(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記光源から前記白色基準部材に照射される光がレッド、グリーン及びブルーの三色間で切り替えられる点灯サイクルを繰り返しつつ前記白色基準部材に対して相対的に移動するように前記読取部を制御する、請求項2に記載の画像読取装置。
前記処理部は、前記異常データ検知色の光について、前記複数の読取位置のうち前記異常データが取得された読取位置を特定し、かつ、前記他色の光について、前記異常データ検知色の光について前記異常データが取得された前記読取位置と同じ読取位置から取得される前記白色基準データを前記異常データとして特定する、請求項2または3に記載の画像読取装置。
前記処理部は、前記複数色の光について、前記異常データ検知色の光について前記異常データが取得された前記読取位置に隣接する読取位置から取得される前記白色基準データを前記異常データとして特定する、請求項4に記載の画像読取装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1では、白色基準部材の複数の位置から読み取られたデータを格納するためのメモリ領域に加え、当該データを並び替えて異常データを特定するためのメモリ領域や、当該異常データの情報を保存するためのメモリ領域等が必要とされる。そのため、装置コストが増加するという問題がある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、装置コストの増加を抑制し、かつ、異常データを除去することにより適正な白色基準データを取得することが可能な画像読取装置及びこれを備えた画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面に係る画像読取装置は、光源及び受光部を含む読取部と、白色基準部材と、前記光源から前記白色基準部材に複数色の光を照射させ、
前記白色基準部材に照射された前記複数色の光の反射光を前記受光部により受光させるように前記読取部を制御する制御部と、前記反射光を受光することにより取得される白色基準データを格納するメモリ部と、前記メモリ部に格納された前記白色基準データに含まれる異常データを特定する処理を行う処理部と、を備える。前記処理部は、前記複数色のうち異常データ検知色の光について、前記異常データの情報を特定し、かつ、前記複数色のうち前記異常データ検知色を除いた他色の光について、前記異常データ検知色の光について特定された前記異常データの情報に基づいて前記異常データを特定する。
【0008】
上記構成によれば、異常データ検知色の光について異常データの情報を特定し、当該情報を他色の光についての異常データの特定に利用することができる。これにより、複数色の光の各々について独立して異常データを特定する場合に比べて効率的に異常データを特定することができる。したがって、異常データの情報を特定するために必要なメモリ領域や、当該異常データの情報を保存するために必要なメモリ領域がより少なくなり、装置コストの増加を抑えることができる。
【0009】
上記画像読取装置において、前記制御部は、前記読取部を前記白色基準部材に対して相対的に移動させつつ前記光源から前記白色基準部材の複数の読取位置に前記複数色の光を照射させ、かつ
前記読取位置に照射された前記複数色の光の反射光を前記受光部により受光させるように前記読取部を制御してもよい。前記メモリ部は、前記複数の読取位置からの前記反射光を受光することにより取得される複数の前記白色基準データを格納してもよい。
【0010】
上記構成によれば、白色基準部材の複数の読取位置から複数の白色基準データが取得される。例えば、これらのデータを平均化処理することにより、白色基準部材自体の濃度ムラや異物の影響等が低減されたより適正な白色基準データ(平均化白色基準データ)を取得することができる。
【0011】
上記画像読取装置において、前記制御部は、前記光源から前記白色基準部材に照射される光が、レッド、グリーン及びブルーの三色間で切り替えられる点灯サイクルを繰り返しつつ前記白色基準部材に対して相対的に移動するように前記読取部を制御してもよい。
【0012】
上記構成によれば、上記三色の光による白色基準部材の読取位置のずれを低減することができる。なお、上記点灯サイクルにおけるレッド(R)、グリーン(G)及びブルー(B)の切り替え順序は任意であり、RGB、RBG、GRB、GBR、BRG、及びBGRなどの切り替え順序が挙げられる。
【0013】
