特許第6051309号(P6051309)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6051309温度調節システムを制御するための方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6051309
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】温度調節システムを制御するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/00 20060101AFI20161219BHJP
【FI】
   B60H1/00 101F
【請求項の数】40
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-530394(P2015-530394)
(86)(22)【出願日】2013年9月5日
(65)【公表番号】特表2015-527254(P2015-527254A)
(43)【公表日】2015年9月17日
(86)【国際出願番号】EP2013068409
(87)【国際公開番号】WO2014037467
(87)【国際公開日】20140313
【審査請求日】2015年5月7日
(31)【優先権主張番号】1215898.6
(32)【優先日】2012年9月6日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】513208973
【氏名又は名称】ジャガー・ランド・ローバー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】JAGUAR LAND ROVER LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ロジャー・ベーカー
【審査官】 河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−009938(JP,A)
【文献】 特開平03−032919(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第01894757(EP,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0019050(US,A1)
【文献】 特開平05−169961(JP,A)
【文献】 米国特許第05755378(US,A)
【文献】 特開2005−349935(JP,A)
【文献】 特開2006−096306(JP,A)
【文献】 国際公開第2001/030597(WO,A1)
【文献】 特開2002−036847(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のキャビン内の温度を制御するために使用される制御ユニットであって、
前記制御ユニットが、
第1の温度センサから第1の温度測定値T1を受信し、
第2の温度センサから第2の温度測定値T2を受信する
ように構成されており、
前記車両が水平面上にあるときに、前記第1の温度センサが前記第2の温度センサよりも実質的に高いレベルに配置されるように、前記第1及び第2の温度センサが前記キャビン内に配置されており、
前記制御ユニットが、
代表温度、TRを計算し、ここでTRはT1及びT2を用いて計算され、
スタートアップ後の所定の期間に対して計算された値TRに応じて温度調節器を操作し、その後測定値T2に応じて温度調節システムを操作するように更に構成されている、制御ユニット。
【請求項2】
車両のキャビン内の温度を制御するために使用される温度調節システムであって、
前記温度調節システムが、
少なくとも1の温度調整器と、
第1の温度、T1を測定するための第1の温度センサと、
第2の温度、T2を測定するための第2の温度センサと、
前記第1の及び第2の温度センサからの測定値T1及びT2を受信するように構成された制御ユニットと
を備え、
前記車両が水平面上にあるときに、前記第1の温度センサが前記第2の温度センサよりも実質的に高いレベルに配置されるように、前記第1及び第2の温度センサが前記キャビン内に配置されており、
前記制御ユニットが、
代表温度、TRを計算し、ここでTRはT1及びT2を用いて計算され、
スタートアップ後の所定の期間に対して計算された値TRに応じて温度調節器を操作し、その後測定値T2に応じて温度調節システムを操作するように構成されている、温度調節システム。
【請求項3】
車両のキャビン内の温度調節システムを制御するための方法であって、
前記方法が、
第1の温度、T1を測定するための第1の温度センサ及び第2の温度、T2を測定するための第2の温度センサを提供することを含み、前記車両が水平面上にあるときに、前記第1の温度センサが前記第2の温度センサよりも実質的に高いレベルに配置されるように、前記第1及び第2の温度センサが前記キャビン内に配置されており、
代表温度、TRを計算することであって、ここでTRはT1及びT2を用いて計算され、
スタートアップ後の所定の期間に対して計算された値TRに応じて温度調節システムを操作し、その後測定値T2に応じて前記温度調節システムを操作すること
を含む方法。
【請求項4】
前記第1の温度センサが、車内に座るドライバの予測される頭の高さに実質的に配置されている請求項に記載のユニット。
【請求項5】
前記第1の温度センサが、前記車両のフロントガラスに取り付けられている請求項1又は4に記載のユニット。
【請求項6】
前記第1の温度センサが、前記車両のフロントガラスに取り付けられたフロントガラスミストセンサのキャビン気温センサである請求項5に記載のユニット。
