特許第6051308号(P6051308)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6051308
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】固液分離装置、及びその方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 12/00 20060101AFI20161219BHJP
   B03C 1/02 20060101ALI20161219BHJP
   F25B 6/04 20060101ALN20161219BHJP
   F28D 7/16 20060101ALN20161219BHJP
【FI】
   B01D12/00
   B03C1/02 Z
   !F25B6/04 Z
   !F28D7/16 A
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-529300(P2015-529300)
(86)(22)【出願日】2013年8月2日
(86)【国際出願番号】JP2013070962
(87)【国際公開番号】WO2015015631
(87)【国際公開日】20150205
【審査請求日】2016年1月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100100310
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 学
(74)【代理人】
【識別番号】100098660
【弁理士】
【氏名又は名称】戸田 裕二
(74)【代理人】
【識別番号】100091720
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 重美
(72)【発明者】
【氏名】佐野 理志
(72)【発明者】
【氏名】関谷 禎夫
【審査官】 近野 光知
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−240609(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/148113(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/022726(WO,A1)
【文献】 特開2012−035213(JP,A)
【文献】 特開昭51−126393(JP,A)
【文献】 特開平05−115857(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 11/00〜15/00
C02F 11/00
C10L 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水と油を溶解できる物質Aを用い,水と固体,油と固体,もしくは水と油と固体の混合物の被処理物から脱水,脱油を行う固液分離装置において,
閉じられた系内で状態変化を起こしながら循環する物質Bと,
前記物質Bを高温高圧のガスに圧縮する圧縮機と,
前記圧縮機で圧縮された前記物質Bを凝縮して、前記物質Bの凝縮熱と前記物質Aの蒸発熱を交換する第1の熱交換器と,
凝縮した前記物質Bを減圧する膨張手段と,
前記物質Bの蒸発熱と前記物質Aの凝縮熱を交換する第2の熱交換器と,
前記第1の熱交換器で水もしくは油と分離しながら蒸発した前記物質Aが前記第2の熱交換器で凝縮し,凝縮した前記物質Aが被処理物とを混合した後、前記第1の熱交換器に送る処理槽と,
前記物質Aを処理槽、第1の熱交換器、第2の熱交換器の順に送り、前記物質Aを循環させるポンプと,
を備えたことを特徴とする固液分離装置。
【請求項2】
請求項1の固液分離装置において、
前記物質Bを凝縮する前記第1の熱交換器と前記膨張手段との間に,前記物質Bの温度を制御するために外気もしくは冷却水を用いる第三の熱交換器を設けたことを特徴とする固液分離装置。
【請求項3】
請求項1の固液分離装置において、
記固体として磁性物質を含んだ固体の混合物を液体の前記物質Aに分散させたまま磁性物質を分離するために,処理槽の内部もしくは処理槽から前記被処理物を抜き出す流路上に磁気分離装置を設置したことを特徴とする固液分離装置
【請求項4】
請求項1の固液分離装置において、
