特許第6051194号(P6051194)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6051194コーティング系、コーティング系の適用方法、およびコーティング系を含む物品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6051194
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】コーティング系、コーティング系の適用方法、およびコーティング系を含む物品
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/38 20060101AFI20161219BHJP
   B32B 27/40 20060101ALI20161219BHJP
   B05D 1/38 20060101ALI20161219BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20161219BHJP
   C09D 163/00 20060101ALI20161219BHJP
   C09D 175/12 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   B32B27/38
   B32B27/40
   B05D1/38
   B05D7/24 302T
   B05D7/24 302U
   C09D163/00
   C09D175/12
【請求項の数】5
【外国語出願】
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-228942(P2014-228942)
(22)【出願日】2014年11月11日
(65)【公開番号】特開2015-131480(P2015-131480A)
(43)【公開日】2015年7月23日
【審査請求日】2015年1月26日
(31)【優先権主張番号】61/914,609
(32)【優先日】2013年12月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】特許業務法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヤンシャン・リ
(72)【発明者】
【氏名】ポール・ジェイ.ポーパ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・エヌ.アクロプーラス
(72)【発明者】
【氏名】サンドラ・ホフマン
(72)【発明者】
【氏名】レイ・ドラムライト
【審査官】 増田 亮子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−314762(JP,A)
【文献】 特開2012−001720(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
B05D 1/00−7/26
C09D 163/00
C09D 175/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a1)エポキシ樹脂、および(a2)硬化剤の固形分重量を基準にして4.5wt%以下の遊離アミンを有する前記硬化剤を含む、(A)エポキシ配合物から調製されるエポキシコーティング層、ここで前記硬化剤は、アミン付加化合物、アミド、ポリアミドならびに、多官能性アミンから誘導され、かつ芳香族アミン、脂環式アミン、エチレンアミン、脂肪族アミンおよびこれらの組み合わせからなる群から選択されるマンニッヒ塩基からなる群から選択される
(B)平均2.0個以上のカルバメート官能基を有するポリカルバメートと、ポリアルデヒドまたはそのアセタールもしくはヘミアセタールを含む非イソシアネートポリウレタン配合物から調製される隣接するコーティング層を含み、
前記エポキシ配合物および/または非イソシアネートポリウレタン配合物はさらに任意で、溶媒、反応希釈剤、可塑剤、顔料、充填剤、レオロジー変性剤、分散剤、界面活性剤、紫外線安定剤、および腐食抑制剤からなる群から選択される1つ以上の添加剤を含む、コーティング系。
【請求項2】
前記エポキシ配合物は、10〜90wt%の成分(a1);および(a1)のエポキシ当量に対して0.6〜1アミンモル当量の(a2)を含む、請求項1に記載のコーティング系。
【請求項3】
前記隣接する層はトップコート層である、請求項1に記載のコーティング系。
【請求項4】
前記エポキシコーティング層の顔料体積濃度(PVC)は10〜40%である、請求項1に記載のコーティング系。
【請求項5】
(I)(a1)エポキシ樹脂;
(a2)硬化剤の固形分重量を基準にして4.5wt%以下の遊離アミンを有する硬化剤を含むエポキシ配合物を選択すること、ここで前記硬化剤は、アミン付加化合物、アミド、ポリアミドならびに、多官能性アミンから誘導され、かつ芳香族アミン、脂環式アミン、エチレンアミン、脂肪族アミンおよびこれらの組み合わせからなる群から選択されるマンニッヒ塩基からなる群から選択される;
(II)エポキシ配合物を基材上に適用すること;
(III)エポキシ配合物を完全にまたは部分的に硬化させてエポキシコーティング層を製造すること;
(IV)非イソシアネートポリウレタン配合物を選択すること、ここで前記非イソシアネートポリウレタンは、平均2.0個以上のカルバメート官能基を有するポリカルバメートと、ポリアルデヒドまたはそのアセタールもしくはヘミアセタールとの反応生成物であり、酸触媒を使用して−20℃〜80℃未満の温度で硬化される
(V)非イソシアネートポリウレタン配合物をエポキシコーティング層上に適用すること;ならびに
(VI)トップコート配合物およびエポキシ配合物を完全に硬化させ、これにより多層コーティング系を形成することを含む方法であって、
エポキシ配合物および/または非イソシアネートポリウレタン配合物はさらに任意で、溶媒、反応希釈剤、可塑剤、顔料、充填剤、レオロジー変性剤、分散剤、界面活性剤、紫外線安定剤、および腐食抑制剤からなる群から選択される1つ以上の添加剤を含む、多層コーティング系の適用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーティング系、コーティング系の適用方法、およびコーティング系を含む物品に関する。
【背景技術】
【0002】
周囲温度で硬化可能なポリウレタン系コーティングが開発されてきた。かかるポリウレタン系コーティングはイソシアネートを用いては製造されない。むしろ、ポリカルバメートを酸触媒の存在下でポリアルデヒドと架橋させて、架橋されたポリウレタンコーティングを生成し、これを「非イソシアネートポリウレタンコーティング」と呼ぶ。典型的なエポキシプライマーまたはミッドコートと併用する場合、非イソシアネートポリウレタン系トップコートは、下塗りされていない基材上に配置されるこのようなトップコートと比較して低減された性能を示し得る。このような低減された性能を示さないプライマーおよび/またはミッドコートコーティング層が有用であろう。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、コーティング系、コーティング系の適用方法、およびコーティング系を含む物品である。