【請求項7】
前記第2の温度センサが、前記車両内のダッシュボードに配置されているか及び/又は直射日光から保護されている請求項1、4〜6のいずれか1項に記載のユニット。
【請求項8】
TRが、T1とT2の加重平均を用いて計算される請求項1、4〜7のいずれか1項に記載のユニット。
【請求項9】
前記加重平均が(1−g)T1+(g)T2であり、ここでgは調整可能な定数である請求項8に記載のユニット。
【請求項10】
TRが、スタートアップからの経過時間とともに減少する関数を用いて計算される請求項1、4〜9のいずれか1項に記載のユニット。
【請求項11】
TRが、スタートアップからの経過時間とともに指数関数的に減少する関数を用いて計算され、TRが:
TR=(1−g)T1start+g(T2start)+((1−g)T1start+g(T2start)−T2)(e-t/τ−1)
で与えられ、ここで、T1startは、スタートアップ時のT1の値であり、T2startはスタートアップ時のT2の値であり、tは、スタートアップからの経過時間であり、τは時定数である、請求項10に記載のユニット。
【請求項12】
前記制御ユニットが以下の手順:
TRがT2+δ(ここでδは予め定められた定数)未満になるまで、計算された値TRに応じて前記温度調節システムを制御し、その後は測定値T2に応じて前記温度調節システムを操作すること
を実行するように構成される請求項10又は11に記載のユニット。
【請求項13】
前記制御ユニットが以下の手順:
前記温度調節システムが所定時間未満で直前に非アクティブにされる場合に、スタートアップ時の測定値T2に応じて前記温度調節システムを操作すること
を実行するように構成される請求項1、4〜12のいずれか1項に記載のユニット。
【請求項14】
前記制御ユニットが以下の手順:
1<T2+hである場合(ここで、hは予め定められた定数、随意には10℃である場合)に、スタートアップ時の測定値T2に応じて前記温度調節システムを操作すること
を実行するように構成される請求項1、4〜13のいずれか1項に記載のユニット。
【請求項15】
前記制御ユニットが、
第3の温度センサから第3の温度測定値T3を受信し、ここでT3は前記車両の外部の温度の測定値であり、
3が所定範囲外にある場合にのみ、随意には5℃より寒く30℃よりも暑い場合に、スタートアップ時の測定値T2に応じて温度調節システムを操作する、
ように構成される請求項1、4〜14のいずれか1項に記載のユニット。
【請求項16】
前記第1の温度センサが、車内に座るドライバの予測される頭の高さに実質的に配置されている請求項2に記載のシステム。
【請求項17】
前記第1の温度センサが、前記車両のフロントガラスに取り付けられている請求項2又は16に記載のシステム。
【請求項18】
前記第1の温度センサが、前記車両のフロントガラスに取り付けられたフロントガラスミストセンサのキャビン気温センサである請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記第2の温度センサが、前記車両内のダッシュボードに配置されているか及び/又は直射日光から保護されている請求項2、16〜18のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項20】
TRが、T1とT2の加重平均を用いて計算される請求項2、16〜19のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項21】
前記加重平均が(1−g)T1+(g)T2であり、ここでgは調整可能な定数である請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
TRが、スタートアップからの経過時間とともに減少する関数を用いて計算される請求項2、16〜21のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項23】
TRが、スタートアップからの経過時間とともに指数関数的に減少する関数を用いて計算され、TRが:
TR=(1−g)T1start+g(T2start)+((1−g)T1start+g(T2start)−T2)(e-t/τ−1)
で与えられ、ここで、T1startは、スタートアップ時のT1の値であり、T2startはスタートアップ時のT2の値であり、tは、スタートアップからの経過時間であり、τは時定数である、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記制御ユニットが以下の手順:
TRがT2+δ(ここでδは予め定められた定数)未満になるまで、計算された値TRに応じて前記温度調節システムを制御し、その後は測定値T2に応じて前記温度調節システムを操作すること
を実行するように構成される請求項22又は23に記載のシステム。
【請求項25】
前記制御ユニットが以下の手順:
前記温度調節システムが所定時間未満で直前に非アクティブにされる場合に、スタートアップ時の測定値T2に応じて前記温度調節システムを操作すること
を実行するように構成される請求項2、16〜24のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項26】
前記制御ユニットが以下の手順:
1<T2+hである場合(ここで、hは予め定められた定数、随意には10℃である場合)に、スタートアップ時の測定値T2に応じて前記温度調節システムを操作すること
を実行するように構成される請求項2、16〜25のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項27】
