101ALI20161219BHJP
   C22C 1/04 20060101ALI20161219BHJP
   C22C 9/00 20060101ALI20161219BHJP
   C22C 27/04 20060101ALI20161219BHJP
   H01H 33/666 20060101ALN20161219BHJP
【FI】
   H01H33/664 B
   B22F3/02 A
   B22F3/26 C
   C22C1/04 A
   C22C1/04 D
   C22C9/00
   C22C27/04 102
   !H01H33/666 M
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-219736(P2013-219736)
(22)【出願日】2013年10月23日
(65)【公開番号】特開2015-82402(P2015-82402A)
(43)【公開日】2015年4月27日
【審査請求日】2016年2月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100100310
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 学
(74)【代理人】
【識別番号】100098660
【弁理士】
【氏名又は名称】戸田 裕二
(74)【代理人】
【識別番号】100091720
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 重美
(72)【発明者】
【氏名】菊池 茂
(72)【発明者】
【氏名】森田 歩
(72)【発明者】
【氏名】土屋 賢治
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 隆
(72)【発明者】
【氏名】富安 邦彦
【審査官】 出野 智之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−75143(JP,A)
【文献】 特開2012−7203(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 33/664
B22F 3/02
B22F 3/26
C22C 1/04
C22C 9/00
C22C 27/04
H01H 1/02
H01H 33/666
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
MoとCrとCuとを含む母相中に、Cuを含む凝集相が分散した電気接点において、
前記凝集相の最大粒径が4〜20μmの範囲にあり、
前記電気接点全体のCu量をWtとしたときの前記母相中のCu量はC×Wtで表され、Cは0.54〜0.81の範囲にあることを特徴とする電気接点。
【請求項2】
請求項1において、前記電気接点全体の組成が40〜60重量%のMoと、10〜20重量%のCrと、残部がCuおよび不可避の不純物とからなることを特徴とする電気接点。
【請求項3】
請求項1または2において、前記母相の結晶粒径は、4μm未満であることを特徴とする電気接点。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかにおいて、前記凝集相中のCu量は、前記電気接点全体の20重量%以下であることを特徴とする電気接点。
【請求項5】
円盤形状の請求項1乃至4の何れかの電気接点と、前記電気接点の一方の面に設けられた電極棒とを備えることを特徴とする電極。
【請求項6】
真空容器内に一対の固定側電極及び可動側電極を備えた真空バルブにおいて、前記固定側電極及び可動側電極の少なくとも一方が、請求項5の電極であることを特徴とする真空バルブ。
【請求項7】
請求項6の真空バルブを導体によって直列に複数接続し、前記可動側電極を駆動する開閉手段を備えることを特徴とする電力開閉器。
【請求項8】
MoとCrとCuとを含む電気接点の製造方法において、
Mo粉末とCr粉末の混合粉を加圧成形して圧粉体を形成する工程と、溶融したCuを前記圧粉体に含浸する工程とを含むことを特徴とする電気接点の製造方法。
【請求項9】
