特許第6051331号(P6051331)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6051331
(24)【登録日】2016年12月2日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】建築構造体
(51)【国際特許分類】
   E04C 2/40 20060101AFI20161219BHJP
   E04F 10/08 20060101ALI20161219BHJP
   E04B 7/02 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   E04C2/40 J
   E04F10/08
   E04B7/02
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-155118(P2016-155118)
(22)【出願日】2016年8月6日
【審査請求日】2016年9月12日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506245877
【氏名又は名称】株式会社ベクタークラフト
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】磯野 和広
(72)【発明者】
【氏名】磯野 和義
【審査官】 五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−248641(JP,A)
【文献】 米国特許第3886705(US,A)
【文献】 特許第3854626(JP,B1)
【文献】 特許第4916502(JP,B2)
【文献】 特許第4922366(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04C 2/40
E04F 10/08
E04B 7/02
E04B 1/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
庇、又は屋根を形成する建築構造体であって、
前記建築構造体は板材と、板材同士を連結する連結部材とを含み、
前記板材はxy座標系において広がりを持った平面視矩形状の中空の部材であり、x軸方向の両端部に前記連結部材を嵌合するための結合部を備え、
前記結合部は、略C型チャンネル状であり、該結合部の上部と下部の内壁に前記連結部材を嵌合する複数の凸条がy軸方向に設けられ、
前記連結部材は平面視矩形状で、x軸方向に幅を有し、y軸方向に延伸する中空の部材であり、上面中央部にy軸方向に沿って延設された凹部と、パッキン取り付け溝を備え、前記結合部の上下の凸条間に狭着されて、前記板材をx軸方向に連結し、
前記パッキン取り付け溝には前記連結部材と嵌合するパッキンが取り付けられている
ことを特徴とする建築構造体。
【請求項2】
前記板材及び前記連結部材の材料が、アルミ、アルミ合金、合成樹脂、木材、あるいはそれらの組み合わせであることを特徴とする、請求項1に記載の建築構造体。
【請求項3】
前記板材が、y軸方向に沿って前記上下の板材をz軸方向に結合するリブを備えていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の建築構造体。
【請求項4】
前記連結部材が、y軸方向に沿ったリブを備えていることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の建築構造体。
【請求項5】
前記板材のリブにビス止め穴が設けられていることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の建築構造体。
【請求項6】
前記板材の表面に凹凸が設けられていることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の建築構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建築構造体に関するものであり、より詳しくは、板材と連結部材からなる建築構造体であって、板材の端部の構造を簡素化でき、且つ板材の結合部の強度が高く、建物の外壁面より前方へ張り出すように設けられる庇だけでなく屋根も形成することができる建築構造体に関する。
