(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6051244
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】自立支援型自動服薬機
(51)【国際特許分類】
A61J 7/04 20060101AFI20161219BHJP
A61J 1/00 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
A61J7/04 B
A61J1/00 420
【請求項の数】1
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2015-23844(P2015-23844)
(22)【出願日】2015年2月10日
(65)【公開番号】特開2016-146860(P2016-146860A)
(43)【公開日】2016年8月18日
【審査請求日】2015年10月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】515037863
【氏名又は名称】株式会社オー・イー・エム技研
(74)【代理人】
【識別番号】715001068
【氏名又は名称】山崎 秀夫
(72)【発明者】
【氏名】山崎 秀夫
【審査官】
武内 大志
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−010288(JP,A)
【文献】
特開2014−158903(JP,A)
【文献】
米国特許第03744867(US,A)
【文献】
仏国特許出願公開第02818124(FR,A1)
【文献】
国際公開第2012/008647(WO,A1)
【文献】
特開2009−202525(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 7/04
A61J 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め決められた日時で計画的に服薬を促す装置において、平面上に配置された薬ケースを上下方向に移動させるステッピングモータを用いたアクチュエータで、該薬ケースの移動を行うものであって、マイコンでステッピングモータ駆動回路を停止させ、該ステッピングモータの逆起電力を感知するモードに電気回路を切り替え、服用者が該薬ケースを戻したときに生じる逆起電力を感知し、その信号で該ステッピングモータを駆動し、該薬ケースを下方向に移動させることを特徴とする服薬装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動で計画的に服薬を促す装置のマン-マシンインターフェイス部分に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動で服薬を促す装置では、服用者が薬を取り出したかどうかを検知していなかったか、或いは、並べてある薬の中から、自分で、今飲むべき薬を見つけて取り出した時、取り出したことを検知するために、機械的、光学的、或いは磁気的なセンサを用いていた。
【0003】
もしくは、1日分の薬を朝用、昼用、夜用と薬ケースにセットしてそれを取り出すことで服用を検知するものがあったが、服用者が1週間分とか、まとめて装置にセットできず、毎日薬をセットしなければならないという煩わしさがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−251129号公報
【特許文献2】特開2013−244373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
服用者本人が薬の管理を行う場合、例えば1週間分の薬を並べて管理する場合には、服薬を促すマン-マシンインターフェイス部分で服用者が、確実に、簡単に、今服用すべき薬を取り出せて、尚且つ、服用したかどうかを装置が確認しようとすると、センサを多用して構造が複雑になるか、服用者にボタンを押すなどの確認行為を要求したりして、取り扱いが面 倒になる点である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、1週間分の薬を同一平面上に配置し、服用すべき薬の入った薬ケースを持ち上げるステッピングモータを用いたアクチュエータと、該ステッピングモータを用いたアクチュエータをセンサとして使用する為の電気制御システムとを具備することを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
