(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記親水性物質は2%水溶液の動的粘度が2.5mPa・s以上1500mPa・s以下であるか、1%水溶液の動的粘度が10mPa・s以上8000mPa・s以下であることを特徴とする請求項1に記載のヒートセット用オフセット印刷インキ組成物。
前記植物油の含有量が7質量%以上20質量%以下であり、前記有機溶剤の含有量が15質量%以上35質量%以下であり、前記体質顔料の含有量が0.1質量%以上20質量%以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のヒートセット用オフセット印刷インキ組成物。
前記植物油の含有量が20質量%以上30質量%以下であり、前記有機溶剤の含有量が10質量%以上25質量%以下であり、前記体質顔料の含有量が0.1質量%以上20質量%以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のヒートセット用オフセット印刷インキ組成物。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のようにエステル化した脂肪酸モノエステルを有機溶剤と併用してヒートセット用オフセット印刷インキに用いる場合、乾燥不良が発生しないよう、有機溶剤と同程度の温度で乾燥する、初留点が242℃以上、終点が278℃以下の脂肪酸モノエステルを用いる必要がある。このような脂肪酸モノエステルを印刷インキに用いると、NBR(アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム)などの素材で形成されている印刷機のゴムロールやブランケットが膨潤してしまい、連続印刷できなくなってしまう。
【0007】
また、特許文献2に開示されているような水性オフセット印刷インキ組成物を用いて印刷するには、湿し水を使用しない水なしオフセット印刷機を使用する必要がある。湿し水の供給が必要な平版オフセット印刷機で印刷した場合、湿し水に印刷インキが溶解し、非画線部に印刷インキが付着し、印刷物に汚れが発生して商品価値が無くなり損紙となる。リン酸塩などの汚れ防止剤を添加しても改善しない。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであって、従来から普及している、湿し水を用いるタイプの平版印刷機で用いることができ、従来品より有機溶剤の使用量を削減した場合であっても機上安定性、非画線部へのインキ付着防止性(以後耐汚れ性という)、ヒートセット性のバランスに優れたヒートセット用オフセット印刷インキ組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは鋭意検討の結果、親水性物質を添加するとともに、ワニスのトレランス値、植物油、有機溶剤、体質顔料の含有量を調整することで、従来よりも有機溶剤の使用量を削減した場合であっても機上安定性、耐汚れ性、ヒートセット性のバランスに優れたヒートセット用オフセット印刷インキ組成物ができることを見出し、本発明を完成させた。本発明は以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0010】
(適用例1)
本適用例に係るヒートセット用オフセット印刷インキ組成物は、ワニスと、植物油と、有機溶剤と、体質顔料と、水に添加すると増粘作用を示す水溶性の親水性物質とを含み、下記(1)−(5)の条件を満足することを特徴とする。
(1)ワニスのトレランス値が5(mL/3g)以上50(mL/3g)以下である。
(2)植物油の含有量が7質量%以上30質量%以下である。
(3)有機溶剤の含有量が10質量%以上35質量%以下である。
(4)体質顔料の含有量が0.1質量%以上20質量%以下である。
(5)親水性物質の含有量が0.01質量%以上3質量%以下である。
【0011】
(適用例2)
上記適用例に係るヒートセット用オフセット印刷インキ組成物は、さらに水を含み、その含有量がヒートセット用オフセット印刷インキ組成物の1質量%以上20質量%以下であることが好ましい。
【0012】
(適用例3)
上記適用例に係るヒートセット用オフセット印刷インキ組成物において、親水性物質は2質量%水溶液の粘度が2.5mPa・s以上1500mPa・s以下であるか、1質量%水溶液の粘度が10mPa・s以上8000mPa・s以下であることが好ましい。
(適用例4)
上記適用例に係るヒートセット用オフセット印刷インキ組成物において、親水性物質はエーテル化度が0.45以上のカルボキシメチルセルロースナトリウムであることが好ましい。