【0004】
一実施形態では、本発明は、エポキシ樹脂;硬化剤の固形分重量を基準にして4.5wt%以下の遊離アミンを有する硬化剤;ならびに、所望により、溶媒、反応希釈剤、可塑剤、顔料、充填剤、レオロジー変性剤、分散剤、界面活性剤、紫外線安定剤および腐食防止剤からなる群から選択される1つ以上の添加剤を含むエポキシ配合物から調製されるエポキシコーティング層と、非イソシアネートポリウレタン配合物から調製されるトップコート層を含むコーティング系を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本発明は、コーティング系、コーティング系の適用方法、およびコーティング系を含む物品である。
【0006】
本発明のコーティング系は、(a1)エポキシ樹脂;および(a2)硬化剤の固形分重量を基準にして4.5wt%以下の遊離アミンを有する硬化剤を含むエポキシ配合物から調製される(A)エポキシコーティング層;(B)非イソシアネートポリウレタン配合物から調製される隣接するコーティング層を含むコーティング系を含み、エポキシ配合物および/または非イソシアネートポリウレタン配合物はさらに任意で、溶媒、反応希釈剤、可塑剤、顔料、充填剤、レオロジー変性剤、分散剤、界面活性剤、紫外線安定剤、および腐食抑制剤からなる群から選択される1つ以上の添加剤を含む。本発明で使用する場合、用語「隣接する層」とは非イソシアネートポリウレタン配合物が介在する層なしに完全にまたは部分的に硬化されたエポキシ配合物上に直接コーティングされることを意味する。
【0007】
代替的実施形態では、本発明は、(I)(a1)エポキシ樹脂;(a2)硬化剤の固形分重量を基準にして4.5wt%以下の遊離アミンを有する硬化剤を含むエポキシ配合物を選択すること;(II)エポキシ配合物を基材上に適用すること;(III)エポキシ配合物を完全にまたは部分的に硬化させてエポキシコーティング層を製造すること;(IV)非イソシアネートポリウレタン配合物を選択すること;(V)非イソシアネートポリウレタン配合物をエポキシコーティング層上に適用すること;ならびに(VI)トップコート配合物およびエポキシ配合物を完全に硬化させ、これにより多層コーティング系を形成することからなり、エポキシ配合物および/または非イソシアネートポリウレタン配合物はさらに任意で、溶媒、反応希釈剤、可塑剤、顔料、充填剤、レオロジー変性剤、分散剤、界面活性剤、紫外線安定剤、および腐食抑制剤からなる群から選択される1つ以上の添加剤を含む、多層コーティング系の適用方法をさらに提供する。
【0008】
別の代替的実施形態では、本発明は、表面を含む基材、表面上にあり、エポキシ樹脂;硬化剤の固形分重量を基準にして4.5wt%以下の遊離アミンを有する硬化剤を含むエポキシ配合物から調製されるエポキシコーティング層;およびエポキシコーティング層上にコーティングされる非イソシアネートポリウレタンを含む物品をさらに提供する。エポキシ配合物および/または非イソシアネートポリウレタン配合物はさらに任意で、溶媒、反応希釈剤、可塑剤、顔料、充填剤、レオロジー変性剤、分散剤、界面活性剤、紫外線安定剤、および腐食抑制剤からなる群から選択される1つ以上の添加剤を含む。
【0009】
エポキシ樹脂
任意のエポキシ樹脂を本発明の実施形態に使用してよい。エポキシ樹脂としては、少なくとも2つのエポキシド基を有するプレポリマーおよびポリマーが挙げられる。当該技術分野において周知の例示的エポキシ樹脂としては、ビスフェノールAエポキシ樹脂、ビスフェノールFエポキシ樹脂、ノボラックエポキシ樹脂、グリシジルアミンエポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂が挙げられる。1種または2種以上のエポキシ樹脂を本発明の実施形態で使用してよい。市販の例示的エポキシ樹脂としては、ダウケミカル社から入手可能なD.E.R.の名称にて入手可能なものが挙げられる。
【0010】
硬化剤
本発明の実施形態で使用する硬化剤は、遊離アミン量の制限が満たされればいかなる方法によって製造してもよい。硬化剤としては、アミン付加化合物、アミド、ポリアミド、ならびに多官能性アミンから誘導され、かつ芳香族アミン、脂環式アミン、エチレンアミン、脂肪族アミンおよびこれらの組み合わせからなる群から選択されるマンニッヒ塩基が挙げられる。市販の例示的エポキシ硬化剤としては、エポキシエチレンアミン付加化合物、例えば、エムスケミー社(スイス国)の子会社であるエムスグリルテック社から入手可能なGRILONIT H84026およびGrilonit H84055が挙げられる。本発明の実施形態にて使用される硬化剤は遊離アミンを4.5wt%以下含有する。本明細書で使用する場合、硬化剤と関連する用語「遊離アミン」とは、その製造後に硬化剤中に残っている、硬化剤を製造するために使用される未反応のアミンの量を意味する。
【0011】
硬化剤の固形分重量を基準にした硬化剤中の遊離アミン4.5wt%以下のあらゆる個々の値および部分範囲が本明細書において含まれ、本明細書において開示される。例えば、遊離アミンの量は4.5、4、3.5、3、2.5、2または1.5wt%を上限とすることができる。代替的実施形態では、硬化剤中の遊離アミンの量は下限の0wt%からである。例えば、遊離アミンの量は0、0.1、0.2、0.3、0.4または0.5wt%を下限とすることができる。代替的実施形態では、遊離アミンは0〜4.5wt%の量で存在し、あるいは、硬化剤中の遊離アミンの量は2〜4wt%の範囲内であってよく、あるいは、硬化剤中の遊離アミンの量は0〜2.5wt%の範囲内であってよい。
【0012】
代替的実施形態では、本発明は、前述の実施形態のいずれかにしたがって、コーティング系、コーティング系の適用方法、およびコーティング系から製造される物品を提供するが、ただし、エポキシ配合物は、10〜90wt%の構成成分であるエポキシ樹脂、およびエポキシ樹脂のエポキシ当量に対して0.6〜1アミンモル当量の硬化剤を含有する。エポキシ樹脂の10wt%から90wt%の範囲のあらゆる個々の値および部分範囲が本明細書において含まれ、本明細書において開示される。例えば、エポキシ配合物中のエポキシ樹脂の量は10、15、20、30、40、50、60、70または80wt%の下限から15、25、35、45、55、65、75、85または90wt%の上限までであることができる。例えば、エポキシ配合物中のエポキシ樹脂の量は10〜90wt%の範囲であってよく、あるいは、エポキシ配合物中のエポキシ樹脂の量は10〜50wt%の範囲であってよく、あるいは、エポキシ配合物中のエポキシ樹脂の量は50〜90wt%の範囲であってよく、あるいは、エポキシ配合物中のエポキシ樹脂の量は30〜75wt%の範囲であってよい。硬化剤の0.6〜1アミンモル当量の範囲のあらゆる個々の値および部分範囲が本明細書において含まれ、本明細書において開示される。例えば、硬化剤の量は、エポキシ樹脂のエポキシ当量に対して0.6アミンモル当量の硬化剤であることができ、あるいは、硬化剤の量は、エポキシ樹脂のエポキシ当量に対して0.7アミンモル当量の硬化剤であることができ、あるいは、硬化剤の量は、エポキシ樹脂のエポキシ当量に対して0.8アミンモル当量の硬化剤であることができ、あるいは、硬化剤の量は、エポキシ樹脂のエポキシ当量に対して0.9アミンモル当量の硬化剤であることができ、あるいは、硬化剤の量は、エポキシ樹脂のエポキシ当量に対して1アミンモル当量の硬化剤であることができる。