この明細書において、建築構造体とは、庇材、屋根材、天井材、壁材等をいう。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の金属製の板材を連結することにより構成される、建物の外壁面より前方へ張り出すように設けられる庇が広く使用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、複数の板材を幅方向へ連結して庇板を形成することにより、張出し長さを自在に設定できかつ強度に優れ、作業者ひとりで容易に施工できる庇が開示されている。
特許文献1に開示されている庇は、側板材の内側端面に中間板材の側端面を突き合わせつつ係合部を互いに係合することで板材同士を連結するが、連結部材を使用しないため、板材の係合部の構造が複雑になり、歩留まりが悪くなる。さらに、係合部が薄い板状であるため、中間板材同士、あるいは中間板材と側板材との連結部が脆く、連結部に力が加わることで係合部が壊れ、庇が崩れてしまう虞がある。
さらに、特許文献1に記載の庇は、建物の外壁面より前方へ張り出すように設けられる庇であり、屋根等のその他の構造体を形成することができない。
【0004】
特許文献2には、中間型材を複数本結合させて構成される建物用庇が開示されている。
特許文献2に開示されている建物用庇の中間型材は、中間型材の側部に設けられた係合部同士を係合させた後、係合時に形成される孔部にピンを差し込むことで連結される。このように、連結部の補強部材としてピンを使用しているが、係合部の構造は複雑であり、歩留まりが悪くなる。また、係合部自体の構造は薄い板状であるため、ピンによる補強のみでは不十分であり、中間型材同士、あるいは中間型材と端部型材との連結部が脆く、連結部に力が加わることで係合部が壊れ、庇が崩れてしまう虞がある。
さらに、特許文献2に記載の建物用庇は、建物の外壁面より前方へ張り出すように設けられる庇であり、屋根等のその他の構造体を形成することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3854626号
【特許文献2】特許第4916502号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記したような従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、板材と連結部材からなる建築構造体であって、板材の端部の構造を簡素化でき、且つ板材の結合部の強度が高く、建物の外壁面より前方へ張り出すように設けられる庇だけでなく屋根も形成することができる、建築構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、庇、又は屋根を形成する建築構造体であって、前記建築構造体は板材と、板材同士を連結する連結部材とを含み、前記板材はxy座標系において広がりを持った平面視矩形状の中空の部材であり、x軸方向の両端部に前記連結部材を嵌合するための結合部を備え、前記結合部は、略C型チャンネル状であり、該結合部の上部と下部の内壁に前記連結部材を嵌合する複数の凸条がy軸方向に設けられ、前記連結部材は平面視矩形状で、x軸方向に幅を有し、y軸方向に延伸する中空の部材であり、上面中央部にy軸方向に沿って延設された凹部と、パッキン取り付け溝を備え、前記結合部の上下の凸条間に狭着されて、前記板材をx軸方向に連結し、前記パッキン取り付け溝には前記連結部材と嵌合するパッキンが取り付けられていることを特徴とする建築構造体に関する。
【0008】
請求項2に係る発明は、前記板材及び前記連結部材の材料が、アルミ、アルミ合金、合成樹脂、木材、あるいはそれらの組み合わせであることを特徴とする、請求項1に記載の建築構造体に関する。
【0009】
請求項3に係る発明は、前記板材が、y軸方向に沿って前記上下の板材をz軸方向に結合するリブを備えていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の建築構造体に関する。
【0010】
請求項4に係る発明は、前記連結部材が、y軸方向に沿ったリブを備えていることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の建築構造体に関する。
【0011】
請求項5に係る発明は、前記板材のリブにビス止め穴が設けられていることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の建築構造体に関する。