前記温度調節システムが、第3の温度センサを更に含み、前記制御ユニットが、第3の温度センサから第3の温度測定値T3を受信し、ここでT3は前記車両の外部の温度の測定値であり、T3が所定範囲外にある場合にのみ、随意には5℃より寒く30℃よりも暑い場合に、スタートアップ時の測定値T2に応じて温度調節システムを操作するように構成される、請求項2、16〜26のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項28】
随意には、前記制御ユニットが、前記車両のキャビンのHVACシステムの一部であり、更に随意には、前記第の温度センサが自動車内に設置された温度センサであり、前記第の温度センサが、前記車両のフロントガラスに取り付けられ、前記HVACシステムによって制御されたフロントガラスミストセンサの上方キャビン温度センサ(UCS)である請求項2、16〜27のいずれか1項に記載の温度調節システムを備える車両。
【請求項29】
前記第1の温度センサが、車内に座るドライバの予測される頭の高さに実質的に配置されている請求項3に記載の方法。
【請求項30】
前記第1の温度センサが、前記車両のフロントガラスに取り付けられている請求項3又は29に記載の方法。
【請求項31】
前記第1の温度センサが、前記車両のフロントガラスに取り付けられたフロントガラスミストセンサのキャビン気温センサである請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記第2の温度センサが、前記車両内のダッシュボードに配置されているか及び/又は直射日光から保護されている請求項3、29〜31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
TRが、T1とT2の加重平均を用いて計算される請求項3、29〜32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記加重平均が(1−g)T1+(g)T2であり、ここでgは調整可能な定数である請求項33に記載の方法。
【請求項35】
TRが、スタートアップからの経過時間とともに減少する関数を用いて計算される請求項3、29〜34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
TRが、スタートアップからの経過時間とともに指数関数的に減少する関数を用いて計算され、TRが:
TR=(1−g)T1start+g(T2start)+((1−g)T1start+g(T2start)−T2)(e-t/τ−1)
で与えられ、ここで、T1startは、スタートアップ時のT1の値であり、T2startはスタートアップ時のT2の値であり、tは、スタートアップからの経過時間であり、τは時定数である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
TRがT2+δ(ここでδは予め定められた定数)未満になるまで、計算された値TRに応じて前記温度調節システムを制御し、その後は測定値T2に応じて前記温度調節システムを操作すること
を更に含む請求項35又は36に記載の方法。
【請求項38】
前記温度調節システムが所定時間未満で直前に非アクティブにされる場合に、スタートアップ時の測定値T2に応じて前記温度調節システムを操作すること
を更に含む請求項3、29〜37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
1<T2+hである場合(ここで、hは予め定められた定数、随意には10℃である場合)に、スタートアップ時の測定値T2に応じて前記温度調節システムを操作すること
を更に含む請求項3、29〜38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
第3の温度センサを提供することと、
第3の温度センサから第3の温度測定値T3を受信することであって、ここでT3は前記車両の外部の温度の測定値であり、
3が所定範囲外にある場合にのみ、随意には5℃より寒く30℃よりも暑い場合に、スタートアップ時の測定値T2に応じて温度調節システムを操作すること
を更に含む請求項3、29〜39のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両内の温度調節システムを制御するための方法に関する。本発明の側面は、装置、制御ユニット、システム、方法及び車両に関する。
【背景技術】
【0002】
現代の車におけるHVAC(暖房、換気及び空調)システムは、車内で快適な環境を維持するために、センサからの情報に依存している。特に、HVACシステムは、ユーザの快適さのために空気を冷却するか暖めるかどうかを決めるために、車のキャビン内の気温を知っていなければならない。この情報は、典型的には、自動車内に設置された温度センサ(ICS)によって、提供される。
【0003】
図1は典型的な車のICS14の位置を示す。ICS14は、ICS14に周囲の空気の温度の不正確な読み取りを生じさせ得る直射日光から保護されるダッシュボードの下部に配置されている。
【0004】
しかしながら、気温がキャビン全体で変化し得るのに対し、ICS14は車両内の一点で温度を測定するだけである。その結果、キャビンの温度を調節する際にICS14に依存することがドライバの不快感に繋がる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、車両内の温度を制御するための改善されたシステム又は方法が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の側面は、添付の特許請求の範囲に記載の制御ユニット、方法及び車両を提供する。
