特許第6051196号(P6051196)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6051196要介護者のためのレントゲン撮影用補助イス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6051196
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】要介護者のためのレントゲン撮影用補助イス
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/04 20060101AFI20161219BHJP
   A61B 6/00 20060101ALI20161219BHJP
   A47C 3/18 20060101ALI20161219BHJP
   A47C 9/00 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   A61B6/04 333
   A61B6/00 390Z
   A47C3/18
   A47C9/00 Z
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-239851(P2014-239851)
(22)【出願日】2014年11月27日
(65)【公開番号】特開2016-101220(P2016-101220A)
(43)【公開日】2016年6月2日
【審査請求日】2016年7月7日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】398001850
【氏名又は名称】ドクタージャパン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000130293
【氏名又は名称】株式会社コムラ製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100081558
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 晴男
(74)【代理人】
【識別番号】100154287
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 貴広
(72)【発明者】
【氏名】小田切 章
(72)【発明者】
【氏名】向井 淳二
(72)【発明者】
【氏名】水関 勇
【審査官】 九鬼 一慶
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−266650(JP,A)
【文献】 特開平06−022954(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床上を移動可能にされる中空ベースと、支持脚を介して前記中空ベース上に配置される可動座部と、前記中空ベースの後端部に立設されてX線を透過する背もたれとから成り、
前記可動座部の支持脚は、下部が前記中空ベース内に臨み、そこにおいて所定範囲内で水平方向に移動及び回転可能に保持されることを特徴とする要介護者のためのレントゲン撮影用補助イス。
【請求項2】
前記支持脚の前記中空ベース内に位置する部分に保持キャスター取付板が固定され、前記保持キャスター取付板の上面側に、前記中空ベースの内天面に接して転動する保持キャスターが複数設置され、その裏面側に、前記中空ベースの内底面に接して転動する保持キャスターが複数取り付けられる、請求項1に記載のレントゲン撮影用補助イス。
【請求項3】
前記保持キャスター取付板の裏面及び/又は上面に、永電磁ホルダーが1又は複数設置される、請求項2に記載のレントゲン撮影用補助イス。
【請求項4】
前記中空ベースの上面及び底面に円孔が形成され、前記支持脚は前記円孔の範囲内において水平方向に自由移動可能にされる、請求項1乃至3のいずれかに記載のレントゲン撮影用補助イス。
【請求項5】
前記中空ベースの裏面に、前記可動座部の回転角度規制機構が組み付けられる、請求項1乃至4のいずれかに記載のレントゲン撮影用補助イス。
【請求項6】
前記回転角度規制機構は、前記中空ベースの裏面に固定設置される固定リンクと、一端が前記固定リンクにおいて枢支される一対の第1リンクアームと、前記第1リンクアームの他端部間を連結する中間リンクと、一端が前記中間リンクの端部において枢支され、他端部が揺動リンクにおいて枢支される一対の第2リンクアームと、回転ストッパーを備えていて、前記支持脚の下端部が貫通する前記揺動リンクと、前記揺動リンクの上側または下側に配置されて前記支持脚の下端部に取り付けられる回転規制板とで構成され、前記回転規制板は、前記揺動リンクに突設される回転ストッパーに摺接する半円形状の円弧部と、前記円弧部の両側に配備される一対の段部とを有していて、前記回転規制板が前記支持脚の回転に伴って回転し、前記いずれか一方の段部が前記回転ストッパーに当たることで、前記可動座部の回転角度が規制される、請求項5に記載のレントゲン撮影用補助イス。