上記画像読取装置において、前記処理部は、前記異常データ検知色の光について、前記複数の読取位置のうち前記異常データが取得された読取位置を特定し、かつ、前記他色の光について、前記異常データ検知色の光について前記異常データが取得された前記読取位置と同じ読取位置から取得される前記白色基準データを前記異常データとして特定してもよい。
【0014】
上記構成によれば、複数色の光の各々について異常データが取得された読取位置を独立して特定する場合に比べて、より効率的に異常データを特定することができる。
【0015】
上記画像読取装置において、前記処理部は、前記複数色の光について、前記異常データ検知色の光について前記異常データが取得された前記読取位置に隣接する読取位置から取得される前記白色基準データを前記異常データとして特定してもよい。
【0016】
上記構成によれば、白色基準データに含まれる異常データをより確実に特定することができる。
【0017】
上記画像形成装置において、前記受光部は、複数の受光素子が一次元に配列したセンサであってもよい。前記制御部は、前記白色基準部材に照射された前記複数色の光の反射光を前記複数の受光素子の各々により受光させてもよい。
【0018】
上述のように1ラインセンサが用いられる場合には、各色の光による白色基準部材の読取位置が互いに近接する。そのため、上述のように異常データ検知色の光を代表として異常データの情報を特定し、これを他色の光について利用することが好ましい。
【0019】
本発明の他の局面に係る画像形成装置は、上記本発明の一局面に係る画像読取装置を備える。
【0020】
上記画像読取装置は、装置コストの増加を抑制しつつ適正な白色基準データの取得を可能とするものである。したがって、上記画像読取装置を備える画像形成装置によれば、装置コストの増加を抑制することが可能になり、また適正な白色基準データを用いることにより高品質な画像形成処理が可能になる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、装置コストの増加を抑制しつつ適正な白色基準データの取得を可能とする画像読取装置及びこれを備えた画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態につき詳細に説明する。
【0024】
<画像形成装置の構成>
まず、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の構成について、
図1及び
図2を参照して説明する。
図1は、画像形成装置1の内部構造を示している。
【0025】
図1を参照して、画像形成装置1は、複写機であって、筐体構造を備えた本体ハウジング10を含む。本体ハウジング10内には、原稿画像の読取を行う読取部3を有する画像読取装置2と、給紙部20と、画像形成部30と、転写部40と、補給部50と、定着部60と、が配置される。画像読取装置2の構成については後に詳述する。
【0026】
本体ハウジング10は、略直方体形状の筐体構造を備えた上部本体ハウジング11及び下部本体ハウジング12と、連結本体ハウジング13と、を備える。本体ハウジング10は、上部本体ハウジング11と上部本体ハウジング11の下方に配置された下部本体ハウジング12とを連結本体ハウジング13によって連結することにより構成される。上部本体ハウジング11、下部本体ハウジング12及び連結本体ハウジング13により囲まれた領域は、画像形成処理後のシートが排出される排紙空間10Aとして構成される。
【0027】
画像形成装置1は、本体ハウジング10の上面11Aにおいて回動自在に取り付けられた原稿搬送部14をさらに備える。原稿搬送部14は、原稿が設置される原稿トレイ15と、画像読取装置2によって原稿が光学的に読み取られる原稿読取位置を経由するように原稿を搬送する搬送部16と、を備える。
【0028】
図2は、原稿搬送部14が上方に開かれた状態における画像形成装置1の上面図である。画像形成装置1は、本体ハウジング10の上面11Aに配置される原稿固定読取用ガラス70、原稿搬送読取用ガラス71及び原稿排出ガイド72をさらに備える。
【0029】
原稿固定読取用ガラス70は、副走査方向D2に長手方向を有する長方形状を有し、原稿が載置される載置面70Aを有する。原稿搬送読取用ガラス71は、副走査方向D2に垂直な主走査方向D1に長手方向を有する長方形状を有し、原稿固定読取用ガラス70と隣接して配置される。原稿排出ガイド72は、原稿固定読取用ガラス70と原稿搬送読取用ガラス71との間に配置される。