【0007】
本発明の別の実施形態によれば、車両のキャビン内の温度を制御するために使用される制御ユニットが提供される。制御ユニットは、第1の温度センサから第1の温度測定値T1を受信し、第2の温度センサから第2の温度測定値T2を受信するように構成されている。車両が水平面上にあるときに、第1の温度センサが第2の温度センサよりも実質的に高いレベル(基準位置)に配置されている。制御ユニットは、代表温度、TRを計算し、ここでTRはT1及びT2を用いて計算され、スタートアップ後の所定の期間に対して計算された値TRに応じて温度調節手段を操作し、その後測定値T2に応じて温度調節システムを操作するように更に構成されている。
【0008】
本発明の更なる側面によれば、車両のキャビン内の温度を制御するために使用される温度調節システムが提供される。温度調節システムは、少なくとも1の温度調節手段と、第1の温度、T1を測定するための第1の温度センサと、第2の温度、T2を測定するための第2の温度センサと、第1の及び第2の温度センサからの測定値T1及びT2を受信するように構成された制御ユニットとを備える。温度センサは、車両が水平面上にあるときに、第1の温度センサが第2の温度センサよりも実質的に高いレベルに配置されるように、キャビン内に配置されている。制御ユニットは、代表温度、TRを計算し、ここでTRはT1及びT2を用いて計算され、スタートアップ後の所定の期間に対して計算された値TRに応じて温度調節手段を操作し、その後測定値T2に応じて温度調節システムを操作するように構成されている。
【0009】
本発明の更に別の側面によれば、車両のキャビン内の温度調節システムを制御するための方法が提供される。方法は、第1の温度センサ及び第2の温度センサを提供することを含み、車両が水平面上にあるとき、例えば、車両が水平面上で運転されているときに、第1の温度センサが第2の温度センサよりも実質的に高いレベルに配置されているように、温度センサが車両のキャビン内に配置されている。方法は、キャビンの推定温度であるTRを計算することであって、ここで、TRは、第1の温度センサによって測定された温度であるT1及び第2の温度センサによって測定された温度であるT2を用いて計算されることを更に含む。方法はその後、スタートアップ後の所定の期間に対して計算された値TRに応じて温度調節システムを操作し、その後測定値T2に応じて温度調節システムを操作することを含む。
【0010】
本発明の別の実施形態によれば、車両のキャビン内の温度を制御するために使用される制御ユニットが提供される。制御ユニットは、第1の温度センサから第1の温度測定値T1を受信し、第2の温度センサから第2の温度測定値T2を受信するように構成されている。車両が水平面上にあるときに、第1の温度センサが第2の温度センサよりも実質的に高いレベルに配置されている。制御ユニットは、代表温度、TRを計算し、ここでTRはT1及びT2を用いて計算され、計算された値TRに応じて温度調節手段を操作するように構成されている。制御ユニットは、スタートアップ後の所定の期間に対して計算された値TRに応じて温度調節手段を操作し、その後測定値T2に応じて温度調節システムを操作するように更に構成されることができる。
【0011】
本発明の更なる側面によれば、車両のキャビン内の温度を制御するために使用される温度調節システムが提供される。温度調節システムは、少なくとも1の温度調節手段と、第1の温度、T1を測定するための第1の温度センサと、第2の温度、T2を測定するための第2の温度センサと、第1の及び第2の温度センサからの測定値T1及びT2を受信するように構成された制御ユニットとを備える。車両が水平面上にあるときに、第1の温度センサが第2の温度センサよりも実質的に高いレベルに配置されているように、温度センサがキャビン内に配置されている。制御ユニットは、代表温度、TRを計算し、ここでTRはT1及びT2を用いて計算され、計算された値TRに応じて温度調節手段を操作するように構成されている。制御ユニットは、スタートアップ後の所定の期間に対して計算された値TRに応じて温度調節手段を操作し、その後測定値T2に応じて温度調節システムを操作するように更に構成されることができる。
【0012】
本発明の更に別の側面によれば、車両のキャビン内の温度調節システムを制御するための方法が提供される。方法は、第1の温度センサ及び第2の温度センサを提供することを含み、車両が水平面上にあるときに、例えば、車両が水平面上で運転されているときに、第1の温度センサが第2の温度センサよりも実質的に高いレベルに配置されているように温度センサが車両のキャビン内に配置されている。方法はキャビンの推定温度であるTRを計算することであって、ここで、TRは、第1の温度センサによって測定された温度であるT1及び第2の温度センサによって測定された温度であるT2を用いて計算されることを更に含む。方法は、その後、計算された値TRに応じて温度調節システムを制御することを含む。制御ユニットは、スタートアップ後の所定の期間に対して計算された値TRに応じて温度調節手段を操作し、その後測定値T2に応じて温度調節システムを操作するように更に構成されることができる。
【0013】
温度調節に対し、ICSに依存する従来の温度制御システムにおいては、フルオートエアコンシステムを装着した車両内で短期の温度制御障害が起こる場合がある。車のキャビン温度が、例えば一晩、低い周囲温度に冷却されており、その後車両が、例えば太陽が昇ることによって高い太陽の負荷に晒される場合、これが、上方キャビンが下方キャビンよりも暖かくなる状態を作り出す。この状態で、上方キャビンは、入室するのに暖かすぎるか或いは快適であり得るが、ICSを含む下方キャビンはまだ寒い場合がある。このシナリオでは、システムが、ICSを介して、暖房が必要であると検出し、ICSが分からない上方キャビンの熱のオーバーシュートをもたらす結果となる。