【請求項7】
前記可動座部の側部に握持部を設けた、請求項1乃至6のいずれかに記載のレントゲン撮影用補助イス。
【請求項8】
前記支持脚に、前記中空ベースの上面に沿って摺動する摺動板が設置され、また、その下部の前記中空ベース底面の円孔の内周面に接する部分に緩衝材が巻装される、請求項1乃至7のいずれかに記載のレントゲン撮影用補助イス。
【請求項9】
前記中空ベースは、ベースフレームを介してその裏面側四隅にキャスターが配備されることにより移動可能にされ、前記キャスターはロック可能なものとされる、請求項1乃至8のいずれかに記載のレントゲン撮影用補助イス。
【請求項10】
前記背もたれフレームの上面に、立位撮影台の受像部に表示されている基準線に合わせて位置決めするための目印が表示される、請求項1乃至9のいずれかに記載のレントゲン撮影用補助イス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、要介護者のためのレントゲン撮影用補助イスに関するものであり、より詳細には、身障者、病弱者、年配者等で身体の自由の利かない要介護者(以下単に要介護者とする)のレントゲン撮影を行うに際し、要介護者を座らせて立位撮影台の前の定位置に位置させるために用いるレントゲン撮影用補助イスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、要介護者のレントゲン撮影を行うことを容易にするための補助イスが種々提案されている。その補助イスの多くは車イスであって、その背もたれ部にX線フィルムカセッテのホルダーを装備したものである(特開2004−329467号公報、特許第3340109号公報、実公平7−46251号公報)。
【0003】
これらのレントゲン撮影用車イスは構造が複雑で、コストが嵩むという難点がある。また、レントゲン撮影は身体の正面のみならず、身体を回して側部側からも行われるが、上記従来のレントゲン撮影用車イスは、この点についての配慮がなされていない。
【0004】
ところで、近時のレントゲン撮影においては、従来のX線フィルムの代わりにイメージングプレート(IP)を用いるコンピュータX線撮影(CR)が主流になってきており、更には、大面積の半導体検出器を用いたFPD(Flat Panel Detector)も普及しつつあり、上記従来のX線フィルムカセッテは使用されなくなってきている。従って、このX線フィルムカセッテの使用を前提とする上記従来のレントゲン撮影用車イスは、既に過去のものとなっているが、その後、要介護者のCRによるレントゲン撮影を容易に行うのに適したレントゲン撮影用補助イスの提案は見られない。
【0005】
そのため、実際の要介護者に対するCRによるレントゲン撮影の現場においては、少なくとも2人の介護者が付き添い、要介護者を、立位撮影台の前に置いた丸イスに座らせた後、撮影終了まで要介護者を周囲から支え続けているのが現状である。その作業は、身体の自由の利かない要介護者が相手であるため容易ではなく、要介護者も不安定でつらい姿勢を強いられることになる。それだけでなく、介護者はその作業中X線を浴び続けることになり、その作業の反復に伴い、被曝によって健康が害されるおそれがあるという大きな問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−329467号公報
【特許文献2】特許第3340109号公報
【特許文献3】実公平7−46251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、近時のレントゲン撮影はCRが主流になってきているが、要介護者のCRによるレントゲン撮影を容易化するに適したレントゲン撮影用補助イスは提案されておらず、実際のレントゲン撮影現場においては、少なくとも2人の介護者が付き添って要介護者を撮影終了まで支え続けなければならないところ、その作業は容易ではないだけでなく、その作業中X線を浴び続けることにより健康が害されるおそれがあるという問題がある。
【0008】