【0013】
(適用例5)
上記適用例に係るヒートセット用オフセット印刷インキ組成物において、植物油の含有量が7質量%以上20質量%以下であり、有機溶剤の含有量が15質量%以上35質量%以下であり、体質顔料の含有量が0.1質量%以上20質量%以下であることが好ましい。
【0014】
(適用例6)
上記適用例に係るヒートセット用オフセット印刷インキ組成物において、植物油の含有量が20質量%以上30質量%以下であり、有機溶剤の含有量が10質量%以上25質量%以下であり、体質顔料の含有量が0.1質量%以上20質量%以下であることが好ましい。
【0015】
(適用例7)
上記適用例に係るヒートセット用オフセット印刷インキ組成物は、無機酸、無機酸の塩、有機酸、有機酸の塩の含有量がヒートセット用オフセット印刷インキ組成物の0.2質量%以下であることが好ましい。
【0016】
(適用例8)
上記適用例に係るヒートセット用オフセット印刷インキ組成物は、非水溶性乳化剤の含有量が1質量%未満であることが好ましい。
(適用例9)
本適用例に係るヒートセット用オフセット印刷インキ組成物の製造方法は、ワニスと、植物油と、有機溶剤と、体質顔料と、水に添加すると増粘作用を示す水溶性の親水性物質とを含み、下記(1)−(5)の条件を満足するヒートセット用オフセット印刷インキ組成物の製造方法であって、親水性物質を水に溶解させて添加することを特徴とする。
(1)ワニスのトレランス値が5(mL/3g)以上50(mL/3g)以下である。
(2)植物油の含有量が7質量%以上30質量%以下である。
(3)有機溶剤の含有量が10質量%以上35質量%以下である。
(4)体質顔料の含有量が0.1質量%以上20質量%以下である。
(5)親水性物質の含有量が0.01質量%以上3質量%以下である。
【0017】
(適用例10)
本適用例に係る印刷物は、上記適用例に係るヒートセット用オフセット印刷インキ組成物を用いて印刷されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、従来から普及している、湿し水を用いるタイプの平版印刷機で用いることができ、従来品より有機溶剤の使用量を削減した場合であっても機上安定性、耐汚れ性、ヒートセット性のバランスに優れたヒートセット用オフセット印刷インキ組成物とすることができる。また、本発明のヒートセット用オフセット印刷インキ組成物を用いて印刷した印刷物は、環境負荷が低減された印刷物とすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<ヒートセット用オフセット印刷インキ組成物>
本発明のヒートセット用オフセット印刷インキ組成物は、ワニスと、植物油と、有機溶剤と、体質顔料と、水に添加すると増粘作用を示す水溶性の親水性物質とを含み、下記(1)−(5)の条件を満足することを特徴とする。
(1)ワニスのトレランス値が5(mL/3g)以上50(mL/3g)以下である。
(2)植物油の含有量が7質量%以上30質量%以下である。
(3)有機溶剤の含有量が10質量%以上35質量%以下である。
(4)体質顔料の含有量が0.1質量%以上20質量%以下である。
(5)親水性物質の含有量が0.01質量%以上3質量%以下である。
以下、本発明のヒートセット用オフセット印刷インキ組成物について詳述する。また、簡便のため以下ではヒートセット用オフセット印刷インキ組成物について、単に印刷インキ組成物ともいう。
【0020】
(顔料)
本発明の印刷インキ組成物に用いる着色顔料としては特に限定されず、種々の有機顔料、無機顔料を用いることができる。例えば、イエロー顔料としては、ジスアゾイエロー(ピグメントイエロー12、ピグメントイエロー13、ピグメントイエロー17、ピグメントイエロー1)、ハンザイエロー等が挙げられ、マゼンタ顔料としては、ブリリアントカーミン6B、レーキレッドC、ウォッチングレッド等が挙げられる。シアン顔料としては、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、アルカリブルー等が挙げられ、ブラック顔料としてはファーネスカーボンブラック、チャンネルブラックなどのカーボンブラック、アニリンブラック等が挙げられる。
【0021】
(ワニス)
本発明の印刷インキ組成物に用いるワニスは少なくともロジン変性フェノール樹脂を含有し、n−ヘプタントレランス値が5(mL/3g)以上50(mL/3g)以下である。
トレランス値は一般的な方法で測定することができる。例えば、ワニス3gを25℃に保ちながら、n−ヘプタンを滴下してワニスと混合撹拌し、完全に白濁した時のn−へプタンの添加量(mL)がn−ヘプタントレランスである(単位はmL/3g)。