【0014】
頭の高さでの温度が、ユーザにとって多くの場合最も重要であるため、上方キャビンにおける熱のオーバーシュートが、上方キャビンと下方キャビンとの間の温度のバランスをとるように車内の空気循環が作用するまで、車が始動した後の最初の数分間にユーザにかなりの不快感を生じさせる場合がある。対照的に、本発明に係るシステム又は方法によれば、スタートアップ時の誤解を生じさせるセンサの読み取りを克服可能な温度調節システムのための方法を提供する。キャビンの上方領域の方がキャビンの下方領域よりも暑い場合、第1の温度センサが第2の温度センサよりも高い位置にあるため、T1の値がT2のそれよりも高い値となるであろう。TRを計算する場合にT1が考慮されるため、温度調節システムは、キャビン内に供給する空気の流れを決定するためにより現実的な値を有するものとなる。
【0015】
第1のセンサが、例えば、太陽への暴露によって、長期的に信頼できない測定値を与える場合があるため、本発明に係る方法は、所定時間が経過すると、第2のセンサのみに依存するように移行する。
【0016】
スタートアップとは、温度調節システムが動作し始める時点を意味する。これは典型的には、エンジンの点火時であるが、例えば、車両がドライバにとって出来るだけ迅速に快適となるようにするために温度調節システムが点火よりも速く作動する場合にはそれよりも先になる場合もある。
【0017】
温度調節システムは、HVAC (暖房、換気及び空調) システムであり得る。
【0018】
温度調節手段は、空気をキャビンに導くことが可能な送風機、ヒータ、冷却ユニット又はキャビンの温度を調節するための任意の他の適切な手段を備えることができる。
【0019】
温度制御システムは、追加センサを更に備えていてもよい。同様に、方法は、追加センサを提供することを更に含んでいてもよい。温度制御システムは、スタートアップ時及びスタートアップ直後に使用するための追加的な第1のセンサを備えていてもよい。温度制御システムは、温度調節システムの動作全体で使用するための追加的な第2のセンサを備えていても良い。同様に、方法は、スタートアップ時及びスタートアップ直後に使用するための追加的な第1のセンサを提供することを含んでいてもよい。方法は、温度調節システムの動作全体で使用するための追加的な第2のセンサを提供することを含んでいてもよい。
【0020】
第1の温度センサは、車内に座るドライバの予測される頭の高さに実質的に配置されることができる。これは、頭の高さでの気温がユーザにとって多くの場合最も重要であり、顕著に目立つため有利である。第1の温度センサは、車両のフロントガラスに取り付けられることができる。第1の温度センサは、他の用途を有していてもよい。例えば、第1の温度センサは、窓の曇り止めのような用途で使用される上方車温度センサであり得る。
【0021】
第1の温度センサとして、車両のフロントガラスに取り付けられたフロントガラスミストセンサの気温センサ等の既存の温度センサを使用することが可能である。これは、装着されなければならないセンサの数を低減させ、ひいては車両内における制御ユニットとセンサとの間に必要な多くの接続の数を低減させることができるため、有利であり得る。これは、車の何千もの生産を実行する上で、かなりの節約を示すことができる。これはまた、多くの車両が車内搭載センサ及び曇り止めセンサの両方を既に有しているため、多くの既存の車両に対して更なるセンサを装着させる必要なしに実行することができることを意味している。
【0022】
第2の温度センサは、ダッシュボード内に配置され得る。第2の温度センサが、例えばダッシュボードによって直射日光から保護されていてもよい。
【0023】
TRは、T1とT2の加重平均を用いて計算されることができる。この加重平均は以下のように定義される:(1−g)T1+(g)T2、ここでgは(0から1の間の値で)調整可能な定数である。
【0024】
TRは、スタートアップ時のT1とT2の値を用いて計算され得る。或いは、TRは、スタートアップ後のT1とT2の変化として再計算され得る。
【0025】
TRは、スタートアップからの経過時間とともに減少する関数を用いて計算され得る。更には、TRは、スタートアップからの経過時間とともに指数関数的に減少し得る。例えば、TRは、次式により与えられ得る:
TR=(1−g)T1start+g(T2start)+((1−g)T1start+g(T2start)−T2)(e-t/τ−1)
ここで、T1startは、スタートアップ時のT1の値であり、T2startはスタートアップ時のT2の値であり、tは、スタートアップからの経過時間であり、τは時定数である。
【0026】
代替的には、TRは、スタートアップからの経過時間とともに直線的に減少し得る。
【0027】
TRが、スタートアップからの経過時間とともに減少する関数を用いて計算される場合には、方法が、TR≦T2+δ(ここでδは予め定められた定数)まで、計算された値TRに応じて温度調節システムを制御し、その後は測定値T2に応じて温度調節システムを操作することを含み得る。δは、0.5℃の値を取ることができ、δは0であってもよく、又はδは、車両の設計者のニーズに応じて任意の他の値に設定され得る。温度センサのセンサ入力は、ソフトウェアの解像度(即ちソフトウェアが、それが必要なバイト数に基づいて処理することができる最小単位)を有することになるであろう。したがって、許容範囲(即ちδ)の値は、許容範囲が解像度よりも大きくなることを確実にするために有用であり得る。