本発明はかかる現状に鑑みてなされたもので、シンプルな構成で取り扱いやすく、レントゲン撮影中要介護者を、人手によらずに負担のかからない安定した姿勢に保持でき、しかも、介護者がX線を浴び続ける事態を回避できるために、介護者が被曝被害を受けるおそれがない、要介護者のためのレントゲン撮影用補助イスを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための請求項1に係る発明は、床上を移動可能にされる中空ベースと、支持脚を介して前記中空ベース上に配置される可動座部と、前記中空ベースの後端部に立設されてX線を透過する背もたれとから成り、前記支持脚は、下部が前記中空ベース内に臨み、そこにおいて所定範囲内で水平方向に移動及び回転可能に保持されることを特徴とする要介護者のためのレントゲン撮影用補助イスである。
【0010】
一実施形態においては、前記支持脚の前記中空ベース内に位置する部分に保持キャスター取付板が固定され、前記保持キャスター取付板の上面側に、前記中空ベースの内天面に接して転動する保持キャスターが複数設置され、その裏面側に、前記中空ベースの内底面に接して転動する保持キャスターが複数取り付けられる。そして、前記保持キャスター取付板の裏面及び/又は上面に、永電磁ホルダーが1又は複数設置される。
【0011】
一実施形態においては、前記中空ベースの裏面に、前記可動座部の回転角度規制機構が組み付けられる。例えば、前記回転角度規制機構は、前記中空ベースの裏面に固定設置される固定リンクと、一端が前記固定リンクにおいて枢支される一対の第1リンクアームと、前記第1リンクアームの他端部間を連結する中間リンクと、一端が前記中間リンクの端部において枢支され、他端部が揺動リンクにおいて枢支される一対の第2リンクアームと、回転ストッパーを備えていて、前記支持脚の下端部が貫通する前記揺動リンクと、前記揺動リンクの上側または下側に配置されて前記支持脚の下端部に取り付けられる回転規制板とで構成され、前記回転規制板は、前記揺動リンクに突設される回転ストッパーに摺接する半円形状の円弧部と、前記円弧部の両側に配備される一対の段部とを有していて、前記回転規制板が前記支持脚の回転に伴って回転し、前記いずれか一方の段部が前記回転ストッパーに当たることで、前記可動座部の回転角度が規制されるものとされる。
【0012】
一実施形態においては、前記可動座部の側部に握持部が設けられる。また、前記中空ベースの上面及び底面に円孔が形成され、前記支持脚は前記円孔の範囲内において水平方向に自由移動可能にされる。更に、前記支持脚に、前記中空ベースの上面に沿って摺動する摺動板が設置され、その下部の前記中空ベース底面の円孔の内周面に接する部分に緩衝材が巻装される。
【0013】
また、一実施形態においては、前記中空ベースは、ベースフレームを介してその裏面側四隅にキャスターが配備されることにより移動可能にされ、前記キャスターはロック可能なものとされる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は上述したとおりであって、床上を移動可能にされる中空ベースと、支持脚を介して前記中空ベース上に配置される可動座部と、前記中空ベースの後端部に立設されてX線を透過する背もたれとから成るシンプルな構成であって、前記可動座部は、その支持脚の下部が前記中空ベース内に臨み、そこにおいて所定範囲内で水平方向に移動及び回転可能に保持されることにより、所定範囲内で水平方向に移動及び回転可能であるので、要介護者を可動座部に座らせて立位撮影台の前の定位置に移動させた後、要介護者の身体を任意の向きに向けさせてレントゲン撮影することが容易となる効果がある。
【0015】
また、レントゲン撮影中要介護者を、人手によらずに負担のかからない安定した姿勢に保持できることに伴い、介護者がX線を浴び続けることを回避できるようになるため、介護者がX線を浴び続けることによって健康被害を蒙るおそれがなくなるという効果がある。
【0016】
更に、請求項5及び6に記載の発明においては、回転角度規制機構を備えるために、可動座部を回し過ぎることなく、可動座部を所望角度回転させることが容易であり、また、請求項7に記載の発明においては、要介護者に触れることなく可動座部を所望角度回転させ、且つ、所望位置に移動させることが容易なる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係るレントゲン撮影用補助イスの一実施形態の正面図である。
図2】本発明に係るレントゲン撮影用補助イスの一実施形態の側面図である。
図3】本発明に係るレントゲン撮影用補助イスの一実施形態の要部を示す部分断面側面図である。
図4】本発明に係るレントゲン撮影用補助イスの一実施形態の平面図である。
図5図3におけるA−A線断面図である。
図6】本発明に係るレントゲン撮影用補助イスにおけるキャスターのロック機構を示す平面図である。
図7】本発明に係るレントゲン撮影用補助イスの一実施形態において組み込まれる回転角度規制機構の構成例を示す平面図である。