前記第1の熱交換器がシェルアンドチューブ型であり,シェルの下部に析出する水層もしくは油層の液面を検知する液面センサーを設置したことを特徴とする
固液分離装置
【請求項5】
請求項1の固液分離装置において、
前記第2の熱交換器がシェルアンドチューブ型であり,シェルの下部に析出する前記物質Aの液面を検知する液面センサーを設置したことを特徴とする
固液分離装置
【請求項6】
水と油を溶解できる物質Aを用い,水と固体,油と固体,もしくは水と油と固体の混合物の被処理物から脱水,脱油を行う固液分離方法において,
閉じられた系内で状態変化を起こす物質Bを循環すること,
前記物質Bを高温高圧のガスに圧縮すること,
圧縮された前記物質Bを第1の熱交換器手段により凝縮して、前記物質Bの凝縮熱と前記物質Aの蒸発熱を交換すること,
凝縮した前記物質Bを減圧すること、
第2の熱交換手段により前記物質Bの蒸発熱と前記物質Aの凝縮熱を交換すること,
前記第1の熱交換器で水もしくは油と分離しながら蒸発した前記物質Aが前記第2の熱交換手段で凝縮し,凝縮した前記物質Aが前記被処理物と混合した後、前記第1の熱交換器に送ること、
を備えたことを特徴とする固液分離方法。
【請求項7】
請求項6の固液分離方法において、
前記第1の熱交換手段と前記膨張手段との間に,前記物質Bの温度を制御するために外気もしくは冷却水を用いる第三の熱交換手段を設けたことを特徴とする固液分離方法。
【請求項8】
請求項6の固液分離方法において、
記固体として磁性物質を含んだ固体の混合物を液体の前記物質Aに分散させたまま磁性物質を分離するために,前記物質Aが前記第2の熱交換手段で凝縮した後の流路上に磁気分離手段を設けたことを特徴とする固液分離方法。
【請求項9】
請求項6の固液分離方法において、
前記第1の熱交換手段としてシェルアンドチューブ型の熱交換器を採用し、該熱交換器のシェルの下部に析出する水層もしくは油層の液面を検知する液面センサー手段を設置したことを特徴とする固液分離方法。
【請求項10】
請求項6の固液分離方法において、
前記第2の熱交換手段としてシェルアンドチューブ型の熱交換器を採用し,該熱交換器のシェルの下部に析出する前記物質Aの液面を検知する液面センサー手段を設置したことを特徴とする固液分離方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体と固体を分離する固液分離装置、及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明に関する従来技術として、特許文献1、及び特許文献2がある。
【0003】
特許文献1には、常温,常圧で気体であり,液化状態では水および油を溶解できる物質(以下、物質Aと称す)の状態変化のサイクルを利用し,水分を含んだ石炭から水分を除去する構成が開示されている。
【0004】
特許文献2には,上記物質Aの状態変化のサイクルに利用される熱源とその利用方法が、開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】W02003/101579号公報
【特許文献2】W02008/111483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
常温常圧では気体であり,液化すると水および油を溶解できる物質Aには様々なものがある。この物質Aの特性を利用した固液分離手法として特許文献1が開示されている。特許文献1では,物質Aの例としてDME(ジメチルエーテル)を選択し,石炭中の水分の除去に利用している。ここで,DMEを状態変化させる際に圧縮機を使用しているが,ここで使用する圧縮機はオイルフリー式を選択する必要がある。オイルフリー圧縮機の型式としては,ターボ冷凍機やスクリュー冷凍機,レシプロ冷凍機等があるが,物質Aを利用した固液分離に対しては,最低処理量が多過ぎる,もしくはメンテナンス間隔が短い等の問題があり,商業的に適切な圧縮機が存在しない。
【0007】
また,このサイクルを効率良く運転するためにはサイクル内で循環しているDMEの量を適切に保つ必要がある。しかし,サイクル内のDME量が多いと熱交換器内に熱交換に不利な液相が発生し,逆にDME量が少ない場合ではサイクル内において液相であるべき位置で気液二相流となってしまい,サイクルの効率が低下する。したがって,効率の良いDMEの適正量の範囲が狭いにもかかわらず,計測した温度・圧力・流量等からP-H線図を用いて総合的に算出する必要があり,サイクル内のDME量を正確に把握し,コントロールすることは困難である。