【0028】
制御ユニットが以下の手順を実行するように構成されるか、方法が、温度調節システムが所定時間未満、例えば一時間未満で直前に非アクティブにされる場合に、スタートアップ時の測定値T2に応じて温度調節システムを操作することを含み得る。制御ユニットが以下の手順を実行するように構成されるか、方法が、車両が所定時間未満、例えば一時間未満で直前に非アクティブにされる場合に、スタートアップ時の測定値T2に応じて温度調節システムを操作することを含み得る。非アクティブとは、エンジンが停止し、車両が静止し、ドアがロックされることを意味する。しかしながら、エンジンが停止し、車両が静止し、そのドアがロックされることの1又は2つのみからなる他の定義もあり得る。
【0029】
制御ユニットが以下の手順を実行するように構成されるか、方法が、T1<T2+hである場合(ここで、hは予め定められた定数、例えば10℃である場合)に、スタートアップ時の測定値T2に応じて温度調節システムを操作することを含み得る。
【0030】
上述のユニットは、以下のように構成され得る:第3の温度センサから第3の温度測定値T3を受信すること(ここでT3は車両の外部の温度の測定値)と、T3が所定範囲外にある場合にのみ、随意には5℃より寒く30℃よりも暑い場合に、スタートアップ時の測定値T2に応じて温度調節システムを操作する。
【0031】
上述のシステムは更に、第3の温度センサを含むことができ、制御ユニットが、第3の温度センサから第3の温度測定値T3を受信し、ここでT3は車両の外部の温度の測定値であり、T3が所定範囲外にある場合にのみ、随意には5℃より寒く30℃よりも暑い場合に、スタートアップ時の測定値T2に応じて温度調節システムを操作するように構成され得る。
【0032】
上述の方法は、第3の温度センサを提供することと、第3の温度センサから第3の温度測定値T3を受信することと(ここでT3は車両の外部の温度の測定値であり)、T3が所定範囲外にある場合にのみ、随意には5℃より寒く30℃よりも暑い場合に、スタートアップ時の測定値T2に応じて温度調節システムを操作することを含み得る。
【0033】
本発明は、上述の温度調節システムを備える車両を備える。随意には、制御ユニットは、車両のキャビン又はHVACシステムの一部である。また随意には、第1の温度センサが自動車内に設置された温度センサ(ICS)であり、第2の温度センサが、車両のフロントガラスに取り付けられ、HVACシステムによって制御された自動曇り取りユニットの上方キャビン温度センサ(UCS)である。
【0034】
本発明の実施形態を、添付する図面を参照しながら例示の目的のみにおいて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1図1は、上方キャビンセンサ(UCS)と自動車内に設置された温度センサ(ICS)の典型的な位置を示す車の内部の写真である。
図2図2は、晴れた気候に短時間晒された後、スタートアップ直後に、異なるセンサによって測定された車内の温度を示すグラフである。
図3図3は、本発明の実施形態に係る方法の動作を示すフロー図である。
図4図4は、本発明の実施形態に係る方法における測定温度及び計算温度の例を示すグラフである。
図5図5は、スタートアップ後の二次モード又は通常モードにおけるHVAC操作におけるブロー動作の違いを表すグラフである。
図6図6は、スタートアップ後にHVACが通常モード(元々の頭部温度)で動作している場合と二次モード(修正された頭部温度)で動作している場合の頭の高さでの実際の温度を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
問題に対処するために、以下の特別な規範的なルーチンが考案され得る。
【0037】
図1に表されるように、車両10は、上方キャビン温度センサ(UCS)12及び下方キャビン温度センサ又は自動車内に設置された温度センサ(ICS)14を有する。UCS12は、フロントガラスの上部及び内部に配置されている。UCS12はミストセンサとして用いられ、それ自体はフロントガラスの温度、キャビン内の空気の温度及びキャビン内の湿度を測定する。このデータから、必要に応じて、車内のミストポイントが計算でき、フロントガラス曇り止めルーチンを呼び出すことができる。ICS14は、キャビン内の気温を測定し、キャビン温度の調節に用いられる.
【0038】
したがって、両者は、典型的には一体的なサーミスタを使用して、UCS12は既に上方キャビンの周囲温度を測定し、ICS14は、下方キャビンの周囲温度を測定する。
【0039】
図2は、晴れた気候に短時間晒された後、スタートアップ直後に、異なるセンサによって測定された車内の温度を示すグラフである。ラインラベル20は、UCS12によって測定された周囲の空気の温度を示す。ラインラベル22は、ICS14によって測定された周囲の空気の温度を示す。ラインラベル24は、ユーザの顔に向けられた通気孔によって提供された空気の温度を示す。最後に、ラインラベル26は、ユーザの頭の高さで経験される温度を示し、その目的のために(説明の目的のためだけであって、本発明の一部を形成するものではない)特別に提供されたセンサによって記録される。
【0040】
図2に見られるように、スタートアップ時、即ち0分で、UCS12によって測定された温度は、ICS14によって測定された温度よりもかなり高い。UCS12によって測定された温度は、車両が安定化に向けて動きつづけるにつれて、頭部温度に従わないことも分かる。これは、UCS12がまだ太陽に晒されており、それが典型的には晴れた日の非常に高い温度を示し続けるために、発生するものである。