【0013】
代替的実施形態では、本発明は、前述の実施形態のいずれかにしたがって、コーティング系、コーティング系の適用方法、およびコーティング系から製造される物品を提供するが、ただし、エポキシ層は、10〜40%の顔料体積濃度(「PVC」)を含む。10〜40%の範囲のあらゆる個々の値および部分範囲が本明細書において含まれ、本明細書において開示される。例えば、エポキシ層は、下限10%、25%、30%または35%から上限12%、22%、32%または40%のPVCを含んでよい。例えば、PVCは20〜40%の範囲であってよく、あるいは、PVCは20〜30%の範囲であってよく、あるいは、PVCは30〜40%の範囲であってよく、あるいは、PVCは25〜35%の範囲であってよい。
【0014】
代替的実施形態では、本発明は、前述の実施形態のいずれかにしたがって、コーティング系、コーティング系の適用方法、およびコーティング系から製造される物品を提供するが、ただし、非イソシアネートポリウレタンは、平均2.0個以上のカルバメート官能基を有するポリカルバメート、ポリアルデヒドまたはそのアセタールもしくはヘミアセタール、および−20℃〜80℃の温度で硬化される有効量の誘発剤(triggering agent)の反応生成物である。このような代替的実施形態では、非イソシアネートポリウレタンの製造に使用されるポリカルバメートは平均2.0個以上のカルバメート官能基を有する。
【0015】
ポリカルバメート
本発明のいくつかの実施形態にて使用される非イソシアネートポリウレタンの製造に使用されるポリカルバメートは平均2.0個以上のカルバメート基、または平均3個以上のカルバメート基、または平均4個以上のカルバメート基を有する。カルバメートの官能性は、カルバメート当量(CEW)で除したポリカルバメートの数平均分子量と等しい。ポリカルバメートの数平均分子量はゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって測定できる。カルバメート当量(CEW)は式1を用いて計算する。
CEW=[OH EWポリオール+(43×カルバメート転化率)]÷カルバメート転化率 (式1)
式1について、OH EWポリオールはポリオールのヒドロキシル当量であり、カルバメート転化率は式2を用いて計算される。
【0016】
カルバメート転化率=(OH#ポリオール−OH#ポリカルバメート)÷OH#ポリオール (式2)
【0017】
式2について、OH#ポリオールおよびOH#ポリカルバメートはそれぞれポリオールおよびポリカルバメートのヒドロキシル価である。ヒドロキシル価はASTM D4274−05(ポリウレタン原材料を試験する標準試験方法:ポリオールのヒドロキシル価の算出、2005年)にしたがって決定され、試験物質グラムあたりの水酸化カリウム(KOH)のミリグラム数(mg KOH/g)として表される。
【0018】
ポリカルバメートは、非環式直鎖または非環式分枝鎖;環式非芳香族;環式芳香族、またはこれらの組み合わせであることができる。いくつかの実施形態では、ポリカルバメートは1つ以上の非環式直鎖または非環式分岐鎖ポリカルバメートを含む。例えば、ポリカルバメートは本質的に1つ以上の非環式ポリカルバメート、直鎖ポリカルバメートまたは分岐鎖ポリカルバメートからなってよい。
【0019】
一実施形態では、ポリカルバメートは本質的に炭素原子、水素原子、窒素原子および酸素原子からなる。別の実施形態では、ポリカルバメートは炭素原子、水素原子、窒素原子および酸素原子からなる。
【0020】
ポリカルバメートは、(a)ポリオールをメチルカルバメートまたは尿素と反応させてポリカルバメートを生成する、(b)ポリイソシアネートをヒドロキシ(C〜C20)アルキルカルバメートと反応させてポリカルバメートを生成する、または(c)ヒドロキシ(C〜C20)アルキルカルバメートを無水(メタ)アクリル酸と反応させてカルバモイルアルキル(メタ)アクリレートを生成し、次いで、カルバモイルアルキルメタクリレートを1つ以上のアクリル酸モノマーと重合させてポリアクリル系ポリカルバメートとしてポリカルバメートを生成することによって調製してよい。アクリル系モノマーの例としては、アクリル酸、(C〜C20)アルキルアクリル酸(例えば、(C)アルキルアクリル酸はメタクリル酸である)、および(C〜C20)アルキルアクリレート(すなわち、アクリル酸(C〜C20)アルキルエステル、例えば、(C)アルキルアクリレートとはメチルアクリレートを意味する)がある。スキーム(c)には示されていないが、他のオレフィン系モノマー(例えば、スチレン)もアクリルモノマーと一緒に用いることができ、したがって、ポリ(アクリル系の他のオレフィン系モノマー)系ポリカルバメートとしてポリカルバメートを調製する。
【0021】
(a)〜(c)にて製造されたポリカルバメートは通常異なる構造を有する。これらの反応例をスキーム(a)〜(c)のそれぞれにて下で図示する。
【0022】
【化1】
式中、mはスキーム(a)およびR(OH)について定義され、ここでmは2以上である。
【化2】
式中、mは2以上の整数である。好ましくはmは2〜20の整数である。いくつかの実施形態では、mは2または3である。
【化3】
【0023】
特定の実施形態では、1つ以上の非環式ポリカルバメート、直鎖ポリカルバメートまたは分枝鎖ポリカルバメートのそれぞれは1つ以上のポリオールを非置換カルバミン酸アルキルエステルまたは尿素と反応させて、1つ以上の非環式ポリカルバメート、直鎖ポリカルバメートまたは分枝鎖ポリカルバメートを生成させることによって調製される。好適なポリオールは、(メタ)アクリル系ポリオール(すなわち、メタクリル系ポリオールまたはアクリル系ポリオール)、ポリアルキレンポリオール、ポリエーテルポリオール(例えば、ポリ(エチレングリコール)等のポリ(オキシエチレン)等のポリ(オキシアルキレン))、ポリエステルポリオールまたはポリカーボネートポリオールであってよい。別の実施形態では、ポリカルバメートは、1つ以上の環式非芳香族ポリカルバメートを含む。別の実施形態では、ポリカルバメートは本質的に、1つ以上の環式非芳香族ポリカルバメートからなる。
【0024】
いくつかの実施形態では、1つ以上の環式非芳香族ポリカルバメートのそれぞれは、N、N’、N”−三置換シアヌル酸誘導体であり、その各置換基は独立して式HNC=O)O−(CH−OC(=O)NH−CH−((C−C12)シクロアルキル)CH−(式中、nは2〜20の整数である)である。好ましくはnはそれぞれ独立して2〜12の整数であり、各シクロヘキシレンは独立して1,3−シクロヘキシレンまたは1,4−シクロヘキシレンである。
【0025】
一実施形態では、ポリカルバメートは実質的にイソシアネートを含まない。イソシアネート基を含有する分子が存在するかどうかはフーリエ変換赤外(FT−IR)分光法または炭素13核磁気共鳴(13C−NMR)分光法によって容易に判定することができる。イソシアネート基含有反応物質が用いられる場合、それから調製されるポリカルバメートは滴定されるか、またはイソシアネート急冷剤によって「急冷」され、残留イソシアネート基をすべてカルバメートまたはアミンに転化させる。イソシアネート急冷剤として用いられ得る化合物例としては、水、水酸化ナトリウム、メタノール、ナトリウムメトキシドおよびポリオールがある。
