特許第6051221号(P6051221)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6051221内視鏡チャネルをリンスするための方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6051221
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】内視鏡チャネルをリンスするための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/12 20060101AFI20161219BHJP
【FI】
   A61B1/12
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-530117(P2014-530117)
(86)(22)【出願日】2012年9月13日
(65)【公表番号】特表2014-526321(P2014-526321A)
(43)【公表日】2014年10月6日
(86)【国際出願番号】EP2012003834
(87)【国際公開番号】WO2013037491
(87)【国際公開日】20130321
【審査請求日】2015年4月24日
(31)【優先権主張番号】102011082776.5
(32)【優先日】2011年9月15日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591228476
【氏名又は名称】オリンパス ビンテル ウント イーベーエー ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】OLYMPUS WINTER & IBE GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ノアック アンドレアス
【審査官】 小田倉 直人
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2004/049925(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リンス剤供給部からのリンス剤によって内視鏡の内視鏡チャネルをリンスするための装置であって、第1のリンス剤分配器および第2のリンス剤分配器を備え、前記第1のリンス剤分配器および前記第2のリンス剤分配器のそれぞれが、前記リンス剤供給部、ならびに、前記リンス剤供給部からそれぞれ1つの内視鏡チャネル内にリンス剤を給送するため
の多数のリンスチャネルに接続され、切換え弁が、それぞれのリンスチャネルのために設けられ、前記切換え弁によって、前記リンスチャネルが、前記切換え弁の第1位置で前記第1のリンス剤分配器に接続され、また、前記切換え弁の第2位置で前記第2のリンス剤分配器に接続され、前記第1のリンス剤分配器が第1の試験機器を備え、前記第1の試験機器によって、前記リンスチャネルのうちの1つのチャネルを介して前記第1のリンス剤分配器に接続された内視鏡チャネルに、閉塞があるかチェックされうる装置。
【請求項2】
前記第2のリンス剤分配器が第2の試験機器を有することを特徴とする請求項に記載の装置。
【請求項3】
第1の試験機器および/または第2の試験機器が、流量計または圧力計を備えることを特徴とする請求項またはに記載の装置。
【請求項4】
リンス剤分配器が、リンス剤チャンバまたはリンス剤リザーバとして設計されることを特徴とする請求項からのいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
切換え弁が、自動的に制御可能な作動機構を有することを特徴とする請求項からのいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
リンスチャネルが、前記対応する切換え弁の第3の位置で前記リンス剤分配器のどれとも接続されないことを特徴とする請求項からのいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