図8】本発明に係るレントゲン撮影用補助イスの可動座部の移動例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明を実施するための形態について、添付図面に依拠して説明する。図1は本発明に係る要介護者のためのレントゲン撮影用補助イスの一実施形態の正面図、図2はその側面図であり、そこに示されるように本補助イスは、大別して、ベースフレーム3を介してキャスター2が取り付けられることにより移動自在にされる中空ベース1と、支持脚12を介して中空ベース1上に配置されて、所定範囲内で水平方向に移動、回転する可動座部11と、中空ベース1の後端部に立設される背もたれフレーム21とで構成される。可動座部11には、そこに座る要介護者の大腿部を固定するための固定バンド20が配備される。
【0019】
キャスター2は、中空ベース1の裏面に設置されるベースフレーム3の四隅に配置され、ベースフレーム3に、キャスター2のロック機構が装備される。ロック機構は、特に図4及び図5に示されるように、後輪側の一対のキャスター2を連結する後部連結軸5と、前輪側の一対のキャスター2を連結する前部連結軸5aと、後部連結軸5の両端部に固定されるロックペダル4と、後部連結軸5と前部連結軸5aにそれぞれ配置される揺動アーム10、10aと、揺動アーム10、10aの下端部間を連結する伝達杆9とから成るリンク機構で構成される。なお、図示した例では、伝達杆9及び揺動アーム10、10aはベースフレーム3の内側に配備されているが、その外側に配備することとしてもよい。
【0020】
このロック機構の場合、アンロック状態(図2、3においてロックペダル4が実線で示す位置にある状態)においてロックペダル4を足で回動操作すると、ロックペダル4と一体の後部連結軸5が所定角度(例えば、30度)回転し、それに伴って後部連結軸5に固定されている揺動アーム10が後方に揺動し、伝達杆9を後進させる。この伝達杆9の後進に伴って前部揺動アーム10aが引っ張られて後方に揺動し、その上端部に固定されている前部連結軸5aが、後部連結軸5と同じ角度回転することで、すべてのキャスター2がロック状態(図2、3においてロックペダル4が仮想線で示す位置にある状態)になる。
【0021】
図示してないが、後部連結軸5と前部連結軸5aにはそれぞれ、キャスター2の車輪周面に当接するブレーキシューが取り付けられていて、上記のようにして後部連結軸5と前部連結軸5aとが回転するに伴い、各ブレーキシューがそれぞれ車輪周面に強く接することで車輪の回転が止められる。
【0022】
中空ベース1の上面には、可動座部11の支持脚12を挿通するための上面円孔6が形成され、この上面円孔6の上側にカバー7が被着される。そして、支持脚12のカバー7対応部分に、カバー7内に収まって中空ベース1の上面に沿って摺動する摺動板13が設置される。この摺動板13は、支持脚12と一体に移動して上面円孔6を隠蔽し、上面円孔6から中空ベース1内に塵埃や異物が入り込むことを防止する役目を果たす。
【0023】
また、中空ベース1の底面に、支持脚12の下端部を挿通するための底面円孔8が形成され、支持脚12の下端部に、ゴム等の緩衝材18が卷装される。この緩衝材18は、支持脚12の下端部が底面円孔8の内周縁に当たる際の衝撃を緩和する役目を果たす。後述するように、支持脚12の緩衝材18が底面円孔8の内周面に当たることにより、可動座部11の移動範囲が画成される。
【0024】
支持脚12の中空ベース1内に位置する部分に、支持脚12を囲むようにして鍔付きの押止部材15が溶接等によって固定され、この押止部材15の鍔部を介して保持キャスター取付板14がねじ等によって固定される。
【0025】
保持キャスター取付板14の上側に、中空ベース1の内天面に接して転動する保持キャスター16が複数(例えば4個)設置され、その裏面側に、中空ベース1の内底面に接して転動する保持キャスター17が複数(例えば4個)設置される。このように、保持キャスター取付板14の上面側及び裏面側のそれぞれに複数の保持キャスター16、17が配置されることで、それらが上下方向に突っ張るように作用する。かくして、保持キャスター取付板14はその水平状態を維持することになり、それに固定されている支持脚12が揺動することが確実に防止される。なお、図3においては、図の複雑化を避けるために、一部の保持キャスター16、17の図示を省略してある。
【0026】