【0008】
特許文献2では,DMEの凝縮熱と蒸発熱の供給に外部環境の熱を利用する構成が開示されている。しかし,DMEの状態変化サイクルに適切な温度の外部媒体が得られない場合,この構成の効率は大幅に低下することとなる。また,適切な温度の外部媒体が得られた場合でも,個々の持つ顕熱を利用することとなるため,特許文献1と比較しても熱交換効率が低く,熱交換器を大型にする必要がある。さらに,環境に依存した外部媒体を熱源とする場合では不純物が含まれる場合が多いので,熱交換器の外部媒体側に汚れや閉塞をもたらし熱交換効率を低下させるために,高頻度のメンテナンスが必要になる。
【0009】
そこで、本発明は、物質Aの状態変化を効率良く、かつメンテナンス頻度を低く実施できる固液分離装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は水と油を溶解できる物質Aを用い,被処理物である水と固体,油と固体,もしくは水と油と固体の混合物の被処理物から脱水,脱油を行う固液分離装置において,
閉じられた系内で状態変化を起こしながら循環する物質Bと,前記物質Bを圧縮する圧縮機と,前記物質Bの凝縮熱と前記物質Aの蒸発熱を交換する第1の熱交換器と,凝縮した前記物質Bを減圧する膨張手段と,前記物質Bの蒸発熱と前記物質Aの凝縮熱を交換する第2の熱交換器と,前記第1の熱交換器で水もしくは油と分離しながら蒸発した前記物質Aが前記第2の熱交換器で凝縮し,凝縮した前記物質Aが被処理物とを混合する処理槽と,前記物質Aを循環させるポンプと,を備えたことを特徴とするものである。
【0011】
更に、本発明は固液分離装置において、
前記物質Bを凝縮する前記第1の熱交換器と前記膨張手段との間に,前記物質Bの温度を制御するために外気もしくは冷却水を用いる第三の熱交換器を設けたことを特徴とするものである。
【0012】
更に、本発明は固液分離装置において、
前記被処理物として磁性物質を含んだ固体の混合物を液体の前記物質Aに分散させたまま磁性物質を分離するために,処理槽の内部もしくは処理槽から前記被処理物を抜き出す流路上に磁気分離装置を設置したことを特徴とするものである。
【0013】
更に、本発明は固液分離装置において、
前記第1の熱交換器がシェルアンドチューブ型であり,シェルの下部に析出する水層もしくは油層の液面を検知する液面センサーを設置したことを特徴とするものである。
【0014】
更に、本発明は固液分離装置において、
前記第2の熱交換器がシェルアンドチューブ型であり,シェルの下部に析出する前記物質Aの液面を検知する液面センサーを設置したことを特徴とするものである。
【0015】
また、上記課題を解決するために、本発明は水と油を溶解できる物質Aを用い,被処理物である水と固体,油と固体,もしくは水と油と固体の混合物の被処理物から脱水,脱油を行う固液分離方法において,
閉じられた系内で状態変化を起こす物質Bを循環すること,前記物質Bを圧縮すること,第1の熱交換器手段により前記物質Bの凝縮熱と前記物質Aの蒸発熱を交換すること,凝縮した前記物質Bを減圧すること、第2の熱交換手段により前記物質Bの蒸発熱と前記物質Aの凝縮熱を交換すること,前記第1の熱交換器で水もしくは油と分離しながら蒸発した前記物質Aが前記第2の熱交換手段で凝縮し,凝縮した前記物質Aが前記被処理物と混合すること、を備えたことを特徴とするものである。
【0016】
更に、本発明は固液分離方法において、
前記第1の熱交換手段と前記膨張手段との間に,前記物質Bの温度を制御するために外気もしくは冷却水を用いる第三の熱交換手段を設けたことを特徴とするものである。
【0017】
更に、本発明は固液分離方法において、
前記被処理物として磁性物質を含んだ固体の混合物を液体の前記物質Aに分散させたまま磁性物質を分離するために,前記物質Aが前記第2の熱交換手段で凝縮した後の流路上に磁気分離手段を設けたことを特徴とするものである。
【0018】
更に、本発明は固液分離方法において、
前記第1の熱交換手段としてシェルアンドチューブ型の熱交換器を採用し、該熱交換器のシェルの下部に析出する水層もしくは油層の液面を検知する液面センサー手段を設置したことを特徴とするものである。
【0019】
更に、本発明は固液分離方法において、