【0030】
原稿が手置きで設置される場合には、
図2に示すように原稿搬送部14が上方に開かれ、載置面70A上に原稿が載置される。原稿は、プラテンマット(図示しない)や原稿搬送部14により原稿固定読取用ガラス70上に押し当てられて固定される。そして、原稿固定読取用ガラス70の下方において、読取部3(
図1)を副走査方向D2に走査させることにより原稿の画像データが読み取られる。
【0031】
一方、原稿が自動搬送される場合には、
図1に示すように原稿搬送部14が本体ハウジング10の上面11A上に配置され、原稿トレイ15に原稿が設置される。また、原稿搬送読取用ガラス71(
図2)の下方において、読取部3の位置が固定される。そして、原稿トレイ15に設置された原稿が搬送部14によって原稿搬送読取用ガラス71上を搬送されることにより、原稿の画像データが読み取られる。そして、読取後の原稿が原稿排出ガイド72により排出される。
【0032】
図1を参照して、給紙部20は、画像形成処理が施されるシートを収容し、当該シートを給紙するための部分である。給紙部20は、下部本体ハウジング12内に配置され、シート束を収容するための給紙カセット21と、当該給紙カセット21の近傍に配置されたピックアップローラー22及び給紙ローラー対23と、を備える。
【0033】
給紙カセット21は、シートの補給等の際に下部本体ハウジング12から正面方向に引き出される。ピックアップローラー22は、給紙カセット21に収容されたシート束を最上面から1枚ずつ繰り出す。給紙ローラー対23は、ピックアップローラー22により繰り出されたシートをシート搬送路側へ送り出す。
【0034】
画像形成部30は、画像読取装置2によって取得される原稿の画像データに基づいて、シートに転写されるトナー像を形成する部分である。画像形成部30は、異なる色のトナー像を形成する複数の画像形成ユニットとして、イエロー(Y)色の現像剤を用いるイエロー用ユニット30Yと、マゼンダ(M)色の現像剤を用いるマゼンダ用ユニット30Mと、シアン(C)色の現像剤を用いるシアン用ユニット30Cと、ブラック(Bk)色の現像剤を用いるブラック用ユニット30Bkと、を備える。画像形成ユニット30Y,30M,30C,30Bkは、後述する中間転写ベルト41の回転方向上流側から下流側に向かって順に配置される。
【0035】
各画像形成ユニット30Y,30M,30C,30Bkは、感光体ドラム31と、感光体ドラム31の周囲に配置された帯電装置32と、現像装置34と、一次転写ローラー35と、クリーニング装置36と、を備える。また画像形成部30は、画像形成ユニット30Y,30M,30C,30Bkの下方に配置される露光装置33をさらに備える。露光装置33は、各画像形成ユニット30Y,30M,30C,30Bkに対して共通に用いられる。
【0036】
感光体ドラム31は、アモルファスシリコン(a−Si)系の材料からなり、その周面に静電潜像及びトナー像が形成される。帯電装置32は、感光体ドラム31の表面を均一に帯電させる。露光装置33は、光源やミラー等の各種光学機器を備える。露光装置33は、帯電装置32により均一に帯電した感光体ドラム31の周面に対して、画像読取装置2によって取得された原稿の画像データに基づく光を照射することにより、静電潜像を形成する。
【0037】
現像装置34は、静電潜像が形成された感光体ドラム31に現像剤であるトナーを供給することにより当該静電潜像を現像する。現像装置34は、トナーを収容する現像ハウジング34Aと、周面においてトナーを担持し、当該トナーを感光体ドラム31に供給する現像ローラー34Bと、磁気ローラー34Cと、現像ハウジング34A内においてトナーを攪拌しつつ循環搬送する第1搬送スクリュー34D及び第2搬送スクリュー34Eと、を備える。
【0038】
一次転写ローラー35は、後述する中間転写ベルト41を挟んで感光体ドラム31と一次転写ニップ部を形成し、感光体ドラム31の周面に形成されたトナー像を中間転写ベルト41上に一次転写する。クリーニング装置36は、中間転写ベルト41にトナー像が一次転写された後、感光体ドラム31の周面を清掃する。
【0039】
転写部40は、画像形成部30により形成されたトナー像を、給紙部20から送り出されるシートに転写する部分である。転写部40は、無端状のベルト状回転体からなる中間転写ベルト41と、回転可能に支持された駆動ローラー43及び従動ローラー44と、を備える。中間転写ベルト41は、感光体ドラム31と一次転写ローラー35とにより挟まれ、駆動ローラー43及び従動ローラー44に架け渡されている。