指定可能な圧力下で前記リンス剤供給部からのリンス剤を少なくとも1つのリンス剤分配器に供給するためにリンス剤ポンプを備えることを特徴とする請求項からのいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記リンス剤供給部から前記第1のリンス剤分配器までの供給ライン内に、少なくとも1つの接続可能な圧力ブースタポンプを備えることを特徴とする請求項からのいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
以下の第1から第4のいずれか1つに記載の方法における、請求項からのいずれか1項に記載の装置の使用。
(1)第1の方法
リンス剤供給部からのリンス剤によって内視鏡の内視鏡チャネルをリンスするための方法であって、
−第1のリンス剤分配器を介して第1の内視鏡チャネルを前記リンス剤供給部に接続するステップであって、前記第1のリンス剤分配器は、内視鏡チャネルに閉塞があるかをチェックするための試験機器を有している、ステップと、
−第2のリンス剤分配器を介して少なくとも1つの他の内視鏡チャネルを前記リンス剤供給部に接続するステップと、
−前記第1の内視鏡チャネルに閉塞があるかを前記試験機器によってチェックし、また同時に、前記リンス剤供給部からのリンス剤によって前記少なくとも1つの他の内視鏡チャネルをリンスするステップと、
を含む方法。
(2)第2の方法
前記ステップが反復され、前記第1の内視鏡チャネルとしての別の内視鏡チャネルが、前記第1のリンス剤分配器を介して前記リンス剤供給部にそれぞれ接続されることを特徴とする第1の方法に記載の方法。
(3)第3の方法
前記リンス剤の流量または圧力が、内視鏡チャネルに閉塞があるかをチェックするために前記試験機器によって測定または決定されることを特徴とする第1または第2の方法に記載の方法。
(4)第4の方法
内視鏡チャネルについてのチェックが閉塞を示すとすぐに、当該方法は中止されることを特徴とする第1から第3の方法のいずれか1つに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、内視鏡の内視鏡チャネルをリンスする(すすぐ)ための方法に関する。本発明はさらに、内視鏡の内視鏡チャネルをリンスするための方法および対応する装置の使用法に関する。
【0002】
1つまたは複数のチャネル(管)を有する内視鏡を調製する間、内視鏡は、通常、リンスされ、また同時に、閉塞があるかチェックされる。このために、測定装置、たとえば流量計または圧力計が、リンスライン内に設けられる。
【0003】
いくつかのチャネルを有する内視鏡の場合、チャネルは、個々に次々にまたは同時にリンスされチェックされる。
1つの測定装置だけが必要とされるため、チャネルを次々にリンスする労力は比較的低いレベルである。しかし、各チャネルについて維持されるリンス時間が積算するため、全体の処理時間または洗浄時間は比較的長い。
【0004】
処理時間は、チャネルが平行してリンスされると大幅に低減される。しかし、関連するエレクトロニクスを有する測定装置が各チャネルについて設けられなければならないため、流れチェックのための労力は、チャネルの数と共に増加する。
【0005】
本発明の目的は、いくつかの内視鏡チャネルを有する内視鏡を洗浄するための処理時間をできる限り短く維持し、必要とされる労力を最小にすることである。
この目的は、リンス剤供給部からのリンス剤によって内視鏡の内視鏡チャネルをリンスするための方法によって解決され、該方法は、
−第1のリンス剤分配器を介して第1の内視鏡チャネルをリンス剤供給部に接続するステップであって、該第1のリンス剤分配器は、閉塞があるか内視鏡チャネルをチェックするための試験機器を有している、ステップと、
−第2のリンス剤分配器を介して少なくとも1つの他の内視鏡チャネルを前記リンス剤供給部に接続するステップと、
−前記試験機器によって閉塞があるか第1の内視鏡チャネルをチェックし、また同時に、前記リンス剤供給部からのリンス剤によって少なくとも1つの他の内視鏡チャネルをリンスするステップと、を含む。
【0006】