【0022】
ワニスのトレランス値を上記の範囲とすることにより、後述する親水性物質を含む印刷インキ組成物の機上安定性やヒートセット性を好適なものとすることができる。ワニスのトレランス値が5未満であると、機上安定性が悪化することがある。ワニスのトレランス値が50を超えると機上安定性が向上する一方、耐汚れ性やヒートセット性が低下する。
【0023】
本発明の印刷インキ組成物に用いるワニスは公知の方法で得ることができ、例えばロジン変性フェノール樹脂に後述する植物油、有機溶剤を添加して加熱溶解させ、植物油成分とのエステル交換反応および/またはアルミキレーション反応を行う方法が挙げられる。
ロジン変性フェノール樹脂の分子量を調整したり、他の樹脂を併用したりすることでトレランス値を調整することができる。ロジン変性フェノール樹脂と併用可能な他の樹脂としては、石油樹脂、アルキッド樹脂、ロジン変性アルキッド樹脂、石油樹脂変性アルキッド樹脂、ロジンエステル樹脂等が挙げられる。また、ワニスの製造に用いる植物油成分の種類や、エステル交換反応の温度を変更することによってもワニスのトレランス値を調整することができる。
【0024】
(溶剤)
溶剤は、植物油やそのエステル、植物油を原料とするエーテル、有機溶剤など従来公知のものを用いることができる。本明細書では、植物油やそのエステル、植物油を原料とするエーテルを総称して単に植物油ともいう。
植物油は、従来公知のものを用いることができ、特に制限はない。大豆油、亜麻仁油、米油、キリ油、ひまし油、脱水ひまし油、コーン油、サフラワー油、南洋油桐油、カノール油等の油類及びこれらの熱重合油、酸化重合油が挙げられる。
【0025】
また、アマニ油脂肪酸メチルエステル、アマニ油脂肪酸エチルエステル、アマニ油脂肪酸プロピルエステル、アマニ油脂肪酸ブチルエステル、大豆油脂肪酸メチルエステル、大豆油脂肪酸エチルエステル、大豆油脂肪酸プロピルエステル、大豆油脂肪酸ブチルエステル、パーム油脂肪酸メチルエステル、パーム油脂肪酸エチルエステル、パーム油脂肪酸プロピルエステル、パーム油脂肪酸ブチルエステル、ひまし油脂肪酸メチルエステル、ひまし油脂肪酸エチルエステル、ひまし油脂肪酸プロピルエステル、ひまし油脂肪酸ブチルエステル、南洋油桐油のエステル、ラウリン酸イソブチルエステル、ラウリン酸n-ブチルエステル等の植物油脂肪酸エステルも同様に用いることができるが、印刷機のゴムロールやブランケットが膨潤しにくいものが好ましい。
【0026】
植物油を原料とするエーテルとして、ジ−n−オクチルエーテル、ジ−ノニルエーテル、ジヘキシルエーテル、ノニルヘキシルエーテル、ノニルブチルエーテル、ジヘプチルエーテル、ジデシルエーテル、ノニルオクチルエーテル等を用いてもよいが、印刷機のゴムロールやブランケットが膨潤しにくいものが好ましい。
【0027】
植物油成分として、再生植物油を使用することもできる。再生植物油とは、調理等に使用された油を回収し、再生処理された植物油のことである。再生植物油としては、含水率を0.3質量%以下、ヨウ素価を90以上、酸価を3以下として再生処理した油が好ましく、より好ましくはヨウ素価100以上である。含水率を0.3質量%以下にすることにより水分に含まれる塩分等のインキの乳化挙動に影響を与える不純物を除去することが可能となり、ヨウ素価を90以上として再生することにより、乾燥性、すなわち酸化重合性の良いものとすることが可能となり、さらに酸価が3以下の植物油を選別して再生することにより、インキの過乳化を抑制することが可能となる。回収植物油の再生処理方法としては、濾過、静置による沈殿物の除去、および活性白土等による脱色といった方法が例示される。
【0028】
本発明の印刷インキ組成物における植物油(植物油やそのエステル、植物油を原料とするエーテルの総称として)の含有量は、7質量%以上30質量%以下である。植物油の含有量を上記の範囲とすることにより、機上安定性とヒートセット性を良好なものとすることができる。
【0029】
本発明に用いられる有機溶剤は、従来公知のものを用いることができ、JX日鉱日石エネルギー社製のAFソルベント4号、5号、6号、7号、ISUケミカルCo.LTD製のDSOL240、260SP、260C等が挙げられる。有機溶剤のJIS K2254記載の蒸留試験によって得られる初留点が230℃以上であり、終点が320℃以下であることが好ましい。
本発明の印刷インキ組成物における有機溶剤の含有量は、10質量%以上35質量%以下である。これにより、機上安定性とヒートセット性を両立させることができる。
【0030】