【0012】
請求項6に係る発明は、前記板材の表面に凹凸が設けられていることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の建築構造体に関する。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明によれば、建築構造体が板材と、板材同士を連結する連結部材とを含み、板材がxy座標系において広がりを持った平面視矩形状の中空の部材であり、x軸方向の両端部に連結部材を嵌合するための結合部を備え、結合部が、略C型チャンネル状であり、結合部の上部と下部の内壁に連結部材を嵌合する複数の凸条がy軸方向に設けられ、連結部材は平面視矩形状で、x軸方向に幅を有し、y軸方向に延伸する中空の部材であり、上面中央部にy軸方向に沿って延設された凹部と、パッキン取り付け溝を備え、結合部の上下の凸条間に狭着されて、板材をx軸方向に連結し、パッキン取り付け溝には連結部材と嵌合するパッキンが取り付けられているため、板材の端部(結合部)の構造を簡素化しつつ、連結部材と板材を強固に嵌め合わせることができ、板材同士を強固に連結することができ、建物の外壁面より前方へ張り出すように設けられる庇だけでなく屋根も形成することができる建築構造体を提供できる。
加えて、連結部材のパッキン取り付け溝にパッキンを取り付けることで、連結部材と板材をより強固に嵌め合わせることができ、建築構造体への雨水等の浸入を防ぐことができる。
【0014】
請求項2に係る発明によれば、板材及び連結部材の材料が、アルミ、アルミ合金、合成樹脂、木材、あるいはそれらの組み合わせであるため、強度が高く、軽量な建築構造体を提供できる。
【0015】
請求項3に係る発明によれば、板材がy軸方向に沿って上下の板材をz軸方向に結合するリブを備えているため、板材の軽量化を図りつつ板材の強度を高めることができる。
【0016】
請求項4に係る発明によれば、連結部材がy軸方向に沿ったリブを備えているため、連結部材の軽量化を図りつつ連結部材の強度を高めることができる。
【0017】
請求項5に係る発明によれば、板材のリブにビス止め穴が設けられているため、ビスを用いて板材に軒先、軒樋等のカバー材や化粧材を容易に取り付けることができる。
【0018】
請求項6に係る発明によれば、板材の表面に凹凸が設けられているため、板材同士の繋ぎ目(結合部)を見え難くすることができ、建築構造体の意匠が損なわれない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係る建築構造体の概略斜視図である。
図2】本発明に係る板材と連結部材の概略斜視図である。
図3】本発明に係る板材の正面図である。
図4】本発明に係る連結部材の正面図である。
図5】本発明に係る建築構造体によって形成された庇の一例を示す図である。
図6】本発明に係る建築構造体によって形成された屋根の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る建築構造体の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は本発明に係る建築構造体の概略斜視図、図2は本発明に係る板材と連結部材の概略斜視図、図3は本発明に係る板材の正面図、図4は本発明に係る連結部材の正面図である。
【0021】
本発明に係る建築構造体(1)は、板材(2)と連結部材(3)から構成される(図1図2参照)。
【0022】
板材(2)は、xy座標系において広がりを持った平面視矩形状の中空の部材であり、y軸方向(Y)に沿って上下の板材をz軸方向(Z)に結合するリブ(4)と、x軸方向(X)の両端部に連結部材(3)を嵌合するための結合部(5)と、ビス止め穴(6)を備えている(図1図3参照)。
尚、板材(2)の平面視の形状は、y軸方向(Y)よりもx軸方向(X)の方が長い矩形状あるいはx軸方向(X)よりもy軸方向(Y)の方が長い矩形状であってもよく、正方形状でもよい。
【0023】
板材(2)には、板材(2)の強度を高めるためにリブ(4)を設けることが望ましい。リブ(4)はy軸方向(Y)に沿って上下の板材(2)をz軸方向(Z)に結合するように設けることが望ましいが、例えば、x軸方向(X)に沿って上下の板材(2)をz軸方向(Z)に結合するように設けてもよい。