そのため、本発明によれば、内視鏡の内視鏡チャネルは、閉塞があるか次々にチェックされるが、平行してまたは同時に、さらなる内視鏡チャネルまたは少なくとも1つのさらなる内視鏡チャネルがそれぞれリンスされる。閉塞があるか内視鏡チャネルをチェックするための継続時間は、一般に、内視鏡チャネルをリンスし洗浄するために提供または指示される時間よりかなり短いため、処理時間のかなりの部分が、平行してリンスすることによって節約される。同時に、本発明によれば単一の試験機器で十分であるため、内視鏡チャネルの数によらず労力は低いレベルのままである。好ましくは、いくつかの他のまたはすべての他の内視鏡チャネルが同時にリンスされる。
【0007】
1つの他の内視鏡チャネルが、第1のリンス剤分配器を介して第1の内視鏡チャネルとしてリンス剤供給部に特にそれぞれ接続される上述した方法のステップが反復されると、閉塞についての確実なチェックが全ての内視鏡チャネルについて行われ、適切なリンス継続時間が、全ての内視鏡チャネルについて同時に満たされることが特に保証される。
【0008】
リンス剤の流量または圧力が、試験機器によって閉塞があるか内視鏡チャネルをチェックするために測定または決定されることが好ましい。圧力および流量は、内視鏡チャネルの径に特に依存し、部分的閉塞または完全閉塞の場合、変化する(より具体的には減少する)。そのため、圧力および/または流量(具体的には、単位時間当りに流れる体積)の測定または決定は、それぞれ、内視鏡のまたは各内視鏡チャネルの閉塞が確実に検出されることを保証する。
【0009】
有利には、本発明による方法は、内視鏡チャネルについてのチェックが閉塞を示すとすぐに中止される。この場合、本発明による方法の継続が処理時間を無駄に延長するだけであるため、内視鏡が、特別に処理されるかまたは解放されなければならないことが一般に指示される。
【0010】
本目的は、リンス剤供給部からのリンス剤によって内視鏡の内視鏡チャネルをリンスするための装置によって同様に解決され、装置は、第1のリンス剤分配器および第2のリンス剤分配器を備え、第1のリンス剤分配器および第2のリンス剤分配器のそれぞれが、リンス剤供給部、ならびに、リンス剤供給部からそれぞれ1つの内視鏡チャネル内にリンス剤を給送するための多数(複数)のリンスチャネルに接続され、切換え弁が、それぞれのリンスチャネルのために設けられ、切換え弁によって、リンスチャネルが、切換え弁の第1位置で第1のリンス剤分配器に、また、第2位置で第2のリンス剤分配器に接続され、第1のリンス剤分配器が第1の試験機器を備え、第1の試験機器によって、リンスチャネルの1つのチャネルを介して第1のリンス剤分配器に接続された内視鏡チャネルに、閉塞があるかがチェックされうる。
【0011】
リンス剤は、具体的には、たとえば消毒液などのリンス液である。
リンスチャネルは、具体的には、内視鏡チャネル用の接続部であるかまたは内視鏡チャネル用の接続部を構成する。
【0012】
リンスチャネルの数は、好ましくは、リンスされる内視鏡の内視鏡チャネルの数に等しいかあるいはそれより多いため、各内視鏡チャネルは、正確に1つのリンスチャネルに接続されうる。内視鏡を装置にまたは内視鏡チャネルをそれぞれリンスチャネルに接続した後、それにより、全ての内視鏡チャネルを共に洗浄することが可能になる。特に、たとえば自動的に実行される洗浄プロセスは、中断することなく内視鏡の全ての内視鏡チャネルについて実施されうる。
【0013】
第2のリンス剤分配器は、好ましくは第2の試験機器を有する。これにより、特に、閉塞があるかについての内視鏡チャネルの余剰のチェックの可能性、すなわち一方で第1の試験機器によるチェック、また他方で第2の試験機器によるチェックの可能性、が与えられる。
【0014】
第1の試験機器および/または第2の試験機器は、好ましくは流量計または圧力計を備える。具体的には、2つの試験機器の一方は流量計を備え、2つの試験機器の他方は圧力計を備えうる。流量計としての設計では、第2の試験機器は、好ましくは他のチャネルを通る全体の流れを測定しうる。
【0015】