【0026】
ポリアルデヒド
本発明のいくつかの実施形態にて使用される非イソシアネートポリウレタンを製造するのに用いられるポリアルデヒドは、2つのアルデヒド基(本明細書においてはジアルデヒドとも呼ぶ)を有してよく、2つのアルデヒド基のうち少なくとも1つは同一のポリウレタン鎖(分子)の2つのカルバメート基と反応し、複数のジェム状ビス(ウレタン)基を含む架橋されたポリウレタンを形成する。ジアルデヒドの2つのアルデヒド基が2つの異なるポリウレタン鎖の2つのカルバメート基と反応して、複数のジェム状ビス(ウレタン)基を含む架橋されたポリウレタンを形成してもよい。本発明の好適なポリアルデヒドは2つ、3つ、4つ、またはそれ以上のアルデヒド基を有する。3つのアルデヒド基を有するポリアルデヒドは、本明細書において、トリアルデヒドとも呼ばれる。
【0027】
ポリアルデヒドは、2〜20個の炭素原子を有する任意のかかる分子を含むことができ、またはポリアルデヒドは、20個を超える、すなわち最大100個の炭素原子を有することができるが、ただし、20個を超える炭素原子を有するポリアルデヒドは、炭素原子11個毎に少なくとも1つのアルデヒド基、例えば、炭素原子10個毎に少なくとも1つのアルデヒド基を有するものとする。ポリアルデヒドは、環式直鎖もしくは環式分岐鎖;環式非芳香族;環式芳香族(例えば、3−ホルミルベンズアルデヒド)、またはこれらの組み合わせであることができる。
【0028】
本発明のポリアルデヒドは実質的にホルムアルデヒドを含まない。本発明で使用する場合、用語「実質的にホルムアルデヒドを含まない」とは、多成分系組成物または周囲温度硬化性組成物が、ポリアルデヒド固形分の全重量を基準にして500ppm未満、好ましくは300ppm未満、またはより好ましくは200ppm未満の遊離ホルムアルデヒドを含むことを意味する。本発明の組成物は、アミノ樹脂等のホルムアルデヒドから生成された樹脂およびフェノールまたはレゾールホルムアルデヒド縮合物をほとんど含まなくてもよいため、組成物中に含まれる遊離ホルムアルデヒドの量が「実質的にホルムアルデヒドを含まない」という定義を満たす。
【0029】
別の実施形態では、本発明のポリアルデヒドは、1つ以上の環式非芳香族ポリアルデヒドまたは1つ以上の芳香族ポリアルデヒドを含む。例えば、ポリアルデヒドは、3〜20個の環炭素原子を有する1つ以上の環式非芳香族ポリアルデヒドを含む。代替的実施形態では、ポリアルデヒドは本質的に、3〜20個の環炭素原子を有する1つ以上の環式非芳香族ポリアルデヒドからなる。
【0030】
別の実施形態では、多成分系組成物中の各環式非芳香族ポリアルデヒドは独立して5〜12個の環炭素原子を有し、なおより好ましくは(シス,トランス)−1,4−シクロヘキサンジカルボキシアルデヒドと(シス,トランス)−1,3−シクロヘキサンジカルボキシアルデヒドの混合物である。
【0031】
本発明の一実施形態によると、ポリアルデヒドは、2〜16個の炭素原子を有する1つ以上の非環式直鎖ポリアルデヒドまたは非環式分岐鎖ポリアルデヒドを含んでよい。
【0032】
別の実施形態では、16個以上の炭素原子を有する1つ以上の非環式直鎖ポリアルデヒドまたは非環式分岐鎖ポリアルデヒドのそれぞれは、脂肪酸エステルまたはより好ましくは種子油から誘導される、実質的に非水溶性の多オレフィン含有化合物をヒドロホルミル化することによって調製される。例えば、16個以上の炭素原子を有する1つ以上の非環式直鎖ポリアルデヒドまたは非環式分岐鎖ポリアルデヒドのそれぞれは、多オレフィン含有オリゴマーまたはポリマーをヒドロホルミル化することによって調製される。好ましくは、種子油から誘導される多オレフィン含有化合物は、48個以上の炭素原子を有する多オレフィン含有脂肪酸トリグリセリドである。
【0033】
好適な環式ポリアルデヒドの例はトランス−1,3−シクロヘキサンジカルボキシアルデヒド;シス−1,3−シクロヘキサンジカルボキシアルデヒド;トランス−1,4−シクロヘキサンジカルボキシアルデヒド;シス−1,4−シクロヘキサンジカルボキシアルデヒド;1,3−シクロヘキサンジカルボキシアルデヒドと1,4−シクロヘキサンジカルボキシアルデヒドとの混合物、好ましくはその1:1混合物;エキソ,エキソ−2,5−ノルボルナンジカルボキシアルデヒド;エキソ,エキソ−2,6−ノルボルナンジカルボキシアルデヒド;エキソ,エンド−2,5−ノルボルナンジカルボキシアルデヒド;エキソ,エンド−2,6−ノルボルナンジカルボキシアルデヒド;エンド,エンド−2,5−ノルボルナンジカルボキシアルデヒド;エンド,エンド−2,6−ノルボルナンジカルボキシアルデヒド生成物(エンドおよびエキソ混合物);3−(3−ホルミルシクロヘキシル)プロパナール;3−(4−ホルミルシクロヘキシル)プロパナール;2−(3−ホルミルシクロヘキシル)プロパナール;2−(4−ホルミルシクロヘキシル)プロパナール;およびシクロドデカン−1,4,8−トリカルバルデヒドである。トランス−1,3−シクロヘキサンジカルボキシアルデヒド;シス−1,3−シクロヘキサンジカルボキシアルデヒド;トランス−1,4−シクロヘキサンジカルボキシアルデヒド;およびシス−1,4−シクロヘキサンジカルボキシアルデヒドは後述のヒドロホルミル化条件を用いて3−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒドをヒドロホルミル化することを含む方法によって調製できる。1,3−および1,4−シクロヘキサンジカルボキシアルデヒドの1:1混合物はディールス−アルダー反応においてアクロレインと1,3−ブタジエンとを反応させて3−シクロヘキセンカルボキシアルデヒド(1,2,3,6−テトラヒドロベンズアルデヒドとも呼ぶ)を生成し、後述のヒドロホルミル化条件を用いて3−シクロヘキセンカルボキシアルデヒドをヒドロホルミル化することを含む方法によって調製できる。エキソ,エキソ−2,5−ノルボルナンジカルボキシアルデヒド;エキソ,エキソ−2,6−ノルボルナンジカルボキシアルデヒド;エキソ,エンド−2,5−ノルボルナンジカルボキシアルデヒド;エキソ,エンド−2,6−ノルボルナンジカルボキシアルデヒド;エンド,エンド−2,5−ノルボルナンジカルボキシアルデヒド;およびエンド,エンド−2,6−ノルボルナンジカルボキシアルデヒド生成物(エンドおよびエキソ混合物)はディールス−アルダー反応においてアクロレインとシクロペンタジエンとを反応させ、2−ノルボルネン−5−カルボキシアルデヒドを生成し、後述するヒドロホルミル化条件を用いてこの2−ノルボルネン−5−カルボキシアルデヒドをヒドロホルミル化することを含む方法によって調製できる。3−(3−ホルミルシクロヘキシル)プロパナール;3−(4−ホルミルシクロヘキシル)プロパナール;2−(3−ホルミルシクロヘキシル)プロパナール;および2−(4−ホルミルシクロヘキシル)プロパナールは、ビニルシクロヘキセンをヒドロホルミル化することを含む方法によって調製できる。シクロドデカン−1,4,8−トリカルバルデヒドは1,3−ブタジエンをトリマー化して1,4,8−シクロドデカトリエンを生成し、後述のヒドロホルミル化条件を用いてこの1,4,8−シクロドデカトリエンをヒドロホルミル化する方法によって調製できる。