請求項8において、前記溶融したCuを前記圧粉体に含浸する工程は、不活性ガス雰囲気下または減圧下で行うことを特徴とする電気接点の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空バルブ用電気接点およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
真空遮断器、真空スイッチギヤ等の電力開閉器の電気接点には、従来からCu-Cr系の接点材料が広く用いられている。これは、通電性能に優れるCu母相の中に耐アーク成分であるCr粒子を分散させた組織をなし、Crの適度な電子放出性や高融点・耐アーク性によって耐電圧性能を付与するものである。よって、Cr量を増やせば高耐電圧性能が向上するが、相対的にCu量が減少し、通電・遮断性能が低下する。このため、Cu-Cr系電気接点では通電・遮断性能と耐電圧性能は相反関係にあり、両立が困難である。
【0003】
この課題に対応する電気接点として、例えば特許文献1ではMo-Cr-Cu系の材料が示されている。この接点材料は、耐アーク成分とされるMo-Cr微細合金の母相の中にCuが均一に分散した組織をなし、耐アーク性が向上するとともに接触抵抗の増加を抑制できるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−7203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の特許文献1に示されるMo-Cr-Cu系接点では、良導体であるCuが20〜150μmに大きく凝集した形態で点在する。このため、母相中における通電経路が不足し、接点材料全体としての導電率が低くなることで通電性能や遮断性能が不足するという課題がある。
【0006】
本発明の目的は、通電・遮断性能と耐電圧性能を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、請求項に記載の発明により達成される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、通電・遮断性能と耐電圧性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1の電極の構造を示す断面図。
図2】実施例1の電気接点の断面組織を示す模式図。
図3】実施例2の真空バルブの構造を示す図。
図4】実施例3の真空遮断器の構造を表す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明者らは、Mo-Cr-Cu母相とCuの凝集相とで構成される電気接点を製造するにあたり、Mo-Cr-Cu母相中に分散するCuの凝集相を微細にするとともに、母相に含まれるCu量を多くすることで、電気接点全体の導電率を向上させて、通電性能や遮断性能を改善することを検討した。
【0011】
まず、Cu凝集相の粒径やMo-Cr-Cu母相中のCu含有量は、Mo-Cr圧粉体におけるCuの溶融含浸経路、すなわち気孔率に依存するものと考え、Mo-Cr圧粉体を加熱した後の気孔率を測定した。組成が77重量%Mo-23重量%の混合粉を、圧力294MPaで加圧成形して圧粉体を作製した。この圧粉体を真空中において400〜1100℃の温度で1時間保持した後の気孔率を測定したところ、400℃加熱後は気孔率42%であったのに対し、1100℃加熱後は35%で、加熱温度が高いほど気孔率は小さくなった。これは、加熱温度が高いほどMo-Cr間の拡散が顕著になり、溶融したCuが入り込む経路(気孔)が狭まるためである。加熱後の圧粉体の断面組織を観察したところ、拡散に伴う気孔(カーケンダルボイド)が数10μmの大きさで点在することがわかった。
【0012】
このように、圧粉体を焼結させてからCuを含侵させると、母相中にCuが含浸し難くなる(母相中にCuが取り込まれにくくなる)だけでなく、母相中に含浸されなかったCuが大きな気孔に入り込んで大きな凝集相を形成してしまう。
【0013】
この知見を基に、本実施形態では、Mo-Cr圧粉体におけるCuの含浸経路を確保した上でCuを溶融含浸することにより、Cuを含むMo-Cr-Cu母相を形成するとともに、母相中に分散するCu凝集相の粒径を従来よりも小さく制御した。
【0014】