前記第2の熱交換手段としてシェルアンドチューブ型の熱交換器を採用し,該熱交換器のシェルの下部に析出する前記物質Aの液面を検知する液面センサー手段を設置したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、常温常圧で気体である物質Aの状態変化のサイクルを利用して固液分離を行う装置及び方法において,上記物質の状態変化を適切な処理量で実施でき,また,装置のメンテナンス間隔を延ばすことができ,さらには,サイクル内の物質Aの量を容易に把握しコントロールできる,効率の良い運転が可能な固液分離装置及びその方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の固液分離装置の構成図の一例である。
図2】本発明で使用する2種の物質の状態変化を示した温度−エンタルピー線図(T−H線図)の例である。
図3】本発明の固液分離装置の構成図の他の例である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について以下図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0023】
本発明の固液分離装置、及びその方法は、固体と水と油の混合物を,固体と水と油にそれぞれ分離することが可能である。また,本発明の固液分離装置、及びその方法は固体と水の組み合わせ,固体と油の組み合わせにも使用できる。具体的には水処理で発生した汚泥の水と油と固体の分離,油汚染された土壌の浄化,プランクトンからの脱水・脱油,水処理に使用した活性炭に吸着した不純物の脱着等,様々な固液分離に適用可能である。
【0024】
以下、活性炭再生装置を例に挙げて本発明の固液分離装置、及びその方法を実施するための形態を説明するが、本発明の適用製品は活性炭再生装置、及びその方法に限定されるものではない。
【0025】
図1を用いて、本発明の適用対象の一つである活性炭再生装置の構成を説明する。本実施例では水と油を溶解できる物質Aとしてジメチルエーテル(DME),閉じられた系内で状態変化を起こしながら循環する物質(以下、物質Bと称す)としてフロンを使用した例について示す。また,2つの熱交換器はシェルアンドチューブ型を使用し,双方ともシェル側にDMEを通過させた例について示す。
【0026】
まず,液化DMEがポンプ1から配管11を経由して,使用済み活性炭が充填された処理槽2に送られる。処理槽2では,活性炭に付着した油などの不純物が付着した水分と共にDMEに溶解する。不純物と水は液化DMEに溶解したまま配管12を通して第1の熱交換器3に送液される。第1の熱交換器3には液化DMEよりも高温のフロンが連続的に供給されているので,フロンの持つ潜熱と顕熱によりDMEの沸点以上に加熱され液化DMEはDMEガスとなって排出される。このとき液化DMEに溶存していた水と不純物は沸点以下であるためにそれらの大半が蒸発することなく第1の熱交換器3の内部にとどまる。排出された高純度のDMEガスは配管13を経由して第2の熱交換器4に送られる。第2の熱交換器4には液化DMEよりも低温のフロンが連続的に供給されているので,フロンの持つ潜熱と顕熱によりDMEの沸点以下に冷却されDMEガスは液化DMEとなって排出される。排出された液化DMEは配管14を経由してポンプ1に送られ,DMEの状態変化のサイクルが形成される。
【0027】
また,第1の熱交換器3では次第に水や不純物濃度が高まり,たとえば水などの完全混合しない物質は析出を始める。析出量は運転直後では増加量が多いが,活性炭からの除去率が高くなってくると析出量は次第に0に近づく。したがって,この水面を液面センサー7で連続的に計測することで,活性炭の洗浄終了を判断することができる。また液面センサー8aはDMEの液面を検知するために設置してある。液化DMEの液面は,DMEガスの排出口よりも低くかつ,熱交換器の高温側配管(チューブ)よりも高い位置に維持することで,不純物の流出を抑え高い熱交換効率を維持できる。
【0028】
第2の熱交換器4では,DMEの液面を検知するために液面センサー8bが設置してある。液化DMEの液面は,DMEガスの排出口よりも高くかつ,熱交換器の低温側配管(チューブ)よりも低い位置に維持することで,二相流の流出を抑え,かつ,高い熱交換効率を維持できる。液面の調節には,ポンプ1もしくは圧縮機5の運転速度の変更で対応することが可能であるが,サイクル内のDME量に過不足が生じた場合はサイクル外に設置したタンク(図示せず)を利用して,ポンプやバルブ等で調節すれば良い。
【0029】