【0034】
本発明のポリアルデヒドはブロックされずかつ保護されていなくてもよく、またはブロックされ得、または保護され得る。ブロックされたまたは保護されたポリアルデヒドは、ブロックされておらずかつ保護されていないポリアルデヒドを好適なブロック基または保護基と反応させることによって生成され得る。アルデヒド基のための保護基またはブロック基の例は、亜硫酸水素塩(例えば、ポリアルデヒドと亜硫酸水素ナトリウムとの反応から)、ジオキソラン(例えば、ポリアルデヒドとエチレングリコールとの反応から)、オキシム(例えば、ポリアルデヒドとヒドロキシルアミンとの反応から)、イミン(例えば、ポリアルデヒドとメチルアミンとの反応から)、およびオキサゾリジン(例えば、ポリアルデヒドと2−アミノエタノールとの反応から)である。
【0035】
好ましいアルデヒド保護基は水和基(>C(OH))、ヘミアセタール、アセタールまたはイミンであり、好ましい保護されたポリアルデヒドは水和基(>C(OH))、ヘミアセタール、アセタールまたはイミンを含む。これらの好ましい保護されたポリアルデヒドは、ポリアルデヒドを水;1モル当量のアルカノール(例えば、メタノール、またはエタノール);2モル当量のアルカノール;またはアンモニアもしくは第1級アミン(例えば、メチルアミン)とそれぞれ反応させることによって調製できる。ヘミアセタール、アセタールまたはイミン保護基は、所望の場合、加水分解のような脱保護によって取り除かれ、ポリアルデヒドの保護されていない形態に戻すことができる。このようなアルデヒド保護基またはブロック基、ならびに形成および除去(すなわち、脱保護)は、例えば、米国特許第6,177,514号に教示されている。
【0036】
好ましくは、ポリアルデヒドはニート形態で安定であり(すなわち、実質的に自己重合しない)、より好ましくは実質的に非水溶性でありかつニート形態で安定である。
【0037】
本発明のポリアルデヒドは任意の好適な手段、例えば、対応するポリオールの酸化によって、ならびにポリアルデヒドを調製するバッチ式および連続方法で調製できる。好ましくは、ポリアルデヒドは実質的に非水溶性のモノオレフィン含有アルデヒド化合物、実質的に非水溶性の多オレフィン含有アルデヒド化合物、または実質的に非水溶性の多オレフィン含有出発化合物(本明細書においては簡略化のため、集合的に、実質的に非水溶性のオレフィン含有化合物と呼ぶ)をヒドロホルミル化することによって調製される。ヒドロホルミル化工程は任意の従来の手段によって、例えば、水素ガス、一酸化炭素、およびオレフィン含有出発化合物を用いて行うことができる。好ましくは、ヒドロホルミル化工程は概して、改良された分離方法を記載する米国特許第6,252,121号に記載されるような方法で行われる。
【0038】
ポリアルデヒドの調製は場合によっては、アルデヒドブロック基または保護基によってポリアルデヒドのアルデヒド基を可逆的にブロックまたは保護して、それぞれ、ブロックされたまたは保護されたポリアルデヒドを得ることをさらに含むことができる。保護されたポリアルデヒドは、ポリアルデヒドの代わりに、またはポリアルデヒドに加えて、本発明の多成分系組成物に使用され得る。このような実施形態では、本発明の架橋されたポリウレタンを調製する本発明の方法は、ポリアルデヒドの代わりに、またはポリアルデヒドに加えて、保護されたポリアルデヒドを使用することができ、かつこの方法は保護されたポリアルデヒドを用いてポリカルバメートを直接硬化させることを含むことができ、またはこの方法は場合によっては、その場でポリアルデヒドを得るように保護されたポリアルデヒドを脱保護し、そしてこのポリアルデヒドを本明細書に記載されるようにポリカルバメートを用いて硬化させる工程をさらに含むことができる。
【0039】
好ましくは、本発明のポリアルデヒドはトランス−1,3−シクロヘキサンジカルボキシアルデヒド、シス−1,3−シクロヘキサンジカルボキシアルデヒド、トランス−1,4−シクロヘキサンジカルボキシアルデヒド、およびシス−1,4−シクロヘキサンジカルボキシアルデヒド、またはこれらポリアルデヒドの保護されたもしくはブロックされた形態の2つ以上を含む混合物である。
【0040】
非イソシアネートポリウレタン配合物における他の成分
代替的実施形態では、本発明は、本明細書に開示される実施形態のいずれかにしたがって架橋性組成物、架橋性組成物の製造方法、架橋性組成物から製造される架橋された組成物、架橋された組成物から製造されるコーティングおよびコーティングされた物品を提供するが、ただし、非イソシアネートポリウレタン配合物はさらに酸触媒を含む。一実施形態において、酸触媒は組成物中の固形分全重量を基準にして、架橋性組成物の0.001wt%〜10wt%、または0.01wt%〜5wt%、または0.1wt%〜2wt%の量にて使用される。本明細書においては、かかる量の酸触媒を「有効量」の酸触媒と称する。
【0041】
カルバメート基(−O−C(=O)−NH)とアルデヒド基(−C(=O)H)との反応速度を増加させるのに好適な任意の酸触媒が誘発剤として使用できる。誘発剤の例にはルイス酸(例えば、三フッ化ホウ素エーテレート)およびプロトン酸(すなわち、ブレンステッド酸)がある。好ましくは、誘発剤は、6以下のpKaを有するという特徴を持つプロトン酸を含む。ここで、pKaとは、プロトン酸の酸解離定数Kaの底−10の負の対数である。したがって、本発明の周囲温度硬化性組成物は7.0以下のpH、好ましくはpH3〜pH<6を有する。好ましいプロトン酸は無機プロトン酸または有機プロトン酸である。好ましい無機プロトン酸はリン酸または硫酸である。好ましい有機プロトン酸はカルボキシル酸、ホスホン酸またはスルホン酸である。好ましいカルボン酸は酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸またはジカルボン酸である。好ましいホスホン酸はメチルスルホン酸である。好ましいスルホン酸は、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、カンファースルホン酸、p−トルエンスルホン酸またはドデシルベンゼンスルホン酸である。好適なルイス酸硬化触媒の例は、AlCl;塩化ベンジルトリエチルアンモニウム(TEBAC);Cu(OSCF;(CHBrSBr;FeCl(例えば、FeCl6HO);HBF;BF3O(CHCH;TiCl;SnCl;CrCl;NiCl;およびPd(OC(O)CHである。
【0042】
酸触媒は支持されていなくてもよく(固体支持体なし)、または支持されていてもよい、すなわち、固体支持体に共有結合され得る。支持される誘発剤の例は、酸(H)形態の陽イオン交換型ポリマー樹脂等の支持される酸触媒等の支持される硬化触媒(例えば、商品名NAFION NR50(イーアイデュポンドゥヌムール&カンパニー、デラウエア州ウィルミントン)で販売されるエタンスルホン酸、2−[1−[ジフルオロ[(1,2,2−トリフルオロエチル)オキシ]メチル]−1,2,2,2−テトラフルオロエトキシ]−1,1,2,2−テトラフルオロ−、ポリマーと1,1,2,2−テトラフルオロエテン、およびAMBERLYST15(ダウケミカル社の子会社であるロームアンドハース社(米国ミシガン州ミッドランド))として販売されるエテニルベンゼンスルホン酸ポリマーとジエテニルベンゼンがある。