【0040】
転写部40は、駆動ローラー43に対向して配置される二次転写ローラー44をさらに備える。二次転写ローラー44は、中間転写ベルト41を挟んで駆動ローラー43と二次転写ニップ部を形成する。中間転写ベルト41上に一次転写されたトナー像は、給紙部20から給紙されるシートに対して、当該二次転写ニップ部において二次転写される。
【0041】
補給部50は、画像形成部30において用いられるトナーを貯留する部分である。補給部50は、イエロー用トナーコンテナ50Yと、マゼンダ用トナーコンテナ50Mと、シアン用トナーコンテナ50Cと、ブラック用トナーコンテナ50Bkと、を備える。各トナーコンテナ50Y,50M,50C,50Bkは、各画像形成ユニット30Y,30M,30C,30Bkの現像装置34に各色のトナーを補給する。
【0042】
定着部60は、二次転写ニップ部においてシート上に二次転写されたトナー像の定着処理を行う部分である。定着部60は、加熱源(図示しない)を内部に備えた定着ローラー61と、当該定着ローラー61との間に定着ニップ部を形成する加圧ローラー62と、を備える。トナー像が二次転写されたシートが当該定着ニップ部に通されることにより、トナー像は定着ローラー61による加熱及び加圧ローラー62による押圧によりシート上に定着される。
【0043】
<画像読取装置の構成>
次に、上記画像形成装置1に備えられた本実施形態に係る画像読取装置2の構成について、
図3〜
図7を参照して説明する。
図3は、
図2中の線分III−IIIに沿った断面部分を示している。
【0044】
図3を参照して、画像読取装置2は、読取部3を備える。読取部3は、コンタクトイメージセンサ(CIS:Contact Image Sensor)であって、原稿Pに照射される光を発する光源4と、原稿Pからの反射光を集光するレンズ(図示しない)と、当該反射光を受光する受光部5と、光源4、受光部5及びレンズを収容する本体部7と、本体部7上に配置されたスライダー部8と、本体部7を副走査方向D2において移動させる駆動部9(
図6)と、を備える。読取部3は、上部本体ハウジング11(
図1)内において、原稿固定読取用ガラス70及び原稿搬送読取用ガラス71よりも下方に配置され、スライダー部8によって裏面70B上を移動可能とされる。
【0045】
光源4は、複数のLED(Light Emitting Diode)を含む光源であって、レッド(R)、グリーン(G)及びブルー(B)の三色の光を発する。光源4は、制御部91(
図6)によって制御されることにより、レッド、グリーン及びブルーのいずれか一色を選択的に発光する。なお、光源4はLED光源に限られず、他の発光方式を用いたものでもよい。受光部5は、
図4に示すように複数(例えば5000個)の受光素子5A(画素)が、主走査方向D1に一次元に配列された1ラインセンサである。受光部5は、制御部91(
図6)により制御されることによって原稿Pからの反射光を受光素子5Aにおいて受光し、当該反射光を光電変換することにより画像データを形成する。
【0046】
読取部3は、制御部91(
図6)によって制御されることにより、副走査方向D2に移動しつつ原稿固定読取用ガラス70上に載置された原稿Pにレッド、グリーン及びブルーの各色の光を照射し、その反射光を受光することにより原稿Pをスキャンする。また読取部3は、制御部91(
図6)によって制御されることにより、原稿搬送読取用ガラス71(原稿読取位置)上において原稿搬送部14によって自動搬送される原稿に各色の光を照射し、その反射光を受光することにより原稿をスキャンする。
【0047】
画像読取装置2では、受光素子5Aの感度ムラや光源4の光量ムラに関わらず均一な濃度で原稿画像を読み取るため、定期的に白色基準データが取得される。画像読取装置2は、上記白色基準データを取得するため、白色基準部材6をさらに備える。白色基準部材6は、原稿固定読取用ガラス70の端部において載置面70A上に配置されている。また白色基準部材6上には原稿排出ガイド72が配置されている。原稿排出ガイド72は、原稿固定読取用ガラス70と原稿搬送読取用ガラス71との間に配置され、両ガラスを区分している。原稿排出ガイド72は、原稿搬送読取用ガラス71(原稿読取位置)を通過した原稿を案内するためのガイド面72Aを上面に有する。白色基準部材6は、
図3に示すように原稿固定読取用ガラス70の上面と原稿排出ガイド72の下面とによって挟まれるように配置される。
【0048】