隣り合うリブ(4)間の距離は、板材(2)の強度を十分に高めるために30−60mmが好ましいが、これに限定されず、30mm未満であっても、60mmを超えてもよい。リブ(4)の厚みは、板材(2)の強度と軽量化を両立するという観点から、1.0mmから3.0mmが好ましいが、これに限定されず、1.0mm未満であっても、3.0mmを超えてもよい。
【0024】
リブ(4)には、ビス止め穴(6)が設けられている。ビス止め穴(6)は、軒先、軒樋等のカバー材や化粧材を、直接板材(2)に取り付ける際、あるいは下地材を介して取り付ける際に、これらを板材(2)に固定するために使用されるビスのビス止めとして設けられている。
ビス止め穴(6)は、板材(2)の全てのリブ(4)に設けてもよく、実際にビスが打ち込まれる位置にあるリブ(4)にだけ設けてもよい。
また、ビス止め穴(6)の穴径に規定はなく、打ち込むビスの外径に合わせて適宜変更することが望ましい。
【0025】
板材(2)の結合部(5)は、略C型チャンネル状であり、結合部(5)の上部と下部の内壁に連結部材(3)を挟持するための複数の凸条(7)がy軸方向(Y)に設けられている。
凸条(7)は、結合部(5)の構造を簡素化し、板材(2)を軽量化し、且つ連結部材(3)を強固に嵌め合わせるために、図3に示すような正面視略矩形状が望ましいが、これに限定されず、凸条(7)にアールを設ける、あるいは凸条(7)を設けずに結合部(5)の上下方向の内壁全体を厚くしてもよい。
また、連結部材(3)と結合部(5)をより強固に嵌め合わせるために、結合部(5)にパッキンを設けてもよい。パッキンの材質は、天然ゴム、人造ゴム、皮革、プラスチック、木綿、ガラス繊維、木材等の単独あるいはそれらを二種以上組み合わせたものなど、パッキンとして通常使用されるものであればいかなるものでもよい。
【0026】
凸条(7)の寸法は、連結部材(3)を狭持することができる寸法であることが望ましい。より具体的には、結合部(5)の上部と下部の内壁に設けられた凸条(7)間のz軸(Z)方向の間隙の幅が、連結部材(3)のz軸方向(Z)の幅よりも0.1mm〜0.5mm程度大きいことが望ましいが、これに限定されず、連結部材(3)を狭持することができるものであればいかなる幅であってもよい。
連結部材(3)と板材(2)の結合部(5)が強固に嵌め合わされることにより、板材(2)をx軸方向(X)に強固に連結することができる。
【0027】
連結部材(3)は、平面視矩形状で、x軸方向に幅を有し、y軸方向に延伸する中空の部材であり、y軸方向(Y)に沿ったリブ(8)と、上面中央部にy軸方向(Y)に沿って延設された凹部(9)と、パッキン取り付け溝(10)と、パッキン取り付け溝(10)に取り付けられたパッキン(11)を備えている(図1図2図4参照)。
連結部材(3)のx軸方向(X)の幅は、連結部材(3)を用いて板材(2)をx軸方向(X)に連結した際に、板材(2)の結合部(5)間に隙間ができない幅であることが好ましい。
連結部材(3)のy軸方向(Y)の長さは、板材(2)の連結強度の観点から、連結する板材(2)のy軸方向(Y)の長さと同一であることが好ましいが、これに限定されず、板材(2)の連結強度を高く保てる長さであれば、連結する板材(2)のy軸方向(Y)の長さより短くてもよい。
【0028】
リブ(8)は、連結部材(3)の強度を高めるために、図4に示すように、y軸方向(Y)に沿って、x軸方向(X)の幅中央に設けられることが好ましいが、これに限定されず、リブ(8)を複数個設けてもよく、x軸方向(X)に沿って設けてもよい。
リブ(8)の厚みは、連結部材(3)の強度と軽量化を両立するという観点から、1.0mmから3.0mmが好ましいが、これに限定されず、1.0mm未満であっても、3.0mmを超えてもよい。
【0029】
凹部(9)は、x軸方向(X)の幅中央部にパッキン取り付け溝(10)を備えている。パッキン取り付け溝(10)は、y軸方向(Y)に沿って延設されており、溝にパッキン(11)を取り付けることができる。パッキン取り付け溝(10)にパッキン(11)を取り付けた連結部材(3)を用いて板材(2)を連結することで、板材(2)の結合部(5)と連結部材(3)の嵌め合いがより強固になり、雨水等の液体が建築構造体(1)内部に侵入することを防止できる。
【0030】
パッキン(11)は、雨水等の液体が建築構造体(1)内部に侵入することを防止するために、y軸方向(Y)の長さが、連結する板材(2)のy軸方向(Y)の長さと同一であることが好ましい。しかし、これに限定されず、雨水等の液体が建築構造体(1)内部に侵入することを防止できる長さであれば、連結する板材(2)のy軸方向(Y)の長さよりも短くてもよい。