通常該ステッピングモータを用いたアクチュエータで該薬ケースを上に持ち上げたか、下に下げたかの2つの状態を認識するには、1個以上のセンサが必要になり、もっと大きな構造となるが、本考案を実施しているので該ステッピングモータを用いたアクチュエータのみの実装で該センサを必要としない単純で小型の構造になっている。またこのことにより、該センサを使用した場合の機械的位置調整等も必要でなくなり結果的に信頼性も向上するという利点も生まれる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ケース上面に透明、或いは半透明の薬ケースを配置し、服用者がそれを取り易い構造で、また、一目で服用薬を順に服用出来ているか否かを確認できる構造になっている。
【実施例】
【0010】
図1は、本考案の機械的実施例を示すものである。図中1、は該薬ケースである。例えば、
図1は日曜日の就寝前の服用時間の場合を示しているが、1以外は格納位置にあり、1は押し上げられた状態(服用すべき薬の位置)にある。このように、1は1以外の該薬ケースの位置(高さ)と一見して違うので、間違わずに服用できることになる。
【0011】
服用者が押し上げられた該薬ケースを取り上げ、中に入っている薬を服用した後、該薬ケースを元の位置に戻し、ほんの少し該薬ケースを押し下げると、本装置は戻されたことを感知し該薬ケースを自動的に下の格納位置(図中1以外の該薬ケースの位置)まで移動させる。
【0012】
図中2、3、は該薬ケース移動用のステッピングモータを用いたアクチュエータである。2は該薬ケースを押し上げた状態で、3は該薬ケースを格納した状態。である。
【0013】
通常、該ステッピングモータを用いたアクチュエータに関し、2種類の状態を認識するには2つのセンサが必要になり、もっと大きな構造となるが、本考案を実施しているので該ステッピングモータを用いたアクチュエータのみの実装で、単純な構造になっている。またこのことにより、センサの機械的位置調整等も必要でなくなり結果的に信頼性も向上するという利点も生まれる。
【0014】
この実施例では、1日4回(朝、昼、夜、就寝前)の服用を想定したものとなっていて、服用時毎に該ステッピングモータを用いたアクチュエータを使用して該薬ケースを上下させているので、合計4セット使用しているが、2セットは説明に不要なので、図からは省略してある。尚一日の服用回数に応じ、朝、夜のみの1日2回、或いは、朝、昼、夜の1日3回等に設定することもできる。
【0015】
本実施例においては、該薬ケースを持ち上げる該ステッピングモータを用いたアクチュエータで、該薬ケースを持ち上げるが、上まで上がりきったか否かは、ステッピングモータ駆動回路の駆動電流を各相毎に監視しておき、規定値より上昇した現象を以て知ることができる。
【0016】
この時、上まで持ち上げる時間は予め予測されるので、それより短い時間で、駆動電流の上昇が見られれば、何かの原因により移動途中で止まったことを意味するので、その場合、警告を発したり、再度、該薬ケースを上下させ、不具合の状況を再確認することもできる。
【0017】
次に該薬ケースを上まで持ち上げた後には、該ステッピングモータを用いたアクチュエータを、センサとして機能させ、該薬ケースが戻されたことを感知させる。そのためには、マイコンで、ステッピングモータ駆動回路を停止させ、ステッピングモータの逆起電力を感知するモードに電気回路を切り替える。このようにすると“服用者が該薬ケースを取り出した後、それを戻した” 時に生じる、わずかな逆起電力を感知しその信号で、該ステッピングモータを制御する事が出来るようになる。
【0018】
尚、逆起電力には、ノイズ成分も含まれているが、それらはマイコンで信号処理することにより、求める信号を抽出し、確実に“服用者が該薬ケースを取り出した後、それを戻した” と判断させる事が出来る。このことにより、特別に専用のセンサを組み込まなくても、ステッピングモータのみで“服用者が該薬ケースを取り出した後、元に戻した” ことを認識できる、服薬装置を構成できる事になる。
【0019】
第2図は、本考案の電気的実施例である。4はステッピングモータ用駆動信号を発生させ、また、7ステッピングモータからの信号を処理するマイコン、5は4マイコンからの信号で7ステッピングモータを駆動するためのドライバである。5ドライバは6ステッピングモータセレクタにより7ステッピングモータに接続される。また、8アンプは耐ノイズ性を高めるため差動増幅器構成にしてあるが、6ステッピングモータセレクタにより接続された7ステッピングモータからの逆起電力による信号を増幅し、4マイコンに伝えるものである。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本考案は自動で計画的に服薬を促す装置のマン-マシンインターフェイス部分で、より快適な方法を簡単な機構で提供することに適用できる。
【符号の説明】
【0021】
1 薬ケース
2 ステッピングモータを用いたアクチュエータ
(薬ケースを押し上げた状態)
3 ステッピングモータを用いたアクチュエータ
(薬ケースを格納した状態)
4 マイコン
5 ドライバ
6 モータセレクタ
7 ステッピングモータ
8 アンプ