【0043】
適用および硬化条件
一実施形態によれば、(I)エポキシ樹脂;硬化剤の固形分重量を基準にして4.5wt%以下の遊離アミンを有する硬化剤;ならびに所望により、溶媒、反応希釈剤、可塑剤、顔料、充填剤、レオロジー変性剤、分散剤、界面活性剤、紫外線安定剤および腐食防止剤からなる群から選択される1つ以上の添加剤を含むエポキシ配合物を選択すること;(II)エポキシ配合物を基材に直接または間接的に適用すること;(III)エポキシ配合物を硬化させてエポキシコーティング層を製造すること;(IV)非イソシアネートポリウレタントップコート配合物を選択すること;(V)非イソシアネートポリウレタントップコート配合物を硬化済みエポキシ層上に適用すること;ならびに(VI)トップコート配合物を硬化させてトップコート層を形成することを含むコーティング系の適用方法が提供される。直接基材上へ適用した場合、硬化済みエポキシ層は低遊離アミンプライマー層として機能してもよい。特定の実施形態では、プライマー層は直接基材上へ適用され、プライマー層は基材組成物の観点から任意の好適な組成物を有し得る。このような場合、エポキシ層はミッドコート層として機能してよい。本発明の各種実施形態では、コーティング系はエポキシ層および非イソシアネートポリウレタン層に加えて1つ以上の層を含んでよいが、1つ以上の層はトップコート層に隣接していないものとする。
【0044】
代替的実施形態では、本発明は、前述の実施形態のいずれかにしたがって、コーティング系の適用方法およびそれから製造される物品を提供するが、ただし、工程(I)〜(IV)は任意の順番で行われる。
【0045】
代替的実施形態では、本発明は、前述の実施形態のいずれかにしたがって、コーティング系の適用方法およびそれから製造される物品を提供するが、ただし、工程(I)〜(VI)は任意の順番で行われる。
【0046】
代替的実施形態では、本発明は、前述の実施形態のいずれかにしたがって、コーティング系の適用方法およびそれから製造される物品を提供するが、ただし、工程(III)および(V)は同時に行われてよい。
【0047】
代替的実施形態では、本発明は、前述の実施形態のいずれかにしたがって、コーティング系の適用方法およびそれから製造される物品を提供するが、ただし、エポキシ配合物の硬化は−20〜80℃の温度で行われる。あらゆる個々の値および部分範囲が本明細書に含まれ、また開示される。例えば、エポキシ配合物の硬化温度は下限−20、0、20、40または60℃から上限0、20、40、60または80℃までの範囲であり得る。例えば、エポキシ配合物は−20〜80℃の温度で硬化してよく、または、エポキシ配合物は−20〜60℃の温度で硬化してよく、または、エポキシ配合物は40〜80℃の温度で硬化してよく、または、エポキシ配合物20〜60℃の温度で硬化してよく、または
【0048】
代替的実施形態では、本発明は、前述の実施形態のいずれかにしたがって、コーティング系の適用方法およびそれから製造される物品を提供するが、ただし本方法は、非イソシアネートポリウレタントップコートを−20℃〜80℃の温度で硬化させることをさらに含む。あらゆる個々の値および部分範囲が本明細書に含まれ、また開示される。例えば、非イソシアネートポリウレタンの硬化温度は下限−20、0、20、40または60℃から上限0、20、40、60または80℃までの範囲であり得る。例えば、非イソシアネートポリウレタントップコートは−20〜80℃の温度で硬化してよく、または、非イソシアネートポリウレタントップコートは−20〜60℃の温度で硬化してよく、または、非イソシアネートポリウレタントップコートは40〜80℃の温度で硬化してよく、または、非イソシアネートポリウレタントップコートは20〜60℃の温度で硬化してよく、または
【0049】
代替的実施形態では、本発明は、前述の実施形態のいずれかにしたがって、コーティング系、コーティング系の適用方法、およびそれから製造される物品を提供するが、ただし、非イソシアネートポリウレタン配合物は7日間以内の硬化時間で硬化する。7日間以内の範囲のあらゆる個々の値および部分範囲が本明細書において含まれ、本明細書において開示される。例えば、非イソシアネートポリウレタン配合物は7日間以内の硬化時間で硬化でき、または、非イソシアネートポリウレタン配合物は5日間以内の硬化時間で硬化でき、または、非イソシアネートポリウレタン配合物は3日間以内の硬化時間で硬化でき、または、非イソシアネートポリウレタン配合物は24時間以内の硬化時間で硬化でき、または、非イソシアネートポリウレタン配合物は12時間以内の硬化時間で硬化でき、または、非イソシアネートポリウレタン配合物は1時間以内の硬化時間で硬化できる。
【0050】
物品
本発明は表面を含む基材、(A)エポキシ樹脂;(B)硬化剤の固形分重量を基準にして4.5wt%以下の遊離アミンを有する硬化剤;(C)所望により、溶媒、反応希釈剤、可塑剤、顔料、充填剤、レオロジー変性剤、分散剤、界面活性剤、紫外線安定剤および腐食防止剤からなる群から選択される1つ以上の添加剤を含むエポキシ配合物から調製されるエポキシコーティング層を含む物品をさらに提供する。エポキシ配合物は基材表面に直接または間接的にコーティングされ硬化されてエポキシコーティング層を形成し、非イソシアネートポリウレタンはそのエポキシコーティング層上にコーティングされる。
【0051】
代替的実施形態では、本発明は、前述の実施形態のいずれかにしたがって、コーティング系、コーティング系の適用方法、およびコーティング系から製造される物品を提供するが、ただし、基材は木材、複合材料、コンクリート、プラスチックおよび金属からなる群から選択される1つ以上の材料を含む。
【0052】
代替的実施形態では、本発明は、前述の実施形態のいずれかにしたがって、コーティング系、コーティング系の適用方法、およびコーティング系から製造される物品を提供するが、ただし、基材は金属およびコンクリートからなる群から選択される1つ以上の材料を含む。
【0053】
さらに別の実施形態では、本発明は、本質的に(A)(a1)エポキシ樹脂;および(a2)硬化剤の固形分重量を基準にして4.5wt%以下の遊離アミンを有する硬化剤からなるエポキシ配合物から調製されるエポキシコーティング層;(B)非イソシアネートポリウレタン配合物から調製される隣接するコーティング層を含むコーティング系を提供し、エポキシ配合物および/または非イソシアネートポリウレタン配合物はさらに任意で、溶媒、反応希釈剤、可塑剤、顔料、充填剤、レオロジー変性剤、分散剤、界面活性剤、紫外線安定剤、および腐食抑制剤からなる群から選択される1つ以上の添加剤を含む。
【0054】
さらに別の実施形態では、本発明は、(A)(a1)エポキシ樹脂;および(a2)硬化剤の固形分重量を基準にして4.5wt%以下の遊離アミンを有する硬化剤を含むエポキシ配合物から調製されるエポキシコーティング層;(B)非イソシアネートポリウレタン配合物から調製される隣接するコーティング層から本質的になるコーティング系を提供し、エポキシ配合物および/または非イソシアネートポリウレタン配合物はさらに任意で、溶媒、反応希釈剤、可塑剤、顔料、充填剤、レオロジー変性剤、分散剤、界面活性剤、紫外線安定剤、および腐食抑制剤からなる群から選択される1つ以上の添加剤を含む。