また、本発明では機上安定性やヒートセット性を良好なものとするため、印刷インキ組成物に含まれる溶剤のうち、JIS K2254記載の蒸留試験によって得られる初留点が230℃以上かつ終点が290℃以下の溶剤の割合を10質量%以上90質量%以下とすることが好ましく、15質量%以上90質量%以下とすることがより好ましい。
【0031】
(体質顔料)
本発明の印刷インキ組成物に用いられる体質顔料としては、特に限定されず、ろう石クレー等のクレー、タルク、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、シリカ、ベントナイト、酸化チタン等、公知のものを1種類または2種類以上用いることができる。これらの体質顔料は、ロジン酸などにより表面処理されていてもよいし、未処理であってもよい。また、一次粒径が30nm以上150nm以下であるものが好ましい。
体質顔料を含むことによりヒートセット性を向上させることができる。本発明の印刷インキ組成物において体質顔料を過剰に添加すると、印刷中に印刷インキ組成物の過乳化を誘発し、耐汚れ性が低下し、また機上安定性が低下するため体質顔料の含有量は印刷インキ組成物の0.1質量%以上20質量%以下であることが好ましい。
【0032】
(親水性物質)
本発明の印刷インキ組成物は、固形分換算で印刷インキ組成物の0.01質量%以上3質量%以下の親水性物質を含む。本発明に用いられる親水性物質は、水に添加すると増粘作用を示す、いわゆる増粘剤としての機能を備え、水には溶解するがヒートセット用印刷インキ組成物に通常用いられるような植物油や高沸点の石油系炭化水素溶剤には溶解しない親水性の物質である。その中でも、水への少量添加で増粘効果を示すものを用いることで印刷インキ組成物の保存安定性が高くなるため好ましい。このような親水性物質を含むことにより、印刷インキ組成物が水を保持しやすくなり、印刷が進むにつれて非画線部に発生する印刷インキ組成物の付着を防止することができる。一方、水を吸収してゲル状となるものの、実質的に水に溶解しない非水溶性の物質は、印刷版の非画線部との親和性が弱いため、十分な汚れ防止効果を得ることができない。
【0033】
親水性物質の含有量が印刷インキ組成物の3質量%を超えると印刷中に印刷インキ組成物に過剰の水分が取り込まれやすくなり、印刷機のローラー間や、ブランケットから版へのインキの転移性が低下し汚れの原因となったり、濃度ムラ、カスレ等の品質不良が起きやすくなる。また、親水性物質の含有量が0.01質量%未満であると、適切に水を保持することができない。
【0034】
親水性物質は、水を吸収(保水)した状態または水に溶解した状態で印刷インキ組成物に添加されることが好ましい。このような状態で親水性物質を添加し、ワニスのトレランス値や植物油、有機溶剤、体質顔料の添加量を適切な値に調整すると、親水性物質を含まない場合に比べてワニスの使用量を抑制することができる。ワニスには有機溶剤が含まれているため、ワニスの使用量を抑制することは有機溶剤の使用量を抑制することでもある。
【0035】
親水性物質と共に印刷インキ組成物に添加される水の量は、印刷インキ組成物の1質量%以上20質量%以下とすることが好ましい。これにより、印刷適性や保存安定性を良好なものとすることができる。水の含有量が1質量%未満の場合は印刷適性効果が小さく、20質量%を超えると保存安定性が悪化する。1質量%以上15質量%以下であることがさらに好ましい。
【0036】
印刷インキ組成物に添加される水は、工業用水でもよいが、保存安定性の点から物理的、化学的に殺菌処理や滅菌処理をされたものであることが好ましい。物理的な殺菌、滅菌方法としては、加熱殺菌、紫外線等による電磁波殺菌、オゾン処理、ろ過滅菌等が挙げられる。化学的な殺菌、滅菌方法としては、次亜塩素酸ナトリウム等の塩素化合物による酸化剤殺菌が挙げられる。
【0037】
本発明の印刷インキ組成物に用いられる親水性物質は、蒸留水に溶解した2質量%水溶液の粘度が2.5mPa・s以上1500mPa・s以下であるか、1質量%水溶液の粘度が10mPa・s以上8000mPa・s以下であることが好ましい。このような親水性物質を用いることにより、印刷適性やインキの保存安定性の悪化を防ぐことができる。
親水性物質の1質量%水溶液の粘度は10mPa・s以上4000mPa・s以下であることがより好ましく、10mPa・s以上2000mPa・s以下であることがさらに好ましい。
【0038】
親水性物質の水溶液の粘度はJIS K7117−1に記載のブルックフィールド形回転粘度計(以下B形回転粘度計とも記載する)を用いて測定する。このタイプの粘度計として東京計器株式会社製B形回転粘度計(型式BM)が挙げられる。
具体的な測定手順は次の通りである。