更に、保持キャスター取付板14の裏面側に、中空ベース1の内底面に強く磁着することで保持キャスター取付板14を固定し、その動きを阻止する永電磁ホルダー19が、1又は複数設置される。この永電磁ホルダー19は、非通電時には中空ベース1の内底面に磁着することで保持キャスター取付板14(可動座部11)をロックし、通電時には、その磁力が解除されることで、保持キャスター取付板14(可動座部11)の自由な動きを許容する。なお、中空ベース1の少なくとも内底面は、磁性材製とされることは言うまでもない。永電磁ホルダー19は、通例、保持キャスター取付板14の裏面側にのみ配備されるが、場合によっては、その上面側に配備することとしてもよく、あるいは、上下両面に配備することとしてもよい。
【0027】
背もたれフレーム21は、中空ベース1の後面側において、例えば、逆U字形状又は倒コ字形状にベースフレーム3から立ち上がるように設置され、背もたれ可能にするために、X線を透過するクリアーなアクリル板22が張られる。背もたれフレーム21の下部には、上記永電磁ホルダー19に対して、磁力解放のための電流を供給するバッテリー23が装備される。バッテリー23から延びるコード23aは、支持脚12内を通って永電磁ホルダー19に接続される。
【0028】
また、背もたれフレーム21の可動座部11よりも少し上の部分に、可動座部11の両側に伸びるようにアームレスト25を設置するためのアームレスト設置用アーム24が取り付けられ、これに、前後方向に移動可能にアームレスト25が取り付けられる。アームレスト25には、要介護者の腕を固定するための固定バンド26が取り付けられる。
【0029】
背もたれフレーム21には更に、その上部に移動用ハンドル27とバッテリー23の入切スイッチ28が設置される。この入切スイッチ28はバッテリー23出力の入切操作を行うためのものであり、それが入状態にあるときには、永電磁ホルダー19に対して磁力解放のための電流が供給され、可動座部11に対するロックが外れて可動座部11は自由に移動並びに回転可能となる。また、入切スイッチ28が切状態にあるときには、永電磁ホルダー19に対する電流供給が絶たれてその磁着機能が働き、可動座部11はロックされて、移動及び回転が不可となる。
【0030】
上記構成においては、可動座部11は360度いずれの方向にも移動可能であると共に、360度回転可能となるが、一般のレントゲン撮影の場合、可動座部11は左右に90度ずつ回転可能であれば事足りるし、それ以上回転させた場合は、要介護者の身体が背もたれフレーム21等に触れたりして、怪我をするおそれがある。そこで、好ましい実施形態においては、上記構成に、可動座部11の回転角度規制機構が組み込まれる。
【0031】
この回転角度規制機構は、図3、7に示されるような、六節リンク機構で構成することができる。この機構は、中空ベース1の裏面に固定設置される固定リンク41と、一端が固定リンク41において枢支される一対の第1リンクアーム42、42と、第1リンクアーム42、42の他端部間を連結する中間リンク43と、一端が中間リンク43の端部において枢支され、他端部が揺動リンク45において枢支される一対の第2リンクアーム44、44と、回転ストッパー46が突設された前記揺動リンク45と、支持脚12の下端部に取り付けられる回転規制板47とで構成される。
【0032】
回転規制板47は、回転ストッパー46に摺接する半円形状の円弧部48と、円弧部48の両側に位置する一対の段部49、49とを有している。この段部49、49の形成位置によって回転規制板47の回動範囲が画定されることになる。換言すれば、回転規制板47の回動範囲は、段部49、49の形成位置を変更することにより変更可能である。図示した例では、基本位置(可動座部11が正面を向く位置)から左右に90度ずつ回転可能となるように設定されている。回転規制板47は支持脚12と一体に左右いずれかの方向に回転するが、いずれか一方の段部49が回転ストッパー46に当たったところで、それ以上の回転を阻止され、回転端が画される。
【0033】
可動座部11は、基本位置から上記規制角度内において左右方向に自由に回転可能であり、また、360度いずれの方向にも移動可能であるが、その移動の際に、腕や被服等が可動座部11の下側に挟み込まれることを防止するための挟み込み防止カバー31が、可動座部11の下面に沿うように、背もたれフレーム21に設置される。この挟み込み防止カバー31は、可動座部11の後半部に対応する大きさとされるが、可動座部11(支持脚12)の自由な動きを妨げることがないようにするために、その上面円孔6に対応する部分が抉られる。
【0034】
可動座部11と挟み込み防止カバー31に、基準位置合わせのための目印33、34が付される。通例、挟み込み防止カバー31に付される目印34は、可動座部11が前後方向に移動することを考慮して、前後方向に延びるものとされる。また、背もたれフレーム21の上面に、図示せぬ立位撮影台のパネルとの位置合わせのための目印35、36が付される。更に好ましい実施形態においては、要介護者の着座時において可動座部11の回転操作を、要介護者に触れることなく容易に行うことを可能にするため、可動座部11の両側部に握持部37が設けられる。