流量計は、それぞれ、試験機器を通るまたは関連するリンス剤分配器をそれぞれ通る単位時間当りに流れるリンス剤の特に量、より具体的には体積を決定する。特に単一内視鏡チャネルとして、対応するリンス剤分配器に接続される内視鏡チャネルの閉塞は、特に、リンス剤の測定または決定される流量が、この内視鏡チャネルについて予想される流量から逸脱するため認識可能である。この測定原理によって、特に内視鏡チャネルの部分的閉塞または収縮もまた検出可能であり、その場合、内視鏡チャネルは、完全には閉鎖または閉塞されない。
【0016】
圧力計によって、特にリンス剤の圧力が、それぞれ、試験機器において、または対応するそれぞれのリンス剤分配器において測定または決定され、その圧力は、リンス剤分配器に接続される内視鏡チャネル内のリンス剤圧力に直接リンクされる。それにより、内視鏡チャネルの閉塞または収縮もまた検出可能である。その理由は、堆積物または閉塞物によって減少する内視鏡チャネルの断面が内視鏡チャネル内のリンス剤圧力に直接影響を及ぼすからである。
【0017】
リンス剤分配器が、リンス剤チャンバまたはリンス剤リザーバとして設計される場合、特に好ましい。それにより、非常に短いライン経路を有する特にコンパクトなリンス剤分配器が可能にされ、衛生上の理由による長いおよび/または分岐したラインに比べて好ましい。
【0018】
切換え弁が、特に自動的に制御可能な作動機構を有する場合、特に好ましい。特に指定された洗浄処理後の内視鏡チャネルのリンス、洗浄、およびチェックは、自動的に、すなわち、特にオペレータ(操作者)からの介入なしで行われうる。
【0019】
リンスチャネルが、対応する切換え弁の第3の位置でリンス剤分配器のどれとも接続されない場合、十分に長い期間の間にすでにリンスされた、リンスチャネル、または各内視鏡チャネルは、リンス剤供給部から完全に分離されることができ、それにより、特にリンス剤が節約されるためリンス装置の効率が増加する。さらに、内視鏡チャネルが全く接続されないリンスチャネルは洗浄中に閉鎖されうる。そのため、本発明によって大きな労力なしで可能である多数のリンスチャネルが設けられることができ、それにより、異なる数の内視鏡チャネルを有する異なる内視鏡または内視鏡タイプをリンスまたは洗浄するための、また同様にいくつかの内視鏡を同時に洗浄するための本発明による単一の装置が使用されうる。
【0020】
特に指定可能な圧力下でリンス剤供給部からのリンス剤を少なくとも1つのリンス剤分配器に供給するために、装置がリンス剤ポンプを備えることが好ましい。特に、それにより、試験の精度および洗浄プロセスの、特にリンスの可制御性が増加する。
【0021】
たとえばリンス剤供給部から第1のリンス剤分配器までの供給ライン内に、装置が、少なくとも1つの特に接続可能な圧力ブースタポンプを備える場合、同様に有利である。圧力ブースタポンプは、リンスチャネルのうちの1つリンスチャネル内にも配列されうる。それにより、内視鏡チャネル内のまたは内視鏡チャネルの一部内のリンス剤の圧力は、別々に指定されうる。これは、たとえばアルバラン(Albarran)チャネルの試験などの個々の比較的狭い内視鏡チャネルの試験において、特に有利である。
【0022】
本発明による装置は、本発明による方法の使用に適することを特に特徴とする。
本発明の目的は、本発明による方法において本発明による装置を使用することによっても解決される。
【0023】
内視鏡をリンスする間、洗浄液であるリンス剤が、通常使用される。たとえば、消毒液、たとえば抗菌的方法で作用する溶液が使用されうる。そのためのリンス剤溶液は、当業者に知られている。それぞれの内視鏡は、十分に洗浄された後、それぞれ、リンス剤溶液のまたはリンス剤のどんな化学成分をも除去するためにきれいな水でリンスされる。特に、それにより、切換え弁は、全てのリンス剤残留物が洗い落とされるように切換えられる。
【0024】
本発明のさらなる特徴は、特許請求の範囲および含まれる図面と共に本発明による実施形態の説明から明らかになる。本発明による実施形態は、個々の特徴またはいくつかの特徴の組合せを達成しうる。
【0025】
本発明は、本発明の一般的なアイデアを制限することなく、図面を参照して例示的な実施形態を使用して以下で述べられ、本明細書でより詳細に説明されていない本発明による全ての詳細の開示に関しては、図面が明示的に参照される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明にかかるリンス装置の概略図である。