【0041】
ここで取り扱われる快適性の問題は、上方キャビンの温度がICS14の周囲の空気の温度よりも高い場合に発生する。しかしながら、ICS14の測定をUCS12の測定に置き換えるだけでは、キャビン内の温度を管理することに関しては更なる問題を引き起こすであろう。図2に示される例では、UCS12によって測定された温度は、測定期間を通して、実際の頭部温度よりも著しく高くなっている。しかしながら、頭部温度とUCS12によって測定された温度との間の関係は、車両が晒された太陽光のレベルや周囲温度などの要因によって変化する。その結果、キャビン内の温度を調節するためにUCS12が使用されたとしても、ドライバに対して不快なように頭部温度が変化し得るであろう。
【0042】
図3は、本発明の実施形態において、HVAC制御システムがスタートアップ時にどのように動作するかを示すフロー図である。HVAC制御システムは、現在時刻30、点火が最後にオフにされた時刻32、外部センサによって測定された周囲温度34、ICS14によって測定された下方キャビン温度36及びUCS12によって測定された上方キャビン温度38を含む多くの入力を有する。この実施形態では、まず、ステップS1において、HVAC制御システムが駐車時間の長さをチェックする。駐車時間は、点火(IGN)がオフにされてからどのくらいの時間が経過したかである。駐車時間が一時間未満である場合には、その後、エンジンの点火が開始されたときには、HVACがステップS2における通常モードで動作し始める。このチェックは、短時間の停止の後に、本発明によって取り扱われる問題の誤った識別を回避するためのケアが必要であるために実行される。短時間の停止の間、対流が温度の逆転に至らせる場合があるが、それはユーザにとって重要な温度のアンバランスが発達するような時間でもないであろう。故に、このチェックは、例えば、ショッピング又は乗客を拾ったり降ろしたりする間などのように、短時間駐車されただけである場合に、HVACが二次モードへと入ることを防ぐものである。
【0043】
次に、ステップS3において、HVAC制御システムは、車の外部の周囲温度を見るためにチェックする。これは、サイドミラーに多くの場合搭載される外部温度センサを用いて行われる。温度が5℃から30℃の間にない場合には、その後、ステップS2においてHVACが通常モードで動作し始める。このチェックは、周囲温度が非常に高いか低い場合に、本発明が取り扱おうとする温度のアンバランスが生じにくいために、実行される。つまり、周囲温度が5℃未満である場合には、ユーザの頭部温度は実質的なものではないようであるが、気候が晴天であって周囲温度が30℃を超える場合には、ICS14によって測定された温度が周囲温度に対して非常に異なったものにはなりにくいであろう。
【0044】
次に、ステップS4において、HVAC制御システムが、UCS12により提供されたキャビンの空気の温度の測定が、ICS14により提供されたキャビンの空気の測定と有意に異なるかどうかを見るためにチェックする。説明された例においては、有意な差は、10℃であると定義される。有意な差が無ければ、ステップS2において、HVACは通常モードで操作し始める。それ以外の場合、HVACは二次モードで動作し始める。
【0045】
二次モードでは、HVAC制御システムがUCS12及びICS14によって測定された最初の空気の温度をとり、これらの値をTR値を計算するために使用する。まず、UCS12とICS14による測定値は、次式により与えられる加重平均に組み合わされる:

TRstart=(1−g)UCSstart+(g)ICSstart

この式では、TRstartは、スタートアップ時の加重平均の値であり、UCSstartは、スタートアップ時にUCS12によって測定された温度であり、ICSstartは、スタートアップ時にICS14によって測定された温度であり、gは調整可能な定数である。gの最高値は、センサの配置、太陽光への曝露、車両の形状等を含む多くの要因に依存する。そのため、gの最高値は、典型的には本発明が使用される車両の各設計のために実験的に検証される必要がある。
【0046】
TRはスタートアップ時の加重平均であるTRstartに関連するため、スタートアップからの経過時間とともに減少する指数関数により、TR値は時間とともに進化する。したがって、図3に示すグラフで示されるように、TRは時間の経過とともに低下する。
【0047】
この実施形態では、TRが以下の式によって定義される:

TR=TRstart+(TRstart−ICSstart)(e-t/τ−1)

この式では、tは、スタートアップから経過した時刻であり、τは時定数である。gと同様に、τの最高値は、様々な要因に依存し、そのためτの最高値は、典型的には本発明が使用される車両の各設計のために実験的に検証される必要がある。本発明の更なる実施形態では、τそれ自体が可変であってもよく、UCS12及びICS14によって測定された温度の値などのような測定値、周囲温度、光レベル等のような測定値に依存する。
【0048】
HVAC制御システムは、HVACの動作を決定するためにICS14とUCS12の測定値の間の中間温度であるTRを使用する。故に、TRがユーザの頭部の高さでの気温が高すぎることを示す場合に、HVACが冷たい空気の冷却ジェットを提供することができ、これがユーザのために車をより快適にさせる傾向にするであろう。ユーザの頭部の高さでの温度が許容可能であると判断された場合、HVACは温度を更に低下させるようにはしないであろう。
【0049】