パッキン(11)の材質は、天然ゴム、人造ゴム、皮革、プラスチック、木綿、ガラス繊維、木材等の単独あるいはそれらを二種以上組み合わせたものなど、パッキンとして通常使用されるものであればいかなるものでもよい。
【0031】
板材(2)の表面に凹凸を設けることで、板材(2)同士の繋ぎ目(結合部)を見え難くすることができ、建築構造体の美観(意匠性)が損なわれない。尚、板材(2)同士の繋ぎ目(結合部)を見え難くすることができるものであれば、凹凸の高低差や幅はいかなるものであってもよい。
【0032】
板材(2)及び連結部材(3)の材質は、重量や強度の観点から、アルミニウムあるいはアルミニウム合金が好ましいが、これに限定されず、耐候性と機械強度を備えた合成樹脂や木材等でもよく、庇や屋根等の建築構造体として通常使用される材質であればいかなるものでもよい。また、板材(2)及び連結部材(3)は、板材(2)の上面がアルミニウムで、下面が木材である等、アルミニウム、アルミニウム合金、合成樹脂、あるいは木材等を二種以上組み合わせたものであってもよい。
【実施例】
【0033】
以下、本発明に係る建築構造体を使用した庇及び屋根について、実施例によってさらに詳細に説明する。しかし、本発明は実施例に限定されるものではない。本発明に係る建築構造体は、庇及び屋根以外にも、壁等の様々な建築物の形成に用いることができる。
【0034】
<建築構造体を用いた庇>
図5は、本発明に係る建築構造体(1)を使用した庇の一例を示す図である。
建築構造体(1)は、図1に示すように、板材(2)同士を、連結部材(3)を用いてx軸方向に連結したものである。
x軸方向の最も端に設置された板材(2)の建築構造体(1)の外側の結合部(5)には、サイドカバー等の側端部材(13)が取り付けられる。側端部材(13)は、サイドカバー、化粧材、化粧縁等の、庇の側端部材として通常使用されるものであればいかなるものでもよい。側端部材(13)の取り付け方法は、特に限定されないが、例えば、ビス等を用いて側端部材(13)と板材(2)の結合部(5)の上部を固定する等、庇の側端部材を固定するために通常使用されるものであればいかなる方法を用いてもよい。
建築構造体(1)のy軸方向(Y)の建造物の外側の末端には、軒先水切りや軒樋等の先端部材(14)が取り付けられる。先端部材(14)は、直接あるいは下地材を介して、ビス等を使用して建築構造体(1)に取り付けられる。取り付けに使用するビスはビス止め穴(6)に嵌め込まれる。
次に、建築構造体(1)を用いて庇を形成する方法の一例を示す。尚、以下に示す方法は一例であって、これに限定されるものではなく、庇の形成に当業者が通常採用しようとする方法はいかなる方法も適応可能である。
まず、庇を形成する箇所の軒側(壁側)に保持具(図示せず)を固定し、設置された保持具に板材(2)のy軸方向(Y)の一端を固定する。尚、保持具は、庇を形成するために当業者が通常採用しようとする保持具であれば、いかなるものを使用してもよい。
次に、保持具に固定した板材(2)の結合部(5)に連結部材(3)を嵌める。
続けて、別の板材(2)を、前記連結部材(3)と嵌め合わせ、保持具に固定した板材(2)とx軸方向(X)に隣接させて保持具に固定する。このように板材(2)を連結することで、建築構造体(1)を形成する。
建築構造体(1)が所望の幅になるまで、この板材(2)の連結を繰り返す。
建築構造体(1)が所望の幅となったら、側端部材(13)と先端部材(14)を建築構造体(1)に連結し、庇が形成される。
この組み立て方法では、板材(2)を1つずつ連結していくため、重機を使用せずに作業者だけで庇を組み立てることができる。
尚、重機を使用して庇を形成する場合は、先に板材(2)と連結部材(3)と側端部材(13)と先端部材(14)を連結させて形成した建築構造体(1)を、重機を使用して持ち上げ、保持具に固定し、庇を形成してもよい。
尚、側端部材(13)と先端部材(14)は、板材(2)と直接的又は間接的に連結して建築構造体(1)を形成できるものであれば、いかなるものを用いてもよい。
【0035】
<建築構造体を用いた屋根>
図6は、本発明に係る建築構造体(1)を用いて形成した屋根(15)の一例を示す図である。
建築構造体(1)は、図1に示すように、板材(2)同士を、連結部材(3)を用いてx軸方向に連結したものである。