読取部3は、キャリブレーション時において、副走査方向D2に移動しつつ白色基準部材6にレッド、グリーン及びブルーの各色の光を照射し、その反射光を受光することにより白色基準部材6をスキャンする。そして、当該スキャンにより得られた複数のデータを平均化処理することにより、白色基準データが取得される。なお、キャリブレーションが実行されるタイミングは、画像形成装置1の電源のオン/オフのタイミング、画像読取装置2による処理枚数が所定枚数に達したタイミング、あるいは所定の使用期間が経過したタイミング等である。
【0049】
図5は、レッド、グリーン及びブルーの各色の光による白色基準部材6の読取位置(読取範囲)を示している。白色基準部材6のスキャン時、読取部3は、副走査方向D2に1/3画素移動する毎に発光色(R,G,B)を切り替える。そのため、レッドの読取範囲95、グリーンの読取範囲96及びブルーの読取範囲97は、互いに1/3画素だけシフトする(600dpi読取では14μmシフトし、300dpi読取では28μmシフトする)。そして、白色基準部材6からの反射光(図中破線)は、1ラインセンサを構成する各受光素子5Aによって受光される。このように、CIS(読取部3)による白色基準部材6のスキャンでは、各色の読取範囲95,96,97が互いに近接する。そのため、
図5に示すように白色基準部材6の表面に異色の異物99が付着している場合には、各色の読取範囲95,96,97のいずれにおいても異物99の影響を受けて異常な白色基準データが取得される。
【0050】
図6は、画像読取装置2の電気的な構成を示すブロック図である。
図6を参照して、画像読取装置2は、読取部3の動作を制御する制御部91と、原稿の画像データ及び白色基準データを格納するメモリ部92と、メモリ部92に格納されたデータを処理する処理部93と、をさらに備える。
【0051】
制御部91は、光源4、受光部5及び駆動部9の各々と接続される。駆動部9は、本体部7を移動させる駆動力を発生するモーターを含む。モーターの駆動力は、ギアやプーリー等の動力伝達機構を介して、本体部7へ伝達される。
図3を参照して、制御部91は、読取部3を白色基準部材6に対して副走査方向D2に相対的に移動させつつ光源4から白色基準部材6の複数の読取位置にR,G,Bの各色の光を照射させ、その反射光を受光部5により受光させるように読取部3の動作を制御する。具体的には、制御部91は、本体部7が白色基準部材6に対して副走査方向D2に相対的に移動するように駆動部9を制御する。また制御部91は、上記複数の読取位置の各々において白色基準部材6に照射される光がレッド、グリーン及びブルーの三色の光に切り替わるように光源4を制御する。また制御部91は、白色基準部材6に照射されたレッド、グリーン及びブルーの光の反射光を複数の受光素子5A(
図4)の各々により受光させるように受光部5を制御する。
【0052】
メモリ部92は、受光部5及び処理部93と接続されている。
図7は、メモリ部92におけるメモリ構造を模式的に示すブロック図である。メモリ部92は、原稿の画像データを格納するためのメモリ領域の他、白色基準データを格納するための第1のメモリ領域M1と、白色基準データを並び替えて異常データの特定等の処理を行うための第2のメモリ領域M2と、特定された異常データの情報を保存するための第3のメモリ領域M3と、を有する。
【0053】
第1のメモリ領域M1は、レッドの白色基準データを格納するためのレッド格納領域81と、グリーンの白色基準データを格納するためのグリーン格納領域82と、ブルーの白色基準データを格納するためのブルー格納領域83と、を有する。ここでの白色基準データは、受光部5の画素数×白色基準部材6の読取位置数に相当する数だけ色毎に存在し、後述する平均化白色基準データを算出するためのベースとなるデータである。第2のメモリ領域M2は、グリーンの白色基準データの並び替えを行うためのグリーン処理領域85を有する。第3のメモリ領域M3は、グリーンについて異常データの情報を保存するためのグリーン保存領域88を有する。ここで、通常では、レッドの白色基準データの並び替えを行うためのレッド処理領域84、ブルーの白色基準データの並び替えを行うためのブルー処理領域86、レッドの異常データの情報を保存するためのレッド保存領域87、及びブルーの異常データの情報を保存するためのブルー保存領域89がそれぞれ必要とされるが、本実施形態ではこれらが不要となっている。
【0054】
図6に戻って、処理部93は、メモリ部92と接続されている。処理部93は、メモリ部92の第2のメモリ領域M2(