【0035】
次いで、上記構成の本発明に係る補助イスの使用方法について説明する。使用に際して介護者は、ロックペダル4を操作してキャスター2をロックし、また、入切スイッチ28を操作して、可動座部11をロックしておく。その際可動座部11は、目印33、34を合わせ、また、目印34の表出長さを見ることにより、正面向きの基準位置に容易に配置することができる(図4参照)。
【0036】
その状態で介護者は、レントゲン撮影を行う要介護者を、車イスやベッド等から抱きかかえながら補助イスに移して可動座部11に座らせ、大腿部と腕をそれぞれ固定ベルト20、26で固定する。その後、キャスター2をアンロックし、移動用ハンドル27を持って補助イスを押し、図示せぬ立位撮影台の前に移動させる。以上の準備作業は、介護者1人でもって行うことが可能である。
【0037】
補助イスを立位撮影台の直前位置に移動させた後、背もたれフレーム21の上面の目印35、36を利用し、立位撮影台の受像部の基準線に合わせて正確に位置決めした後、キャスター2をロックして補助イスをその位置に固定する。そして、レントゲン撮影に際し、図4に示す基準位置から、要介護者の身体の前後位置又は向きを変える必要がある場合は、入切スイッチ28を操作して可動座部11をアンロックし、要介護者を可動座部11上に座らせたまま、握持部37を持って稼動座部11を前後方向に押し引きし、あるいは、回転させて要介護者の身体のレントゲン撮影部位をX線照射装置に対向させる。なお、要介護者の向きを変える場合は、可動座部11の固定ベルト20はそのままで、アームレスト25の固定ベルト26のみ外して行う。
【0038】
上記のようにして、要介護者の要撮影部位をX線照射装置に対向させた後、入切スイッチ28を操作して可動座部11をロックし、レントゲン撮影を行う。次いで、上記のようにして要介護者の身体の向きを変えてのレントゲン撮影を行い、以後その操作を必要なだけ反復する。
【0039】
図8は、可動座部11の基準位置(図8(A))からの変位例、並びに、その際の回転角度規制機構の動作を示すものである。このうち(A)〜(D)は正面向きでの移動例を示し、(E)〜(H)は、右に90度回転した状態での移動例を示している。
【0040】
図8(B)は、基準位置からそのまま奥に50mm移動した例であり、(C)は、基準位置から左後方45度方向に奥に50mm移動した例であり、(D)は、基準位置から前方に50mm移動した例である。また、(E)は、基準位置において右に90度回転した例であり、(F)は、右に90度回転した状態で奥に50mm移動した例であり、(G)は、右に90度回転した状態で、左後方45度方向に奥に50mm移動した例であり、(H)は、右に90度回転した状態で前方に50mm移動した例である。可動座部11は、ここに示した例に限らず、任意の方向に移動させ、また、所定角度内において任意の角度回転させることができることは言うまでもない。
【0041】
本発明に係る補助イスの場合は、可動座部11がこのように所定範囲内で水平方向に移動及び回転可能であるので、要介護者を可動座部に座らせた後、任意の向きに向けさせてレントゲン撮影することが容易であり、レントゲン撮影中要介護者を、人手によらずに負担のかからない安定した姿勢に保持することが可能である。そのため介護者は、レントゲン撮影中に補助イスから離れることができ、X線を浴び続ける事態を回避できるため、X線を浴び続けることによる被爆被害を受けるおそれがなくなるという効果がある。
【符号の説明】
【0042】
1 中空ベース
2 キャスター
3 ベースフレーム
4 ロックペダル
5 後側連結軸
5a 前側連結軸
6 上面円孔
7 カバー
8 底面円孔
9 伝達杆
10、10a 揺動アーム
11 可動座部
12 支持脚
13 摺動板
14 保持キャスター取付板
15 押止部材
16、17 保持キャスター
18 緩衝材
19 永電磁ホルダー
20 固定ベルト
21 背もたれフレーム
22 アクリル板
23 バッテリー
23a コード
24 アームレスト設置用アーム
25 アームレスト
26 固定ベルト
27 ハンドル
28 入切スイッチ
31 挟み込み防止カバー
33〜36 目印
37 握持部
41 固定リンク
42 第1リンクアーム
43 中間リンク
44 第2リンクアーム
45 揺動リンク
46 回転ストッパー
47 回転規制板
48 円弧部
49 段部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8