x軸方向の最も端に設置された板材(2)の建築構造体(1)の外側の結合部(5)には、サイドカバー等の側端部材(16)が取り付けられる。側端部材(16)は、化粧材、化粧縁等の、屋根の側端部材として通常使用されるものであればいかなるものでもよい。側端部材(16)の取り付け方法は、特に限定されないが、例えば、ビス等を用いて側端部材(16)と板材(2)の結合部(5)の上部を固定する等、屋根の側端部材を固定するために通常使用されるものであればいかなる方法を用いてもよい。
建築構造体(1)のy軸方向(Y)の末端には、軒先水切りや軒樋等の先端部材(17)が取り付けられる。先端部材(17)は、直接あるいは下地材を介して、ビス等を使用して建築構造体(1)に取り付けられる。取り付けに使用するビスはビス止め穴(6)に嵌め込まれる。
次に、建築構造体(1)を用いて屋根を形成する方法の一例を示す。尚、以下に示す方法は一例であって、これに限定されるものではなく、屋根の形成に当業者が通常採用しようとする方法はいかなる方法も適応可能である。
まず、当業者が通常採用しようとする方法のいずれかを用いて予め設置した柱に保持具(図示せず)を固定し、設置された保持具に板材(2)のy軸方向(Y)の一端又は両端を固定する。尚、保持具は、屋根を形成するために当業者が通常採用しようとする保持具であれば、いかなるものを使用してもよい。
次に、保持具に固定した板材(2)の結合部(5)に連結部材(3)を嵌める。
続けて、別の板材(2)を、前記連結部材(3)と嵌め合わせ、保持具に固定した板材(2)とx軸方向(X)に隣接させて保持具に固定する。このように板材(2)を連結することで、建築構造体(1)を形成する。
建築構造体(1)が所望の幅になるまで、この板材(2)の連結を繰り返す。
建築構造体(1)が所望の幅となったら、側端部材(16)と先端部材(17)を建築構造体(1)に連結し、屋根が形成される。
この組み立て方法では、板材(2)を1つずつ連結していくため、重機を使用せずに作業者だけで屋根を組み立てることができる。
尚、重機を使用して屋根を形成する場合は、先に板材(2)と連結部材(3)と側端部材(16)と先端部材(17)を連結させて形成した建築構造体(1)を、重機を使用して持ち上げ、保持具に固定し、屋根を形成してもよい。
尚、側端部材(16)と先端部材(17)は、板材(2)と直接的又は間接的に連結して建築構造体(1)を形成できるものであれば、いかなるものを用いてもよい。
【0036】
本発明に係る建築構造体(1)は、連結部材(3)を用いて強固に嵌め合わせることで板材(2)を連結するため、板材(2)の連結部分の機械的強度が非常に強固なものとなる。そのため、本発明に係る建築構造体(1)は、従来の庇に用いられてきた板材と連結部材からなる構造体では形成することができなかった屋根を形成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明に係る建築構造体は、板材と連結部材からなり、板材の端部の構造を簡素化でき、且つ板材の結合部の強度が高いため、庇や屋根を形成するための建築構造体として好適に使用される。
【符号の説明】
【0038】
1 建築構造体
2 板材
3 連結部材
4 リブ(板材)
5 結合部
6 ビス止め穴
7 凸条
8 リブ(連結部材)
9 凹部
10 パッキン取り付け溝
11 パッキン
12 庇
13 側端部材(庇)
14 先端部材(庇)
15 屋根
16 側端部材(屋根)
17 先端部材(屋根)
X x軸方向
Y y軸方向
Z z軸方向
【要約】
【課題】板材と連結部材からなる建築構造体であって、板材の端部の構造を簡素化でき、且つ板材の結合部の強度が高く、建物の外壁面より前方へ張り出すように設けられる庇だけでなく屋根も形成することができる建築構造体を提供すること。
【解決手段】板材と、板材同士を連結する連結部材とを含み、板材はxy座標系において広がりを持った平面視矩形状の中空の部材であり、x軸方向の両端部に結合部を備え、結合部は略C型チャンネル状であり、結合部の上部と下部の内壁に複数の凸条が設けられ、連結部材は平面視矩形状で、x軸方向に幅を有し、y軸方向に延伸する中空の部材であり、上面中央部にy軸方向に沿って延設された凹部と、パッキン取り付け溝を備え、結合部の上下の凸条間に狭着されて、板材をx軸方向に連結し、パッキン取り付け溝にはパッキンが取り付けられていることを特徴とする建築構造体とする。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6