図2】本発明の別のリンス装置を概略的に示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図面では、同じまたは同様のタイプの要素および/または部品は、アイテムを再度説明する必要をなくすために同じ参照番号を有する。
図1は、4つのリンスチャネル30a、30b、30c、30dを有する本発明によるリンス装置1を概略的に示す。内視鏡(図示せず)は、リンス装置に接続され、それぞれ1つの内視鏡チャネルがリンスチャネルに接続される。それぞれ、内視鏡のまたは内視鏡チャネルの洗浄は、リンスチャネルを介して内視鏡チャネル内に導入されるリンス剤によって行われる。
【0028】
リンス剤、たとえば液体消毒液は、リンス剤リザーバ10内に供給され、ポンプ12によって、第1の供給ライン21を通じて第1の分配チャンバ20内に、ならびに、第2の供給ライン23を介して第2の分配チャンバ22内に搬送される。
【0029】
さらに、流量計28を有する試験機器24は、第1の分配チャンバ20に至る第1の供給ライン21内に設けられる。流量計28は、具体的には体積流量計である。すなわち、第1の供給ライン21を通って単位時間当たりに流れるリンス剤体積が測定または決定される。代替的に、流量計28は、質量流量計であってもよい。すなわち、第1の供給ラインを通って単位時間当たりに流れるリンス剤の質量が測定または決定される。それにより、決定されるサイズは、それぞれ、測定される測定値に対応しうるかまたは測定値から決定されうる。
【0030】
切換え弁32a〜32dは、一方の側のリンスチャネル30a〜30dと他方の側の2つの分配チャンバ20、22との間に配列され、別個の切換え弁32a〜32dがそれぞれのリンスチャネル30a〜30dに対して設けられる。これにより、1つの切換え弁32a〜32d、1つのリンスチャネル30a〜30d、および、このリンスチャネル30a〜30dに接続された1つの内視鏡チャネルのそれぞれの相互割当てをもたらす。
【0031】
切換え弁32a〜32dは、対応するリンスチャネル30a〜30dが、切換え弁32a〜32dの第1の位置で第1の分配チャンバ20に、また、切換え弁32a〜32dの第2の位置で第2の分配チャンバ22に接続されるようにそれぞれ設計される。そのため、対応する内視鏡チャネルには、第1の分配チャンバ20または第2の分配チャンバ22を介してリンス剤が給送または供給される。
【0032】
切換え弁32a〜32dは、たとえば、第1の位置と第2の位置との間で切換えを行うために回される。このため、切換え弁32a〜32dはそれぞれ、たとえば調整用シリンダまたはウォームドライブなどの作動(駆動)機構(図示せず)を有する。
【0033】
そのため、切換え弁32aの第1の位置(位置A)で、リンス剤は、ポンプ12によって支持されたリンス剤供給部10から、第1の供給ライン21および試験機器24、第1の分配チャンバ20、切換え弁32aおよびリンスチャネル30aを介して、リンスチャネル30aに接続された内視鏡チャネルまで流れる。切換え弁32aが、第2の位置(位置B)に切換えられる場合、すなわち、切換え弁32aが第2の位置(位置B)に配置される場合、内視鏡チャネルには、対照的に、リンス剤が供給され、第2の供給ライン23、第2の分配チャンバ22、切換え弁32aおよびリンスチャネル30aを介してリンスされる。同じことが、リンスチャネル30bに接続された切換え弁32cおよび内視鏡チャネル、リンスチャネル30cに接続された切換え弁30cおよび内視鏡チャネル、ならびにリンスチャネル30dに接続された切換え弁32bおよび内視鏡チャネルに当てはまる。
【0034】
図1は、リンス装置1の状態の一例を示し、リンス弁32bは位置Aに配置され、他の切換え弁32a、32c、32dは位置Bにある。そのため、リンスチャネル30bに接続された内視鏡チャネルには、第1の供給ライン21および第1の分配チャンバ20を介してリンス剤が供給され、一方、リンス剤は、第2の供給ライン23および第2の分配チャンバ22を介して他のリンスチャネル30a、30c、30dに接続された内視鏡チャネルに到達する。
【0035】