【0055】
別の代替的実施形態では、本発明は、(I)(a1)エポキシ樹脂;(a2)硬化剤の固形分重量を基準にして4.5wt%以下の遊離アミンを有する硬化剤を含むエポキシ配合物を選択すること;(II)エポキシ配合物を基材上に適用すること;(III)エポキシ配合物を完全にまたは部分的に硬化させてエポキシコーティング層を製造すること;(IV)非イソシアネートポリウレタン配合物を選択すること;(V)非イソシアネートポリウレタン配合物をエポキシコーティング層上に適用すること;ならびに(VI)トップコート配合物およびエポキシ配合物を完全に硬化させ、多層コーティング系を形成することからなる多層コーティング系の適用方法を提供する。エポキシ配合物および/または非イソシアネートポリウレタン配合物はさらに任意で、溶媒、反応希釈剤、可塑剤、顔料、充填剤、レオロジー変性剤、分散剤、界面活性剤、紫外線安定剤、および腐食抑制剤からなる群から選択される1つ以上の添加剤を含む。
【0056】
さらに別の代替的実施形態では、本発明は、表面を含む基材、エポキシ樹脂;硬化剤の固形分重量を基準にして4.5wt%以下の遊離アミンを有する硬化剤;およびエポキシコーティング層上にコーティングされる非イソシアネートポリウレタンから本質的になるエポキシ配合物から調製されるエポキシコーティング層を含む物品を提供する。エポキシ配合物および/または非イソシアネートポリウレタン配合物はさらに任意で、溶媒、反応希釈剤、可塑剤、顔料、充填剤、レオロジー変性剤、分散剤、界面活性剤、紫外線安定剤、および腐食抑制剤からなる群から選択される1つ以上の添加剤を含む。
【0057】
さらに別の代替的実施形態では、本発明は、表面を含む基材、エポキシ樹脂;硬化剤の固形分重量を基準にして4.5wt%以下の遊離アミンを有する硬化剤;およびエポキシコーティング層上へとコーティングされる非イソシアネートポリウレタンを含むエポキシ配合物から調製されるエポキシコーティング層から本質的になる物品を提供する。エポキシ配合物および/または非イソシアネートポリウレタン配合物はさらに任意で、溶媒、反応希釈剤、可塑剤、顔料、充填剤、レオロジー変性剤、分散剤、界面活性剤、紫外線安定剤、および腐食抑制剤からなる群から選択される1つ以上の添加剤を含む。
【実施例】
【0058】
以下の実施例により本発明を説明するが、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0059】
実施例で使用される非イソシアネートポリウレタン配合物の成分
アクリル系ポリオールA
アクリル系ポリオールAは、二重45度ピッチブレード、1インチ厚バッフルケージ、熱油加熱システム、磁気駆動撹拌器および3つの液体供給タンクを装備した20L 316ステンレス鋼反応装置内で製造される。反応装置は482°Fで300psiの定格圧力能力であった。供給タンクV−600は最大容量2550mlを有し、キシレンのために使用された。供給タンクV−602は最大容量3780mlを有し、モノマー溶液のために使用された。供給タンクV−601は最大容量2550mlを有し、反応開始剤溶液のために使用された。HEMA、MMA、2−EHAおよびAAモノマーを量り、室温にてタンク内でよく混合した。モノマー混合溶液は1つのストリーム(stream)として使用され、V−602タンクから反応装置内へと供給された。t−BPA反応開始剤溶液はミネラルスピリットの50wt%であったが、キシレンで12.5wt%まで希釈した。反応開始剤溶液はV−601から反応装置内へ供給された。モノマーブレンド:30% 2−ヒドロキシエチルメタクリレート、1% アクリル酸、13% メチルメタクリレート、56% 2−エチルヘキシルアクリレート。得られたポリオールAはGPCにより3600ダルトンのM、および131.4のOH#(固形分)を有していた。
【0060】
アクリル系ポリカルバメートA
すべての実施例について、ポリオールのカルバミル化は140℃の反応温度で行われた。触媒(ジブチルスズオキシド)はすべての反応成分の総重量の0.6wt%で使用された。尿素溶液は脱イオン水中で45%溶液を作ることによって調製される。尿素充填量はヒドロキシルからカルバメートへの標的転化率80%になるよう計算され、10%余分に使用される。ポリオールを1時間温度を保持した後、全固形分の0.60%のジブチルスズオキシド触媒が反応装置に添加され、尿素供給を開始する。尿素は6時間を超えて供給され、システムはさらに12〜16時間温度を保持される。次いで、材料を反応装置の外に出し、得られたアクリル系カルバメートは固形分%、酸価、ヒドロキシル価、ヒドロキシルからカルバメートへの転化率および分子量について評価された。
【0061】
アクリル系カルバメートAは81.7%のOH転化率および4200ダルトンのGPCによるMnを有する。
【0062】
CHDA−1,3/1,4−シクロヘキサンジカルボキシアルデヒド、96.2%固形分と79.2当量
CYCAT4040−サイテック・インダストリーズ社(米国ニュージャージー州ウッドランドパーク)より入手した40%p−トルエンスルホン酸イソプロパノール溶液
Ti−PURE TS6200−イーアイデュポンドゥヌムール&カンパニー(米国デラウエア州ウィルミントン)より入手した二酸化チタン
n−酢酸ブチル(n−BA)−ダウケミカル社(米国ミシガン州ミッドランド)より入手
エタノール−フィッシャーサイエンティフィック社(米国ペンシルベニア州ピッツバーグ)より入手
【0063】
本発明の実施例で使用されるエポキシ配合物の成分
D.E.R.331−182〜192g/eqのエポキシド当量を有する、ダウケミカル社より入手したエポキシ樹脂
GRILONIT H84026−エムスケミー社(スイス)の子会社であるエムスグリルテック社から市販されている遊離アミンを含まない固形物含量率49〜51%のエポキシ硬化剤を有する単離したEDA付加化合物
BYK−9076−ビーワイケーアディティヴズ&インストゥルメンツ(米国テキサス州オースティン)から市販されている顔料分散剤
BYK−333−ビーワイケーアディティヴズ&インストゥルメンツから市販されている界面活性剤
ベンガラ−ランクセスコーポレーション(米国テキサス州オレンジ)から市販されている顔料である
BLANC FIXE−ザハトレーベンケミー社(ドイツ国ドゥイスブルク)から市販されている充填剤、沈降性硫酸バリウム
L−207A−R.E.キャロル社(米国ニュージャージー州トレントン)から市販されている雲母系充填剤
BENTONE SD−2−エレメンティススペシャルティーズ社(米国ニュージャージー州イーストウィンザー)から市販されているレオロジー変性添加剤(ベントナイト粘土の有機誘導体)である
ブタノール−シグマ−アルドリッチ社(米国ミズーリ州セントルイス)から市販されている溶媒
キシレン−フィッシャーサイエンティフィック社(米国ペンシルベニア州ピッツバーグ)から市販されている溶媒
比較実施例にて使用されるエポキシ配合物−BASF(米国ニュージャージー州フローラムパーク)から市販されているVERSAMID140、すなわちポリアミド硬化剤がエポキシ配合物に使用された