1)親水性物質の水分量の測定
親水性物質の試料1〜2gを秤量ビンに精密にはかりとり、105±2℃の定温乾燥機中において4時間乾燥し、デシケーター中で冷却したのち重さを量り、その減量から次の式によって水分量(%)を算出する。
水分量(%)=(減量(g)/試料(g))×100
2)水溶液の調整
共栓付300mL(ミリリットル)の三角フラスコに、濃度2質量%とする場合は約4.4g、濃度1質量%の場合は約2.2gの試料を精密にはかりとり、次式で求めた蒸留水を加えて溶解する。
2%水溶液を作る場合:
加える蒸留水(g)=試料(g)×(98−水分量(%))/2
1%水溶液を作る場合:
加える蒸留水(g)=試料(g)×(99−水分量(%))
3)測定
前記の水溶液を一夜間放置後、マグネチックスターラーで約5分間かきまぜ、完全な溶液とする。
次にその溶液を口径約45mm、高さ約145mmのフタつき容器に移す。
次にその容器を25±0.2℃に設定した恒温槽に30分間入れる。
溶液が25℃になればガラス棒でゆるくかきまぜて、B形回転粘度計の適当なローター(スピンドル)およびガードをとり付け、ローターを回転させてから3分後の目盛りを読み取る。ローターの回転数は粘度により、毎分30回転又は60回転とする。
粘度は次式により求める。
粘度(mPa・s)=読み取り目盛×係数
前式の係数は使用したローターの番号及び回転数に基づき表1から求める。
【0040】
このような親水性物質としては、セルロース系化合物、多糖類、デンプン系化合物、アルギン酸系化合部、アクリル系化合物、ビニル系化合物等が挙げられる。
セルロース系化合物としては、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、これらセルロースにカチオン化剤を付加したカチオン化セルロース等が例示される。
多糖類としては、アラビアガム、カラギーナン、グアガム、ペクチン、トラガント、サクラン、スピルラン、グルコマンナン、アミロース、ウェランガム(ジェランガム)、タラガム(スピノガム)、ローカストビーンガム、プルラン、ダイユータンガム、キサンタンガム、コンドロイチン硫酸ナトリウム等が例示される。
デンプン系化合物としては、リン酸化デンプンが挙げられる。
アルギン酸系化合物としては、アルギン酸ナトリウムが挙げられる。
アクリル系化合物としては、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸アミド、アクリルアミド/アクリレート共重合体が例示される。
ビニル系化合物では、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン/ビニルアルコール共重合体等が例示される。
その他の化合物として、ポリエチレングリコール、カチオン化グアガム、ヒアルロン酸ナトリウム等を用いてもよい。
中でも、本発明の印刷インキ組成物に用いる親水性物質としては水溶性のセルロース誘導体を用いることが好ましく、特にカルボキシメチルセルロースナトリウムを用いることが好ましい。
【0041】
親水性物資としてカルボキシメチルセルロースナトリウムを用いる場合には、エーテル化度が0.45以上のカルボキシメチルセルロースナトリウムであることが特に好ましい。このようなカルボキシメチルセルロースナトリウムは、非画線部への印刷インキ組成物の付着を防止する効果が高い。エーテル化度が0.45より小さいと水溶性が低下し耐汚れ性が低下するおそれがある。上限については特に制限はないが、好ましくは1.45以下であり、より好ましくは1.00以下である。
【0042】
ここでエーテル化度とは、無水グルコース1単位当たりのカルボキシメチル基の数をいう。無水グルコース1単位当たりのカルボキシメチル基の数が1個の場合、エーテル化度は1.0である。
エーテル化度の測定方法の一例は次の通りである。
試料(無水物)0.5〜0.7gを精密にはかり、ろ紙に包んで磁製ルツボ中で灰化する。冷却したのち、これを500mL(ミリリットル)ビーカーに移し、水を約250mL、さらにピペットで0.05モル/L硫酸35mLを加えて30分間煮沸する。
これを冷却し、フェノールフタレイン指示薬を加えて、過剰の酸を0.1モル/L水酸化カリウムで逆滴定して、次の式によってエーテル化度を算出する。
A=(af−bg)/試料(無水物)(g)−アルカリ度(または+酸度)
エーテル化度=162×A/(10000−80A)
(記号の説明)
A:試料1g中の結合アルカリに消費された0.05モル/L硫酸のmL
a:0.05モル/L硫酸の使用mL
f:0.05モル/L硫酸の力価
b:0.1モル/L水酸化カリウムの滴定mL
g:0.1モル/L水酸化カリウムの力価