本実施形態の電気接点は、次の方法によって得ることができる。まず、CrとMoそれぞれの粉末を混合し、この混合粉を加圧成形して圧粉体を作製する。この圧粉体にCuを溶融含浸する。溶融含浸させる際の雰囲気は、Arなどの不活性ガス雰囲気または大気より減圧した環境(高真空)とするとCuが酸化されにくいので好ましい。圧粉体はCuを含浸させるときの熱で焼結される。Cuの含浸と焼結が同時進行することで、Mo-Cr間の拡散を抑制してCuの含浸経路を確保し、従来よりもMo-Cr-Cu母相中に多くのCuが含まれる。また、Mo-Cr拡散に伴う気孔の大きさを小さく抑えることができ、その気孔にCuが浸入して形成されるCu凝集相の大きさを4〜20μmに制御できる。
【0015】
本実施形態の電気接点は、Mo-Cr-Cuを含む母相中に、粒径が4〜20μmのCuの凝集相が分散した組織をなし、電気接点全体のCu量をWtとしたとき、母相中のCu量(Wm)はC×Wtで表され、Cは0.54〜0.81である。母相がMo-Cr-Cuの三元系からなり、母相にも電気良導体であるCuを多く含むことによって、電気接点の導電率が格段に向上する。なお、母相にはMo-Cr-Cuの三成分以外の不可避元素も微量に含む。また、点在するCu凝集相の粒径も比較的小さく抑えられるので、Cu凝集相がより均一に電気接点中に分散することができ、導電率の向上に寄与する。母相中のCu量は、電気接点全体のCu量に比例するため、所望の電気的特性を得るための材料組成設計が容易になるとともに、母相中でCuが三次元的に連結し、Cu凝集相を含めた導電パスを形成する。以上のように導電性が向上することにより、通電性能と遮断性能が向上する。
【0016】
電気接点全体の組成は、Moが40〜60重量%、Crが10〜20重量%で、残部はCuおよび不可避の不純物である。MoとCrを多く含むこの組成からなることで、十分な高耐電圧性を発現することができる。そして、Mo-Crが適度に拡散して形成される骨格にCuが微細に浸入したMo-Cr-Cu母相を形成し、Cu凝集相の大きさも小さくすることができるので、Cuを過剰に加えなくても上記のように導電性に優れ、通電性能と遮断性能を向上させることができる。
【0017】
Mo-Cr-Cu母相は結晶粒径が4μm未満で、上記の量(Wm)のCuを含むことにより、母相中のCuは三次元的に連結し、高導電性を発現する。また、電気接点全体に占めるCu凝集相のCu量を20重量%以下とすることにより、MoとCrの量を合計80重量%に増やすことができるので、高耐電圧性が得られる。
【0018】
本実施形態の電気接点は円板形状であり、一方の面の外周部がカップ形状の通電部材に接合される。この形状により、相対する2つの電気接点を引離して電流を遮断する際、接点間に縦磁界を発生させ、接点間に生ずるアークを磁界で閉じ込めて消滅させることができる。これにより、優れた電流遮断性能を有する電極が得られる。
【0019】
また、円板形状の電気接点は、円中心に形成された中心孔と、中心孔に対して非接触で円中心から外周部に向かって形成された複数本の貫通したスリット溝とを有した形状である。この風車状の形状を有することにより、電気接点間に発生したアークを電磁力によって接点の外周側へ駆動させ、速やかに電流を遮断することができ、優れた電流遮断性能を発揮する。
【0020】
本実施形態の真空バルブは、真空容器内に一対の固定側電極及び可動側電極とを備え、固定側電極及び可動側電極の少なくとも一方が本実施形態の電極からなるものである。また、真空遮断器や真空スイッチギヤなどの電力開閉器は、本実施形態の真空バルブを導体によって直列に複数接続し、可動側電極を駆動する開閉手段を備えたものである。これにより、高耐電圧と大電流遮断を両立する比較的大容量の真空開閉機器が実現できる。
【0021】
以下、実施例を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0022】
表1に示す組成の電気接点を作製し、これを用いて電極100を作製した。なお、表1の接点組成は便宜上、不純物を除いて記載する。図1は作製した電極100の構造を示す断面図である。図1において、1は電気接点、2はアークに駆動力を与えるためのスリット溝、3はステンレス製の補強板、4は電極棒、5はろう材、44は電気接点1の中央にアークが発生して停滞するのを防ぐための中央孔である。
【0023】