【0064】
本発明の実施例に使用されるエポキシ配合物の製造手順
1.サリチル酸25%エタノール溶液を準備する
2.D.E.R.331エポキシ樹脂をスピードミキサーカップに充填する
3.分散剤および界面活性剤を添加する
4.8gのガラスビーズを添加する
5.手で木の棒を使って予混する
6.3000rpmで2分間混合する
7.もしあればサリチル酸溶液、酸化鉄顔料、硫酸バリウム、L−207AおよびBENTONE SD2を添加する
8.手で木の棒を使って予混する
9.3000rpmで2分間混合し、容器を室温まで冷却させる
10.キシレンおよびブタノールを添加する
11.手で木の棒を使って予混する
12.3000rpmで2分間混合し、容器を室温(約24℃)まで冷却させる
13.GRILONIT H84026硬化剤を添加する
14.手で木の棒を使って予混する
15.3000rpmで2分間混合する
16.#50巻線塗布装置を使用してコーティングを適用し、パネル全体を均一に被覆する
17.下塗りされたパネルを24時間室温で硬化させ、トップコートを適用する
【0065】
本発明の実施例および比較実施例で使用する非イソシアネートポリウレタン配合物の調製手順
【0066】
コーティング配合物はFlackTek SpeedMixer(登録商標)(型式DAC600 FV−K、フラックテック社)の二重非対称遠心分離器にて調製した。配合物は、次のようにして調製した。
1.ポリカルバメート成分および顔料をスピードミキサーカップに充填した
2.約3000rpmで1〜2分間、またはよく混合されるまで混合する
3.溶媒n−BAを添加し、3000rpmで1分間混合する
4.カップ壁をこすり取り、3000rpmで1分間混合する
5.エタノールを添加して3000rpmで1分間混合する
6.CHDAを添加して約3000rpmで1分間混合する
7.p−TSA触媒を添加して約1500rpmで1分間混合する
8.約1500rpmで1分間混合する
9.10ミルドローダウンバーを使用してコーティングを鋼鉄および下塗りされたパネルにコーティングする
10.7日間硬化させ、湿度/温度制御室にて測定した
リン酸鉄処理済み鋼鉄基材(Q−パネル社(米国オハイオ州オハイオ州ウエストレイク)より入手、タイプR−421−I、サイズ:4×12×0.032インチ)を使用した。これらのパネルは市販のペーパータオルを用いてイソプロパノールで完全に洗浄され、次いで約5〜10分間空気乾燥し、非イソシアネートポリウレタントップコートまたはエポキシプライマーでコーティングした。
【0067】
比較実施例1:表2に示す非イソシアネートポリウレタントップコート配合物がリン酸処理済み鋼鉄パネルに直接適用された。コーティングを22℃/50%相対湿度(「50RH」)で7日間硬化させた。
【0068】
本発明の実施例1および比較実施例2のそれぞれにおいて、非イソシアネートポリウレタントップコート配合物がリン酸処理済み鋼鉄パネルにコーティングされたエポキシ層上にコーティングされた。
【0069】
本発明の実施例1。低遊離アミン含有硬化剤により硬化されるエポキシプライマー(表2に示される配合物)がリン酸処理済み鋼鉄パネルに適用され、24時間硬化され、次いで非イソシアネートポリウレタントップコート(表1に示される配合物)はこのエポキシプライマーの上に適用され、約22℃/50RHで7日間硬化された。
【0070】
比較実施例2。VERSAMID140により硬化されるエポキシプライマー(表3に示される配合物)、ポリアミド硬化剤がリン酸処理済み鋼鉄パネルに適用され、24時間硬化され、次いで非イソシアネートポリウレタントップコート(表1に示される配合物)はこのエポキシプライマーの上に適用され、約22℃/50RHで7日間硬化された。
【0071】
表1 非イソシアネートポリウレタン配合物
【0072】
【表1】
【0073】
表2 低遊離アミン含有エポキシプライマーの配合物
【0074】
【表2】
【0075】
表3 VERSAMID140により硬化されたエポキシプライマーの配合物
【0076】
【表3】
【0077】
表4は本発明の実施例1ならびに比較実施例1および比較実施例2のトップコートの性能を示す。本発明の実施例1のコーティングは、コーティングの光沢度、硬度、MEK耐性、可撓性、接着性、および耐水性に関して、金属に直接適用されるコーティング(比較実施例1)と類似の性能を有することが見てとれる。比較実施例2のトップコートは硬度、MEK耐性および可撓性について低減されたコーティング性能を有する。
【0078】
表4 コーティング性能特性
【0079】
【表4】
【0080】
試験方法
試験方法は以下を含む。
【0081】
乾燥膜厚測定
乾燥膜厚は膜厚計Positector6000を使用して測定した。記録したデータは5回測定分を平均したものである。
【0082】
光沢度
光沢度はBYK micro−TRI−gloss器具を用いて測定する。光沢度は所定角度でのコーティングの光の反射率の測度である。光沢度は60°で測定される。
【0083】
鉛筆硬度およびペンドラム硬度
鉛筆硬度試験はASTM D3363法にしたがって行った。鉛筆硬度試験機には一番柔らかい6Bから一番硬い6Hまでの一連の14本の鉛筆が備えられている。
【0084】
ペンドラム硬度試験はASTM D4366法にしたがって実行され、3回の測定分が平均され、報告される。
【0085】
クロスハッチ接着性
クロスハッチ接着性はASTM D−3359にしたがって測定され、評価された。この接着試験に特有のASTM評点は表5に示す。4Bおよび5Bの接着評点が望ましい。
【0086】
表5 接着性のASTM D3359分類
【0087】
【表5】
【0088】
MEK二重摩擦
耐溶剤性および架橋度は半自動MEK摩擦試験機(DJHデザイン社)を使用して評価する。コーティング基材を摩擦ブロックに取り付けたメチルエチルケトン(MEK)に浸漬させた布で摩擦した。各前後の摩擦を1回の二重摩擦として数える。この機械は一定の下方圧力(80psi)、一定速度(70二重摩擦/分)を適用し、適用された二重ストロークの回数を数える。
【0089】
耐水性
耐水性は、ASTM D1308に同様の方法論にてコーティングを脱イオン水に曝露することによって試験した。大きな脱イオン水の液滴をコーティング表面にのせ、24時間時計皿で被覆した。24時間後、コーティングから水を拭き取った。コーティングは、色変化、染色、ブリスタリング等の何らかの徴候がないか目視検査した。コーティングは5(影響なし)から1(深刻なブリスタリングまたは完全に溶解した)で評価された。
【0090】
耐衝撃性
コーティングの耐衝撃性はガードナー衝撃試験機を用いてASTM D2794にしたがって測定された。
【0091】
マンドレル屈曲試験
マンドレル屈曲試験はコーティングの亀裂抵抗(可撓性)を評価するためのものである。コーティングされたパネルをマンドレル上で屈曲し、コーティングの亀裂抵抗を測定した。この研究において、コーティングが0.5インチ直径のマンドレルについて合格するか不合格であるかを記録する。
【0092】
本発明はその趣旨および本質的な特性を逸脱することなく他の形態で実施されてもよく、したがって、本発明の範囲を示すものとして前述の明細書ではなく添付の請求の範囲を参照しなければならない。