162:グルコースの分子量
80:CH2COONa−Hの分子量
【0043】
アルカリ度は次のようにして測定する。
試料(無水物)約1gを300mL三角フラスコに精密にはかりとり、水を約200mL加えて溶かす。
これに0.05モル/L硫酸5mLをピペットで加え、10分間煮沸したのち冷却して、フェノールフタレイン指示薬を加え、0.1モル/L水酸化カリウムで滴定する(SmL)。同時に空試験を行い(BmL)、次の式によって算出する。
アルカリ度=(B−S)h/試料無水物(g)
h:0.1モル/L水酸化カリウムの力価
なお(B−S)hの値が負のときにはアルカリ度を酸度と読み替える。
【0044】
(助剤)
本発明の印刷インキ組成物は、金属ドライヤー、粘度調節のためのコンパウンド、ワックス、乾燥防止剤、消泡剤、乳化適性を調整するための界面活性剤(乳化剤)、防腐剤及び殺菌剤等が例示される。
【0045】
印刷インキ組成物には、リン酸類やその塩、クエン酸やその塩といった酸類やその塩がしばしば添加される。このような無機酸、有機酸類やその塩を添加する目的の一つは印刷版の非画線部への印刷インキ組成物の付着を防止することにある。しかしながら本発明の印刷インキ組成物にこのような酸類やその塩類を添加すると、親水性物質の水への溶解性が低下して不溶化し、保存安定性や耐汚れ性が低下するおそれがある。このため本発明の印刷インキ組成物における無機酸、有機酸類やその塩の含有量の合計は印刷インキ組成物の0.2質量%以下とすることが好ましく、0.1質量%以下とすることがより好ましく、0.05質量%以下とすることがさらに好ましい。これにより上記のような不具合を防止することができる。
【0046】
なお、上述した酸類の具体例としては、リン酸、ピロリン酸、メタリン酸、ヘキサメタリン酸、ポリリン酸等のリン酸類、これらリン酸類のアンモニウム塩、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属二水素塩、クエン酸、クエン酸のアンモニウム塩、アルカリ金属塩、マグネシウム塩などが挙げられる。
【0047】
乳化適性を調節するために、上述した親水性物質とともに界面活性剤(乳化剤)を用いてもよい。乳化剤としては水溶性、非水溶性のいずれであっても用いることができこれらを併用してもよいが、非水溶性乳化剤を用いる場合はその含有量を平版印刷インキ組成物の1質量%未満とすることが好ましく、0.6質量%以下とすることがより好ましい。印刷時に、非水溶性乳化剤は水溶性乳化剤と異なり湿し水に溶出することなく印刷インキ中に残存する。水溶性多糖類と非水溶性乳化剤が印刷インキ組成物中で共存すると、湿し水を過剰に取り込んで印刷インキ組成物が過乳化し、水棒に絡んで湿し水の転移を阻害するなどして耐汚れ性が低下するおそれがある。非水溶性の界面活性剤(乳化剤)の含有量を上記の範囲とすることにより、このような不具合を防止することができる。
【0048】
水溶性の乳化剤としては、従来公知のものを用いることができ特に限定されないが、一例としてトリデカノール、2−ヘキシルオクタノール、2−ヘキシルデカノール、2−オクチルデカノール、又はヘキシルジグリコールなどが挙げられる。
非水溶性の乳化剤の具体例としては、モノオレイン酸ソルビタン、モノオレイン酸グリセリン、ポリオキシエチレンクミルフェニルエーテル等が例示される。このような乳化剤は市販品としても入手可能であり、例えば花王製レオドールSP−010V、レオドールSP−030Vや、日本乳化剤社製ニューコールCMP−1が挙げられる。
【0049】
(形態)
本発明のヒートセット用印刷インキ組成物の好ましい態様の一例として、植物油の含有量が7質量%以上20質量%以下、有機溶剤の含有量が15質量%以上35質量%以下、体質顔料の含有量が0.1質量%以上20質量%以下、親水性物質の含有量が0.01質量%以上3質量%以下、水の含有量が1質量%以上20質量%以下のヒートセット用印刷インキ組成物が挙げられる。このようなヒートセット用印刷インキ組成物はヒートセット性が特に優れたものとなる。
【0050】
他の好ましい態様の一例として、植物油の含有量が20質量%以上30質量%以下、有機溶剤の含有量が10質量%以上25質量%以下、体質顔料の含有量が0.1質量%以上20質量%以下、親水性物質の含有量が0.01質量%以上3質量%以下、水の含有量が1質量%以上20質量%以下のヒートセット用印刷インキ組成物が挙げられる。このようなヒートセット用印刷インキ組成物は、VOC成分が少ないためより環境負荷が少なく、かつ輪転印刷に好適な特性を備えたものとなる。
【0051】
<製造方法>