表1に示す実施例の電気接点1の作製方法は、次の通りである。まず、Mo粉末(平均粒径3μm)とCr粉末(粒径60μm以下)を所定量混合し、この混合粉を直径70mmの金型に投入して157〜294MPaの圧力で加圧成形し、圧粉体を得た。この際、Cuを溶融含浸した後の組成がおよそ表1に示す値となるように、Mo粉末とCr粉末の混合比、並びに成形圧力を調整した。なお、157MPaより小さいと、Cuが含浸する際に成形体が崩れ、組織や組成が不均一になるため、成形圧は157MPa以上とするのが好ましい。次に、圧粉体の上に所定量の無酸素銅のインゴットを載せ、10-2Pa台の真空中で1160℃×2時間加熱してCuを溶融含浸し、電気接点1の素材を作製した。
【0024】
得られた電気接点1の素材の任意の断面を光学顕微鏡で観察し、画像処理装置を用いてMo-Cr-Cu母相およびCu凝集相の面積比を求めた。Cu凝集相の最大粒径は、画像中の各粒子の最大径の中で最も大きい値を示す。これらを基にそれぞれの重量比に換算した結果を表1に併せて示す。また、組織形態の一例として、図2の(a)に実施例No.3の断面組織を、図2の(b)に比較例No.8の断面組織を模式図で示す。表1に併記した導電率は、任意の断面において渦電流式導電率計を用いて測定した結果で、焼きなまし純銅の導電率を100%とした相対値(IACS)で示している。
【0025】
実施例No.1〜No.7の組成範囲は、Moが40〜60重量%、Crが10〜20重量%で、Cuが残部をなす。また、電気接点全体におけるCuの総量をWtとして、Mo-Cr-Cu母相中のCu含有量(Wm)をC×Wtで表したとき、Cが0.54〜0.81の範囲にある。さらに、Cuの凝集相の粒径は4〜20μmで、全体に占める量は20重量%以下である。
【0026】
これらに対し、比較例No.8は、Cu含浸前に圧粉体を1100℃で加熱したものである。圧粉体におけるMo-Cr拡散が進行してCuの含浸経路が狭まるため、Mo-Cr-Cu母相中のCu量が少なくなり、式Wm=C×WtにおけるCの値が小さくなる。一方で、全体組成は実施例の範囲にあるため、母相に浸入できなかったCuが余剰となり、図2の(b)に示すようにCuの凝集相を形成し、その大きさ(粒径)、量ともに実施例の範囲外の値となる。
【0027】
比較例No.9およびNo.10は、全体組成が実施例の範囲外のものである。No.9ではCr量が少なく、圧粉体の加熱時にほとんどのCrがMoに固溶してしまい、Cuの浸入経路が狭まって式Wm=C×WtにおけるCの値が小さくなる一方で、Cuの絶対量が多いために大きなCu凝集相が不均一に点在した組織となる。No.10では全体のCu量が少ないため、Cu凝集相は生じず、Mo-Cr-Cu母相のみで構成された組織となる。
【0028】
得られた素材を機械加工し、図1に示す直径65mmの電気接点1を作製した。電極100の作製方法は次の通りである。電極棒4を無酸素銅で、また、補強板3をSUS304であらかじめ機械加工により作製しておき、前記で得られた電気接点1、補強板3、電極棒4それぞれの間にろう材5を置き、これを8.2×10-4Pa以下の真空中で970℃×10分間加熱し、図1に示す電極100を作製した。なお、電気接点1の強度が十分であれば、補強板3は省いてもよい。
【実施例2】
【0029】
実施例1で作製した電極100を用いて、真空バルブ200を作製した。図3は、本実施例の真空バルブの構造を示す図で、この真空バルブ200の定格仕様は電圧24kV、電流1250A、遮断電流25kAである。図3において、1aは固定側電気接点、1bは可動側電気接点、3a、3bは補強板、4aは固定側電極棒、4bは可動側電極棒である。これらの部材を用いて、固定側電極6a(100)、可動側電極6b(100)を構成する。なお、本実施例では、固定側と可動側の電気接点の溝が接触面において一致するように設置した。
【0030】
可動側電極6bは、遮断時の金属蒸気等の飛散を防ぐ可動側シールド8を介して可動側ホルダー12にろう付け接合される。これらは、固定側端板9a、可動側端板9b、及び絶縁筒13によってろう付け封止され高真空に保たれる。固定側電極6a及び可動側ホルダー12のネジ部で外部導体と接続される。絶縁筒13の内面には、遮断時の金属蒸気等の飛散を防ぐシールド7が設けられ、また、可動側端板9bと可動側ホルダー12の間には摺動部分を支えるためのガイド11が設けられる。可動側シールド8と可動側端板9bの間にはべローズ10が設けられ、真空バルブ内を真空に保ったまま可動側ホルダー12を上下させ、固定側電極6aと可動側電極6bを開閉させることができる。