図7)において白色基準データの並び替え等を行い、メモリ部92に格納された白色基準データに含まれる異常データを特定する処理を行う。また処理部93は、当該異常データを除外して第1のメモリ領域M1の白色基準データから画素5A毎に平均化白色基準データを算出し、画素アドレスに関連付けてメモリ部92に格納する。
【0055】
<原稿の画像データの読取>
次に、上記画像読取装置2による原稿画像の読取手順について、
図8に示すフローチャートに沿って説明する。
【0056】
図8を参照して、まず、画像読取要求の有無が判定される(S1)。原稿固定読取用ガラス70(
図2)上に原稿Pが載置された状態で複写開始ボタンが押されると、画像読取要求「有」と判定される(S1:「YES」)。また、原稿トレイ15(
図1)に原稿が設置された状態で複写開始ボタンが押されると、同様に画像読取要求「有」と判定される。以下、原稿固定読取用ガラス70上に原稿Pが載置される手置きの場合についてのみ説明する。
【0057】
画像読取要求「有」と判定されると、読取部3の光源4が点灯する(S2)。そして、読取部3は、副走査方向D2に移動しつつ原稿固定読取用ガラス70上に載置された原稿Pに対して裏面70B側からレッド、グリーン及びブルーの各色の光を順に切り替えつつ照射し、その反射光を受光することにより原稿Pをスキャンする(S3)。これにより、原稿Pの画像データが取得される(S4)。その後、取得された画像データに対してシェーディング補正が行われ(S5)、原稿の画像データが取得される。
【0058】
<白色基準データの取得>
次に、上記画像読取装置2による白色基準データの取得手順について、
図9に示すフローチャートに沿って説明する。
【0059】
まず、白色基準データの取得タイミングであるか否かが判定される(S11)。例えば、画像読取装置2において所定枚数だけ画像読取処理が実行されたことが確認されると、白色基準データの取得タイミングであると判定される(S11:「YES」)。白色基準データの取得タイミングであると判定されると、制御部91は駆動部9を制御することにより本体部7をホームポジションから白色基準部材6の下方位置へ移動させるとともに、光源4を点灯させる(S12)。そして、読取部3による白色基準部材6のスキャンが開始される(S13)。
【0060】
ここで、読取部3による白色基準部材6のスキャンについて、
図10を参照して詳細に説明する。制御部91は、読取部3を制御し、副走査方向D2において白色基準部材6の下方を移動させ、当該白色基準部材6の複数の読取位置P1〜P10から受光部5に白色基準データを取得させる。
図10中、レッドの白色基準データの取得タイミングにおける読取部3の位置がR1〜R10により示され、グリーンの白色基準データの取得タイミングにおける読取部3の位置がG1〜G10により示され、ブルーの白色基準データの取得タイミングにおける読取部3の位置がB1〜B10により示されている。
【0061】
制御部91は、駆動部9を制御することにより本体部7を副走査方向D2に白色基準部材6に対して相対的に移動させ、光源4から複数の読取位置P1〜P10にレッド、グリーン及びブルーの各色の光を照射させ、かつその反射光を受光部5により受光させる。具体的には、制御部91は、光源4から白色基準部材6に照射される光をレッド、グリーン及びブルーの順に三色に切り替えつつ本体部7を副走査方向D2に移動させる。そして、制御部91が受光部5により受光させた反射光は光電変換され、白色基準データとしてメモリ部92の第1のメモリ領域M1に格納される(S14)。このようにして、レッド、グリーン及びブルーの各色の光について、白色基準部材6の複数の読取位置P1〜P10から白色基準データが取得される。なお、
図10では、白色基準部材6の読取位置がP1〜P10の10箇所だけ示されているが、その数は特に限定されない(例えば100箇所でもよい)。
【0062】
次に、レッド、グリーン及びブルーのうち異常データ検知色の光について、白色基準データの並び替えが行われる(S15)。ここでは、グリーンが異常データ検知色である場合について説明する。処理部93によってメモリ部92の第2のメモリ領域M2(グリーン処理領域85)において白色基準データが輝度(0〜255)順に並び替えられる。そして、並び替えられたデータのうち輝度値が白色データと比べて著しく異なるものが異常データとして特定される(S16)。そして、当該異常データに割り当てられたアドレスが特定され、また当該異常データが取得されたときの白色基準部材6の読取位置が特定される。本実施形態では、
