【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の側面は、添付の特許請求の範囲に記載の制御ユニット、方法及び車両を提供する。
【0007】
本発明の別の実施形態によれば、車両のキャビン内の温度を制御するために使用される制御ユニットが提供される。制御ユニットは、第1の温度センサから第1の温度測定値T
1を受信し、第2の温度センサから第2の温度測定値T
2を受信するように構成されている。車両が水平面上にあるときに、第1の温度センサが第2の温度センサよりも実質的に高いレベル(基準位置)に配置されている。制御ユニットは、代表温度、TRを計算し、ここでTRはT
1及びT
2を用いて計算され、スタートアップ後の所定の期間に対して計算された値TRに応じて温度調節手段を操作し、その後測定値T
2に応じて温度調節システムを操作するように更に構成されている。
【0008】
本発明の更なる側面によれば、車両のキャビン内の温度を制御するために使用される温度調節システムが提供される。温度調節システムは、少なくとも1の温度調節手段と、第1の温度、T
1を測定するための第1の温度センサと、第2の温度、T
2を測定するための第2の温度センサと、第1の及び第2の温度センサからの測定値T
1及びT
2を受信するように構成された制御ユニットとを備える。温度センサは、車両が水平面上にあるときに、第1の温度センサが第2の温度センサよりも実質的に高いレベルに配置されるように、キャビン内に配置されている。制御ユニットは、代表温度、TRを計算し、ここでTRはT
1及びT
2を用いて計算され、スタートアップ後の所定の期間に対して計算された値TRに応じて温度調節手段を操作し、その後測定値T
2に応じて温度調節システムを操作するように構成されている。
【0009】
本発明の更に別の側面によれば、車両のキャビン内の温度調節システムを制御するための方法が提供される。方法は、第1の温度センサ及び第2の温度センサを提供することを含み、車両が水平面上にあるとき、例えば、車両が水平面上で運転されているときに、第1の温度センサが第2の温度センサよりも実質的に高いレベルに配置されているように、温度センサが車両のキャビン内に配置されている。方法は、キャビンの推定温度であるTRを計算することであって、ここで、TRは、第1の温度センサによって測定された温度であるT
1及び第2の温度センサによって測定された温度であるT
2を用いて計算されることを更に含む。方法はその後、スタートアップ後の所定の期間に対して計算された値TRに応じて温度調節システムを操作し、その後測定値T
2に応じて温度調節システムを操作することを含む。
【0010】
本発明の別の実施形態によれば、車両のキャビン内の温度を制御するために使用される制御ユニットが提供される。制御ユニットは、第1の温度センサから第1の温度測定値T
1を受信し、第2の温度センサから第2の温度測定値T
2を受信するように構成されている。車両が水平面上にあるときに、第1の温度センサが第2の温度センサよりも実質的に高いレベルに配置されている。制御ユニットは、代表温度、TRを計算し、ここでTRはT
1及びT
2を用いて計算され、計算された値TRに応じて温度調節手段を操作するように構成されている。制御ユニットは、スタートアップ後の所定の期間に対して計算された値TRに応じて温度調節手段を操作し、その後測定値T
2に応じて温度調節システムを操作するように更に構成されることができる。
【0011】
本発明の更なる側面によれば、車両のキャビン内の温度を制御するために使用される温度調節システムが提供される。温度調節システムは、少なくとも1の温度調節手段と、第1の温度、T
1を測定するための第1の温度センサと、第2の温度、T
2を測定するための第2の温度センサと、第1の及び第2の温度センサからの測定値T
1及びT
2を受信するように構成された制御ユニットとを備える。車両が水平面上にあるときに、第1の温度センサが第2の温度センサよりも実質的に高いレベルに配置されているように、温度センサがキャビン内に配置されている。制御ユニットは、代表温度、TRを計算し、ここでTRはT
1及びT
2を用いて計算され、計算された値TRに応じて温度調節手段を操作するように構成されている。制御ユニットは、スタートアップ後の所定の期間に対して計算された値TRに応じて温度調節手段を操作し、その後測定値T
2に応じて温度調節システムを操作するように更に構成されることができる。
【0012】
本発明の更に別の側面によれば、車両のキャビン内の温度調節システムを制御するための方法が提供される。方法は、第1の温度センサ及び第2の温度センサを提供することを含み、車両が水平面上にあるときに、例えば、車両が水平面上で運転されているときに、第1の温度センサが第2の温度センサよりも実質的に高いレベルに配置されているように温度センサが車両のキャビン内に配置されている。方法はキャビンの推定温度であるTRを計算することであって、ここで、TRは、第1の温度センサによって測定された温度であるT