本発明の印刷インキ組成物は、例えば、本発明のロジン変性フェノール樹脂を含む樹脂、植物油、石油系溶剤等を用いて調整したワニスに、着色顔料、体質顔料、溶剤および他の添加剤を添加し、攪拌機で充分にプレミキシングを行なった後、ショットミル、ロールミル等で練肉を行う。練肉後、ワニス、石油系溶剤、植物油、親水性物質、その他ワックス、酸化防止剤、乳化剤等の助剤を添加し、充分に攪拌混合して製造する。親水性物質は、予めミキサーなどを用いて水と均一になるまで攪拌して水溶液としてから添加することが好ましい。
これらの原料は印刷インキ組成物に必要とされる粘度や流動性に合わせて使用量を調整する。また、これらの原料の添加時期は固定されたものではなく、混合状態に基づいて適切に調整される。
【0052】
<印刷物、印刷方法>
本発明の印刷物は、上述したような印刷インキ組成物を用いて主に輪転印刷により印刷させて得られる。基材としては特に制限はなく、従来公知のものを用いることができる。
【実施例】
【0053】
以下、実施例と比較例により本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下において部、%は特に断りのない限り質量基準によるものである。
【0054】
1.ワニスの調整
(ワニス1)
ハイロスOR−480(ロジン変性フェノール樹脂、星光PMC(株)製)45.5%、大豆白絞油(日清オイリオ(株)製)10%、AFソルベント7号(JX日鉱日石エネルギー(株)製)44.4%を加熱して溶解、エステル交換反応を行った。これにジブチルヒドロキシトルエン0.1%を添加し、トレランス値が7(mL/3g)のワニス1を調整した。
(ワニス2)
配合を表2のように変更した以外はワニス1と同様にして、ワニス2を調整した。
【0055】
(ワニス3)
配合を表2のように変更し、エステル交換反応の後に、ALCH(アルミニウムエチルアセテート・ジイソプロピレート、川研ファインケミカル(株)製)0.5%、ジブチルヒドロキシトルエン0.1%を添加して、キレーションを行った以外はワニス1と同様にして、ワニス3を調整した。
(ワニス4)
配合を表2のように変更した以外はワニス3と同様にして、ワニス4を調整した。
(ワニス5)
配合を表2のように変更した以外はワニス1と同様にして、ワニス5を調整した。
(ワニス6)
配合を表2のように変更した以外はワニス1と同様にして、ワニス6を調整した。
(ワニス7)
配合を表2のように変更した以外はワニス3と同様にして、ワニス7を調整した。
(ワニス8)
配合を表2のように変更した以外はワニス3と同様にして、ワニス8を調整した。
【0056】
なお、表2においてOR−190、OR−372はそれぞれハイロスOR−190、ハイロスOR−372(ロジン変性フェノール樹脂、いずれも星光PMC(株)製)である。
【0057】
【表2】
【0058】
2.親水性物質の水溶液の調整
エーテル化度が0.48、1質量%水溶液の粘度が12mPa・sのCMC2.5部を97.5部の水道水に溶解させて親水性物質の水溶液1とした。また、用いる親水性物質と配合量を表3のようにした以外は親水性物質の水溶液1と同様にして親水性物質の水溶液2−7を調整した。これをインキの調整に用いた。簡便のため、以下では親水性物質の水溶液1−7を、単に水溶液1−7とする。
なお、表3においてHECはヒドロキシエチルセルロースである。1%粘度、2%粘度はそれぞれ、親水性物質の1質量%水溶液の粘度と2質量%水溶液の粘度を意味し、単位はmPa・sである。親水性物質はいずれも乾燥純分が99%以上のものを用いた。
【0059】
【表3】
【0060】
3.インキの調整
FASTGEN Blue FA5375(有機顔料、DIC(株)製):13部、ハクエンカT−DD(炭酸カルシウム、白石工業(株)製):10部、ワニス1:25部、ワニス2:25部、AFソルベント7号:3.5部を、3本ロールミルを用いて練肉し、JISK5701−1に記載の練和度試験にて、出来上がったベースインキの練和度の位置Aの目盛が3以下になるよう調整した。その後、平均粒子径5μmのポリテトラフルオロエチレンワックス:0.5部、ワニス1:10部、AFソルベント7号:4.8部、親水性物質の水溶液1:8.2部を添加し、ミキサーを用いて均一に混合分散して実施例1の印刷インキ組成物を得た。配合を表の4−7ように変更した以外は実施例1と同様にして実施例1−13、比較例1−10、参考例の印刷インキ組成物を調整した。なお、表4−7中の配合量は、小数点第2位を四捨五入した値である。ただし、実施例12のリン酸については小数点第3位を四捨五入している。
【0061】
実施例12、比較例9では85%濃度のリン酸水溶液(和光純薬製)を使用した。表中のリン酸の配合量は、85%水溶液の配合量を意味する。