図10に示すように異物99に起因して異常データが取得されるため、複数の読取位置P1〜P10のうち読取位置P3〜P7が特定される。そして、グリーンの光について特定された異常データの情報(アドレス、読取位置)は、メモリ部92の第3のメモリ領域M3(グリーン保存領域88)(
図7)に保存される(S17)。その後、処理部93が異常データを除いて白色基準データを平均化処理することにより、グリーンについて白色基準データの平均値(平均化白色基準データ)が得られる(S18)。なお、異常データが含まれない場合には、取得された全ての白色基準データについて平均化処理が行われる。
【0063】
本実施形態では、異常データ検知色であるグリーンの白色基準データについて輝度順に並び替え(ソート)を行った上で異常データの情報が特定される場合について説明したが、これに限られない。すなわち、白色基準データの並び替えは必須ではなく、個々の白色基準データを一つずつ所定値と比較することにより異常データの情報(アドレス、読取位置)が特定されてもよい。
【0064】
次に、レッド、グリーン及びブルーの三色のうち異常データ検知色であるグリーンを除いたレッド及びブルーの光について、白色基準データに含まれる異常データが特定される(S19)。このとき、グリーンの場合のように白色基準データの並び替えは行われず、グリーンの光について特定された異常データの情報に基づいて異常データが特定される。具体的には、処理部93によって第3のメモリ領域M3に保存されたグリーンに関する異常データの情報(アドレス、読取位置)が参照される。そして、グリーンについて異常データが取得された読取位置P3〜P7と同じ読取位置から取得された白色基準データが、レッド及びブルーについても同様に異常データとして特定される。その後、グリーンの場合と同様に、異常データを除いて白色基準データを平均化処理することにより、レッド及びブルーについても白色基準データの平均値(平均化白色基準データ)が得られる(S20)。このようにして、レッド、グリーン及びブルーの各々について白色基準データの平均値が得られ、これを用いて上述したシェーディング補正(
図8,S5)を行うことができる。このように、本実施形態では、異常データ検知色であるグリーンに関する異常データの情報をレッド及びブルーにも援用することができる。そのため、
図7に示すように、レッド及びブルーについて白色基準データの並び替えを行う領域84,86、及び異常データの情報を保存する領域87,89が不要とされる。
【0065】
<画像読取装置による作用効果>
次に、上記画像読取装置2による作用効果について説明する。上記画像読取装置2は、光源4及び受光部5を含む読取部3と、白色基準部材6と、制御部91と、メモリ部92と、処理部93と、を備える。制御部91は、光源4から白色基準部材6にレッド、グリーン及びブルーの三色の光を照射させ、その反射光を受光部5により受光させるように読取部3を制御する。メモリ部92は、当該反射光の受光により取得される白色基準データを格納する。処理部93は、白色基準データに含まれる異常データを特定する処理を行う。また処理部93は、レッド、グリーン及びブルーのうち異常データ検知色として設定されたグリーンの光について異常データの情報を特定し、かつ、レッド及びブルーの光について、グリーンの光について特定された異常データの情報に基づいて異常データを特定する。上記画像形成装置1は、上記画像読取装置2を備える。
【0066】
上記画像読取装置2によれば、処理部93によって白色基準データに含まれる異常データを特定し、当該異常データを除外して平均化処理することにより、適正な白色基準データを取得することができる。また、レッド、グリーン及びブルーの三色のうち異常データ検知色として設定されたグリーンの光について異常データの情報を特定し、当該情報をレッド及びブルーの光についての異常データの特定に利用することができる。具体的には、グリーンについて異常データが取得された読取位置P3〜P7と同じ読取位置において取得されたレッド及びブルーの白色基準データが異常データとして特定される。これにより、各色について独立して白色基準データの並び替えを行い、その輝度値に基づいて異常データを特定する場合に比べてより効率的に異常データを特定することができる。その結果、