また,運転を開始すると処理槽2内の水分が減少することにより,効率な運転を維持するためのサイクル内のDME量が徐々に不足してくる。しかし,DMEの状態変化に圧力変化を利用する従来方式では,圧縮後の凝縮部の出口における温度と圧力からP−H線図を用いて液相の形成を確認するが,運転状態でないと適正量を確認できない。さらに,従来方式におけるDMEのサイクルは蒸発部と凝縮部の温度差を小さくするほど運転効率が向上するが,温度差が縮小すると凝縮後の過冷却度が小さくなるので,2相流として排出される可能性が高くなり,計測機器の誤差を考慮すると適切な運転を継続することは困難である。
【0030】
これに対して本発明による実施例では,上述のように運転時におけるサイクル内のDME量を把握することが容易であり,運転条件によって適切なサイクル量DME量が変化した場合でも,直ちに適正量にまで修正することができる。
【0031】
一方,DMEに対して熱や冷熱を供給するフロンは,圧縮機5から高温高圧のガスとなって排出され配管21を経由して第1の熱交換器3に送られる。ここで高温のフロンは凝縮しながら凝縮熱をDME側に伝え,液化DMEは供給された熱を蒸発熱として利用しDMEガスとなる。液化フロンは配管22を通り膨張弁6によって減圧することで温度と圧力が低下し,二相流となって配管23を経由して第2の熱交換器4に送られる。ここでは高温のDMEガスは凝縮しながら凝縮熱をフロン側に伝え,低温のフロンは供給された熱を蒸発熱として利用しフロンガスとなる。気体となったフロンガスは配管24を経由して圧縮機5に送られ,冷凍サイクルが形成される。
【0032】
図2は本発明で使用するフロンのサイクルを記載したT−H線図とDMEの関係を示した図である。フロンは通常の冷凍サイクルと同様に圧縮,凝縮,膨張,蒸発の過程を辿る。このうち凝縮過程では多量の潜熱が発生するため,より低温であるDMEに伝達し,DMEの蒸発熱として利用される。また,フロンの蒸発過程では蒸発潜熱が必要となるため,より高温のDMEガスの凝縮熱を受け取る。このときのDMEの圧力は,循環時の圧力損失分を除けば常にほぼ一定である。このようにDMEの状態変化サイクルを実施するために,本発明では圧力変化ではなく温度変化を利用するので,高価な有機ガス用の専用圧縮機を使用する必要が無く,安価な薬品用ポンプでDMEの状態変化サイクルを循環させることが可能である。
【0033】
本発明において第1の熱交換器3および第2の熱交換器4で授受する熱量の大半は,DME,フロン共に顕熱ではなく潜熱が大半を占めるように,つまり,好ましくは双方の潜熱が等しくなるように循環量を設計,コントロールする。これは,気体や液体の熱伝達率よりも,沸騰時や凝縮時の熱伝達率が大幅に高いためであり,熱交換効率を向上させ,熱交換器の小型化に貢献することが可能である。また,この条件におけるフロンの冷凍サイクルは,空調用のエアコンとは異なり温度差を小さくすることが可能であり,凝縮過程の温度はDMEの沸点よりやや高く,また,蒸発過程の温度はDMEの沸点よりもやや低くするだけで良い。したがって,フロンの循環に必要な圧縮時の損失を小さく抑えることができ,またDMEの循環については,サイクルを循環させる際に発生する圧力損失をポンプにより補うだけで良いので,装置全体として物質Aの状態変化を効率良く実施することができる。
【0034】
本発明の活性炭再生装置では,DMEの状態変化のサイクルを複数回循環させている。これは,物質によって液化DMEに対する溶解度が異なり,液化DMEと完全混合しない物質も存在するためであり,溶解度が低い物質でも十分に溶解させるためにDMEを循環させることで純度の高いDMEを供給し続け,不純物の除去率を向上させている。
【0035】
本発明では,上述のようにDMEの状態変化サイクルにポンプを使用することが特徴である。先行技術のように圧縮機を使用する場合,オイルフリーの圧縮機を選定する必要がある。一般的な圧縮機は冷媒に対して圧縮機の潤滑を目的としたオイルが混合されているが,DMEの状態変化を起こすサイクルでは,DMEの蒸発時にオイルが分離されてしまいサイクルの途中に滞留するので,本発明には使用できない。また,オイルフリー圧縮機の型式としては,ターボ冷凍機やスクリュー冷凍機,レシプロ冷凍機等があるが,前者2機種は高圧部と低圧部の隔壁に隙間が有り漏れが発生するので運転可能な下限処理量が多量である,後者は摺動部にシール剤があるために磨耗によりメンテナンス頻度が高いという問題があり,商業的に適切な圧縮機が存在しない。これに対し,本発明で使用するDME用ポンプは通常の薬品用ポンプを利用可能であるので本発明の構成を容易に実施できる。