リンスチャネル30bだけが第1の供給ライン21に接続されるため、流量計28によって測定または決定されるリンス剤体積は、リンスチャネル30bに接続された内視鏡チャネルを通って流れるリンス剤の量に相当する。この内視鏡チャネルが完全にまたは部分的に閉塞している場合、内視鏡チャネルを通って単位時間当りに流れるリンス剤体積が変化し、それは、流量計28によって測定可能である。そのため、内視鏡チャネル30bは、流量計28によってまたは試験機器24によって閉塞があるかチェックされうる。
【0036】
したがって、他のリンスチャネル30a、30c、30dに接続された内視鏡チャネルは、切換え弁32a〜32dが変更または切換えられ、それにより、対応する内視鏡チャネルに割当てられた切換え弁32a〜32dが位置Aに、また、全ての他の切換え弁32a〜32dが位置Bに位置するかまたは位置することになるとき、閉塞があるかそれぞれチェックされうる。
【0037】
全ての他の内視鏡チャネルには、リンス剤が供給され、第2の供給ライン23ならびに第2の分配チャンバ22を介して洗浄またはリンスされる。
内視鏡の洗浄の場合、全ての内視鏡チャネルが、切換え弁32a〜32dの対応する調整によって、述べた方法で個々にかつ次々に第1の分配チャンバ20に接続され、試験機器24によって閉塞があるかチェックされる。それぞれの他の内視鏡チャネルは、第2の分配チャンバ22に同時に接続され、リンスされる。
【0038】
たとえば、以下の表に示す切換え弁32a〜32dの位置の組合せは、4つの内視鏡チャネルを有する例示的な内視鏡について次々に設定される。
【0039】
【表1】
表において、行(横の列)は、全ての切換え弁32a〜32dの同時に設定される位置の組合せを示し、列(縦の列)は、特定の切換え弁32a、32b、32c、32dについての連続する位置を示す。この例では、位置Aは、対応する内視鏡チャネルについて、閉塞があるかチェックされることを意味し、一方、位置Bは、対応する内視鏡チャネルがリンスされることを意味する。
【0040】
通し番号1で示される第1の組み合わせの場合、切換え弁32aが位置Aに配置される。すなわち、リンスチャネル30aに接続された内視鏡チャネルが、試験機器24によって、閉塞があるかチェックされる。他の切換え弁32b、32c、32dは、位置Bに配置されるため、対応する内視鏡チャネルは同時にリンスされる。この構成は、リンスチャネル30aに接続された内視鏡チャネルの閉塞についての試験または通過試験が所望の精度で実施されるまで保持される。対応する試験の継続時間は、特にチェックされる内視鏡の断面に応じて変動しうる。
【0041】
切換え弁32a〜32dは、その後、通し番号2で示される構成となり、切換え弁32bが位置Aにあり、他の切換え弁32a、32c、32dが位置Bにある。ここで、リンスチャネル30bに接続された内視鏡チャネルが、閉塞があるかチェックされ、他のリンスチャネル30a、30c、30dに接続された内視鏡チャネルがリンスされる。
【0042】
こうして、4つの内視鏡チャネル全てが、閉塞があるか次々にチェックされ、試験の実施のためのそれぞれの継続時間、および、相応して、弁の位置の組合せの1つがそれについて保持される継続時間は、それぞれ内視鏡チャネルごとにまたは組合せごとに異なりうる。それにより、個々の試験の継続時間は、特に、同等の精度で全ての内視鏡チャネルについて試験が行われるように選択される。
【0043】
そのため、構成1〜4を通して実行するための総合継続時間は、それぞれ、個々の内視鏡チャネルの試験について必要とされる時間の加算または個々の内視鏡チャネルについての試験時間の加算から得られる。それにより、全ての他の内視鏡チャネルについて使用される試験時間の加算に主に対応する、あるリンス継続時間は、それぞれの内視鏡チャネルについて、さらなる時間損失なしで自動的に得られる。それにより、内視鏡チャネルが、該当する場合、試験機器の機能に応じて、同様に、閉塞についての試験中に、リンス剤でリンスされることが、該当する場合、考慮されるべきであり、そのことが、その後、この内視鏡チャネルのすでに実施されたリンス継続時間について考慮されうる。
【0044】