1及び第2の温度センサによって測定された温度であるT
2を用いて計算されることを更に含む。方法は、その後、計算された値TRに応じて温度調節システムを制御することを含む。制御ユニットは、スタートアップ後の所定の期間に対して計算された値TRに応じて温度調節手段を操作し、その後測定値T
2に応じて温度調節システムを操作するように更に構成されることができる。
【0013】
温度調節に対し、ICSに依存する従来の温度制御システムにおいては、フルオートエアコンシステムを装着した車両内で短期の温度制御障害が起こる場合がある。車のキャビン温度が、例えば一晩、低い周囲温度に冷却されており、その後車両が、例えば太陽が昇ることによって高い太陽の負荷に晒される場合、これが、上方キャビンが下方キャビンよりも暖かくなる状態を作り出す。この状態で、上方キャビンは、入室するのに暖かすぎるか或いは快適であり得るが、ICSを含む下方キャビンはまだ寒い場合がある。このシナリオでは、システムが、ICSを介して、暖房が必要であると検出し、ICSが分からない上方キャビンの熱のオーバーシュートをもたらす結果となる。
【0014】
頭の高さでの温度が、ユーザにとって多くの場合最も重要であるため、上方キャビンにおける熱のオーバーシュートが、上方キャビンと下方キャビンとの間の温度のバランスをとるように車内の空気循環が作用するまで、車が始動した後の最初の数分間にユーザにかなりの不快感を生じさせる場合がある。対照的に、本発明に係るシステム又は方法によれば、スタートアップ時の誤解を生じさせるセンサの読み取りを克服可能な温度調節システムのための方法を提供する。キャビンの上方領域の方がキャビンの下方領域よりも暑い場合、第1の温度センサが第2の温度センサよりも高い位置にあるため、T
1の値がT
2のそれよりも高い値となるであろう。TRを計算する場合にT
1が考慮されるため、温度調節システムは、キャビン内に供給する空気の流れを決定するためにより現実的な値を有するものとなる。
【0015】
第1のセンサが、例えば、太陽への暴露によって、長期的に信頼できない測定値を与える場合があるため、本発明に係る方法は、所定時間が経過すると、第2のセンサのみに依存するように移行する。
【0016】
スタートアップとは、温度調節システムが動作し始める時点を意味する。これは典型的には、エンジンの点火時であるが、例えば、車両がドライバにとって出来るだけ迅速に快適となるようにするために温度調節システムが点火よりも速く作動する場合にはそれよりも先になる場合もある。
【0017】
温度調節システムは、HVAC (暖房、換気及び空調) システムであり得る。
【0018】
温度調節手段は、空気をキャビンに導くことが可能な送風機、ヒータ、冷却ユニット又はキャビンの温度を調節するための任意の他の適切な手段を備えることができる。
【0019】
温度制御システムは、追加センサを更に備えていてもよい。同様に、方法は、追加センサを提供することを更に含んでいてもよい。温度制御システムは、スタートアップ時及びスタートアップ直後に使用するための追加的な第1のセンサを備えていてもよい。温度制御システムは、温度調節システムの動作全体で使用するための追加的な第2のセンサを備えていても良い。同様に、方法は、スタートアップ時及びスタートアップ直後に使用するための追加的な第1のセンサを提供することを含んでいてもよい。方法は、温度調節システムの動作全体で使用するための追加的な第2のセンサを提供することを含んでいてもよい。
【0020】
第1の温度センサは、車内に座るドライバの予測される頭の高さに実質的に配置されることができる。これは、頭の高さでの気温がユーザにとって多くの場合最も重要であり、顕著に目立つため有利である。第1の温度センサは、車両のフロントガラスに取り付けられることができる。第1の温度センサは、他の用途を有していてもよい。例えば、第1の温度センサは、窓の曇り止めのような用途で使用される上方車温度センサであり得る。
【0021】
第1の温度センサとして、車両のフロントガラスに取り付けられたフロントガラスミストセンサの気温センサ等の既存の温度センサを使用することが可能である。これは、装着されなければならないセンサの数を低減させ、ひいては車両内における制御ユニットとセンサとの間に必要な多くの接続の数を低減させることができるため、有利であり得る。これは、車の何千もの生産を実行する上で、かなりの節約を示すことができる。これはまた、多くの車両が車内搭載センサ及び曇り止めセンサの両方を既に有しているため、多くの既存の車両に対して更なるセンサを装着させる必要なしに実行することができることを意味している。