【0036】
また,上記実施例では,活性炭の再生溶媒としてDMEを例としているが,エチルメチルエーテル、ホルムアルデヒド、ケテン、アセトアルデヒド等の物質でも同様の目的を達成できる。
【0037】
さらに,また,本発明で使用した熱源側の冷凍サイクルは,フロンを例としているが,アンモニアやイソブタン等の他の冷媒でも同様の目的を達成できる。
【0038】
また,図中に記載の温度と圧力は説明のために記載した一例であり,運転条件によって変化するので本発明がこの値に限定されるものではない。
【0039】
さらに,運転の開始時,終了時には,処理槽2への活性炭の投入・回収が必要となる。このとき活性炭再生装置の運転を停止して開放状態で行っても良いが,水処理ラインに設置された活性炭の充填塔を,バルブ等で水処理ラインから切り離し,DMEの循環ラインに接続することで処理槽2の代替として使用しても良い。
【実施例2】
【0040】
本発明の他の実施例として汚泥減量装置がある。本実施例で対象とする汚泥は,油が混合した油濁水を凝集磁気分離法により浄化した際に発生する,磁性粉,油,シルト,水で構成される混合物とする。
【0041】
一般的に水処理で発生した汚泥は産業廃棄物として処理されるため,廃棄コスト削減のためにベルトプレス等の機械的な脱水機を用いて脱水されている。しかし,脱水後の水分の割合は約70%であり,脱水汚泥においても大半を水が占めている。
【0042】
また,凝集磁気分離法では,水の浄化のために磁性粉を添加するため,汚泥中に磁性粉が混入する。したがって,この磁性粉を廃棄せずに回収できれば,再利用と汚泥の減量によってランニングコストを低減できる。
【0043】
本発明の汚泥減量装置では,液化DMEにより汚泥中の水と油を回収することで,水分と油分の付着量を大幅に削減された磁性粉とシルトを個別に得ることが可能となり,汚泥処理費用とランニングコストの削減できる。
【0044】
以下に汚泥減量装置の構成について図3を用いて説明する。
【0045】
汚泥減量装置におけるDMEの循環サイクルとフロンの循環サイクルは上記した実施例の活性炭再生装置と同等であり,処理槽2に充填されている物体が使用済み活性炭ではなく汚泥であるという点が異なる。
【0046】
被処理物が汚泥の場合,DMEを循環させることにより油と水が第1の熱交換器3に滞留する。DMEの循環による処理が完了すると,処理槽2にはシルトと磁性粉が液化DMEに分散した状態で残留している。これらの固体をポンプ1やバルブ32の操作によって液化DMEと共に配管41を通して磁気分離装置31に輸送すると,磁性粉は磁力によって磁気分離装置31内に留まり,液化DMEとシルトは配管42,バルブ32,配管43を通って回収タンク33に貯留される。ついで磁気分離装置31と回収タンク内部の圧力を減圧し,液化DMEを蒸発させることで,水分と油分の付着量を大幅に削減された磁性粉とシルトを個別に得ることが可能となる。また,ここでは磁石もしくは電磁石を処理槽2の外部に設置しているが,処理槽2の内部に設置し,磁性粉を磁力で保持しながら液化DMEとシルトを排出することで分離することも可能である。
【0047】
また,従来の方法では液化DMEの蒸発経路において,膨張弁における減圧を行っているため,膨張弁の通過時に析出する水や油が微小な液滴となりやすく,エマルジョンとなってしまう。いったんエマルジョンを形成してしまうと,水と油の重力分離を実施しにくい。しかし本発明では,第1の熱交換器3で熱を与えることで液化DMEを蒸発させるので,圧力降下による蒸発と比較して穏和な状態で蒸発が進行するため,エマルジョンを形成しにくく,油と水を容易に分離することができる。
【0048】
本発明のサイクルでは,フロンの冷凍サイクルにおける損失によって,サイクル内の温度が徐々に上昇する。したがって,サイクル内の温度を除去するために,外気もしくは冷却水を利用した熱交換器の設置が好ましい。本発明のサイクルでは,配管22の途中に第3の熱交換器34を設置することで,高温側媒体として装置内で比較的高温かつ熱伝達率の良い液体を利用できるので,効率の良い熱交換が行える。
【0049】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 ポンプ
2 処理槽
3 第1の熱交換器
4 第2の熱交換器
5 圧縮機
6 膨張弁
31 磁気分離装置
33 回収タンク
図1
図2
図3