1つまたは複数の内視鏡チャネルについて構成1〜4を通して実行することによって達成されるリンス継続時間が内視鏡チャネル(複数可)の適切な洗浄にとってまだ十分でない場合、該当するのであれば、構成5を設定することができる。たとえば全ての切換え弁32a〜32dが位置Bにあり、したがって、全ての内視鏡チャネルが、おそらくは必要とされる残りの継続時間の間にもう一回リンスされる。
【0045】
図2は、本発明による別のリンス装置1の回路図を概略的に示し、図2から、本発明のいくつかのさらなる実施形態および変形形態が見られうる。
図2に示すリンス装置は、例として、3つのリンスチャネル30a、30b、30cを有し、3つのリンスチャネル30a、30b、30cのそれぞれは、分配弁32a、32b、32cを介して第1の分配器20または第2の分配器22に接続可能である。分配器20、22はそれぞれ、リンス剤を供給するための供給ライン21、23を有し、リンス剤は、切換え弁32a〜32cおよびリンスチャネル30a〜30cを介して、接続された内視鏡の内視鏡チャネルに分配されうる。
【0046】
両方の供給ライン21、23はそれぞれ、リンス剤供給部10およびポンプ12を別々に装備する。それにより、分配器20、22のそれぞれは、たとえば異なるリンス剤を供給されうる、かつ/または、異なる圧力下でリンス剤を供給されうる。
【0047】
試験機器24は、供給ライン21内に遮断弁26および圧力計25を備える。この試験機器24の下流の閉塞は、遮断弁26の下流に配置される圧力計25によって測定される供給ライン21内の圧力が、遮断弁26が閉鎖した後に低下しないかまたはゆっくり低下するだけであることによって検出可能である。それにより、主に、内視鏡チャネルの断面の、それぞれ変化または収縮もまた立証される。
【0048】
供給ライン23は、同様に試験機器24を有し、この試験機器は、図1に関連してすでに述べた機能を有する流量計28を備える。
述べる試験機器は、本発明の枠組み内の例として理解される。特に、本発明の保護の範囲は、それぞれ、下流で接続される内視鏡チャネルがそれによって閉塞があるか検出可能であるか、または、内視鏡チャネルの閉塞がそれによって検出または立証されうる任意の試験機器を含む。
【0049】
図2に示す例示的なリンス装置1の切換え弁32aは、3/2方弁として設計され、第1の位置で、リンス剤は分配器20から出てリンスチャネル30aに送られ、第2の位置で、リンス剤は分配器22から出てリンスチャネル30aに送られ、リンスチャネル30aに対して、内視鏡チャネルが順番に接続されているかまたは接続されることになる。そのため、切換え弁32aの機能は、図1に関連して述べた切換え機能に主に対応する。
【0050】
切換え弁32bは、3/3方弁として設計される。第1の位置で、リンス剤は分配器20から出てリンスチャネル30bに送られる。第2の位置で、リンス剤は分配器22から出てリンスチャネル30bに送られる。第3の位置で、弁は閉鎖する。すなわち、第3の位置で、リンス剤は流れない。そのため、リンスチャネル30bは、スイッチオフされうるリンスチャネルであって、たとえば、リンスされる内視鏡が、存在するリンスチャネル30a〜30cよりも少数の内視鏡チャネルを有する場合、使用されないままでありうる、リンスチャネルである。この機能は、多数の、たとえば5個より多い(6個以上の)リンスチャネルを有するリンス装置の場合に特に有利である。
【0051】
次に、図2の切換え弁32cは、切換え弁32aと同等の3/2方弁として設計される。しかし、切換え弁32cは、3/3方弁として、または、本発明による主要なアイデアをあきらめることなく別の適した方法で設計されうる。
【0052】
切換え弁32cに接続されるリンスチャネル30cは、補助ポンプ34を有し、補助ポンプ34によって、リンスチャネル30cおよび接続された内視鏡チャネル内のリンス剤圧力が、他のリンスチャネル内または他の内視鏡チャネル内のリンス剤圧力によらず指定可能である。リンスチャネル30cは、特に狭い内視鏡チャネル、たとえばアルバランチャネルに特に適しており、特に狭い内視鏡チャネルは、有利には、たとえば必要とされるリンス継続時間を低減するために比較的高い圧力下でリンスされる。