【0022】
第2の温度センサは、ダッシュボード内に配置され得る。第2の温度センサが、例えばダッシュボードによって直射日光から保護されていてもよい。
【0023】
TRは、T
1とT
2の加重平均を用いて計算されることができる。この加重平均は以下のように定義される:(1−g)T
1+(g)T
2、ここでgは(0から1の間の値で)調整可能な定数である。
【0024】
TRは、スタートアップ時のT
1とT
2の値を用いて計算され得る。或いは、TRは、スタートアップ後のT
1とT
2の変化として再計算され得る。
【0025】
TRは、スタートアップからの経過時間とともに減少する関数を用いて計算され得る。更には、TRは、スタートアップからの経過時間とともに指数関数的に減少し得る。例えば、TRは、次式により与えられ得る:
TR=(1−g)T
1start+g(T
2start)+((1−g)T
1start+g(T
2start)−T
2)(e
-t/τ−1)
ここで、T
1startは、スタートアップ時のT
1の値であり、T
2startはスタートアップ時のT
2の値であり、tは、スタートアップからの経過時間であり、τは時定数である。
【0026】
代替的には、TRは、スタートアップからの経過時間とともに直線的に減少し得る。
【0027】
TRが、スタートアップからの経過時間とともに減少する関数を用いて計算される場合には、方法が、TR≦T
2+δ(ここでδは予め定められた定数)まで、計算された値TRに応じて温度調節システムを制御し、その後は測定値T
2に応じて温度調節システムを操作することを含み得る。δは、0.5℃の値を取ることができ、δは0であってもよく、又はδは、車両の設計者のニーズに応じて任意の他の値に設定され得る。温度センサのセンサ入力は、ソフトウェアの解像度(即ちソフトウェアが、それが必要なバイト数に基づいて処理することができる最小単位)を有することになるであろう。したがって、許容範囲(即ちδ)の値は、許容範囲が解像度よりも大きくなることを確実にするために有用であり得る。
【0028】
制御ユニットが以下の手順を実行するように構成されるか、方法が、温度調節システムが所定時間未満、例えば一時間未満で直前に非アクティブにされる場合に、スタートアップ時の測定値T
2に応じて温度調節システムを操作することを含み得る。制御ユニットが以下の手順を実行するように構成されるか、方法が、車両が所定時間未満、例えば一時間未満で直前に非アクティブにされる場合に、スタートアップ時の測定値T
2に応じて温度調節システムを操作することを含み得る。非アクティブとは、エンジンが停止し、車両が静止し、ドアがロックされることを意味する。しかしながら、エンジンが停止し、車両が静止し、そのドアがロックされることの1又は2つのみからなる他の定義もあり得る。
【0029】
制御ユニットが以下の手順を実行するように構成されるか、方法が、T
1<T
2+hである場合(ここで、hは予め定められた定数、例えば10℃である場合)に、スタートアップ時の測定値T
2に応じて温度調節システムを操作することを含み得る。
【0030】
上述のユニットは、以下のように構成され得る:第3の温度センサから第3の温度測定値T
3を受信すること(ここでT
3は車両の外部の温度の測定値)と、T
3が所定範囲外にある場合にのみ、随意には5℃より寒く30℃よりも暑い場合に、スタートアップ時の測定値T
2に応じて温度調節システムを操作する。
【0031】
上述のシステムは更に、第3の温度センサを含むことができ、制御ユニットが、第3の温度センサから第3の温度測定値T
3を受信し、ここでT
3は車両の外部の温度の測定値であり、T
3が所定範囲外にある場合にのみ、随意には5℃より寒く30℃よりも暑い場合に、スタートアップ時の測定値T
2に応じて温度調節システムを操作するように構成され得る。
【0032】
上述の方法は、第3の温度センサを提供することと、第3の温度センサから第3の温度測定値T
3を受信することと(ここでT
3は車両の外部の温度の測定値であり)、T
3が所定範囲外にある場合にのみ、随意には5℃より寒く30℃よりも暑い場合に、スタートアップ時の測定値T
2に応じて温度調節システムを操作することを含み得る。
【0033】
本発明は、上述の温度調節システムを備える車両を備える。随意には、制御ユニットは、車両のキャビン又はHVACシステムの一部である。また随意には、第1の温度センサが自動車内に設置された温度センサ(ICS)であり、第2の温度センサが、車両のフロントガラスに取り付けられ、HVACシステムによって制御された自動曇り取りユニットの上方キャビン温度センサ(UCS)である。
【0034】
本発明の実施形態を、添付する図面を参照しながら例示の目的のみにおいて説明する。