図4は、UCS12及びICS14によって測定された典型的な値に対するTR結果の例を示している。計算されたTR値はライン40によって示されており、UCS12によって測定された温度はライン42によって示されており、ICS14によって測定された温度値はライン44によって示されている。エンジンはゼロ秒で開始され、次の500秒にわたってTRがICS14によって測定された温度に到達するまで指数関数的に減少している。
【0050】
図3に戻って、ステップS5において、HVACは、TRが閾値以下であると判断されるまで、二次モードで動作し続ける。本実施形態では、閾値は、ICS14によって測定された空気の温度プラス0.5℃として定義されている。その後、HVACは、通常モードで動作し始める。tが無限大に近づくと、TRはICSstartに近づく。しかしながら、ICS14によって測定された空気の温度は時間と共に変化するため、閾値も同様に時間と共に変化するであろう。このように、TRはある有限の時間内でICS14によって測定された空気の温度に到達する可能性があり、短時間の有限時間内で閾値にも到達するであろう。
【0051】
τの値と、ICS14とUCS12によって測定された値の間のギャップは、HVACが二次モードで操作する期間を判断するものである。
【0052】
UCS12に障害が発生するかUCS12が存在しない場合、図3に表されたルーチンが展開されずに、HVACは全体を通して通常モードで動作する。
【0053】
したがって、上記の本実施形態では、スタートアップ時にUCS12及びICS14によって測定された温度は、システムがオンになった後の期間に用いられるが、車両が所定の期間駐車された場合に限られている。
【0054】
図5は、時間0でスタートアップ後に通常モード及び二次モードで動作するHVACによって提供される空気容量と目標温度を示す。送風機の動作レベルを最大容量の割合として示す通常モードにおける送風機デューティが、ライン50で示されている。通常モードにおける送風機によって提供される空気の目標温度がライン52で示されている。二次モードにおける送風機の送風機デューティ及び目標温度がそれぞれライン54及び56で示されている。二次モードでは、HVACが、上方キャビンが下方キャビンよりも高い温度であると判断しているため、HVACが、まず、より多くの(即ち、より高いデューティ%の)空気と冷たい空気を、この期間中の任意の乗客及びドライバに対するより快適な環境を作り出すために提供していることが分かる。HVACは、目標温度が、HVACが生成可能な温度範囲外であるために、目標温度で空気を生成させる必要はない。ライン56のように、目標温度が、HVACが生成することのできる温度よりも低い場合、HVACは可能な限り低い温度、この場合は2℃で空気を供給するように構成される。
【0055】
図6は、車内における頭の高さでの実際の温度を示すことによる、図5に表された差の実際の結果を示す。通常モードにおける時間0でのスタートアップ後の頭部温度がライン60で示されている。二次モードにおける頭部温度がライン62で示されている。より多く、且つより冷たい空気が提供されるため、最終的に到達する温度は同じであるが、二次モードにおける頭部温度が、通常モードにおける頭部モードよりも速く低下する。
【0056】
上記実施形態では、困難な快適性制御の問題を管理するために、既存のセンサである、UCS12が新規な方法で用いられる。上述のように、UCS12がドライバに不快な状況をもたらし得ることに専ら依存することから、UCS12の限定の限定は理解され、回避されるであろう。
【0057】
しかしながら、上述の方法によれば、キャビンの温度を調節するのを助けるために車両内のキャビン内にある任意の2つのセンサを使用することができるため、本発明の実施形態は、UCS12及びICS14以外の他のセンサを利用することが可能である。
【0058】
この明細書の説明及び特許請求の範囲において、単語「備える(comprise)」、「含む(contain)」及びこれら単語の変形は、「含むがこれに限定されない(including but not limited to)」という意味であり、それらは他の部分、付加物、構成要素、数値又は工程等を除外することを意図するものではない。この明細書の説明及び特許請求の範囲において、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、単数形は複数形を包含するものである。特に、不定冠詞が用いられる場合、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、単数のみならず複数をも意図することが理解されるべきである。
【0059】
本発明の特定の側面、実施形態又は実施例と合わせて説明される特徴、数値、特性、化合物、化学的な構成成分又は群は、矛盾のない限りここに記載された任意の他の側面、実施形態又は実施例に適用可能であることが理解されるべきである。この明細書(添付の特許請求の範囲、要約及び図面を含む)及び/又は開示された任意の方法又はプロセスの全てのステップは、そのような特徴及び/又はステップが相互に排他的なものとなる組み合わせを除いて任意の組み合わせで組み合わせることができる。本発明は任意の上述の実施形態の詳細に制限されるものではない。本発明は、この明細書(添付の特許請求の範囲、要約及び図面を含む)に記載された特徴の任意な新規の1つ、又は任意の新規な組み合わせ又は開示された任意の方法又はプロセスの任意な新規の1つ又は任意の新規な組み合わせに拡張される。
【符号の説明】
【0060】
10…車両
12…UCS
14…ICS
30…現在時刻
32…時刻
34…周囲温度
36…下方キャビン温度
38…上方キャビン温度
図1
図2
図3
図4
図5
図6