【0053】
1つの試験機器24が供給ライン21と供給ライン23の両方の中に設けられることによって、内視鏡チャネルは、2つの独立した方法で、閉塞があるかチェックされうる。特に、冗長試験が行われうる。それにより、たとえば、実際には開口している内視鏡チャネルが、切換え弁32a〜32dが一方の側で遮断されるため遮断されているものとして誤って表示されること、分配器20、22または不良の供給ライン21、23に関する問題が排除されうる。
【0054】
例示的な内視鏡は、異なる径を有する3つの内視鏡を有する。たとえば図2に示すリンス装置によって洗浄する場合、最も薄い(幅の狭い)内視鏡チャネル、すなわち最小の断面または最大の流れ抵抗を有する内視鏡チャネルが、補助ポンプ34を有するリンスチャネル32cに接続される。それぞれ、最も厚い(幅の広い)内視鏡チャネルまたは最小の流れ抵抗を有する内視鏡チャネルが、たとえば遮断可能リンスチャネル32bに接続され、第3の内視鏡チャネルがリンスチャネル32aに接続される。
【0055】
それぞれ、内視鏡の洗浄または内視鏡チャネルのリンスおよび試験は、たとえば切換え弁32a〜32cについて次々に設定された位置の以下の組合せで行われる。
【0056】
【表2】
それにより、位置Aは、対応する内視鏡チャネルが第1の分配器20に接続されることを意味し、位置Bは、内視鏡チャネルが第2の分配器22に接続されることを意味し、切換え弁32bについてのみ設けられている位置Cは、対応する内視鏡チャネルが、両方の分配器20、22から、したがって、リンス剤供給部から共に分離されることを意味する。
【0057】
組合せ1〜3では、次々に、内視鏡チャネルのそれぞれが単独で、第1の分配器20に接続され、供給ライン21内の第1の試験機器24、すなわち遮断弁26および圧力計25によって、閉塞があるかチェックされるだけである。他の2つの内視鏡チャネルは、第2の分配器22を介して、同時に、リンス剤を供給され、リンスされる。
【0058】
組合せ4〜6では、次々に、内視鏡チャネルのそれぞれが単独で、第2の分配器22に接続され、供給ライン23内の第2の試験機器24、すなわち流量計28によって、閉塞があるかチェックされる。
【0059】
組合せ6では、切換え弁32bは位置Cに配置され、対応する内視鏡チャネルはリンス剤供給部から分離される。これは、たとえば最小の流れ抵抗を有する内視鏡チャネルであり、一般に、適切な洗浄のために最短のリンス継続時間を必要とする。これにより、リンス剤が節約される。
【0060】
組合せ1〜6を通して実行すると、それぞれの内視鏡チャネルは、閉塞について2回チェックされ、それぞれ、異なる試験方法または異なる測定方法が使用される。そのため、それぞれの内視鏡チャネルについて独立し、かつ、冗長(余剰)の2つの試験が存在するため、特に、機械的エラー、たとえば一方の側で遮断された切換え弁32a〜32cまたは不良の分配器20、22が検出され修正される。
【0061】
さらに、異なる試験プロセスは、たとえば内視鏡チャネルの断面に応じて、それぞれ、異なる正確な結果を提供しうる、または、ある精度の試験について異なる長さを必要としうる。図2に示す例の場合と同様に、2つの異なる試験機器24が提供される場合、それぞれの内視鏡チャネルが試験機器24によって試験され、試験機器24によって、同様に正確なまたは良好な試験結果が短期間で達成されるため、さらなる時間節約が実現される。特に、設計によって異なる径を有する内視鏡チャネルを有する内視鏡の場合、洗浄のための処理時間のさらなる短縮が、ここで可能である。
【0062】
図面だけから考えられる特徴を含む挙げた全ての特徴、および、他の特徴と組合せて開示される個々の特徴が、本発明にとって重要であるものとして、単独でまたは組合せて考えられる。本発明による実施形態は、個々の特徴またはいくつかの特徴の組合せによって達成されうる。
【符号の説明】
【0063】
1 リンス装置
10 リンス剤供給部
12 ポンプ
20 リンス剤分配器
21 供給ライン
22 リンス剤分配器
23 供給ライン
24 試験機器
25 圧力計
26 遮断弁
28 流量計
30 リンスチャネル
32 切換え弁
34 補助ポンプ
図1
図2