実施例13、比較例10には、モノオレイン酸グリセリン(花王製 レオドール SP−030V)を非水溶性乳化剤として用いた。
比較例8には親水性物質の水溶液に替えて、食品用のこんにゃく(水酸化カルシウムによってグルコマンナンを非水溶性にしたもの。含水率97%)を潰したものを用いた。
【0062】
【表4】
【0063】
【表5】
【0064】
【表6】
【0065】
【表7】
【0066】
4.評価
調整した実施例、比較例、参考例の印刷インキ組成物を下記のようにして評価し、表8−11にまとめた。表8−11におけるインキ中の植物油、インキ中の有機溶剤、インキ中の体質顔料、インキ中の親水性物質、インキ中の水分、リン酸、非水溶性乳化剤の単位は質量%である。
【0067】
(有機溶剤削減率)
次式のようにして有機溶剤削減率(%)を算出した。
【0068】
【数1】
上記式中、「印刷インキ組成物中の有機溶剤の含有量」はAFソルベント7号の合計量であり、ワニス及びベースインキ中のAFソルベント7号を合計して求めた。
【0069】
(機上安定性)
実施例、比較例、参考例の印刷インキ組成物を、インコメーター((株)東洋精機製作所製)を使用し、インキ量0.5cc、室温25℃、ローラー温度32℃、回転数1200rpmの条件下で印刷インキ組成物が剥げ始めるまでの時間を測定し、参考例の印刷インキ組成物との比較で相対評価した。剥げ始めるまでの時間が長いものほど、機上安定性に優れると評価できる。参考例の印刷インキ組成物を標準とし、これと比較して3段階で相対評価した。
優れる:参考例の印刷インキ組成物よりも長い。
標準並み:参考例の印刷インキ組成物と同程度。
劣る:参考例の印刷インキ組成物よりも短い。
【0070】
(耐汚れ性)
ローランド704印刷機(セパレート連続給水方式、マンローランド社製)を使用し、印刷速度8000枚/時で印刷した後一旦停止した。一時間放置した後印刷を再開した際の印刷物の非画線部の汚れ解消具合を調べ、3段階で評価した。なお、用いた印刷版はKodak Sword XD−R(コダック合同会社製)、湿し水はプレサートWD100(H液、DIC株式会社製)を水で濃度1.0%に希釈したものを用い、用紙はOKトップコート+(米坪 104.7g/m
2 王子製紙株式会社製)を用いた。室温は25℃、湿度は50〜60%であった。
○:インキの汚れが非画線部からすぐ消える。
△:インキの汚れが若干残る。
×:インキの汚れが残る。
【0071】
(ヒートセット性)
RIテスターを用い、印刷インキ組成物0.125mLをOKトップコート紙に展色した展色物を、展色直後に200℃に保温されたコンベア型乾燥機を5秒間かけて通過させた。その後、指触にて展色物のべたつき具合を調べ、参考例の印刷インキ組成物を標準とし、これと比較して3段階で相対評価した。
優れる:参考例の印刷インキ組成物と比較してべたつかない。
標準並み:参考例の印刷インキ組成物と同程度である。
劣る:参考例の印刷インキ組成物よりもべたつく。
【0072】
(保存安定性)
25℃、相対湿度50%で3ヶ月間保管した印刷インキ組成物1.0gをフーバーマラーに置き、1.1Kgの重量で100回転練肉した。練肉後の印刷インキ組成物をインキナイフでこすり取って観察し、以下の基準に従い3段階で評価した。
3:印刷インキ組成物から分離した水滴はほとんど見られず良好である。
2:印刷インキ組成物から分離した微小な水滴が見られるが実用上は問題ない。
1:印刷インキ組成物から分離した水滴が多く見られ、実用に耐えない。
またはゲル状物質が多く見られ、実用に耐えない。
【0073】
【表8】
【0074】
【表9】
【0075】
【表10】
【0076】
【表11】
【0077】
実施例、比較例から明らかなように、本発明のヒートセット用オフセット印刷インキ組成物は従来の印刷インキ組成物と同等かそれ以上の性能を維持しつつ、有機溶剤の使用量が大幅に削減されたものとなった。
一方、親水性物質を含有するが、ワニスのトレランス値、植物油、有機溶剤、体質顔料、親水性物質、水の含有量が本発明の範囲外である比較例1、2、4−7の印刷インキ組成物は、ヒートセット型のオフセット印刷に必要な特性の全てを満足することはできなかった。また、ワニスのトレランス値、植物油、有機溶剤、体質顔料の含有量が本発明の範囲内であっても、親水性物質を含まない比較例3、水溶性の親水性物質に替えて増粘作用を示す非水溶性の物質を用いた比較例8も同様であった。また、ワニスのトレランス値、植物油、有機溶剤、体質顔料、水溶性の親水性物質の含有量が本発明の範囲内であっても、リン酸や非水溶性乳化剤の添加量が多い比較例9−10も同様であった。