【実施例3】
【0031】
実施例2で作製した真空バルブ200を備えた真空遮断器300を作製した。図4は、本実施例の真空バルブ14(200)とその操作機構を示す真空遮断器300の構成図である。
【0032】
真空遮断器300は、操作機構部を前面に配置し、背面に真空バルブ14(200)を支持する3相一括型の3組のエポキシ筒15を配置した構造である。真空バルブ14(200)は、絶縁操作ロッド16を介して、操作機構によって開閉される。
【0033】
真空遮断器300が閉路状態の場合、電流は上部端子17、電気接点1、集電子18、下部端子19を流れる。電極間の接触力は、絶縁操作ロッド16に装着された接触バネ20によって保たれている。電極間の接触力および短絡電流による電磁力は、支えレバー21およびプロップ22で保持されている。投入コイル30を励磁すると開路状態からプランジャ23がノッキングロッド24を介してローラ25を押し上げ、主レバー26を回して電極間を閉じたあと、支えレバー21で保持している。
【0034】
真空遮断器300が引き外し自由な状態では、引き外しコイル27が励磁され、引き外しレバー28がプロップ22の係合を外し、主レバー26が回って電極間が開かれる。
【0035】
真空遮断器300が開路状態では、電極間が開かれたあと、リセットバネ29によってリンクが復帰し、同時にプロップ22が係合する。この状態で投入コイル30を励磁すると閉路状態になる。なお、31は排気筒である。
【実施例4】
【0036】
実施例1で作製した電気接点1を実施例2で示した真空バルブ200に用い、実施例3で示した真空遮断器300に搭載して性能試験を行った。表1に、最大遮断電流値と、電流遮断後の耐電圧性能維持の良否を併せて示す。この真空バルブ200の定格仕様は電圧24kV、電流1250A、遮断電流25kAであり、実用上必要とされる最大遮断電流値は35kA、耐電圧性能は商用周波で50kVであるので、最大遮断電流値>35kAのものを○、遮断後も電圧50kVを維持できたものを○とした。
【0037】
実施例No.1〜No.7は前述のように、いずれも組成、Mo-Cr-Cu母相中のCu量、Cu凝集相の粒径などが適正な範囲にあり、良好な導電率、35kA以上の遮断電流値とともに、耐電圧状態を良好に維持することができた。
【0038】
No.8は接点全体の導電率は十分であり、遮断後の耐電圧性能は維持できた。しかし、比較的大きな粒径のCu凝集相が点在した不均一な組織をなすため、アーク加熱によるCuの揮散箇所が不均一に生じ、電流遮断挙動が不安定で最大遮断電流値が35kA以下であり、遮断性能が不足した。
【0039】
No.9は含まれるCuの絶対量が多く、高い導電性を有するため、最大遮断電流値は比較的高い値を示すが、Mo-Cr量が少ないために耐電圧性能が不足した。
【0040】
No.10はCuの絶対量が少ないために、導電率が著しく低く、遮断性能が不足するとともに、電流遮断後の接点表面荒れが大きく、接点間の放電を誘発するため、耐電圧性能が維持されなかった。
【0041】
このように、実施例の電気接点が高耐電圧と大電流遮断を両立し、比較的大容量の電力開閉器に適用できることが確認された。
【0042】
【表1】
【符号の説明】
【0043】
1…電気接点、1a…固定側電気接点、1b…可動側電気接点、2…スリット溝、3、3a、3b…補強板、4、4a、4b…電極棒、5…ろう材、6a…固定側電極、6b…可動側電極、7…シールド、8…可動側シールド、9a…固定側端板、9b…可動側端板、10…ベローズ、11…ガイド、12…可動側ホルダー、13…絶縁筒、14…真空バルブ、15…エポキシ筒、16…絶縁操作ロッド、17…上部端子、18…集電子、19…下部端子、20…接触バネ、21…支えレバー、22…プロップ、23…プランジャ、24…ノッキングロッド、25…ローラ、26…主レバー、27…引き外しコイル、28…引き外しレバー、29…リセットバネ、30…投入コイル、31…排気筒、44…中央孔、100…電極、200…真空バルブ、300…真空遮断器。
図1
図2
図3
図4