図7に示すようにレッド及びブルーについては白色基準データの並び替えを行うためのメモリ領域や異常データの情報を保存するためのメモリ領域が不要となり、装置コストの増加を抑えることができる。また、上記画像読取装置2を備える上記画像形成装置1によれば、装置コストの増加を抑制するとともに、適正な白色基準データを用いることにより高品質な画像形成処理が可能になる。
【0067】
上記画像読取装置2において、制御部91は、読取部3を白色基準部材6に対して相対的に移動させつつ光源4から白色基準部材6の複数の読取位置P1〜P10にレッド、グリーン及びブルーの光を照射させ、かつその反射光を受光部5により受光させるように読取部3を制御する。メモリ部92は、複数の読取位置P1〜P10からの反射光を受光することにより取得される複数の白色基準データを格納する。これにより、複数の読取位置P1〜P10から取得される複数の白色基準データを平均化処理することで、白色基準部材6の濃度ムラや異物の影響等が低減されたより適正な白色基準データを取得することができる。
【0068】
上記画像読取装置2において、制御部91は、光源4から白色基準部材6に照射される光が、レッド、グリーン及びブルーの三色間で切り替えられる点灯サイクルを繰り返しつつ白色基準部材6に対して相対的に移動するように読取部3を制御する。これにより、色毎に読取部3による白色基準部材6のスキャンを繰り返す場合に比べて、白色基準部材6の読取位置のずれをより低減することができる。
【0069】
上記画像読取装置2において、受光部5は、複数の受光素子5Aが一次元に配列したセンサである。また制御部91は、白色基準部材6に照射されたレッド、グリーン及びブルーの光の反射光を複数の受光素子5Aの各々により受光させる。このように、1ラインセンサによる読取が行われる場合には、
図5を参照して説明したように各色の光による白色基準部材6の読取位置が互いに近接する。そのため、異常データ検知色(グリーン)の光を代表として異常データの情報(アドレス、読取位置)を特定し、これを他色(レッド、ブルー)の光について利用することが好ましい。
【0070】
(変形例)
最後に、上記実施形態に係る画像読取装置2の変形例について説明する。
図10を参照して、処理部93は、レッド及びブルーの光について、グリーンの光について異常データが取得された読取位置P3〜P7と同じ読取位置から取得される白色基準データを異常データとして特定し、さらにレッド、グリーン及びブルーの三色の光について、読取位置P3〜P7に隣接する読取位置P2,P8から取得される白色基準データを異常データとして特定してもよい。
【0071】
上記実施形態では、読取位置P8から取得されるレッドの白色基準データが異物99に起因して異常データとなるにも関わらずこれが特定されないのに対し、上記変形例ではこれを特定することができる。このように、上記変形例によれば白色基準データに含まれる異常データをより確実に特定し、これを平均化処理の対象から除外することによって、より適正な白色基準データの平均値を得ることができる。
【0072】
上記実施形態のように、レッド、グリーン及びブルーの反射光を各々の受光素子5Aによって受光する1ラインセンサを備えたCISが用いられてもよいが(
図5)、これに限られない。
図11に示すように、レッドの反射光を受光するレッド用受光素子5Bと、グリーンの反射光を受光するグリーン用受光素子5Cと、ブルーの反射光を受光するブルー用受光素子5Dと、を有する3ラインセンサを備えたCCDセンサまたはCISが用いられてもよい。このように3ラインセンサが用いられる場合、グリーン用受光素子5Cとレッド用受光素子5Bとのセンサ間距離に応じてグリーンの異常データアドレスをシフトさせることにより、レッドの異常データアドレスが特定される。またグリーン用受光素子5Cとブルー用受光素子5Dとのセンサ間距離に応じて同様に異常データアドレスをシフトさせることにより、ブルーの異常データアドレスが特定される。そして、これらの異常データを除去した上で白色基準データの平均化処理を行うことができる。
【0073】
上記実施形態において、異常データ検知色はグリーンに限られず、レッド又はブルーであってもよい。
【0074】
上記実施形態において、光源4の点灯の切り替えは、レッド、グリーン、ブルーの順序に限られず、任意の順序で切り替えてもよい。
【0075】
今回開示された実施形態及びその変形例は、全ての点で例示であり、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく特許請求の範囲により示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。